小説書いてると1日がバカみたいに早く感じるんですよね〜
「ご、ごめんなさい…怖がらせちゃってごめんなさい…」
「ごめんなさいごめんなさい…不審者だと思ってしまってごめんなさい…」
互いに向き合い、何度も何度も頭を下げるアオトとユズ。頭を下げるたびにブンブンと音が聞こえるやりとりを、モモイとミドリは少し外れたところで見ていた。
((見事にシンクロしてるなぁ…))
頭を下げる動きが完全にシンクロしている二人。その見事なシンクロに感心せざる負えないモモイとミドリ。
「うぅ…本当にごめんね…?すごく怖かったよね…」
「いえいえ大丈夫です!少し驚いてしまっただけなので…」
「ほ、本当…?」
「本当です本当です!だから気にしないでください……あとロッカーの扉を思い切り閉めてしまったのも謝らせてください…怪我とかありませんでしたか…?」
「だ、大丈夫だよ…!怪我もしてないし気にしないで…ね?」
かれこれ数分、謝罪合戦をしているアオトとユズ。気持ちは分からんでもないが、そろそろ収束させようとモモイとミドリは動き出そうとしていた。
「二人ともそろそろいいんじゃない?悪気があったわけでもないんだし。」
「そーそー!これはちょっとした事故みたいなものなんだからさ!」
「「う、うん…」」
モモイとミドリの介入により、アオトとユズは頭を下げるのをやめる。こうしてアオトとユズの謝罪合戦は終結を迎えた。しかし…
「あー、そういえば私もユズに謝りたかったんだよね…」
「…?モモイも…?」
「うん……あの時、ロッカーに向かって‘‘アオトの仇!‘‘みたいな感じで近づいちゃったじゃん?相手がユズって知らなかったとはいえ流石に申し訳なかったというか……ごめん!ユズ!」
「だ、大丈夫だよモモイ!非があるのは怖がらせちゃった私のほうだし仕方ないよ…大事な弟さんだもんね…?」
「で、でも…」
「はいストップお姉ちゃん。お姉ちゃんまで謝罪合戦を始めるつもり?」
ユズだと知らなかったとはいえ、ユズに対して敵意を持って近づいてしまったことを謝るモモイ。ユズは問題ないと言うが、モモイは本当に大丈夫か心配してそうだ。ユズに強く当たりそうになったことを案外引きずっているらしい。
せっかくアオトとユズの謝罪合戦を止めたのにまた謝罪合戦が始まりそうな雰囲気だったので、ミドリは止めに入ろうとした。
「三人とも謝ったし、相手の非に関しては気にしてないんでしょ?」
「それは…」
「うん…」
「そうだね…」
「なら今回の件はこれでおしまい。これでいいでしょ?それよりもアオトとユズは自己紹介しなくていいの?」
「「確かに…」」
改めて始まりそうだった謝罪合戦を終わらせ、この場をまとめたミドリ。それよりも自己紹介はしなくてよいのかという問いにアオトとユズは納得するしかなかった。
――――――――――――――――――――――――――――――———
「改めて、才羽アオトっていいます。10歳です。お姉ちゃん二人がいつもお世話になっています。」
「ゲ、ゲーム開発部部長、1年生の花岡ユズです……よろしくね、アオトくん…」
自己紹介をするアオトとユズ。ここまで波乱な状態が続いていたが、何とかお互いのことを知れたようだ。
「よろしくお願いします…えっと、ユズさんって呼んでもいいですか…?」
「うん、大丈夫だよ…私もアオトくんって呼ばせてもらうね…」
「分かりました。そういえばユズさんはゲーム開発部の部長さんなんですね?」
「うん、私は主にプログラミングを担当でやらせてもらってるかな?」
「プログラミング…何かすごそう…!」
お互いの呼び方も決まり、コミュニケーションをとっていく二人。プログラミングという言葉に目を輝かせるアオト。プログラミングという言葉自体は知っているが、詳しいことは分からないみたいだ。
「そういえばユズちゃんはいつからロッカーの中にいたの?」
「えっと、モモイとミドリが部室に来る前から…」
「それかなり前じゃん!?私たちも部室来てからかれこれ3時間近く経ってるよ!?」
モモイとミドリはおよそ3時間前に部室に来ている。それよりも前に居たとなると一体何時間ロッカーの中に閉じこもっていたのだろうか…
「うん…だから「スマシス」の対戦も見てたよ…?アオトくんがプレイしているところも…」
「…なるほど、お姉ちゃんが私に30連敗したところやアオトにフルボッコにされたところも見ていたと。」
「アーナンノコトカナーキオクニナイナー」
「モモイお姉ちゃん…敗北から目を背けるのは情けないことだよ…?」
「グボハアァッ!!」
「スマシス」の対戦も全部見ていたと語るユズ。敗北の歴史をミドリに振り返らされるも、まるで目を背けるようにすっとぼけるモモイであったが、アオトの「情けない」発言がモモイにクリティカルヒットし吹き飛ばされてしまう。
「ハァ…ハァ…ゲホッゲホッ……ン゛ン゛ッ!そ、それは置いといて!ユズはどうしてロッカーの中なんかに…?全然気配も感じなかったし…」
((強引に話すり替えたね…))
「えっ?えーっとそれは……ロッカーの中だと人目につかないから…それと落ち着くし…」
「あ、ああ…なるほど…?」
「……?ユズさんは人目が苦手なんですか?」
強引に、ユズが何故ロッカーの中に入っていたのかという話にすり替えたモモイ。それに対するユズの答えにアオトは人目が苦手なのかと問う。
「うん、人目もそうだしそもそも人と接したりするのが苦手なの…」
「そうだったんですか……あれ?僕と話すのは大丈夫なんですか?もしかして無理していたり…」
「む、無理していないよ!?大丈夫、アオトくんと話すのは大丈夫だから…!」
そもそも人と接するのは苦手だと語るユズ。アオトはそれを聞いて自分と話すのは無理しているのではないかと心配してしまうが、アオトと話すのは問題ないそうだ。
「……確かに問題なさそうだよね。どうしてアオトは大丈夫なの?」
「それは…アオトくんはモモイとミドリの弟さんだから…それにまだ小学生だし…」
どうやらアオトが大丈夫な理由は、アオトがモモイとミドリの弟であるということと、まだ小学生くらいの子供だという点も相まって話せるらしい。
「僕と話すのが苦痛でないならよかったです…」
「うん、だから気にしなくても大丈夫だから…ね?」
この後も会話を楽しんだユズとアオト。こうして二人は仲を深めていったのだった。
―――――――――――――――――――――――――――――――――
「そういえばずっと触れてこなかったんだけどさ…」
「…?どうしたのアオト?」
「ゲーム開発部ってことはゲームを作っているんだよね?」
「…!うん、そうだよ!」
ついにゲーム開発部のゲーム開発部分に触れたアオト。今までずっとゲームをしている姿しか見ていなかったが、ちゃんとゲームを作っているらしい。
「他に部員はいないの?もしかして3人だけで作ってるとか…?」
「ふっふっふっ…そのまさかだよアオト…!」
「…えっ!?本当に3人だけで作っているの!?」
「そうだよ!すごいでしょー!」
「なんで自慢げなのお姉ちゃん!部員が3人だけっていうのは今うちの部で問題になっていることでしょ!!」
部員3人だけでゲームを作っていることに驚きを隠せないアオト。どうやら3人だけというのも問題らしいが…
「…?3人だけの何が問題なの?人手不足?」
「まあ人手不足であることは否めないっちゃ否めないけど…」
「それよりも重要な問題があって…」
「本来は部員が4人いないとダメなんだけど、うちは3人しかいないから…」
「このままだと廃部の可能性があるんだよね…」
「…………廃部ッ!?」
衝撃の事実にアオトも驚きを隠せないようだった。
何を隠そうこのゲーム開発部は部活の規定人数を満たしていないのである。つまり部として正式に成り立っていないという綱渡り状態にある。そのことに対して某セミナーの会計から警告されまくっているのだが…
「えっ、ならゲームとかしてて大丈夫なの…?結構やばい状況なんじゃ…?」
「だ、大丈夫大丈夫!!何とかしようと頑張ってはいるから!!」
(……本当に大丈夫なのかなあ…?)
切羽詰まっている状況だというのに大丈夫だと言い張るモモイ。それに対して不安しか感じないアオト。
「と、とにかく!私たちは3人で頑張ってゲームを作っているんだよ!」
「3人って…どういう役割分担で作っているの?」
3人でいったいどうやって作っているのか。それぞれの役割が気になるアオト。
「えっと…さっきも言ったけど私はプログラム担当で…」
「私は絵とかグラフィックとかそういうの全般を担当しているかな。」
「私はシナリオ担当だよ!」
「な、なるほど…」
それぞれの役割を知ったアオトは、3人で作れているんだなと一応納得した。作れているということは実際に作ったゲームもあるわけで…
「実際に作ったゲームもあるんだよね?」
「うん!あるよ!」
「……遊んでみてもいい?」
「…!もちろん!準備するから待ってて!!」
実際に作ったゲームがあるようで、遊んでみたいと話すアオト。それを聞いたモモイは嬉しそうに準備を始めた。
「アオトにもやってみてもらうんだ…どうなるんだろう…」
「うう…アオトくん楽しんでくれるかなあ…」
モモイが何のゲームをやらせようとしているのか分かったミドリとユズ。ミドリは少し楽し気に笑い、ユズは少し心配そうにアオトのことを見る。
「さ、準備できたよ!早速やってみて!」
「う、うん。ありがとう、モモイお姉ちゃん…」
テレビの前に座り、コントローラーを握るアオト。ゲームが始まり、タイトル画面が映し出される。そこに映し出されたタイトル名は…
────「テイルズ・サガ・クロニクル」
略して「TSC」。姉が制作に携わったとされるゲームに心躍るアオト。果たしてこのゲームを遊ぶアオトはどのような感情を持つことになるのか…
才羽アオトの「
果たしてアオトは「TSC」から生きて帰ってくることが出来るのか…