もしもジークアクスがナンバーワン戦隊ゴジュウジャーみたいなノリだったら   作:岩ノ森

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みんな大好きシイコさん登場。もちろん私も大好きです。


マジ強(つよ)魔女はお母さん!①

 ・前回のあらすじ

 マチュ「私と同じキラキラの見える変な男シュウジ、それとバイトのニャアンも指輪の戦士だった。そいつらと一緒にお金持ちナンバーワンとか言ってたノーワン怪人も倒して一件落着・・・と思ったら次の事件に巻き込まれそう!」

 

 

 

 「んー・・・・・」

 私は学校で唸っていた。原因はこの目の前にある進路希望調査表。もう何分睨めっこしたか分からない。

 

 『願いもない癖に・・・。そんな奴に、指輪を持つ資格はない!!!』

 

 会長の言葉が脳裏によぎる。

 

 「ねえ見てこれ」

 「んー?」

 クラスメイトがスマホのゲームの画像を見せてきた。

 「ガチャップで大当たり」

 「何それ?」

 「カジノ。オンラインのね」

 「え、すごい!500ハイト超えてるじゃん!」

 「えー見せて!見せて!」

 興味を持った他のクラスメイト達も続々と集まってくる。

 「でも18歳以下は禁止じゃなかった?」

 「親のアカよ、バレなきゃ平気」

 「めっちゃ大金持ち!」

 「放課後、ワンダラでパーッと奢っちゃうかー?」

 「いいねいいねー!」

 全くどいつもこいつも。

 この間のノーワンと言いシュウジと言いそんなにお金が欲しいのか。

 

 

 

 「15万ハイトってそんな大金何に使うの?」

 「お腹減った・・・」

 「何か欲しいものでもあるの?」

 シュウジのアジトでたむろっている私とニャアン。腹の虫と格闘しているシュウジに変わって、コンチがプリントアウトしてくれた。

 「中古のスペースグライダー・・・地球に行きたい?」

 (地球・・・・・)

 そのカタログに私は目を惹かれた。本物の重力、本物の空、本物の海・・・。

 「シャトル便なら1000ハイトあれば行けるよ?」

 「・・・行きたいと、ガンダムが言っている」

 「ガンダムと行きたい?」

 ガンダム、シュウジの持っている赤いモビルスーツだ。

 普通に考えてモビルスーツが喋るわけがない。つまり本当に行きたがってるのはシュウジ。

 私と一緒にキラキラが見れるシュウジが・・・。

 

 いやでも、テガソードなんてものがいるし、モビルスーツも喋るのか?

 「そもそもテガソードに連れて行ってもらえばよくない?」

 「ダメだって、言われた・・・」

 「自分の願いは自分で叶えろってことかな・・・?」

 「ふーん、ケチ」

 地球・・・地球か・・・・・。

 

 「・・・私も行きたい」

 「え?」

 「地球行きたい!絶対行きたい!」

 

 

 

 地球に行くためにはお金が必要だ。でも学生の身で、15万ハイトなんてどうやって稼げばいいんだろう。

 手っ取り早いのはクラバ?いやでもあの汚いおばさんの手を借りるのは・・・・・。

 「ん?」

 お母さんがドンドンと大きな足音を立てて、帰ってきた。

 「お帰り、早かったね」

 テレビをブツンと消す。あれ?もしかして怒ってる?

 「聞いたわよ、バレないとでも思ったの?」

 私は一瞬ビクッとする。まさか、テガソードとの契約がバレた!?

 「な、なに?」

 「進路希望、クラゲって書いたそうね」

 何だそっちか。内心ホッとして、一方でちょっとムカつきが出る。

 「好きに決めていいって言ってたじゃん・・・」

 「真面目に考えて、アマテの将来でしょ?」

 お母さんは声を荒げる。そんな怒るなら放任やめればいいじゃん。

 

 『金の重さは人生の重さ!そいつの人生の価値であーる!!』

 『この世界全部のことにお金がいる・・・。恵まれた暮らししてる奴らには分からないよ・・・・・』

 

 「・・・ごめん」

 「え?」

 「ちょっとふざけた・・・。これからは真面目に考える・・・・・」

 「・・・まあ、分かればいいのよ」

 お母さんは聞き分けが良くて拍子抜けした、と言うように去って行った。

 別にいい子になったわけじゃない。

 ただ、学費と塾代を払ってくれてるのに申し訳ないという気持ちが少し湧いただけだ。

 

 ひと悶着あった後、私は自分のベッドに寝っ転がる。

 「・・・お母さんって普通だな」

 思わずボソッと呟いた。そう、良くも悪くも私の家族は普通。

 でも、もう私は普通じゃない。

 だって私は、ヒーローになったから。

 

 

 

 「シュウジってさ、地球に行って何がしたんだろうね」

 放課後、橋の上でニャアンと話す。水面のキラキラが綺麗だ。

 「ガンダムが行きたいって言ってるんじゃないの?」

 「モビルスーツもテガソードみたいに話すのかな?」

 「さあ・・・?テガソードがモビルスーツなのかどうかも分かんないし」

 なし崩し的に契約して戦いに巻き込まれたけど、そういえば私たちはテガソードのことも、あのブライダンとかいう奴らのことも何も分からない。

 そして、シュウジのことも・・・。

 「ニャアンは地球行きたい?」

 「んー・・・」

 「地球行ったら海で泳ぐとかどう?」

 「冷たいのかな?」

 「さあ?しょっぱいとは聞くけどね」

 この間の戦いで、少しずつ友情を感じ始めた。こいつ、悪い奴じゃなさそうだし。

 

 「ん・・・?」

 妙な感覚を覚えて鼻を鳴らす。

 「フンフン、フンフン」

 「な、な、何・・・?」

 思わずニャアンの体を嗅いでしまう。ニャアンの体から妙にいい匂いが・・・。

 「何か・・・いい匂いする」

 「あ、ああ。この間シャンプー変えたから・・・」

 そのせいか。いやでも、こんなに匂いを敏感に感じるなんて変だ。

 「・・・テガソードと契約すると、何か一つ能力を貰えるみたい」

 「能力?」

 私の疑問を察知したように、ニャアンが説明する。

 「うん、多分マチュの場合は嗅覚強化・・・」

 それでか。最近妙に鼻が利くと思ったら。

 獣臭さを感じて臭いを辿って行ったら捨て犬を見つけたり、クラスメイトの落としたハンカチの場所が匂いで分かったり、そんなことが続いて変だと思ってた。

 いや、ていうか・・・。

 「地味じゃない?それ?」

 「え?」

 「もうちょっとチートじみた能力欲しかったなぁ。氷雪系とか時間停止とか」

 「私に言われても・・・」

 そういえばこの間ノーワンが現れた時にも嫌な感じの臭いがした。あれ、ノーワンの臭いだったのか。

 

 「ニャアンはどんな能力なわけ?」

 「・・・触ってる人の考えが分かる」

 「え、マジ?すご。ってことは私の考えも・・・?」

 「いや、指輪を持ってる人同士じゃ効かない・・・」

 「えー、でもいいなー。超能力らしくて」

 「・・・・・・・・・・・・・・・・・」

 

 

 

 「もっと仕事くれ?」

 バイトの仲介役のマーコにダメもとで聞いてみる。こいつは不機嫌そうな怪訝そうな顔をしている。

 「赤いガンダム、懸賞金がかけられている」

 内心の驚きを表情に出さないようにする。このくらいの処世術は覚えた。

 「クラバの客から何か聞いたら教えろ」

 あの腹ペコシュウジのこと。でも教えて何になる。

 どうせ教えてもかっさらわれるだけで、大したお金はくれない。

 それに、お金が欲しいのはあの腹ペコが関わってるのだから、教えたら本末転倒だ。

 

 私はわざと躓いたふりをしてマーコの腕に指を触れる。

 

 『こんな子供にまでこんな仕事させてよ、ジオンも連邦もクソくらえだ』

 

 「!!」

 「・・・大丈夫か?」

 「ああ、いや。うん・・・」

 予想だにしない思考が入ってきてビックリした。

 「じゃあ、行くからな」

 「・・・ちょっと待って」

 「あん?」

 「・・・・・ありがと」

 「・・・フン」

 マーコはそのまま車を走らせて、どこかへ行ってしまった。

 

 ・・・これくらいで絆されるつもりなんてない。

 

 

 

 地球行くのにはお金がいる。

 やっぱりあのアンキーの手を借りるしかないのか・・・。

 私はため息をつきながらあいつらがたむろしているカネバン事務所を目指していた。

 「あっ・・・あっ・・・・・」

 「ん?」

 女の人があのポメラニアンに絡まれている。犬は飼い主に似るって言うけど、どうやらあのガラ悪ジェジーに似たらしい。

 「キャンキャンッ」

 「うーっ、ワンッ!」

 「キャウンッ・・・」

 犬の鳴きまねをしたら怯え切った。バカ犬め。

 「何すんだテメェ!」

 「何かお困りですか?」

 ジェジーのクダを無視してお姉さんの方に向き直る。柔らかそうな感じの優しそうなお姉さんだ。

 「入口が分からなくて・・・カネバンって事務所なんですけど・・・・・」

 「そこ、ジャンク屋ですよ・・・?」

 「そう、ジャンク屋さん。ご存知?」

 

 

 「えーっと・・・この子はバイト、ね?」

 「あっ、はい」

 アンキーの調子に合わせる。どんな関係だって聞かれても答えられるモノじゃないからだ。

 「おいっ。何でこんなとこ来たんだっ?」

 「色々こっちにもあんのっ。しょうがないじゃんっ」

 ナブの文句に小声で応対。まさかお金が欲しくてクラバの相談に来た、なんて言えないし。

 「こんなかわいいバイトさんがいるなんて意外ね」

 「ああ、どうも・・・この人は?」

 男どもに小声で聞くけど全員首を横に振る。

 「彼女はシイコ。連邦の撃墜王、一年戦争では魔女って呼ばれてた」

 「魔女・・・撃墜王・・・・・」

 「ひ、100キル超えした元連邦軍のスーパーユニカム!?」

 「うふふ」

 こんな優しそうな人が撃墜王・・・。全然見えない・・・・・。

 「今は“スガイ”だっけ?結婚して子供もできたって聞いたけど?」

 「やっと少し手が離せるようになったの」

 「・・・何しに来た?」

 シイコさんは微笑んだまま黙り込む。何か・・・不穏な雰囲気・・・・・。

 「ガンダムか?」

 「・・・まさか今になってまた現れるなんてね」

 ガンダム・・・シュウジ?

 「私は、決着をつけに来た」

 「シイコ・・・あんた・・・・・」

 「戦争に負けても、私は負けてない」

 

 「・・・何で?」

 「ん?」

 「お子さんも、帰る場所もあるのに・・・」

 「おい」

 「いいのよ、アンキー」

 踏み込んじゃダメな問題。でも、口が勝手に動く。

 「今の生活に不満はないわ」

 「だったら・・・」

 「でもね、何かを手に入れるのに何かを諦めなきゃなんて、そんなの理不尽じゃない?」

 「・・・・・・・・・」

 「望むもの全てを手に入れることが出来たら、どんなに幸せか」

 この人、お母さんのはずなのに。

 うちのお母さんとは、全然違う・・・。

 「ニュータイプとか言う選ばれた人たちなら、それができるのかしら?」

 冷たいものを脳裏に感じた。

 氷よりも冷たい何かが、この人の中で渦巻いている。

 

 

 

 「はー、全く・・・。半年前女房に逃げられてから、仕事に二人の子供の育児に大変だよ~」

 昼下がりのビル街、疲れかけのシングルファザーが一人愚痴を言っていた。

 「でも頑張らないと。帰ったら掃除に洗濯に・・・」

 

 楽に家事をしたいか・・・・・?

 

 「えっ、誰・・・?」

 トイレの丸い鏡の中から、ノーワンワールドに繋がる異空間が発生した。

 「うわあああああああああっ!!」

 

 

 〈家事〉

 〈シングルファザー〉

 〈育児〉

 〈人間〉

 〈ナンバー1〉

 

 『生成(ジェネレイティブ)!!』

 

 「我こそはノーワンワールド、家事ナンバーワン!男が家事しないなんて時代はもう終わり!!これからは家事くらいできなきゃ生きる価値なーし!!」

 シングルファザーの男の願いから、カジキマグロのようなノーワン怪人『家事ノーワン』が生成された。

 

 

 

 この人にシュウジが見つかったら・・・。

 そう思った時だった。

 「!!」

 「? どうしたの?」

 この嫌な臭い、ノーワンの臭いだ!!

 「ごめんなさい!今日は帰る!!」

 「あ、おい!」

 静止も聞かず、私は事務所を飛び出した。

 

 

 「・・・・・・・・・・」

 シイコは飛び出したマチュの後ろ姿を、微笑んだまま見つめていた。

 

 

 「家事を手伝えー!割烹着バインド!!」

 「うわっ!」「きゃああああっ!!」

 家事ノーワンは民衆に強制的に割烹着を着せ、無理やり掃除や洗濯の家事をさせていた。

 「やめろノーワン!」

 「むっ?」

 思った通り、臭いの先にノーワンがいた。

 「マチュ」

 「シュウジ、来たんだ!行くよ!」

 「うん」

 「「エンゲージ!」」

 

 【ゴジュウウルフ!】【ゴジュウレオン!】

 

 私たちは変身して、ノーワンとアーイー達に立ち向かう。

 

 

 「・・・・・・・・・・」

 変身して戦うマチュとシュウジ。

 そんな二人の様子を、ニャアンは指輪を握りしめ見つめるだけだった。

 

 

 アーイーを蹴散らす私たち、こいつらは数だけでそんなに強くない。

 やっぱり倒すのはノーワン!

 「ええい!埒が明かない!喰らえ割烹着バインド!」

 「おっと!」

 ノーワンが割烹着を飛ばしてきた。あれに触れると相手の意のままに動くみたい。

 「なら近づかずに!・・・ってあれは!?」

 近づいてくる人影が見える。あれって・・・。

 「シイコさん!?」

 さっきまで話していたシイコ・スガイさんその人だった。

 「シイコさん!ここは危ない!」

 「あなた、さっきのバイトさんね」

 「え・・・?」

 「赤いテガソードのパイロットね。って言うことは、そっちの青い子が赤いガンダムのパイロットかしら?」

 シイコさんは懐から何かを取り出す。

 あれって・・・指輪!?

 「嬉しいわ。私の願い、今日叶っちゃうなんて」

 

 【センタイリング!】

 

 軽快な音楽が鳴りだし、シイコさんは銀のテガソードを装着し手を叩く。

 「エンゲージ」

 

 【マジレンジャー!】

 

 シイコさんが変身したのは、赤いローブをつけた真っ赤な魔法使いのような戦士。

 「燃える炎のエレメント。赤の魔法使い、マジレッド」

 マジレッドと呼ばれる戦士に変身したシイコさんは、アーイー達に向かっていく。

 「マジスティックソード」

 シイコさんは炎を纏った剣でアーイー達を斬り裂いていく。

 「リンリン!」

 後ろからアーイーが迫る。危ないと思った瞬間。

 「ジルマ・マジーロ」

 呪文みたいなのを唱えた瞬間、コンクリートから鎖が出て来てアーイー達を拘束した。

 「ふふっ、マジ・マジカ」

 またも呪文を唱えると、シイコさんマジレッドが赤い炎に包まれる。

 「レッドファイヤー」

 そのまま火の鳥みたいになって突っ込んで、アーイー達をまとめて倒した。

 「すごい・・・。マジで魔女だったんだ・・・・・」

 あれ比喩じゃなかったのか。

 

 「ふふっ」

 「?」

 「せいっ」

 「!」

 「シュウジ!!」

 アーイー達をあらかた倒したシイコさんは、今度はシュウジに向かってきた。

 炎の剣でシュウジを翻弄する。

 「くっ!」

 「あら」

 私はテガソードを使ってシュウジを庇う。

 「あらあら、その子もしかして、バイトさんの恋人だったかしら?」

 「・・・何でっ、シイコさんっ」

 いや、理由は分かってる・・・。

 「さっきも言ったでしょ?赤いガンダムは私が倒す。テガソードとの契約の願いはそれだから」

 「そんな・・・・・」

 こんな優しそうな人が・・・。待ってる家族もいるのに・・・・・。

 「どいてくれるバイトさん?私の標的は、赤いガンダムただ一つ」

 シイコさんは剣を構える。顔に似合わないすごい殺気が放たれる。

 私はシュウジを守るように体を構えた。

 「マチュ・・・」

 「待て待て貴様ら!私を無視するな!!」

 忘れてた。ノーワンもいたんだ。

 「我こそはノーワンワールド、家事ナンバーワン!男も女も超えて、私こそ家庭の頂点に立つ!そして女王様に認めていただく!!」

 カジキマグロがエプロンみたいなものを着ている家事ノーワン。今はそんなことしてる暇ないってのに!

 「ここは平和的に、家事ナンバーワンバトルで勝負だ!」

 「家事ナンバーワンバトルって・・・そんなこと」

 「いいわ、受けましょう」

 「シイコさん!?」

 意外とノリノリ!?この魔女!?

 「私も家事を生業とする母親、それに赤いガンダムを倒すのに邪魔者が多すぎるみたいだしね」

 仮面の下でフフっと笑う。一体どんな顔をしているのか・・・。

 「決まりだな。ならば家事ナンバーワンバトル、スタートだ!!」

 

 また変な対決に巻き込まれるのか・・・。

 

 ええい、こうなったら受けて立ってやる!!

 

 

 KAJI NO.1 BATTLE!!

 FIGHT!!

 

 




ゴジュウジャーになって怪人を倒す過程で、マチュの思考が若干柔らかくなってます。
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