最高のM.A.V. 俺とパイロット 作:脳を焼かれた00ユニット
何か言おうとした気がする
ついき:誤字報告ありがとう〜
ソロモン攻略戦の翌日。戦闘の後処理でサラミス内はあわただしい状況にある。
そんな中、哨戒を別部隊に引き継いだシイコはサラミス内の医務室を訪れていた。
「起きたようね。調子はどう?」
「あ、先輩。問題ありません、元気です!」
ベッドには包帯でぐるぐる巻きになったマリーの姿がある。
それはさながら全身火傷のミイラ。
膝の上で眠っているノアの頭をなでていた彼女はシイコを認めると笑顔を向けた。
「それはなにより。ちょっとでも体調不良を感じたらコールなさい?」
シイコはベッドの
「はい。でも絶対安静なんて、みんな心配し過ぎですよ。
そのおかげで先輩が来てくれるから、嬉しいんですけどね」
「ふふ、言うわね。でも、意識不明だって聞いた時は肝が冷えたわ」
「あはは、ごめんなさい」
バツの悪い顔をして、マリーは腕を動かそうとすると痛みで表情が歪んだ。
「……まだ痛む?」
「ほんのちょっとですよ。ちょっとです」
(強がっちゃってまぁ……)
鎮痛剤は処方されていても、心の痛みは別問題。
ごまかすために笑っていたいのもある。
「そう……これ、お見舞いの梨。切ってあげるから」
シイコは手持ちの籠から取り出した果物をナイフで器用に切り分け、皿にのせる。
「えっ、嬉しいですけど……そんな貴重なものいいんですか?」
宇宙ともなれば野菜と同列に貴重なのが果物である。
「サイド4でアサギ料理長が自費で買ったみたいでね。見舞いに行くならって貰ったの」
「料理長が……いつも食べ物にうるさいイメージでしたけど」
シイコは苦笑した。
軍人とはいえ大人から見たら未だ子供。クルーは結構気にかけている。
「艦長が倒れても果物なんて貰えないんだから、純粋に好意よ」*1
「
差し出された梨*2をマリーはひな鳥のように頬張った。
それを十も繰り返せば、お楽しみの時が終わる。
「はい、よく食べれました」
シイコはマリーの口元をタオルで拭ってやった。
「えへへ。こうやって先輩にお世話してもらうのもイイですね」
「生意気ね。こんなサービスめったにしないのよ」
はにかむマリーの奇跡的に無事なおでこを小突いた。
「いたっ。ふふ」
お互いに微笑みながら数秒経てば。
「お姉ちゃん……」
ノアが寝言を言う。その目は赤い。
マリーはその頬を
憎たらしいほどの弾力性だった。
「心配で一日くっついていたみたいね」
「それで先輩に哨戒任務を押し付けるなんて、あとで叱ってやります」
「ふふ、気にしてないのに。ほどほどにしてあげなさい?」
「いえ、今日という今日は立場をわからせてやりますっ」
シイコは苦笑する。
「でも大事なんでしょう?」
マリーは頷いた。
「もちろんです。妹を助けない姉なんていませんって」
「その認識を大事にね。ほんと無茶をして……よくみんなを守ってくれたわ」
ベッドの脇に座りなおして、マリーの頭に手を回し、少し押せば。
マリーの頭がシイコの肩に乗る。
それを優しく撫でてやると、涙が肩にしみ始めた。
シイコの脳内で情報が再構成される。
「あの光はなんだったの!? 先輩は!」
シイコがビグ・ザムとの戦闘に入ったころ。
ザクをビーム・サーベルで墜としたマリーは戦況を見渡そうとしていた。
戦場に混乱が起きてから後方も乱戦宙域になってしまっている。
《せめて一隻、いただいていく!》
その最中、ボロボロの敵戦艦がビーム砲を乱射しながらサラミスに迫っていた。
当然サラミスとて反撃する。しかし戦艦ともなればすぐには墜とせない。
厄介なことにモビルスーツまで同伴しているとなればなおさら。
マリーは言われた通り、妙なザクをサラミスのミサイルと共同して倒したものの。
「ノアは……!」
一瞬、見失った僚機を探す。
視線の先で軽キャノンがトゲの生えた
当然、加勢しようとして――気づく。
戦艦のビーム砲がひとつ、ノア機に向いていると。
「避け――ッ!」
最悪なことにノアが避けるとサラミスに命中する射線だった。
そんな位置で戦い始めていないのだから、敵に誘導されているのは明らか。
「厄介ですね……!」
マリーが取れる択は少なかった。その中で選んだのはノア機の前に立ちふさがること。
『やった。えっ、マリー?』
「シールド構えて!」
マリー機がドムを蹴り飛ばす。
阿吽の呼吸でキャノン砲をドムに叩き込んで撃墜したノアが驚きの声を上げる。
とはいえ時間はない。
指示しながら自らもシールドを前面に掲げた。
瞬間、巨大な熱量が迫る。
「ぐ、うううううう!」
シールドが溶け始め、コックピットがけたたましいアラートを鳴らした。
「あああっ!」
肌の表面を焼くのに飽き足らず、内臓まで滅ぼそうとする痛みに抗うこと一瞬。
軽キャノンの半身を溶解させたところで光は止まる。
ビーム攪乱幕がなければそのまま宇宙の塵になっていたに違いない。
『お姉ちゃん!? やったな……!』
妹の声をかすかに聞いて、安心したマリーは意識を失った。
上映会が終わる。
結果、本人が全身大火傷である以外に致命的な被害はなかった。
(この短期間で立派に成長してる。すごいことよ)
同時に。
(私はなんでこんなことが出来るのかしらね……)
ちょっと想像力が豊か過ぎる。
が、その場でそれ以上深く考えることはできなかった。
マリーが震えだすので、落ち着くように撫でてやることを優先する。
「……ほんとにちょっとですけど、怖かったです。光って、ノアを守らなきゃって……」
「わかってる、よく頑張ってくれたわね。マリーが生きていて私は嬉しいの」
「先輩……」
そのまま撫でつつ静かな時が流れる。
落ち着いたマリーは口を開いた。
「えっと、ご褒美……なくなりませんよね?」
「えっ?」
マリーの心配している事に気づいて、呆れるやら、脱力しかけた。
無茶をしたので取り上げられると思ったらしい。
「ふふっ……そうね、頑張った子には必要だもの」
緊張気味だったマリーの表情が明るくなった。
「じゃ、じゃあ今度こそデートしてください! 2人っきりで! あの機械抜き!」
「……そんなのでいいの?」
「それがいいんじゃないですかっ」
正直、拍子抜けである。もっと大きなことを要求されると思っていた。
仮にも
そもそもそれの何が褒美になるのだろうか。
(まさかね……)
しかしマリーは食いついたら離さないと言わんばかりである。
「もしかして……
「えっ、ちが、違いますよ! 普通に楽しくお茶したり買い物を……!」
顔を上げて必死に否定する様子を見れば、シイコは揶揄ってやろうと意味深に微笑む。
「マリーなら、いいかもね?」
「んぇっ? そ、それってどういう!?」
耳が真っ赤になったマリー。火傷した人間を熱くしてどうするのだ。
「フフッ、冗談よ」
きょとんとした様子も一瞬のこと。
マリーは口を尖らせた。
「……も、もー! そういうんじゃないんですってば!」
「ごめんね、つい楽しくて……ふふ」
「なんでですか! ひどいですよっ」
頭を撫でてやっても「ごまかされませんからね!」などと威嚇している。
当のシイコは。
(元気があってよろしい)
「なにはともあれ、きちんと安静にするのよ」
「はい!」
あとは現実的な話。
「それと、マリーには私の軽キャノンを使って貰うことになるわ」
「えっ、先輩のですか?」
「そう。人も、物も遊ばせておく余裕はないの。もちろんギンに調整させるから」
なにせマリー機は頭部や右半身がコックピットすれすれまで溶けている。
こうなるとニコイチにするよりもそっくりそのまま上げた方が早い。
「そ、それは……」
ある意味、それは実力を認めてもらえたと言えるようなことなので。
「お古でごめんなさいね?」
「い、いえ! 嬉しいです。シートもそのままでお願いします!」
「え?」
「あっ…………」
余計なことを言ったと振り返っても遅い。
シイコは立ち上がり、椅子を元の位置に戻した。
「…………まぁ、それでマリーがやる気を出してくれるなら」
「違います! ゲン担ぎですよ、ゲン担ぎ! 本当です!」
「そういうことにしてあげるわ。個人の……その、アレは自由だから」
「でも、私は許さない。死刑」
胸元から昏い声が耳に入る。
壊れた機械のように視線を向ければ、恨みで人が殺せそうなノアが。
マリーの表情は死んだ。
「えっと、うーん……」
さらに言葉に詰まる。
ノアが腰に抱き着いて小さな声を上げた。
「心配、した」
「……うん、ごめんね」
マリーは縋り付くノアの頭を撫でる。
姉妹の時間を邪魔しないよう、シイコは退出するべく扉に手をかけた。
「それじゃあ、両中尉。またあとでね」
「あっ、はい。中尉?」
疑問に返すと。
「野戦任官よ、人がいなくなり過ぎたの。私も大尉だってね」
◇
時が過ぎて場所は月面都市グラナダ、ソドンと改称された元連邦軍の軍艦の中。
仮面の変人とメカクレの青年が重力ブロックで顔を合わせていた。
「よく来てくれた、大尉」
「は、お呼びということでしたが」
仮面男に敬礼した青年が答える。
仮面男は頷いた。
「いやなに。ソロモンのことは聞いているかな」
ドズル中将が名誉の戦死を遂げたのは記憶に新しい。
「はい。ビグ・ザムが奪われたとか」
「そうだ。君も知っているだろう、ギレン総帥の入れ込み具合は」
「てっきり、噂話かと」
「私もそう思った。連邦にアレを鹵獲する術はないとな」
だから調べさせた。そういって書類を示した。
青年も断ってから目を通す。
「
「それは……連邦がビグ・ザムを量産しようと?」
「さてな、連邦の考えることなどわからんよ」
仮面の男がはぐらかした。
話は遠回りだが、青年には伝わってくる。
目的はビグ・ザムではない。ただの前振りである。
「事を成したのは連邦の新型だという話だ」
「……『蜃気楼』、ですか」
「そう呼ぶ者もいる。V作戦にはなかった名前だよ、連邦の手品には驚かされる」
最近、目立ってきた名前を仮面の男は認識していた。
「…………」
「…………」
数秒、見つめ合う。
余人の見えぬところで火花が散っているようだった。
お互い、言いたいことはわかる。
そのうえで仮面の男は言葉を出した。それは本音か、それとも。
「連邦の新型、ニュータイプと思うか」
青年は無意識に言葉を選んだ。
「私には、なんとも……」
言い切る前に仮面の男。
「大尉、我々の中に隠し事は存在しない。
脅かそうというんじゃない、君の所感を聞きたいだけだとも」
その言葉はやけにゆっくりしているように思える。
「会ったのだろう?」
降参と言わんばかりに青年は口を開く。
「……大佐の
「ほう?」
仮面の奥で眼光を帯びる。
「あれは、人を歪めた……いえ、違います。人の形をしていない、なんといえばよいか」
青年は眉間に人差し指を置いた。記憶をたどる。
「獣の……すみません、私には
不快な部分まで思い出したのか、表情も歪んだ。
「……少なくとも、あれに人類の可能性を……大佐の求めるものはないと思うのです」
「ほう……大尉にそこまで
対照的に仮面の男は好奇心を露わにする。
青年にその本心を推し量ることは叶わない。
「大佐?」
その様子に青年は嫌な
「いや、ありがとう。連邦にもニュータイプがいるならと思ったまでだ。
同志はひとりでも多い方が良いのだからな。君の意見は参考にさせてもらうとも。
サイコミュの運用テストを控えたこの状況、相手がニュータイプであればその精度も深まるだろう」
「それは……そうかもしれませんが。やはり、ソロモンを?」
仮面男は頷く。
「ルナツーを奪ってはキシリア閣下の面子に泥を塗る。ソロモンしかいないだろう」
鋭い視線が仮面の奥で疼いた。
◇
「ああ、起きたのね?」
朦朧とする意識の中、シイコは覚醒した。
声が聞こえる。
「ここ、は……」
ぼんやりとした視界が晴れてきたころ。
その場所がいわゆる研究室のような場所だと気付く。
「……?」
事情を呑み込めないシイコは記憶をたどる。
確か、バケモノに追われた後にシラヌイの集団が来た。そこまでは覚えている。
感触的に、今は椅子に座っていることも。
「あら? 聴こえていないのかしら。ちょっと打ち過ぎたかもしれないわね」
「聞こえて、いるけど」
変に痛む頭部を抑えながら、声の主を確かめる。
「ああ、それならよかった。貴重な証人を失わずに済んだようね」
それは
「あなたは、連邦軍の……?」
問いかければ、その女性は不思議そうな顔をした。
「あら、記憶が混濁しているのね。まぁいいわ、今度は覚えて欲しいけど」
椅子に座ったまま、女性は足を組みなおして言う。
「私は香月夕呼。このヨコハマ基地の司令官、
「こうづき……」
シイコの記憶に該当する人間はいない。
そして、意識もはっきりしてきたことで気づくことがあった。
「ええ。これでも私、知られている方なんだけどね。熱心な
「……それは、いいんだけど」
「ん?」
シイコは自分の恰好を見る。衛士強化装備を着ていたはずだが。
「なんで、私は
後ろ手に手錠までかけられている始末。
「ああ、それ。私の趣味。気にしないで頂戴」
「無理よ」
「ああ、お堅い人だったのね……まぁ、教えてあげると安全確保のためよ。私の」
「別に、手錠に文句を言っているわけじゃなくて、服のこと」
それより。
夢なら早く覚めて欲しい。ジオンを倒さねばならないのだから。
「まぁ、焦ることはないわよ。シイコさん?」
「ッ」
なぜ名前を知っているのか。シイコは警戒度を上げた。
博士の片手にある拳銃にも目を向ける。
「ふふ、興味が出て来た? それじゃあ
吸い込まれそうな瞳で、夕呼は意地悪く微笑んだ。
オリチャーの気配が漂ってきた
それ収集つくの?
脳は博士キャラとか好き
窒息ASMR
緑のおじさんかっこいい……!
すごい今更なんだけど。本作の描写でGLタグいる?境界がわからない
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いる
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いらない
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たわし(閲覧用)