最高のM.A.V. 俺とパイロット   作:脳を焼かれた00ユニット

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引き続き見てくれてありがとうね
前回の最後、ソロモンと書くつもりがアクシズになっちゃった
アクシズショックを期待してたみんなには申し訳ないね……

今回はちょっと短い上にシイコが出ないので箸休め会
そろそろ欲望が押さえきれなさそう……

脳はワッケインが好き。知性と理性を感じるあの目がいいんだ
絶対今日の放送でひっくり返る自信があるよ

追記:今回も誤字報告ありがとね。
誤字が止まないのはもう開き直るべきかな……


止まれない大人たち

 

 

 

 

 

 ワッケイン率いる座乗艦マゼランとその宇宙艦隊はサイド4のコロニー周辺で補給をすると同時にゲリラ部隊と合流。そのうちのひとつにはオットーの姿もあった。

 

「挨拶ご苦労。壮健でなによりだ、ミタス艦長」

 

 ワッケインが差し出す右手をオットーは握り返した。

 

「はっ、少佐も……と言ってもよろしいのですかな?」

 

「今は大佐だよ。お偉方も若造の力が必要だと見える」

 

「これは失礼を。ままならないものですな。しかし、これだけの大艦隊をルナツーが動かせたとは正直、驚きです」

 

 オットーが視線を窓の外に向ければ巡洋艦や補給艦、突撃艇などが整然と並んでいる。

 ワッケインは頷いた。

 

「君だから話すが、レビル将軍肝いりの大反抗作戦なのだ。ジオンを持久戦で削れてはいるが、手土産のひとつもなければ国民感情が収まらん」

 

 ワッケインの表情には疲れがにじみ出ている。無理もない。

 ルナツーはこれまで静かにしなければならなかった立場上、内部の人間は事なかれ主義が多い。だがワッケインのように静かにする≠何もしないということを理解し、行動を起こしたものは少ない。政治も相手どらねばならぬとならば、疲れもする。

 

「心中お察しいたします」

 

「そうしてくれると助かる。ところで君から送られてきたデータは私の無駄に膨らんだ権限で共有したが、あのなんといったか」

 

「シラヌイですかな」

 

「そうだ。使えるものは使うが、そこまでかね?」

 

「今でも信じがたいですが、目の前で見せられてしまいました」

 

「そうか。戦後の扱いは……今に考えることではないか」

 

「大佐も、だいぶ政治が身についてきたと見えますな?」

 

「言うな。私が望んだことではないのだぞ……」

 

 ワッケインは背後で手を合わせた。

 

「この戦いに連邦が敗れれば、戦争の終点が見えなくなる。それはわかるな?」

 

「認めたくないものですな」

 

 オットーは口を結ぶ。

 お互いに決定打のないまま泥沼化した戦争ほど恐ろしいものはない。

 

「まったくだ。ジオンとて無限の体力ではないが、連邦も同じ。しかし一国家が倒れるのとはワケが違う。だからこそこの作戦には万全を期さねばならない」

 

「…………ワッケイン、何が言いたい」

 

 オットーは目を細める。目の前の男からプレッシャーを感じたからだ。

 

「……オットー。貴様とて同門だろう……悔しさを感じないのか」

 

「悔しい?」

 

 プレッシャーが増す。

 

「この地球連邦の体たらくを……何よりカシアス先生を『新造艦を奪われた間抜け』呼ばわりする官僚どもと、不名誉を着せた連中を放っておけるものか。貴様は違うのか」

 

「……確かに、口さがない連中のことは耳に挟んだこともある」

 

 我が意を得たり。ワッケインは大きく頷いた。

 

「そうだ。なればこそ我々が先生の汚名挽回をしなくてはならない」*1

 

「それが、戦争の終結ということか?」

 

 ワッケインは視線を外し、窓の外に広がる大海原(うちゅう)を見つめた。

 

「サイド4が連邦についてくれたのは僥倖だった」

 

「……! ワッケイン、お前」

 

 これから聞くことになる話を予感し、オットーの背中を薄ら寒い空気がなでた。

 

「すでに疎開の済んだコロニーもあると聞く」

 

 ワッケインは淡々と口を開く。

 

「市長たちには理解を得た。当たり前だ。奴らとてジオンに叩きつぶされた身の上」

 

 ゆっくりと振り向くワッケインの様子が、オットーにはやけに緩やかに見えた。

 

「ゆえに、これらコロニーをソロモンへぶつけ――――」

 

 目の下の深い隈が無表情と相まって威圧感を増す。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

ジオンの連中を殲滅しなければならない

 

 

 

 

 

 

「ワッケイン…………」

 

 瞳の内に巣くう闇と狂い月。

 オットーはワッケインの『覚悟』を見てしまった。

 

(言いたいことはわかる。わかるが……)

 

 あの冷静で合理的なワッケインがこのようなことを宣う時が来るとは。

 オットーもパオロ中佐には返し切れない恩義がある。

 ワッケインにとってパオロ中佐の出来事は最後のスイッチだったのだろう。

 多くの学ぶべき先達や後輩に同僚、未来ある若者をこの戦争で失ってきた。

 一年も経たぬ短期間。

 10年、20年の時間で紡いだ友誼や絆がその短期間で死に絶えたとなればこの異常さもわかるだろう。

 

(だが……私はルウムで理解したのだ。戦争というものを……)

 

 ましてやこの半世紀近く、種族絶滅戦争なんてものは起きていないのだから、まさに『歴史』の中にしかないものだった。

 

 そんな『歴史』を目の前で体験()()()オットーは割り切れた。

 でなければ死ぬのだ。この時代は。

 

 だが、ワッケインはルナツーに押し込まれ、離れた戦線で戦う恩人や知人がただ死んだという()()だけを伝えられ、碌な支援も出来ぬまま聞き続けるしかなかった人間だ。

 悔しい、とはそのこともあるのだろう。

 

 ならばこの反抗作戦にかける思いというのは並々ならぬというもの。

 

「ワッケイン。散々に言われることになるぞ」

 

 オットーが意思を問うが、ワッケインは視線を外さない。

 

「もとより承知のことだ。なんと言われようと、未来の……残った子供のためにもな」

 

 驚きで目を見張った。

 

「お前、いつの間に…………」

 

「言うな。そして、これを聞いたからには貴様も手伝ってもらう」

 

 周囲の人間に動揺が見られないということは、()()()()()()なのだ。

 額を抑えながらオットーは答えた。

 

「…………なるほどな。まったく、寒い時代になったものだ」

 

「ああ。本当に」

 

 2人が見つめる空の色は、暗い。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 サイド4の10バンチ、サンダーボルト。

 その政庁に市長と秘書、そしてスーツを着たうさん臭い男がひとり。

 市長が用意した部屋で対面していた。

 

「この度の支援、ありがたいことですな」

 

「なんの、金を出すだけならば楽なものです」

 

 ソファーで紅茶を飲みながらスーツ男がすました顔で言う。

 

「それより、市長は次の首長選に出馬なさるとか?」

 

 にこやかに市長は答える。

 

「ふふ、他のコロニーにサイド4をまとめるのは務まりますまい。ジオンの連中にしてやられたのは業腹ですが、流れをつかんでこそというもの。奴らが干上がるのに時間はかからぬのだからね」

 

「ははは、ただでは起きぬということですか。しかし市長、勝手に余所のコロニーを連邦に売ってしまってよかったので? 首長選への影響が心配になりませんか?」

 

 大げさに手を上げる市長。

 

「おやおやおや。売ったなどとは人聞きの悪い。私はただ、霊長の守護者である連邦がお困りであるようだから、その求めに応じただけのこと。密閉型コロニーを手放すのは惜しいものですが、住民の皆様も正義の怒りを抱いているのなら答えないわけにはいかないでしょう」

 

「ふふふ、そうでしたか。それは仕方ありませんね」

 

 微笑みが深まればうさん臭さも深まる。メガネを整えた男。

 

「私などはてっきり、気に入らない連中を追い出すための方便だと思ってしまったのですよ」

 

 視線に晒された市長は神妙に頷いた。

 

「確かに、そう思われる方もいらっしゃる。であるから私は()()をお伝えしてきました。この困難の時、団結せねばならぬのだと。そのために同胞を募ってきたのです。しかし……それでもジオンに(おもね)り、その団結を揺るがそうとするのは……誠に悲しいことではありますな」

 

 男は口角を上げる。

 

「しかし、スペースノイドの人権意識は連邦よりジオンでは?」

 

「おやおやおや……あのようなプロパガンダ、信じるに値しませんよ」

 

 市長はトランクケースに手を置いた。

 

「それに、連邦とジオン。どちらが勝ってもコロニーへの発言権など残るまい」

 

 お互いに体力を消耗したあと、自分の本丸以外を見ている暇は残らないものだ。

 その時にこそ、付け入る隙というものがある。

 

「ふふふ、それもそうですね」

 

「ええ。なればこそ、貸しを作る相手が重要になってくるわけですよ」

 

「その理屈で言えば、私共も市長の手をお借りしてもよろしいことになりますが」

 

 男の指摘に市長の目が光ったような錯覚を与える。

 

「もちろんご協力しますとも――――アナハイムさん」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「閣下、諜報部からの報告であります」

 

 椅子に座った傷の大男のもとへ部下が書類を届ける。

 大男は力強く、されど丁寧にそれらを読んだ。

 

「ふむ……」

 

 大男は部下を見る。

 

「それで、ギレン兄はなんと?」

 

「ハッ。ビグ・ザムを3機預けるとのことです。現在搬入作業中であります」

 

――――ビグ・ザムは確かによいものだが、ザクの100機も必要ということがギレン兄にはわからぬのか……。

 

 言葉は心にとどめた。

 ソロモンに展開する部隊を思い描きながら、書類を机に置く。

 

「よい。機雷や衛星ミサイルはどうだ?」

 

「現在の敷設率は80%を超えたところです」

 

「間に合うか、手際の良い者がいるな。下がってよいぞ」

 

 大男はあとで労いに行ってやろうと決めた。

 

「はっ」

 

 敬礼して連絡員が部屋を退出する。

 それを見届けた大男は隣に控えた男へ声を発した。

 

「ラコック、連邦の別動隊は見つかったか?」

 

 副官はコーヒーを差し出しながら答える。

 

「ミノフスキー粒子で偽装されておりますが、輸送艦隊の姿は捉えております」

 

 大男は一言断ってからコーヒーを口に含んだ。

 

「よろしい、引き続き警戒を厳とせよ。地球連邦がこの程度で終わるわけがない。もうひと手間かけてくるのは明らかなのだからな」

 

「もちろんであります。艦隊にはそのように」

 

 大男は背中を椅子に預ける。

 ギシリ、と皮のこすれる音がした。

 

「フフ…………オレはあ奴のことを見くびっていたのかもしれんな」

 

「はっ?」

 

 虚を突かれた副官が呆けた声を上げるも、大男は気にせず続けた。

 

「ワッケインとかいう。ルナツーに籠ってゲリラを放つしか能がないジャブローの腰抜けどもと同じかと思っていたが……見所のある男と見える」

 

「見所、ですか」

 

 怪訝な表情を浮かべる副官。

 

「ソロモンにこのオレがいると知ってなお、強行偵察をはじめとしたちょっかいをかけてきているのだぞ? レビルの息はかかっていようが、ティアンムばかりに気を取られていたよ。ククク」

 

 副官は苦笑した。

 

「確かに、私ならば閣下の居城に攻め入ろうとは思いませんな」

 

「なんだ、一度くらい試してみようと思わんのか」

 

 大男の口元は緩んでいる。

 

「私はジオン公国の軍人でありますから」

 

「クク、そうか。ならばその働きに期待しているぞ」

 

「ハッ」

 

 大男は(ソラ)の向こうを見た。

 

「ギレン兄の演説で士気も保たれている。戦力も十分。期待された通り連邦の主力をここで叩きさえすれば、あとをキシリアがどうにでもしよう」

 

 大男は席を立つ。

 

「閣下、どちらへ?」

 

「ミネバに会いに行く。しばらくは任せる」

 

「ハッ」

 

 副官は敬礼した後、部下に指示を飛ばし始めた。

 

 

 

 

 

 

*1
バスク「汚名を挽回? その言葉は実績を……あったわ……」








捏造は今更な気がするけど……説得力あるやり方がね……

ファーストでのワッケインはともあれ、ここのワッケインは早々にルナツー送りされてるんだ
戦争前のだらけてる先輩の怠慢やらをそれとなく指摘したら左遷されそうになって、その先輩をレビルがうまいこと言いくるめて要所のルナツーに送り込んだって感じ
連邦でルナツーを無事に保存できるのってワッケインとゴップくらいなんじゃないかなって割と思うよ


この時期にアクシズが地球圏にあった場合も考えると面白いね……
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