こんにちは、Kyobです!
ちょっとこのパヴァーヌ編なんですけど、話数が結構多くなりそうな気がしていまして。なのでこれから先の事を考えると部分けした方がいいかなと…
いわゆる「パヴァーヌ編 第1部」「パヴァーヌ編 第2部」みたいな感じですね。こうした方がごちゃっとならないような気がすると個人的には思うんですよ。
なのでちょっと部分けをしてみようと思います!章分けだと原作とごっちゃになるので部分けですね。今は第1部として続けて、あと少しで第2部という流れにしていきます!
そしてタイトルは、「第1部 巡り巡る『G.bible』」でいかがでしょうか?まあ、そこまで深いタイトルにするつもりはありません…
そしてこの物語は、第2部からが本番です。別に第1部が前座というつもりではないのですが私が考えてるストーリー上、本格的に動くのは第2部からなんです…
Prologueを見てくださった方は、何となくどういう物語で行くかの察しが付いてる人もいるでしょうが…
まあ、その辺も全て第2部が始まってからのお楽しみということで。
第1部はあと少しで終了します。なので第2部まではもうしばらくお待ちくださいm(_ _)m
『鏡』を巡ったセミナー・C&Cとの戦いから一夜明けた今日、僕はゲーム開発部の部室を訪れていた。
目的はただ一つ、ゲーム開発部の目的だった『G.Bible』、その中身を見るためだ。
遡ること1日前…
『G.Bible』を解析するために必要な『鏡』というツールを手に入れるため、ゲーム開発部はセミナーとC&Cとの戦いに身を投じた。
こちら側もエンジニア部とヴェリタスに協力を依頼。綿密に立てられた作戦のもとに行われた、たった一夜の総力戦。その戦いはまさに苛烈を極めていた。
システムのハッキングによってビルの内部へ侵入し、迫る危機を凌ぎながら奥へ奥へと進んでいく。
結果としては、無事に『鏡』を入手することに成功。セミナーとの総力戦は、ゲーム開発部の勝利に終わった。何か一つでも歯車が狂えば、この勝利はつかめなかったものだろうとモモイお姉ちゃんは語る。
ちなみにどうやらモモイお姉ちゃんたちが差押保管所に着いたとき、この戦い最大のピンチが訪れていたそうだ。それはあのC&Cコールサイン『ダブルオー』、ミレニアムにて最強戦力と謳われる『美甘ネル』が援軍として差押保管所を訪れてしまったらしい。
いくら数的有利があるとはいえ、実力差に天と地ほどの差があるネルさんを相手にするのは無謀そのもの。雑魚キャラのショ〇カーが群れを成して仮面〇イダーに立ち向かっても勝てないのと同じだ。
そして差押保管所は密室。コソコソと物陰に隠れて難をやり過ごそうとするもそれは非常に難しく、まさに袋のネズミ状態のゲーム開発部であった。しかしここで一人の救世主が現れる。
その救世主こそ、我らがゲーム開発部の部長、ユズさんだ。
ユズさんは絶望的な状況に陥ったゲーム開発部を救うため、勇気を振り絞りネルさんの前に姿を現した。そして偽の情報をネルさんに伝えることで差押保管所から離れさせることに成功。ユズさんの機転によってゲーム開発部は最大の危機を乗り越えることが出来たのだ。
普段から大人しい性格をしているユズさんであったが、その身には臆せず立ち向かう根性があった。その話を聞いたとき、僕は少しユズさんを見る目が変わったような気がする。
なんというか、カッコいいって思った。
ネルさんを退けた後、そそくさと差押保管所から撤収したゲーム開発部は回収した『鏡』をヴェリタスに預け、戦いに染まった長い一日が終わった。僕も夜が遅いということでお姉ちゃんたちの部屋に泊まらせてもらい、こうしてゲーム開発部の部室に午前中から顔を出せているのである。
そして僕たちは今、現在解析中のマキさんを待ちながら部室待機をしていた。
大きな戦いを勝利で終われた達成感、念願の『G.Bible』の中身を見ることが出来るワクワク感、ゲーム開発部存続の可能性が高まったことによる喜び。ありとあらゆる陽の感情で満たされているこの部室で僕は……
「いやぁ、凄かったねアオトォ…『
「うぐっ…うぅぅ…」
モモイお姉ちゃんにあの時のことをいじられていた。
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「なになにぃ?そんなに恥ずかしがらなくても良いんだよぉ?カッコよかったなあ、あのキザなセリフゥ…」
「や…やめて……モモイお姉ちゃん……」
あの時のこと。それは僕が『F-22』を操縦して援軍に来た時のこと。
ウタハさんから授かった六分の一スケール『F-22』。僕はこの大きな翼を携え、ゲーム開発部の援護に行くべく広大で自由な大空へ飛び立った。離陸する際のあの高揚感は、とても形容し難いものであったことはよく覚えている。
だがその高揚感を受けてしまった影響か、僕は『VRゴーグル』から見える景色と本当に『F-22』を操縦しているという実感が合わさりテンションが天元突破していたのだ。
自由自在に動かせる機体、最高時速1000kmの疾走感、みんなの役に立てるかもしれないという想い、それらを意識したまま目的地が見えてお姉ちゃんたちの姿を確認した瞬間、脳裏に浮かんだ一つのセリフ。
『
このセリフを口に出してしまってから、僕の中のタガが外れてしまったのだ。
そこからはもう悲惨である。歓喜と快楽のドーパミンに脳を支配された僕は、とても人の出すものとは思えない絶叫をあげながらゲーム開発部に敵対する人間をことごとく蹂躙してしまった。
ウタハさんとハレさんから伝えられた僕の使命はあくまでもゲーム開発部の援護。いわばお姉ちゃんたちが壁を乗り越えるための最後の一押しを担うためのものだ。決して敵を殲滅しろという命令は受けていない。
ゲーム開発部はあの状況を突破することが出来たので別に命令違反というわけではないが……「そこまでしなくてもいいじゃん」というのが正しい意見だ。つまり、やっちまったのである。
思い出している僕ですらヤバいと思っているのだ。傍から見ていた人は一体どんな狂人に映ってしまったのかは想像に難くない。
あんな姿、人前で見せたくなんか無かったのに…
「そのキザなセリフを吐きながら来たシーンは随分印象的だったなぁ?そして私たちの頭上を飛んでいくあの飛行技術!…あの時何て言ってたっけぇ?確か『天使とダンスだ!』だったかなぁ?」
「はぐぁっ…!」
『天使とダンスだ!』はあの『エースコンバート6』の合言葉のようなセリフだ。戦闘機を操っていた身としては言いたくなってしまうのも仕方がないだろうと言い訳がしたい。
それでもモモイお姉ちゃんは煽りに煽ってくるだろう。それにしても何なのだモモイお姉ちゃんのニヨニヨとした表情から繰り出されるネットリとした声は。そのニヨニヨとした顔を凹ませてやりたい。それ以上に羞恥心が勝ってしまっているが。
「もう………許して…モモイお姉ちゃん…」
「えー?別にイジメてるわけじゃないよぉ?カッコよくて助かっちゃったから誉めてあげてるんだからさぁ?だからそんなこと言わないでよぉ、『サイバーブルー』」
「ひでぶっ!」
ついに『サイバーブルー』についてもいじられてしまった。これは僕があの時パッと思いついたTACネームであってそこまで大きな意味は無い。
いわゆる、ノリと勢いで作ってしまった名前なのだ。それを蒸し返されるとは恥ずかしいったらありゃしない。
「いやーそれにしても凄い蹂躙劇だったなぁ?まさかアオトがあそこまで暴れるとはねぇ?……あ、間違えた『サイバーブルー』かぁ」
「ちょっ…勘弁してモモイお姉ちゃん…それ結構気にしてるんだからさ…」
本当に気にしていることをこの姉はニヨニヨと…!というか『サイバーブルー』はやめてほしい、本当に。
「…お姉ちゃん、そろそろやめてあげたら?いくら『G.Bible』が見れるからってテンションおかしいよ……ていうかそのネットリした動きやめて、気持ち悪い」
「……なんだかモモイが変です…とても見ていられません…」
僕を煽り散らかすモモイお姉ちゃんの姿を見て、ミドリお姉ちゃんだけでなくアリスさんまで引いている様子を見せている。僕もモモイお姉ちゃんのネットリ具合は流石に気持ち悪いと感じるし、引いてしまう気持ちも非常に良く分かる。
「えー?どうしよっかなぁ?『サイバーブルー』はどうしてほしい?ねぇ、『サイバーブルー』?」
「いやだから…『サイバーブルー』はやめて…」
本当に恥ずかしいのだ、『サイバーブルー』。調子に乗って作ってしまった僕が悪いけれど本当に勘弁してほしい。
しかしモモイお姉ちゃんは腕をタコのようにうねらせながら煽るのを止めなかった。
「いいじゃん『サイバーブルー』って名前ぇ?もっと使っていいと思うけどなぁ『サイバーブルー』。ねぇ?『サイバーブルー』?」
「………モモイお姉ちゃん?」
──いい加減にしないと怒るよ?
「どうなのさぁ、『サイバーブルー』?何とか言ってみなさいよ『サイバーブルー』?」
「…………」
……………
「ほらぁ、『サイバーブルー』。アオトの口から聞きたいなぁ、『サイバーブルー』。さあ大きな声で言おうか、せーのっ…サイバーブ──」
「ふんっ!!!」
「いっっっったぁ!!?」
蹴った。
あまりにもしつこいバカ姉の口。その口を塞ぐためにかました僕の蹴り技。
その名も、「ハイキック」
僕の足から繰り出された渾身のキックはモモイお姉ちゃんの首筋を確実にとらえ、煽りに煽り散らかしていたモモイお姉ちゃんに膝をつけさせた。
「ちょっ、蹴ったなぁ!?実の姉をその足で蹴ったなぁ!?」
蹴られた首筋を抑えながら抗議の目線を向けるモモイお姉ちゃん。しかし僕はそんなこと知ったこっちゃないと言わんばかりに追撃をかけていく。
「うるっ…さいっ…なぁっ!人がっ…気にしてるっ…ことっ…ずっとっ…からかっ…てぇ!!」
「痛っ、痛い痛い痛い!!悪かった!私が悪かったから蹴るのやめて!!」
膝をつきながら腕で体を守るモモイお姉ちゃんに前蹴りをおみまいしていく。間髪入れずに入っていく蹴りにモモイお姉ちゃんは防戦一方であった。
「ふんっ!ふんっ!ふんっ!ふんっ!」
「ちょっ…ちょっとストップ!ストップ!!ギブギブギブ!ギブアップ!!」
バカ姉がギブアップと連呼しているがお構いなしだ。さっきまで受けた辱めの報いを受けるがいい。
「たっ…たすけっ………ヘルプミー!!ミドリッ、アリスッ、ユズッ、助けてっ!!こっち見てないで助けてぇ!!」
バカ姉は哀れにも助けてほしいという視線を横で見ているミドリお姉ちゃんたちに向けている。しかしミドリお姉ちゃんたちは全く動く気配がない。
「よく目に焼き付けてねアリス。あれが弟を煽りすぎたせいで反撃を受けている威厳もへったくれもない哀れな姉の姿だよ。滑稽だね」
「モモイは哀れで滑稽なバカ姉……アリス、覚えました!!」
「あ、あわわ…流石に可哀そうかな……でも、自業自得だよね…?」
「みんなの裏切り者ォォ!!!!」
信頼している仲間からも裏切られたモモイお姉ちゃんに、もはや反撃する手段もない。結局このままモモイお姉ちゃんは哀れにも僕の蹴りに成すすべなく食らい続けるという未来しか残されていないのだ。
ただしこのバカ姉の場合、全然可哀そうには思えないけど。
ガチャッ──
「ハ~イ、ゲーム開発部のちびっ子たち!マキちゃんからプレゼントのお届け……だ…………えっ、なにこの状況…?」
「あ、マキちゃん。いらっしゃい。…ちょっと色々あってね」
前蹴りをかましていると、横から声がまた聞こえてくる。どうやらマキさんが訪れたようだ。
「その色々が凄く気になる光景なんだけど…」
「まあまあ…そうだマキちゃん、タオル持ってる?」
「へ?あるけど…何に使うの?」
「ごめん、ちょっと貸してね…………ほら2人とも、マキちゃん来たからそこまでだよ」
すると僕の足元にタオルが投げ込まれた。僕は蹴りを一旦止めて、ミドリお姉ちゃんの方を見る。僕と目のあったミドリお姉ちゃんは静かに頷いた。
タオルが投げ込まれたということは、つまりそういうことで…
「ばたん……きゅー………」
そして今まで蹴りを食らい続けたモモイお姉ちゃんは、戦闘不能ボイスを出しながら床に倒れこんだ。目を渦巻き状にグルグルさせながら、泡を吹いて倒れている。
その姿を確認していると、横からアリスさんが近づいてくる。そしてアリスさんは僕の左腕を掴んで高く振り上げて…
「Winner、アオトです!!」
と声を高らかに叫んだ。ユズさんの鳴らすカンカンカンカンカンカン!というゴングの音が部室に響き渡り、僕とアリスさんは喜びを分かち合う。
「やりました…!やりましたアオト……!!」
「エイドリアン…!エイドリアン……!!」
アリスさんと抱き合い、勝利の余韻に浸るこの時間。日々の鍛錬を積み重ねていったからこそ掴み取ったこの1勝。この1勝は、いつか僕の大きな財産となるだろう。
窓から差し込む太陽の光が、僕の勝利を祝福してくれていた。
「……へ……は…ちょ……ん??…………えっ、ナニコレ??」
「…………気にしないでいいよ、マキちゃん…」
―――――――――――――――――――――――
「さ、気を取り直して…プレゼントを持ってきたよみんな!」
「遂に!いやーずっと楽しみにしてたんだよね!ねーアオト?」
「…………」
モモイお姉ちゃんに声をかけられるも、ふいっと顔を背ける。散々僕のことを辱めた罰というやつだ。
──ふーんだ、モモイお姉ちゃんの声なんて聞いてあげないもんねー
「ア、アオト……うぅ…」
「まだやってるの2人とも…」
「……………」
モモイお姉ちゃんの悲し気な声が聞こえてくる。全く反応を示さない僕に、落ち込んでいるのがすぐにわかるような声だ。
でも僕は声を聞かないと決めたのだ。だからこのまま石像のように顔を背けたままにさせてもらう。
「アオト……ごめん…」
モモイお姉ちゃんの悲しげな声に、段々と涙声がこもっていく。僕もその声を聞いて、モモイお姉ちゃんのほうに顔を向けたくなってしまう。
だが、もう少し様子見を……
「うぅ……ごめんアオトォ……謝るから許してぇぇ………」
ダメだ、だいぶ本格的な泣きが入ってきた。この声音は心にくるものがある。
流石に無視みたいなことをずっと続けていたら大人げないかもしれない。確かにモモイお姉ちゃんにはいじわるなことされたけど、別にそこまで恨みがあるわけではないのだ。それに、モモイお姉ちゃんを泣かせたいわけでもない。
「……ごはん」
「…え?」
僕の発した言葉に驚くような声を出すモモイお姉ちゃん。僕もそこまでいじわるしたい訳ではないから、このくらいで勘弁しておこう。
「今度、ごはんに連れてって…」
「……!!う、うん!何食べたい?」
「…ラーメン」
でもタダで許すというのは何だか負けたような感じがする。だからごはんに連れてってくれるくらいのお願いはしてもいいだろう。
昔はよく食べていたけど、最近では食べる機会が減っていたラーメン。久しぶりに食べたいと思ったからこそのチョイスだ。
「ラーメン……うん、わかった!実はアビドスって言う地域に美味しいラーメン屋さんがあるの!今度一緒に行こ?」
「…うん、約束ね」
約束と僕が言いながらモモイお姉ちゃんの方を向くと、目と鼻の先にモモイお姉ちゃんがいると思えば勢いよく抱き着かれた。
もう恒例と言ってもいいスキンシップだけど、今日は特に力が強いような気がする。少し僕もいじわるしすぎたみたいだ。これは少し反省しなくちゃね。
「おー熱い姉弟愛だね?」
「もう…2人とも相変わらずなんだから…」
マキさんとミドリお姉ちゃんが僕たちの姿を見てボソッと呟いた。周りを見て見ても、みんなが生暖かい目で僕たちのことを見ている。
「ふふふ…さあ、仲直りも済んだところで…例のブツを見せてマキ!」
「…あれ?これ僕のこと離してくれないやつ?」
モモイお姉ちゃんは僕を膝の上に乗せ、抱えるように手を回して床に座った。どうやら今日は離してくれないらしい。まあ座り心地は悪くないし、温かいからそれでも良いのだけど。
そしてマキさんはモモイお姉ちゃんの声に応えるように、懐からモモイお姉ちゃんの『ゲームガールズアドバンスGP』を取り出した。
「ジャジャーン!」
【G.Bible.exe……実行準備完了】
そこには確かに『G.Bible』のデータが表示されていた。無機質に並ぶ文字列だが、この先に未知の情報があると思うとワクワクする。
「おー!」
「ようやく、『G.Bible』が私たちの手に……!」
僕が感嘆の声をあげている横で、ミドリお姉ちゃんも高揚を感じ取れる声をあげる。『G.Bible』を見るために『鏡』を奪いに行こうと後押ししたのは他ならぬミドリお姉ちゃんなので、その感動もひとしおだろう。
「遅れてごめんねー。『鏡』をセミナーに返すことになって、その件でちょっとバタバタしちゃって」
「ええっ、『鏡』返しちゃったの!?」
これは僕も驚きだ。てっきりヴェリタスで持ったままだと思っていたから。
「実は、ヒマリ先輩は全部知ってたみたい。それくらいあげてもいいから、これからはあまり無理しないでって。えへへっ。」
うん、僕もあまり無理したくない。無理してあんな醜態をさらすなんてことはもうごめんだ。
僕がそう心の中で答えていたら、マキさんはゲーム機の中にあったとあるフォルダを見せてくれた。
「あ、それでね。『G.Bible』を開いた時にこの、<Key>っていうフォルダを見つけたの」
これは…何だろう。何て読むのか分からないのだが…
「何これ……ケイ、って読むのかな?」
「……ケイ?」
「……ケイ…」
ケイ……何だか良い名前だなと思う。何となくだけど、可愛さとカッコよさが合わさっているというか。
「『キー』でしょ!お姉ちゃんは本当に高校受験合格したの!?」
…なんだ、ケイじゃないのか。でも、ケイの方が良い名前だと思うのだが…
「実は、こっちについては何一つ分からなくって。ファイルは壊れてなさそうだけど……私たちの知ってる機械語じゃ解読できない、信じられないような構成をしてる。『G.Bible』の方はきちんと開けたけど、こっちはちょっと見ただけじゃ何にも分からなかったの。この<Key>のこと、何か知ってたりする?」
僕は、何も知らない。そもそも『G.Bible』を求めに赴いた廃墟探索は僕がミレニアムに来る前に終わっていたものだった。だからこれを知っているとなるとゲーム開発部の4人と先生くらいではないだろうか。
「いや、私たちも全然……」
だがどうやらモモイお姉ちゃんは何も知らないらしい。他の皆の反応も同じかなと思ったが、ミドリお姉ちゃんは思い当たるものがある様子だ。
「……もしかして、<Key>って……まさかあの時の……?」
「ミドリお姉ちゃん…?」
一体何を知っているのか、正直気になるところではあるが今はそのことを話している時間は無さそうだ。
「ふうん、何かあったの?ま、でもとりあえず今は『G.Bible』のほうでしょ。<Key>についてはまた今度ね。時間があったら頑張って分析してみるよ」
そう言うとマキさんは荷物を持って帰る準備を始めた。きっとヴェリタスでも他にやることがあるのだろう。忙しい中『G.Bible』を解析してくれて本当に有難い。
「じゃ、間違いなく渡したから。またね!」
「マキちゃん、ありがとね!」
「ありがとうございました、マキさん!」
「今度会う時は、秘書を通して連絡してね!なにせ私たちは、『TSC2』で大ヒットする予定だから!」
「あははっ、楽しみにしているよ!」
そう言ってマキさんは、部室を後にした。
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「みんな、集まって!」
マキさんが帰ってから少し、モモイお姉ちゃんの号令に僕たちは『ゲームガールズアドバンスGP』を囲うように集まる。いよいよ緊張の一瞬、『G.Bible』鑑賞会の時間だ。
「あらためて……『G.Bible』、見よっか」
その言葉に、僕たちの中にも緊張感が走る。
「みんな知ってる通り、この中に何が入っているのかについては、ほとんど誰も知らない。ただ最後に『G.Bible』を見たと噂される、あるカリスマ開発者によると………『ゲーム開発における秘技。みんなが知っているようで誰も知らなかった奇跡』……って言われてる…私は、それが知りたい」
…かなり大げさに聞こえる話だ。本当にそんな裏技があるのかと実在を疑ってしまう心もある。しかし、奇跡とまで口にしているのだ。果たしてそれが一体どのようなものなのか、僕は非常に気になる。
「うん……最高のゲームを作るために」
「そう。それが出来れば、これからもみんなでこの場所にいられる」
そうだ、これはゲーム開発部存続のための切り札であり、生死が関わっている話と言っても良い。この『G.Bible』の中身次第では……あまり想像したくない出来事が待っているだろう。
「もし失敗したら……ユズは寮に戻って、会いたくもないやつらに会わなくちゃいけなくなる。それにアリスは……」
「……もしものことは考えたくないけど、その時はきっと先生が、シャーレが助けてくれるよ」
アリスさんの処遇については、正直僕にはどうなるか全く想像できない。でも先生が助けてくれるのであれば、酷いことにはならないだろう……本人が望んでいればの話だが。
「シャーレ……?先生と一緒なのは、とっても嬉しいのですが……アリスはもうここに……みんなと一緒には、いられないのですか?」
「……っ!そんなことはない!私たちは絶対に、最高のゲームを作るんだから!」
アリスさんの悲しげな表情が、絶対にこんなことはさせたくないと心に火を付けさせる。それはきっと僕だけではなく、モモイお姉ちゃんも、ミドリお姉ちゃんも、ユズさんも思っていることだろう。
「大丈夫、『TSC2』もアリスにとっての『神ゲー』になるよ」
そう言うとモモイお姉ちゃんは決意を固めた表情に切り替わる。いよいよその時が来たようだ。
「さて、それじゃあ…………始めよう、アリス!」
「はい。『G.Bible』……起動!」
アリスさんはゲーム機に触れて、『G.Bible』を起動する。
今ここに流れている緊張、不安、ワクワク…これらが数分後どういう感情になっているかは、まだ僕たちは分からない。
──でも、希望が光る明るい感情が良いな…
そう心に思いながら僕はゲーム画面を注視した。
今日も今日とてブルアカらいぶチケットが当たりますようにと願いを込めていきましょう。
チケット当たりますように…