こんにちは、Kyobです!
ついこの間、なんと日間ランキングで33位にランクインしました!
ランキング入り後のUA数の伸びとお気に入り登録者数の増加量が半端なかったです…!皆様本当にありがとうございます!
ランキング50位以内の恩恵って凄ぇ…
それと皆様の高評価のお陰で、久方ぶりの赤バーになることが出来ました!これは初めて評価バーに色が付いて以来の赤バーですね!
正直こんな稚拙で駄文なこの小説に赤バーは身に余る評価に感じてしまいますが、それでもやはり嬉しいものは嬉しいです…!
評価の色はまた変わってしまうかもしれませんが、赤色でも恥ずかしくないような物語を作っていけるように、そして少しでもこの小説を楽しみにしてくださっている皆様のために今後とも精進して参りますので、どうか見守って頂けると幸いです…!
どんどん進めないと…パヴァーヌ編完結まで2年くらいかかっちゃうぞ〜〜気合い入れてきなあんたァ…!
「ん……んぅ……」
朝、それは新たな一日の始まりを告げる希望の光。
カーテンの隙間から差し込む光、心地の良い旋律を奏でる小鳥の囀り。
目をこすり、ベッドから体を起こした僕は新しい朝の訪れを体で感じ取っていた。カーテンの隙間からでも分かる、今日の天気。曇りのような暗く濁った色ではない、明るく透き通るような光。
ベッドから立ち上がり、窓の近くまで歩いてカーテンを開ける。隙間という狭く抑えられていた光が、解放されたかのように部屋中に広がった。暗い場所に慣れている目が、全てを照らす太陽の光に耐えられず反射的に瞑る。それでも数十秒の時間があれば、目は適応するもの。瞑っていた目を徐々に開き、窓の外に広がる世界を見た。
ああ、思った通りだ。
空に広がるのは清々しい青空。雲は一つもなく、遠くを飛んでいる鳥が見えそうな程の開放感。
今日の天気は、快晴だ。
「~~ッ!ふう……ビックリするくらい良い天気だね今日は」
両腕を上に伸ばし、欠伸をする。こんな快晴の光を浴びたおかげだろうか、非常に目覚めの良い朝だ。こういう日は、色々なことをしたいと活発的な感情になってしまうのは人間の性というものだろう。
今日は何をしようか、そう一瞬考えもしたがこの快晴だ。こういう日にするべきことは1つしかないだろう。気持ちのいい快晴の日は、家の中で閉じこもって日の光を浴びないわけにはいかない。だがそれをする前に、やらなくてはいけないことが1つある。
僕は窓の近くにある学習机に視線を移す。そこにはプリントや漫画などが散乱している机の姿があり、積み上がって山になっているプリントの上に充電してある『ゲームガールズアドバンスSP』が置いてあった。
『ゲームガールズアドバンスSP』。現在、ミレニアムプライスに向けてゲーム制作を進めているゲーム開発部のメンバーであり、僕の家族の一人であるモモイお姉ちゃんが持っているゲーム機だ。今はゲーム制作に集中する為にこのゲーム機を僕に預けている。
その『ゲームガールズアドバンスSP』のタイプC充電コードを抜いた。電源を入れ、僕はデータの中から一つのファイルを探す。ゲームソフトではない、ファイルだ。
<Key>。そう表示されているファイルを見つけ、開く。傍から見れば訳の分からないファイルだろう。実際に僕も、初めは何を意味しているファイルなのか分からず興味本位で開いたものだ。
<Key>と表示された画面を開いた先に表示されるのは、何もない真っ暗な画面だ。何も知らない人がこの画面を見たら、バグか何かと勘違いするだろう。無理もない、本当に真っ暗で何も表示されないのだから。
でも僕は知っている。このファイルにいる存在を。
「ケイ、いる?」
一言、僕はゲーム機に向かって声をかけた。だが反応は無い。傍から見れば何もないところに声をかける変人だ。
けれど予想通り。昨日もそうだったし、むしろ反応が返ってくるのが夕方近くまでかかったのだから今日もそれくらいを覚悟しておかなくてはいけない。
「ケイ?おはよーケイ?」
再び声をかけた。念押しのもう一回だ。
だが正直、望み薄ではある。あくまでも念押しだ。これで彼女が出てくるとは思わない。
そう思っていたのだが──
【……なんですか、アオト】
「………」
真っ暗な画面に表示された、電子的なフォントの文字たち。
望み薄だと思い込んでいた僕は完全に意表を突かれ、ゲーム機を持ったまま少し固まってしまう。
「………」
【……アオト?私のことを呼び出しておいて何を固まっているのですか?】
文字が表示された時は、一瞬勘違いなのではないかと思った。だがそうではないようだ。
「……は」
【………は?】
朝起きたての状態だったのか、硬直からの再起動に時間が掛かる。そして頭がようやく理解できそうなところで、僕も口を動かすことが出来た。
「はやいっ!?!?」
【……はやい??】
僕は突かれた意表の衝撃をそのまま返すように、声を大にして叫んだ。朝っぱらからは似つかわしくない、騒々とした目覚めだ。
だがこうなるのも仕方がないだろう。何せ昨日の反応の遅さを考えるとこの早さはあまりにも衝撃的なのだから。
「えっ、えっ!?どうしたのケイ、そんなに早く反応しちゃって!?どういう風の吹き回し!?」
【……貴方が私をどう思っているのかは置いておきましょう。単純な話です、いま反応しておかないと後々面倒なことになると踏んだからですよ】
「え?面倒…?」
面倒とはどういうことか。
【貴方、昨日私を呼ぶために何時間もしつこく呼びかけてきましたよね?】
「……そう、だね…?」
【貴方のゲームしている姿を見せられて、料理をするところも見せられて、しかもその料理を失敗するところまで見せられて……】
「あー……」
【頼んでもいないのに貴方の行動を見せられる。私が呼びかけに応じるまでずっと続けるつもりだったのでしょう?】
「それは…はい……」
【……それが面倒だったからこうして貴方の呼びかけに直ぐ応じたのですよ】
……あれ、やっぱりちょっと迷惑だったんだ…
確かに昨日の呼びかけはやりすぎかなと思いはしたけど……でもあれだけ呼びかけないと応じなかったケイのことを考えると仕方がないのではないかと感じる。
まあでも、おかげさまでこうして直ぐにケイが応じてくれるようになったってことはあの手段も悪くなかったってことなのかもしれない。ケイの印象はよろしくなさそうだけど。
「あ、あはは……なんというか…ホントにごめんね?」
【はぁ……まあいいしょう。で、今回は何の用なのですかアオト?お話というのは昨日で終わったと思うのですが】
昨日の呼びかけについて、一日経って罪悪感的なものが芽生えてしまった僕は、少しばかりに謝罪をケイにする。それに対してケイは許してくれたみたいだが、ケイって結構物事に対して寛容なところがある気がする。気のせいだろうか……?
と、色々考えたのだが一旦そこは置いておこう。せっかくケイが応じてくれたのだ。今日の僕がやりたいことを伝えなくては。
「いや、今日はお話が目的ではないよ?」
【…では一体何用で私を?】
「ふっふっふ……今日の用はね……」
「一緒に散歩しよう!」
【…………は?】
―――――――――――――――――――――――
明るい日差しが肌に突き刺さり、少しばかり熱さを感じる。季節は初夏ではあるが、夏というワードが入っている通り体が感じる温度というのは暑いよりのものだ。
しかし時間は未だ朝。夜の肌寒い空気というものが完全には抜けきってはおらず、住宅街の隙間から吹く爽やかで清涼な風と相まって非常に心地の良い気温となっている。
近くの公園に生えている木が、風と共に新緑の葉を揺らし心が洗い流されるような音を靡かせていた。その音を聞きながら吸い込む透き通るような空気は、閉ざされた建物では決して味わうことのできない開放的な味だ。
「はぁぁ……気持ちいい……」
一日中家の中にいると、体の中には陰の気が回ってしまう感覚がある。多分、建物の中は外と比較すると澱んでいるような空気を吸い続けることになるからだろう。
だからこうして、天気の良い日は少しでも外に出て澄んだ空気を吸うことが大事なのではないかと思っている。良い天気に良い空気を吸うと心もあの青空のように晴れやかになるからね。
「やっぱり晴れの日っていいよねぇ……空気も美味しいし、ケイもそう思わない?」
【……そう思わない?じゃないですよアオト】
外に出て、初めてケイに声をかける。とりあえず外に連れ出してみたらどんな反応をするか気になったが、明らかに疑問と困惑が入り混じった雰囲気を醸し出していた。
「んー?外は気に入らなかった?」
【そういう問題じゃなくてですね、説明を求めたいのですよ私は】
「え?説明?」
【そうです、説明です。なに素っ頓狂な顔をしているんですか】
説明を求めると語気を強めているような様子で発するケイ。ただ外に連れ出しただけなのに一体なにをそんなに困惑しているのだろうか。
「説明って言われても……ただの散歩だよ?」
【だから、何故その散歩に私を付き合わせるのかと聞いているんです!】
どうやらケイは、散歩に連れ出した理由について知りたいらしい。興奮してきているのか、持っているゲーム機が徐々に熱を帯びてくる。
「えー?だってこんなに良い天気なんだよ?こんな日は外に出ないと損じゃない?」
【だ・か・ら!私を連れ出す理由はそこにないでしょう!?】
「一緒に散歩した方が楽しいかなーって……」
【私はそんなこと考えていませんが!?】
閉鎖的な空間にいるのではなく、開放的な外で新鮮な空気を吸う。これがどれほど気持ちの良いことか。天気が良いならなおのこと。
だがケイにはあまり伝わっていないみたいだ。良い天気は外で活動したいという感覚がないのだろう。
どこかフラストレーションがたまっていっている様子を見せるケイ。その証拠に、手に持っているゲーム機の熱がどんどんと上がっていっているのが分かる。
「まあまあ、そんな固いこと言わないでよケイ」
【なにを……!】
「せっかくお互いをケイやアオトって呼ぶ関係になったんだよ?だったらお散歩くらい一緒に行ったってよくない?」
【よくありませんが!?】
どうしてそんなことを言うのだろうか。昨日あんなにお話しした仲だというのに、釣れないなと感じる。
「……僕とお散歩は嫌だった…?」
【嫌……というよりは、意味が分からないんですよ!いくらそういう名前で呼び合う関係とは言っても、私と貴方は友好的な関係ではないでしょう!?】
「え、違うの?」
【違いますよ!?】
なら僕との散歩が嫌なのかと思ったが、ケイの友好的な関係ではないと言われて、現実を突きつけられたような感覚が僕を襲った。
言われてみれば確かにそうだ。僕がケイに出会ったのは今から2日前のこと。1週間すらたっていない、つい最近のことだ。僕的には出会ってから1週間くらいたっているのではないかという錯覚に陥っており、それほどケイと濃い日常を送ってきたのだろうと感じられる。
そしてここまでの交流を振り返ってみると、ケイとお話しするためにちょっかいを出しまくる、ケイと呼びたいというお願いをゴリ押しするといった一方的なコミュニケーションを取っていた。
コミュニケーションというのは、互いに互いを理解するためにするものだろう。これでは一方的な自己満足になってしまっていないか。
友好的な関係を築けているとは、いえないのだろうか。
「…そうだよね。なんやかんや2日前に出会ったばかりだもんね僕たち……」
【ええ、そうですよ。だから──】
「仲良くもないのに無理やり連れだして嫌だったよね……ごめんね、調子に乗りすぎちゃって……」
【………】
あんなにウザ絡みのような接し方でお話の許可をくれたケイの優しさに甘えてしまっていたのだろう。ウザ絡みしても許してくれると思い込んでしまった僕は、ケイに言われなかったらきっと何度も何度も繰り返してしまったに違いない。
でもケイだって感情はある。こういう接し方を続ければ我慢の限界が訪れるというもの。そうなる前に、僕は冷静になるべきだ。
「一回お家に帰ろうか……本当にごめんね……」
──反省…しなくちゃね……
僕は回れ右をして、今来た道の方向を向く。
視線は下がって地面を向き、綺麗に舗装されているとはいえ爽やかとは言いづらい黒色のアスファルトを見ながら自宅に向かって歩みを進める。家を出る前の軽やかな足は何処に行ったのか、おもりを乗せられたかのように足が重い。
爽やかに感じる心地の良い風も、先ほどに比べて冷たく感じた。
【………はぁ…全く貴方は本当に………帰る必要はないですよ】
「……え?」
だが、そんな僕に待ったをかけるようにケイは呟く。帰らなくてもいい、僕の行動を止めるその言葉がどのような意味を持つのか直ぐには分からなかった。
けれど、一拍置けばその意味も僕に伝わる。
【付き合ってあげると言っているんです。伝わりませんか?】
「いい…の……?」
つい、本当に良いのかと聞いてしまう。恐る恐る、繊細なガラス器具を扱うように声を震わせながら。
【何度も言わせないでください。それとも何か不満でも?】
「え?あ、いや、ううん!ない、ないよ!ありがとうケイ!!」
【全く……】
それでもケイは、僕の散歩に付き合ってくれると言ってくれた。昨日に引き続き、しつこく絡んできた僕に対してだ。
虚をつかれたような声をあげつつ、舞い上がるように声を明るくさせていった僕に呆れるように、ケイはため息を吐くような雰囲気を見せた。
「えへへ……ケイは優しいね?」
【……はあ?何を変なことを…】
「全然変なことじゃないよ?本当にありがとうね、ケイ」
別に変なことは言っていない。
昨日からも所々思ってはいたが、ケイはどこか優しいところがある。なんやかんや僕のお願いを受け入れてくれるところとか特にそうだ。
ケイって本当に、世界を滅ぼそうとしているんだよね……?
僕はそう思いながらまた回れ右で向きを元に戻し、先へと歩を進めていく。風も、すっかり涼しさを取り戻していた。
【はぁ………全く本当に、調子が狂います………】
―――――――――――――――――――――――
「じゃあ改めて……晴れの日は良いものだよねケイ?」
一悶着あった後、僕は改めてケイに晴れの日について同意を求めてみた。実際にケイがこの晴れの日というものをどう思っているのかは気になるのだ。
【……そんなこと言われましても困るのですが】
だが返ってきたのは微妙な反応だった。天気の良し悪しは伝わる話だと思っていたのだが。
「えー…なんでそんなに微妙な反応なのさー」
【……あのですね】
ちょっと拗ねたようにケイに問いかけてみると、ケイはその理由を話してくれた。
【私は今まで廃墟に存在していたのですよ?】
「…そうらしいね」
【故に私はこういう外に出るという感覚もなければ、天気の良し悪しなんてどうでもよかったのですよ。そもそも廃墟にデータとして存在している限りは外に出るという概念がないのですから】
「あー、なるほど?」
【だから私に天気の話とか空気の話とか言われても反応に困ります。ましてや私に外の空気に触れる感覚だってないのですから、空気が美味しいとかそういったものは分かりません】
なるほど……つまりデータとして存在しているケイにとって家の中と外のような感覚は持ち合わせていないってことなのかな?
「……じゃあケイってもしかして、外の世界を見るのはこれが初めて?」
【……まあ、そうですね】
外を見るのが初めて。つまり、青い空や曇天の空、そしてこういう家が並んでいる住宅街とか人々が遊びに集まるテーマパークとかをちゃんと見たことがないということだろうか。もしそうだとしたら……
「……じゃあ、今日はいっぱい外の世界を見ないとね?」
【……はい?】
僕たちが当たり前のように見ているこの外という世界。これを見るのが初めてだというのならば、たくさん見て回らないと損というものだろう。
「手始めに……ほら、綺麗な青空でしょ!」
そう言って僕はまず、両手に持っているゲーム機を空に向けて掲げた。ケイにも空の広さが、美しさが十分に伝わるように。
【………あの】
「なに?どう?綺麗でしょ?」
【いや、その……貴方の顔しか見えないのですが………】
「………あれ?」
ちゃんとケイにも見えているだろうと思ってゲーム機を空に掲げていたのだが、返ってきた答えは僕の顔しか見えないというものだった。
そして僕はここで、『ゲームガールズアドバンスSP』について勘違いしていたことに気付く。僕はてっきりこのゲーム機の後ろにはカメラ機能がついていると思っていたのだが、このゲーム機にそんな機能は搭載していなかった。
カメラ機能さえ付いていれば、ケイもそこからレンズ越しに風景を見れるかと思っていたのだが、カメラ機能が無ければそもそも話にならない。
同じゲーム会社の携帯型ゲーム機にはカメラ機能が付いていたばかりに起きてしまった勘違いだ。僕はすぐにゲーム機を持ち換えてゲーム画面が空に向くようにする。
「これでどう?見える?綺麗でしょ?」
こうすれば、ケイもきっと見えるはずだ。
初めて自分の目で見るこの青空はどう思うだろうか、何を感じるだろうか。早くケイの感想が聞きたいと思ってゲーム機を掲げていると……
──ピピピピッ
聞こえてきたのは電子音、ただそれだけ。ケイが何を言っているのかを表示する画面は、何も見えない。
「……ちょっと待って、これじゃあケイが何を話しているのか分からない」
冷静に考えてみれば確かにそうだ。ケイに景色を見せるためにゲーム画面を外側にしてしまったら、肝心のケイが何を言っているのかが分からないじゃないか。
僕はすぐさま手を降ろして、ゲーム画面を僕に見えるように持ち替える。
【……アオトの顔が見えます】
「……ケイの言葉が見える」
ケイの言葉が見えて少しだけ安堵した。こうすればケイが何を話しているのか分かる。
「それで…どうだった?見えた?」
【どうだったかと言われましても……まあ、そうですね……確かに美しい色彩ではあったと思います】
美しい色彩、返ってきた答えは少なくとも美しさを感じているのだろうと思われるものだった。やはりこの青空というのは、人間のみならずAIだろうと綺麗なものだと思えるような色なのだろう。
「なるほど……じゃあおかわりをどうぞ!」
そういって僕はまたゲーム画面を外側に向けて天にゲーム機を掲げた。
美しいと感じているということは、少なくとも悪い感情は抱いていないはず。ならもっと見てもらったって構わないだろう。綺麗なものはずっと見ていたいと思うのだから。
だが、傍から見たら僕のこの姿は変質極まりないものに見えないだろうか。なぜかゲーム画面を外側に、しかもそれを天に向かって掲げているこの状況。何も知らない人から見れば意味が分からないだろう。
このままだとこの姿をすれ違う人に見られると思うと、少し恥ずかしい。
──ピピピピッ
そしてゲーム機から聞こえる電子音。ケイが何か話している証拠だ。
僕はすぐにゲーム機を降ろして画面を僕の方へと向けた。
【そう何度も見せなくても結構ですよ……】
「えー?でも綺麗だったでしょ?」
【それはまあ……はい……】
ケイは微妙な反応を示しているけど、決して悪くはない反応でもあった。
これで少しでも外の世界に興味を持ってもらえたら嬉しい。
【……ところでアオト】
「ん?」
【その…貴方が私に景色を見せるために何度もゲーム機を持ち替えるのは……鬱陶しくありませんか?】
ゲーム機を持ち替えるそのやり方は鬱陶しくはないか。僕が心の中で思っていたことをケイは指摘してきた。
「あー、まあ……うん」
ケイの言っているのが全くもってその通りなので、僕は普通に頷いて肯定した。
僕がケイに青空を見せた方法は、ゲーム画面を外側に向けて空に掲げるというやり方だ。そうでもしないとケイは風景を見ることが出来ないし、代わりに僕の顔をずっと見ることになってしまう。
でもゲーム画面を外に向けてしまうと、今度はケイの発する文字が見えなくなってしまう。幸い文字が映し出されるときは電子音のようなものが鳴るので、ケイが喋るタイミングは反応が出来るのだが…
そうなると今度は僕の顔が見えるようにゲーム画面を持ち替えなくてはならない。するとケイは、せっかく景色を見ていた所をシャットアウトされて僕の顔が映し出されるという何とも可哀そうなことになってしまう。
だがこの持ち替え戦法を取らないとケイは景色を見ることが出来ないし、僕はケイとコミュニケーションを取ることが出来ない。景色を見せるかコミュニケーションを取るか、二者択一のやり方をしてしまえばどちらかに不利益が生じてしまうのだ。
何とも鬱陶しいことこの上ない。
「うーん……こうなったら……」
【……?】
だが僕は今、持ち替え戦法を取らずともこの状況を打開できる方法を思いついた。
思い立ったが何とやら、僕はゲーム機を外側に向けて右手で持って肩に乗せる。いわばゲーム機を肩に担ぐような形で持つということだ。こうすることでケイは外の景色を見ることが出来、かつ僕は目線を横にずらすだけでケイが映し出す文字をある程度は見ることが出来る。
まさに2つの問題を同時に解決できる完璧な形だ。完璧な形なのだが……
「……なんかすごく持ちづらい」
【これは……なにをしているのですか?】
「ゲーム機を肩に乗せるように持てばケイも景色が見えるかなって。実際どう?見える?」
【ええ、よく見えます。よく見えますが……これはアオトの負担が大きすぎるのでは?】
「……うん。僕もそう思う。この持ち方ずっと続けてたら右腕が痛くなってくるよ……」
この持ち方は僕の負担が大きすぎるだろう。右腕に特に負荷がかかってしまうし、実際少しずつ右腕が痛くなってきている。
しかもこの持ち方だと、ケイの文字は見えるは見えるのだが、非常に見づらい。ちょっと首を前に動かさないと絶妙に見えにくいのだ。いちいちケイの言葉を見るために首を動かすのは流石に鬱陶しい。
そして何よりも、見た目の問題もあるだろう。ゲーム画面が見えるようにゲーム機を肩に乗せて歩く人間なんて不審者そのものだ。僕なら絶対二度見する自信がある。すれ違う人からも白いどころか真っ白い目で見られるのは確実と言えるだろう。
結局僕は、この肩乗せの持ち方を諦めて素直にいつもの持ち方に戻す。僕はゲーム画面を見ながらケイに語りかけた。
「なんかさ……」
【はい】
「これ…すっごい不便だね………」
【………そうですね】
ケイが文字でしかコミュニケーションが取れないことに問題があるような気がするが、それを嘆いたって仕方がない。
本当、どうしたものだろうか………
最近、ケイ関連のグッズを買いまくってて…出費が物凄いのなんの…
こんだけ1人の推しに沼ったの久しぶりすぎてよ…懐かしい感覚ですわ…
それと今回から少し小説の書き方というか、行間の開き方を変えてみたのですが気づきましたか…?
全体的に広く、地の文と会話文が見やすくなるようにと思って変えてみたのですが、効果はいかがな程に…?
多少は見やすくなったかな…?