聖龍伝説 現政奉還記 破滅の章   作:セイントドラゴン・レジェンド

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※このシリーズは架空戦記の物語であり、実在の人物とは関係ないフィクションであります。

※私自身もっと作品の出来を良くしたい一心が抑えきれません。そこで、どなたか心優しい方からのコメントや感想など募集しております。

※多くの方々からのコメントや意見を取り入れて、今後はもっと自分らしくながらも誰もが読みやすい作品に仕上げていきたいと志します。今後とも精進していきますので、何卒よろしくお願いします。

※キャラへの勉強が足りない点も多く見られますが、何卒よろしくお願いします。

※今回も多くの版権キャラが死亡するという過激な描写が目立つストーリーでありますが、最後の大どんでん返し&ハッピーエンドまでお付き合いください。




現政奉還記 破滅の章11 抗う猛者たち③

[訪れし終焉の時]

 

 現政奉還を発起した足正義輝と共謀していたと思われた黒武士。

 だが、その黒武士の正体は他ならぬ新世代型二次元人の始祖である小田原修司本人だった。

 修司は自分のクローンである新世代型二次元人を私利私欲によって生み出す世界に幻滅し、足正義輝に促されるままに大戦を引き起こした。

 そして修司は遂に新世代型二次元人の生体エネルギーを吸収した事で、彼らの身体能力や特殊な能力をも会得した完全な新世代型二次元人の始祖として生まれ変わる。

 生まれ変わった修司は、自らを純粋な破滅と自称し、会得した能力を駆使して聖龍ロボットメンバーズ通称SRMを攻撃して全滅させてしまう。

 それに続いて、戦場に全体攻撃を仕掛け、白井渚や浜崎雅弘といった聖龍隊士などの雑兵の多くを殺めた。

 その全体攻撃では、かつて二次元人によって故郷であり主君が忠誠を布いていた北の国の出身である三次元人マン・サコンも仲間を庇って戦死。

 戦場で散っていった多くの同胞の死を受け入れ、かつて尖兵と蔑まれたシバ・カァチェンも破滅へと進化した小田原修司に挑む。

 カァチェンと共に修司に挑んだのは、かつて敵キャラに変身してしまった過去を持つ浦和良と鮎貝高明。

 三人は修司に果敢に挑んでいったが、その戦いでブンボーに変身した浦和良と狼男に変身した鮎貝高明は修司の凶刃に倒れてしまう。

 愛する二人の異性の死に嘆くセーラーマーキュリーとロンリー・バブルスの悲しみをも背負い、遂にミラーガールが愛する修司の前に立ちはだかる。

 長きに渡る二人の激闘。その激闘の末、戦死したのは慈愛の聖女ミラーガールだった。

 ミラーガールの死を目の当たりにし、絶望する多くの猛者達に聖龍隊総長メタルバードは決死の思いで呼びかけ、静まり掛けていた皆の戦意を奮い立たせた。

 そして誰もが純粋な破滅へと進化した修司に挑みかかるのだったが、モモンガやドーベルマンなどの国連軍中将は足蹴にされる程度に斬り捨てられ、それに続いて月野慎吾や早見青児そして門脇将人も修司によって倒された。

 人間と魔物の連携で修司に挑んだガッシュ・ベルと高嶺清麿率いる軍勢が、戦鬼と呼ばれるサイボーグ戦士達と共に戦うのだが、激戦の末にガッシュと清麿の二人が修司の凶刃に貫かれ絶命。

 003も目と耳を潰されて戦闘不能に至らされ、王であるガッシュと友である清麿の死を受けて他の魔物の軍勢が修司に群がる。

 が、並みいる強豪揃いの魔物達相手に修司は優勢を保持し、中には修司に敗北し、中にはミラーガールの死によって心の力が消滅してきた事で戦闘不能に陥られる魔物が続出し、遂に魔物の軍勢も壊滅状態に。

 そんな過去の仲間や想い人までも手にかけた修司は、遂に聖龍隊という伝説を創設した最古参の隊士にまでも牙を向ける。

 最初に修司の牙にかかったのは、電子の妖精コレクターズだった。修司はユイとアイを手にかけ、最後に残ったハルナはエビルハルナへと変身しても尚、修司には勝てず敗れてしまう。

 聖龍HEADとの激戦の中で、木之元桜を庇った恋人の李・小狼と兄である木之元桃矢までも修司の振るう剣術で無残に戦死。

 そして最後まで心変わりしてしまった修司を案じていたセーラームーンも修司の刃の前に純白のドレスを紅く染めて悲しみの中、散っていった。

 セーラームーンの死に激情したキング・エンディミオンや他のセーラー戦士達が挙って修司に攻撃するものの、修司は難なく彼女達の猛攻を回避しては全て返り討ちにしてセーラー戦士達を全滅させてしまう。

 セーラー戦士達を失って、悲しみに暮れる暇もない聖龍HEADは絶えず修司に猛攻。

 遂にCLAMPキャラである魔法騎士の三人、獅堂光/龍咲海/鳳凰寺風とカードキャプターさくらも敗北。

 此処まで仲間達を平然と傷付け、命を奪う様になってしまった修司の心の傷を癒せない自分の力量に幻滅するナースエンジェルも修司に斬り捨てられた。

 ナースエンジェルの死に怒りがこみ上がる宇崎星夜も修司に斬りかかるが、意図も簡単に返り討ちに遭って逆に斬り捨てられてしまう。

 剣戟で修司と激しい攻防を展開していたキューティーハニーも、最後には修司の剛腕からの剣戟で儚くも散ってしまった。

 そんな修司を大水で取り囲んで攻撃しようかというマーメイドプリンセス達に対して、修司は電撃で水を水素と酸素に分解させた上で、気体に着火させて爆発。その爆発に巻き込まれ、堂本海斗やマーメイドプリンセス達は炎上・死してしまう。

 修司と激しい格闘を繰り広げたローゼンメイデンの面々も、修司の剛腕そして剣術によって人形である肉体は粉砕または消滅してしまう。

 東京ミュウミュウズも一致団結して修司に挑むが、修司の変幻自在の闇の武器の前に歯が立たず、鋭利な武器で切り裂かれてしまい全滅。

 ちせは最後の最後で、修司と共倒れを狙って自爆するものの、ちせだけが死亡してしまう悲惨な結果に。これに恋人であるシュウジが小銃を連射して敵討ちしようとするものの、修司の前に敢え無く撃沈。

 最後に残されたメタルバードとジュピターキッドとウォーターフェアリーの三人にも修司は表情を変えず戦いを仕掛け、最初にウォーターフェアリーを撃破して続いて兄弟分であるジュピターキッドを迎撃してしまう。

 メタルバードは修司に「孤独だった自分に仲間を与えてくれたのは、他ならぬ修司なんだ」と話すが、修司はそんなメタルバードを闇の刃で突き刺して、生命力を吸収して強引に命を奪取してしまう。

 この悲しいばかりの戦況に、赤塚組頭領の大将が「修司から生き残る事こそ自分達の残された役割」だと説いて、生き残りをかけて修司と抗戦する構えを示す。

 そんな悲しい戦いばかりを続ける修司に、遂に怒りが爆発した009たちサイボーグ戦士達が決死の思いで対峙するも、一瞬の内に修司に斬り捨てられてしまう。

 

 

 大勢の仲間の命を奪いながらも、全ての命を安寧に導くために戦意を収めない修司に戸惑う残された猛者達。

 すると、そんな猛者達を前に、修司が説き始めた。

「死は一瞬だ、一瞬で全てを感じなくなり、やがては心地よいものへと変わる」

 静かに瞼を空けた修司は更に説く。

「さあ、此処からお前達に訪れるのは……終焉の時間だけだ」

 修司は聖龍HEADを全滅させた今、残された猛者達も全て残らず殲滅しようとしていた。

 

 争いを嫌い、争いを憎みながらも、強者として強き者との戦闘に心躍った小田原修司。

 そんな彼は今や、全ての争いを終わらせるために、そして何よりも人の願望を消し去る為に全ての命そして思いを失くそうとしていた。

 小田原修司が言う終焉の時を、猛者達はどう抗うのであろうか。

 

 

 

[生存への道]

 

遂に聖龍HEADをも亡き者にした小田原修司は、更に容赦なくそして無慈悲に過去の繋がりを絶つ為に戦いを続ける。

 その修司の中に微かに感じられる戦いへの渇望を実感し、戦場の猛者たちは背筋に悪寒が走った。

 そんな静かに表情も変えず戦意を膨れさせる修司を前に、武将達も冷や汗を流していた。

 しかし、そんな状況の中で聖龍HEADの前から共戦した聖龍隊士はもちろん、ミラーガールまでも失った台湾将軍シバ・カァチェンは、弱気になりそうな自分を奮い立たせて修司の前へと立ちはだかる。

「小田原修司……! これ以上の暴挙、貴方にはさせません……! それが、今は亡きミラーガールの思いでもあるのです」

 カァチェンは修司にこれ以上、過去の繋がりを絶たせまいと修司に挑もうとしていた。

 そんなカァチェンを前に、修司は無表情な顔で軽くため息を衝くとカァチェンに申した。

「ふぅ……それは無理だな、カァチェン。お前の力量と俺の力量は、既に経験の差からでも大差が分かれている。お前には微塵の勝ち目などあり得ない」

「それでも良い……! 加賀美殿、ミラーガール殿が死んだ今、私は生きる意味が見えなくなった。故に、貴方を道連れに戦うまで……!」

「……そうだったな、お前はアッコを……あいつを愛してたんだっけな。アッコが死んだ今、俺を道連れに自分も死ぬと言うのか? その思考そのものが敗因だと分からないのか」

 カァチェンと一しきり対話した修司。

 するとカァチェンは自身の得物である逆刃薙(さかばなぎ)を後ろ手に回転させて、修司に突撃する態勢に入る。

 それを見た修司は、カァチェンが突撃するのを感じ取って、迎え撃つ算段だった。

「お前程度には、この武器で十分だ……」

 そう言うと、修司は持っていた闇の武器を変形させて、斧の様な形状の武器へ持ち替えた。

 次の瞬間、カァチェンはイン・ナオコや山中鹿之助たちが見守る中、修司に向かって一直線に突撃し、逆刃薙(さかばなぎ)で修司に斬りかかる。

 修司の方は微動だに動かず、その場でカァチェンを迎え撃つ算段。

 そして修司に接近したカァチェンは一気に逆刃薙(さかばなぎ)を修司の頭部に振り下ろした。

 だが、次の瞬間には驚きの展開が。

 シバ・カァチェンが振り下ろした逆刃薙(さかばなぎ)を、修司は左手の人差し指と親指のみで受け止めて寸前の所で止めてしまってた。

 愕然とするカァチェンを、修司は左手に力を込めて押さえ込み、カァチェンを力尽くで跪かせると、右手に闇の能力で作った斧に近い形状の鈍器をカァチェンに振り下ろした。

 修司が振り下ろしていく斧はカァチェンの兜右側面の黒い鉄板に下ろされ、その黒い鉄板に鋭い切り込みが入る。

「ッ! ッ……!」

 自分の顔右横の鉄板に切り込みが入る度に、カァチェンは驚き怯え震える。

 修司の容赦のない攻撃に激しく動揺するカァチェン。

 そんな動揺するカァチェンに、修司は斧を振り下ろすのをやめると、その斧を反対方向に振り回して、斧の背部分をカァチェンの胸部に打ち付けて、軽々とカァチェンは吹っ飛ばしてしまう。

 一方で修司に軽くあしらわれたカァチェンは後方へと遠くへ吹っ飛ばされて体を激しく地面に打ち付け、悶絶してしまう。

 そしてカァチェンはこの修司の猛攻に、すっかり自信を削がれてしまい戦意を消失してしまう。

「うっ…………」「カァチェン!」

 命までは取られなかったが、代わりに戦意と自信を削がれてしまったカァチェンにナオコ達が駆け寄る。

 自信喪失のカァチェンの肩を担いであげるナオコ。そのカァチェンは危うく命を奪われそうになった事実に打ちのめされていた。

 そして軽くカァチェンを吹っ飛ばし、互いの力量の差を示した修司は禍々しい黒いオーラを発しながら猛者達へと迫る。

「ッ……生き残るんだ。アッコ達が死んだ今、アイツらの意志を受け取っている俺らが生き残らなきゃ意味がない!」

 戦場の猛者達に強く訴える大将。

 

 と、大将が皆に呼びかけていたその時。修司は両手に装備していた斧の武器を消失させた。

「お前達を倒すのに、武器など大して使わずとも成し得ると言う事を教えてやろう」

 修司は武器を使用する事なく、猛者達を倒していくと宣言。

 修司が無防備な状態へ成ったのを見届けた聖龍隊スター・コマンドーの平賀才人とセレブナイトの二人は、剣で修司に斬りかかる。

 すると二人の斬撃は見事に修司に直撃し、修司の切り傷からは夥しい量の血が噴き出した。

「やったか!?」

 村田順一が大量出血する修司を見て、手応えを感じていると。

「な、なんだこれは!!」「うわあっ!」

 なんと突然、平賀才人とセレブナイトが悲鳴を上げた。

 その悲鳴に皆が注目してみると、なんと才人とセレブナイトが浴びた修司の返り血が一人でに蠢いて、網目状に二人の体に張り巡っていた。

「な、なんだ!?」

 同じスター・コマンドーの明石薫が驚いていると、慌てふためく一同に修司が説き始めた。

「血は水よりも濃い、その呪われた鬼の血を使ったまでの事。その名もずばり、血縛り……! 己の返り血を敢えて相手に浴びせる事で、その血を遠隔操作して返り血を浴びた奴を苦しめる俺の新技だ」

「ち、血縛り……!!」

 新世代型二次元人の始祖として生まれ変わった修司の新技と聞いて、驚愕する順一。

 すると修司は続け様に説いた。

「この血縛りは元々、そう……栗山未来、お前の自身の血を操り、結晶化させる能力から考案したものだ」

「な、何ですって……!」修司からの説明に、未来は一驚した。

 さらに修司の説明は続く。

「そう、だがそれ以外にも相手が浴びた返り血を遠隔操作するのは斉木楠雄の超能力で応用している。栗山未来の血の力、斉木楠雄の超能力……俺の血を勝手に利用して生み出された新世代型二次元人の能力を、今度は俺が利用させてもらってるのよ」

「ッ………………!」

 修司の説明を聞いて、自分達の能力が利用されている戦況に苛立ちを感じて表情を歪ませる斉木楠雄。

 修司が説明している間も、斉木楠雄から会得した超能力で遠隔操作されている修司の血は、栗山未来の血を操る能力で平賀才人とセレブナイトを苦しめ続けていた。

「才人!」「セレブナイト、しっかりしろ!」

 ルイズと墨村良守が血縛りで苦しむ二人に駆け寄るが、そんな彼らに修司が絶望的な事を。

「もう無駄だ。俺の血には毒素が含まれている。毒素の入った血で全身を縛り付けられた以上、もう助かる事も無いだろう……もうセーラームーンもナースエンジェルも死んでいる事だしな」

「そ、そんな……!」

 ルイズが絶望してると、その間にも毒素が含まれている血で全身を締め付けられている才人とセレブナイトは、血液から毒素が体内に染み込んでその命を奪い始めていた。

「う、うぅ……!」

 血縛りからの毒素を受けて、平賀才人とセレブナイトはそのまま成す術もなく力尽きてしまう。

「さ、才人ーーっ!」

 苦しみながら息絶えた才人の悍ましい死に顔を目の当たりにし、ルイズは泣きじゃくる。

 そう語る修司は、更に語り続けた。

「これで終わってはいないぞ。新世代型二次元人の力を会得した俺には、如何なる攻撃も意味を成さない。すなわち、お前達に勝ち目はないという事」

「クソッ!」

 才人やセレブナイトと言った同じスター・コマンドーの仲間を倒されて逆上した明石薫は、超能力で一瞬の内に修司の間合いに急接近し、修司を超能力で攻撃しようと修司の阿多兄手を翳した。が、その瞬間。

「ぎゃっ!」

 なんと修司の間合いに接近した明石薫の頭部を、逆に修司が右手で鷲掴みして強く握り始めた。

「で、デーモン=クロー……!」

「俺の弟子であるお前達なら周知している筈だ。俺のデーモン=クローが、如何に普通のクローとは違い恐ろしいものかを……!」

 かつて超人レスリングにも特別参加した事のある修司が使用していた得意技デーモン=クローで頭を握り潰されるほどに鷲掴みされる明石薫が悶絶してると、修司は自分の教え子であるスター・コマンドーの面々に己の格闘技が如何に恐ろしいものかを説いた。

 そして次の瞬間、修司はデーモン=クローで鷲掴みにしている薫の頭部に力を込め、指先が頭皮を貫通して肉に喰い込み、血管を潰して、更に頭蓋骨を砕いた。

「うぎゃあああああああああっ!!」

 血管を潰され、挙句は頭蓋骨を砕かれた明石薫は激痛で絶叫し、悶え苦しむ。修司はそんな薫を放り投げ、薫は地面の上で激痛で転げ回る。

「クイーン!」

 明石薫が激痛を負わせられたのを目の当たりにした兵部京介は目の色を変えた。

「薫!」「薫ちゃん!」

 野上葵と梅枝ナオミが薫を傷付けられて興奮したのか、一斉に修司に攻撃を仕掛ける。

 葵は得意のテレポーテーションによる物質移動を駆使した弓矢を連続で射って修司に矢を射出するが、修司はこれ等を全て素手で叩き落として無力化してしまう。

 一方のナオミは自分のオリジナルの技である電撃技で修司を感電させようとするも、修司はナオミが発する強力な電撃を浴びても微動だにせず、逆にナオミの頭部もデーモン=クローで鷲掴みにして捕まえてしまう。

「ナオミさん……!」

 修司のデーモン=クローに捕らえられたナオミを見て、三宮紫穂が修司の血縛りを承知で玉砕覚悟で修司に日本刀を突き刺そうと突撃する。

 が、修司はナオミをデーモン=クローで捕まえたまま紫穂の突撃をかわし、空いている腕で紫穂の両腕を叩いて日本刀を落とさせてしまうと、次の瞬間には紫穂もデーモン=クローで捕えてしまった。

「紫穂! ナオミさん!」「紫穂……ナオミさん……!」

 修司に捕らえられた二人を見て愕然とする葵と、未だ頭の激痛に苦しむ薫。

 紫穂とナオミをデーモン=クローで捕らえた修司は、そのまま二人の頭を激突させて卵の様に叩き割ってみせた。

『!!』

 紫穂とナオミ、双方の頭が激突させられて、骨が砕ける鈍い音が鳴り響く惨状に周囲の皆は蒼然とした、

 そして頭と頭を激突させられて叩き割られた紫穂とナオミの頭部からは夥しい量の血が噴き出し、二人の頭部は血で真っ赤に染まり上がった。

「あ……ああぁ…………!!」

 大切な仲間を二人同時に殺められて絶句してしまう明石薫。

 一方で修司は、頭をかち割った紫穂とナオミの亡骸を近くに放り捨てて、虚無の表情で周りを見渡す。

「紫穂! ナオミ!」

 同じ総合部隊の仲間達が駆け寄り、必死に声をかけるが、既に二人は頭から大量の血を流して、顔面を真っ赤にしながら絶命していた。

 

 この仲間が死んでいく惨状を目の当たりにした村田順一は、激情を抑えながらも戦場の皆々に言い放った。

「これ以上……これ以上、過去(かつて)の絆を断ち切るのはやめてください! 修司さん!!」

 更に順一の心の叫びは続く。

「大将さんの言う通り……僕達は生き残らなければならない! 今この場を生き残る為にも、僕らは一致団結して修司さんを止めねばならない! みんな、力を合わせよう!!」

 この順一の叫びに、周りの者は誰もが熱く応えた。

 

 純粋なる破滅である小田原修司との戦い。

 果たして、この戦いに生き残れる者はいるのだろうか。

 

 

 

[流星の覚悟]

 

 平賀才人、セレブナイト、そして三宮紫穂といった同じスター・コマンドーの仲間達をやられて切羽詰まった総部隊長の村田順一は、生き残った仲間達と共に覚悟を決める。

「これ以上……これ以上、修司さんに自分自身で得た繋がりを……絆を断ち切らせてはならない! 絆を失えば失うほど、その先に待っているのは悲しみしかないんだ……!」

 順一の言葉に、生き残っているスター・コマンドーの面々は一同に順一の背後に横並びに整列して無言で頷く。

 中には才人を失い悲しみに暮れるルイズ、仲間達を失いながらも悲しみと怒りそして激痛で苦しむ明石薫など、目の前の修司に集中できない者たちも居たが、それでも順一の言葉に激励されて修司と対峙する。

 それでも順一達は、これ以上の命が失われる惨状を止めるべく、自分達だけで修司に挑もうと決意していた。

「じゅ、ジュン……」「……大丈夫。大丈夫だよ」

 スター・ルーキーズ総部隊長のミラール達の眼差しを受けて、順一は険しい表情で頷いた。

 元殺し屋であるユウとニナミ、おとぎ銃士の赤ずきん/白雪/いばら。平賀才人を失ったルイズ/タバサ/キュルケ、大門大を中心としたデジモンセイバーズ、三宮紫穂と死別した明石薫と野上葵、結界師である墨村良守と幸村時音、格闘技を極めた白浜兼一と風林寺美羽、ハイパー・ブロッサム/ローリング・バブルス/パワード・バターカップ、音無小夜、ハンター・スティールとパートナースパイダーのシャドウたちスパイダーライダーズ、日向ひまわりを中心としたくノ一ら、スター・コマンドーの情報伝達を行っているハル。そして村田順一を想い続ける異世界の怪物グールと融合した深澤マイ。

 かつて小田原修司によって新たな運命を会得し、そして強靭なまでに育成された鬼神の弟子たち。

 そんなスター・コマンドーを従え、村田順一は師でもある小田原修司と対峙する覚悟を括った。

「我ら、スターコマンドー! かつて僕達を導いてくれた師、小田原修司と……死線を交わし合う!」

 そう拳を高々と天へと突き上げて唱える順一。

 順一が熱くそして誇り高く唱えた直後、修司が颯爽と前へと駆け出してスター・コマンドーへと迫る。

 修司が駆け出すと同時に、ユウとニナミの二人も前へと飛び出し、それぞれが炎と氷を纏った拳を翳して修司と激突。

 二人が繰り出す炎と氷の拳を、修司は血の鎧で武装した両腕で防いだまま、三人は硬直する。

 無表情な修司がユウとニナミの拳を受け止めている所に、魔力の翼で上空に飛来した赤ずきんと白雪といばらの三人が、上空から修司に向かって攻撃。

 しかし修司は上空からの攻撃を咄嗟に見極め、反射的に力押しし合ってたユウとニナミを押し退け、後方へと退いて上空からの攻撃を回避。

 だが、後ろへ退いた修司の足場に、ルイズ/タバサ/キュルケが協力し合って作り出した魔法陣が出現し、強力な魔力で修司の動きを制限しようと仕掛ける。

 が、修司は三人が発動させた魔法陣に、自身の右手を押し当てて闇の能力を発動。魔法陣を無力化して三人の努力をかき消した。

「そりゃあッ!!」

 其処へ今度は、大門大が魂の籠った拳で修司に殴り掛かろうとするが、修司はひょいっと大の拳を避けて、代わりに大の腹部にボディー=ブローを炸裂させて悶絶させる。

 前のめりに蹲る大に、修司はその頭上から足を高々と上げてからの踵落としを打ち込もうとするが「これ以上は……!」と、テレポーターの野上葵が悶絶し蹲る大を瞬間移動させて修司の踵落としを空振りに終わらせる。

 すると修司は狙いを野上葵に変更し、彼女へと静かに歩き出す。

 葵は武器である弓矢を構えて、幾度となく矢を射出させると同時にテレポーテーションで矢を瞬時に空間移動させて修司に矢の雨を浴びせようと仕掛ける。

 しかし修司は自分に迫りくる矢の雨を、全て両手で弾いて地面に叩き落す。そして最後に飛来した矢を掴むと、そのまま葵に向けて矢を投げ返した。

 投げ返された矢が葵の額に直撃する寸前「結界!」の掛け声を発した良守の結界術が葵に張り巡り、葵を護る。

 そして良守は葵を防御した直後、時音と共に結界術を発動。

「「結界!」」

 二人は強力な結界を修司の周りに展開し、修司の動きと攻撃を封じ込める作戦に。

 だが修司は結界の内側から拳を何度も殴り付けて、強引に結界を破壊しようと試みる。

 何発もの拳が結界にひびを入れ、結界を維持しようとする良守と時音は印の字を結んだまま懸命に念じていた。

 するとその時だった。

「そのまま修司を逃がすんじゃなかァ……!!」

 と、怒号にも近い声で修司に接近する大きな人影が。

 良守と時音、そしてスター・コマンドーの面々がハッとする。

 その場に現れた大柄な人影、それは国連軍元帥のマグマード・岩田こと赤犬。

 赤犬は修司の目前まで迫ると、周りの隊士の事などお構いなしに、右腕を膨脹させて「大噴火」を発動。修司を中心に大量の溶岩が飛び散る。

「ッ! こっちが攻めている最中だと言うのに……!」

 結界で修司を閉じ込めている最中だと言うのに、溶岩で修司だけでなく周辺の自分達まで溶岩攻撃に晒そうとする赤犬の滅茶苦茶な戦術に良守は苛立つ。

 一方、溶岩を間近で浴びた修司は。不運にも良守達が仕掛けた結界術に護られた為に最初の一撃では無傷。だが修司の周囲には大量の溶岩が点在してた。

 修司は、その付近に点在する溶岩の中を平然と歩き出して、これまた皆を驚かせる。

「! 溶岩ですら平気なのか……!」

 装備している血の鎧のお陰か、はたまた闇の能力のお陰か、溶岩の中を平然と歩く修司に一驚するユウ。

 そして溶岩地帯の中を歩き出てきた修司に赤犬が苛立つ中、今度は格闘家の白浜兼一と風林寺美羽が急接近して格闘戦を仕掛ける。

 兼一と美羽が放ってくる拳や蹴りの嵐を、修司は全て見切って防いでしまう。

すると修司は一瞬の隙をついて兼一と美羽を殴り飛ばすと、吹っ飛んだ二人に向かって突進して多種多様な体当たり技を連発するデーモン=クラッシャーで兼一と美羽を宙に舞い上がらせる。

 修司が連続でお見舞いするデーモン=クラッシャーを浴びて一しきり宙を舞った兼一と美羽は、最後に地面に叩き付けられて、全身がバラバラになるぐらいの苦痛に襲われて悶絶していた。

 全身全霊の体当たりデーモン=クラッシャーをお見舞いした修司に、お次はハイパー・ブロッサムが仲間のローリング・バブルスとパワード・バターカップらと共に修司を攻撃。

 ブロッサムが操るヨーヨーが修司の両腕を拘束し、其処にローリング・バブルスの相手のパワーを吸収・無力化させられる水泡を浴びせる。

「タカちゃんの為にも……!」

 バブルスは、先に戦死した恋人の鮎貝高明の無念を晴らす為にもと、修司に大量の水泡を浴びせて少しでも修司のパワーを吸収・無力化を図る。

 と、そこへ最後にパワード・バターカップがご自慢の巨大ハンマーを振り上げて修司を殴りかかろうと涙目で振り下ろす。バターカップは師でもある修司に恋心を抱いていた時期があったからだ。

 だが、修司はバターカップの全力のハンマーを受けても少し身体が仰け反れるだけで、少しも苦痛に感じていなかった。

「今の俺には痛みも何にも感じない。心の痛み、心痛も……微痛、激痛も俺には遠い過去の体感だ」

 既に痛みというものは過去の感覚として、現在は微痛すらも感じないと説く修司。

 そんな修司はハンマーで殴りかかってきたバターカップの頭を片手で鷲掴みにすると、そのまま彼女を片手だけで振り回してバターカップの目を回す。

 そして粗方バターカップを振り回した修司は、そのままの勢いで彼女を投げ飛ばしてバブルスに投げ付けて激突させる。

 バターカップと激突して苦痛に喘ぐバブルス。

 二人を見て一驚するブロッサムの背後に、修司が瞬間移動で瞬時に接近し、ブロッサムの頭を両拳で挟み込むように押し付けると、修司はそのままブロッサムの頭を拳で押さえ込んで頭蓋に力を加える。

「うわあああ……っ!」

 頭蓋に力を入れられて激痛が頭に響くブロッサムは絶叫。

 と、そんなブロッサムに意識が向いていた修司の背後から、修司に斬りかかる音無小夜。

 小夜の斬撃は修司の背中に大きな切傷を与える事に成功したのだが、その背中の切傷は瞬く間に再生して塞がってしまう。

 すると修司はブロッサムの頭を拳で押さえ込んだまま後ろを振り返り、小夜と顔を合わせる。

 そして修司は無表情のままブロッサムを解放すると、両腕に武装色の覇気を纏わせて硬度を高めると、その鋼鉄の様に硬い両腕で小夜に襲い掛かる。

 小夜は修司が振るう鋼鉄並みの両腕から繰り出される打撃を必死に得物で防いだり、かわしてみたりするが、修司の猛攻に押され気味だった。

「小夜!」

 すると小夜が苦戦しているのを察して、ハンター・スティールたちスパイダーライダーズの面々が修司に向かって蜘蛛の糸を大量に噴出して、糸の粘り気も相まって修司を雁字搦めにして身動きを完全に奪って見せた。

「今よ! 修司に総攻撃のチャンス……!」

 コロナが皆に総攻撃の好機と呼びかけるが、次の瞬間。蜘蛛の糸で雁字搦めにされた修司は、全身を高速回転させて強引に蜘蛛の糸を断ち切ってしまう。

 しかもこの時、修司が装着していた血の鎧が、その全身を刃の様な形状に変化させていた事もあって、回転すると同時に糸が断裁されてしまったのだ。

 スパイダーライダーズ達が、変幻自在の修司が装着している血の鎧に愕然としていると、立ち尽くす修司の目前になんと着火されてるダイナマイト付きのくないが飛んできて、修司の目の前で爆発したのだ。

 爆炎に飲まれる修司。そんな修司に絶えず大量のダイナマイト付きのくないを投げ付けて誘爆させていくのは、日向ひまわりたちくノ一の面々だった。

 ひまわり達くノ一らの爆撃に飲まれる修司だったが、やはり爆発でも驚異の再生力などで、ほぼ無傷で爆炎の中から姿を現す。

 修司に傷一つ付けられなかったひまわり達は颯爽と追撃とばかりにくないや手裏剣を修司に投げ付ける。が、修司は両腕を武装色の覇気を纏って鋼鉄化させて鉄製のくないや手裏剣を弾き落としていく。

 と、修司がひまわり達の遠距離攻撃を全て弾いていると、そこに人造兵器である黒猫のハルが額にエネルギーを溜めてからの強力なレーザー光線を射出。修司に直撃させた。

 だが、修司は闇の能力でレーザー光線のエネルギーを全て吸収して威力を無力化してしまう。

「ちせの光線をも無にしてしまう俺に、お前のレーザーが効くと思っているのか? なあ、ハル……」

 修司がそう呟くようにハルに問い掛けると、レーザーを射出し終わったハルも呟く様に修司に話し返した。

「ああ修司、キミにはボクのレーザーなんて意味がない事は解ってるさ。ただキミも忘れてはいないかい? ボクらの誰もが、決して独りで戦っている訳ではない事を……」

「………………」

 ハルの言葉に修司が茫然としていると修司の背後、砂煙の中から一体の人影が飛び出しては修司に襲い掛かる。

 修司は瞬時に背後から迫る殺気に反応し、振り返ると同時に自分に振るわれる刀を真剣白刃取りで受け止めて見せた。

 修司を背後から斬りかかろうとしていたのは、他でもないスター・コマンドーの総部隊長である村田順一だった。

「ジュンか……」「……!」

 涼しい真顔で刀を受け止める修司に反して、順一は渾身の力で刀を押し込もうとしていた。

 だが両者とも一歩も退かずに、そのまま一瞬ばかり膠着状態に陥っては両者ともに一旦退いた。

 後方へ退いた修司が順一の振るう刀に目を向ける。

「久々だな、お前が剣を振るうのは……その『純心』を使うのを見るのは」

 順一は二年前のアジア大戦以来、武力を使う事を嫌い、己の拳のみで戦おうと決意して以来、特別な理由がない限り武器を使う事は無かった。

 しかも順一が今使っている日本刀は『純心』という、修司が多用していた聖龍剣の兄弟刀であり、順一が正式にスターコマンドーを統括する際に当時聖龍隊総長だった修司から賜れた由緒正しき名刀だったのだ。

 武力を嫌い、平和を愛する順一が何ゆえ武力の象徴である武器である刀を使って修司と戦っているのか愕然とした表情で驚く新世代型達が唖然としていると、順一は純心を逆手に握る修司と同じ戦法で対峙すると重い口を開いた。

「僕はこの世の中を平和に導くために武力を捨てた……! しかし、今の修司さんに勝つには……その平和的思想こそ捨てなければならない。悲しいが、それが現実……! 僕は多くの友の命を護る為に、あのヤン・ミィチェン同様に凶刃を振るいます……!!」

「今は亡き友と同じ戦い方で、俺に挑もうというのか。ヤン・ミィチェンが聞いたら、なんと反応するのだろうな」

 順一の説明を聞いて、修司は冷然と問い返す。

「共に逝こう、ミィチェン……!」

 順一は日本刀・純心を逆手に握り締め、眼前に煌めく刃を合わせると前方の修司に集中する。

 そして次の瞬間、順一は純心を武器に修司へと向かっていった。それに合わせる様に修司も順一へと駆け出した。

 修司は武装色の覇気で、順一は純心を振るって互いに激しく戦い始める。しかし決して二人だけの闘いでは無かった。

 順一が振るう純心を硬度を上げた両腕で弾きながら攻める修司が、その鋼鉄並みに硬い拳で順一に殴り掛かろうとすると、そこに順一の婚約者であり、異世界の怪物グールと融合してる深澤マイが半獣の様な戦闘時の姿で修司に襲い掛かり、順一と共闘で修司と戦い始める。

 変わらず虚無な表情を保って順位とマイの共闘に応戦する修司。そんな修司を順一とマイは懸命に攻撃し続ける。

 すると順一とマイに助太刀しようと、他の生存しているスター・コマンドーの精鋭達も立て続けに修司を攻撃。

 仲間達と共にかつての師である修司と激戦を繰り広げる順一の目は、自然と潤んでいた。

「生きているから泣くんだ……生きているから笑えるんだ」

「その生という現象そのものを、俺が無へと誘うと言うのだ……!」

 心の決意を唱えながら戦う順一に、応戦する修司は不気味に唱え返す。

 

 激しい攻防を刀と拳で繰り広げる順一と修司の二人。

 その激しい最中に、順一と共に修司へ攻撃するスター・コマンドーの面々にも、修司は果敢に反撃の拳を振り上げる。

「ぐッ!」「がっ……!」

 凄まじい熱気の炎に冷え切った冷気に負けず、ユウとニナミを拳で殴り飛ばす修司。

 さらに修司は赤ずきん達に急接近し、白雪やいばらと共に三人を連続で殴打して吹き飛ばす。

 其処に再び魔法陣を成形して修司を抑えようとするルイズ/タバサ/キュルケの三人に対して、修司は地面に強く拳を打ち付けて大地に亀裂を入れて地面ごと三人を吹き飛ばす修司。

 ルイズ達を地面ごと吹き飛ばした修司に、進化して強化したデジモン達が一斉に襲い掛かる。が、修司は斉木楠雄から得た瞬間移動で瞬時に彼らの死角に移動して強烈な拳を打ち込みデジモン達を悶絶させる。

 巨大なデジモン達を、山を崩すかの如く沈めた修司に今度は重傷の明石薫と、薫の肩を担ぐ野上葵が二人同時に修司に攻撃。

 薫は激しい頭痛に苦しみながらも超能力を使い、サイコキネシスで修司を押さえつける。それと同時に葵が薫を担ぎながら弓矢を引き、集中力を込めて修司に渾身の矢を放った。

 だが修司は斉木楠雄から会得した強力な超能力で薫のサイコキネシスを弾き返し、その直後には葵が放った矢を今度は自分がサイコキネシスで空中で停止させてから、O・Dから得た万物を崩壊させる能力で矢そのものを砂状に崩壊させてしまう。

 すると此処で修司は薫と葵を闇の引力で引き寄せて、強引に引き寄せると二人に剛腕で強力なデーモン=ラリアットを打ち込んで悶絶させる。

 首に強力なラリアットを打ち込まれて悶絶する薫と葵の二人に歩み寄り、トドメを刺そうとする修司。

 だが悶絶して地面に蹲る二人を死守しようと、墨村良守と雪村時音が立ち塞がり、結界術で防御する。

「「結界!」」

 自分達の周囲に結界を張った二人。だが修司はその結界に動じる事は無く、結界の前まで迫る。

 そして修司は無言で人差し指一本を結界に押し当てると、そのまま指に力を入れて結界に簡単にヒビを入れて破壊する。

 修司が指を押し当てた事で、結界にひびを入れて砕け散らせた修司に驚愕する良守と時音。二人に迫った修司は剛腕で二人の頭部を強打して二人とも地面に叩き伏せた。

 頭を強打されて地面に窪むほど叩き伏せられた良守と時音に、修司は強靭な脚力での強力なフット=スタンプで二人を踏み付けて内臓を潰そうとした。

 と、そこへ二人の危機に白浜兼一と風林寺美羽がボロボロの状態ながらも修司に挑みかかり、修司の踏み付け攻撃を止める。

 だが、修司は兼一と美羽の格闘技を全て自然な流れでかわしていくと、片腕を思いっきり振るって兼一の頭側面に拳を叩き込み、兼一を脳震盪で倒してしまう。

「兼一さん!」

 美羽が頭をやられて倒れる兼一を目の当たりにして叫び、それと同時に修司に鋭い蹴りを叩き込もうと美脚を振り回す。

 だがその美脚を修司は両腕でしっかりと捕らえてしまうと、逆に美羽の脚を掴んで振り回し、美羽を遠くへ回し投げてみせた。修司に投げられて地面を転がる美羽は悶絶。

 美羽を投げ飛ばした修司に、再び決意を固めて日本刀・純心で斬りかかっていく順一。

 修司は順一が振るう純心の刃を武装色の覇気で硬化させた両腕で応戦しながら、順一と激しく格闘を展開。

 そんな二人の闘いに加勢しようと、半身半獣の姿のマイが修司に飛び掛るが、修司はマイが伸ばしてきた腕を掴んで、純心で戦う順一に向けてマイを投げ飛ばし、二人を転倒させてしまう。

 純心で戦う覚悟を決めた順一に加勢しようと、音無小夜やハンター・スティールが順一と共に剣戟で修司と戦おうと取り囲む。

 しかし修司は三人からの剣戟を全て、硬化させた両腕で防ぎながら応戦し、物の見事に返り討ちにしてしまう。

 

 平和を愛し、絆を大切にする隊士、村田順一。

 そんな彼は己の志の為に武器を捨て、今まで笑顔を絶やさず戦い続けていた。

 だが、今はその理想を捨て、かつて賜った純心を手にして師である修司との死闘を覚悟した。

 若さという名の流星は、燃え尽きるその一瞬の時まで、覚悟を決めて日本刀を振るうのだった。

 

 

 

[呪われている血筋]

 

 かつての師である小田原修司と死闘を展開する、村田順一率いる存命のスター・コマンドーたち。

 そんなスター・コマンドーの勇姿を目の当たりにし、小田原修司への恐怖心で戦意を削がれていた戦力たちの中に微かながらに闘志が芽生えてきた。

「ジュンが……順一が戦っている。まだ諦めちゃいないんだ!」

「ジュンに続くぞ……うおおッ!」

 黒崎一護や浦飯幽助の掛け声を皮切りに、聖龍隊士の中に潜んでた闘志が爆発。怒涛の勢いで順一達スター・コマンドーと乱戦する修司に雪崩れ込んでいった。

 幾千もの猛者達が順一達、生存するスター・コマンドーの精鋭に加勢して修司に攻め立てる。

 無数の刃が修司の体を切り裂き、突き刺し、修司の無数の傷口からは激しく血飛沫が飛び散った。

「ま、待つんだ! 今の修司さんに無暗に傷を与えるのは危険だ……!」

 優勢的戦況だと言うのに、修司に攻め入るのを制止する村田順一。

 すると次の瞬間、修司に斬りかかっていた聖龍隊の名も無き隊士達に異変が起こる。

「うがっ……!」「こ、これは……!」

 その隊士達は、接近戦で修司の返り血を浴びていたのだが、その返り血が隊士達の体の表面を張り巡り、隊士達を苦しめていた。

「血縛りか……!」「厄介だな」

 己の返り血を相手に浴びせて苦しめる修司の技「血縛り」を前に、黒崎一護やデビルマン達は修司への攻撃を一旦止めてしまう。

 すると皆の頭上高くから、デビルマンが目からレーザービームを射出して地上の修司に攻撃。だが修司は変わらず無傷で終わってしまう。

 さらに修司は、接近戦を仕掛けてきたプリキュアの少女達ですらも無慈悲に血縛りで苦しめ、挙句の果てにはキュアピースらを片手で掴んで肩を回して振り回した上で遠投してしまう。

「な、なんて怪力だ……!」

 修司の怪力振りを目の当たりにして、修司との戦いに恐怖を感じて傍観するしか出来ずにいるSAOのクライン達が騒然としていると、同じく恐怖で傍観に徹してしまってるブラック・ロータスが冷静を保ちながら説いた。

「小田原修司は軍政に血を売る形で、軍が研究してたD-ワクチンを投与された事で肉体が強化された人間……例え、新世代型の生体エネルギーを吸収して純粋な破滅へと変化したとしても、D-ワクチンで強化された筋力は健在みたいな様ね」

 次々と高低差の身長の二次元人達を片腕で掴んでは振り回し、放り投げていく怪力を発揮する修司を遠くから傍観して愕然とする聖龍隊の新人達。

 そんな猛攻を続ける修司を止めるべく、三次元人であるアジア武将が動き出す。

「行くぜ、電撃girl! モンジュロとオレと合わせろよ!」

「分かってる!」

 三次元人のアジア武将デイ・マァスンが、聖龍隊在籍の御坂美琴と従者である同じく三次元人のタク・モンジュロの三人で同時に攻撃を仕掛ける。

「HELL DRAGON!!」

「迎え撃て、鳴雷……!!」「はぁ……!!」

 三人が放った強大な電撃は、一直線に修司へと飛来し、そして修司を呑み込んだ。

「やったか!」マァスンが修司の生死を確認しようと目を凝らす。

 すると修司は、電撃が通った道筋に残る白煙の中から何事も無かったかのように現れた。

「チッ、またダメか……!」

 舌打ちをするほど悔しがるマァスンは、再度攻撃を仕掛けようと美琴に声をかける。

「おい、電撃girl。もう一回、小田原修司に攻撃すっぞ……」

「ああ……っ、う、ぅ……!」

「!? どうした、電撃girl!」

 突然様子が打って変わって急変した美琴に、マァスンもモンジュロも動揺する。

「どうした! 二次元の雷の娘!」

「ち、力が抜ける……」

「What!? どうしたっていうんだ!」

 モンジュロが訊ねると弱弱しく応える美琴、彼女の返答にマァスンの動揺は増す。

 と、其処に村田順一が駆け付けて、御坂美琴だけでなく多くの二次元人に現れ始めた現調について説き始めた。

「アッコさんが死んだ今、特殊な力を持つ二次元人の特殊能力そのものが消滅の一途を辿っているんだ……! 特殊能力者の始祖であるアッコさんの死の影響が、二次元人の存在そのものに大きく影響を齎してしまっているんだろう」

「! オイオイ、マジかよ! それじゃなんだ!? ミラーガールが死んだ今となっては、不思議なpowerを持つ二次元人が消えていくって訳か?」

 順一の説明を聞いて、マァスンは愕然とした。

 そんな順一の説明を同じく耳に入れた猛者達は、俄然と修司に挑んでいった。

「成らば!! 力が……いいや、存在が消える前に我らと共闘して勝利をもぎ取れば良いだけの事ッ!!」

 そう叫ぶのは三次元人の武将シン・ユキジ。ユキジは従者である猿飛佐助と、自身と同じ炎系の技が使える二次元人達と共に修司へと迫っていた。

「佐助! 鬼神の意識を逸らす役目は其方に任せるぞ!!」

「はいはいっと……ふぅ、此処まで大声で叫んでいちゃ、今から狙いますって言っているみたいだけど。まあ、敵の視線を逸らす役目はそれこそ忍の役目だけどね」

 主であるユキジの大声での命令に、佐助は忍び寄る事が難しいなと呆れながらもユキジの命令通りに先ず修司へと先攻を仕掛ける。

「それ、喰らいなッ」

 佐助は修司に飛び掛かると同時に武器である大型手裏剣を投げ付けた。修司は武装色の覇気で硬くした腕で意図も簡単に佐助が投げつけた大型手裏剣を指で掴んで受け止めてしまう。

 そして修司は掴んだ手裏剣を佐助へと投げ返すが、佐助も簡単に自分の得物である大型手裏剣を空中で受け止めてみせる。

「今だ! 大将!」

 それを合図に、佐助はユキジに総攻撃の号令を発した。

「うむ! 行くぞ、二次元の熱き焔を司る猛者達よォォォ!!」

 ユキジは共に修司へと攻め込む炎系の二次元人達と総攻撃とばかりに大火の大技を放った。

「行くぞ、みんな!!」「うん!」

 その二次元人達の中には、スターコマンドーのユウに赤ずきん、スター・ルーキーズのアリババにファイヤーエンブレムに沢田綱吉さらにナツ・ドラニグルも加勢して強大な業火が修司を襲う。

 ユキジ達が協力して放った業火に呑み込まれる修司。だが全身に大火傷を負った筈の修司は、驚異的な再生能力で回復したのか無傷のままだった。

「ッ、我らの焔では太刀打ちする事も困難だと言うのか……!」

 口元を歪ませて己の未熟さを痛感するユキジ。そんなユキジに佐助が助言する。

「大将! いくら高い再生能力を持っていても、所詮は得たばかりの能力、付け焼刃って感じな筈だ。何度も再生能力で自分を回復したり、自らの血を使った戦法を繰り返せば、スタミナ切れを起こすのは時間の問題……!」

「おおっ、成程な! 流石は我がモンゴル軍の参謀なだけはあるな、佐助!」

「だから、参謀とか武将になった気は無いって言っているだろう……」

 主君である筈のユキジの言動に呆れてしまう佐助であったが、すぐに気を取り直して再度修司へ攻める体制を立て直す一同。

 だが此処で順一が恐れていた事態が。

 次々とその場に跪く特殊能力を持つ二次元人達。彼らを見て、デイ・マァスンら三次元人の武将達が騒ぎ出す。

「ど、どうした!?」

 マァスンがその場に続々と倒れる二次元人達に声をかけていると、数少ない何事もない二次元人である順一が説き出した。

「遂にこの時が……アッコさんの死の影響が出て、二次元人の能力……いや、存在そのものが消滅しかけている!」

「ま、誠でござるか!? 順一殿!!」

 ユキジが問うと、順一は神妙な面持ちで明言した。

「ええ、いづれこんな何の能力も持ってない普通の二次元人ですらも消滅してしまうでしょう……そう、不思議な存在と出逢ってしまってる僕の様な非力な二次元人ですらも」

 そう唱えると、順一は自分が出逢った不思議な存在である異世界の怪物グールの深澤マイと目を合わせた。

 しかし順一は消沈している戦場に激励しようと力強く唱えた。

「だが! 確かに佐助さんの言う通り、大量の血を酷使し続けた修司さんは弱り切っている筈! 攻めるなら今だ!」

 順一の主張に戦場で弱り始めている二次元人達も消え掛けていた戦意を取り戻す。

 そんな順一の横に、猿飛佐助が滑空して着地すると順一に

「だが村田順一、今の破滅に進化している小田原修司の血液を使った戦法はまだまだ厄介だ。血縛りなんて技だけでなく、自らの血を結晶化させて硬化させたあの鎧もかなり癖があるぞ……!」

 小田原修司が装備している自らの血から作り出した血の鎧ブラッディ・アーマーを指摘する佐助に、順一も険しい面持ちで言う。

「うん……いつ飛び出してくるか分からない両腕の剣に、全身に隠し持つ文房具の様な武器。戦闘タイプの新世代型二次元人の技と能力を全て手に入れた修司さんとの勝率は限りなく0に近い……でも」

 順一は所持している純心の切っ先を修司へと向けて身構えると言い放った。

「だが、諦めてはいけないんだ! 多くの命が、そして心が笑んでいられる未来を勝ち取る為にも!」

 これには猿飛佐助も同意した。

「同感。俺様も早々に片付けて、一刻も早く国連総長の件を片付けたいよ」

 順一が戦闘体形を取った矢先、佐助も両手に大型手裏剣を構えて修司との戦いに備える。

「某を忘れてもらっては困る! このシン・ユキジも鬼神討伐に加勢する所存!!」

 修司への攻撃に備える順一と佐助に、佐助の主君でもあるユキジが吠える。

 そして先手に順一と佐助が同時に修司へと、純心と大型手裏剣で攻撃。修司はその二つの刃を血の鎧を纏っている両腕で防いだ。

 すると順一と佐助の間から、修司に迫ってきたユキジが焔を纏った二本の槍で突きに掛かる。

 ユキジの二対の槍の切っ先は修司の額に直撃しそうになるが、修司の額は武装色の覇気で鋼鉄の様に硬くなり、ユキジが突いてきた二対の槍が突き刺さる事は無かった。

「くっ、これが噂に聞く武装色の覇気でござるか……! 何とも硬き事か……!!」

「武装色の覇気って………………この小説の作者も何処までONEPIECEネタ引っ張るんだろうな」

 修司の武装色の覇気で硬化した額に苦戦するユキジに対し、佐助は呆れ返っていた。

 三人は、一旦修司から遠退き、距離を置いて体勢を立て直そうと身構える。

 すると身構える三人と対峙する修司が、唐突に話し掛けてきた。

「俺が自らの血を酷使して疲労が蓄積していると思っているのか、お前ら。なら、その考えはお門違いだという事を見せてやろう」

「「「!?」」」

 修司の発言に戸惑う三人。すると其処に自分達も加勢しようと、先ほど修司の荒業で痛め付けられたプリキュアの少女達が駆け付けてきた。

「行くよ、みんな!」

 キュアブラックの掛け声の元、錚々たる顔触れのプリキュア達が一斉に修司に襲い掛かる。

 が、修司は全く動じずに言葉を零した。

「これはちょうど良い」

 そう修司が零した次の瞬間、修司は先頭に立って真っ先に襲い掛かってきたキュアブラックとキュアホワイトの顔面を鷲掴みにして捕らえてしまう。

「キュアブラック! キュアホワイト!」

 順一達先ほどまで修司と戦っていた三人も、他のプリキュア達も動揺してしまう。

 するとキュアブラックとキュアホワイトの二人の顔面を掴んでいる修司の手から、二人の顔面に青い筋が貼り巡られていき、次の瞬間にはその筋を通してキュアブラックとキュアホワイトの顔面から二人の血が吸い出され始めた。

「ああ……っ!」「うぅ……!」

 顔面を怪力で掴まれただけでなく、その掴んでいる手から自分達の血を吸い出されて、苦しそうに悶えるキュアブラックとキュアホワイト。

「あ、あれは……!?」

「手から血を吸い取っているのか!?」

「なんと! まるで蚊の如き真似……!」

 手の平から吸血する修司を見て、目を丸くする順一に佐助にユキジ。

 驚愕する皆々を前に、捕まえているキュアブラックとキュアホワイトから血を吸い取る修司は淡々と説いた。

「吸血……! 俺の体内の血が少なくなったのなら、周りの奴から血を吸い取ればいくらでも代用できる……! そう、吸血鬼をモデルに生み出されたマギウスの如くな」

『!!』

「ッ……! 俺達マギウスの能力から会得した技か……!」

 不足した自分の血液の代用として、他人から血を吸い取る「吸血」という技を披露する修司の説明を聞いて、時縞ハルトらマギウスの面々は怒りと落胆で心中が満たされた。

「マギウスだけではない……俺の代用品として生み出された新世代型二次元人の特性という特性は、全て始祖である俺が好きに使わせてもらう。所詮は人間兵器であった俺の代わりを務めるしか能のない新世代型のあるべき使い方だ」

 血を吸い取りながら、マギウスだけでなく己が見下している自らのクローンである新世代型二次元人を逆撫でするかのように言葉を掛ける修司。そんな修司の台詞を聞いて、新世代型達は行き場のない怒りを覚えた。

 そして粗方、キュアブラックとキュアホワイトから吸血した修司は、血を吸い取られてぐったりと疲労した二人を放り投げる。修司に放り投げられたキュアブラックとキュアホワイトは地面に倒れたまま立ち上がる事も困難だった。

「キュアブラック! キュアホワイト!」

 順一が慌てて地面に倒れたままの二人に駆け寄ると、修司が再び語り始めた。

「俺の呪われし血筋から生み出された忌まわしき新世代の二次元人……こいつらが生み出す未来は、俺が直接手を下さずとも所詮は負の連鎖と混沌が蔓延する破滅の未来……我ら破滅の血族に関わる全ての者者には絶望しか待ち受けておらん……!」

 自分を含め、自分から生み出された新世代型二次元人に関わる全ての者には不幸な未来と絶望しか待ち受けていないと言い切る修司の言動に、新世代型二次元人達は絶望するばかり。

 

 そんな戦況の中、遂には肉体そのものが消滅し始める二次元人も現れ始めていた。

 小田原修司の呪われた血筋、その血筋から生み出された新世代型二次元人、その新世代型の能力と技と特性を会得し始祖へと成り果てた修司。

 破滅を誘う修司の血筋は、本当に非業の未来しか生み出さないのか。

 

 純粋な破滅という新世代型二次元人の始祖へと進化した小田原修司の悲しみは、まだ止まらない。

 

 

 

[墜ちる流星]

 

 遂にミラーガールこと加賀美あつこの死の影響が現れ始めた。数多のキャラクター、二次元人が消滅する現象が発生。

 そして自らのクローンである新世代型二次元人の特性や能力を会得した小田原修司は、自らの血を使った戦法を開始。

 修司が自らの血を酷使して、疲労しただろうと思われた矢先、修司は新たに「吸血」という技で自分に襲い掛かってきたキュアブラックとキュアホワイトの血を吸い取り、失った血液を補ったのだった。

 吸血鬼をモデルにされたマギウスだけでなく、全ての新世代型二次元人を否定する修司の言動。

 戦況は変わらず不利な状況である中、再び此処で村田順一率いる存命しているスター・コマンドーが動き出した。

「……まだだ……まだ終わらせない……!」

 スター・コマンドーを従える村田順一の目には、まだ潰えない闘志が燦然と輝いていた。

 そして順一は緩んでいたであろう、常備額に巻き付けている五芒星の紋章が施された鉢巻を再び自らの闘志を奮い立たせるかのように力強く締め付け、生存しているスター・コマンドーの仲間達と共にかつての師である修司と激戦しようとしていた。

 

「……修司さん、かつて世界の……全ての種族の、命の未来を思い描いたあなたの理想を僕らは知り、そして受け継いだ。その意志を、夢を、理想を……僕たちは後世に残すべく、今あなたとぶつかる……!」

 順一はスター・コマンドーの仲間達と共に、修司へと駆け込むと同時に戦闘を開始した。

「俺から教えを学び、そして育まれたお前らが俺へと逆らう訳か……! 良いだろう、お前達の負の歴史も俺が全て……真っ白に滅してくれる」

 自分に向かってくる存命のスター・コマンドーを前に、修司は威圧感溢れる言動で順一達と戦い始める。

 向かってくる順一達に、修司は地面に手を触れてから前方に無数の闇の棘を張り巡らせる技を発動。だが自分達に向かってくる無数の棘に、順一達は瞬時に反応し、咄嗟に真横へと回避する。

 そうして修司に接近した順一は、逆手に握り締める日本刀・純心で修司に斬りかかる。が、修司は順一が振るう刃を装備している左腕の硬化させた血の鎧で受け止めると、逆の右腕を突き出して順一に拳を喰らわす。

 修司に殴り付けられた順一は吹っ飛ばされるが、地面に純心を突き刺して遠くに吹き飛ばされまいと抗った。

 修司が順一を殴り飛ばした次の瞬間、今度は修司の背後からユウとニナミが同時に襲撃。だが修司は肉体をすり抜ける能力を発動して、ユウとニナミを自分の肉体からすり抜けさせて攻撃を無力化。

 そして修司は自分の肉体をすり抜けたばかりのユウとニナミを、無数のコンパスなどの文房具系の隠し武器が飛び出た両腕でユウとニナミにラリアットを打ち込んだ。

 鋭利な針や角が際立った文房具系の隠し武器に覆われた両腕でのラリアットを喰らい、ユウとニナミは打撃で悶絶するだけでなく無数の傷を負わされた。

 ユウとニナミをラリアットで吹き飛ばした修司に、今度は赤ずきん/白雪/いばらの三人が修司を取り囲むかのように包囲し、三人同時に強力な魔法を発動し、修司を攻撃。

 だが修司には全く効力がなく、その魔法すらも闇の能力で無力化した修司は、斉木楠雄から会得したサイコキネシスで三人を同時に苦しめると、拘束したまま宙に浮かせて痛みを与える。

 すると其処に「三人とも、諦めちゃダメ!」と、ルイズ/タバサ/キュルケの三人が修司に向かって爆炎の魔法で攻撃。しかし修司は無傷で、しかも赤ずきん達を宙に浮かせたままの状態が維持されていた。

 赤ずきん達を助ける事も侭ならないルイズ達だったが、此処でルイズは赤ずきんの諦めていない眼差しに気付いて、両脇にいるタバサとキュルケに目配りすると再び修司に魔法で攻撃。

 すると、そのルイズ達の炎/氷/大地の攻撃魔法に赤ずきん達の魔力が加わり、より強大な攻撃魔法として修司に襲い掛かる。

 修司は無意識に反応して咄嗟に真上へと跳躍して回避行動してしまうが、それによって修司のサイコキネシスで苦しめられてた赤ずきん達は解放された。

 安堵する赤ずきん達にルイズ達が駆け寄るが、そんな六人に修司が上方から枇々木丈の火炎能力からの砲撃を浴びせて、六人を追い詰める。

 そんな上方から爆撃を行う修司に、大門大が飛び掛かっては修司に強烈な拳を浴びせた。だが修司は大の拳を顔面に受けても何ともなく、そのまま大の右腕を掴んでトーマ達の方へと投げ飛ばす。

 大門大を投げ飛ばした修司。だが、そんな修司の動きを止める者が。それは修司のデーモン=クローで頭蓋に深手を負った明石薫。薫は頭の激痛に耐えながら、自らの超能力で修司の動きを抑制していた。

 修司は斉木楠雄から得た超能力で、薫の超能力と抗戦するが、修司が得た斉木の超能力の方が薫の超能力を凌駕していた為に、薫は簡単に修司の超能力に弾かれて吹っ飛ばされてしまう。

 だが、薫が修司の動きを抑制している間に、野上葵が武器である弓矢を連続で射て、テレポートアローを修司に浴びせようとした。

 しかし修司は葵が放った無数の矢からなるテレポートアローを全て自らの超能力で空中で静止した直後、その無数の矢を全てO・Dの万物を崩壊させる能力で砂状に崩壊してしまう。

「ッ……!」

 自分が放った無数の矢を全て崩壊させられて表情を歪ませる野上葵。

「もう遊びは此処までにしよう……俺の複製から得た忌まわしき戦闘能力で、全てを一瞬で終わらせる」

 葵の放った矢を全て崩壊させた修司は、そう言うと、右手に自身の血を結晶化させて形成させた片太刀バサミを、左手を「無限刀 嵐」を繰り出せる刃に変形させてみせる。

 そして二刀流の武器を構えた修司は、背中のジェットブースターから火を噴き出して、一気に距離を縮める。

「ッ、結界!」

 修司がジェットブースターで一気に距離を詰めて接近してくるのを察し、墨村良守が咄嗟に修司が攻撃しようとした野上葵に結界術を張り巡らせて、葵を死守する。

 だが、修司が葵に攻撃しようと思われた次の瞬間、修司が一瞬で姿を消したのだ。

「ッ!?」

 突然姿を晦ます修司に、良守だけでなく他のスター・コマンドーの面々は愕然とする。

 すると修司が消えたと思われた次の瞬間、その修司が良守と同じ結界師の雪村時音の背後に姿を現したのだ。

 突然、修司に背後を取られて動揺する時音。修司は斉木楠雄から会得した瞬間移動(テレポーテーション)で一瞬の内に時音の背後に移動して、彼女を襲撃したのだ。

「! けっか……」「遅い」

 時音が結界を自らに張って防御しようとするが、修司は一言発した次の瞬間には片太刀バサミを振り下ろして、時音の身体を切り裂いた。

 斬られた時音の身体からは一気に血が噴き出し、時音は紅い鮮血に染まり上がる。

「時音ーーーー……ッ!!」

 時音を斬られて、愕然と叫ぶ良守。その最中、時音は昔、まだ自分達が聖龍隊に加盟した頃に当時総長だった修司から色々と手解きを学んだ思い出を思い出しながら意識が遠退いていた。

 かつて自分達を導き、そして戦う術を、何よりも大切なものを守る術を教えてくれた小田原修司という存在との思い出を思い返し、一人の乙女がまた悲しみの刃に散っていった。

「時音! ……クソッ!!」

「良守! 一人で突っ込むのは自殺行為だ!」

 時音を斬られて怒りで我を忘れた良守が修司に単身突っ込んでいくのを見て、順一が良守を制止する。

 だが良守は止まらず、結界術を駆使して修司を倒そうとしていた。

 しかし修司は良守の結界術を全て闇の能力で破壊して、最後に一人突っ込んできた良守を「無限刀 嵐」で返り討ちにして沈めてしまう。

「うっ……!」

 この時、良守もまた聖龍隊加盟当時に修司によって様々な事を学習させられた過去を思い出しながら意識を失った。

「良守はん!」「よ、良守……ッ!」

 また大切な仲間を失って、野上葵や明石薫らは絶望した。

 仲間を奪われた怒りで感情的になった白浜兼一と風林寺美羽が、此処で修司に接近して打撃を浴びせようと近付く。

 だが、修司は名瀬兄妹の檻の能力で接近してくる兼一と美羽を拘束し、二人を動けなくさせる。

 其処に修司は枇々木丈の火炎能力による、両腕に現した二対の銃口を向けて、兼一と美羽に爆炎のショットガンを浴びせた。

「うっ!」「きゃっ!」

 炎の散弾を浴びて悶絶する兼一と美羽の二人。そんな二人の息の根を完全に止めるまで、修司は炎のショットガンを連射していった。

「兼一! 美羽!」

 兼一と美羽が炎の散弾で苦しむ様を目の当たりにし、順一は心が締め付けられた。

 そして何発もの散弾を浴びた兼一と美羽が絶命したのをテレパシーで察した修司は、檻を解除して絶命した兼一と美羽の死体を解放した。

 時音と良守、そして兼一と美羽の死体を前にしても眉一つ動かず虚無の表情を保つ修司。

 そんな修司に哀れみを感じてか、パワーパフガールズZの三人が悲しい表情で修司の前に立ちはだかる。

「修司さん! 此処まで仲間だった人たちを殺しても、もう何も感じないの!?」

「タカちゃんだけでなく師弟関係だった私たちスター・コマンドーの隊士まで手にかけても、心が痛くならないんですか?」

「………………………………」

 ハイパー・ブロッサムやローリング・バブルスから問い掛けられた修司は無言のまま、無表情だった。

「……修司さん。もうオレ達との思い出も繋がりも、全部断ち切って何もかも消しちまうのかよ」

 かつて修司に恋していたパワード・バターカップの問い掛けにすら、修司は何も返答せず、次の瞬間背中のジェットブースターを噴出させてガールズに一気に攻め込む。

 ガールズは接近する修司を前に、一斉に散って各自臨戦態勢に入った。

「未来を生き抜く為にも……修司さん、貴方を倒す!」

 そう叫んだブロッサムは、武器であるヨーヨーを振り翳して、ヨーヨーを修司に直撃させようと仕掛ける。

 が、修司は右腕を伸ばすと、その右腕から分度器などの文房具の隠し武器を射出してブロッサムのヨーヨーを弾き返した上で、隠し武器の数々をブロッサムに浴びせる。

「うわっ!」「ブロッサム!」

 無数の文房具系の武器を浴びせられて悲鳴を上げるブロッサムを目視し、順一は動揺を抑え切れなかった。

 すると今度はバブルスが頭上で体を回転させながら手にしている武器から無数のシャボン玉を発生させて、頭上から修司にシャボン玉を浴びせていく。

 浄化の力をも持つバブルスのシャボン玉。だが今の純粋な破滅へと進化した修司には効力がなく、修司は微かにシャボン玉で視界を遮られる程度に感じていた。

 と、視界が遮られた修司に、好機とばかりにバターカップが巨大ハンマーを振り上げて修司に振り下ろそうと迫っていた。そんな彼女の瞳には自然と涙が浮かんでいた。

 しかし修司は自分に振り下ろされるハンマーの気配に気づき、右腕を突き出してバターカップが振り下ろすハンマーに拳を叩き込んだ。

 凄まじい衝撃が激突した修司の拳とバターカップのハンマーから放たれ、修司は平然と、バターカップは愕然とした表情を浮かべる。

 そして修司の拳が勝り、バターカップはハンマーごと遠くへ吹っ飛ばされてしまう。

「クッ……!」

 力負けしてしまったバターカップは転倒してしまった際に噛んでしまった口元の血を手で拭い取る。

 そんなバターカップに追撃しようと、修司は背中のジェットブースターを噴き出してバターカップに急接近、間近まで迫った上で斬り付けようと仕掛ける。

 と、そんな修司の前に、それぞれの武器を構えて修司の片太刀バサミと刃に変形した左腕を受け切って制止した音無小夜とハンター・スティールの二人。

「さ、小夜さん、スティール……!」

 バターカップが自分を庇った二人を前に唖然としていると、小夜とハンターはそのまま修司と激しい剣戟を始める。

 右腕に握られた血を結晶化させて作り出された片太刀バサミに、刃に変形した左腕。その両刀からの剣戟を受け止めるので必死な小夜とハンター。

 そして俊敏な修司の剣戟に圧倒され、小夜とハンターは後方へと押し返されてしまう。

「ハンター!」「大丈夫か!?」

 圧倒されるハンターを心配して、同じスパイダーライダーズのコロナやマグマ達が駆け寄る。

 が、そんなスパイダーライダーズに修司は狙いを絞ってテレポーテーションで瞬時に移動。ライダーズの間近へと瞬間移動した。

『!!』

 突如、修司が自分達の目前に急接近してきて激しく動揺するスパイダーライダーズ。

 修司はそんなライダーズに、そのまま「無限刀 嵐」を浴びせて無数の切り傷を負わせていく。

「きゃああっ!」

 コロナたち女性の悲鳴、そして絶句する男達の歪む苦痛の表情が修司の凄まじい剣戟を物語る。

 無数の切り傷を負わされたスパイダーライダーズの面々にトドメを刺そうと、修司は両腕に装備されてる銃口を突き出して、銃口から強力な爆撃を発射してライダーズにお見舞いしようとしていた。

 ハンター達はそれを見て愕然とすると同時に覚悟した。が、その時だった。

 ハンター達に銃撃を浴びせようとした修司に、遠距離から強力な銃火器からの砲撃が直撃し、修司の銃撃を中断させた。

「!?」

 自分達の危機に放たれた銃火器が放たれた方角にハンター達が振り向くと、其処には。

「だ、大丈夫かっ? おめえたち!」

「にゃ、にゃんとか間に合ったニャ」

 視線の先にいたのは、強力な対戦車ライフルを構えて、その大型ライフルで修司を狙撃した直後のグラスホップとランダージョの安心し切った姿が見受けられた。

「グラスホップ……!」「ランダージョ、あなた達……」

 ハンターとコロナが目を丸くしてると、グラスホップとランダージョは駆け寄ってきては、無数の切り傷を浴びせられて苦痛に喘ぐスパイダーライダーズに手を差し伸べた。

「大丈夫だっぺか? おら達もなるべく援護に回るから、あまり無茶するでねえぞ」

 しかし、手を差し伸べてくれたグラスホップの手を、スパイダーライダーズのマグマは強く弾いた。彼は過去の体験からインセクターを信じ切れてないのだ。

 だが手を弾かれたグラスホップは機嫌を損ねず、マグマに話し掛ける。

「……マグマのあんちゃん、お前さんが未だにおら達インセクターに不信感を持っているのは言わなくても分かってるっぺ。でも今は少しでも協力して、暴走した小田原修司を止めねえと何もかも取り返しがつかなくなるほど事態が遅くなるっぺよ!」

 グラスホップに真説を突き付けられ、複雑そうな表情を浮かべるマグマ。

 そんなマグマの手を強引に取り、グラスホップはマグマを始めとするスパイダーライダーズを全員立たせると先ほど修司を狙撃した対戦車ライフルを持ち上げて言い放った。

「よっしゃ! ここはスコーピオン同盟でも指折りの援護士、グラスホップ様とランダージョのコンビが援護するっぺ! ランダージョ、覚悟はいいか!」

「もちろんニャ!」

 グラスホップからの士気に、ランダージョも合意する。

 そんなスパイダーライダーズとグラスホップ達の許に、修司がブースターで急接近してきた。

「来たニャ!」「いくっぺよ!」

 ランダージョに急かされ、グラスホップは対戦車ライフルを急いで構えて、修司に向かって巨大な銃弾を発射。修司を狙撃する。

 だがしかし、修司の物質をすり抜ける特性が働き、銃弾は全て修司の体をすり抜けてしまう。

「ニャニャニャ!」「ひえ~~! 銃弾が効かねえっぺ!!」

 迫りくる修司を前に、涙目で慌てふためくランダージョとグラスホップ。

 そして修司が間近まで接近してきた時、修司の目前にハンター・スティールが駆け込んでは、修司を剣で押し止めた。

「ら、ランダージョ、それにグラスホップ……此処は修司さんの弟子だった俺達に任せて、君達は遠距離からの援護に徹してくれ……!」

「わ、分かったっぺ!」

 ハンターの力説にグラスホップは力強く頷くと、グラスホップとランダージョはその場から撤退。遠距離まで離れてから援護に回る作戦に移った。

 すると此処で修司がハンターに凄まじい剣戟を浴びせて、ハンターを押し返し、転倒させてしまう。

「うわっ!」

 後方に転倒したハンターに静かに歩み寄る修司は、そのまま片太刀バサミでハンターを突き刺そうと構える。

 だが、そんな修司にルメン王子やイグナスが斬り込んで、修司を止めようと画策。

 しかし修司は二人の攻撃にも動じず、激しい剣戟でルメン王子とイグナスを圧倒し、押し返してしまう。

 そんな修司にコロナが弓矢で仕留めようと矢を放つが、修司はその矢を左手の刃に変形した腕で一刀両断してしまう。

 このまま修司に損傷を与える事も侭ならないのかと息を呑むスパイダーライダーズ。

 すると其処に日向ひまわり達くノ一の面々が駆け付け、スパイダーライダーズに訴えかける。

「みんな! まずは新世代型の能力を会得した修司さんを何とか止めてみようよ! 私たちの技なら、それが可能な筈だよ!」

「そうか! アレで行くんだな!」

 ひまわりの説明を聞いて、ハンターは瞬時に理解した。

 そして次の瞬間、スパイダーライダーズは修司を包囲する様に取り囲み、ライダーズの相棒である蜘蛛たちは一斉に修司に強靭な蜘蛛の糸を放出。すると修司が蜘蛛の糸に包まれたのを視認したひまわり達は、今度はワイヤー付きのくないを修司の周りに張り巡らせ、頑丈なワイヤーでも修司の身動きを完全に封じてしまう。

 スパイダーライダーズの蜘蛛の糸、そしてひまわり達くノ一らの頑丈なワイヤー付きのくないによって完全に身動きできなくなった修司に、生体兵器であるハルがトドメを喰らわす。

「修司………………さよならだ」

 次の瞬間、ハルは強力なレーザー砲を額から放ち、修司に浴びせた。

 凄まじい爆炎に包まれる修司を目視し、スパイダーライダーズとくノ一そしてハルは茫然と修司の最後を見届けた。

 ハルのレーザー砲撃によって昇る白煙の中に、修司が消えたと思われた次の瞬間。

 その白煙の中から紅い閃光が全方面、放射状に射出された。

「!」「ッ!」「……!」

 白煙の中から無作為に放射された閃光に、ひまわりもハンターも順一も愕然とする。

 そして放射された紅き閃光は周辺にいたくノ一達とスパイダーライダーズそしてハルに浴びせられ、彼らの身体にレーザー閃光で風穴が空いてしまった。

「みんなッ!」

 ひまわり達くノ一にハンター達スパイダーライダーズ、そしてハルの皆々が閃光に貫かれた情景を目撃して絶叫する順一。

 くノ一にスパイダーライダーズ、そしてハルらが閃光に貫かれて口から血反吐を吐いていると、白煙の中からハルの全身全霊のレーザー砲撃を浴びた為に重傷を負った修司が、その傷を再生しながら白煙の中から姿を現す。

「くそッ!」

 遂に堪え切れなくなった順一は、純心を前に突き出して修司へと突進する様に駆け出した。

 そんな順一を前に、修司は平然と表情を変えずに順一を、右手の片太刀バサミと左手の変形刃で迎え撃とうと身構える。

 と、そんな身構える修司を、先ほどの無数の閃光に貫かれて瀕死状態に陥った面々が総力を挙げて修司の体にしがみ付いた。

「させるか!」

 ハンター・スティールにひまわり達は、持てる力を出し切る様に自力で修司の体にしがみ付き、順一に攻撃の機会を与えようと行動する。

「ジュン!」「今よ……早く、修司さんを!」

 瀕死状態のひまわりにコロナの言葉を聞き、順一は駆け付けながら皆の覚悟を受け止めた。

 そして皆が押さえ付けている間に、順一は修司に純心を深々と突き刺した。

 順一が突き刺した純心は、修司の胸部を貫通した。

 だが、その傷口からは一滴の血も流れる事は無く、修司は微動だにしなかった。

「この程度で俺を殺せると思っているのか?」『!』

 修司の一言に愕然とする面々。

 すると修司の体を覆う血の鎧から、隠し武器である文房具状の鋭利な武器が飛び出しては、修司の体を押さえているハンター・スティールやひまわり達に容赦なく突き刺さる。

 次々と我が身に突き刺さる文房具状の武器に悲鳴を上げる暇もなく悶絶するハンター・スティールやひまわり達くノ一は、全身に文房具が突き刺さったまま息絶えた。

「みんな……!」

 またしても仲間を救えなかった現実に打ちのめされる順一を目前に、修司は片太刀バサミを握る右手を振り上げて順一に右拳を殴り付けた。

「ぐはっ!」

 修司に頭を殴られて吹っ飛ばされる順一を視認し、存命していたハルが最後の力を振り絞って順一を助けようと修司に攻撃。

「喰らえッ」

 ハルが放った極太のレーザーが修司に直撃するが、修司の体に風穴が空くもののスグに驚異的な再生力で傷口が塞がってしまう。

「じ、ジュン……」

 最後の力を振り絞ったハルは、そのまま横のめりに倒れた。

 くノ一、スパイダーライダーズ、そしてハルまでも失ったスター・コマンドーの生き残りであるマイは、半グールの妖艶な姿で上空へと飛び上がり、其処でパワパフガールズと共に地上の修司へと攻撃。

 ガールズと共にマイは漆黒の翼から無数の鋭利な羽を射出させて修司に浴びせる。が、修司は両腕に装備されている火炎砲撃の銃口を上空に向けて、爆炎の弾を連続発射。ガールズの攻撃にマイの鋭利な羽は全て焼失してしまう。

「うっ!」「うわぁ!」

 そして自分達に浴びせられる爆炎の弾を浴びて、マイもハイパー・ブロッサム達も灼熱の熱さに悶え苦しんだ。

 爆炎の弾を浴びた彼女達。するとマイは背中の翼が燃えてしまった事で一時的に飛行できずに墜落し始めてしまう。

「マイさん!」

 ブロッサムたちガールズは、落下するマイを空中で掴んで辛うじて落下を防いだ。

「あ、ありがとう……」マイが三人に礼を言った次の瞬間。

 修司は狙いを澄まして右腕の銃口をガールズに向け、銃口から火の玉を撃った。修司が狙撃した火の玉は一直線にガールズへと飛来する。

 その火の玉はブロッサムへと直撃。火の玉の威力は凄まじかったのか、ブロッサムの胴体を貫通し、彼女に大きな燃え盛る風穴が空いた。

「っ……!」「ああ……!」「っ……!」「ッ!」

 胴体を撃ち抜かれたブロッサムは有無も言えずに悶絶し、それを見たマイにローリング・バブルスそしてパワード・バターカップは蒼褪めた。

 火の玉で撃ち抜かれたブロッサムは、そのまま地上へと落下し、墜落してしまう。

「ブロッサム!」「いやあっ!」

 地上に墜落するブロッサムを見下ろし、バターカップもバブルスも絶叫する。

 だが修司の無情の狙撃は終わらず、続けて修司はローリング・バブルスを狙い澄まして、狙撃した。

「っ……!」「ば、バブルス……!?」

 バブルスの脇腹に火の玉が直撃し、バブルスは愕然とした表情に一変し、バターカップは我が目を疑った。

 そしてバブルスもブロッサムに続いて地上へと真っ逆さまに落下していった。

「バブルスーーッ!!」「……!」

 二人も続けて撃ち落とされたのを目の当たりにし、上空に残されたバターカップもマイも悲痛な面持ちに至る。

 何とか再び自力で上空を飛行するマイを尻目に、修司は最後に生き残っているガールズのバターカップにも狙いを澄ます。

 そんな修司の狙撃に気付き、バターカップはかつて修司に恋焦がれていた過去を思い返して目に涙を溜めながら、武器であるハンマーを振り翳して地上の修司に急降下していった。

「バターカップ!」

 無謀とも言えるバターカップの行動にマイが叫ぶものの、バターカップは泣きながら修司に向かっていく。

 そんな修司に恋焦がれていた過去を思い返して涙するバターカップを見詰め、修司は無情に彼女にも同等に火の玉を射出しバターカップを狙撃した。

 しかしバターカップは修司からの狙撃をハンマーで打ち返して上空へと撥ね返すと、そのまま地上の修司まで一直線に降下してハンマーを振り下ろす。

「くそォォォッ!!」

 かつて恋してた修司に攻撃する事を嘆きながらハンマーを振り下ろすバターカップ。

 だが、修司は左腕を刃に変形させて、その刃でバターカップのハンマーを突き刺してハンマーを強引に止めてしまう。

「ッ!!」

 ハンマーに刃を突き刺して止めた修司の行動に愕然とするバターカップを尻目に、修司は反対側の右手に持つ片太刀バサミで素早くバターカップの首元の頸動脈を斬った。

 首の頸動脈を斬られて、大量の血が噴き出すバターカップは意識が低迷し、その場に着地するとそのまま倒れ込んでしまう。

「バターカップ!」「バターカップ……! くっ」

 遂にパワパフガールズ最後のバターカップまでも倒されて、順一も音無小夜も苦悶の表情を浮かべる。

 次々に仲間を殺されて感情が昂った小夜は、無我夢中で修司に突撃する。

 しかし修司は小夜の特攻を片太刀バサミのみで受け切り、そのまま彼女と激しい剣戟を繰り広げる。

 そんな小夜に加勢しようと、赤ずきん達おとぎ銃士の三人も各々の武器を手に修司へと迫る。

 一方の修司は合計四人の剣戟を、右手に持つ片太刀バサミと刃に変形した左腕を駆使して全て見切った上で受け切ってみせる。

 そして虚無の表情を浮かべる修司の空虚な瞳が一瞬、眼光鋭くなった瞬間に修司は「無限刀 嵐」以上の大技を解放した。

「無限刀 鬼嵐」

 通常の嵐の派生にして、より強力で広範囲な大技「無限刀 鬼嵐」を発動した修司の凄まじい斬撃の嵐が四人を襲う。

 修司が放った「無限刀 鬼嵐」の斬撃を浴びて、小夜も赤ずきんも白雪もいばらも無数の切り傷を負って絶命してしまう。

 続々と小夜や赤ずきん達が地面に倒れて命絶えていく惨状を目撃し、順一たち存命しているスター・コマンドーの面々は愕然とする。

「………………ッ!」

 小夜や赤ずきん達が死んでいくのを見届けるしかできなかった順一は悔しさの余り自らの奥歯を強く噛み締めた。

 そんな順一同様に仲間の死を見届けるしかできなかった元殺し屋のユウとニナミの二人は、歯がゆい感情を押し殺して修司に向かって全身全霊の総力を放った。

 ユウの灼熱の業火と、ニナミの凍て付く冷気、二つの相反する力が巨大な波動として修司に襲い掛かる。

 が、修司は自分に向かってくる業火と冷気の波動を、左手を前に突き出したと同時に見えない壁を展開して防御してしまう。

「なッ!」「あ、アレは……!」

 見えない壁の様なモノで防御する修司を見て、ユウもニナミも驚愕する。

 修司は斉木楠雄から会得した超能力で目前に見えない壁を発生させて、自らに放たれたユウとニナミの業火と冷気の攻撃を防いだのだ。

「まだだ……! まだ俺達ならやれる……!!」

 ユウが諦めない精神で修司に攻撃を続行する意志を示すと、ニナミもそれに同意する様に攻撃を続ける。

 すると、そんな二人の意志を感じ取ったのか、修司は前方に壁を発生させるのを止めて、代わりに右手に握り締める己の血液で作った片太刀バサミを猛烈に振るった。

 すると振るわれた片太刀バサミの斬撃が、ユウとニナミが放つ業火と冷気の波動を切り裂いた。これにはユウとニナミも更に驚愕。

 そして二つの波動を断ち切った修司は、そのまま背中のブースターを蒸かして加速、一直線にユウとニナミに接近する。

 そしてユウとニナミの間を一瞬で通過した瞬間に、修司はユウとニナミを斬り捨てた。

 修司に斬り捨てられたユウとニナミは、そのまま力尽きて倒れ込んでしまう。

「ユウ! ニナミ!」倒れる二人を見て、ルイズ達が騒然とする。

 するとそんな騒ぎ出すルイズたち三人の乙女を捉えて、修司が動く。

「次は……」

 次の瞬間、修司は超能力の一つである瞬間移動(テレポーテーション)を発動し、ルイズ達の背後に瞬間移動して迫る。

「えっ?」「!」「なッ……!」

 ルイズ/タバサ/キュルケは突然背後に瞬間移動してきた修司に驚愕する。

 そして三人が修司と距離を置こうと少しばかり後退した時「逃がさん」と修司は右手を三人の方に突き出して、手の平から黒い渦を発生させる。

「ブラックホール」

 修司の闇の能力が放つ、引き寄せる強大な引力にルイズ達は強引に引き寄せられた。

 そして修司の闇に引き寄せられたルイズ達に、修司は容赦なく素早く片太刀バサミを右手に装備して一瞬の内に斬り捨てて三人の命を奪う。

 肉を切る鈍い音が三つほど聞こえたと思われた次の瞬間、ルイズにタバサそしてキュルケ達は瞳孔を見開いたまま地面に倒れて動かなくなった。

「ルイズ……!」「いやああぁっ!」

 妹のルイズが修司に無慈悲に斬り捨てられたのを目撃して、ニュー・スターズのエレオノールとカトレアが絶望の表情に染まる。

「修司さん……! このヤロウッ!!」

 仲間達が次々に修司によって殺められていく惨状に、修司を師と認めていた大門大たち【デジモンセイバーズ】の面々が堪えていた感情を爆発させた。

 そして大たちはパートナーのデジモン達を次々に進化させていき、より強大で巨大なデジモンへと変化させて修司を攻撃。

 だが修司は背中のブースターを駆使して、高速で空中を移動しながら巨大デジモン達の攻撃をかわしていき、両腕に装備された銃口と両手の片太刀バサミなどの武器で反撃していく。

 修司から浴びせられる銃口からの火炎の弾に、片太刀バサミでの剣戟に、刃に変形した左腕からの「無限刀 鬼嵐」を受けて、巨大デジモン達は呆気なく返り討ちに遭って倒されてしまう。

「みんな……!」

 修司の凄まじい攻撃に力尽き、進化の状態から元に戻って気絶してしまうデジモン達を見て藤枝淑乃が悲痛な声を上げたその時だった。

 そんな淑乃の背後に、修司が瞬間移動で急接近したのだ。

「淑乃!」

 大の声に淑乃も背後の修司に気付くものの、時すでに遅く、修司は淑乃に片太刀バサミを振るって彼女を無慈悲に斬り捨てる。

「し、修司、さん……」

 斬り捨てられた淑乃は修司の名を呟くが、それでも修司の表情は変わらず虚無のまま。

「淑乃!!」

 淑乃が斬られたのを目の当たりにした大が怒りの咆哮を上げるが、修司は素早く瞬間移動で大たちの方へと移動して立て続けに大だけでなくトーマにイクトまでも凶刃の餌食にしてしまう。

 遂にスター・コマンドーでは総部隊長の順一を含め、生存しているのは明石薫と野上葵のエスパー二人に、順一の婚約者である深澤マイの四人だけとなってしまった。

「ようやく……流星という名の、果てなく流れ続ける明星の生き様も終わるだろう……」

 生存している四人のスター・コマンドーを視野に入れて、修司は呟く様に説いた。

 しかし大切な仲間を奪われ続け、生存している明石薫が頭から流血しながらも修司に言い返す。

「ふ、フザケんじゃねえぞ……!」

 並々ならぬ怒気に包まれる薫の言葉に、修司も耳を傾ける。

「あ、アタイ達の……流星の精鋭の足並みが止まる事は絶対ない……! ハァ、アタイは……アタイ達エスパーは、昔から差別とかの迫害を味わってきた。そんな中でアタイ達を理解してくれようとしてくれた多くの人たち、そしてジュンたち今のスター・コマンドーの仲間達。スター・コマンドーの仲間達も、最初は色んな過去や能力でぎくしゃくしてたけど、ジュンが……後にアタイ達を引っ張ってくれる総部隊長に成るべくして聖龍隊に加盟した非力なノーマルのジュンが、私たちエスパーだけでなく多くの人々の苦しみや悩みを理解しようと闘ってきた! ジュンのお陰で私たちは、エスパーだのノーマルだのという偏見や見方に囚われる事無く、今みたいに個々の存在を受け入れて共に生きていける未来を信じられるようになった……!」

「………………」

「ハァ、ジュンが! そしてジュンにそんな教えを伝授してくれたアンタから学んだ、共存共栄の理想を私たちスター・コマンドーは捨てない!! もう昔の様に、エスパーだのノーマルだのとツマラない価値観に戻るくらいなら……私達は! 最後まで、小田原修司! アンタに抗ってやる!!」

 かつては普通の非能力者達からの偏見や差別に苦悩していたチルドレンの三人。だが聖龍隊に加盟して、修司だけでなく能力者にも寛大な村田順一との出逢いを得て、偏見や差別のない理想を持つ様に至った。

 そんな理想を順一に受け継がせた修司の夢を未来へ運ぶためにも、今の破滅へと進化した修司に最後まで抗う意志を表明する明石薫。

 決意表明する薫の横には、彼女の意志に賛同する野上葵も力強い面魂で修司を睨み付けていた。

 が、力強い意志を示す二人の超能力者を前にしても修司の表情は微塵も変わらず、次の瞬間にはまたしても瞬間移動で二人の背後に迫った。

 だが「バレバレだよ!」と、明石薫が戦闘では常備している重量級の棘付き鉄球を背後に瞬間移動してきた修司の頭上へと振り上げ回した。

 修司は素早く右手で薫が振り回してきた鉄球を、自分の頭の上で受け止めて防いだのだが、今度は其処に野上葵が攻撃してきた。

「今やっ!」

 葵は武器である弓矢で、修司に同時に三本の矢を射出して放つ。

 葵が射た三本の矢は、全て鉄球を片手で受け止めている修司の胸部に直撃し、突き刺さった。

「やったぜ……!」

 修司に矢が直撃したのを目撃した薫は小さくガッツポーズをとった。

 だが次の瞬間、修司に突き刺さった三本の矢は瞬く間に砂状に崩壊して消滅してしまう。

「ッ!」「ッ、ガッチャマンクラウズのO・Dの万物を崩壊させる能力か……!」

 修司がまたしても新世代型二次元人の能力を使用したのを目視して表情を歪ませる薫と葵。

 すると次の瞬間、修司は闇の能力で薫の超能力を無力化した瞬間に、右手で受け止めている鉄球をそのまま薫の頭に打ち付けて彼女を痛め付ける。

「ぐっ……!」「薫!」

 鉄球を頭に打ち付けられて悶絶する薫に、それを見て愕然とする葵。

 それを機に修司は連続で鉄球を薫の頭蓋に何度も何度も打ち付けて、鉄球で彼女を殴り続けて薫を更に血で真っ赤に染め上げていく。

「薫……!」

 頭から流れる鮮血で顔を真っ赤に染められていく薫を前に、葵は逆に顔面蒼白に変わっていた。

「あ…………ぁ………………」

 何度も頭に自分の武器である鉄球を打ち付けられて、薫は遂に頭部を真っ赤に染め上げられて地面に力尽きる様に倒れてしまう。

「薫!!」「クイーン!」

 明石薫の死に、葵もスコーピオン同盟の兵部京介も絶望する。

 しかし修司の魔の手は泣き叫ぶ野上葵にも迫っていた。

 修司は薫の次に葵を標的に選び、彼女の目前に迫り、右手に持つ片太刀バサミと刃に変形した左腕の二刀流で葵を切り裂こうと、刃を交叉する様に振るった。

「ッ!」

 だが葵は素早く反応し、所持していた武器の弓で二刀流の攻撃を防ぎ、辛うじて受け止めていた。

 しかし修司の強力に力負けしそうになるのを、葵は必死にか細い腕に力を込める。

 だが次の瞬間、特殊な鉱物で作られている弓が修司の二刀流の武器に真っ二つに切断されてしまい、葵は絶句してしまう。

 そして修司が振るった二刀流の攻撃を、葵は真正面からまともに浴びてしまった。

 修司の斬撃を受けて、遂に野上葵も地面へと横たわる。

「葵……! そんな……」「そんな、みんなが……」

 遂に残された順一もマイも、死んでいった仲間達の最後を目撃して悲観する。

 そんな悲観する最後のスター・コマンドーの面子である順一とマイに、修司が言った。

「悲しむ事は無い、恐れる事は無い……死は静寂、一瞬の苦痛の後に訪れるであろう安らぎに向かえる一時の状態に過ぎない」

 さらに修司はこう語り掛けた。

「若さゆえに闇夜に流れ続ける、流星という名の力……そんな休まる事のない流星という若き力と思いに終焉という休息を訪れさせるんだ。もう夢や理想の為に走り続ける事は無い、駆け抜ける必要もない。真っ白な桃源郷の中で永遠に休まるがいい」

 修司のこの台詞を聞いて、順一もマイも深く深く落胆した。

 

 遂に総部隊長である村田順一とその婚約者である深澤マイを残して、ほぼ全滅してしまったスター・コマンドー。

 壊滅状態に至る連合軍に更なる絶望と恐怖が圧し掛かる今、順一はどうするのであろうか。

 現実という闇夜を駆け抜ける流星の如き、若かりし意志を示していたスター・コマンドーの歩みは止まってしまうのか。

 

 

 

[伝説の三人]

 

 遂に自ら思想を伝授させた弟子であるスター・コマンドーを、村田順一と愛澤マイを除いて全て死滅させた小田原修司。

 自分たち以外の仲間が全て死滅させられて、途方に暮れる順一とマイ。

 しかし連合軍には、まだまだ強者である猛者達が数多にいる。この戦況に小田原修司は攻撃の手を緩めなかった。

「戦場では、敵の戦力を削ぐ為に弱い兵力から潰すと言うが……俺は常に平等。誰しも平等に接し、そして平等に潰すだけ」

そう言うと修司は主役級の二次元人も、脇役と位置付けられる一般隊士も、平等に斬り捨て始めた。

 右手の片太刀バサミ、刃に変形する左腕という、二刀流の斬撃を受けて絶命していく二次元人達。

 そんな仲間である者たちを救おうと、多くの版権キャラが修司に反撃を仕掛ける。

 だが修司は闇の能力で、左手から黒い波動を放って周辺の二次元人達を吸引し始める。

「ブラックホール」「う、うわっ……!」

 修司の闇に引き寄せられてしまうプリキュアの乙女たち。修司はそんな彼女達を目前まで引き寄せ集めると、左腕の刃から必殺の「無限刀 鬼嵐」を繰り出す。

 修司が放った「無限刀 嵐」の派生技「無限刀 鬼嵐」を浴びて、プリキュア達は酷い切り傷を全身に浴びて忽ち戦闘不能に陥ってしまう。

 その後も修司は闇の引力で強引に多くの戦闘員を引き寄せつつ、必殺の剣戟で返り討ちにしてしまう。

 そんな修司は唐突に凄まじい剣戟を繰り出して数多の命を奪いながら語り始めた。

「苦しみが続いた時、人は願う終わりが来ることを。だが幸せな時もそれが永遠に続くと知れば、人は願う終わりが来ることを。終わりのない生は生と言えるのか」

 頭上からデビルマンがレーザーを放ちながら滑空してくるのも、修司は闇の引力で強引に引き摺り下ろしてデビルマンが間近まで来た所を片太刀バサミの剣戟で切り裂いて倒しながらも語り続ける。

「死んでいない事を生きていると言うのが、その死すらなくなった状態は生と言えるのか……それは虚だ。生も死もない只の虚無」

 遠距離から超能力と魔術の相反する力で攻撃する御坂美琴を筆頭とした【とある科学の超電磁砲】組と【とある魔術の禁書目録】組の面々。しかし修司は彼女達の攻撃を全て闇の能力で無力化して回避すると、その直後にテレポーテーションで瞬間移動して無慈悲に美琴たちを平然と斬り捨てる。

「苦しみが続いたとき人は願う、終わりが来ることを……だが幸せな時も、それが永遠に続くと知れば人は願う、終わりが来ることを……」

 終わらない生と死、そして人が必ず終わりというものを欲すると言う矛盾を説きながら、修司は刃を振るい連合軍の猛者達を斬り捨てていく。

 

 そんな惨状を目の当たりにして、村田順一は堪えていた涙を目から滴らせる。だが順一はすぐさまその涙を拭い、聖龍剣の兄弟刀である純心を握り締めて戦場に立つ。

「……どんな悲劇が待ち受けようとも、どんな残酷な現実を突き付けられ様とも……! 僕たち聖龍隊が歩みを止める事は、あってはならないんだ……!!」

 堅い意志を顔に表す順一は、修司の猛攻で戦意が削がれて困惑する同志達に語り掛ける様に、熱く説き始めた。

「今もここで戦い続ける者達は皆、同じだろう。人は死が遠い場所では理想だ信念だと小難しい理屈を並べて生きているけど、死の淵に立って初めて気づく。人間は本当は、ただ心許せる者のそばで生きたい、死にたい……たったそれだけの単純明快な生き物なんだと」

 順一の言葉を聞き、戦場で戦う猛者達は誰もが息を呑む。

 そして順一の説得を聞き入れ、再び修司に抗って生き抜こうと言う意思を持った。

 だがしかし、そんな並々ならぬ猛者達に周りを囲まれても、修司は無表情で語り明かす。

「俺はもう人ではない……人の温もりも、情も、何にも感じられない頃の俺に逆戻り……歪な皮膚に装着してる血の鎧を一目見ても分かるだろ。もう人であった頃の俺とはかけ離れた異質そのものだ、俺は」

 己を人の温もりも感情も感じられない昔の自分と説く修司は、皆を奮い立たせる順一に背中のブースターを噴出させてからの疾走で迫った。

「ジュン!」「ッ!」

 スター・ルーキーズのミラールとナツ・ドラニグルが険しい表情に一変する中、修司は順一の目前に迫ると同時に斬りかかった。

 修司が背中のブースターで加速して斬りかかったその瞬間、順一に迫る修司の目前に半人半グール化している深澤マイが硬化させた両手の爪で修司が振るう片太刀バサミの形状の血の武器を受け止めた。

「マイか……」

 自分の振るう武器を爪で受け止め切ったマイを目前に、修司は静かに彼女の名を呟く。

 するとマイは目に涙を溜めて、涙目で目の前の修司に問い掛けた。

「ジュンが独りで戦っている訳じゃない事を……! 独りぼっちで戦っている貴方とは違うって事を……! 何より、ジュンには私たちが付いている事を忘れないでちょうだい……!!」

 孤独に戦う修司と、それに抗う順一が違う事を涙目の強面で訴えるマイの言葉を聞いて、修司は彼女と激しく鍔迫り合いしつつ言葉を返した。

「……マイ、お前の今の顔。グールどころではない、普通に女がキレた時の厳つい顔になっちまっているぞ」

 涙目ながらも厳つい強面に変化しているマイの表情を前に、修司は眉一つ動かさなかった。

 次の瞬間、修司は受け止めているマイを押し退けて素早い動作で彼女の真横を移動して、順一へと斬りかかろうとした。

 順一は即座に純心で修司を迎え撃つ体勢に身構えるが、そんな修司にマイが飛び掛かり鋭利な爪を修司の身体に喰い込ませて修司の動きを押さえ込んだ。

「マイちゃん!」

 修司にしがみ付いて動きを止めるマイを見て、順一は叫んだ。

 しがみ付いてくるマイに拘束されながらも、修司は静かに語り出した。

「まあ、厳つい顔で俺にしがみ付き、ジュンを救えたつもりでいるんだろうが……その前に、自分の身を案じる事だぞ」

 その修司の一言にマイが一驚した次の瞬間、修司は自らの全身を覆う血の鎧から鋭利な刃を突出させてマイを傷付ける。

「っ!」「マイちゃん!」

 隠し武器である刃物に傷付けられたマイ、彼女が傷付いて動揺する順一。

 修司は隠し武器である刃物で傷付いたマイが思わず体から離れたのを認識すると、徐にマイを足で蹴飛ばした。

「うっ!」

 修司に蹴飛ばされて悶絶するマイ、そんな彼女に順一が駆け寄る。

「マイちゃん……!」

 順一が駆け寄って、マイの容態を確認していると、其処に修司が声をかけてきた。

「ジュン、マイ……お前たち人間とグールの恋仲も終焉に導く。異なる命、異なる種同士が結ばれる事でも、また新たな隔たりや確執何よりも衝突が生まれ、争いという名の混沌が生じてしまう」

 異なる命や種が結びつく事も、また新たな争いや混沌を生み出す要因であると説く修司の説教に順一もマイも互いに抱き寄せ合いながらも聞き入る。

 そして修司は戦場に居る多くの猛者達に聞こえるよう説き始めた。

「終わりとは、終着あると同時に解放だ……終わりもって、俺たちはあらゆる柵から解き放たれる……」

 終焉とは同時に解放であり、それと同時に終わりで自分達は柵から解放されるのだと説く修司。

 そう説いた修司は片太刀バサミを目前に振り上げると、その片太刀バサミは修司の血や力を吸収して更に巨大化。修司はその巨大化した片太刀バサミを愕然とする順一とマイに一気に振り下ろした。

 巨大な片太刀バサミで順一とマイの二人が襲われる、まさにその時だった。

 

 突如として一筋の光が修司の目前を物凄い速度で通り過ぎ、修司の動きが一瞬止まった。

 順一はそれを見逃がさず、すかさずマイを連れて修司が振り下ろす巨大な片太刀バサミから離れて難を逃れた。

 順一とマイを仕留められなかった修司が、自分の行動を遮った謎の発光体が飛来する方へと目を向けると。

 其処には、修司を止めた野球ボール程の大きさの光る球体を右手で受け止める男性が。その男性の近くには、同じ年ごろの男女が二人いた。

 三人の男女を視界に捉えた修司は、静かに口を開いた。

「……お前ら……」

 少し懐かしさを感じた様な口調で三人を見詰める修司。

 すると修司と同じく三人を見た順一は驚愕した様子で言葉を走らせた。

「あ、あなた方は……もしや……!」

 何処か見覚えのある顔立ちの三人を見て、驚く順一を見て、唯一の女性が順一に声をかける。

「順一くん、よく頑張ったわ。此処からは私達も参戦する所存よ!」

 そう順一に声をかける女性は、腰に六角形の棒状の物体を携えていた。

 そして紅一点の女性に男二人の、計三人組は前進し、修司の前へと突き進む。

 その三人組は、揃って聖龍隊の一般隊士の制服を着衣しており、修司の前で立ち止まると三人とも力強い面魂で修司に言った。

「修司さん……まさか聖龍隊を結成させた貴方が黒武士であり、そして今では全てを終わらせる為に自分のクローンである新世代型二次元人の力で純粋な破滅へと変わってまで、アッコさんや同期の聖龍HEADまでも手にかけてしまうなんて……!」

 紅一点の女性が悲し気に修司に語り掛けていると、彼女に続いて両脇の男二人も修司に熱く語り始めた。

「修司さん! アッコさん、いやミラーガールを殺さなきゃ、俺たち二次元人の進化も止まらず、最悪全ての二次元人が異常者(ヒール)になっちまうってのは辛いかもしれない……けどな! アッコさんの、いや……俺たち聖龍隊が築いてきた歴史を全て無くしてまで得られた虚無の未来が本当に正しいものか、誰が決められるんだ!」

「アッコさんだけでなく、セーラームーンやキューティーハニーなど多くの麗しき美女達をも斬り捨ててまで手に入れられる静寂が、本当に世界の未来に必要なのか……それは、本当は貴方だって分からないのでは!?」

 女に男たちの言い分を聞き入れる修司だったが、終始無言だった。

 そんな修司に、最早戦わなければ先へと進めないと軽く溜息をついた女性は、腰に携えている六角形の柄を手に取り、それを両手で構えると柄から光の刃が出現した。

「What? なんだ、あの光る刃みたいなのは……!」

「そもそも、あの三人……何だか修司殿や聖龍HEADの面々とまるで同期の様な口振りであったが……」

 突然、光の刃を構える女性の言動を遠くで目視し、デイ・マァスンやシン・ユキジは目を丸くしていた。

 すると女性に続き、今度は男性の一人が先ほど修司を止めた大きめのスーパーボール程度の球体を手に掴み、もう一人の男は根元が四角い二本の牙状の物体を光が繋いで弓の形状を成して光の矢を掴んだ。

 そんな臨戦態勢の三人を前にした修司は、空虚な瞳を細めて昔を思い返しながら三人に言った。

「……良いだろう。そもそも、お前達との出逢いもまた世界を混沌に導いてしまった過ちであり元凶。故に、俺自身の手で消さなければ混沌は打ち消せないだろう……来い、イサミ、トシ、ソウシ……!」

 修司はそう目の前の三人に告げると、右手の片太刀バサミに黒い闇の覇気を流してイサミ達と戦闘する体勢に突入した。

 

 しんせん組 花丘イサミ/月影トシ/雪見ソウシ 参戦

 

 聖龍隊古参であり、修司やアッコとも同期の間柄であるしんせん組のイサミ/トシ/ソウシの三人と攻防を展開し始める修司。

 修司は先攻として、手始めに片太刀バサミでイサミに斬りかかるが、イサミは六角形の柄から光の刃を現す龍の剣で修司の一太刀を受け止める。

 そのまま修司はイサミと押し合い、鍔迫り合いに発展するが、其処に月影トシが龍の目を発動させて、光が外郭部分を形成してサッカーボール程の大きさに変形させて蹴飛ばして修司に直撃させようと試みる。

 トシが蹴飛ばした龍の目を咄嗟に後退してかわした修司だったが、そんな修司にお次は雪見ソウシが弓の形状に変化した龍の牙から光の矢を射って修司を狙った。

 ソウシが放った光の矢を、修司は血の鎧を装着している両腕を硬化させて次々と弾き落としてみせ、反撃に転ずる。

「ム……ッ!」

 修司は少し距離を取ると、左腕に装備している銃口から火炎弾を連射し、しんせん組の三人に狙い撃つ。

 しんせん組のイサミ達は素早い動作で修司が撃ってきた火炎弾を回避していき、それと同時に遠距離からトシとソウシが修司に攻撃する。

「このッ」「えいッ」

 トシが蹴飛ばした龍の目と、ソウシが龍の牙から放った矢が修司目掛けて飛来する。

 だが修司はトシが蹴飛ばした龍の目を右手の片太刀バサミで弾き返し、ソウシが放った矢を左手からの火炎弾で消し炭にして無力化してしまう。

 すると其処にイサミが急接近し、修司と激しく龍の剣で剣戟を展開する。

「修司さん……! 生れ付き愛情を感じられず、常に孤独を感じていた貴方の苦しい生涯を私達は知ってるわ……でも、そんな修司さんが託してくれた理想も私達は忘れずに未来へと託していきたいの!」

「ふむ、そうか……だが、所詮顛末は同じ。抗うならば、俺が終焉を与えるのみ、ゾ……!」

 激しい剣戟を繰り広げながら、イサミと修司は対話する。

 そして間髪入れずに刃と刃を激しく衝突させて、互いに押し合う二人の許に、先ほど三人に危うい所を救われた村田順一が駆け付ける。

「先輩方! 今の修司さんには、聖龍隊でも彼を知り尽くしているあなた方でも先行きが見えない! 僕も最後まで抗います……かつての師、小田原修司を倒す覚悟と同時に、あなた方と共に戦います!」

「そう、分かったわ……全力で修司さんを止めるわよ、ジュン君!」

「はい!」

 そう駆け付けた順一に返事するイサミは、順一の返答を聞いてすぐに修司と距離を離して順一と共闘する態勢に入った。

 そんな二人を前に、修司は左手の銃口から無数の火炎弾を発射し、イサミと順一に直撃させようと仕掛ける。

 だが素早く順一がイサミの前に出て、力を込めた右拳を地面に殴り付け、地面から分厚い岩の壁を出現させて修司が放った火炎弾を全て防ぎ切って、自分とイサミの身を護った。

 そして岩の壁が無くなると同時に、順一はしんせん組に言い放った。

「先輩方、行きましょう!!」

「ええ!」「おうっ!」「無論だ!」

 順一の呼びかけに、イサミ/トシ/ソウシは強く呼応した。

 そして順一は純心を武器に、イサミと共に純心と龍の剣の二重剣戟で修司に斬りかかる。

 修司も右手の片太刀バサミと刃に変形させた左手の二刀流で順一とイサミの両者と激しく斬り合う。

 と、そこにトシが龍の目を野球ボール程の大きさに変化させて、修司に直撃させようと思いっきり投げ付ける。

 が、修司はトシが投げ付けた龍の目を顔面に直撃する寸前にかわしてみせる。と、修司が回避した龍の目を順一が左拳で弾き返し、修司の脇腹に龍の目を直撃させた。

 腹部に野球ボール程の大きさの龍の目を受けた修司は、著しく体勢を崩し、その隙をついてイサミが龍の剣で修司に斬りかかるものの、修司は即座に体勢を立て直しイサミの龍の剣を片太刀バサミで受け止め防ぐ。

 一時の剣戟の後に、イサミを押し返して彼女を後退させた修司は逆にイサミに斬りかかろうとするが、イサミに加勢しようとソウシが龍の牙で矢を射って修司を射撃。

 三本の矢がそれぞれ修司の頭部・左肩・左腰に直撃し、修司の動きが一時的に止まる。

 三本もの矢を浴びた修司の動きが止まったのを見て、一時ばかし様子見する戦前の四人。

 だが修司は自身が受けた三本の矢を、吸収した新世代型二次元人のO・Dの万物を崩壊させる能力で砂状に崩壊させた後、驚異的な再生能力で傷口を瞬く間に消し去ってしまう。

 そんな相も変わらない絶望的状況でも、村田順一も、そしてしんせん組の三人も決して諦めず最後まで修司と戦い続ける。

「伝説の……伝説の……! まだ聖龍隊にいたんだ!!」

 そんな村田順一と共闘する、しんせん組の三人の激戦を観戦して、国連軍所属の兵士は【聖龍伝説】にも登場していた伝説の聖龍隊創設メンバーの三人が未だに聖龍隊で現役の隊士として活躍していた事実に驚愕した。

 

 過去(かつて)、鬼神と世間から恐れられる前の少年と共に、多くの英雄達と共に圧倒的脅威と敢然と立ち向かった少年少女たちがいた。

 歴史に深く刻まれるであろう組織を創設し、後々周囲から鬼畜だの鬼だのと恐れられる少年が胸中に秘めた理想を、多くの友が同じ志として夢見て追い求めると、三人の少年少女もそれに同調した。

 少年たちの志であり夢は、着実に現実味を帯びていた。

 だが、それは鬼と呼ばれる少年が世界中から秘密裏に蒐集してきた【世界の秘密】で塗り固められた、理想とは程遠い理想。

 少年が自分達の夢や理想を形にする為には蒐集してきた秘密を活用するしか手段がなかった現実を、友である多くの英雄達はもちろん三人も周知していた。

 

 現実から理想は生み出され、理想で現実は変えられる。

 だが同時に理想は人が生み出した妄想でもある。

 

 過去(かつて)は少年だった鬼と呼ばれた男の凶刃に今なお現役で現実と戦う隊士達は最後まで抗えるのだろうか。

 

 

 

[消えていく力と消えない想い]

 

 巧みな連携で幾度となく純粋な破滅へと進化した修司へと交戦する村田順一としんせん組のイサミ/トシ/ソウシ。

 しかし四人の連携攻撃を何度浴びても、新世代型二次元人から吸収した驚異的な再生能力で自身を回復してしまう小田原修司。

 最初は優勢に見えた四人も、修司の凄まじい反撃と回避、さらに驚異的な身体能力に圧倒されて劣勢に追いやられてしまう。

 

「ハァ、ハァ……」「はぁ……!」

 未だ目力に闘志を湧き上がらせるものの、体の方が追い付かないで息を切らしてしまう村田順一と花丘イサミ。

 そんな二人と同じく、月影トシと雪見ソウシも体力を消耗していた。

 しかし一方の修司は全く息を切らす事も無ければ、虚無な表情を微塵も変える事無く、最後まで抗おうとする四人を前に平然と立っていた。

「もう終われ……終わる事のない人間の願望、その願望から派生した虚無の如き理想を追い掛け続け、己を消耗し続ける現実(いま)と決別しろ。それがお前達に残された最後の択……」

 虚ろな表情の修司に言われ、イサミ達が切らしていた息を整える暇もない勢いで反論した。

「終わらない! もう修司さんの夢はあなただけの物じゃない……私たち聖龍隊の夢であり、後世まで伝え遺していかなきゃならない尊い信念そのものなのよ!」

「そ、そうだぜ! どんな種族だろうと、良心がある奴なら誰もが平等に生きていい世界は……もう、あんただけの夢じゃなく俺たち聖龍隊の理想に成っちまってんだよ!!」

「どんな種族だろうと、か弱き乙女たちと共に居られる未来社会は実に興味がある……そんな未来を実現する為にも修司さん、あなたにその妨害はさせない!」

 イサミ達の力強い力説を聞いた修司は、徐に右手の片太刀バサミを腰に据えて抜刀の構えに入る。

「あ、アレは……! いけない、修司さんの抜刀の構え! アレから繰り出される斬撃は簡単には防ぎ切れない!!」

 修司が抜刀の構えに入ったのを見て、修司の一番弟子でもある村田順一が焦燥の面持ちで慌て始めた。

「先輩方! 今すぐ修司さんから離れて……」

 順一がイサミ達に訴えかけようとしたその瞬間、修司は抜刀の構えから素早く片太刀バサミを前へと振り払い、同時に力強く踏み込んでイサミへと斬りかかった。

 目にも止まらない俊敏な動作で斬りかかる修司の斬撃。だがイサミは修司の俊敏な斬撃を龍の剣で素早く受け止め、辛うじて修司の攻撃を自衛した。

「す、凄い……! 修司さんの抜刀術からの斬撃を意図も簡単に防いでしまうなんて」

 修司の抜刀術に素早く反応して龍の剣で斬撃を防いだイサミの動作に順一は驚くばかり。

 そのまま修司とイサミは互いの武器を鍔迫り合いして硬直してしまう。

 だが修司はイサミと膠着状態に至るほど甘くはなかった。

 修司はイサミの一瞬の気迫で右手に所持していた片太刀バサミが飛んでしまい、右側が無防備に。

 其処にイサミが龍の剣で修司に斬りかかろうとするのだが、修司は逆に片太刀バサミを失くしてしまった右の拳で龍の剣を所持するイサミの右手を強く殴り付けた。

「ッ!」

 龍の剣を握り締めていた手に渾身の拳を殴り付けられ、思わずイサミは龍の剣を落としてしまう。

 すると修司はその隙を見逃さず、左手を素早く刃に変形させて「無限刀 鬼嵐」を斬り込もうとした。

 だが技が発動する寸前、イサミは懐に隠し持っていた小刀を素早く抜刀して修司が斬り込んできた「無限刀 鬼嵐」を小刀だけで防ぎ切った。

「ま、まさか!? 僕の無限刀 嵐の強化版でもある鬼嵐を、あんなに小さい小刀一本だけで防ぎ切るなんて……!」

 檻の中かから修司との死闘を観戦するか出来ずにいる新世代型二次元人の橘清音は目を丸くして愕然としていた。

「……武器を失っても、まだ抗う術を得ていたか……」

「そうよ! 修司さん、あなたが異次元からの驚異との戦いの前に学ばせてくれた教訓から得たんですよ!」

 かつて聖龍隊史上初の最大の大戦「異次元からの驚異」との前に、修司との仕合から学んだ教訓で戦い方を習得したイサミは威勢よく返答した。

 そしてイサミは修司の刃へと変形している左腕を小刀で弾き返すと、同時に素早く修司と距離を置いて地面に落ちた龍の剣を拾い上げて再び構える。

 再び対峙する修司とイサミ、そんなイサミの許に駆け付けて彼女の両脇で身構える月影トシと雪見ソウシ。

 と、三人が修司と対峙していると、突然彼らが所持しているルミノタイトの武器に異変が。

「な、なんだ!? どうしたんだ?」

「ルミノタイトの光が弱まっている!」

「こ、これって……!?」

 突然自分達が持つルミノタイトの鉱石で作られた武器が発する光が弱まり、激しく動揺するトシにソウシにイサミ達。

 そんな激しく動揺する三人に修司が語った。

「人の思いを具現化し、力に変える鉱石ルミノタイト……だが、その様な異質な鉱石の効力もまた、俺がアッコを殺めた事で消滅していく二次元人の【変える力】と同じ」

「な、何ですって!?」

 修司の説明を聞いて一驚するイサミに、修司は絶えず説き続けた。

「忘れたか? アッコが死んだ事で、お前たち二次元人の能力が失われつつある事を。あのガッシュたち魔物ですら、人間の心の力を使えば使うほど、その力に限界があった。それと同じで、今やアッコを失った二次元人の能力には……限度と言うものがあるんだよ」

「「「!!」」」「………………!」

 修司の説明を聞いて愕然とするしんせん組に、同じく説明を聞いて表情を更に険しくさせる村田順一。

 そんな自分達の武器までも力を失いつつある現状に戸惑う三人に、修司は二刀流の構えでイサミ達に言った。

「さあ、もう終わりだ。俺達が出逢ってしまった時から始まってしまった混沌の因果も、俺達が消える事で全てが無くなり、真っ白な桃源郷へと生まれ変わる。故にイサミ、お前達は此処で終われ」

「さっきも言ったでしょ……! 修司さんから受け継いだ理想を叶える為にも、私達は最後まで諦めない!!」

 修司に強く反論するイサミは、渾身の思いと力で修司に光が消えかかっている龍の剣で斬りかかろうと刃を振るった。

 が、イサミが修司に斬りかかろうとした所で、イサミが持っていた龍の剣の輝きは消え、自然消滅して柄の部分だけになってしまう。

 そんな柄の部分だけになってしまう龍の剣を、修司は左手で受け止め、静かに下ろさせた。

「あ……」「……」

 静かに見詰め合うイサミと修司。イサミは修司に柄だけになった龍の剣を静かに下ろされると同時に戦意喪失してしまってた。

 が、そんな静寂の瞬間に、修司は右手の片太刀バサミをイサミの胴体に躊躇する事なく突き刺した。

「っ……!」

 一瞬の内に自分の体に走る鈍い痛みにイサミは悶絶する。

「イサミ!」「イサミちゃん!」

 イサミに片太刀バサミが貫通するのを目視して、トシもソウシも声を荒げる。

 一方の片太刀バサミを突き刺され、己の身体をその刃で貫通されたイサミは震える手で片太刀バサミを持つ修司の右手に添えると、自然と優しい言葉を修司にかける。

「修司、さん……諦めちゃ、ダメ……私の……ううん、アッコさんの為に叶えようとした平和な理想郷は必ず実現するわ……。そう、例えどんなに時間がかかろうとも必ず……修司さんの夢は叶えられる筈。だから、最後まで諦めないで……!」

 と、イサミが修司を最後の力を振り絞って説得している最中、イサミの説得を最後まで聞かずに修司は彼女に突き刺した片太刀バサミを引き抜いて、イサミの命を完全に絶った。

「イサミーーッ!!」「イサミちゃーーん……!!」

 修司に命を奪われ絶命する花丘イサミが地面にゆっくりと倒れていく様子を目撃し、月影トシと雪見ソウシは咆哮を上げた。

 そしてイサミの命を奪った修司は振り返り、咆哮を上げたトシとソウシに視線を向ける。

「……さあ、次はお前達だ。昔から仲の良かったお前達を引き裂くつもりはない。イサミと共に争いのない真っ白な桃源郷へと送ろう」

「「………………ッ!!」」

 今手にかけたイサミの故へと送ろうと言う修司の言動に、トシもソウシも表情を一変させた。

「うおおおおおおッ!!」

 トシは渾身の怒りを込めた龍の目を修司に投げ付ける。

 が、修司は背を翻したと思いきや、そのトシが投げた龍の目を右手で受け止めて見せる。

「なッ……!?」

 自分が投げた龍の目を平然と、それも背中越しに素手で受け止めた修司に驚愕するトシ。

 すると龍の目を受け止めた修司は平然とトシに言った。

「前にも言った筈……遠投武器である龍の目を失ったお前は無防備で危ない、と……!」

 次の瞬間、修司は体勢をトシへと向けると、そのままトシに龍の目を投げ返そうとした。

 誰もが修司の行動に驚いていると、修司は投げ返そうとしている龍の目に自身の闇の力を注ぎ込み、龍の目に禍々しい黒いオーラが纏われた。

 修司の闇の力が注がれて黒く変色した龍の目を、修司は迷うことなくトシに向かって全力で投げ返した。

「トシ!」

 ソウシが叫ぶ前に、既にトシは修司が投げつけてくる龍の目を両手で受け止めて見せようと、両手を前へと突き出す形で受け止める態勢に入っていた。

 だが修司が投げた龍の目は超高速でトシに一直線に投げられ、余りの速さにトシは龍の目を受け止める事ができなかった。

 そして受け止められなかった龍の目は、トシの腹部に直撃し、そのままトシの腹部を貫通してトシの腹に風穴が一つ空いてしまう。

「あ……うっ…………」

 自分の腹に背中にかけて空いた風穴を凝視して、トシは口元から血を滴らせる。

「トシィ!!」

 イサミに続き、トシまでも瀕死に至る現状にソウシは絶望する。

 だがトシは絶命する寸前、口元を微笑させて修司に告げる。

「修司……! イサミも言ってたが、例えあんたが自分自身の手で自分の夢と理想を絶やそうとしても……あんたの底無しの理想が無くなる事は決してない……!! 聖龍隊の底無しの闘志がきっと……あんたを、小田原修司という哀しい人間を止めてくれる筈、だ…………」

 そう言い残して、月影トシは前のめりに倒れて絶命した。

「トシ!! ……クソッ」

 イサミにトシまでも死んで、怒りと焦燥に駆られたソウシは即座に龍の牙から矢を連続で射って、修司に攻撃した。

 しかし修司は此処で左腕の銃口をソウシに向けて彼が射ってきた矢を全て火炎弾で撃ち落とし、凄まじい爆風と煙を発生させる。

 その煙にソウシは一瞬躊躇してしまうが、煙が晴れる前にそんなソウシの背後にはテレポーテーションで瞬間移動した修司が迫っていた。

「ッ!」

 ソウシが背後の修司に気付いたのも時すでに遅く、修司は容赦なく片太刀バサミでソウシを斬り付けた。

 修司が振るった片太刀バサミを受けたソウシは、遠くなる意識の中で修司に呟いた。

「は、はは……自分で思い描いた夢を、自分で壊しちゃうなんて……悲しすぎますよ、修司さん…………」

 そう呟くとソウシは真横へと倒れて起き上がる事は無かった。

 

「! 先輩……先輩……! そんな、先ぱーーーーい……!!」

 聖龍隊の創設メンバーでもあり、大先輩でもある、しんせん組の三人の死を目の当たりにし、村田順一は激しく吠えた。

 順一と同じく、まだ存命している連合軍の誰もが、しんせん組の戦死に心を揺さぶられた。

 遂に聖龍HEADと同じく修司との戦いで戦死した花丘イサミに月影トシそして雪見ソウシの三人。

 彼らもまた先に戦死した多くの二次元人達と同じく、最後まで修司に抗い、そして最後まで孤独な修司に思いを伝えていた。

 

 次第に消えていく二次元人達の【変える力】と同等の数多の力。

 しかし、どんなに優れた能力が消滅しようと、決して消えない想いも確かに在った。

 消えゆく力に消えない想い。果たしてこの先に何が待ち受けているのだろうか。

 そして残された猛者達は最後まで修司に抗い、そして生き残れるのであろうか。

 

 

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