最高のM.A.V. 俺とパイロット   作:脳を焼かれた00ユニット

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息抜きの息抜き。人妻に脳が焼かれた人多いね。私もだよ
マブという音からの発想で細かい整合性は取れてないかも
なんにせよ戦術機とMSどっちが強い論争をする気はないよ







0-GRAVITY

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 俺は知らない。重力の先にある自由(うちゅう)を。

 あんちくしょうの作業ロボット(BETA)どもがやってきたせいで地球の宇宙産業はボロボロになった。

 アポロ計画なんてものは白紙に戻り、月に靡くのは残骸だけだ。

 地上でも戦線は常に後退し続けており、ついにヨーロッパ全土が落ちた。

 それでも人類は敵を前に一致団結などせず、内ゲバに次ぐ内ゲバ。

 正しく生きる者ほど損をする。

 それが俺の知るクソッタレな世界。

 そのはずだ。

 

 なら。

 

 これは。

 

 俺の前で。

 

 無限に広がる青い宇宙(うみ)は、一体。

 

 なんだっていうんだ?

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 人類が増えすぎた人口を宇宙に移民させるようになってすでに半世紀。

 地球の周りに浮かぶ数多のコロニーで人々は生まれ、そして死ぬ。

 人工の大地はもはや第二の故郷となっていた。

 されど、貧富の差は埋まることなく。

 その小さな綻びは大きな歪みとなって表れた。

 宇宙世紀0079。

 地球から遠く離れたコロニー、サイド3はジオン公国を名乗る。

 さらにスペースノイドの自治権という()()()を携えて、地球連邦へ宣戦布告した。

 のちに1年戦争と呼ばれる戦乱の時代。

 総人口の半数を失ってなお、人類は戦争をやめられないでいた。

 

 

 

 

 

 

――――ラグランジュ5 暗礁宙域。

 

 

 

 青い燐光を閃かせて、宙を泳ぐ。

 人型は幾度も弧を描き、宙を踊る。

 

「『蜃気楼』が出たぞ! 各機散開! M.A.V.で対応しろ!」

 

「今日こそ仕留めてやる!」

 

 緑の巨人たちは二人一組となって人型を追う。

 相手は悪名高き蜃気楼。

 パトロール部隊ばかりを付け狙う許せないやつだ。

 義憤に燃えた巨人は手に持った銃で猟犬のように追い立てる。

 しかし。

 

「なんであんな機動が出来るんだよ!」

 

「パイロットは生きているのか!?」

 

 マシンガン、バズーカ、ミサイル。

 人型はそのすべてを稲妻の如き素早さで躱している。

 

「だが加速はザクも負けてねぇ! いずれ追いつく!」

 

 回避を強要した甲斐もあって、巨人は人型との距離をじりじり縮めていく。

 

「蜃気楼………連邦軍のユニカムって話だが、単独行動ばかりする。どこから来た? どこへ行く? お前の中身(はら)には―――――むっ!?」

 

 ただ前に進むだけで背中を向けている人型。

 無防備にも見えるそれ。

 しかし、背中のウェポンラックが独りでに動き、背後を一見もせず巨人めがけて銃撃した。

 

「後ろにも目がッ!」

 

「ワッツ! くそっ!」

 

 巨人の1人が脱落。

 されど巨人の足は止まらない。

 

 仲間が落とされたことで追い立てはさらに激しさを増し。

 

 やがて近接戦の距離になる。

 

「弾があたんねぇなら、やるぞ!」

 

「おう!」

 

「その腹掻っ捌いてやルァ!」

 

 巨人は斧型の武器――ヒートホークを振りかぶって人型に叩きつけようとする。

 

 その動きを読んでいたかのように、人型は反応した。

 左側のブースターのみのバレルロール。

 その動きでヒートホークを回避しつつ、長剣を抜刀。

 

「なぁっ!?」

 

 音もなく巨人を斬り裂いた。

 

「ジェイコブ! 野郎俺のマヴを!」

 

「M.A.V.もいねぇくせに!」

 

 接近戦が不利と見るや再び射撃する巨人もいたが、いずれも命中せず。

 

「ドブカスがぁぁぁぁぁぁ!」

 

 程なくして。

 ジオン公国のパトロール部隊は通信途絶となった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 地球連邦軍のMS(モビルスーツ)パイロット、シイコ中尉の姿はサイド4のあるコロニーにあった。

 サイド4で母艦が補給する間、休養も兼ねて街に出ていたのだ。

 街並みを眺めれば、昼過ぎだからか人の往来も多く見える。

 独立戦争が始まっても人々の生活は変わることがない。

 朝から会社に出勤し、下げたくもない頭を下げ、日も沈むころに退社し、家へ帰る。

 ()()の生活。

 だから、そういった人々の生活を守るためにも戦うものがいるのだ。

 シイコは自分の()()を眺めながら街を歩く。

 しかし、ふと入り込んだ路地裏で驚くべきものを発見してしまっては、その足も止まる。

 巧妙に隠されていたようだが、シイコはそこへ導かれるような感覚を味わっていた。

 

「こんなところにモビルスーツ……?」

 

 それも見たことがない。

 連邦の軽キャノンでもないし、ジオンのザクでもない謎の人型(モビルスーツ)

 

 手持ちライトで照らしてみればさらにはっきりする。

 

 青い機体だった。

 しゃがんでいるが、大きさは一般的なモビルスーツと大差ないように思える。

 頭部に備わった大きなアンテナ。目を隠すようなバイザー。かぎ爪のような肩。マニピュレータを備えた腕。人を乗せるための胴体。可動域の広そうな腰部。巨体を支えるための細い足。

 それは。

 流線的なボディの中に鋭利さを備えた()の機体だ。

 

「すごい……」

 

 モビルスーツの造形に詳しくないシイコでも、この人型がとことんまで突き詰めた人の叡智の結晶であることは理解できる。

 しばし、見惚れたように動けなかった。

 

 その体を動かすことになるのは、突如として背後の大通りに爆発音が響いたからだ。

 

「なに!?」

 

 声に出した言葉とは異なり、シイコはその原因を直感的に理解していた。

 

「ジオンのテロだなんて!」

 

 体は即座に防御姿勢を取り、爆風をしのぐ。

 

「中立コロニーも攻撃するのか、ジオン!」

 

 人々の悲しみが見えた。

 今の爆発で一体何人が犠牲になったのか。

 おそらくどこかでサラミスの入港が漏れたのだ。

 だからといって過激派が先走るのを許せるものではない。

 口調とは裏腹にシイコの思考は冷静だった。 

 

 視線を大通りに移し、母艦たるサラミスへの帰還ルートを頭の中で描く。

 

「……………」

 

 一瞬、このモビルスーツをどうするべきか逡巡した。

 テロに同調して動き出さないあたり、ジオンの味方ではないように思えた。

 それをこのまま放置しては鹵獲ないし破壊されるかもしれない。

 とはいっても自分がどうこうできるものでもないな、と思い直して立ち上がろうとした。

 

 その時。

 

「なに………? 乗れっていうの……?」

 

 独りでにコックピットハッチが開き、乗りやすいように手まで足場に動かした機体。

 

 再び逡巡。

 されど背後で断続的に続く爆発と警報、人々の悲鳴を聞いてしまえば、腹は決まった。

 機体の手を足場にして乗り込む。

 するとやはりコクピットハッチは勝手に閉まりだす。

 座席にはヘルメットがひとつ置いてあった。

 

 シイコは直感に従ってヘルメットを被り、着座。

 

「何がどうなってるのかわからないけど………」

 

 やることは決まっている。

 

「ジオンは倒す!」

 

 操縦桿らしきものを握る。

 不思議なことに愛機の軽キャノンと似た操縦系統をしているようだ。

 

 外の様子がヘルメット内部――正確には網膜に直接である――に映し出される。

 

 軽快な音を立てて立ち上がる人型。

 隠れ蓑になっていた家の屋根が壊れるも、機体に傷がついた様子はない。

 

「よし、よし………私にも使える」

 

 その瞬間だった。

 

『衛士のDNA情報を登録。ようこそ、シラヌイへ』

 

「だれ!?」

 

 脳に直接響くような声。

 

『失礼した。俺はシラヌイの制御OSだ』

 

「喋るOSだっていうの………?」

 

 シラヌイ? 喋るOS?

 そんなことは聞いたことがない。

 

『そうだ。しかし信じる必要はないぞ。優先順位が低い』

 

「ッ! そうよ、武器!」

 

 今がどんな状況下を思い出したシイコが問えば。

 

『当然、あるとも』

 

 メインモニターが示したものは、背後のウェポンラックに備えられた突撃砲と実体剣(ロングソード)、それと腕部に格納されたナイフ。

 

「上等ね」

 

 不敵な笑みを浮かべ、シイコは即座に行動する。

 

 跳躍(ジャンプ)ユニットが火を噴いて機体が上空に飛び上がる。

 

 そこで改めて確認する街の状況はひどいものだった。

 そこかしこで火の手が上がり、建物は崩れ去っている。

 人々は慌てふためき、2次被害まで起きているのだ。

 そして下手人は。

 

『不明機体が3機。マークした』

 

「ザクなんてどうやって持ち込んだのよ………近場からやる!」

 

『了解した』

 

 ザクへ接近するためにスラスターペダルを踏み込んだシイコは、不思議な感覚を見た。

 

(体が………2つある?)

 

 この時、シイコは突撃砲のマシンガンを牽制にして実体剣で攻撃しようと考えていた。

 それはザクがこちらを撃っても、こちらがザクを撃っても周りに被害が出るからだ。実弾はもちろん空から降った薬莢は人に当たれば死に至る十分な凶器である。ならば最小限にしたい。

 

 さて、そんな思惑を考えた時。

 驚くべきことなのだが、このモビルスーツ――シラヌイは行動を終えていた。

 

 即ち、マシンガンで牽制しながら接近し、実体剣を抜刀することだ。

 このとき、ラック自身が可動式サブアームとなってマシンガンを撃っていたのだが、シイコは気づいていない。

 もっといえば、シラヌイのマシンガンはケースレス弾であり薬莢を排出しない。

 

 ともかく。結果だけが残った。

 ザクに向かって実体剣を振り下ろすという。

 

「消えろよ、ジオン!」

 

 ()()()()()()()、その実体剣を最大限活かせる大上段からの振り下ろしを行えば。

 

 融合炉のあるランドセルを避けて、本体部分だけを両断する。

 

 ザクのパイロットは断末魔さえなかった。

 

 スーパーカーボン製のこの長刀はモース硬度15の物体をも斬り裂ける――もちろん熟達は必須――のだから、ザクの装甲は紙も同然だったのだ。

 

『なっ! モビルスーツ!?』

 

 味方の撃破に焦ったのか、ザクのパイロットは混乱から共通(オープン)チャンネルで喋っている。

 

 一方、シイコはこの不思議な出来事を何とか受け止めようとしていた。

 

 自分が意識したことはペダルを踏み、どう近づくかを考え、最後に剣を振り下ろしただけ。

 

 先程もそうだ。

 とりあえず飛んで状況を確認したいと思えば、自分と機体はその通りに動いた。

 

 シイコは直感した。

 

 この意識することこそが、この機体の動かし方なのだと。

 

(〜〜〜〜〜ッ!)

 

 万能感、酩酊感とも思えるゾクゾクとした感覚に体が痺れた。

 思わず両手で体をなぞってしまう。

 

 軽キャノンは確かに手足のように動いてくれた。

 だが、これは違う。

 これはまさに自分の手足だった。

 全高18mの巨人が、今の自分なのだ。

 思考のタイムラグさえなしに動くモビルスーツ。

 こんなのを味わってしまったら、他に乗れる気がしない。

 これは危険な麻薬だ。

 

()()()()ようだな』

 

 声が響く。

 脳を直接揺らしているかのような。

 否、今ならわかる。

 これは脳に語りかけてくる「絵」や「音」なのだ。

 

「ええ、ええ。わかったわ。これがあなたなのね? 酷いヒト。無理やり流し込むよりタチが悪いわよ」

 

『否定はしない。だがこれが最善で、必要だと判断した。リーディングの結果だ』

 

「ならその責任、取ってくれるの?」

 

『当然だ』

 

「……………あはっ」

 

『不明機――ザクが来る』

 

「わかってるわ」

 

 高揚状態のまま操縦桿を握る。

 唇を舌で湿らせた。

 

『連邦の新型か? リッツをやった時はビビったが、所詮1機だ。M.A.V.でやるぞ!』

 

『わかってる!』

 

 残ったザクは教本通りの、陽動役と攻撃役に分かれて突撃してくる。

 シイコは最初の突撃を()()()躱した。

 勢いのついていたザクはそのまま通り過ぎていく。

 脅威は去った………と考えるのは尚早だ。

 

『正気かい!?』

 

 空中で無防備な姿になれば、控えていたもう一機がマシンガンで攻撃してくるからだ。

 重力のあるコロニー内でむやみに飛ぶことは自分を的にするだけの愚行。

 ザクのパイロットは堅実にその隙を突いた。

 だから驚愕する。

 

「これが正気よ!」

 

『なに!?』

 

 シラヌイは空中で姿勢を変えた。それはサーカスのような曲芸めいたもの。

 シラヌイの外付バーニアたる跳躍ユニットは可変式で、モビルスーツとはまた違う機動技術を持っていたのだ。

 

(そう……これ、これが!)

 

 元々戦闘機乗りだったシイコにとって、それはどこか懐かしい動き。

 弾道から外れたシラヌイは被弾ゼロ。

 そしてザクは驚愕で隙を晒した。

 

 シイコはそれを逃さない。

 

『エリック! 上だ!』

 

 反転して戻って来るザクの警告は間に合わず。

 

『なんなんだよお前! 人間――――』

 

『エリィィィィック!』

 

「あと、ひとつ!」

 

 長剣でコクピットを貫かれたザクは落ちていった。

 

『お前ぇ! スペースノイドがそんな憎いか!?』

 

 激昂した最後のザクがヒートホークで斬りかかる。

 

「お前たちの言うことか!」

 

 ヒートホークの持ち手を斬り飛ばし、ザクの関節部にサブアームがマシンガンを叩き込む。

 姿勢制御を失ったところで、突撃砲上部の無反動砲(120mm砲)がトドメを刺した。

 

『くっそぉぉぉぉ!』

 

 操縦不能となった最後のザクもまた、落ちていく。

 

 状況終了。

 シイコがシラヌイに乗り込んでから、わずか3分。

 

 シイコはその卓越したセンスでシラヌイをすでに乗りこなしていた。

 必要なことは「音」が教えてくれる。

 あとは自分らしく踊るだけ。

 

「は、はは、あははっ………すごい、すごい! これならジオンにだって……!」

 

 地上に降り立ったシラヌイの中でシイコは興奮冷めやらぬ様子で呟いた。

 

『お気に召したようでよかった』

 

「ああ、あなた。OSとかいったわね。名前はないの?」

 

『名前、名前か。単にOSだけでも良いのだが、強いて言うなら………ギンと名乗ろう』

 

「そう、ギンというの。それで、迷子さんのギンはわたしにどうして欲しいの?」

 

『…………話が早くて助かる。

 端的に言えば、これからも俺を使ってほしい。居場所を失った俺は君を必要としている』

 

「それだけ?」

 

『細かい点はいくつかある。しかし今の最優先事項は君だ。俺を知りすぎている』

 

「ウフフッ、教え込んだの間違いでしょうに。

 いいわ。とはいえ、それを私が決める権限はないけれどね」

 

『その肯定で十分だ。説得は俺がやる』

 

「そう? ならいいけど」

 

 

 視線を外に移す。

 騒ぎを聞きつけたようで遠くに軽キャノンの小隊が見える。

 シイコの所属する第13独立部隊の仲間たちだ。

 

 ただの息抜きのつもりが、とんだ事態に巻き込まれてしまった。

 このモビルスーツのことも何と説明するべきか。

 

「まぁ、あとでいいわね」

 

 今はただ、この高揚に浸っていたかった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 この世界にはM.A.V.と呼ばれるものがあるらしい。

 それは単なる戦闘における相棒以上の意味を持つ言葉だと。

 シイコとの対話でそれを理解した。

 俺のオリジナル――――タケルの戦闘データを追体験しながら思う。

 彼には多くの仲間たちがいた。

 確かに辛いことや苦しいことは多かった。

 楽なことばかりではなかった。

 けれど、タケルはそれでも笑えていた。

 それは仲間がいたからだ。

 タケルはいつかそう言った。

 笑顔。

 俺はそれを知りたい。

 この世界は俺たちの知らなかった宇宙がある。

 なのに人々は争いに明け暮れている。

 なぜだろう?

 仲間がいれば。

 俺にもM.A.V.がいれば。

 わかるだろうか。

 

 霞。俺に笑顔が分かるかな。

 

 

 

 

 

 

マブラヴとジークアクスのご存じ度合い

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  • ジークアクスをご存じ
  • 両方ご存じ
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