魔女は今世でも彼女と一緒にいたい!!仲良くなりたい!!守りたい!!   作:猫とふりかけ

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じゃんじゃん投稿するよ


日本の魔女、ホグワーツに向かう

その日は天気が晴れ。なんて気持ちのいい出発日和だろう。

ホテルでチェックインを済ませ、バスで駅に向かった。

 

駅に到着したはいいが、私は首をかしげた。

なぜなら——

 

「九と四分の三番線って……どういう意味?」

 

全く分からない。初めて聞く言葉に困惑する。

駅構内をうろついていると、カートを押したきり丸が同じように困った顔で彷徨っているのを見つけた。声をかけると、彼も同様に首を傾げた。

 

「銀灰先輩……これ、どういう意味すか? 全然わかんないっす」

 

「奇遇だね、きり丸。私もさ。とりあえず駅の中を見て回ろう。何かヒントがあるかもしれないよ」

 

「うっす」

 

私たちは駅の中へと入る。すると、赤毛の家族がカートを押しているのが見えた。私はパチンと指を鳴らす。

 

それを見たきり丸が首をかしげる。

 

「先輩? なんで指鳴らしたんすか?」

 

「しめたよ、きり丸。あの赤毛の集団、たぶん私たちと同じ“向こう側”の人間さ。着いてきたまえ!」

 

私は勢いよくカートを押して小走りになる。きり丸が慌てて後を追った。

すると、赤毛の家族はある壁に向かって走り出し、そのままカートごと消えてしまった。眼鏡の少年や、母親と幼い少女まで、壁の中へと姿を消す。

 

それを見て、私たちも壁へと向かう。

きり丸が恐る恐る手を伸ばすと、壁に沈んだ。

 

「うわ、本当に……通れる……!」

 

彼は意を決してカートごと壁の中に突っ込んでいく。私もそれに続いた。

 

「わあ……」

 

思わず感嘆の声を漏らす。そこには立派な汽車が停まっていた。

きり丸も驚いた様子で汽車を見上げていた。

 

私たちは急いでカートを押しながら汽車へと乗り込み、通路を進みながら空いている席を探す。

 

「えーと、どれにしようかな♪ 神様の言うとおり♪」

 

私は列車の個室のドアを指差しながら、子どものように口ずさむ。

 

「先輩……どれでもいいっすから、早く決めましょうよ……」

 

「じゃあ、これ!」

 

私は適当に選んだ扉をコンコンとノックする。

中から聞こえた声に、私はきり丸と顔を見合わせた。

 

「はーい」

……間違いない。ずっと聞いてきた、あの声だ。保健委員の善法寺先輩に負けないほどの不幸体質、優しい性格のあの少年——

 

扉が開くと、オレンジ色の短髪の少年が驚いた顔でこちらを見ていた。

 

「ど、どうも〜。久しぶり! 元気? 髪切った?」

 

「乱太郎!?」

 

きり丸が素っ頓狂な声をあげる。一方の私は、あくまで自然体でタモリばりの挨拶をする。

 

「えええええええええ!?」

 

乱太郎の大声が汽車の中に響いた。

そこへ、ふくよかでいかにもお坊ちゃまな少年が顔を出す。間違いない、食べることが大好きで、世間知らずで怪力な——

 

「乱太郎……どうしたの? え? きり丸!? 銀灰先輩!? どうしてここに!? え、え? ど、どういうこと?」

 

混乱するしんべヱ。そんな彼らを見て、思わず私は笑ってしまった。

慌てふためく姿が可愛くて仕方ない。

 

「銀灰先輩……後輩で遊ばないでくださいよ」

 

きり丸が呆れたように言う。

 

「すまない、つい、面白くて」

 

私は笑いながら席に座る。乱太郎としんべヱも戸惑いながらも席を譲ってくれた。

 

「先輩ですよね……?」

 

乱太郎が恐る恐る尋ねる。

 

「それ以外に誰だというのかね?」

 

「やっぱり……銀灰先輩ですよね……」

 

「銀灰先輩って、僕たちより年上なんですか?」

 

どうやら、しんべヱは私をホグワーツの“先輩”だと思っているらしい。

 

「まさかまさか! 君たちと同じ、ピカピカの一年生だとも!」

 

「えええ!? 先輩が!?」

 

目をまん丸にするしんべヱ。うん、いいリアクションだ。こういうのを見ると、やっぱり後輩ってかわいいなって思う。

 

その後、私たちはお互いに事情を話し合った。

乱太郎は米農家の家で、しんべヱは貿易関係の裕福な家。根本の設定は変わっていないようだ。私ときり丸も、自分たちの経緯を話した。

 

「無事でよかったです、銀灰先輩……」

 

しんべヱが頬をかきながら、照れたように言う。

 

「ありがとう。君たちも、無事で何よりだよ」

 

優しくて素直な彼らに、私は自然と笑みを浮かべた。

 

「ふふ、本当にいい後輩たちだね」

 

私がそう呟くと、きり丸が少し驚いたようにこちらを見る。

 

「珍しいっすね、銀灰先輩が素直に褒めるなんて」

 

「たまにはね。こういうのも悪くないだろう?」

 

私の言葉に、乱太郎としんべヱが照れ笑いを浮かべた。

車内には、まるであの忍術学園で過ごした穏やかな時間が、ふと戻ってきたかのような空気が流れていた。

 

——でも、私はふと、胸の奥に小さなざわめきを感じていた。

 

「さてと。そろそろ本題に入ろうか」

 

私はおどけた口調で言って、乱太郎としんべヱの前に身を乗り出した。

 

「君たちは、どうしてこんなところに?魔法使いの家系なの?」

 

すると乱太郎は、少し困ったように笑いながら、「えーと、それがですね……」と話し始めた。

 

彼らの話は、奇妙で、どこか懐かしくて、そしてほんの少し、運命的だった――。

 

「なるほど、乱太郎はきり丸と同じマグル生まれか……」

 

「はい、僕は日本に住んでいるんですが、いきなりスネイプ先生でしょうか、家に来たんですよ」

 

「僕の家は、マクゴナガル先生だったよ」

 

「俺はダンブルドア先生だったぜ!」

 

「あの、ダンブルドアが?」

 

私はきり丸の話にピクリと反応した。彼は「そうっすよ」となんてことないように、詳しく話した。どうやら、孤児院の院長がダンブルドアと顔見知りらしくて、訪れたらしい。

 

「そうっすよ。なんか、僕が『ちょっと変わった気配の子』だって話になったらしくて。そしたら突然、『ホグワーツに来てみないか?』って。で、気づいたら、ここにいたってワケっす」

 

きり丸はどこか誇らしげに胸を張って言った。それを聞いた乱太郎としんべヱが、同時に「へえ〜!」と感心したように声を上げた。

 

私はそんなきり丸の話に眉をひそめつつも、どこか納得する部分もあった。

――たしかに、彼は妙に勘が鋭くて、他人の懐にもすぐ入り込む。不思議と人を惹きつけるところがある。魔法使いとしての素質、あるいは“器”とでも言うべきものが、彼にあったのかもしれない。

 

「でもさ、ダンブルドア先生がきり丸をスカウトするなんて、ちょっと意外だったな」

 

そう口にすると、きり丸はケタケタと笑った。

 

「いや〜、俺も最初はビビりましたよ?あんな長いひげのじいさんがいきなり現れて、いきなり『ホグワーツ』とか言い出すんだもん。夢かと思ったっすよ」

 

「夢どころか、今や現実になってるから不思議だね」

 

私が笑いながら言うと、乱太郎がふと首をかしげた。

 

「でも、きり丸って……魔法使いの家の出じゃないよね?」

 

「いやいや、全然。俺、ただの孤児だぜ。だから、ホグワーツでも“マグル生まれ”ってやつ」

 

そう言って、きり丸は肩をすくめた。その言葉に、私は一瞬息を呑む。

マグル生まれの魔法使い――

差別も多いという噂は、魔法界ではよく聞く。

 

けれど、そんな逆風の中でも、きり丸は――彼らしい明るさで、まっすぐにここまで来たのだ。

 

「……君らしいよ、きり丸。いいね、そういうの」

 

「へへっ、ありがとうございます、銀灰先輩!」

 

彼がそう言って笑ったとき、私はふと、彼の背中に小さな翼のようなものを見た気がした。

 

(まったく、きり丸はどこへ行っても、自由で、風のようだ)

 

そんなことを考えていたら、しんべヱがまた話題を変えた。

 

「でも、すごいですね。僕なんか、ただ家が貿易で忙しいってだけで、魔法界に繋がりがあったらしくて、推薦できたんですよ?」

 

「推薦?」

 

「そうです。“予備的な後継者候補”って立場らしくて……僕もよくわかんないですけど……」

 

私はその言葉に、少しだけ視線を細めた。

――予備的な後継者。つまり、何か“魔法的な系譜”がある家系なのだろう。

 

しんべヱの家が、ただの貿易業を装った“魔法使いの血を引く家”だとすれば……。

 

(ふむ、面白くなってきた)

 

「じゃあ次は、乱太郎の番だね」

 

「ええ!?僕ですか!?えっと……僕の家は、本当にただの農家なんですけど……」

 

乱太郎があたふたと語り始める。

その姿に、また私はクスクスと笑ってしまった。

 

(やっぱり、君達と話すのは飽きない)

 

まだまだ、謎は深まるばかりだった。

 

――でも、それが楽しい。

 

それから、列車は出発して、しばらく景色には広い草原が広がっていた。私は本を読みながら、三人の後輩は楽しげに会話を楽しんでいる。それから、お菓子を店内販売をしたおばちゃんにお菓子を購入した。

 

カエルチョコはよかったが、あとはクレイジーを極める。特に百味ビーンズには。あり得ない味に当たり、悶絶したのは別の話。それから、サンドイッチを食べたり、しんべヱの豪華な弁当を分けてもらったりしながら、お昼は過ぎていった。

 

皆、思い思いに過ごしていると、扉が突然、開かれた。そこには、ふわふわの栗毛の少女が制服姿で出てきた。後ろには気弱そうな少年がグズグズと泣いている。そして、気が強そうな声で私達にペラペラと声をかけた。

 

「ねえ、あなた達、ネビルのヒキガエルしらない?まあ、あなた達も日本人!?今年も多いわね……私はハーマイオニー・グレンジャー。よろしく。」

 

「グレンジャーさん。日本人が多いってどういうこと?」

 

「そのまんまの意味よ。私達、ネビルのカエルを探しに席を見て回ったの。そしたら、席にほとんどの生徒に日本人がいたの!十は超えていたわ!」

 

日本人。私はグレンジャーさんに質問を投げかける。

 

「そこを詳しく」

 

「ええ、確か、名前を名乗ったのは、ショウザエモン・クロキとキンゴ・ミナモトにダンゾウ・カトウね!」

 

私達は三人で、顔を見合わせた。

まさか、知り合いが、ここに来ているとはなんたる偶然。きり丸は冗談っぽくいい始めた。

 

「まさか……一年、は組全員、大集合!なーんて、なったりして……」

 

「まさか、ありえないよ!」

 

「でも、乱太郎。僕達がこうして、来ているから。そうなる可能性はありえるかも……」 

 

しんべヱの言葉に私達はしーんと静まりかえる。いや、あり得るのか?でも、なぜか、しんべヱの言葉を否定できない自分がいる。"あり得ないことはあり得ない"本当にそうなのか?私は胸の奥がざわつくのを感じていた。

一見突飛なその可能性に、なぜか抗いきれない確信がじわりと広がっていく。

 

(クロキ、ミナモト、カトウ……間違いない、あの三人だ。なんで彼らまで、ホグワーツに……?)

 

きり丸は腕を組み、やたら真剣な顔をしてぼそっと呟く。

 

「……ってことはさ、この調子でいけば、他の人まで現れたりしてな」

 

「ええっ!?それは……それは絶対ないって!」

 

乱太郎が必死に否定するけれど、その顔にはもう、どこか“まさか”を信じかけている色があった。

しんべヱは顎に手を当てて、うーんと唸る。

 

「……いや、でも本当に、僕達が来てる時点でおかしいんですよね。だったら、他の人がいても全然おかしくないんですよ……」

 

その言葉に、私は静かに頷いた。

 

「確かに、何か“意志”のようなものが、私達をここに集めている気がしてならない」

 

「それって、誰かが仕組んでるってことっすか?」

 

「かもしれないし、あるいは、偶然が偶然を呼んでるだけかもしれない。」

 

私の真剣な口調に、きり丸としんべヱがぐっと表情を引き締めた。乱太郎はぽつりと呟く。

 

「でも、もし本当に一年は組が全員来てるとしたら……それって、僕達が何かに“選ばれてる”ってことなんじゃ……?」

 

その時、ハーマイオニーが困ったような顔で割って入った。

 

「あの……ネビルのヒキガエル、まだ見つかってないんだけど……話の途中でごめんなさいね」

 

「あっ、ごめん。今、ちょっと取り乱してたよ」

 

しんべヱが頭をかきながら謝ると、ハーマイオニーは「まあいいわ」と言いながらも、ちらりと私達のことを観察していた。まるで、何かを測るような視線――

 

(……観察眼が鋭い子だ)

 

「とにかく、僕達も手伝おう。ネビル君のカエル、見つけないとね」

 

そう言って乱太郎が立ち上がると、きり丸もしんべヱもそれに続いた。私も席を立つ。

 

「カエル探しも悪くないさ。どうせなら、気分転換に全体を見て回ろう。……“誰がここに来ているのか”も含めて、ね」

 

「銀灰先輩、それって……」  

 

乱太郎はすぐに何か察した。嫌いじゃないよ、勘が鋭いのは。 

 

「ああ、調査開始ってことさ」

 

そう言って、私は杖を軽くポンと肩に当てた。

 

「ありがとう……うう……」 

 

ネビルはすすり泣きながら、お礼を言う。“カエル探し”は、きっとただの序章に過ぎない。

 

私達の“ホグワーツでの物語”は、今まさに動き出したばかりだった。

そしてその物語には、まだ見ぬ仲間達が――いや、再会する誰か達が、確実に待っている気がしていた。

 

(……さあ、どこまで来てる?一年は組の皆)

 

――不思議な再会と、魔法の幕開けが、今始まろうとしていた。

 

「というわけで……たのもー!」

 

「だあー!先輩!いきなりすぎるっすよ!」

 

「え!なになに!?ええええええ!?ぎ、銀灰、先輩!?」

 

「なんだよ……団蔵……うるさいよ……え?ええ!?」

 

団蔵と金吾は制服姿で驚いている。ふふっ。いいリアクション。私は二人のビックリに満足気に頷いた。団蔵なんて、ひっくり返っている。いいぞ、若旦那。いよっ!ナイス、リアクション!

 

「銀灰先輩。お久しぶりですね」

 

「んもー!庄ちゃんったら、相変わらず冷静ね!」

 

彼は普段通りに挨拶するから、思わずズッコケそうになる。団蔵と金吾は昨日のきり丸のようにはくはくと酸素不足の金魚みたいだ。それから、混乱する彼らを無視して、次の部屋へ足を運んでは、驚かす。そして、調査した結果……。

 

「まさか……は組どころか、い組とろ組もいたとはな〜」

 

「なんか、みんな銀灰先輩に驚いてたね」

 

きり丸が疲れたように言い、乱太郎は「あはは……」と笑っていた。一方私は、たくさんの人を驚かせて肌がツヤツヤ。うん、い組のリアクションもなかなか面白かった。伏木蔵君の「ミステリ〜」って反応も良かったし。あとは伝七と佐吉か。

 

すると、何やら言い争う声が聞こえてきた。聞き慣れた声に私はすぐピンときて、早足でその場へ向かう。そこでは、さっき見かけた赤毛の少年と眼鏡の少年が、伝七と佐吉と言い争っていた。私は何事もないようにスッとその間に入り込んだ。

 

「どうしたんだい?君たち、喧嘩はよくないよ!」

 

「なんだよ。今は部外者は……え?ぎ、銀灰先輩!?」

 

「伝七、何言って……え!? 先輩!?」

 

「うんうん、ナイスリアクションだね!君たち!」

 

伝七と佐吉の反応に、私は気分がよくなってきた。そこへきり丸、しんべヱ、乱太郎も後から加わってきた。伝七は「げっ!」と声を上げる。

 

「乱きりしん!?」

 

「嘘だろ……?アホのは組が……」

 

「そんなことより、どうしたんだい? 喧嘩かい?」

 

赤毛の少年はご立腹で伝七を睨みつけ、眼鏡の少年も佐吉を敵視していた。佐吉は手を押さえている。それを見た私は、佐吉に声をかけた。

 

「どうしたんだい? その手、怪我してるじゃないか」

 

「あの、ネズミにやられて……」

 

「なるほど」

 

赤毛の少年の手には、ネズミが握られていた。佐吉はそのネズミに噛まれたようだ。痛々しい傷が残っている。私は杖を取り出し、佐吉の手に魔法をかけた。

 

「エピスキー(癒えよ)」

 

「はい、これで良くなったよ」

 

「ありがとうございます」

 

魔法を使った私を見て、伝七がキラキラした目で感心したように言った。

 

「さすが先輩です! 魔法を使えるんですね!」

 

「ああ、使えるとも。それで、喧嘩の理由は?」

 

伝七は喧嘩のきっかけを語った。

 

「僕たちは、お菓子を分けてもらおうと……」

 

「違う! こいつらが、お菓子を盗もうとしたんだ! な? ハリー!」

 

「はあ? 僕らがそんなことするわけないだろ?」

 

赤毛の少年が叫ぶ。伝七は鼻を鳴らして小馬鹿にする。

 

「ちょっと、待ち給え。君……ハリーって言ったね? 赤毛君」

 

「それがなんだ? 見ての通り、ハリー・ポッターだよ!」

 

「……あの、ハリー?」

 

「銀灰先輩?」

 

私が固まっていると、きり丸が私を呼びかける。まさか、この少年があの「例のあの人」から生き残ったハリー・ポッター? こんなガリガリに痩せた少年が……。

 

「眼鏡君……君が、ハリー・ポッターかい?」

 

「そうだよ、ザクロ。僕がハリー・ポッター」

 

「そうか……」

 

私はその後、伝七と佐吉にバームクーヘンと文明堂のカステラを渡した。喧嘩両成敗。怪我を負わせたハリーたちにも、挑発した伝七たちにも非がある。言いたげない組の二人は黙って席へ戻っていった。私は少し苦笑しながら、ハリーたちに謝罪する。

 

「すまないね、知り合いが」

 

「……あの二人はいつも、ああなのか? 上から目線で!」

 

まだ怒りがおさまらない赤毛の少年がプンスカ言っている。きり丸が苦笑して言った。

 

「伝七と佐吉は、いつもああだぜ。上から目線だし……」

 

「キリマル、そうなの?」

 

「うん、本当にすまない。後で伝七と佐吉にきつく言っておくから……ね?」

 

私が手を合わせて「この通り!」と頭を下げると、赤毛の少年はむすっとしながらも「……まあ、君が謝ることじゃないしな」と言って、少しだけ機嫌を直したようだった。

 

ハリーはというと、少し眉を下げながらも優しく頷いてくれた。

 

「でも、あれだけ魔法界のことを詳しく知ってるのは驚いたよ。僕たちより詳しいくらいだったし」

 

「……まあ、忍たまの連中は、ちょっと変わってるから」

 

きり丸がぽりぽりと頭をかく。私は苦笑しながら、心の中で(“ちょっと”どころじゃないけどね)と呟いていた。

 

「赤毛君、君はなんていうのかな?」

 

「ロン、ロン・ウィーズリー」

 

「ロン! 麻雀みたいな名前だね!」

 

私があははは!と笑うと、乱太郎たちは疑問符を浮かべた表情をする。ロンは後頭部を掻きながら補足する。

 

「本当はロナウド・ウィーズリーなんだけどね」

 

「私は乱太郎で、こっちがしんべヱ、こっちが……」

 

「ああ、知ってるよ。ザクロにキリマルだろ? ハリーから聞いたよ」

 

ロンはカエルチョコをもぐもぐと頬張っている。ハリーはカステラを食べていた。うん、美味かろう、ハリー。たんとお食べ。美味しそうに食べる彼に、私はなぜか食堂のおばちゃんの気分になっていた。

 

「じゃあ、私たちも行きますか」

 

「おう、そうだな」

 

「行こう行こう!」

 

ハリーとロンと別れて席へ戻ると、グレンジャーさんがネビルを連れて戻ってきた。

 

「どう? ネビルのカエル、見つかった?」

 

【あっ……】

 

私と乱きりしんは、完全に忘れていた。ネビルのヒキガエルのことを。すまない、ネビル。後輩たちを驚かすのに夢中で忘れていたよ……。すると、きり丸がネビルの肩に手を置き、そっと言った。

 

「ネビル……残念だが、ヒキガエルは野生に帰ったんだよ……」

 

「ええ!? そんな!」

 

「おーい、きり丸? 適当なことを言うんじゃない」

 

「バレたか」

 

しれっと肩をすくめるきり丸に、私は呆れながら小さくため息をついた。ネビルは半べそでグズグズと鼻をすすっている。

 

「ひ、ひどいよぉ……トレヴァー……」

 

「大丈夫、ネビル君。ちゃんと探せば、どこかにいるはずだよ」

 

乱太郎が優しく声をかけると、ネビルは涙目で小さく頷いた。私は少しだけ目を細める。こういう時の乱太郎の優しさは、本当に強い武器だ。

 

「というわけで、探索範囲を広げましょう。きり丸としんべヱは後方車両を。私は前の車両を見てくる。乱太郎とネビル君はこの車両をもう一度確認して」

 

「了解です! カエル一匹、全力で探してみせます!」

 

「カエルの気持ちになって考えるんだよ、きり丸。君、割と得意でしょ?」

 

「タチエ先輩、それは褒めてます? 貶してます?」

 

「どっちでもない」

 

私はさらっと言い捨てて、前方へと歩き出した。ハーマイオニーが私の横に並ぶ。

 

「あなた達、すごくチームワークがいいのね。ちょっと驚いたわ」

 

「忍者の訓練をしてるからね。連携は、命綱なんだ」

 

「忍者……!?やっぱり、日本って不思議な国ね……。あ、ちなみに、ヒキガエルって暖かいところに行く傾向があるの。だから、キッチン車両の近くとか……」

 

「なるほど。助かるよ、グレンジャーさん」

 

「ハーマイオニーでいいわよ。あなたの名前は?」

 

「銀灰柘榴。よろしくね」

 

しっかりと握手を交わしたその時――

 

「いたーっ! ヒキガエルいたよーっ!」

 

突然、しんべヱの叫び声が車両中に響いた。私とハーマイオニーは顔を見合わせ、すぐに戻る。

 

そこには、カエルを両手で抱えて、顔をくしゃくしゃにして笑うネビルの姿があった。

 

「トレヴァー! よかった……!」

 

「おーい。僕が捕まえたんだから感謝してよね」

 

「ありがとう……ありがとう……!」

 

ネビルは思いっきりしんべヱに抱きついた。しんべヱは「わっ」と言いながらも、どこか誇らしげに笑った。

 

「よかったね、ネビル君」

 

乱太郎の言葉に、ネビルは涙ぐみながら何度も頷いた。

 

――ほんの些細な出来事。でも、こうして誰かを笑顔にできる瞬間が、私は好きだ。

 

(……でも)

 

私は車窓の向こう、どこまでも続く夜景を見つめる。

 

(この物語は、これだけでは終わらない。まだ――始まったばかりなんだから)

 

「さて、次は誰に会えるかな……」

 

ふと、そんな呟きが口から漏れた。

 

ハーマイオニーが小さく笑って、問い返す。

 

「あなた、もしかして“誰か”に会うために来たの?」

 

私は少しだけ微笑んで、静かに首を横に振った。

 

「“誰が来ているか”を、確かめるためにね」

 

ハーマイオニーさんは慌てたように言った。

 

「あ!あなた達急いで、あと少しでホグワーツに着くわ!」

 

それから、私達は大急ぎで制服に着替えた。ああ、とうとう着くんだ、ホグワーツに。緊張感が増していく。きっと私は大勢の前で自己紹介をするんだ。けれど、大丈夫。余興の練習もしたし、後は、実戦あるのみ。

 

近づくホグワーツの駅に胸を高ぶらせながら、瞬く星達を眺める。

 

(ついにホグワーツに来たんだ)

 

新しい制服を着て、ピカピカのホグワーツ一年生になった私。きっとこれからも、素敵な一年にしていきたい。そんな思いを抱きながら、私は挑戦気味にニヤリと笑った。

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