もしもジークアクスがナンバーワン戦隊ゴジュウジャーみたいなノリだったら   作:岩ノ森

14 / 34
有給だったのでゴジュウジャーとガヴの映画を見てきました。どちらも最高でした。


新生ヒーロー、愛・戦士たち!②

 「シムス・アル・バハロフ大尉、着任致しました」

 「ごくろう大尉」

 マチュ達が正義ノーワンと戦っていた最中、シャリア・ブルは軍用艦ソドンにてシムス大尉と会談をしていた。内容はシャリア・ブル専用のモビルアーマー「キケロガ」のコロニー輸送についてである。

 

 「キケロガは公式にサイコミュを搭載した、誰もが知る禁止条約兵器なんですよ。本来なら基地を離れたという噂だけでも、大事になります」

 「面倒をかけて申し訳ない」

 「そこまでして危ない橋を渡る必要あります?」

 「・・・・・・・・・」

 「構いません」

 コモリ少尉の当然の疑問に言葉が詰まるシムス中尉。シャリア・ブルの許可を得て、極秘事項の説明をし始めた。

 

 「三日後、このコロニーで会合が開かれます。相手はワンナヴァルの前主席議長で現サイド6大統領のペルガミノ」

 「こちらからは、キシリア閣下が出席される」

 「キシリア様が!?」

 「その護衛もかねてでしょ。ここの治安部隊はあてにならないし、正体不明の怪物事件に謎のモビルスーツの交戦、さらに巨人騒ぎまで。キケロガ1機じゃ足りないくらいだわ」

 (じゃあ別のコロニーでやればいいのでは?)

 

 未だ公式に知らされていなかった情報を知り、驚きと疑念を抱くコモリ。確かにジオン側の国政のためとはいえ、ノーワンが渦巻くコロニーで会合をするとはいささか無謀であるように思える。それに、反ジオンのスパイがいないという保証もどこにもないのだ。

 「金と損得の話です。ジオニックやアナハイムに匹敵する造船企業のワンナヴァルがキシリア様に付くとなれば状況は変わります。天秤にかけたのですよ」

 ニュータイプとしての能力を使ったのか、それともコモリの表情から察したのか解説を行うシャリア・ブル。コモリは納得のいったようないかないような表情を浮かべそうになるのを抑える。

 

 「それとキャルフォルニア産のワインをお持ちしました」

 「ほう、この戦禍の中よく畑が生き残っていたものです」

 先の政治の話から早速ワインの話に移る上司二人。しかし趣味だけでなく政治的な意味もかねてである。

 

 「・・・・・・」

 「中佐?」

 「ああ失礼。少々野暮用があることを思い出しまして。シムス中尉、ワインに関してはまた後で」

 「は、はい」

 シャリア・ブルはそう言って部屋から立ち去って行った。あのシャリア・ブルがワインとキシリアの来日という重要な話を放棄してどこかへ行くなど妙である。

 それもそのはず。これから行う仕事は件の怪物騒ぎ「ノーワン」との戦闘という誰にも知らせていない裏の仕事なのだから。

 その事実を、残された二人は知る由も無かった。

 

 

 

 「俺はカイ・シデンってもんだ。ジャーナリストをやってる。よろしくなゴジュウジャー」

 突然喫茶ニュータイプに現れた謎の男「カイ・シデン」。私たちがニュータイプだってことも知ってたし、指輪の契約者だってことも知ってた。何者・・・?

 「何故僕らがニュータイプだってことを知ってるんです?」

 「それにゴジュウジャーって何よ?」

 「この間のMSに乗ってたのってもしかしてお前?」

 「おいおい質問は一つずつにしてくれよ」

  私たちがその男を質問攻めにしている中、ヒゲおじが注文のハンバーガーセットを運んできた。

 「お待たせしました。ハンバーガーセットです」

 「おー、きたきた。俺の友達が軍人でね。忙しいからって片手間で食えるハンバーガーがいつの間にか好物になってたんだと」

 私とニャアンとエグザベの質問をかわしながらそいつはハンバーガーを食べる。

 「かーっ、しょっぱいねえ。戦時中は塩気のあるものは貴重だったからな」

 自分で塩気たっぷりって注文した癖に。もしかしてこの人も昔は軍人だったんだろうか。

 

 「別に軍人ではなかったぜ。たまに戦うことはあったがよ」

 「!」

 こっちの心を読んだ!?ってことは・・・!

 「そ、察しの通り俺もニュータイプなわけ」

 そうか。だから私たちのこともニュータイプだって分かったのか。

 「そういうこと。ま、あんだけ看板にデカデカと書いてりゃ誰だって分かるでしょ」

 そりゃそうだ・・・。

 「あの、それでゴジュウジャーって・・・?」

 ニャアンが質問する。そうだ。それが一番気になってたんだ。

 「お前らが変身する5色の戦士のことだよ。金のテガソードを持つ5つの獣の戦士。そして50番目のスーパー戦隊」

 「す、スーパー戦隊?」

 「ああ。お前らみたいに人類の自由と平和を守るために地球と宇宙を守ってきた物好きが49組いたってこと。そしてかつて起きた厄災との戦い『ユニバース大戦』を終わらせた正義の戦士たち。それがスーパー戦隊」

 何その子供が考えたお話みたいな設定の奴らは・・・。

 

 「そんな話は初耳ですが・・・」

 エグザベが疑り深く言うけど私も聞いたことがない。そんな有名な正義の戦士がいるなら伝承くらい残ってても良さそうなのに。

 「そらそうだ。だってこれは向こう側の話だからな」

 「む、向こう側!?まさか、ゼクノヴァが!?」

 エグザベがめっちゃ驚く。何か心当たりでもあるんだろうか・・・。

 「おーおー驚くね。でもこの話に特に興味あるのは店長さんとそこの青い子じゃねえの?」

 「「・・・・・・・・・・」」

 ヒゲおじとシュウジはちらりとこちらを見る。でもさっき「向こう側」と聞いた途端に、二人の目がギラリと光ったのを私は見逃さなかった。

 

 「そして俺みたいなのが変身に使うセンタイリングには、その戦隊の赤の戦士の力が込められている。大体その戦隊の中心人物だな」

 中心人物が赤・・・。ってことは私がリーダー?

 「リーダーとも限らねえがよ。話動かすのはもっぱら赤だな」

 しまった。心読まれた・・・。

 「心読まれたって顔してるがよ、お前さんの反応見りゃ大体何考えてるかは分かるぜ」

 「いずれにせよ失礼でしょ」

 「そら悪かった。で、話を戻すがよ、中でもお前らゴジュウジャーの指輪は特別だ。戦隊ってのはまちまちではあるが基本メンバーは大体5人。ゴジュウジャーはその5人が現状唯一揃ってる戦隊だかんな」

 「メンバーが5人ですか。“戦隊”と名乗るにはいささか数が足りませんね」

 ヒゲおじがコーヒーのおかわりを注ぎにやって来た。向こう側と聞いて以降、いつもより若干ソワソワしているように見える。

 「まあ便宜上そう呼ばれてるってのもあるがそれはいいや。お前らが特別な戦隊なのは事実だ。実際、テガソードと一体になれるのはお前らだけだかんな」

 確かにテガソードと人神一体したのは私とニャアンとヒゲおじだけ。シイコさんや三連星のおっさん達はしようともしなかった。やっぱり私特別なんだろうか。あれ、ってことはシュウジとエグザベもテガソードに乗れるってことだよな?

 

 「・・・50番目で5匹の獣でゴジュウジャー?」

 「ん、そう」

 「名前安直すぎない・・・?」

 「俺が決めたんじゃないからねえ」

 ニャアンのツッコミをコーヒーを飲みながらかわす。確かにセンスないネーミングだ・・・。

 「あ、そうだ。この前のMSに乗ってたのって・・・」

 「うん、俺。あとあれMSじゃなくてトッキュウオーな。かつて烈車戦隊トッキュウジャーと戦った想像の化身『トッキュウオー』」

 「トッキュウジャー・・・トッキュウオー・・・」

 「名前ダサ・・・」

 「俺に言われてもなぁ。まああれは本物のトッキュウオーじゃなくて俺の指輪の能力『夢幻創造(クリエイト)』で作った模造品なんだがよ」

 「模造品?あれが?」

 「そ。想像したものを文字通り創造する能力。だけどその能力には想像力(イマジネーション)が必要なんだが、捻くれ者の俺には全然想像力なんてなくてよ。本物の半分も再現できてねえのよ。だから色もモノクロだし、性能も本物とは比較にならない弱いんだよな」

 あれで半分って・・・。じゃあオリジナルってどれくらい強かったんだよ・・・・・。

 

 「こちらからも一つよろしいでしょうか」

 「どうぞ」

 店の業務に徹していたヒゲおじがとうとうこの男に口を開いた。

 「あなたはそれだけの情報をどこから仕入れたのです。向こう側の戦士たちの情報など、並みの情報網では入手するのは不可能だと思いますが」

 物言いは落ち着いているけど凄い眼力だ。そんなにヒーローに興味あるんだろうか。それとも向こう側に関して・・・?

 「そりゃああんた、俺はジャーナリストだから自分の足で・・・と言いたいところだが俺も人づてに教えてもらったのよね」

 「その方とは会うことは可能ですか?」

 「いや、難しいと思うぜ。今かなり遠くにいるからよ。でもそいつもヒーローやってるから、お前らがヒーロー続ける限りいつかは出会えるかもな」

 「そうですか・・・」

 あからさまに残念がるヒゲおじ。そんなに向こう側について知りたいのか。てかこんなにパラレルワールドのヒーローのこと知ってる奴ってどんな奴だよ。

 「で、君の目的は何?」

 シュウジが珍しくグイグイ行く。それは私も気になっていた。

 「そんな話をするためだけにボクたちの前に姿を現したんじゃないんでしょ?何が目的?」

 「し、シュウジ?」

 こんなに喋るシュウジを見るのは初めてだ。何だか新鮮・・・とか言ってる場合じゃないな。

 「んーそうだねぇ。目的ね」

 その男はわざとらしく店のメニューを見て、考え込むような仕草を取る。まるで自分の本当の心を誤魔化しているように。

 「俺の願いは本物のヒーローの誕生が見たいんだよ」

 「何それ・・・」

 何その子供じみた願い。いい大人が・・・。

 「見てみてえじゃねえか。こんなくそったれな世界を救う、本物のヒーローの誕生をよ」

 「・・・・・・・・・・・」

 戦争だらけの世界。未だにジオンと連邦との傷も深いし、難民だってたくさんいる。

 そんな世界でヒーローなんてホントに生まれるの・・・?

 

 「ああ、これがいいや」

 「・・・何?」

 「お前ら全員でオムライスを作れ」

 

 「「「「「・・・・・・・・・・・・・・・・・は?」」」」」

 

 「本物のヒーロー足り得るかどうか、俺が見極めてやるぜ」

 

 

 てなわけで店中の材料かき集めてオムライスを作ることになった。いや、何でこんなことになってんの?

 「一番美味いオムライスを作れた奴にこの指輪をやる。気張って作ってくれよ」

 そうしてカイって奴が見せてきたのは4つの指輪。全部さっき言っていたセンタイリングだった。

 「なるほど。これも指輪争奪戦の一種というわけですか。それでは」

 ヒゲおじはテーブルにある材料を迷うことなく取っていく。喫茶店のマスターしてるだけあってこなれたもんだ。ってことは素人の私たち、圧倒的に不利じゃん・・・。

 (でも、負けてらんないよね)

 私も強化された嗅覚を使って良い食材を探し当てていく。いい具合の野菜と肉がゲットできた。

 「えーっと、じゃあ私も・・・」

 「あれ、ニャアン料理できるんだ」

 「一人暮らしだから、ある程度は・・・」

 「そっか・・・」

 忘れがちだけどニャアンは難民。一人で生きていかなきゃいけないから苦労してるんだろう。負けられないとはいえ、少し可哀そうになってきた。

 でも、一番心配なのは・・・。

 「んー」

 「シュウジだよねえ」

 「うん・・・」

 予想通り、シュウジは生のりんごを持った状態で立ち尽くしていた。そういや家事ナンバーワンバトルでもオムライス作る時四苦八苦してたし。ハラヘリムシのこいつは普段どうやって生活してるんだろう。

 「あむ」

 「いや食べてどうすんの!?」

 「オムライス作らなきゃいけないんだよ!?」

 「お腹減ってたから」

 自分の料理作らなきゃいけないのにほっとけない奴らがいる。これじゃあオムライス作るどころの話じゃないよ・・・。

 

 「・・・・・・・・」

 「あれ、エグザベは作らないの?」

 エグザベはそこから動こうともせず、渋い顔をして立ったままだった。

 「これは間違いじゃないのか?」

 「は?」

 「倒す敵が同じはずなのにお互い争って指輪を奪い合うなんて馬鹿げている。ブライダンの奴らを倒すために協力し合えばいいだろう」

 「いや何言ってんの。指輪を集めた奴が願いを叶える戦いでしょこれ」

 「エグザベ君は指輪を手にした当初からこの指輪争奪戦には消極的でした」

 ここまで来てもいい子ちゃん面かよ。だから変身できないんじゃないの。

 「あんたも願いがあるからテガソードと契約したんでしょ?さっきも大義のためなら手を汚すって言ってたし。矛盾してない?」

 「僕の願いはオールドタイプにとってもニュータイプにとっても平和な世界を作ることだ。でも今はブライダンという明確な脅威がいる。そのために戦う戦隊と言う徒党を組むなら、お互いが戦い合うのは変だ」

 鳥肌が出るくらい品行方正なこと言うなこいつ・・・。こんな奴とチームなんか組みたくないんだけど。

 「正義ぶってんじゃねえよ。キモイな・・・」

 「気持ち悪いか?」

 「そう。正直に言うけど私あんたのこと滅茶苦茶嫌い」

 「・・・そうか、すまない」

すぐ謝るし。どんだけ自分を正義側に置きたいんだろうか。気色悪い。

 

 「あの、二人とも・・・、早く作らないと・・・・・」

 「ああそうだった、ってシュウジ!野菜の切り方そうじゃない!!」

 「そうなの?」

 「そんな切り方じゃ指切るって!ああニャアンも!その野菜の切り方じゃ火通んないよ!?」

 「あ、ごめん・・・」

 こっちもそんなに料理をするわけじゃないけど、家庭科の授業も受けてるし最近は家事のために勉強するようになってきたから多少は分かる。

 でもこいつらはそんな勉強をする余裕もないんだよな・・・。

 「マチュもエグザベと同じだね」

 「は!?どこが!?」

 「何だかんだで人を放っておけない所」

 「冗談じゃない・・・」

 「随分嫌われたものだな・・・」

 シュウジはそういうけどこいつと同じなんて嫌すぎる。

 私とこいつじゃ全然違う。考え方も、生き方も。

 

 (同じ・・・か)

 私たち5人、全員バラバラだ。性格も立場も、個性も。

 それでもこうやって集まっている。願いを叶えるのとブライダンの奴らを倒すっていう、一つの目的のために。

 

 「エグザベ・・・」

 「何だ?」

 「さっき言ってたよね。共通の敵と戦うならお互い戦い合ってる場合じゃないって」

 「ああ」

 「・・・そうかもね」

 「マチュ・・・?」

 「店長!私たちに指示を出して!その通りに全員で作るから!」

 「分かりました。マチュ君はお米を研いで、ニャアン君とシュウジ君は野菜をなるべく細かく切って、エグザベ君は肉を切ってフライパンで炒めてください。私はソースの準備をします」

 こうなることを予測していたかのように支持を飛ばすヒゲおじ。ニュータイプ能力で察していたのかどうかはこの際追求しないことにする。

 「ほらみんな!キビキビ動いて!あいつをギャフンと言わせるようなオムライス作るよ!!」

 「・・・ああ!」

 「わ、分かった」

 「うん」

 それぞれがそれぞれの仕事をしだした。私も自分の役目を果たしてやる!

 

 

 

 (へえ、何だかんだでいい戦隊じゃん)

 カイはマチュ達を眺めながら内心ほくそ笑んだ。

 

 

 

 「よし!完成!!」

 そうやって出来たのは、テガソードの手の形を模したオムライス。テガソードオムライスだ。

 「ほう。じゃ早速」

 カイの奴はスプーンですくってオムライスを口に運ぶ。私たち全員緊張してその様子を見守る。

 「・・・・・・・」

 「どう・・・?」

 「うん、美味い。合格だ」

 「うっしゃあ!!!」

 私は思わずガッツポーズをした。他のみんなも嬉しそうだ。

 「戦隊ってのはな、一つの料理みたいなもんだ。バラバラな個性の奴らが一つの目的のために力を合わせて戦う。それが戦隊ってもんだ」

 言ってること滅茶苦茶。でも。

 「悪くないかもね」

 5人全員で作った一つのオムライス。不慣れな割には結構綺麗に見える。

 バラバラな私たちでもこうやって一つのことに向けて頑張れるもんなんだ。

 

 「え、でも全員合格って指輪はどうすんの?」

 ニャアンの当然の疑問。そういやどうしよう。

 「ああそうだな。その前に・・・」

 カイの奴が何か言おうとした瞬間だった。

 「!!」

 「どうした?」

 「ノーワンの臭いだ!」

 「何!?」

 あの鼻をつんざくような嫌な臭い。それを感じて私とエグザベは飛び出した。

 

 

 

 「私たちも行こう!!」

 「ああ待て」

 「何!?」

 「戦隊にとって一番大事なことを今から教える」

 「一番大事なことですか?」

 「ああ。“名乗り”だ」

 

 

 

 

 

 「絶対正義参上!!正義とはこの世界を汚す人間どもを一掃すること!!これより正義を執行する!!!」

 「うっ、うわああああああああ!!!」

 現れた正義ノーワンは自分の身勝手な正義(エゴ)の元、人々を襲い始めた。

 「やめろこの偽善者!!」

 「誰が偽善だ!正義を邪魔するなら容赦はせんぞ!!」

 「人間殺そうとして何が正義だっつーの!エンゲージ!!」

 

 【ゴジュウウルフ!!】

 

 「うらぁ!!」

 「リンリン!!」

 マチュは変身して正義ノーワンとアーイー達を止めにかかる。

 「くっ!!」

 駆け付けたエグザベも変身しようとする。だがやはり指輪をテガソードに嵌めても何も起きない。

 「変身できなくとも!!ふっ!!はっ!!」

 「リンリン!!」

 エグザベは生身の状態で持ち前の怪力能力でアーイー達を蹴散らしていく。

 「変身もできないものが正義を執行するな!!ジャスティスナックル!!」

 「ぐおわっ!!」

 だがやはり変身できない状態では能力にも限りがある。エグザベは正義ノーワンの拳型のエネルギー弾に弾き飛ばされてしまった。

 「ぐぅ・・・っ!!」

 痛みを抑えつつも立ち上がろうとする。だが体が言うことを聞かない。

 

 なぜ自分は変身できないのか。

 その資格がないのか。

 自分の信じている大義は誤りなのか。

 

 痛みが強まるとともに、心も折れそうになる。

 だが折れるわけにはいかない。

 軍人として、平和のために進み続けるのが大義なのだから。

 

 「エグザベェ!!」

 あの少女の声が聞こえる。この世の穢れも何も知らない若さと純粋さに満ち溢れた声が。

 「あんたの願いは何なの!?」

 「僕の願い・・・?」

 さっきも言ったはずだ。オールドタイプにもニュータイプにも平和な世の中を作ると。

 「大義なんかじゃない!!あんた自身の願いだよ!!もっとあるでしょ!!可愛い女の子と付き合いたいとか!!美味しいもの嫌と言うほど食べたいとか!!!」

 「それは欲望であって願いではないだろう!?」

 「うっさい!!私もね!!正直願いなんかないの!!!」

 マチュはアーイー達を蹴散らし、正義ノーワンの拳と突き合いながら大声を発する。

 「でもさっきみんなで美味しいオムライス作れた時、とても嬉しかった!!そんな嬉しい思いをもっとたくさんしてみたい!!それだけで私は戦える!!!」

 マチュは正義ノーワンの拳に押し負けそうになっていた。だが叫ぶ声の張りは全く変わらない。

 「言いなよ!!あんたの本当の願い!!!自分の心からやりたいこと!!!自分だけの夢をさ!!!!!」

 「僕の・・・願いは・・・・・!」

 その刹那、エグザベの目の前は光に包まれた。

 

 

 エグザベ・オリベ・・・

 

 「テガソードか!!」

 

 心から叫ぶのだ お前自身の願いを

 

 「僕の願いは言ったはずだ。平和な世界を築くと」

 

 それは大義であって願いではない

 

 「何・・・?」

 

 願いとはもっとちっぽけなもの 自らが明日を生きる原動力となるものだ

 

 「それは欲望ではないのか?」

 

 そうだ その身勝手な欲望こそ、大義へと繋がりひいては世界を救う大きな願いとなる

 

 「・・・・・・・・」

 

 解放せよ! 唯一無二の願いを!! 自らのやりたいことを!!!

 

 本当の願いを思い出すのだ!!

 

 

 ルウム戦役でたくさんの大切な人々を失って以降、エグザベを支えていたのはジオンへの復讐心より自分のような境遇の人々を作りたくないという大義であった。

 そうしてジオン軍人となり、ソドンの乗組員を始めとして同じ大義を築こうとする仲間もたくさんできた。

 誰もが平和に暮らせる世界を作る。それこそが自分の願いだと信じてきた。

 

 (だが・・・)

 

 いつの間にかその大義こそが自分の願いだと言い訳するようになっていたのかもしれない。

 違う。本当の自分はそんなに強い人間ではない。

 もっと小さく、もっと欲深く。ちっぽけな自分本位の願い。

 

 「僕は!平和な世界を作りたい!!」

 

 心の奥底に閉じ込めていた、自分の欲望。

 

 「そして!!その平和な世界で、大切な人々と一緒に暮らしたい!!!」

 

 人が聞いたら汚いとか、自分勝手とか蔑まれるだろう。軍人としては恥ずべきことかもしれない。

 

 「テガソード!!もう僕は自分自身の願いから逃げない!!!」

 

 だがそれでいい。変えようがない、自分のやりたいこと。

 

 「自分の願いも叶え!世界も平和にする!!だから力を貸してくれ!!!」

 

 大義とそれに繋がる自分の願いに気づいたとき、エグザベの持っている指輪は光り輝いた。

 

 

 「はああああああっっっ!!!」

 「リンリン!!」「リンリンー!!!」

 エグザベはテガソードで、周囲にいたアーイー達を斬り裂き一斉に倒した。

 「エグザベ!?」

 そして顔を上げたエグザベの表情は、新たな決意をしたかのような輝きに満ち溢れていた。

 

 「エンゲージ!!」

 

 【CLAP YOUR HANDS!!】

 

 エグザベはテガソードに指輪をはめる。そして軽快な音楽とともにテガソードを叩き、円を描いた。

 

 【ゴジュウティラノ!!!】

 

 エグザベは黄色の恐竜のような戦士、ゴジュウティラノに変身した。

 「変身・・・できたんだ・・・!」

 「・・・はあぁっ!!!」

 ゴジュウティラノは力を込めた鉄拳を地面に打ち込んだ。その衝撃でアーイー達は軒並み全滅した。

 

 「ぐおっ!!我が正義を邪魔するとは!!貴様は悪だ!!わが拳で静粛してくれる!!!」

 「人の数だけ正義がある!!だったら僕は、自分の正義を信じるだけだ!!!」

 

 

 【いざ掴め!ナンバーワン!!】

 

 「正義の反対は別の正義?ならば全ての正義は私に従え!正義ノーワン!!この拳こそ絶対正義!!!」

 

 「正義はエゴと言うならば、僕はそのエゴを貫き通す!!ゴジュウティラノ、エグザベ・オリベ!!!大義に繋げる、自分のせい(ry」

 

 「はいエグザベ君はこっち。マチュ君はここ」

 「ええ、ちょ。中佐、そんなぁ!」

 「えっ、何々?」

 カッコよく名乗りを決めようとしていたエグザベを他所に、突然乱入したシャリア・ブル、ゴジュウイーグルはエグザベとマチュを無理やり運んでポジションに着かせた。同時にやって来たニャアンとシュウジもポジションに着く。

 「じゃあ決めますよ」

 

 「「「「「我ら、ナンバーワン戦隊ゴジュウジャー!!」」」」」

 

 「え、何これ・・・?」

 「これでいいの?」

 「ナンバーワン戦隊って何・・・?センス無・・・・・」

 「あの・・・僕名乗ってる最中だったんですが・・・・・」

 「これが戦隊の恒例と言うなら仕方がないでしょう。中々愉快でないですか」

 

 こうして、ここにこの世界における“ナンバーワン戦隊ゴジュウジャー”が結成したのだった。

 

 




ガンダム初心者の推論ですけど、純度の高いニュータイプほど直情的な相手とは相性悪かったりするですかね?エグザベ君がヒゲおじと戦えてた理由もそれだったりして。

それが正しいとすると、ヒゲマンって一時期の戦隊レッドのほとんどと相性悪いことに・・・。
  1. 目次
  2. 小説情報
  3. 縦書き
  4. しおりを挟む
  5. お気に入り登録
  6. 評価
  7. 感想
  8. ここすき
  9. 誤字
  10. よみあげ
  11. 閲覧設定

▲ページの一番上に飛ぶ
X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧 ※ログインせずに感想を書き込みたい場合はこちら
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。