お待たせしました!パヴァーヌ編、スタートです!
あとこの前もお話しましたが、今回から地の文を一人称視点で書いています。
もしかしたら違和感を感じるかもしれませんが、ご容赦くださいませm(_ _)m
P編 第1話 その日、僕は勇者に出会った
僕がミレニアムに遊びに行くようになって2ヶ月。ミレニアムに一人で向かうことにもすっかり慣れてしまった。
最寄り駅。僕の家から歩いて大体15分くらい。最初の方は少し遠いなって思いながら駅に向かってたけど、お姉ちゃんのところに通い始めてからそうでもなくなった。
最近気温が高いせいか、すれ違う人々は汗をぬぐいながら歩いていたり、「暑い暑い…」と独り言をつぶやきながら歩いてくる。
僕も同じ気持ちだ。暑くて服が汗でぬれ始めている。ゲーム開発部の部室に着くまでに少しでも乾くといいなと思ってしまうほどだ。
でもいつもなら少し不快になるような汗も、今回に限ってはそこまで気にならなかった。
…いや、気にならないは嘘だね。汗の臭いが気になるかも……
でも部室にファブが置いてあったはずだから大丈夫か。まあそこは置いといて。
いつもは不快になるようなものが今回は気にならない。それくらい僕は上機嫌だということ。
何でそんなに上機嫌なのかって?それはとても簡単な話で…
僕が
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連邦生徒会長の失踪…
およそ1カ月前に流れてきたそのニュースはキヴォトス全体を混乱に陥れるものだった。
キヴォトスの一番偉い人が急にいなくなりましたって話だからビックリするのは当たり前だよね……僕もビックリして椅子から転げ落ちそうになったもん。
で、キヴォトスが大混乱になったおかげで色々な出来事が起こったんだけど、特にヤバかったのは治安の悪化だった。
まあ、ただでさえ治安が悪いキヴォオスに、そのトップがいなくなりましたってなったら至る所の不良が暴れだすのも当然っちゃ当然ってわけで…
おかげさまで今まで家に居たら銃撃音は1時間に1回くらいしか聞こえなかったものが、治安が悪化してから1時間に10回くらい聞こえるようになっちゃって、とても外出できるような状況じゃなくなったんだ…
当然そんな状況下でゲーム開発部の部室なんて行けるわけないし、ましてやモモイお姉ちゃんからモモトークで「最近外が危ないからしばらく遊びに来るの禁止!」という禁止令まで食らっちゃった。
だから1カ月間、僕はゲーム開発部に遊びに行けなかったってわけ。
そして1カ月後の今、治安がある程度回復したからこうしてまた遊びに行けるようになったんだけど、どうしてこの短期間で治安が回復したのか気になるところではあるよね。
治安が元に戻ったとは言ったけど、実は連邦生徒会長の失踪事件は何も解決していなくて、結局どこに行ってしまったのか分からないままだった。
今は代理の人が会長の役割を担ってるぽいんだけど、テレビに映っている会長代理の人が明らかに疲労困憊状態だったのが心配で…休めてるのかな……?
じゃあなんで会長は失踪したままなのに治安が回復したのか、それは「シャーレ」と呼ばれる新しい組織?の顧問として着任した「先生」と呼ばれる人が現れたからだった。
僕にはシャーレというのがどういう組織なのかよくわからなかったし、先生がどういう人なのかも全然わからない。
でもその先生が来てからみるみるうちに治安が回復。あのうるさかった銃撃音もすっかり静かになって穏やかな生活が戻ったってわけ。
…………本当、シャーレの先生って何者なんだろう?あの治安を瞬く間に回復させる力、化物かな…?
こうして治安が回復してから数週間は様子を見て、本当に大丈夫そうだったからモモイお姉ちゃんに許可をまたもらって、こうして遊びに行けるようになった。
シャーレの先生様様だね。
……よし、駅に着いた。ちょうどミレニアム行の電車も来たし乗ろうかな。
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僕がミレニアムに通い始めてから色々あった。連邦生徒会長が失踪する前は大体1週間に2~3回くらいの頻度で遊びに行ってたんだ。
モモイお姉ちゃんとミドリお姉ちゃんは基本的にセットで部室にいるし、ユズさんも部室にいることがほとんどだったから四人でパーティゲームすることが多かったかな。
…大体ユズさんが1位でモモイお姉ちゃんが最下位みたいな結果が多かったけど。
もちろん誰かと二人だけで遊ぶという状況もそれなりに多かった。
モモイお姉ちゃんと二人で遊ぶときは大体「スマシス」で遊んでたかな。
「アオト、今日こそリベンジだ!」って挑まれては全部返り討ちにした。そのたびに燃えカスになったりドロドロに溶けたりして大変だったけど楽しかったな……
前は燃えカスになったら死んじゃうって思ってたけど、人間の体って不思議だね。
ちなみにモモイお姉ちゃんをボコボコに出来た理由だけど、ユズさんの指導のおかげだと思ってる。
ビックリしたんだけどユズさんってあの伝説のゲーマーである「UZQueen」だったんだよ!
知ったときは本当に驚いてデカい声だしちゃったもん。その声でユズさん驚いちゃって申し訳なかったけど…
で、ユズさんと二人で遊ぶときは対戦ゲームで対戦したり色々と指導してもらったりすることが多かった。おかげで「スマシス」もどんどん上達していってミドリお姉ちゃんにも後れを取らないようになっていったんだ。
そのミドリお姉ちゃんと二人で遊ぶときは僕が「スマシスで勝負だ!」って挑むこともあれば、僕が遊びたかった協力型ゲームで一緒に遊ぶことも多い。
ユズさんの指導の賜物か、一時期ミドリお姉ちゃんに「スマシス」で勝ち越すことが増えていったんだ。
でもミドリお姉ちゃんもユズさんに指導してもらい始めたのか、急に強くなってまた負けることが多くなっていった。僕も負けじともっと練習とユズさんの指導を繰り返して、今では勝率4割くらいの成績になっている。もっと頑張ってミドリお姉ちゃんに置いて行かれないようにしないと…
……え?モモイお姉ちゃん…?モモイお姉ちゃんは僕が置いてきた。ゲームに対する愛は凄いけどハッキリ言ってこの闘いにはついていけない……
……そういえば、僕が遊びに行くといつもお姉ちゃんたちはゲームをしてたけど、ゲーム開発の方は大丈夫なのかな…?
僕が遊びに行くとき以外はゲーム作りをしていたのかなと思ってたけど話を聞く限りそうでもなさそうだし…ちょっと心配。
なんかこの前、廃部の危機がが何とかって言ってたような気がしたけど……
〈まもなく、ミレニアムサイエンススクール前、ミレニアムサイエンススクール前、ホームは右側です。〉
………お、着いたみたいだ。周りの乗客も降りる準備をしているのか、少し落ち着きのない様子を見せている。ここはミレニアム地区でも大きい駅なので、利用客もかなり多い。
…よし、僕も降りよう。
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「~ッ!あー!着いたー!」
電車を降り、駅の出口をくぐり抜けて僕は一度伸びをした。やっぱり電車に揺られた後は体を伸ばしたくなっちゃうよね…
「……なんか久しぶりに感じるなあ…実際久しぶりなんだけどさ…」
やっぱり1カ月も間が空いたら久しぶり感が強くなっちゃうよね。でもこの久しぶり感が僕の心をワクワクさせているんだけど。
「とにかく、部室に行こうかな。相変わらず変な注目を集めそうだし…」
こうして僕はゲーム開発部の部室へと歩き始めた。この学校の生徒が僕とすれ違うたびに、物珍しそうな顔でこっちを見てくる。正直、もう何回も見られているせいか慣れてしまったんだけど…
部室までそれなりに距離があるから、視線を気にせず少し急ごう。
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たくさんの物珍しい視線をかいくぐって、ついに部室の前に着いた。モモイお姉ちゃんにはもう連絡済みだし、そろそろ来るって分かっているはず。
部室の前でずっと立っているのも不審者に見られるだろうし、入らせてもらおうかな。
コンコン・・・
「モモイお姉ちゃん、ミドリお姉ちゃん、来たよ~」
ドアをノックして中にいるであろうお姉ちゃんに声をかける。
しかし、返事が返ってこない。
「…?いないのかな…?」
いないのなら少し困った。ユズさんに開けてもらおうかと思ったけど、人見知りなところのあるユズさんに開けてもらうのもちょっと悪いし……
「お姉ちゃーん?いないのー?」
コンコン…とドアを再びノックして声をかける僕。すると…
トテトテ・・・
足音が聞こえてきた。その足音がどんどんこっちに近づいてくる。お姉ちゃんだったら必ず返事するからユズさんかな?
……ちょっと無理させちゃったかな…
足音が止まり、ドアノブが動く。ユズさんが出てくると思っていた僕は、ドアが開かれ現れた人物を見た瞬間…
「────」
言葉を失った。
最初に目に映ったのは青い瞳だった。青色の中でも少し薄めであり、水色に近い色で僕の瞳の色と似ているように思える。
顔はとても可愛く、肌もとても白く綺麗で、まるでおとぎ話に出てくるヒロインのような、それでいてお人形さんのような可愛さであった。
着ているのはジャージだろうか。ミレニアムのロゴが描かれているのでミレニアムの生徒なのだろうと推測できる。
その下はワイシャツに青いネクタイを付けていて、スカートを履いている。
身長は間違いなくお姉ちゃんよりも高い。僕の身長は140㎝に届いていないので、自然と視線は上に向く。多分150㎝は超えているんじゃないかな。
そしてなによりも長い髪。視線が上に向いているから確かではないけど、髪は地面にまで伸びているのではないかと思う。
そんな100人見れば100人が美少女と答えるような存在が、僕の目の前に立っていた。
そんな美少女は僕の顔をみるに頭に「?」を浮かべるような顔をしていた。
対する僕も急に知らない美少女が部室から出てきた衝撃と困惑で身動きできずにいる。
「「………………」」
カチッカチッと時計の秒針が動く音が聞こえてくる。互いが互いを見つめ合う状況。初めてユズさんと出会った時のような状況がかれこれ数十秒続く。
そろそろ動かないと。そう思い始めてきた瞬間、先に動き始めたのは美少女だった。
「…!ぱんぱかぱーん!アリスは新たな仲間と遭遇しました!」
「……ぱん、ぱか…?」
拝啓、数十分前の僕へ────
久方ぶりの来訪。ワクワクした心を胸にあなたは部室へ訪れたでしょう。そこで僕を迎えてくれたのはモモイお姉ちゃんでもミドリお姉ちゃんでもユズさんでもなく…
────エンカウント演出を発する謎の美少女でした。
今回な地の文が多かったですかね…?
次回はもうちょっと会話文を多めにする予定です。