才羽家長男・末っ子10歳   作:Kyob

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お久しぶりです、お待たせしました……


用事があったのもそうなのですが、最近インストールした学マスとか、キャラチャットのストーリーを自分で考えれるやつとかやってたら遅くなっちゃいました……

特にキャラチャット。あれって設定とかストーリーとか自分で考えてAIに文を作ってもらうんですけど、自分の好きな曇らせをいっぱい摂取できて楽しくなっちゃって……ついつい熱中しちゃいました。

まあでもあれですね。本当に自分が見たい物語は自分で書くしかないというのもそれで学べました。AIだと思った通りの物語や展開にならないですからね。いつか自分の力で頭の中にある物語が全部書けるといいなぁ……



それと今回の話で第2部は終了です。ちょっと唐突ですみません…

理由は正直早く第3部に入りたかったのと、このまま話を分割して長々とやっていたら本当に物語が終わらないので、ここで第2部は終わらせます。

そもそも第2部の終わりは目前だったので、遅かれ早かれではあったのですが……そういうことです。あと1、2話書くかどうか迷っていたのですが、そのまま終わらせるという方向にしました。

なので今回の話はちょっと巻いてる感が拭えないのがありますがご了承くださいませm(_ _)m












P編 第24話 ミレニアムプライス

 

 

 

「これより、ミレニアムプライスを始めます!司会および進行を担当するのは私、コトリです!」

 

 

 

 ゲーム開発部のテレビ画面に、コトリさんの姿が映る。ミレニアムのどこかの会場でお祭り感漂う雰囲気の中、マイクを握る彼女は普段通りに活き活きとしていた。

 

 そんな楽し気な雰囲気が映るテレビ画面を見るゲーム開発部は、そんなものとは対照的な雰囲気に包まれている。

 

 右を見れば緊張しているのか、悲痛な面持ちでテレビを見ているミドリお姉ちゃんとモモイお姉ちゃんの並んでいる姿。少しだけ首を後ろにすれば、今にも泡拭いて倒れそうになっているユズさんの姿。そしてそんな雰囲気に圧倒されて余裕の無くなっているアリスさんの姿……

 

 このミレニアムプライスの結果で部の存続が決まってしまう。そんな首元に刃を突きつけられているこの状況で、助かるのか助からないかは全てテレビに映っている審査員によって決められてしまうのだ。まさに生殺与奪の権利を他者に握られてしまっている状況。

 

 生か死か。運命の瞬間を告げる長い針は、もう半回転も残されていなかった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

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 結局、C&Cの襲撃から逃れることが出来た僕たちはアリスさんを保健室に連れて行って治療してもらった後、そのままゲーム開発部の部室に戻ってきた。

 

 セミナーから何か言われるかなとミレニアムプライス前から戦々恐々としていた僕たちだったが、結果としてはお咎めなし。ボロボロにしてしまった旧校舎廊下も、部活動中の「事故」として処理してもらえたらしい。

 

 ゲーム開発部側からすれば襲撃されたのだからある意味「事件」なのだが、まあこれ以上いざこざを増やしても良いことは無いだろうということでそのまま話は流れることになった。

 

 そして襲撃された部室に関して、未だに窓ガラスと壁は壊れたままになってはいるが、ミレニアムプライスの結果発表が近いこともありそのままにして今、こうしてミレニアムプライスの発表を迎えているわけだ。

 

 もし落選してしまったら、荷物をすぐにでもまとめないといけない。そしてアリスさんのこともどうするべきか決めないといけない。どうなるかは僕たちも分からないけど、アリスさんとお姉ちゃんたちが毎日一緒に居られるかどうかというのは微妙になってくるだろう。

 

 だからゲーム開発部としては何としてでも賞を受賞したいところではあるが……そんな僕たちの想いを振り払うようにテレビ画面のコトリさんからある一言が告げられた。

 

 

 

「今回は、これまでのミレニアムプライスの中でも最多の応募数となりました」

 

 

 

 その一言が告げられた途端、部室の空気が少し冷え込む。ただでさえ応募数の多いミレニアムプライスの中で賞を勝ち取らなければならないのに、母数が増えてしまうという事態に見舞われてしまったのだ。

 

 母数が増えれば確率も下がるというもの。薄い希望がどんどんと薄くなり、向こう側の景色が見えそうだ。

 

 そんな心境になっていたとしても時間というのは待ってくれないらしく、結果発表の時までどんどんと時は流れていく。

 

 受賞発表の前、応募された作品の中からいくつかの作品が紹介された。「歯磨き粉と見せかけてモッツァレラチーズがでる持ち歩きチーズ入れ」、「ミサイルが内蔵された護身用の傘」、「ネクタイ型モバイルバッテリー」、「光学迷彩下着セット」、「ちょうど缶一個なら入る筆箱型個人用冷蔵庫」、そして我らがゲーム開発部の「テイルズ・サガ・クロニクル2」までもが名を連ねたのだ。

 

 まさか発表前に話題になっているものとして紹介してもらえるとは思ってもいなかった。これはもしかして、期待しても良いのだろうか……?

 

 というか、他の紹介された作品のトンチキさは一体なんなんだ。本当に需要があるのか謎なものから意外と便利そうなものまで、ミレニアムって面白いんだなぁ…と感じる作品たちだ。

 

 それにしても「ミサイルが内蔵された護身用の傘」かぁ……いくらで買えるんだろ?

 

 

 

「それでは7位から、受賞作品を発表します!」

 

 

 

──ごくり…

 

 

 

 みんなの、息をのむ音が響く。いよいよ発表の時、僕たちの運命が決まる審判の時だ。

 

 

 

「7位はエンジニア部、ウタハさんの『光学迷彩下着セット』です!これは身に付けてもその下の素肌が見えてしまうため、着ているのかそうでないのか分からないというエキセントリックな作品ですが……」

 

 

 

 ………はい?

 

 えっ…ちょっ………えぇ…??ウタハさん……???

 

 トンチキな作品の中でもバカみたいにトンチキな作品が混ざっているなって思ってたけど………これウタハさんの作品だったの…???

 

 いや…え?どういうこと???何に需要があるのこの下着には……??

 

 ロマン?これロマンなんですかウタハさん??これの何処にロマン要素があるというんですかウタハさん??

 

 というか審査員も審査員だよ?なに「露出症の患者さんが合法的に趣味生活が営めるから」って。需要が限定的過ぎるでしょ、意味が分からない……

 

 これ絶対アレだって。「光学迷彩下着セット」よりも「ファンネル」で応募した方が上位狙えたって。てか上位どころか1位も取れるでしょあのファンネルなら。どうしてこの層がよくわからない作品で7位に落ち着かせちゃったかな……ていうかなんでこんな作品で7位取れちゃっているのかな???

 

 

 

「ふぅー……」

 

 

 

 いやモモイお姉ちゃん、安心している場合じゃないって。こんな作品に7位が掠め取られている問題について言及しなきゃダメだってこれは。なに「私たちのゲームは7位にふさわしくないよね」みたいな雰囲気を醸し出してるのさ。見ないふりしちゃダメだって、大問題でしょこれ……

 

 そんな僕の心の中のツッコミも誰かに届くことはなく、そのまま発表は続いていった。

 

 

 

──6位は……

 

 

 

 名前は呼ばれない。

 

 

 

──5位……

 

 

 

 まだ呼ばれない。

 

 

 

──4位……

 

 

 

 呼ばれない。

 

 

 

──3位……

 

 

 

 …呼ばれない。

 

 

 

──2位……

 

 

 

 ……呼ばれない。

 

 ここまで呼ばれることなく、順位のみが進んで行く。数字が小さくなっていくにつれ、鼓動する心臓の音は大きくなっていく。自然と握る手が強くなり、食いしばる顎の力も強くなっていった。

 

 結局2位まで呼ばれないという事実は、残されている最高の栄誉が結果として待っているということ。そう期待に胸が膨らむに合わせて、何も得られない虚無の結果という残酷な事実の可能性も拭い切れない状況に息がつまる。

 

 そして最後の1つ。第1位の栄誉を手にした作品が発表される。

 

 発表される直前に「CMの後で!」というバラエティ番組よろしくの焦らしが加えられ全員がズッコケるという一幕はあれど、その時はついに訪れた。

 

 

 

「さあ!それでは発表します!待望の第1位は……」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「新素材開発部──」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

──ダダダダダンッ!!!

 

 

 

 1位が発表された直後、発砲音が部室に響き渡りテレビが無残な姿に破壊された。

 

 

 

「きゃぁっ!本当にディスプレイを撃ってどうするの!?」

 

「本当だよ!ビックリしたじゃん、モモイお姉ちゃん!」

 

 

 

 僕とミドリお姉ちゃんが驚いて抗議の目をモモイお姉ちゃんに向けると、半泣きやけくそ状態になっているモモイお姉ちゃんの姿がそこにあった。

 

 

 

「どうせ全部持っていかれちゃうんだし、もう関係ない!」

 

「うえぇぇん!今度こそ終わりだぁぁぁぁぁ!!」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

――――――――――――――――――――――

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「うぅ……結局、こうなっちゃうなんて……」

 

 

 

 部屋に木霊する、ユズさんの悲痛の呟き。決して真に迫るような絶叫ではなく、ただ小さく呟かれた声。しかしその声に乗った感情が、どれほど暗く落ち込んだものであったのか理解できない僕ではなかった。

 

 ユズさんの感情が伝播し、悲しみに沈む部室。お通夜のような雰囲気の中、僕はみんなに何て言葉をかければいいのか分からなかった。この状況を見ているケイも何を想っているのか、何も話すことなく時が過ぎていく。

 

 でもみんなは、決して暗い感情だけが渦巻いているだけではなかった。この活動を通じてか、前よりも気持ちの面でも技術の面でも成長を遂げていたらしい。次はもっと上手くやるという前向きさが残っていた。

 

 ユズさんも、今まで批判が怖くて戻れなかった寮に戻ると宣言。昔のままなら出来なかったけど、ゲーム開発部のみんながいるから大丈夫というユズさんの言葉に、この部活がいかに大切な拠り所だったのかが窺い知れた。

 

 そんな場所がもうなくなってしまう。その事実に心を痛めているのは僕だけではないだろう、絶対に。

 

 場所がなくなってしまうことで困るのはユズさんだけではない。アリスさんのことだって今後どうするか決めなくてはならない。

 

 先生がシャーレに来るかという誘いをしたが、それだとゲーム開発部が一緒にいられる機会も減ってしまうだろう。これまでのように、毎日ともにゲームをして笑い合うという時間は少なくなる。それはとても心苦しいものだ。

 

 モモイお姉ちゃんもミドリお姉ちゃんも、私たちの寮に来るかという誘いをアリスさんにしているが、それはそれとして別の問題が発生しそうである。気持ちも分かるし、また僕がお姉ちゃんたちに会いに行ったときにアリスさんが居ないというのはとても寂しい。

 

 それでも戦いに敗れてしまったのは事実なのだ。結局は離れ離れになってしまう運命だったのかもしれない。そんな運命に逆らいたかったけど、受け入れたくないけれど……本当に仕方がないのかもしれない。

 

 僕も、何か協力できたことがあれば変わったのかな…皆が涙を流すことは無く、笑い合うことが出来る結果に導くことは出来なかったのかな……

 

 ゲーム作りというのは技術面が大きくかかわってくる以上、その知識のない僕は何も出来ないことには変わらないのだろうけれど……それでも心にくるものがある。

 

 何も言葉を発せずに、ただ見守ることしかできないこの状況の中、この先どうすればいいのかを考えていると……

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

──ガチャッ

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 部室のドアが開く音がした。

 

 誰だろうと思って振り返る。するとそこには……

 

 

 

 

 

「モモイ!ミドリ!アリスちゃん!ユズ!」

 

 

 

 

 

 セミナーの会計、ユウカさんが笑顔でそこに立っていた。

 

 もしかして、受賞を逃したからもう部室を明け渡さないといけないのか……?そしてその笑顔はゲーム開発部に引導を渡すことが出来る喜びでも感じているのだろうか……?

 

 

 

「ひぃっ!もうユウカが!」

 

「ちょ、ちょっと待って!そんなすぐになんて……!」

 

 

 

 モモイお姉ちゃんとミドリお姉ちゃんが慌てる様子を隠さず涙目でユウカさんを抗議していた。まあ、気持ちは分かる。廃部が決まってほんの数分で部室を明け渡せと言うのは流石に早すぎるような気もする。

 

 しかし僕たちが思っていたであろうユウカさんの行動とは裏腹に、ユウカさんの口から衝撃の言葉が繰り出された。

 

 

 

「おめでとうっ!」

 

 

 

 ……?どういうことだろうか??

 

 ゲーム開発部はミレニアムプライスの受賞を逃して廃部が決まったはず……

 

 それで「おめでとう」というのはゲーム開発部の廃部を祝福している悪魔の言葉にしか感じられなくて……

 

 

 

「…え、何この反応?結果、見てなかったの?」

 

 

 

 僕たちが明らかに困惑している様子に、ユウカさんまでも困惑しているこの様子。困惑が困惑を呼んでフワフワした雰囲気が流れていた。

 

 何が起こっているのか。7位以内に入れなかったはずとミドリお姉ちゃんはユウカさんに伝えるが、どこか呆れを含んだような様子を見せたユウカさん。

 

 どうやらスマホで結果を見ながら走ってきたらしいユウカさんは、壊れてしまったディスプレイの代わりにそのスマホを見せてくれた。そのスマホの周りに、餌に群がる獣のように集まっていく。

 

 僕もその一団の中に紛れて、ユウカさんのスマホを見た。

 

 そこには長々と言葉を連ねる審査員の姿。しかしその言葉をまとめるように確かに一言、こう発言した。

 

 

 

 

 

「今回は『特別賞』を設けます。その受賞作品は……ゲーム開発部の『テイルズ・サガ・クロニクル2』です」

 

 

 

 

 

 『特別賞』。ミレニアムプライスのでは初めてとなる異例の賞らしいが、どうやらそれにゲーム開発部が選ばれたらしい。

 

 

 

──ワシャワシャ……

 

 

 

 一体何が起きているのだろうか…?皆が困惑の様子を見せている中、僕はその審査員の話を聞いていた。

 

 

 

──モチモチ……

 

 

 

 選考理由は、「新しい世界を旅して、ひとつひとつ新たな絆を結びながら、魔王を倒しに行く」というRPGにおける根本的で王道の楽しさが込められていたと感じたらしい。そこがかつて初めてゲームに夢中になった頃の思い出を鮮明に思い出したという点が評価されたのだそうだ。

 

 つまり、みんなが夢中になって楽しめるゲームを作れたゲーム開発部がちゃんと評価されたということだろうか。実用性というものは無いけれど、確かに人々の心に残る作品だった、だから「特別賞」という異例の賞でこの作品を評価したらしい。

 

 なんというか、なんとも飛躍した展開にはなったが……

 

 ゲーム開発部は賞を勝ち取ったのだ。

 

 

 

──ワシャワシャ……

 

 

 

「……あの、ユウカさん?」

 

「うん?なにかしらアオトくん?」

 

「その……僕の顔をモチモチしても何も面白くないと思うんですけど……」

 

 

 

 僕がスマホを覗いている間、ずっとワシャワシャと頭を撫でられてほっぺをモチモチされていた。誰がやっているのか気になって後ろを見ると、ユウカさんがずっと僕の顔を触っていたのだ。

 

 ……いや、別に嫌というわけではないが…なんというか少し恥ずかしい。

 

 僕は顔が少し熱くなる感覚を覚えながらユウカさんに声をかけた。

 

 

 

「そんなことないわよ?むしろ堪能させてもらったわ」

 

「堪能って……そんなに良いものでもないような……」

 

「あら、私にとっては国宝級よ?誇りなさいアオトくん」

 

「誇れと言われましても……」

 

 

 

 ユウカさんは僕のことを何だと思っているのだろうか……

 

 

 

「とにかく……本当におめでとう!その、実は私もプレイしてみたの。決して手放しに面白かったとは言えないけれど……良いゲームを遊んだ後の、あの独特な感覚が味わえた」

 

 

 

 ユウカさんもゲームを遊んだらしく、割と素直な感想を話してくれた。素直で、全てを褒めてくれるわけではないけれど……それでもユウカさんがあのゲームを楽しんでくれたということは伝わる。

 

 そしてユウカさんが感想を言ってすぐ、部室のドアが開いたかと思うとマキさんが部室に飛び込んできた。

 

 

 

「モモ、ミド!あたしも『TSC2』やってみたよ。すっごい面白かった!いまネット上でも大騒ぎだよ!」

 

 

 

 マキさんの興奮したようなテンションに、面白かったという誉め言葉。そしてどうやらネットの検索数が有名アイドルの名前より『TSC2』の方が多くなっているらしい。

 

 特別賞が受賞されたからだろうか、なんだかネット上ではしっちゃかめっちゃかのお祭り騒ぎになっているようだ。その影響もあってか、ミレニアムプライス発表以降、約26秒でダウンロード回数が1万回を超えたらしい。

 

 コメント数も約500個追加され、否定的なコメントが多く目立っているようだが……同率で一番多く共感を貰っている二つのベストコメントが、このゲームの本質を表していた。そのコメントが……

 

 

 

【実際にプレイするかどうか、最初は散々迷いました……でも今はこう思っています。このゲームに出会えて、よかったです】

 

【これまでミレニアムに対して偏見を持ってしまっていました。冷静さと合理性しかないというミレニアムの生徒たちへの偏見は、今回のミレニアムプライスと、この『テイルズ・サガ・クロニクル2』を通じて、完全に無くなったと断言できます】

 

 

 

 システムとか、ストーリーとか、ツッコミたいと思うところはいっぱいあるだろう。それでも、遊んでよかったと思えるのがこのゲームの本質というものだと思う。

 

 そう思わせるゲームって、きっと生半可な想いじゃ作れないのではないだろうか。僕はそういうものを作ったことが無いからあくまで憶測にはなるけれど……本当にゲームが好きだから、その気持ちがユーザーにも伝わるのかもしれない。

 

 僕が初めて『テイルズ・サガ・クロニクル』で遊んだ時、ハチャメチャなストーリーとシステムを前に心を無にして遊んでも、面白いと思えたように。

 

 「ゲームを愛しなさい」。かつて『G.Bible』が残した一言、ゲーム作りの極意と呼ばれた本質そのもの。それを表したのがこの『テイルズ・サガ・クロニクル2』なのだとしたら……

 

 『G.Bible』が言っていたことは、本当だったのだろうな。

 

 

 

「えっと……っていうことは、廃部にはならないんだよね!?」

 

 

 

 モモイお姉ちゃんの期待の籠った声が響く。

 

 

 

 「ええ、そうよ。あ、でもあくまで『臨時の猶予』だから。正式な受賞ではないし、生徒会としてはまた来学期まで……ゲーム開発部の部室の没収および廃部を、『保留』することにしたの」

 

 

 

 ユウカさんから伝えられた今後の処遇。それはゲーム開発部にとってこれ以上のない祝福のようなものだった。

 

 

 

「えっと、それから……その……」

 

 

 

 そしてユウカさんは何か言いづらそうにこちらを見ていた。まるで反省しているけど素直に謝れないやんちゃな子供のように。

 

 

 

「……ご、ごめんなさい。ここにあるゲーム機のこと、ガラクタって言って……」

 

「あなたたちのおかげで思い出したわ。小さい頃に遊んでた、色んなゲームのことを。久しぶりにあの頃の……新しい世界で旅をする楽しさを感じられた」

 

 

 

 ユウカさんは瞳を閉じて、噛みしめるように伝える。

 

 

 

「……ありがとう。それじゃあ、部室の延長申請とか部費の受取処理とかは必要だから、落ち着いたら生徒会室に来てね。じゃ、また後で!」

 

 

 

 そう言うとユウカさんはこの後も用事があるのだろう、足取り速く部室を後にした。

 

 部活の存続を賭けた戦い。生きるか死ぬかギリギリの戦いの結果は、部室の存続という形で幕を閉じた。

 

 まだ「保留」という仮の存続であることは間違いないが、確かに掴み取った存続の権利。その権利を手にしたゲーム開発部のみんなはユウカさんが去った後……

 

 

 

 

 

──歓喜の渦に包まれたのだった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

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 後日、ミレニアムで一泊した僕は自宅に帰宅し、リビングでゆったりとしていた。

 

 ソファに体を預け、テーブルの上には『ゲームガールズアドバンスSP』が置いてある。

 

 

 

「いやーよかったよね……無事に存続が決まって何よりだよ……」

 

《一応、保留という形ではありますけれど……》

 

 

 

 イヤホンに接続されていない今、ゲーム機から直接ケイの声が響いてくる。結果発表あたりから何も喋らなかったケイだったが、一部始終はちゃんと見ていたらしい。

 

 

 

「そうかもだけど…それでもよかったじゃん!ちゃんとゲームも評価されてくれたみたいだしね!」

 

《……そうだとしても正直、もっと余裕を持って準備をしたらもう少しマシな結果にたどり着くことも出来たの思うのですが……どうしてこう追い込まれないと力を発揮しないのですか彼女たちは?》

 

「ま、まあそうかもしれないけど……それでも5日でゲームを作っちゃったんだよ?それも特別賞を受賞するだけのものを。もっと褒めてあげてもいいんじゃないの?」

 

《そう言われましても……私からすればギリギリまで何もせずに最後だけやる気を出して作った物が不思議に評価された結果、奇跡的に今があるようにしか見えないのですが……どこに褒める要素があると?》

 

「……厳しいねぇ」

 

 

 

 まあ、言っていることは事実ではあるんだろうけど……それでも5日でゲームを作ったのはもっと評価しても良いと思うんだけどなぁ……

 

 

 

《……ところでアオト、貴方はよかったのですか?このゲーム機をモモイに返さなくても》

 

「…えっ?」

 

 

 

 ケイから問われた、ゲーム機の話。それはあの日、ミレニアムプライスが終わった後の話だった……

 

 

 

 

 

 

 

――――――――――――――――――――――

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「そういえばアオト、預けてたゲーム機返してほしいな?」

 

「……え、ゲーム機ってこれのこと?」

 

「そう、それ!なんだ、持ち歩いてたんだ……ちょうどいいや、返してアオト」

 

「あー……えっと……ごめんモモイお姉ちゃん!もう少しだけ借りててもいい?遊んでるゲームが面白くて!」

 

「ええっ!?」

 

 

 

 

 

 

 

 

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 あの後、僕がモモイお姉ちゃんから預かっていた『ゲームガールズアドバンスSP』を返してほしいとせがまれた。そのお願いに僕は、もう少しだけ借りていたいとモモイお姉ちゃんに懇願したのだ。やっていたゲームが面白いという適当な理由を付けて。

 

 モモイお姉ちゃんも渋ってはいたのだが、ミドリお姉ちゃんの「もう少しくらい良いんじゃない?それに今は『プライステーション5』の方が熱いんでしょ?」というアシストもありもう少しだけこのゲーム機を持つことが許されたのだ。

 

 どのくらいかは分からないけど、大体1カ月くらいは保つのではないだろうか。

 

 

 

「なんというか、いきなりすぐ返すのもケイ的に困るでしょ?いきなり環境が変わるようなものだし……それにウタハさんに作ってもらった小物もすぐお役御免になるのは嫌だからね」

 

《……そうですか。私は別に環境が変わろうとどうでも良いのですが。そもそも貴方こそ、私と常に一緒に居るのも億劫になるのでは?1週間だけならまだしも今後も一緒というのも疲れると思うのですが》

 

「え?いーや、そんなことないよ?むしろ……」

 

 

 

 

 

「ケイと一緒にいるの好きだもん。楽しいから」

 

 

 

 

《……はぁ》

 

 

 

 ええ、なんでため息…?せっかく僕が普通に好意を伝えただけなのに……

 

 まあでも、ケイは悪く感じていないはずだ。結構無機質な感じだけど、ああ見えて僕のことを心配してくれる優しさがあるのは部室が襲撃を受けた時に知っているから。

 

 まだ出会って1週間も経っていないけど……もっと仲良くなれるはず。

 

 

 

「さて、お昼ご飯作ろ!何食べよっかなー?何が良いと思う?」

 

《……だから私に意見を求めてどうするのですか?》

 

「あははっ、ちょっとした冗談みたいなものだよ!さて、焼きそばでも作ろっかなー」

 

《全く……》

 

 

 

 僕はソファから立ち上がって、キッチンに向かう。お腹は割と空いているから、少し多めに作っても食べられそうだ。

 

 

 

《はぁ……まあ私も……》

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

《貴方といるのは、嫌ではないですから…》

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 ボソッと、小さな声。それでも確かに、僕の耳に入ってきたケイの言葉。

 

 

 

「……え?」

 

 

 

 聞き間違いじゃないよね……?

 

 僕は踵を返して、テーブルに置かれているゲーム機に早足で近づいた。

 

 

 

「ケ、ケイ……いま、僕といるのは嫌じゃないって……」

 

《……な、なんのことでしょうか?そんなこと私は一言も言っていませんが?》

 

 

 

 なにやら恍けているケイ。僕は高まる鼓動と、全身に感じている嬉しさを隠さずにケイを迫る。

 

 

 

「いや、嘘だ!確かに言ってたもん、嫌じゃないって!!」

 

《い、言っていません…!そんなことよりも、早く食事の準備をしたらどうですか…!》

 

 

 

 何やら必死に誤魔化そうとしているケイ。ケイは分かりやすいタイプだとは思っていたが、ここまでとは。

 

 だが誤魔化しているということは、確かにあの時「嫌じゃない」と言っていたということ。今まで僕と一緒に居ても、そんな感想を一言も言ってくれなかったケイがついに言ってくれたのだ。

 

 しかも、悪い意味の言葉じゃない。少なくとも嫌な感情は抱いていないということなのだから。

 

 その事実を知った僕は、ゲーム機を持って目上の高さまで上げてクルクルとその場で舞い上がるように回る。

 

 

 

「あははははっ!ケイが嬉しいこと言ってくれた!僕もケイといるのは好きだよ!」

 

《いや、だから言っていないと言っているでしょう!?少しは話を……!!》

 

「えへへ……ケイから言われるのがこんなに嬉しいなんて思わなかったよ……もっと一緒にいようね、ケイ!!」

 

《だから言ってないと……!!あーもう!!いいから話を聞きなさいアオトォ!!!》

 

 

 

 とても僕1人で暮らしているとは思えない、賑やかなお昼時…数カ月前だったら考えられなかったこの賑やかさ。お姉ちゃんたちと一緒じゃないと得られないと思っていた、この楽しさ。

 

 こんな日常が、ずっと続けばいいのに……そう思わずにはいられなかった。

 

 

 

 

 











はい、第2部終了でございます。「鍵の名を関するキミ」……第2部はタイトル通り、ケイとの出会いを中心に書かせていただきました。

長かったなぁ……いや、私の投稿ペースが遅いのがいけないのですが、正直かなりかかってしまった感はあります。

それにしてもケイちゃんって可愛いですよね。めっちゃ沼りましたもん、ケイちゃんには。グッズとかケイちゃん関連のやつ出たら買ってますし……早く届かないかな〜…

まあとりあえず、第2部は終了ということで次回から第3部に入ります。パヴァーヌ編2章の部分ですね。

どんな物語になるかは……乞うご期待ということで、お楽しみに!


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