才羽家長男・末っ子10歳   作:Kyob

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あ、赤い…バー…だと…!?

まさか赤バーが付くなんて思ってもいませんでした…正直めちゃくちゃ驚いております…
皆さん、本当にありがとうございます!

今後も何とか頑張って投稿していきたいと思っていますので応援よろしくお願いします!




第3話 私はまだ本気を出していないだけ

 

 

モモイが灰燼と化してから少し、山盛りとなった燃えカス(モモイだったもの)を気にせずミドリとアオトは「スマシス」で対戦をしていた。

 

 

「うう…やっぱりミドリお姉ちゃんは強い…」

 

「ふふっ、まだアオトに負けるわけにはいかないからね。」

 

 

既に対戦回数は5回を迎えていたが、アオトは1度もミドリに勝ててはいなかった。流石、モモイを30連敗させた猛者である。

 

 

「でもアオト、本当に上手くなってるよ?昔は結構加減してたけどもう必要ないくらい。」

 

「……やっぱり加減してくれてたんだね…昔のお姉ちゃん…」

 

「あっ…」

 

 

昔はアオトと対戦するときは手加減していたと語るミドリ。なおアオトはその事実を知って少しショックを受けてしまう。一応、アオトはミドリが手加減してくれていたことに察してはいたらしい。

 

まあ、当時まだ10歳にも満たない子供相手に本気で対戦ゲームを挑むのは大人げないとは思うのだが…

 

 

「いや、でも…流石にね…?」

 

「ううん、大丈夫だよミドリお姉ちゃん。」

 

「?」

 

 

フォローしようかと思ったが、良い言葉が思いつかず言い淀んでしまうミドリ。

 

それに対しアオトは…

 

 

「本気のミドリお姉ちゃんに勝つ。そのために頑張るから…!」

 

 

いつか本気のミドリに勝つ宣言をした。どうやらアオトは案外負けず嫌いであるらしい。

 

 

「……ふふっ♪ なら私もアオトに負けないようにもっと強くならなきゃだね。」

 

 

それを聞いたミドリは嬉しそうに微笑んだ。弟がどんどん強くなっていくのは嬉しいものなのだろう。早々負けるつもりはないみたいだが。

 

 

「……もしかしてだけどモモイお姉ちゃんも今まで加減してくれてたり…?」

 

「いや、それはない。」

 

 

もしかしたらモモイも対戦するときは手を抜いていたのではないかと勘繰ったアオトであったが、ミドリは即否定した。

 

 

「今も昔も、お姉ちゃんはアオト相手に本気で戦っていたよ?」

 

「…本当に?」

 

「うん。」

 

 

昔からモモイとアオトは「スマシス」で対戦をしている。当時の対戦成績はモモイが勝率7割ほどであった。

 

裏を返せば昔からアオトは3割モモイに勝っていることになる。しかも当時は今より幼く、年齢は7歳くらいの頃であった。

 

つまりモモイはその年齢の弟に本気で戦って3割負けていることになり…?

 

 

「お姉ちゃんは昔から「スマシス」含めて対戦ゲームは強くなかったし。」

 

「僕が戦っても勝てるくらい…?」

 

「そそ。」

 

 

弟に負けるくらいには対戦ゲームが強くなかったモモイ。伊達にミドリに30連敗はしていないのである。

 

 

「だからさっきの戦いも本気で戦ってちゃんと惨敗してるから安心していいよ。」

 

「そんなに死体蹴りしなくてもいいじゃん!!!」

 

「うわっ、びっくりしたぁ…」

 

「あ、お姉ちゃん起きた。」

 

 

アオトを安心させるために、モモイはちゃんと本気で戦って惨敗したことを語るミドリ。

 

それについて流石に黙ってられなかったのか、燃えカスの山から復活を果たしたモモイは反論すべく飛び出してきた。

 

 

「二人して私を弟にボコボコにされる哀れなクソ雑魚チ〇カス馬鹿姉と罵ってぇ…!」

 

「ええ…?」

 

「お姉ちゃん言葉が汚いし別にそこまで思ってないよ。言ってることは事実だけど。」

 

「おだまりっ!」

 

 

ミドリとアオトもビックリするくらい自分自身を罵倒する言葉を羅列するモモイ。本当は否定してあげるべきであろうが、ミドリは否定することが出来なかった(そもそも否定する気もなかった)。悲しいかな。

 

 

「だいたい、私が本気で戦ってたなんていつ言ったのさ!私はまだ本気を出していないんだからね!!」

 

「…!やっぱりまだ本気じゃなかったんだ…」

 

 

モモイの ‘‘俺はまだ本気を出してないだけ‘‘ 宣言を真に受けたアオトはショックを受ける。本人がそう言っているのだから、本当に本気を出していないのだろうと思ってしまったのだろう。

 

しかしミドリは…

 

 

「いやお姉ちゃん、私は時代の生き証人だよ…」

 

「何…?」

 

「お姉ちゃんをずっと見てきた私だから言える…!お姉ちゃんはいつだって本気だった!」

 

 

そう言ってビシイッ!っとモモイを指さした。

 

 

「昔から偶にアオトに負けたとき悔しそうに暴れてたじゃん!アオトの教育に悪いから負けるたびに暴れないでって何回言ったと思ってるの!」

 

「うっ…そ、それは……」

 

(そういえば偶に僕が勝った時はモモイお姉ちゃん暴れてたなあ…)

 

 

昔からアオトにゲームで負けたら悔しそうに暴れてたと語るミドリ。昔の記憶でもちゃんと暴れてたことを覚えているアオト。

 

 

「そうやって負けたら悔しそうに暴れてたことが本気で戦ってた証なんじゃないの?普通、本気で戦わなきゃ ‘‘悔しい‘‘ なんて感情は湧かないよね?」

 

「ぐっ…ぐう……」

 

「おお、わかりやすいぐうの音…」

 

 

痛いところを突かれてうめき声をあげるモモイ。もはや反論できる道具は持っていないようである。

 

そうして追い詰められたモモイは…

 

 

「こ、こうなったら……もう一回勝負だアオト!!」

 

「え?いいけど…」

 

 

アオトにもう一度勝負を仕掛けてきた。

 

 

「お姉ちゃん…分かってるの…?」

 

「分かってるよミドリ……それでも証明するんだ…!私はまだ本気を出していなかったということを!!」

 

 

私はまだ本気を出していない。次は本気を出す。そう宣言してまでアオトに再戦を仕掛けたモモイ。これでもし負けるなんてことがあれば、恥ずかしいどころの騒ぎではない。

 

 

「モモイお姉ちゃん…本当にやるんだね…?」

 

「当たり前だよ。私の本気、見せてあげる…!」

 

 

そう言って対戦の準備を進める二人。アオトもモモイがこの勝負に負けることの意味を理解しているようだった。

 

 

「いくよ、アオト…!」

 

「うん、モモイお姉ちゃん…!」

 

 

モモイは「クービイ」、アオトは「マリコ」を選択。モモイのある意味全てを賭けた決死の勝負が今、始まる…

 

果たして勝負の行方は────

 

 

 

―――――――――――――――――――――――――――――――――

 

 

 

[マリコ、Win!!!]

 

 

「……勝った…」

 

 

アオトの勝利である。

 

しかもアオトの2ストック残しの勝利。1戦目と何も変わらない結果であった。

 

結局、モモイの ‘‘俺はまだ本気を出してないだけ‘‘ 宣言はただ見栄を張っただけということが証明された。非常に恥ずかしい限りである。

 

ましてや1戦目と同じ2ストック残しという結果から、アオトの方が強いという格付けまで決まってしまった。

 

 

「……モモイお姉ちゃん…」

 

 

アオトがモモイに視線を向ける。その視線の先には…

 

 

「……………………」(チーン…)

 

 

倒れこんでいるモモイがいた。

 

倒れこんでいるモモイの姿。その姿はあのヤ〇チャそっくりであった。もはや戦意喪失状態であるからか、その姿には哀愁が漂っている。

 

1戦目に姉としてのプライドを失い、2戦目で人としての何かを失ったモモイにもはや虚無という感情(?)以外残っていなかった。だからといって擁護できるようなものはないのだが。

 

ちなみにアオトは勝手に挑んできて勝手に負けて勝手に色々なものを失って勝手に虚無になっている姉の姿に何とも言えない感情を抱いていた。そしてもはや生気すら感じられないモモイの姿にアオトは呆れた目を向けている。

 

10歳の弟に呆れられる15歳の姉の誕生である。

 

一方、ミドリはというと…

 

 

「────プッ、おねえ…ッ、アハハハハハッ!!」

 

 

腹を抱えて爆笑していた。

 

 

「おねえッ、ちゃッ…倒れるときッ…最高に悲しい目でッ…こっちをッ…アハハハッ!!」

 

 

というのもミドリは、モモイが倒れる瞬間を目撃したのだが、倒れる際のモモイの最高に悲しい目を見てしまい、それがツボに入ってしまったのである。

 

普段あまり見せないような爆笑。それほどモモイの悲しい目が面白かったのだろう。

 

 

「…モモイお姉ちゃん……」

 

「………………………」←ヤム〇ャモモイ

 

「もう一戦、する…?」

 

「…………………………もう、いい…」

 

 

流石に心がポッキリと逝ってしまったモモイ。

 

こうして「アハハハッ!!!」という笑い声をバックにモモイの戦いは幕を閉じた…

 

 

 

 






原作だと才羽姉妹は昔、仲があまり良くなかったらしいですけど、弟のいるこの世界はどうだったんでしょうね…?

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