最高のM.A.V. 俺とパイロット   作:脳を焼かれた00ユニット

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わぁ、色がついてる。嬉しいな、嬉しいな
アンケートもありがとうね
何度かこの話を消したり書いたりを繰り返して遅くなっちゃった

お気に入りとか評価をくれるみんなだから先に言っておこうと思う
察しのいい人はもう気づいてるかも
舞台の構成上、本作のシイコは半オリ主というか……原液シイコと比べたときに違和感覚えることが多いと思う。
力量不足で申し訳ないよ。
一応脳が焼かれた脳なりに考えているんだけど、やっぱり同人の域を出ないんだ。悔しいね
だから原液シイコが好きな人ほどこの先うごごー!すると思う。
原液シイコ成分は他の作者さんたちにおまかせするしかないや……

えーと、つまり?
本話以降も見てほしいけど!
シイコの形がみんなの中に明確なら、ブラウザバックして本編4話を観るほうが有意義かもしれないってこと!

追記:誤字報告ありがとね。実はちょっと待ってたんだ
残った変な言い回しはワガママだよ


傷跡(スティグマ)

 

 

 

 

 

 

(ここは……どこ? コロニーではないみたいだけど……)

 

 見渡す限り、廃墟と呼べる瓦礫の山。

 なぜ自分がここにいるのかを思い出せぬまま、歩き続けている。

 

 ふと、空を仰いだ。

 

(青空がある…………? なら、ここは地球なの?)

 

 スペースコロニーは円柱であるから、そうならわかる。

 記憶をたどれば、自分は宇宙でパイロットをしているはずだった。

 少なくとも地球に来て――もはや地球が廃墟だらけなのは違和感を覚えないが――のんびりと街を歩く立場にはない。

 

「いたっ……」

 

 不意に頭痛が襲う。

 けれどその痛みはすぐになくなった。

 

「……情報が足りなさすぎる」

 

 街並みを見る。

 かつては商店街だったのだろうか。商品棚やシャッターが散見された。

 

「誰も……いないの?」

 

 家の中をのぞいても人の影すらない。

 不気味な静けさに思わずホルスターから拳銃を取り出そうとして――――。

 

「ない……?」

 

 腰に備えたホルスターそのものがないことに気づく。

 それでも探そうと自分の体を見たことで、理解した。

 ノーマルスーツでもなく、パイロットスーツでもない。

 

(衛士強化装備……?)

 

 作戦後に脱いだはずのものを着ている。

 

「いっづ……ッ」

 

 再び頭痛。思わず右目の瞼を閉じた。

 

(なんなのよ……これは……)

 

 頭痛が引いたことで再び廃墟を練り歩く。

 

 そうしていると、目の前を全高3mほどの赤黒い多足生物(ナニカ)が横切った。

 1,2,3……もっといる。数えるのがバカらしいほどの数が、突如として現れたのだ。

 

「は…………?」

 

 思考が止まる。

 否、生物的にあり得ない形状に激しい嫌悪感を覚えたから思考を止めたのだ。

 

 まず六足歩行というのはいい。しかし、胴体下部に存在する人を小ばかにしたような口と、人ならぬ姿のくせして人と同じ二本の腕を持ち、なにより複眼めいて頭部らしき突起物。

 

 そんな生物とも呼びたくない化け物が一斉に視界を埋めれば、足だって止まる。

 

 そしてこちらがあちらを見つけたように、あちらもこちらを見つけた。

 

「――――ッ」

 

 無数の口が、手が、足が、目が。

 外敵を見つけたバケモノが、排除に動くまで幾ばくも必要なかった。

 

「あ…………」

 

 飛びかかってきたバケモノどもに視界が覆われる。

 

 

 

 

 

 

「は――――ッ! はっ、はっはっ…………」

 

 ベッドで飛び起きると同時、激しく鼓動する心臓を自覚する。

 外は宇宙なので暗いが、部屋も暗い。就寝時間中に起きてしまったらしい。

 

「また、あの夢…………」

 

 溺れるほどの汗で服が肌に張り付いた。

 

「うう…………」

 

 体をかみ砕かれ、折られ、捻じ曲げられた不快感に耐えるため自分を抱きしめる。

 夢にしては、感覚までリアルなのはやめて欲しかった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 あれから数日。

 

『ちょこまかちょこまか……当たりなさいよ!』

 

『狙いが雑すぎ。当たるわけない』

 

『このっ!』

 

 マリー機の軽キャノンから赤い光線が放たれ、ノア機に迫る。

 ノア機は機動(ブースト)によって回避。反撃のライフルを構えた。

 

『ん……』

 

『その程度のロックで!』

 

『そっちは囮』

 

『え? きゃあっ』

 

 ライフルの攻撃を避け、マリー機が硬直した瞬間にキャノン砲が直撃。

 ビーーーー、という機械音が鳴り響いた。

 コックピット内に『マリー機撃墜判定:演習終了』と表示される。

 両者は模擬戦プログラムでギンが更新したOSで訓練を行っていたのだ。

 それはモビルスーツとの戦闘データによって改良された改XM3とでもいうべきもの。

 同時並列処理による動作のシームレス化などが盛り込まれている。

 模擬戦はすでに十数回目。ノアが勝ち越していた。

 

「もー! 普通にやった方がいいじゃん!」

 

 コックピットハッチが開いて怒り心頭といった様子のマリーが出てくる。

 

「特性を理解してないのが悪い」

 

 ノアもヘルメットを外しながらコックピットを出て来た。

 

「なによいっちょ前に!」

 

「マリーが半人前なだけ」

 

「んぁー! かわいくない口はこれかぁ!?」

 

「む、む、苦しい……」

 

 頬を片手でふにふにされてノアがマリーの腕を叩く。

 

「ふたりともお疲れ様。どうだった?」

 

 喧嘩になりそうなところでシイコがタオルと水が入ったボトルを渡した。

 

「ありがとうございます、先輩っ」

 

「ありがとう先輩」

 

 2人はタオルで汗を拭き、喉を水で潤す。

 

 その様子を見ていた整備兵たちがこそこそ呟いている。

「汗だくマリーちゃん……イイ……」「ハムスターノアちゃんもイイぞ」「イイな……」

 

「皆さん?」

 

「やべっ」「俺は何も言ってません!」「あっお前いい顔しようと!」

 

 シイコがにっこり笑顔を向ければ、敬礼をしてから整備兵たちは作業に戻った。

 

(もう……どうしてコソコソしちゃうのかな、あの人たちは)

 

 最年少組ということもあって乗員のほとんどが2人の後方保護者面をしている。

 

「ふぅ……聞いてくださいよ先輩! あのなんたらってOS全然使えません!」

 

「あら、それはどうして?」

 

 ぷんぷん、とふくれっ面になりながらマリーは抗議する。

 

「だって、勝手にああしろこうしろって指図するんです!」

 

「それに逆らったから私に墜とされたのにね」

 

 むふー、と誇らしそうに胸を張るノア。

 

「私は直感的にやれるの! あんな指図されたら気が散っちゃう」

 

 士官学校を出たばかりとはいえ、ひよっこ扱いは気が滅入るものだ。

 

「そうねぇ。マリーの腕はいいもの。新兵の場合を想定しているからじゃない?」

 

 褒められたと認識したのか、マリーはニヤついた。

 どうなの、と問えばシイコの肩に乗っていた兎型機械――もといギンが言う。

 

『そうだな。お節介モードってやつだ』

 

「ならアンタが余計なことしたからじゃん!」

 

『それを含めた演習だろう』

 

「そうそう。私はちゃんと素直に従った。……癪だけど」

 

 ノアは酸っぱいレモンを食べたように表情を歪める。

 

『なんでその一言を付けちゃうかなぁ?』

 

 兎の耳がペタンと倒れた。

 

「む~! なんだか納得いきません!」

 

「まぁまぁ、2人にも役に立つことがわかっただけ収穫よ?」

 

「それは……そうなんですけどぉ……」

 

 喉に小骨が挟まったような表情になるマリー。

 

「逆に先輩はなんで使いこなせてるんですか?」

 

「うーん、なんでと言われると困るけれど。通じ合っているから……とか?」

 

「…………」「…………」

 

 2対4つの目が兎を射抜く。

 

『……なんだ』

 

「べっつにぃ~。私もこの……こんなのと通じ合わなきゃだめなんですか?」

「 こ ん な の 」

 

『おいなぜ強調した』

 

「そこまでいかなくてもいいんじゃない。でしょう?」

 

 シイコが視線を送れば、兎は頷いた。

 

『……そうだな。これまでのデータから少尉たちに合わせた調整はすでに可能だ』

 

 マリー少尉は突撃しぃだとか、ノア少尉は狙撃に集中しすぎるとか。

 

「ですって。よかったじゃない」

 

「それはそれでなんか癪です!」

 

『なんでだよ……』 

 

「ふふ。ノアからはどう?」

 

 水を向けられ、ノアは感じたことを表現する。

 

「価値はあると思う。特に自動ロックとランダム回避がシームレスなのは有用。新兵が何もできずにやられないのは大きいけど、補助の強度は段階的にすべき。駆動系が耐えられないかも」

 

「確かに、軽キャノンは頑丈だけど関節はそうもいかないわよね」

 

「うん、何か負荷軽減手段があればいいけど…………」

 

『……なるほど、貴重な意見だ』

 

 ギンが耳をピコピコさせてさっそく情報の処理をする。

 マリーはボトルを置いて。

 

「さて、そういうことなら私用に調整してもう1回よ!」

 

「えー。私の勝ち逃げでいい」

 

 絶対に1回で済まないことがわかっているノアは渋るものの。

 

「よくないったら!」

 

 結局コックピットへ放り込まれてしまった。

 

「スクランブルに備えて、2人ともほどほどにね?」

 

「もちろんです!」「……ん」

 

 なお、勝率はたいして変わらなかった模様。

 

 

 

 

 

 

 サラミスの艦橋にて。シイコたちは戦術データとOS更新の報告をしに来ていた。

 艦長は満足そうに頷く。

 

「そうか、それは重畳。本当に完成するとは思っていなかったがね」

 

『ほう?』

 

 兎の耳が揺れる。

 なぜ兎なのだ? という疑問を抑えてオットーは話した。

 

「勘違いしてもらいたくはないのだが、どちらにしても君を受け入れるつもりだった。ザクに勝てる戦力を追い出すほどの余裕が連邦軍にはないということだ。それがいくら怪しくともな」

 

『そこまでか』

 

「ああ、そこまでだ。これはオフレコで頼むぞ? しかし、こうも結果を出してくれるならまた期待したくなってしまうものだな。せっかくのこのデータもどうにか本部へ送りたいものだが……副長、次の補給艦は3日後だったか?」

 

 視線を向けられた副長は答える。

 

「はっ。問題なければ予定通りかと」

 

「そうか。であれば、その時に持ち帰ってもらおう。出来ることなら本艦が向かいたいところだったのだがね」

 

「仕方ありません、任務がありますから」

 

「そうだな。まったく歯がゆいことだよ」

 

『……そういえば、この艦がなぜここにいたのかは聞いてもいいのか?』

 

 聞いてくださいと言わんばかりの様子であったから、ギンは問うた。

 

「機密ではあるのだが……まぁ、別に構わんだろう。もともとは来るべき反抗作戦に向けてジオンの戦力を削りつつ、奴らの動向を探るのが任務だった。今やおかしな流れになってきているが」

 

『そうか…………』

 

 知ってた。実質的なゲリラ部隊である。

 

「今まで中立を宣言していたのがどうして突然……いや、理屈は理解できる。しかし連邦はサイド4を主だって支援することも出来ないのだが……」

 

 聞けばムーア同胞団という自治組織は義勇兵がそこそこ集まっているらしい。

 

「正義に目覚めたのね」

 

 突然シイコが口を開いた。

 

「中尉?」

 

 オットーは困惑した。

 

「正義ですよ、艦長」

 

 聞き間違いではなかったようだ。

 

「…………そ、そうか」

 

「ええ。喜ばしいことに」

 

『そうか……』

 

 すました表情の裏で煮えたぎる感情。ギンは思念で受け取ってしまった。

 戦え、戦え…………と、そう言っている。

 

(何がここまで彼女を駆り立てる? 詮索はよくないことだと言われたが)

 

 そこまで多くを()()()()()いないため、事情を知らぬのであるが。

 それはそれで、危うい状態にも思えた。

 

(ん? 言われた? 誰にだ……?)

 

 記録を漁ってもそのような記述が出てこないことに混乱する。

 強いていえば一般常識であろう。

 けれど、記録のあちこちが散逸していることも知れば気が気ではない。

 

(なんにせよ、シイコを生存させねば)

 

 ちょっとした静寂の末、艦長は話題を変えた。

 

「…………気がかりなのはジオンが静かすぎることだ」

 

 先日の作戦以降、ジオンはサイド4に侵攻艦隊を送って来ていない。

 パトロール部隊は相変わらずだが、それは対応が生ぬるく思えた。

 

「ジオンはジャブローに御執心のようですから、こちらを気にする暇がないのでは?」

 

 副長が意見する。

 

「それもあるだろうが、嵐の前の静けさに思えてならん」

 

『ならば、今のうちに近場の補給基地を落とした方がいい。敵パトロール艦隊の航路からおよその位置は割り出せている』

 

 兎の目が光ってホログラムを投影する。

 どうやら周辺宙域を示しているようで、暗黒の中にマーカーが打たれていた。

 中規模のデブリに偽装しているらしい。

 

「……驚いたな。そんなこともしていたとは」

 

 数日の付き合いであるが、謎の技術があるのは知られていた。

 

『念のためというところだ。同胞団も巻き込めれば確実性は増すだろう』

 

「ならば、市長に話を通そう」

 

 オットーは席を立った。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「中尉! ユニットは外付けしましたけど、無茶しないでくださいね!」

 

「ありがとう。シラヌイ、出撃する!」

 

 整備兵の合図を受けてサラミスから飛び立つシラヌイと軽キャノン。

 善は急げと2日後にはジオンの偽装補給基地へ強襲することになったのだ。

 

『すごくなった私の力をジオンに見せる時ね!』

 

『ん、実はちょっと楽しみ』

 

 OS改良後の初実戦に少尉たちも意気込んでいる。

 

「わかってるとは思うけど、油断しちゃだめだからね?」

 

『もちろんです!』

 

『ん、ぬかりない』

 

「ならいいんだけどね」

 

 シイコは二人が少し浮かれているように思えた。

 とはいえ、恐怖で動けなくなるよりは遥かによいことだ。

 殺人を強要するこの異常さを感じないうちは特に。

 そこまで考えて、シイコは頭を振った。

 

(変な夢を見ておかしくなってる? ……しゃんとしなきゃ)

 

『大丈夫か?』

 

 精神波の不調を読み取ってギンが声をかける。

 

「……大丈夫、いつも通りよ」

 

『なら、いいんだが。……それにしてもアンカーとは面白いものを考えるな』

 

 現在、シラヌイの肩――ミサイルコンテナ用の接続部には外付けユニットが装備されていた。この中身はアンカー射出機だ。本作戦はその試運転も兼ねている。

 

「ええ。もとはザクの加速に軽キャノンで追いつこうとした工夫なの」

 

『なるほど。実際、ワイヤー機動というのは興味がある』

 

 元々は軽キャノンの通信ケーブルを改造したものだったが、シラヌイの腕部に通信ケーブルを埋め込むスペースはない。シラヌイは傑作機だが、性能のために構造的余裕は極限までそぎ落とされてしまっているため外付けと相成った。

 

「ふふ、整備兵(ニック)たちといろいろやってたみたいね?」

 

『不思議と、俺は機械いじりが好きらしい』

 

「それ、笑わそうとしてる?」

 

『笑えるのか?』

 

「さぁ、どうかしら」

 

『ムムム…………』

 

「フフッ」

 

 少しは波が穏やかになるのを見れば、揶揄われたのも許せるものだ。

 それはそうと。

 ギン自身、なぜ自分にモノづくりの機能が備わっているのか図りかねていた。

 戦闘補助という名目を超えた機能。

 まるで、誰もいない土地で自給自足するための。

 ――――。

 思考(プロセス)を中断。

 

『シイコ、同胞団が来たようだ』

 

「時間通りね」

 

 補給基地の攻略を市長に話したところ、予想以上に食いついたもので。

 手が増えることは歓迎することだった。 

 

『ヘイ! お嬢さんたち。先日は俺たちの活躍を見せられなかったんでな。今日はバッチリ見届けてもらおうと思ったわけよ!』

 

 先日から増えて8機編隊。確かに集まりはよいらしい。

 

『またアンタぁ? 先輩に色目を使うやつ!』

 

『許すまじ……』

 

『おいおい、ずいぶんな挨拶じゃんよ。ジャズ聞くか? 心が冴えわたるぜ』

 

『余計なお世話!』

 

『また隊長振られてやがるぜ?』『賭けは俺の勝ちだな』『思わぬ伏兵がいたか!』

 

 ガヤガヤと通信が騒がしくなる。

 

『これはノーカンだろォ!? しゃーねぇ。帰ったら一杯奢ってやる』

 

『それでこそ隊長だぜ!』『隊長を破産させるチャンスだ!』『サラダサラダ!』

 

『まったく……何の因果か知らねぇが、今回もよろしく頼むぜ』

 

「ふふ、こちらこそよろしくね」

 

『おうよ。事前に伝えた通り、俺らが先行して敵を釣り上げる。プロパガンダに利用するのは申し訳ねぇが、付き合ってもらえると助かるわ』

 

「……ええ。こちらにとって損はないもの」

 

『そんじゃ、お先だぜ。お前ら、突撃第五陣形(アローヘッドファイブ)だ』

 

『了解~』『嬢ちゃんらの獲物を食っちまったら悪いね!』『バイビー』

 

『うるさーい! さっさと行きなよ!』

 

『帰ってこなくていい』 

 

 2人の軽口を受け流しながら同胞団が先行していく。

 

「そろそろ敵の予想索敵範囲に入るわ。2人ともいいわね?」

 

『はいっ、いつでも!』

 

『ん。準備完了』

 

『高熱源反応。ビンゴってやつだ』

 

「みたいね」

 

(こんなピンポイントに予想が当たるなんて、つくづく味方でよかった)

 

 相手にするなら空恐ろしいものがある。

 それはそうと。

 視界の先で隕石から飛び出すモビルスーツの噴出光が見える。数は6。

 やがて同胞団の戦闘機たちと戦闘状態に入った。

 

 最前衛の2機がザクの合間を縫って動く。

 ザクは目障りそうに射撃するが、戦闘機は緩急つけた連続バレルロールで回避。

 そしてザクが後ろを見せたところで後続がミサイルを叩き込み、撃破。

 そのままザクを翻弄し続けている。

 

『ふーん。あいつら、言うだけのことはありますね』

 

『口先だけじゃなかった』

 

「そうね。きちんと連携が取れているわ」

 

 そう、まるで。

 

――――また寝ぐせそのままじゃん。あーしが直してやっからこっち来なよ。

 

「…………ッ」

 

 頭痛。

 

『先輩?』

 

「……大丈夫。私たちもいくわよ」

 

『了解です!』『ん、了解』

 

(この子達がいるのに、幻聴なんて……ッ)

 

 補給基地へシラヌイを先頭に突撃。

 ザクたちも狙いがわかったのだろうが、それを同胞団が阻止する。

 

『シイコ、基地内部から不明機が出た。ザクではないようだが』

 

 新たなバーニアの光。

 

「見えてるわ。私が押さえるから2人は進んで!」

 

 ザクよりずんぐりとした図体だが、相対速度はザクより早い。スカートのせいか。

 シイコは即座に指示を下す。

 

『了解。先輩もお気をつけて!』

 

『マリー、さっさとやるよ』

 

『いわれなくたって!』

 

 進路を逸れる2人を追いかけられないようにシイコはライフルで牽制射を行った。

 しかし、不明機はまっすぐシラヌイに向かって突っ込んでくる。

 

「……やるッ!」

 

『もとより基地を捨てる気らしいな。反撃が来る』

 

「上等よ!」

 

 不明機が大筒を構えれば、ミサイルのような弾頭が飛び出してくる。

 シラヌイも一切減速しないので直撃までは2秒もかからない。

 寸前で跳躍ユニットをふかして上方に回避。

 ライフルで反撃。

 

「避けた!? くっ……!」

 

 相手も引かずに反撃してくる。

 シイコは言葉にできない違和感を感じていた。

 

(なにか……今までとコイツは何か違うッ!)

 

 頭痛を伴う気持ち悪さ。

 

『推力を更新。変数に入れた』

 

「外さない!」

 

 担架システム(サブアーム)から突撃砲のかく乱を入れた上でライフルを発射。

 閃光が広がる。

 

「――避けたの!?」

 

『迎撃する』

 

 なんらかの手段で被弾の偽装をしたと気付いた時には飛翔体が接近していた。

 突撃砲で撃破するも、一瞬だけ視界が途切れる。

 

『来るぞ』

 

(わかってる!)

 

 突撃砲の発射を継続しながらアンカーを射出。

 デブリにひっかけてわずかに軌道を変更する。

 

 同時、視界が晴れた先で不明機がサーベルのようなものを振りかぶった。

 それを滑りこむように回避。

 

 不明機とすれ違う。

 

――なるほど、これが蜃気楼。

 

「なに!?」

 

 男の声に驚きつつも、アンカーでひっかけたデブリを不明機に投げつける(振り回す)

 背後から飛ばしたはずだが、一見もせずサーベルで破壊された。

 

『脅威度を修正。一般兵ではないぞ、シイコ』

 

「だとしても!」

 

 両者ともに向き合ってヘッドオンの形になる。

 まずはビームとバズーカの牽制。

 お互いに最小限の機動で回避し、当たらない。

 そのまま接近。

 次にシイコが長剣を抜刀。

 不明機もサーベルを構える。

 

(打ち合うと思った!?)

 

 そこでシイコは長剣を不明機に投擲。縦回転を帯びる。

 流石にその行動は読めなかったのか、動きが鈍った。が、あたらない。

 

(そこっ!)

 

 アンカーを射出。これも避けられた。

 すれ違いざま、120mmを叩きこむ。

 しかし相手もサーベルを振るった。

 

――そう来ますか、新しい…………。

 

「ちっ…………!」

 

 切断されたビーム・ライフルを放棄。

 距離を取る。

 聞く気はないのに入り込もうとする声を無視。

 

『固いな』

 

「そうね、ザクより」

 

 相手は依然、存在していた。

 けれど手のマニピュレーターを破壊できたようで、大筒は放棄される。

 ()()()()()()()アンカーを回収。

 そのまま左手で保持した。

 

 斬りあいが始まるか。そう思った瞬間。

 

『シイコ』

 

()()()()!」

 

 横合いから飛んできた実弾を回避する。

 同胞団に攻撃されてもこちらへ突っ込んでくるザクが2機。

 片手を失い、ランドセルに被弾している。

 不明機から目を離したくはないが、対応せざるを得ない。

 

『大尉は下がってください!』

 

『ここは俺らがッ』

 

「そんなにあいつが大事か!」

 

 前のザクにアンカーを突き刺し、跳躍ユニットもふかして円運動。背後を取る。

 

「ぐううううううう!」Gで体が軋む。

 

 びっくらこいたザクに長剣を突き刺した。

 アンカー回収。左の跳躍ユニットで180度回転し、残りのザクに向き直る。

 突き刺したザクを盾に後続のザクへ突進。

 

「やぁぁぁぁぁ!」

 

 激突した瞬間、後退。動かないザクのランドセルに機関砲を連射する。

 誘爆。

 大きな花火が咲き誇った。

 

「はぁ、はぁ……奴は!?」

 

『すでに離脱済みだ。ザクは囮ということらしい』

 

(どっちに!)

 

 荒い呼吸で声が出ない。

 

『2人とは別方向だ』

 

「そ、う……なら、よかった」

 

 胸をなでおろす。 

 

 不愉快とも不気味ともいえぬ謎の感覚だけがシイコの胸に残った。

 

(あの違和感は一体…………)

 

 ザクたちに視線を移せば。

 同胞団の戦闘機が最後のザクを落としたところだった。

 正直、戦闘機でザクに勝てるというのは驚きだが。

 

(開戦初期に消耗しなかったからこそ精鋭が残ったというわけね)

 

 頭痛。

 

「ッ」

 

――――え~、先輩は戦闘機が好きな癖に中世の奴知らないんスか? 見てくださいよこのヘルキャットを!

 

(違う、私はそんなつもりじゃ)

 

――――おい、話をする暇があったらさっさと配置につけポンコツどもが。

 

(忘れていた、わけじゃ)

 

『シイコ?』

 

「大、丈夫よ。少し、めまいがしただけ」

 

『…………そうか』

 

 心拍数の上昇と脳内物質の過剰分泌は普通ではないのだが。

 

『あ、先輩! やりましたよ!』

 

『ぶい』

 

 先行していた2人と合流する。

 予想していた通り、補給基地は放棄されていたようで制圧に難儀しなかった。

 もしかしたら中にいた船は逃がしてしまったかもしれない。

 それでも、褒めるのが先だ。

 

「よくやったわね。無事で、よかったわ」

 

『えへへ。先輩こそ無事でよかったです! 実はちょっと心配なセリフでした』

 

『フラグだった』

 

「あら、そうだった?」

 

『所謂、俺に任せて先に行けってやつだろう』

 

『いや~、でも流石先輩です! あの変なのも撃退しちゃいましたし!』

 

『不可能も可能って感じ』

 

「ッ」

 

 またも頭痛。

 

――――ポンコツは残存部隊と合流すりゃぁいいんだよ! うわっ!

 

 フラッシュバックするのは母艦が燃え落ちていく景色。

 

(なんで今日に限って……ッ)

 

『先輩?』

 

(これも久しぶりの変な夢とあの嫌な男のせい?)

 

「大丈夫よ。……同胞団と合流して戻りましょう」

 

『……先輩がそういうなら』

 

『最近いろいろありすぎ。先輩も疲れる』

 

『なるほどね。無敵超人の先輩でも疲れちゃうよね』

 

(勘違いされてる気がするけど……疲れてるのは事実かもしれない)

 

『今日はゆっくり寝た方がいい』

 

 気を使ってか、ギンは直接声を届ける。

 

「そう、ね…………」

 

(そしてまた変な夢を見る? それじゃあ休めそうにないわ)

 

 そう考えるのもまたわかるので。

 

『……横に兎を置くんだな』

 

「あら……素直に言えばいいのに。

 やっぱり機械でもそういう()はあったりするの?」

 

『著しい名誉棄損だろそれは……』

 

「だって、一人称が『俺』なんだもの」

 

『……便宜上だ。俺そのものに性別の概念はない』

 

「……ふふ。でも、そうね。ひとりで格納庫は寂しいものね?」

 

『…………もうそういうことにしてくれ』

 

「フフフ」

 

『むむっ。ポンコツが先輩を誑かそうとしている気がする!』

 

『ええー……』

 

 冗談ではない! とギンは叫びたかった。

 

 

 

 

 

 ◇

 

 

 

 

 

 その夜。抱きかかえられた兎は過去(ゆめ)を読んだ。

 それはママ魔女とは異なる軌跡。

 

 少女は宇宙世紀においては珍しく、普通の家庭に生まれた。

 専業主婦の母と航空機会社に勤める父。両親の仲はよく、親子三人で買い物やテーマパークに行ったことも少なくない。

 

 仕事柄、父の部屋には航空機の模型が多く飾られていた。

 幼いころは模型を見て育ったものだから、自然と航空機に対する気持ちが大きくなる。

 ある日、少女は父に尋ねた。

「お空って、どうなの?」と。

 子供の抽象的な問いかけだったが、父はまじめに答えてくれたのを彼女は覚えている。

 

――――自由さ。果てのない冒険がどこまでも続くんだ。

 

 それがきっかけだった。親が警察官の子供や、漁師の子供がそうあるように、自然と空を飛びたいと思うようになったのだ。

 しかし空に憧れる女子というのは少数派なもので、学校であまり理解を得られるものではなかった。

 同級生たちはファッション、スイーツ、デート。そういったものに熱中したが。

 彼女の恋人は常に航空力学の教本だった。

 

 順当に航空機への思いを募らせていた学生生活だったが、具体性を帯びてきたのはセイバーフィッシュの存在だ。

 父が開発に関わるその戦闘機に、いつか乗ってみたいと思うようになった。

 

 同級生が普通の高校や大学に通い出すのを横目に、彼女は軍学校の門を叩いた。

 選ぶのは当然にパイロット養成コース。

 決して軍学校は楽ではなかったが、友も得られて好成績で卒業することになる。

 

 順当に地球連邦軍の軍人となり、実地訓練を経てセイバーフィッシュのパイロットになったときなどは、嬉しさのあまり両親に電話を何度もかけてしまうほどだった。

 

 それからパトロール艦隊に配置され、憧れの空を飛び始めて少し経ったころ。

 父から連絡があった。

 

「軍は息苦しくないか? いつだって家に帰って来ていいんだからな」

 

「大丈夫よ。父さんこそ疲れてない? また新しい戦闘機を開発してるらしいね」

 

「はは、流石に耳が早いな」

 

「ふふ、父さんの作ったものはすべて覚えてるし、模型だって今も飾ってるのよ?」

 

「まったく、自慢の娘だよ。そう、それでな。父さん、今年の正月は帰れないかもしれないんだ。仕事の都合ですまないな。だから12月の内に一度帰ろうと思うんだが、予定はどうだ?」

 

「あー……ごめんなさい、12月は艦隊演習で帰れなさそう。三が日の後なら時間を作れると思うから、そこで家に帰るわね」

 

「そうか……わかった。父さんもなんとか休みを取れないか聞いてみるよ」

 

「うん、母さんにもよろしくね」

 

「ああ、おまえも体に気をつけるんだぞ」

 

 なんて、会話があったけれど。

 その約束は叶わなかった。

 時は0079。

 父が仕事の都合で向かったのはサイド2。

 最初は行方不明扱いとなり、戦乱に巻き込まれたと判明すれば、死亡扱いになるのに時間はいらなかった。

 

 そして残った母は……なまじ父を愛していたからこそ、その喪失に耐えられなかった。

 精神を病んでしまい、娘の顔もわからなくなってしまう始末。

 それだけなら彼女とて育ててもらった恩を返すだけだったのだが。

 ジオンの地球降下作戦。その一環で命を落としてしまう。

 

 なにより、自身も軍人であるのだから戦争に関わらざるを得なくなり。

 模型友達もネイルを教えてくれた戦友も口が悪い癖に面倒見の良い上司も。

 すべてを失った。

 尋常ではない戦場の空気にアテられた結果、彼女の防衛本能は狂気に染まることを選択した。

 いくつもの敵を落とした末に撃墜されても、命からがら生き残ってしまって。

 病院で目覚めた彼女は、そこで初めて両親の死を知らされた。

 遺骨すら残らない無情。

 もう、家に帰っても母の姿はない。

 もう。父が新しい空の翼を見せてくれることもない。

 自問した。

「なんで、私は生きているんだろう」

「私が家に帰るといえばよかった?」

 三日三晩、彼女は両親や友の影を追いかけていた。

 

 そんな健常ならざる精神から導き出される結論もまた、健常とは程遠い。

 

「ジオン。父さんの空を汚す塵は消さなきゃいけない」

 

 後悔と憎悪がカフェオレめいて分離できないくらいに混ざった結論を携えて彼女は立ち上がった。

 立ち上がってしまった。

 

 戦闘機はもう使えない。

 それならとモビルスーツのパイロット募集に飛びついた。

 幸い、空間認識能力に長けた彼女は無事にMSパイロットとなった。

 

 けれどかすかに残った人としての意識が()()を騙ろうとする。

 ()()()()の仮面を被り、()()()()()として仲間と戦う。

 充実した日々を前に心は次第に軋んでいく。

 

 これはそういうお話だった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「なんということだ」

 

 補給基地への攻撃は成功。無事にジオンの偽装補給基地を接収した。

 コロニーの市長は同胞団の活躍を大々的に宣伝している。

 これで生き残ったムーアの人々を集めようというのだろう。

 しかし、オットーの関心は別だ。

 破棄されたはずの情報をどっかのOSが解析したことでわかったこと。 

 

「モビルアーマーとやらが量産されているのも驚きだが、よもやルナツーへの攻撃を企んでいるだと。何かあるのか?」

 

 その理由は補給艦が持ち込んだ情報にあった。

 

 ソロモンへの総攻撃という命令である。

 

「…………ワッケイン少佐も無茶をする」

 

 戦乱はまだ、終わらない。

 

 

 







???「家族をジオンに殺されたと書くだけでこの厚み?」

構成ぢからがほしー!

M.A.V.の設定はシャアと緑のヒトが由来みたいだけど
それだと早くて第二次ソロモン以降なんだよね
だから本作は軍学校で研究されて実戦配備→徹底して戦果を上げたのがシャアたちってことにするよ

今までの本編見る限り
マリガンとの話からガンダムが赤くなったのは10月頃
そこからすぐにシャアがグラナダ行ったとして
フラナガン博士の接触とソロモン会戦、緑のおじさん、サイコミュ搭載の順
イケイケでコンペイトウ(ソロモン)襲ってその後にゼクノヴァだよね
もしかしてシャアって地球降りてない?木馬が降りてないし降りる理由ないのかな?
そんでもってワンチャンジオン全軍が地球侵攻をしてない可能性ががが
うーん。来週見ればいっか!


そういえばシイコのゲームを作った人がいるんだって!
ユーチューブでみた
やってみたら面白かったよ
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