もしもジークアクスがナンバーワン戦隊ゴジュウジャーみたいなノリだったら   作:岩ノ森

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今回はカブトやドンブラザーズでも使われた、一方で本筋進めつつ一方ではトンチキ話をやるという東映流脚本術に挑戦してみました。やはり難しいです。あれはプロの脚本家の仕事ですね。

あとドゥーちゃんのキャラ、もしかしたら間違ってるかもしれません。


キラリンアイドルと切り札X②

 現在、シャリア・ブルとエグザベは極秘に来日したキシリア・ザビの警護に当たっていた。当のキシリアはサイド6の大統領ペルガミノと会談中だ。会談の内容は地球環境改善用ソーラ・レイ装置の「イオマグヌッソ」建設についてである。

 「未だザビ家への怨恨を抱いている者も少なくないというのに・・・本当に大丈夫なのでしょうか」

 コモリ少尉は不安げな声色で呟く。1年戦争の傷は深い。人類の半数が戦争にて死に、未だ立ち直れてない者や復興できていない地域も多い。いかに官軍とはいえ当事者であるザビ家が恨まれるのは致し方無いことである。

 

 「その怨恨からキシリア様を守るために我々がいます。わざわざこのコロニーまでキシリア様が出向いてくださったのも我々を信用してのことでしょう」

 シャリア・ブルがコモリの不安を諫めるように論理的に語る。実際キシリアがシャリア・ブル達を信用しているか否かは神のみぞ知るところであるが。

 「・・・スパイや反ジオン団体の情報も確認されていないだけで、どこに潜んでいてもおかしくない状況です。そんな中来日されるなんて勇気のあるお方ですね」

 自分の主君の行動に感心するコモリ。伊達に戦争を生き抜いた女傑ではないのか、と尊敬の念を抱いていた。

 「スパイや反ジオンも心配だが・・・こんな時にあいつらが出てこなければいいんだが・・・・・」

 「え?」

 「あっ、ああ何でもない。気にするな」

 「?」

 エグザベが思わず呟いてしまったのは言うまでもなくノーワン達のことについでである。勿論読者たちはご存じかも知れないが、現在ニャアンとシュウジがアイドルノーワンとナンバーワンバトルの真っ最中である。そんなことをキシリアの警護に当たっているエグザベは知る由もない。思わず秘密にしているゴジュウジャーの活動について呟いてしまい、同僚のコモリにも怪訝な顔をされる始末である。

 

 「秘密というのはどれだけ警戒していても漏れる物です。何かが起こる、と考えていた方が良いでしょう」

 そんなナンバーワンバトルが行われていることを知って知らずか、冷静な口調を崩さないシャリア・ブル。最近喫茶店の店長をしまくっていたので忘れがちだが、彼はジオン軍人の中でも特に突出したエリートなのだ。こちらの方が本職なのである。

 「エグザベ君はいつでもギャンで出れるようにしておいてください。私もキケロガを準備しておきます」

 「・・・・・・・・・・・」

 一切の油断を見せないシャリア・ブル。その様子を見てエグザベの顔も緊張に包まれた。

 

 ジオンは現在、キシリア一派とギレン一派の二つの派閥に分かれている。そのため内乱が起こる可能性もゼロではない。

 エグザベはキシリア派に属している。シャリア・ブルの部下をしているが、当のシャリア・ブルはギレン派。実はエグザベはそんなシャリア・ブルの監視を秘密裏に行っているのだ。

 

 将来敵となるかも知れないシャリア・ブル。だがエグザベは人間的には彼を尊敬している。自らを助けてくれたのも一度や二度ではない。行動に謎は多いが心の底から疑いきれてはいない。

 (もし中佐が敵となったら・・・僕は中佐を殺せるのか?)

 今まで築いてきた信頼が邪魔をする。そしてゴジュウジャーであるマチュ達への情。彼を殺せば、曲がりなりにもシャリア・ブルとともに戦っているマチュ達への裏切りにもなろう。複雑な想いがエグザベの中を交錯する。

 

 (大義のための正義〈エゴ〉、か・・・・・)

 自らの願いを自覚し、自分の使命への信念がより強固になったエグザベ。

 いざという時には迷うわけにはいかない。否、迷えない。

 どんな試練が降りかかろうと、乗り越えるしかないのだ。

 「エグザベ君」

 「はっ」

 「頼みましたよ」

 「・・・はっ!」

 敬礼をするエグザベ。

 

 今はまず、目の前のできることから。

 

 

 

 外でニュータイプっぽい変な子と出会って、なし崩しに二人でファミレスに入ることになった。

 「はむっむぐむぐ」

 当の少女(?)は頼んだスパゲティを口の周りを汚しながらかき込んでいる。食べ方汚いな・・・。

 「おかわり」

 「よく食うなあんた・・・」

 これで5杯目だ。まあ懐は温かいからこれくらいは大丈夫・・・と言いたいところだけどあの札束に手を出すかどうかはまだ迷ってる。

 「ファミレスだからかそこまで味は良くないね」

 「奢ってもらっといてそれ言う?」

 5杯目のスパゲティに手を付けながら文句を言う。ニュータイプって失礼な奴らばっかなんだろうか。

 「なんか不機嫌だねお前」

 「そりゃこの後の会計考えれば誰だってそうなるでしょ」

 「それだけじゃないよね」

 「!」

 「理不尽に対する怒り、みたいなのを感じる」

 こいつ・・・心読んだのか・・・・・。やっぱ失礼な奴だ。

 「心の中に土足で入り込んでこないでよ」

 「お前が分かりやすすぎるのが悪い。オールドタイプでもその仏頂面見れば分かる」

 「余計なお世話だよ・・・」

 そんな分かりやすい顔してるだろうか。だったらお母さんやアンキーとかにも察してもらえなきゃおかしいだろ。

 「お前、大人嫌いなんだ」

 「・・・・・嫌い。子供を無理矢理下にしてくるんだもん。あんたもそうじゃないの?」

 「僕は人による。キラキラを見せてくれる奴は好きだ」

 (キラキラ・・・・・)

 私とシュウジにしか見えないと思っていたキラキラ。こいつにも見えるのか。

 自分だけの世界がどんどん侵略されてる。

 「あのキラキラはいい。面白いし、良い匂いもする」

 「・・・・・私も、キラキラは好きだけどさ」

 キラキラの綺麗さはともかく、匂いにまで触れたのはこの子が初めてだ。確かにあれはいい匂いがする。

 「遠く彼方の、宇宙まで行けるような浮遊感。あの瞬間だけ僕は自由になれる」

 「・・・あんた、名前は?」

 「ドゥー。ドゥー・ムラサメ」

 「分かりづらい名前・・・」

 「しょうがないだろ。そう付けられたんだから」

 「そりゃそうだ」

 妙におかしくなってフフッと笑う。

 誰かとこんなに話せたの、久々な気がする。

 「私はアマテ・ユズリハ」

 「ふーん。アマテ、ご馳走様」

 随分食ったな、こいつ・・・。あの細い体のどこに入るんだ?

 「アマテ、この後時間ある?」

 「? 何?」

 「街見て回りたい。付き合ってよ」

 

 

 

 「さあ始まりました!第1回アイドルナンバーワン対決!実況は私、マイク・ゴセイックが務めます!!」

 金アーイーのけたたましい実況とともに始まったアイドルナンバーワンバトル。あんなすかした奴、とっとと倒してとっととバイトに戻る。

 「選手紹介させていただきます!ブライダン側は我らがレジェンドアイドル!アイドルノーワン様!!」

 「今日はみんなに、ハートを届けるよ♡」

 「対するチャレンジャー!謎のダウナー系少年!シュウジ・イトウ!!」

 「うん」

 と思ってたんだけど・・・。

 「ちょっと待て」

 「うん?」

 「何でこいつがバトルすんの?バトル受けたの私なんだけど?」

 「ニャアン、アイドルになりたかったの?」

 「違うけどさ・・・」

 私があんなキラキラでフリフリの服着るなんて似合わない。

 それに芸能界なんていう汚い世界で生きていける自信なんてない。

 って、今はそれは関係なかった。

 「しょうがないじゃないか。比較的擦れてない方を選んだからね♪」

 「ああ、なるほど・・・」

 擦れてない方ね・・・。

 ・・・・・・・・・・。

 「何だとこの野郎!!」

 

 バリバリバリバリバリバリ!!!

 

 「あばっばばばばばばばばば!!!」

 またもや電撃が走って、ズゴーッとコントのように倒れてしまった。

 「だからペナルティが降りかかるって言ったのに。物覚えの悪い子だな」

 「うう・・・ちくしょー・・・・・」

 「大丈夫ニャアン?」

 シュウジの奴がペシペシと体を叩いて安否確認してくる。心配してる割には扱いが雑だなおい。

 「でも、そんな君も嫌いじゃないゾ☆」

 「・・・・・・・・・・・・・・・・」

 こいつ、殺す。

 

 「さあ気を取り直して!お次は審査員の紹介です。まずは謎の学生の少女!ニャアン!!」

 「ども・・・」

 「お次は何と慈愛のブーケ様!さらにはMr.シャイニングナイフ様とMrs.スウィートケーク様ご夫妻まで!!ブライダン幹部の皆様が駆けつけて下さり、豪華な面々となりました!!」

 「ちょぉーーーっと待ったぁぁーーーーー!!!!!」

 「何だい?」

 「何で審査員の過半数が敵の幹部なんだよ!!!全然公平性に欠けるだろ!!!!!」

 思わず突っ込んだけどこんな状況誰でも突っ込む。どう考えても勝ち目無いじゃん!!!

 「ふふふ、少女よ。君の言う通り私たちはブライダン。悪いがアイドルノーワンに全ての票を入れさせ・・・」

 「キャーッ!!アイドルノーワン様―!!!私、ファンなんですー!!!限定グッズも初回版CDも全部持ってますーーー!!!」

 「なっ、何ぃ!!?」

 「恐縮でございます、Mrs.スウィートケーク様。では、あなただけのために投げキッスを。チュッ♡」

 「キャーーーーーッ!!無理ぽよ~~~!!!」

 「ハニー!!夫である私の横で他の男に入れこまないで!!!」

 体が二つくっついてるからケーキの奥さんがナイフの旦那さんの横で浮気じみた推し活してるっていうすごい図が繰り広げられていた。何見せられてるんだ、私・・・?

 「くぅっ!!アイドルノーワンめ!!この雪辱は審査にて晴らさせてもらうぞ!!!」

 何か知らないうちにこっち側の味方が一人増えた。何か釈然とはしないけど。

 残る一人、あのブーケとか言うなんかよく分かんないドレス衣装着てる女。

 「・・・・・・・」

 「?」

 何か様子が変な気がした。さっきからずっとシュウジの奴の方を見つめているような。

 「ねえ、あんた」

 「ひゃっ!?ひゃいっ!!んんっ、ごほんっ。何ですか人間」

 話しかけただけなのにめっちゃ動揺された。そんな怖がるようなことしたかな私。敵だからいいんだけど。

 「さっきからあいつの方ばっか見てどうかした?」

 「えっ!?いや別にそんなことはぁ!?」

 「・・・隙見て殺そうとしてんじゃないだろうな?」

 「そんなわけないでしょう!!ましてや彼のことに限って!!」

 「彼のこと?」

 「あっ、ゴホゴホンッ!!いえ別に私とあなた達は敵同士それ以上でもそれ以下でもありません」

 すげえ早口・・・。

 どことなく顔も赤いし、こいつらの考えることはよく分からない。

 「さあさ!場も温まってきたところで!!アイドルナンバーワンバトル!!!スタートであります!!!」

 

 アイドル NO.1 BATTLE!!

 FIGHT!!!

 

 

 

 「フーンフーン」

 「・・・・・・」

 ドゥーの奴は外に出て何をするかと思えば、近所の公園にやってきてブラブラしてるだけ。フェンスを手でなぞりながらトトトッと走っている。

 「開放感ある場所は好きだ。宇宙みたい」

 訳わかんないこと言ってる。ここは中くらいの大きさの公園なんだけど。

 「あんま走るとこけるよ」

 「こけても問題ない」

 あまり自分のことに関心が無いかのように振舞う。家でどんな扱いされてるんだ?

 

 ドテッ

 

 「あ痛たっ」

 「ほらこけた」

 思わずドゥーの傍に駆け寄る。膝の部分に擦り傷があった。手のかかる妹がいる兄とか姉とかってこんな気持ちなんだろうか。

 「別にいくら傷ついても問題ない」

 「問題なの。傷口からばい菌が入るかもしれないんだから。そうなったらひどいよ?」

 とりあえず蛇口の所まで行って、ドゥーの傷口を洗う。怪我したらすぐに洗浄。私も走り回る方だったからお母さんによくやってもらったっけ。

 

 ・・・・・お母さん。

 

 「大人嫌いなんじゃなかったの」

 「・・・うるさい。手当てしてもらってる身でとやかく言うな」

 とりあえず綺麗なハンカチを結んで傷口を抑える。これで応急処置はすんだ。

 「はい、これでOK」

 「・・・・・・・・」

 「何?ハンカチがダサいとか言うなよ?」

 「これはどうすればいいの?」

 「は?」

 「何か貰ったのなら要求があるだろ?何すればいい?」

 ハンカチ一枚で何言うんだこいつは。

 「別にいいよ。高いもんじゃないしあげる」

 「・・・・・・・・・」

 「どした?ダサいからいらないとか?」

 「プレゼントって奴?」

 「・・・まあそうなるかな」

 「初めてだから困惑してる。うん、多分これは困惑」

 プレゼントされたことないのか。ぼっちって奴か?

 「じゃあ初プレゼントじゃん。良かったね」

 脚に結ばれたハンカチをジロジロ不思議そうに見る。そんなに珍しい?ニュータイプって変な奴多いな・・・。

 「これは大切にすればいいの?」

 「それは・・・自分で決めなよ」

 

 そう言ったけど私が言えることじゃない。

 未だに何も自分で決めれてない。

 自分の立ち位置も。自分が何をやりたいかも。

 

 「自分で決めろって無責任だよね」

 「え?」

 「いつも散々命令してきて。いざという時の判断はこっちに任せる。かと言ってそれが間違ってたら制裁をしてくる。責任能力のある奴のすることじゃない」

 「・・・・・・・・・」

 そうか。

 何でさっきからこいつを放っておけないかが分かった。

 こいつは私なんだ。

 私と同じで、重力に縛られて飛び立てないんだ。

 私と同じ匂いがする。

 

 「フンフン」

 ドゥーは脚に結ばれてるハンカチの匂いをかぐ。

 「この匂い、好きだ」

 「そっか」

 「あんたの匂いも好きかも」

 「・・・・・ありがと」

 久々だったかもしれない。

 私が私らしくいられる瞬間が。

 

 

 

 ・アイドル NO.1 BATTLE!! ROUND 1!!

 「さあまずは第1回戦!題材はエアロビクスであります!!アイドルとは歌って踊れる能力を持つ体が資本!!ハードなエアロビを最後まで踊り切ることができるか!?」

 (うるせぇ・・・)

 耳が痛くなるくらいにやかましく声を張り上げる金ベル野郎。その合図とともにノリに乗った感じの音楽が流れてきた。

 「日々体を鍛えている僕にとってこんなもの朝飯前さ!ワンツー☆ワンツー☆」

 ノーワンは軽やかなステップで曲に合わせてエアロビを踊りだした。たまにこっちに煌びやかな目線を向けてくるのがうざい・・・。

 対するシュウジ。

 「はぁ、はぁ、疲れた・・・」

 「早っ!?」

 まだ曲が始まって1分も経ってないのに早速ギブアップしてる。まあ見るからに体力はなさそうだけど・・・。

 「もうちょっと頑張りなよ!!バトルに負けるよ!?」

 「疲れたしお腹空いた・・・。焼きそば食べたい・・・・・」

 ああもうこれダメだ!!!

 「むぅ~、勝ったのはいいけどこれでは張り合いがないねぇ~。アイドルを志すならもうちょっと頑張らなきゃ」

 「別に僕アイドルになる気なんてない」

 ノーワンの突っ込みにシュウジは答えるけどそりゃそうだ。無理矢理巻き込まれただけだし。

 「バカー!!!」

 

 バシィ!!

 

 「痛い」

 「ひっぱたいた!?」

 「敵とはいえなんたる態度!!アイドルとはそんな甘いものじゃない!!何事も途中で投げ出さず最後までやり切る!!それが真のアイドル道!!!」

 ((アイドル道って何・・・?))

 なんか一人で盛り上がってるノーワンに対して、私とシュウジの心の中が一つになった。

 「キャーッ!!流石アイドルノーワン様!!心までストイックゥ~!!!」

 「クソッ!わざとあの少年に票を入れようと思ったのに、この有様では八百長がバレバレではないか!!」

 半分こケーキの一方が盛り上がって、一方は嫉妬の炎に燃えていた。だから何この新手の夫婦喧嘩・・・。

  

「それでは判決の方に移りたいと思います!!心の底からいいね!と思った方の札を上げてください!!くれぐれも不正はないように!!!」

 

 ケーク:アイドルノーワン

 ナイフ:アイドルノーワン

 

 半分こケーキ共は当然のごとくノーワンの札をあげた。おっさんの方は渋々だったけど。

 私も上げないと・・・。勿論一応仲間のシュウジの奴の方で・・・・・。

 

 バリバリバリバリバリバリバリバリ!!!!!

 

 「あがががががががががががが!!!!!」

 またも私の全身に電撃が走ってそのままドシャァと倒れた。

 「不正を働いてもペナルティだからね。心に従うように☆」

 「早く言え・・・・・」

 私さっきから電撃喰らってばっかじゃないか・・・。もうやだ家帰りたい・・・・・。

 まだ痺れが残っている手でノーワンの方の札を上げた。

 「清き一票ありがとう!お礼は僕のウインクさ♡」

 ぶっ殺してぇ・・・・・。

 「おや?ブーケ君がまだ上げてないようだが?」

 ナイフのおっさんが怪訝な声を上げる。まだ投票してなかったんだ。

 「・・・・・・・・・」

 「当然私ですよねブーケ様?」

 「えっ?あっ!も、もちろんです!アイドルノーワンに一票・・・」

 

 バリバリバリバリバリバリバリバリ!!!!!

 

 「あぎゃぎゃぎゃぎゃぎゃぎゃぎゃぎゃ!!!」

 『はあ!!?』

 ブーケって奴も札を上げた瞬間、電撃が流れてその場に倒れた。

 「ぶ、ブーケ様!?」

 「くっ・・・幹部とはいえ不正は見逃しませんか・・・・・」

 体の至る所が焦げたブーケ野郎は。

 シュウジの奴の札を上げた。

 「なっ!?何故ですブーケ様!?」

 「何故と言われても・・・心から良いと思った方に票を入れたまでです!」

 「納得できません!!10秒ぽっちでエアロビをやめたこいつのどこを評価したというのです!!」

 ノーワンが詰め寄る。確かにノーワンの言う通り、シュウジの奴は全然エアロビが出来ていなかった。そんな奴のどこに良い点を見出したんだろう。

 「・・・った」

 「はい?」

 「疲れてる姿が色っぽかった・・・からです」

 『ええ・・・・・』

 ノーワンも幹部も含めて、その場にいる全員がそいつに引いていた。

 

 ・ROUND2!!

 「第2回戦の種目は食事制限!!体重や体脂肪率のコントロールができてこそ、アイドルのスタート地点に立てるのであります!!!」

 ノーワンとシュウジの目の前にケーキやステーキなどと言った豪華な料理と、サラダや蒸した鶏むね肉などと言った低カロリーな料理が並んでいる二つのテーブルが現れた。

 「自らの欲望に勝ってこそアイドル!!ダイエットメニューいただきます!!」

 ノーワンは低カロリーなダイエットメニューを選び、食べ始めた。

 あ、これ嫌な予感がする。

 「もぐもぐ」

 (やっぱそっちいったーーー!!!)

 案の定、シュウジの奴は豪華料理の方のテーブルに着き、美味しそうに食べ始めた。あんな高カロリー料理、ダイエットもクソもない・・・。

 「フフフ!脂質や炭水化物はアイドルの天敵!!それらを排除してこそアイドル活動の結果に繋がるのさ!!」

 「キャーッ!アイドルノーワン様食事にかけてもストイックゥ~!!!」

 「ぬおおお!これではまたアイドルノーワンに票を入れざるを得ないではないか!!!」

 またもアイドルノーワンに票がどんどん入る。ダメだこりゃ。勝てる見込みが全然ない・・・。

 

 ケーク:アイドルノーワン

 ナイフ:アイドルノーワン

 ブーケ:シュウジ・イトウ

 

 『何で!!?』

 何故かブーケ女がまたシュウジの奴に票を入れていた。

 「またも何故です!?理由をお聞かせください!!!」

 「うう・・・・・」

 顔を真っ赤にしながらモジモジするブーケ女。

 まさかこいつ・・・。

 「美味しそうに食べてる姿が・・・可愛かったので・・・・・」

 「そ、そんなぁ~・・・・・」

 ショックを受けるアイドルノーワン。まさか幹部に反逆されるなんて思わなかったろう。

 「むぐむぐ、ん?」

 シュウジの奴は素知らぬ顔でご馳走を食べ続ける。吞気な奴・・・。

 ・・・・・確かに美味しそうに食べてて幸せそう。

 「・・・・・・・・・」

 私は今度もシュウジの方の札を上げた。

 さっきと違って電流は流れなかった。

 「ぐっ、ぐぅ~!!納得できねえ~!!こんなだらしねえ奴に票が入るなんてぇ~!!!」

 「あ、アイドルノーワン様!?」

 「あっ!ごほんっ!ふ、ふふ、やるようだね少年。だが次は全部の票をいただいちゃうゾ♡」

 声色をあからさまに変えるアイドルノーワン。だんだんメッキが剝がれてきたな・・・。

 

 ・ROUND3!!

 「お次は強風の中での写真撮影!!アイドルたるもの!どんな状況でもばっちりと写真を決めなくては!!」

 

 ビュオオオオオオオオオオオ!!!

 

 「これが芸能界の向かい風!でも負けないよ!!」

 「キャーッ!!素敵―ッ!!!」

 

 「わーっ」

 (飛んでった・・・)

 

 ケーク:アイドルノーワン

 ナイフ:アイドルノーワン

 ブーケ:シュウジ・イトウ

 ニャアン:シュウジ・イトウ

 

 「な、な、何故です!!?」

 「飛んでく姿も可愛かったので・・・」

 「まあ・・・・・」

 「ちくしょう!ちくしょう!!」

 

 ・ROUND4!!

 「次の種目はクイズ番組!人気番組の花形でもあるクイズ番組で自らの知恵をアピールできるか!?」

 

 Q.『北の夜空に輝くW型の星座は何か?』

 

 「フフフッ、こんなの日々勉強を欠かさない僕にとっては簡単だよ☆」

 「・・・・・・・・・・」

 

 ノーワンの答え:カシオペア座

 シュウジの答え:キラキラして綺麗なの

 

 「正解!アイドルノーワン!!」

 「キャーッ!アイドルノーワン様賢い~!!」

 

 ケーク:アイドルノーワン

 ナイフ:アイドルノーワン

 ブーケ:シュウジ・イトウ

 ニャアン:シュウジ・イトウ

 

 「だから!!!何故です!!!!!」

 「・・・面白い答えで印象に残ったので」

 「・・・同じく」

 「コンチクショウがぁーーー!!!!!」

 

 確かにバトルに実質勝ってるのはアイドルノーワンの方だ。

 でも、私にはシュウジの奴の方が印象に残る。

 そんな自分の心に従って札を上げてる。

 

 ・・・何だろうか。この気持ち

 

 胸が温かく、目の前が輝いてくるみたいな。

 

 「二人とも、応援してくれてありがとう」

 「「!!」」

 「僕、頑張る」

 ニコッと笑うシュウジの奴の顔を、私たち二人はなぜかまともに見れなかった。

 

 

 

 「おねえちゃーん!飛行機取ってー!!」

 ドゥーの傍に子供が飛ばしたグライダーが落ちてきた。ドゥーはそれを拾って興味深そうに眺める。

 「早く返してあげなよ」

 「どうやって返すの?」

 「軽く投げればいいんだよ」

 ドゥーはグライダーをキョロキョロ色んな方向から眺めながら、子供に向かって投げ返した。

 「ありがとー!!」

 子供はお礼を言ってお母さんと去って行った。

 「グライダー好きなの?」

 「飛ぶものは何でも好きだ。宇宙に連れて行ってくれるから」

 宇宙か・・・。

 宇宙に出れば自由になれる、そう思ってた。

 一応テガソードで何回も宇宙に出てる。

 そこで敵を倒す時は自由になった気がする。

 でも未だ掴めてない。本当の自由を。

 「アマテ、自由になりたいの?」

 「・・・そりゃそうでしょ。誰だって・・・・・」

 「僕はそうは思わない」

 「・・・・・・・え?」

 その瞬間、頭の中で何か黒ずんだものを感じた。

 「自由だったら僕は僕でいられない。重力に縛られてこそ、僕はこの世に存在しているという意義を確認できる」

 何言ってるんだ・・・?この子・・・・・?

 「だってさっき、命令は嫌だって・・・」

 「違う。命令されている時、それは僕が僕でいられる唯一の証。それが心地いい。キラキラでも遊べる」

 「それじゃ・・・ダメでしょ・・・。人なんだからいつかは飛び立って・・・・・」

 「僕は人間じゃない」

 「は・・・・・?」

 「心臓」

 何この子・・・。

 心に今まで感じたことのないどず黒いものが流れ込んでくる。気持ちが悪い。

 

 いや、違う。最近感じたんだ。

 あの・・・銃の奴に会った時。

 

 「僕と君とは、同じじゃない」

 

 「っ!!!!!」

 なだれ込んでくる黒い感情に耐えきれなくなって、私はその場を逃げるように走り去った。

 

 

 

 「さあいよいよアイドルナンバーワンバトル最終戦で有ります!!種目は最もアイドルらしい活動、ライブステージ!!!泣いても笑ってもこれが最後!!真のレジェンドアイドルの座を手に入れるのはどちらか!!?」

 目のまえにはいろんな色のビームが飛び交うステージ。そこにシュウジの奴とノーワンはいた。私たち審査員は観客席に座らされていた。

 「とうとう最終ラウンドだね♪負けないよ♡」

 「僕も負けない」

 シュウジの奴はいつの間にか、いかにもアイドルと言った白いコートを着せられてステージに立っていた。

 ・・・顔がいいから結構似合うな。

 「おっとっと」

 でも完全に衣装に着られてる・・・。

 「こんな所でアイドルノーワン様のステージを見られるなんて感激~!!!」

 「もーどっちも負けりゃいいんだよ」

 感激に打ち震えるケーキ女、もうどうなってもいいやと言った感じでやる気が全然ないナイフ男。

 そして横には、真剣な眼差しでシュウジを見つめるブーケ女。

 

 「それでは!!最終ラウンド!!スタートであります!!!まずはアイドルノーワンから!!!」

 

 「僕のダンスと歌に酔いしれちゃって!!」

 

 トビダシテイケウチュウノカナタ メノマエヲブチヌクプラズマ

 

 ノリノリの音楽が流れて、それに合わせてノーワンは歌いダンスを踊る。

 「イヤァーーー!!!もう無理~~~!!!!!」

 「ハニー!倒れないでー!!痛い!!!」

 ケーキ女が感激に耐えられず卒倒した。勿論くっついてるナイフ男も一緒に倒れる。不憫だ・・・・・。

 そんなこんなしてるうちに歌が終わった。ノーワンは若干はぁはぁと息を切らしてる。

 「アイドルの秘訣はキープスマイリング!!どれだけ疲れてても、ファンの子猫ちゃん達のため、スマイル無料でとどけるよ!!みんな!!!ありがとう!!!!!」

 めっちゃ星みたいなのがこっち飛んでくる・・・。うっとおしい・・・・・。

 「イヤァ~ン。幸せぇ~」

 「ハニー!起きてくれー!!起きろったらおい!!!」

 横で夫婦が揉めてるけどもう無視しよ無視。

 

 「お次はシュウジ少年!それではどうぞ!!」

 「うん」

 

 トビダシテイケウチュウノカナタ メノマエヲブチヌクプラズマ

 

 歌も棒で、ダンスもたどたどしい。アイドルノーワンと比べるまでもない。

 

 でも・・・何だろこの気持ち・・・・・。

 ダメダメだけど、応援したくなる愛らしさ・・・・・。

 

 「・・・・・頑張れ」

 「え?」

 「頑張れっ!頑張れシュウジ!!」

 「っ!頑張れー!!シュウジさーん!!」

 私が応援し始めたのと同じく、横のブーケ女も応援し始めた。

 いつの間にか持っていたペンライトとうちわを振って応援する。

 シュウジが踊れば踊るほど、目の前が輝いていっている。

 

 

 二人とも、ありがとう

 

 !!

 

 二人の応援があるから、頑張れる

 

 僕、絶対勝つからね

 

 

 頭の中にシュウジの声が響いた瞬間、テンションは最高潮に達した。

 

 「「シュウちゃーーーーーん!!!!!」」

 

 大声を張り裂けて、ペンとうちわを腕がちぎれるくらい振る。

 

 流れ出る汗すら気持ちいい。

 

 目の前がどんどん輝いていく。

 

 これは・・・キラキラ・・・・・?

 

 違う・・・・・。

 

 「キラッキランランだ!!!!!」

 

 これ以上ないくらいの輝き。

 

 今、シュウちゃん、何よりも輝いてる!!!!!

 

 

 「さあ最終ラウンドも終了です!!それでは最後の採点をどうぞ!!!」

 私があげるのは勿論!!

 ニャアン:シュウちゃん

 ブーケ:シュウちゃん

 ナイフ:シュウジ・イトウ

 ケーク:シュウジ・イトウ

 

 「なっ、なっ、何ィィィィィィィィィィ!!!???」

 「くっ、アイドルノーワン様一筋だったのに・・・あの少年からダイヤの原石の輝きを感じたわ・・・・・」

 「アイドルノーワンよりかはマシか・・・」

 「アイドルノーワン合計9票!シュウジ少年合計11票!!よってこの勝負!シュウジ少年の勝ち!!!」

 「やったね!!シュウちゃん!!!」

 「うん」

 「ばっ、バカなぁぁぁぁぁぁぁぁ!!!!!!」

 アイドルノーワンは膝から崩れ落ちた。もうメッキは完全に剝がれてる。

 そしてその瞬間、アイドルスペースは無くなり元の広場に戻ってきていた。いつの間にか幹部共もいない。

 

 「アイドルノーワン!!あんたは負けて当然だ!!!」

 「何だと!!?」

 「あんたの輝きは自分だけを照らすもの!!単なる自己満足!!でもシュウちゃんは不器用だけど私たちにキラッキランランを届けてくれた!!!ハートが伝わってきたんだよ!!!!!」

 「うるせぇ!!!アイドルの苦労も知らずによぉ!!!!!」

 「とうとう本性を現したな!!一緒に行こう!!!シュウちゃん!!!!!」

 「うん」

 「「エンゲージ!!!」」

 

 【ゴジュウユニコーン!!】

 【ゴジュウレオン!!】

 

 「こうなりゃ実力行使だ!!てめえらぶっ飛ばして週刊誌にスキャンダル持ち込んでやるよぉ!!!」

 

 【いざ掴め!!ナンバーワン!!!!!】

 

 「輝くライトを背に浴びて、アイ活励むよアイドルノーワン!!満たすは自分の承認欲求!!!」

 

 「心の中の調べに従う。そしたら目のまえキラッキランラン!!推し活捗るゴジュウユニコーン!!!私いま、こころキュンキュンしてる!!!」

 

 NO.1 BATTLE!!

 READY GO!!!

 

 




キミプリではこころちゃんが好きです(半ギレ)
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