聖龍伝説 現政奉還記 破滅の章   作:セイントドラゴン・レジェンド

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※このシリーズは架空戦記の物語であり、実在の人物とは関係ないフィクションであります。

※私自身もっと作品の出来を良くしたい一心が抑えきれません。そこで、どなたか心優しい方からのコメントや感想など募集しております。

※多くの方々からのコメントや意見を取り入れて、今後はもっと自分らしくながらも誰もが読みやすい作品に仕上げていきたいと志します。今後とも精進していきますので、何卒よろしくお願いします。

※キャラへの勉強が足りない点も多く見られますが、何卒よろしくお願いします。

※今回も多くの版権キャラが死亡するという過激な描写が目立つストーリーでありますが、最後の大どんでん返し&ハッピーエンドまでお付き合いください。




現政奉還記 破滅の章12 抗う猛者たち④

 

 己のクローンである新世代型二次元人の力や特性を吸収して、純粋な破滅へと進化した小田原修司の悲しき凶行を止めるべく最後まで奮戦する猛者たち。

 だが、修司の並外れた力の前に多くの猛者達が倒れ、命果てていく。

 

 

 果たしてこの先、どれだけの猛者達が修司相手に生き残れるのであろうか。

 

 

[流星の極み]

 

 遂に自らが手塩にかけて育て上げたスター・コマンドーの面々も、総部隊長であり一番弟子である村田順一とその婚約者である深澤マイを除いて死滅させた小田原修司。

 更に修司は、闇の能力と「無限刀 鬼嵐」を用いてプリキュア達を一掃した上で全滅させて、上空から襲撃するデビルマンを撃墜し、御坂美琴を始めとする【とある科学の超電磁砲】と【とある魔術の禁書目録】の面々を平然と斬り捨てて亡き者にする。

 そして修司は順一とマイの危機を救った、かつて自分と共に聖龍隊を創設した伝説の隊士である、しんせん組の花丘イサミ/月影トシ/雪見ソウシの三人までも最後には葬ってしまう。

 しかし、そんな激戦の最中でもミラーガールの死の影響で、二次元人達の特殊能力は次第に弱まり、消滅寸前まで追い詰められていた。

 

 スター・コマンドーに数多の二次元人達、そしてイサミ達しんせん組の三人が奮戦したにも関わらず修司の心は未だに虚無のまま。

 そんな修司に、恋焦がれていたミラーガールを殺められて絶望してた台湾将軍のシバ・カァチェンが単身立ち向かおうと刃向かったのだが。

 修司はカァチェンの逆刃薙(さかばなぎ)を指のみで受け止め切り、斧と言う素っ気ない武器でカァチェンの戦意を削ぎ落として戦意喪失させてしまうのだった。

「………………………………」

 修司の容赦ない攻撃に命の危険を感じ、恐怖に慄き動けなくなってしまうカァチェンの顔色は蒼褪めていた。

「カァチェン、お前は其処で黙って見ていろ。自身を救ってくれたと、淡い希望を抱かせた二次元人共が死にゆく……その終焉をな」

 そんなカァチェンに修司は、恐怖を抱いたまま今まで自分に善くしてくれた二次元人達が死んでいく終焉を見届ける様にと告げる。

 シバ・カァチェンが修司の鬼気迫る迫力に圧倒され、戦意喪失してしまう中、そんなカァチェンをイン・ナオコや山中鹿之助が懸命に励ます。

「か、カァチェンしっかりしろ! 私達を導いてくれた貴様が、こんな所で怖気付いて何も出来なくなってしまうとは……草葉の陰でミラーガールが落胆するぞ!」

「か、カァチェンさん! し、しっかりしてください……さっきまで意気込んでいた貴方が呆気なく鬼神に敗退して戦意を失っちゃったら、僕らはどうしたら……」

 ナオコや鹿之助の励ましが耳に入るが、小田原修司に完膚なきまでに敗退し尻込みしてしまったカァチェンの戦意が戻る事は無かった。

 

 そんなカァチェンに反して、共闘してくれた多くの聖龍隊の同士が修司によって戦死していく惨状の中でも、スター・コマンドーで生存している総部隊長村田順一は例え独りになろうとも闘志が消えては無かった。

「……ッ……!」

 順一は泣きそうな思いを拭い取る様に腕で顔を拭うと立ち上がり、再び修司に敢然と対面した。

「……まだ戦意が消えてないのか、ジュン。これ以上、俺と争えばそれこそより多くの命が余計苦しむだけだぞ」

「己が死するまで決して諦めない……! それが、聖龍隊に加わった多くの英雄達が遺してくれた尊い意志なんだ……!」

 修司に説かれながらも、順一は聖龍剣の兄弟刀である純心を構えて修司と向き合う。

 と、修司と順一が向き合っていたその時。修司は不意に右手に備えられている銃口を順一に向けて、前触れも無しに順一に向かって火炎弾を発射。

 順一は無意識に両腕を顔面の前に構える、通常の防御の構えをしてしまうが、爆発する火炎弾が直撃すれば両腕での防御だけでは防ぎ切れないのは目に見えていた。

「! しまった……!」

 順一は無意識に両腕で防御してしまった自分の浅はかさを悔やむが、時既に火炎弾は順一目掛けて直射されていた。

「ジュン!」

 愛澤マイが叫ぶが、そうこうしている間にも火炎弾が順一を襲う。

 が、次の瞬間。火炎弾が順一に直撃する直前、順一の手前で火炎弾に一発の銃弾が直撃して、火炎弾は空中で爆発。それによって順一への直撃は免れた。

 粉々になった火炎弾が降り注ぐ中、順一が茫然と立ち尽くしていると、其処に一人の戦乙女が歩み寄り、声をかけてきた。

「ジュン、聖龍隊でも指折りの精鋭を率いていた貴方が自分の力量だけで防げる攻撃と防げない攻撃を見極められなくなっているなんて……日本の皇軍に籍を置いている間に腕が鈍ったの?」

「み、ミラール……」

 順一を間一髪のところで救った銃弾を放ったのは、スター・ルーキーズ総部隊長であり、ミラーガールのセイント・コンパクトを加賀美あつこに託した鏡の国の王女であった元腕利きの賞金稼ぎミラールだった。

 修司が放った火炎弾を、自身の専用武器ミラージュ・ガンで防いだミラールは順一に言う。

「ジュン、確かに今に至るまで多くの同士が……そして伝説となった聖龍隊士が死んでいった。けれど、今その元凶である修司を止めない限り、もっと多くの犠牲が生じるわ。だからこそ気を抜かず、最後まで修司に抗うのよ!」

 そう静かに順一に語り掛けるミラールの言葉に、順一は力強く頷いて応える。

 順一に呼びかけたミラールは自然と力強い面魂を修司に向けると、修司はミラールに問うた。

「ミラールか。かつて俺たち聖龍隊に歯向かった非合法組織ブラッディ・レンジャーズの一員にして、その正体はアッコにコンパクトを託した鏡の国その王女にして、あのキーオの妹……それが今や、二年前のアジア大戦で凶王ヤン・ミィチェンに大敗してから瞬く間に戦士として成長した実績を持つスター・ルーキーズの総部隊長。そんなお前までもが、愚かにも俺に抗うと言うのか」

「丁寧なご紹介、ありがとね前総長。でも私は、今の修司に抗うのを愚かだとは自認してないわ」

 ミラールは力強い口振りで修司に答えた。

「……今、この場にいるのは正しく未来を勝ち取り、そして生き抜こうという者たちばかり。私たちは創設者である聖龍HEADの頃から受け継いでいる、決して諦めない心を託された聖龍隊の戦士! それ故に修司、あなたが皆の未来を白紙にしてしまうというのなら、私たちは死力を尽くしてそれを止めるだけ!」

「ミラール……お前の言う未来とは、それすなわち俺のクローンたる新世代型二次元人と共に生きるという未来の事か。だが、お前自身も既に味わっている筈。俺のクローンである新世代型二次元人共が起こした数々の凶行……再び乱世に舞い戻ったアジア各地を襲撃するだけに飽き足らず、ジャッジ・ザ・シティでのテロ行為、挙句の果てには宇宙のバイオロジック研究所を拠点に地球上に災禍をまき散らそうとするも、最後には同じ新世代型であったドレフ将校によって呆気なく全滅してしまった新世党の連中の事を忘れた訳じゃあるまいな」

「………………」『………………』

 創設者達の時代から諦めない心を受け継いだ自分達が修司を止めて見せると豪語するミラールに対し、彼女が言う未来とは数多の凶行に走った新世代型二次元人と共に生きる事かと嘲る修司の言葉に、ミラールも檻の中の新世代型二次元人達も黙り尽くす。

 返答を失くすミラールに、修司は更に語り掛ける。

「数々の凶行に走った新世代型二次元人を守り抜く為、黒武士であった俺から奪還しようとしたのが、この大戦が始まった切っ掛けだったのを忘れてはいないだろう。俺の忌まわしくも醜悪な新世代型二次元人を無駄に庇い立てしても、心身ともに醜い醜い新世代型共と未来を共生する事ができるのか? ……否。新世代型二次元人は、未来を発展し、未来を創造する為に生み出された全く新しい新人類。古き時代の生命を枯渇し、それによって自分達だけの未来しか創造しないコイツら新世代型共を庇い立てするメリットがミラール、お前達にあるのか?」

 新世代型二次元人と共に未来を共生する事は不可能だと説く修司に問われ、ミラールは言葉を失くし黙り込んでしまう。

 しかし、この修司の説明を聞いて、檻の中で凄惨な戦闘の数々を傍観するしかない新世代型二次元人達の心中に怒りの感情が湧き上がる。

 すると修司は、そんな新世代型二次元人達の感情を会得したテレパシーで察しては彼らの方を振り向き、新世代型達に言った。

「この俺が憎いか? お前達の存在を完全否定し、アッコを始めとした数多の命を奪い尽くそうとする俺が憎いか? アッコを、HEADを……そして聖龍隊の多くの命を奪った俺の血が流れる、醜い醜い新世代型達よ」

『!!』

 自分達の存在を否定し、ミラーガールを始めとする聖龍HEADや数多の聖龍隊士の命を奪った小田原修司の鬼の血が自分たち新世代型二次元人の体内にも確実に流れている事実を突き付けられ、愕然とする檻の中の新世代型二次元人たち。

 新世代型二次元人達が愕然と衝撃を受けていると、修司の話を黙って聞き入れていたミラールが口を開いた。

「……確かに。新世代型二次元人達を救っても、彼らと共生できる未来が得られるという確証は無いわ」

 ミラールにすらも自分達との共生の未来は必ずも得られる訳ではないと明言されて、またも衝撃を受ける新世代型二次元人達。

 そんな新世代型二次元人達を尻目に、ミラールは修司に話し続ける。

「……だけどね、修司。そんな不確かな新世代型二次元人達と共生できる未来を本当に実現できるのも、結局は今を生きる私たちなのよ。私たちが諦めない限り、新世代型二次元人だけじゃないわ。より多くの生命とも共生できる未来や社会は実現できると、私は信じている。そう、修司……三次元人であり、障害者である貴方と共に生きられた様に」

 このミラールの力説を戦場を生き残る多くの猛者、そして檻の中の新世代型二次元人達が感銘を受ける中、心身ともに微動だにしない修司がミラールに反論する。

「本当に共生できる未来が実現できるというのか? 邪悪な新世党が出現した俺のクローン、新世代型二次元人と共に平和な理想郷が実現できると本当に思えるのか?」

 これに対してミラールは強く返答した。

「ええ! 私はブラッディ・レンジャーズから聖龍隊、そして多くの三次元人の武将達との出逢いでそう学んだわ! 修司の夢、そしてアッコおねえちゃん達の理想は潰えはしない!」

 そう修司に主張すると、ミラールは二丁拳銃ミラージュ・ガンを構えて銃口を修司に向けて戦闘態勢に入る。

 するとミラールの言動に感化された村田順とニュー・スターズにスター・ルーキーズの精鋭たちが彼女の隣に駆け付け、戦前に立つ。

 仲間が、同志が肩を並べて戦前に立った行為をミラールは視認すると、皆と共に修司と激戦を繰り広げる為に戦闘に突入した。

 その際、ミラールは力強い眼差しで言い放った。

 

「目の前に現れた二つの気高い意志が、私に勇気と道を与えてくれた」

 

 かつて非合法組織ブラッディ・レンジャーズという古巣を脱し、聖龍隊に加盟したミラール。

 そんな見えない先行きを迷走する彼女を自然と導いてくれたのは、気高い意志を持つ二人の聖龍隊士、小田原修司と村田順一の存在だった。

 修司と順一の背中を見据えて、そして目標にしたミラールは聖龍隊で新たな仲間を引き入れてスター・ルーキーズを結成した。

 そして今、その追い付きたかった気高き意志を持っていた小田原修司を止めるべく、ミラールは仲間達と共に死線を迎える。

 

 生き残ったスター・コマンドーの総部隊長、村田順一。

 かつて修司と順一の気高い意志に追い付こうとしていたミラールと、彼女が率いるスター・ルーキーズ。

 そして順一とミラール、両者の気高い意志を支援しようと拳を奮い立てるニュー・スターズ。

 彼らは小田原修司とどんな激戦を繰り広げるのであろうか。

 

 

 

[輝星と新星の共闘戦前]

 

 修司との激戦が始まった瞬間、ミラールは先制攻撃として二丁拳銃から無数の銃弾を連射。

 それに対して修司も、両腕の銃口から無数の火炎弾を連射。

 ミラールと修司それぞれの弾丸は全て空中で激突し、それと同時に弾は爆発して凄まじい硝煙を辺りにまき散らす。

 辺りに拡散された硝煙を突き破る様に、一斉に修司へと駆け込む村田順一たち。

 まずは順一が修司に殴り掛かるが、修司は順一の打撃を全て避けて見せると一瞬の隙をついて回し蹴りを喰らわして、順一を吹き飛ばす。

 続いてニュー・スターズ総部隊長の元バウンティハンターのフロートが強力な砲撃を間近で発射し、修司に大打撃を与えようとする。

 が、修司は砲撃が当たる直前、身を反らしてフロートの砲撃を回避。するとフロートは強烈な鉄製の拳を修司に殴り付けようと、修司の頭部を狙った。

 すると修司はフロートが振り上げた左腕を捕まえると、そのまま勢いを利用して大男のフロートを軽々と投げ飛ばしてしまう。

 その後も数多のスター・ルーキーズにニュー・スターズの精鋭が修司に接近し、攻撃を試みるが、全ての攻撃を修司は容易く回避した上で至近距離での火炎弾発射や片太刀バサミでの斬撃を振るい、順一達を苦戦に追い詰める。

 だが、その最中にミラールは変幻自在のミラージュ・ガンをバズーカ砲に変化させて、強力な追尾式小型ミサイルを修司目掛けて連続発射。小型ミサイルは全弾修司に向かって飛来するが、修司は火炎弾を散弾の様に撃って、自分に向かってくるミサイルを全て空中で破壊してみせる。

 そこに【マギ】のアラジン達が接近戦を仕掛け、修司はアラジンやモルジアナそしてアリババ達と激しい格闘戦を繰り広げる。

 最初は格闘技で応戦してた修司は、遂に片太刀バサミや文房具状の武器で戦い出し、アラジンやモルジアナ達に刃を振るって退けさせる。

 修司の凄まじい剣戟の嵐に、マカ=アルバーンやブラック☆スターらが応戦するが、修司の凄まじい剣戟を前に傷を付けるのもやっとだった。しかも例え傷を付けられたとしても、修司が新世代型二次元人から会得した驚異的な回復能力で無数の傷は一瞬で再生してしまう。

 と、修司が剣戟を得意とするスター・ジェネレーションの仲間達と激戦を繰り広げていると、其処にニュー・スターズの高町なのは達が修司に最大火力の魔法砲撃を撃ち込もうと構えた。

「ナオミさんの仇……!」

 先の戦いで修司によって命を奪われた同じニュー・スターズの梅枝ナオミの弔いの積もりで、なのは達は一斉砲撃を修司に仕掛ける。

 なのは達の砲撃を、修司は避ける事も無く直撃し、図太い閃光に修司の体は呑み込まれた。

 しかし修司は全てを無力化する闇と同化している事で、強力な魔力もそれによる光線も全て無力化していたので全くの無傷に終わってた。

 なのは達が悔しそうに顔を歪ませていると、彼女達に反撃しようと修司が左腕を伸ばして腕に装備されている銃口から強力な威力の火炎弾を連続で発射し、なのは達を襲う。

 修司が放った特大の火炎弾が無数に飛来し、なのは達に浴びせられようとしたその時。金剛番長が前に飛び出して飛来する火炎弾を全て、屈強な肉体を盾にして高町なのは達を死守する。

「あ、ありがとう。金剛番長……」

「まだだ……! まだ修司と筋をつけなきゃならねェ……!!」

 金剛番長に礼を言うなのはに対して、この大戦で多くの聖龍隊の仲間達の命を奪ってきた修司と決着を着けねばと、金剛番長は表情を更に険しくさせてた。

 高町なのは達への火炎弾での反撃を、金剛番長が我が身を盾にして死守した直後、居合番長が修司の目前まで飛び出して御得意の居合切りを修司にお見舞いさせようと斬りかかる。

 が、修司は居合番長よりも先に、瞬時に片太刀バサミを居抜いて居合番長の抜刀を容易く防いでしまう。

「居合番長、俺が発達障害者ゆえに常人以上に集中力に長けているのを忘れた訳ではあるまい。俺のずば抜けた集中力から繰り出される抜刀術は、並大抵の剣術使いである二次元人の抜刀を遥かに超越している事を……」

「!」

 修司から、彼の卓越した集中力から繰り出される抜刀術は如何に剣術に秀でた居合番長を始めとする並大抵の二次元人にも勝ると言われ、居合番長は表情を歪ませる。

 するとお次は剛力番長と卑怯番長、そしてサソリ番長の三人が同時に修司へと襲い掛かった。

 卑怯番長が普段から常備しているチェーンの錘付き鎖を修司に投げ付けて、修司の首に鎖を巻き付けて一時的に動きを止める。其処に剛力番長が二刀流の武器である「しおチャンコ」と「みそチャンコ」を振るい、修司に強力な打撃を喰らわせようとするが、修司は首にチタン製の鎖が巻き付けられているにも関わらず剛力番長の二対の鉄球棍を両手のみで受け止めてしまう。

「拳よ、お前が金剛番長と出会う前まで執行していた正義の実行……正義とは所詮、周囲の無関係な者たちをも巻き込んでしまう人間のエゴそのものだと今では実感しているのではないか」

「……違います! 私は金剛番長や多くの仲間達と出会って、本当に人を救済する事が如何に難しく大変かを学びました! 修司さん、あなたは確かに正義や愛を感じられない人かもしれません……だけど! 困ってる人や弱い立場の人たちを本気で助けたいと思える優しい心があった筈!」

 剛力番長と一しきり会話した修司は、両手で受け止めたしおチャンコとみそチャンコを放り投げる様に投げ返し、その際地面に着地した剛力番長の腹部に闇の覇気を纏わせた蹴りを打ち込んだ。

「ッ!」

 ヒュぺリオン体質という驚異的な筋力と途轍もない頑丈な肉体を持つ剛力番長ですら、全てを無力化してしまう闇の覇気を纏った修司の強力な蹴りには悶絶して吹き飛んでしまう。

「可愛い女の子に暴力を振るうな!」

 と、修司が蹴りを打ち込んだ所に、サソリ番長が経穴等を刺激して相手を戦闘不能にする蝎殺道という武術で修司を強制的に戦闘不能に陥れようと飛び掛る。

 そしてサソリ番長の経穴を突いた武術は見事に修司に直撃。彼女は修司を戦闘不能にできたと一抹の喜びを感じたのだが。

 なんと修司は何事も無かったかのように動き、経穴を突いてきたサソリ番長の腕を掴んで地面に叩き付けたのだ。

 地面に叩き付けた修司は、冷め切った視線でサソリ番長を見下ろして彼女に告げた。

「遥、今の新世代型二次元人の生体エネルギーを吸収して変化した俺の体には、既に経穴はもちろん人体の動きに変化を与えるツボすらも完全に消失している。故に、経穴やツボを刺激しての攻撃も今や全てが無意味だ」

「な、なんだって……!」

 人体のツボや経穴までも今では完全に消失したと告げる修司の言葉に、サソリ番長は衝撃を受ける。

 するとサソリ番長を地面に叩きつけた修司の背後から。

「おい、修司……ウチの女房を痛め付けないでくれるか」

と、修司の背後で片膝をつき、左手の義手を外して中に仕込んでいる中戦車をも破壊するグレネードランチャーを修司に向ける卑怯番長の姿が。

 今ではサソリ番長こと児玉遥と結婚して夫婦になっている卑怯番長こと秋山優は、躊躇う事無く修司に向かってグレネードランチャーを発射した。

 背後からの砲撃を、修司は回避できずに直撃。凄まじい爆煙に包まれる中、修司は平然と空虚な面差しで立っていた。

「っ……やはり近代兵器では今の修司にはダメージを与えられないのか」

 無傷の修司を見て、卑怯番長は近代兵器での攻撃は意味を成さないのではないかと苦悩する。

 だが、これにニュー・スターズの総部隊長フロートが反発する。

「おいおい、優! 鉄人と言われるサイボーグ・フロート様の前で近代兵器が役立たずみたいな発言はやめてくれよな! おれ様の体にはありとあらゆる武器が内蔵されているんだからよ」

「そうよそうよ! ダーリンが役立たずみたいな言い方はやめてちょうだい!」

 と、フローに続き彼と恋仲であるカトレア・イヴェット・ラ・ボーム・ル・ブラン・ド・ラ・フォンティーヌがアメリカン口調で同調する。

 すると喧嘩口調で言い合っているフロートに、同じ総合部隊所属のシャナが告げる。

「フロート! 今は言い合っている場合じゃないでしょ! 其処まで言うなら、ご自慢の内蔵された武器で一緒に修司を叩きましょ」

「お、おう! そうだな、シャナ! いっちょ派手にやってやるか!!」

 シャナに指摘されたフロートは俄然やる気と闘志が湧いてきた。

 そして二人、いやカトレアも含めた三人は共闘して修司に一斉攻撃を仕掛ける。

「ウェポンズ・レフト!」「行くわよ……魔法陣からのエネルギー放射!」「はぁッ!」

 フロートは左手をずらして内蔵されている迫撃砲を発射、カトレアは魔法陣を眼前に作り出して其処から強力な魔法のエネルギー弾を発射、シャナは灼熱の斬撃を放ち、修司に攻撃。

 だが修司は空虚な顔でフロートの迫撃砲をかわし、カトレアの魔法弾は自身の闇の能力で吸収して完全に無力化、そしてシャナの斬撃は地走りで相殺して打ち消してしまう。

「チッ、簡単に避けたり無力化しちまうとは……回避能力は、以前の修司より格段に上がってやがる」

 フロートが悔しそうな顔を浮かべていると、黙り込んでいた修司が口を開いた。

「……今度は、こっちから行くぞ」

 そう呟く様に言うと、修司はテレポーテーションで瞬間移動してカトレアの背後に接近した。

「え!?」「か、カトレア!」「あっ!」

 背後に瞬間移動した修司に驚愕するカトレアに、それを目の当たりにしたフロートとシャナも愕然。

 そして修司は昔から御得意の、日本刀の柄を逆手に握り持ち、刃を押し出す様に相手を斬り込む態勢でカトレアを葬ろうとした。

 だが「カトレア!」と、シャナがカトレアと修司の間に割り込み、自らの力で修司の剣戟を防ごうとした。

 しかし容赦のない修司の斬り込みをシャナは防ぎ切れず、彼女はもちろん後ろにいたカトレアまでも修司の斬撃を浴びてしまったのだ。

「カトレア!!」「カトレア……!」

 間近で目視したフロート、そして遠目で見ていたカトレアの姉エレオノール・アルベルティーヌ・ル・ブラン・ド・ラ・ブロワ・ド・ラ・ヴァリエールは愕然とした。

 修司の無慈悲な斬撃を浴びたシャナとカトレアは、力尽きる様にその場に倒れて絶命した。

「よくも……よくも……カトレアを……そして、シャナを……修司ィ!!」

 自他共に認める変態の自分に恋してから病弱な自分を変える様に性格をガラリと変えたカトレア、そして仲間であるシャナを無慈悲に斬られて怒りで自我を忘れるフロート。

 だがフロート以上に怒りで体を震わせていたのが、ルイズに続いてカトレアという二人の妹を殺められた長姉のエレオノールだった。

「ルイズに続いてカトレアまで……! もう、もう我慢の限界ですわ…………小田原修司!!」

 エレオノールは涙が溢れる血眼で修司を睨み付けると、瞬時に同じく怒りで震えているフロートの後ろに回って、フロートに魔法をかけ始めた。

「! エレオノール……?」

 困惑するフロートに、エレオノールは涙を流しながら言った。

「この変態が……あなたのせいでカトレアは可笑しくなってしまった。あなたなんかに恋したせいで、次第に性格が変わり始めて、オマケに病弱だった体が見る見るうちに丈夫になって……昔からは想像できないほど、明るく元気な子に変化して……全部、全部あなたのせいなのよ!」

「………………」

「そんなあなたが、こんなところで死んではカトレアが不憫で仕方ないわ。あなたの最強の技を、私の強化魔法で更に威力を底上げするから感謝しなさいよ……!」

 憎まれ口を叩きながら、カトレアが変われた切っ掛けを作ったフロートに感謝しているエレオノールは、自身の強化魔法でフロートの戦力を上げようとしていたのだ。

「……分かったぜ、エレオノール! お前やカトレア……いや、お前たち三姉妹の思い、おれ様がしっかりと受け止めてやるぜ! アウッ!」

 エレオノールの思いを受け止めたフロートは、ご自慢の肉体でポーズを取って三姉妹の思いを受け止めた証を全身で披露した。

「喰らえ修司……! これがおれと三姉妹の共闘パワー……超強化・フロートラディカルビーム!!」

 フロートはエレオノールからの強化魔法で威力が上がった最大火力の光線を修司に向けて発射した。

 その光線に修司の全身はかき消されたかのように見えたが、修司の闇の能力は元々光エネルギーを吸収して無力化する性質の為に、強化されたフロートの光線の威力も打ち消してしまった。

「く、クソッタレ……折角エレオノールが強化してくれた、おれのビームまでも意味が無ェなんて……!」

 強化された光線までも無力化されて、愕然と失意に暮れるフロート。

 そんな絶望するフロートに修司が反撃を仕掛けてきた。

 修司はテレポーテーションでフロートの目前まで瞬間移動すると、日本刀から片太刀バサミへと武器を変形させて斬りかかる。

 が、フロートに修司の鋭利な片太刀バサミが斬り込まれる寸前、その間に村田順一が日本刀・純心で修司の斬撃を受け止め、防ぎ切る。

「どうしたんだ、ジュン。さっきからお前が言っている事は何一つ守れていないじゃないか……仲間を死なせない、これ以上死なせないと言っておきながら、カトレアにシャナにと、お前達の仲間は次々と俺に殺されていくじゃないか」

「……いいえ……! 殺されたのは、決して僕だけの仲間ではありません……! 修司さん、あなたの仲間が次々と死んでいってしまってるんです……!!」

 純心で修司の刃を受け止め切る順一は、険しい真顔で修司に反論する。

 しかし順一の訴えにも修司は相変わらず眉一つ動かさずに無反応。

 そして修司は順一を刃で押し返すと、一気に連続で順一に片太刀バサミでの斬り込みを入れた。

「うっ……!!」

 一瞬の内に全身に無数の切り傷を浴びせられる順一は悶絶してしまう。

 無数の斬撃を浴びて、後方へと弾かれてしまう順一に、修司は更に追撃しようと攻めるが。

 其処にミラールが二丁拳銃を連続で撃ち込み、その間にニュー・スターズのアレン・ウォーカーとリナリー・リー達が怒涛の連携攻撃を仕掛ける。

「私が援護射撃するわ! 今の内に修司に強力な攻撃を叩き込んでッ!」

 ミラールの掛け声にアレン達が頷くと、彼らは一斉に修司へと連携攻撃を叩き込む。

 先攻にアレンが十字架が刻印された白亜の大剣である「退魔ノ剣」で修司を攻撃。この退魔ノ剣は人間には全くの無害で刃が通ってもすり抜けて、その人物の悪だけを斬るという特性を持っており、アレンはこの大剣で修司の悪しき心だけを切り取ろうと仕掛けた。

 だがアレンの退魔ノ剣は、見事なまでに修司の肉体をすり抜け、そして修司は全く痛みなどを感じてない無表情を貫いていた。

 アレンが愕然としていると、修司は背中から闇の覇気でできた巨大な手を繰り出し手、その手でアレンを捕らえると彼に告げる。

「アレン、お前の退魔ノ剣は確かに人間やAKUMAの悪しき心を斬れる。だが、今の俺は善悪を超越した存在であり、同時に……昔の俺、そう、人の心を持つ前の欠けた存在そのものだ。そんな心のない俺に、悪心を斬る退魔ノ剣は全く効力を発揮しないぞ」

 修司にハッキリと明言されて更に衝撃を受けるアレン。そんな彼に修司は片太刀バサミでアレンを刺殺しようとした。

 が、その瞬間、そこにリナリーが「黒い靴(ダークブーツ)」と呼ばれる結晶型の装備で、アレンを刺殺しようとする修司に強烈な飛び蹴りを喰らわした。

 リナリーの蹴りを受けた拍子にアレンを手放した修司は、そのまま吹き飛ばされ、解放されたアレンにリナリーは駆け寄り、声を掛ける。

「アレン、大丈夫!?」「リナリー……うん、何とか。ありがとう」

 アレンはリナリーに礼を言うと、彼女は手を差し伸べてアレンを立たせてあげる。

 そんな二人に、砂煙の中から現われた修司が話し掛ける。

「久々だな……リナリー、前の蹴り技は。だが、蹴り技なら俺だって負けてはいないぜ」

 そう言った瞬間、修司はテレポーテーションで瞬間移動し、アレンとリナリーの許に急接近した。

「「!!」」

 瞬間移動で目前まで接近してきた修司に一驚するアレンとリナリー。そんな二人に修司は強力な回し蹴りをお見舞いして、容易く二人を蹴り飛ばしてしまう。

「うッ」「きゃ……!」

 悶絶するアレンに、悲鳴を上げる暇も無いリナリーの両名が修司の蹴り技で吹き飛ばされてしまう中、修司は二人に追撃とばかしに、片太刀バサミから御得意の地走りを繰り出してアレンとリナリーを追撃。

 修司の蹴り技で吹き飛ばされ、地面に転げ回るアレンとリナリーに追撃の地走りが浴びせられる直前、その地走りを二人がかりで防ぎ止める人影が。

「神田! ラビ!」

 修司の鉄をも切断する強力な斬撃「地走り」を、日本刀の形状をしている武器『六幻(ムゲン)』と『鉄槌』で防ぎ止めたのはアレン達と同じエクソシストである神田ユウとラビの二人だった。

 自身の斬撃「地走り」を得物で防ぎ止めた神田とラビの二人と向き合う修司に、二人が

「小田原修司……世界の全てを白紙にするべく、この世の命を全て亡き者にしようとするアンタの暴挙……正直、同じ一匹狼としては悲しい限りだ」

「修司さんさ、折角この世の全ての国家が聖龍隊の傘下に降る形で平和が訪れそうになる所まで来たって言うのにさ……それを何もかも消しちゃうって、少し勿体無くない?」

 仏頂面で修司に問う神田とラビ。すると修司は二人に語り返した。

「俺自身が招いてしまった結果だ。この世界の全てが捻じ曲がった混沌の中でしか生きられない世界にしてしまった俺が、全てを白紙に戻さなければ成らない」

「「………………」」

「所詮、聖龍隊の軍門に世界中の国家が降るとしても、それは新たないさかいや憎しみを生み出すだけだ。本当の平和、真なる静寂を招くにはその混沌全てを消さなければならないのだ」

「「………………」」

 修司の返答を聞いて、今の修司に話し合いは無意味だと改めて認識する神田とラビ。

 次の瞬間、修司は背中のブースターを噴出させ、高速移動で神田とラビに急接近。

 神田は六幻で、ラビは鉄槌で修司と応戦を開始。

 修司が振るう、己の血を結晶化させて作り上げた片太刀バサミを神田は六幻で辛うじて相手する。

 神田を助太刀しようとラビが鉄槌で修司を殴打しようとするものの、修司は瞬時にラビの動きを察して死角からの打撃を難なく回避しながら片太刀バサミを振るう。

 そして修司はラビが振るう鉄槌を左手のみで受け切ると、反対側の右手に持つ片太刀バサミでラビを斬り付けようと振るおうとする。

「!」

 ラビが愕然とした瞬間「ラビ!」と神田が六幻を修司に振り下ろした。

 修司は咄嗟に左手で受け止めていたラビの鉄槌を神田の方に向け、ラビの鉄槌で神田の六幻の斬撃を防いでしまう。

「お、俺の鉄槌で神田の六幻を防ぐなんて……!」

 自分の武器で仲間の攻撃を防いでみせる修司の芸当に驚きが隠せないラビ。

 そして神田の斬撃をラビの鉄槌で防いだ修司は、そのまま鉄槌ごとラビを神田へと放り投げ、二人同時に悶絶させてしまう。

 修司はそんな二人に追撃で地走りを繰り出そうとするが、そんな修司に上空から滑空して修司の攻撃を妨害する者が。

「く、クロちゃん……!」

 修司の攻撃を妨害した人物を見て、ラビが声を上げる。

 その人物は、上空から滑空して修司を妨害した後に、修司の目の前に着地

 修司はその人物、アレイスター・クロウリー三世を虚無な眼差しで直視した。

「クロウリーか……」

 空虚な眼差しで見据える修司に、クロウリーは修司に話し出した。

「修司殿……己のクローンである新世代型二次元人を、世界が生み出し続けた事で、世界に失望し切ってしまったのは同情するである。だが……新世代型には無限の可能性も秘められていると、ミラーガールたち聖龍HEADは仰っていた。私は彼女達の言葉を信じたい。そしてそれ以上に……この世界を全てゼロにする為に多くの同胞を亡き者にしようとする貴方の悲しい思いを、ここで止めてみせるである!」

 クロウリーの気迫も漂う真剣な顔での弁論を聞いた修司は、冷然な様子でクロウリーに返した。

「そうだ、無限の可能性……新世代型には、世界を好き勝手に滅ぼす事も、何でも思い通りにしてしまう可能性が秘められている。俺は、そんな自分から生み出されてしまった危険な異種を断絶する義務がある。そして世界がそんな異種である新世代型を望む以上、そんな世界も同時に無に還さなければならない……!」

 そう話し終わった瞬間、修司は右手の片太刀バサミで目前のクロウリーに襲い掛かった。

 アレン達が愕然としている中、クロウリーは冷静に懐に仕舞ってた血液を保存する為のビニール製のパックを取り出し、それに自分の牙を突き刺してパック内の血を吸い出した。

 するとクロウリーは瞬く間に筋肉質な体格へと変貌し、力自慢の修司とそのまま激しく闘い始めた。

 アレイスター・クロウリー三世は、寄生型エクソシストでアクマの血を摂取する事により肉体を強化できる。

 そんな前髪が立ち上がり攻撃的な性格にも変わったクロウリー相手に、修司も自身の筋力をD-ワクチンで増強して、そのままクロウリーと激しい肉弾戦を始める。

 クロウリーの拳が修司の顔面に直撃するものの、修司は微動だにせず、反撃にクロウリーの腹部に右ひざを打ち込んでのキッチン・シンクをかます。

 思わず跪くクロウリーが前かがみになった瞬間、修司は見逃さずにそのままクロウリーの脳天に強烈なエルボードロップを振り下ろして悶絶させる。

 頭を抱え込んで激痛に悶え苦しむクロウリーに、修司は追撃とばかりにクロウリーに片太刀バサミを容赦なく突き刺した。

「うっ……!」「く、クロウリー!」

 片太刀バサミで刺され、悶絶するクロウリーを見てアレンが血相を変えて驚く。

 すると修司は同時にクロウリーを突き刺している片太刀バサミを通して、闇の能力で彼の生命力を吸収し始める。

「クロウリー!」「クロちゃん!」

 神田とラビの二人が、今にも生命力を全て吸い取られて死にそうなクロウリーを助けるべく修司に向かって駆け出した瞬間。

 修司は左手の腕を露にして、腕に生えている無数の剛毛を正真正銘の鋼鉄の様な針に変化させて神田とラビに向けて射出した。

「うっ!」「し、しまった……!」

 ラビと神田は全身に修司の剛毛針が直撃し、痛々しい姿となってその場に跪いた。

「俺の剛毛には、俺の体内で生成された猛毒が仕込まれている。直に楽になる」

 修司自身が生成した毒で苦しみながら死へと直行する神田とラビ。

 

 と、其処に。

 修司の毒針を浴びて苦しむ二人の元に、スター・ルーキーズのココが急いで駈け付ける。

「大丈夫か、二人とも! 急いで毒抜きするから」

 ココは体内で猛毒を生み出し、それによって大半の毒を解毒できる能力者。

 だが、ココの治療を修司は阻害する。

「思い通りにはさせんぞ……!」

 既に虫の息状態にまで陥ったクロウリーを放り捨てると、解毒に集中していたココに向かって背中のジェットエンジンを吹かして高速移動で斬り込んで行く。

 修司の斬り込みに気付いたココは慌てて毒の技で修司に応戦しようとするが、修司の片太刀バサミの刃の方が早かった。

 そして修司が振るった片太刀バサミで斬られると確信したココは思わず目を瞑ってしまうが、恐る恐る目を開けてみると目の前には修司の片太刀バサミを鋼鉄の様に硬化させて剣戟にも対応できる「フォーク・ナイフ」で止めてくれたトリコの姿があった。

「トリコ!」

「ココ、お前は早く神田とラビの毒抜きに専念するんだ……! 修司は俺が食い止めておく……!!」

 そのままトリコは修司と激しく戦闘を開始。だが、並外れた修司の剣術の前では屈強なトリコですらも苦戦に追い詰められる。

 修司の勢いは増すばかりであり、トリコは完全に押され始めてた。

 すると其処に苦戦するトリコを助太刀しようとゼブラが口から凄まじい咆哮を発して、強烈な音波で修司を攻撃。

 溜まらず修司はゼブラの咆哮に押されて、トリコから離れてしまう。

 そしてゼブラの咆哮が止んで立ち止まる修司に、ゼブラは厳つい顔で告げる。

「修司……! かつてオレとジェラールを監獄から出してくれた恩義、いやオレに適応してくれた事は今でも感謝している。けどな…………いくら自分や自分のクローンである新世代型たちに適応しないクソッタレな世界であろうと、その全てを真っ白に塗り潰そうとするんなら……オレは全力でアンタを止める……!!」

 厳つい強面で修司を睨み付けながら威嚇するゼブラにも、修司は微動だに動揺しない。

 と、そんな動揺を見せない修司の足元から細い細い糸状の物体が忍び寄り、修司の足に絡みつき始めた。

 修司もその物体に気付いたものの、その糸は修司の足から始まり、遂には全身を覆い尽くさんばかりに絡み始めて、修司の動きを封じ始める。

「……サニーか……」

 身動きが封じられていく修司が視線を向けたのは、直立しながらも自身の髪の毛を触手の様に操って修司に絡み付かせるサニーだった。

 サニーは修司を睨み付けながら無言で修司の動きを封じようと髪の毛を操り続ける。

 そんな身動きを封じられた修司に、トリコが得意の「釘パンチ」を繰り出そうと迫った、その瞬間。

「ぐはっ!」

 なんと修司が身に纏っている血の鎧が変形した針の様な突起物が、絡み付くサニーの無数の触手の如き髪の毛を貫いて、そのまま迫ってきていたトリコの屈強な肉体へと突き刺さったのだ。

「トリコ!」「トリコ……!」

 サニーとゼブラが愕然としている間も、トリコは血の鎧が変形した針が肉体に食い込み、苦痛を感じていた。

「無論、ラビと神田同様に……トリコ、お前に突き刺さった血の針にも猛毒は仕込まれてる。毒による苦しみの先に待つ、静寂な桃源郷へ共に逝こう」

 修司が平然と語っている間も、修司が生成した毒素で苦しむトリコ。

 そんなトリコも、ラビや神田に続いて毒抜きを試みようとココが急いで駆け付けようとするが。

「ココ、お前も直に神田やラビ、そしてトリコの様になる」「!?」

 修司の言葉にココは戸惑ってしまうのだが。

「う……うぅ……!」

 突如ココも苦しみ始めたのだ。

「どうしたんだ、ココ!」

 ゼブラが苦しむココに問いかけると、修司が代わって説き始めた。

「俺が生成した毒は、最早ココの能力では解毒できない程の、それは全くもって新しい毒素だ。それは体だけではない、心までも蝕む心の毒……未だに苦しむ神田やラビ、そしてトリコにココ、お前らは既に俺の毒素を打たれた時から終わっているのだよ」

「そ、そんな……!」

 修司の説明を聞いて、アレン・ウォーカーは絶望する。

 

 

 

[激しさを増す共闘]

 

 それから修司は自身を覆う血の鎧を鋭利な刃物へと変形させて、拘束するサニーの触手を意図も容易く断ち切り、解放された瞬間にサニーとゼブラをも凌駕する。

 その間に、最早解毒できない修司の心の毒を受けた神田ユウとラビ、そしてココにトリコらは次第に意識が遠のき、やがては完全に意識が無くなった。

「修司……もう、やめるん、だ……」

「あんたは、こんな……こと、本当は……望んで、ない、はず……だ…………」

「修司、きみは……君は既に、孤独では、ない、はず……」

「修司……! アンタや夢見ていた、二次元人による三次元界の理想実現は……オレも、夢見てた、ぞ……」

 そう各自言い残して、神田ユウにラビそしてココにトリコは絶命した。

「みんなっ!!」

 同じエクソシストで昔ながらの仲間、そして聖龍隊での仲間が一気に4人も死んだ現状に嘆くリナリー・リー。

「くそ……くそっ! 僕は……僕は、結局なんにもできないのか!!」

 己の無力さを痛感して叫ぶアレン・ウォーカー。

 

 修司が自らの体内で生成した毒素で一気に4人の命を奪った現状に、激情を迸る聖龍隊士は更に修司への攻撃を激しくさせた。

「みんな、行くよ……!」「ええ、いつでも一緒よ。なのは」

 高町なのはに合わせて、一緒に修司へと強力な砲撃を浴びせようと身構えるフェイト・T・ハラオウンら【魔法少女リリカルなのはStrikerS】の面々。

 そして彼女らは一気に修司へと最大火力で魔法砲撃を撃ち込んで、修司を強大な光で包み込んだ。

 なのは達の砲撃をまともに浴びた修司であったが、彼は相変わらず無傷だった。

「そ、そんな……! っ、う……」「な、なのは? ……うっ、ち、力が……」

 自分達の攻撃が一切修司に効かない現状に愕然とする高町なのはだったが、彼女に続いてフェイト達も次々に力が抜けて倒れていく。

「アッコが死んで、魔法という力そのものが消滅しかけているんだろう。なのは、お前達の魔法は既に消え始めている」

「そ、そんな……」

 修司からの冷淡な説明を聞きながら、なのはは悲しげに瞼を閉じる。

 

 StrikerSの面々が魔力が自然消滅した事で全滅した事で、戦場で戦う猛者たちに動揺は波紋の様に広まった。

 だが、最後まで諦めない聖龍HEADの意志を忘れまいと、村田順一は日本刀「純心」を携えて、アレンやリナリー、そして己の最後の力を振り絞って戦いに挑むアレイスター・クロウリー三世と共に修司へと進撃する。

 真っ向から挑んでくる三人に対し、修司は己の血を結晶化させて形成した片太刀バサミで順一達を悉く薙ぎ倒していく。

「うわっ!」「ぐっ」「っ……!」

 修司が操る片太刀バサミで容易く弾かれてしまう順一にアレンそしてリナリーは地面へと転倒してしまう。

 そんな三人に修司は地走りを繰り出して追撃する。

 順一とアレンは素早く修司の斬撃に反応し防げたが、リナリーだけ遅れてしまった。

「リナリー!」

 アレンが叫ぶ最中も、無情に斬撃はリナリーに向かって直進する。

 と、そんなリナリーの危機に、なんとクロウリーがリナリーの目前に立ち塞がって修司が放った地走りを真正面から受け止めた。

「クロウリー!」

 リナリーが呼びかける中、クロウリーはその胴体に大きな切り傷を受けて、夥しい出血を流しながら後ろへと倒れてしまう。

「クロウリー! そんな……!」

 リナリーが泣きながらクロウリーを自分の膝へと抱き寄せると、クロウリーはか細い声で彼女に言った。

「し、修司を止められるのは……ボクの様な脇役ではなく、メインヒロインの君や主人公のアレンを差し置いて他にはいない。どうか修司を止めて、彼を……修司を、救ってくれ……!」

 そう言い残すと、クロウリーは静かに息を引き取った。

「いやあああっ!!」

 またしても仲間が目の前で死んだ現状に、耐え切れない程の心痛を味わったリナリーは悲しみの咆哮を上げた。

 リナリー同様に、間近でクロウリーの死を目撃した順一とアレンも心を痛めていた。

「クロウリー……! くっ」「そんな……っ」

 村田順一は己の無力さを痛感し、アレンは表情を蒼褪める。

 そんな悲観する三人に、修司は再度追撃の地走りを繰り出し、強力な斬撃をお見舞いする。

「ッ! 今は悲しんでいる暇はない! はぁッ!」

 順一は心機一転し、自分たちに向かってくる斬撃を、地面に拳を打ち付けた衝撃波で相殺して打ち消す。

 しかし修司はその瞬間を見計らい、順一が斬撃を打ち消した際にテレポーテーションで順一の背後に迫った。

「!!」

 動揺する順一に、修司は片太刀バサミを容赦なく振り払う。順一は咄嗟に両腕に装備している金属製の籠手で防ごうとするが、俊敏な修司の剣劇に間に合わず、微かながらに腹部を斬られてしまう。

「うっ……!」「ジュン!」腹部を斬られた順一を前に、アレンは順一を気遣う。

 すると修司は更に順一へ容赦のない追撃を仕掛けようと、片太刀バサミを突き立てて、順一に突き刺そうと身構えた。

 それをアレンが退魔ノ剣で防いで順一を死守するが、修司の怪力からの剣劇には抗え切れなかった。

 修司が振るう修司の血で生成された片太刀バサミが、アレンの退魔ノ剣を押し弾き、片太刀バサミはアレンの胸部から背面へと貫通した。

「ッ……!」「ッ!」「アレン、嘘……!?」

 片太刀バサミが自らの体を貫通して悶絶するアレンを見て絶句する順一に、そんなアレンの姿を目の当たりにして我が目を疑うリナリー。

 そしてアレンに突き刺した片太刀バサミを無慈悲にアレンから引き抜く修司。

 引き抜かれた際、何かを修司に伝えようと口をパクパク動かすアレンだったが、声は出ず、彼はそのまま力尽きた。

「アレン!」

 夥しい量の血を流しながら後ろめりに倒れるアレンに、順一が駆け寄る。

 そしてアレンの死を目の前で目撃したリナリーは、静かに瞳から涙を零した直後、彼女は一変した。

「うわああああああああッ!!」

 アレンを殺されたリナリーは怒りで感情的になり、ダークブーツを強化させて修司に強力な跳び蹴りを放った。

「! リナリー、落ち着くんだ!!」

 感情的になって修司に攻撃するリナリーを見て、順一は彼女を制止する。

 だがリナリーは既に誰の言葉も耳に入らず、修司に何度も何度も蹴りをお見舞いしようと試みる。

 しかし修司はリナリーの蹴りを幾度となく避け、そして最後には難なく彼女の背後に回ると、容易くリナリーの首を両手で持つと、そのまま首の骨をへし折って見せる。

「リナリー……!」

 骨が砕ける鈍い音と共に、ぐったりと息絶えて力尽きるリナリーを見て順一はまたしても言葉を失う。

 

 そして修司は平然と手にかけたリナリーの亡骸を近くに放り投げる。

 すると、そんな修司の背後から4発の銃撃が修司の背中に直撃。

 修司は後方からの銃撃に気付いて振り向くと、そこにはミラージュ・ガンで撃ったミラールと、氷の銃を発射したブルーローズにグレイ・フルバスター、そして指から火の銃弾を放ったナツ・ドラニグルの姿が視認された。

 4人を見て、修司は攻撃の対象を4人に変えて、歩き出した。

「攻撃を続けるわよ! 効かなくても諦めない!」

「「「了解!」」」

 ミラールの指示で、ブルーローズにグレイそしてナツは徹底的に修司に銃撃を撃ち込んでいく。

 だが修司には全く攻撃が効かず、遂には4人の銃撃を片太刀バサミを回転させて弾きながら前進。

「ッ! どうすんだ……! 俺たちの攻撃が全然効かねェ……!」

「っ……!(ホントに、このままじゃ……)」

 ナツの表情に焦りが表れた頃、問われたミラールもこのままで自分達が修司に返り討ちにされるのは目に見えていると実感していた。

 と、修司が4人に接近し始めたその時。

「このッ!」「フンッ」

 修司の左右から、トリコと鼻息を荒くしたワイルドタイガーが修司に向かって拳を振り上げて迫ったのだ。

 二人の剛腕から繰り出された拳が、修司の頭部を挟み込む様にそれぞれ左右に直撃。

 だが修司は全く微動だにせず、二人の拳が直撃した次の瞬間、二人の腕を掴んでは思いっきり前へと投げ飛ばした。

「ぐおッ!」「うっ……!」

 地面に投げ飛ばされるトリコとワイルドタイガー。

 しかし二人に続いて修司に攻め入る猛者が。

【マギ】のアラジン/アリババ/モルジアナの三人が修司に駆け寄り、総攻撃。

 だが三人の強攻も、修司は難なく回避するか平然と受け止めては、子供であるアラジン達を拳で殴り付け、更には平手打ちで投げ飛ばしていく。

と、ここで沢田綱吉と奴良リクオの非合法組織統治者同士が同時に修司へと攻める。

 しかし修司は軽々と綱吉の炎の攻撃も、リクオの妖力が纏った斬撃をも受け流し、簡単に二人を斬り返す。

 軽傷を負ったツナとリクオの二人に、修司は片太刀バサミでトドめの追撃を仕掛けようとするが、そこにロックバイソンが硬度を上げた肉体で猛進してからの突撃をしてきた。

 ロックバイソンの突撃を体側面に受けた修司。だが、修司は何事も無かったかのように立ち上がり、刃を左手の甲に添える独特の構えでロックバイソンを標的に捉えると、修司は片太刀バサミの切っ先から弾丸の様に斬撃を飛ばし、ロックバイソンに当てる。

「ぐっ……!」

 修司が放った弾丸の様な斬撃は、ロックバイソンの足に命中し、ロックバイソンは激しく転倒してしまう。

 そんなバイソンに地走りを繰り出そうとする修司を、遠方から折紙サイクロンが大型手裏剣を投げ飛ばして妨害を試みる。

 しかし修司は軽々と折紙サイクロンの手裏剣を片太刀バサミで弾いて防ぐ。

「猿飛佐助の大型手裏剣に比べれば……折紙、お前が見様見真似の独学で学んだ手裏剣術など目を瞑っていても弾ける」

「ッ……!」

 修司からの冷徹な言葉に折紙サイクロンは口元を歪ませる。

 そんな折紙サイクロンの窮地を打破しようと、続けて修司に襲撃したのは、なんとドラゴンキッドと【マギ】のジャーファルであった。

 ドラゴンキッドの電撃を纏わせた拳で繰り出す拳法と、ジャーファルの赤く長い縄の先に刃物がついた縄鏢に似た二本の眷属器「双蛇鏢(バララーク・セイ)」の共演が修司を襲う。

 しかし修司は電撃を纏ったドラゴンキッドの拳を、強力な電気に怖気づく事もなく素手で受け止め、ドラゴンキッドが怯んでいる隙に彼女の額に強烈な頭突きを喰らわす。

 強靭な石頭の修司が繰り出す頭突きを真面に受けたドラゴンキッドは軽く後方へと転げまわってしまう。

「パオリン!」

 ワイルドタイガーたちNEXTヒーローが修司の頭突きを受けて額から流血するドラゴンキッドを見て叫ぶ。

「はあッ!」

 と、ここで修司の背後に回ったジャーファルが双蛇鏢(バララーク・セイ)で攻撃を試みる。

 だが修司は武器にしている、自身の血で生成した片太刀バサミで双蛇鏢(バララーク・セイ)の紐の部分をバラバラに切断して見せ、ジャーファルを一驚させる。

「驚いたな、ジャーファル。まさかお前がNEXTヒーローと共闘するとは」

 ジャーファルの武器をバラバラにした修司が問い掛けると、ジャーファルは修司を睨み付けて返答した。

「今はもう、誰もが主君や味方のだめだけに戦っている訳じゃない……!!」

 武器を失ったジャーファルに、修司は容赦なく斬りかかろうとしたその時。

「ジャーファルを援護しろッ!」

 同じ【マギ】のジュダルが指揮する煌帝国の軍隊にジャーファルの援護と称して、修司に総攻撃を仕掛けさせる。

 ジュダルの命により、煌帝国の軍隊が大砲などで修司に怒涛の総攻撃を放つ。が、修司はその全ての攻撃を片太刀バサミで砲丸を斬撃で真っ二つにして爆破させて直撃を防ぐ。

「ッ!」

 ジュダルが口元を歪ませると、修司は即座に自分に総攻撃を仕掛けた煌帝国の兵士達の集団その中にテレポーテーションで瞬間移動。

 突如として目の前に現れる修司に兵士達は驚愕。だが驚愕したのも束の間、修司は驚いている兵士達を悉く、そして次々に片太刀バサミで斬り付けては殺めていく。

 兵士達が行動を、反撃を試みるより速く、修司は兵士達を斬り捨てて猛威を振るう。

 そして全ての煌帝国の兵士達を惨殺した修司の前に立ち尽くしていたのは、過去(かつて)の修司に友として繋がりを与えられた練紅玉。

「久しいな、過去(かつて)の我が友よ……!」

 もはや友と認めた存在ですらも過去の失くすべき遺物としか捉えていない修司に、練紅玉は今にも泣きそうな顔を力いっぱい堪えながら修司に言った。

「修司……! もう、全部全部消しちゃうつもりなの……? アッコちゃんや聖龍HEADとの思い出も、私との繋がりも……全部、全部、無意味だっていうの……!?」

 修司への問いかけに対し、修司は虚無の表情で練紅玉に答えた。

「そうだ……俺が得てしまった繋がり、絆は……全て、世界を混沌へと誘ってしまう個性(いろ)。故に、その全てを真っ白に消滅させるのが、俺の最後の務め、ゾ……!」

 この修司の返答を聞いて、何かを決意した練紅玉は意を決して修司に襲い掛かった。

 だが修司は練紅玉の攻撃を受け流して、彼女の頭に片太刀バサミの切っ先を突き付けると一気に押し込んだ。

 だがその時「ババア!!」と、ジュダルが練紅玉を押し退けて修司が押し込んだ片太刀バサミの餌食となった。

「ぐはッ……!」

 練紅玉に代わって片太刀バサミの鋭利な切っ先が貫通したジュダルは口から鮮血を噴き出した。

「じゅ……ジュダル、ちゃん……?」

 目の前で自分を庇って修司の片太刀バサミの餌食になったジュダルを目の当たりにし、練紅玉は顔色を一変させる。

 そんなジュダルに突き刺さった片太刀バサミを、修司は無慈悲にも引き抜いてジュダルの命を絶った。

「がはっ」

 片太刀バサミを引き抜かれた瞬間、ジュダルは前のめりに倒れて動かなくなった。

「ジュダルちゃん………………いやあああっ!!」

 ジュダルの死を目の当たりにし、練紅玉は絶叫した。

 だが修司の無慈悲な攻撃は留まる事無く、修司は練紅玉に左腕を伸ばした。

「! 練紅玉、逃げろッ!」

 アリババが叫んだのも空しく、修司の左腕からは無数の文房具状の鋭利な隠し武器が飛び出し、練紅玉に襲い掛かる。

 無数の文房具状の武器が練紅玉に突き刺さり、その先には修司の体内で生成された猛毒が塗られており、幸か不幸か練紅玉は余り苦しむ事なく絶命した。

 

「くそ……クソッ! 俺たちは何もできないのか……!!」

 次々と味方の命が失われていく戦況で、頭を抱えて苛立ちを抑え切れないワイルドタイガー。

 そんなワイルドタイガーに、今や国連軍元帥の補佐官に抜擢されたユーリ・ペトロフことルナティックが話し掛ける。

「あなた達らしくもない……昔から不完全な正義しか掲げられないあなた達でも、聖龍HEADから引き継いだ諦めない心まで失くしてしまったんですか?」

 この毒舌混じりのルナティックの問いかけに、ワイルドタイガー達は過去にペトロフに裏切られた心境から腸が煮えくり返りそうな怒りが込み上げてきたが、同時に説き伏せられて再び修司へと戦意を向けられるのだった。

 するとそんなNEXTヒーロー達の後方から大声が。

「みんな! 退いて!!」

 そのミラールの声にワイルドタイガー達が振り返ると、そこには巨大化させたミラージュ・ガンを構えるミラールと銃型の武器や能力で身構える沢田綱吉にココ、ナツ・ドラニグルにグレイ・フルバスター、電撃砲撃の体制に入るヒーローマンとそれを指揮するジョーイ。そしてニュー・スターズのデス・ザ・キッドの姿が。

 全員が修司に最大火力の銃撃砲撃を浴びせようと体制を組んでいたのだ。これを見たワイルドタイガー達は彼女達の意思を察して即急にその場から退散する。

「これが私たちの生き様よ!!」

 ミラールの声を合図に、ミラールを中心に狙撃メンバーは修司に銃撃砲撃を一斉発射。

 強力な砲撃を浴びた修司の姿は、閃光の中へと消えていった。

 

 

 

[善意で舗装された地獄への道]

 

 ミラール達、狙撃要員たちの銃撃砲撃を一身に浴びた小田原修司は、その姿を一片も残さず消失した。

 ミラールは完全に修司が消滅したと思い、どこか空虚感にも近い感情を滾らせていた。

 彼女は二度目だった。自分が恋した異性を撃ち抜いたのは。

 

 すると此処で。

 狙撃要員の一人であったヒーローマンを操作するジョーイが何かに気付いて声と共に指差した。

「あ」

 彼が指した頭上へとミラール達が顔を見上げて視線を向けてみる。

 すると皆が注目した上空には、血の鎧が剥がれて素の状態の修司の片腕が一本、宙を舞っていた。

 先ほどの集中砲火で本体から吹き飛んでは上空に舞い上がったと思われる修司の片腕を、皆は一時ばかし放心状態で見詰めていた。

 が、ここでミラールがある事を思い出す。

 それは魔物であるゼオンとそのパートナーであるデュフォーが修司に最大火力の魔術を放ち、修司の肉体を片腕一本だけを残して消滅させたと思った次の瞬間、修司はその片腕だけから消滅した肉体を完全再生させ、腕一本だけを消し去れなかったゼオンとデュフォーを油断している隙に殺めた出来事を。

 

 頭上を舞う片腕を見て、ミラールはその片腕からまたしても修司が完全再生する事を思い出し、焦燥した。

「あの腕を撃ち抜くのよーーーーッ!!」

 ミラールの大声に反応し、それと同時に彼女同様に修司が片腕だけからも再生できる事を思い出した狙撃要員たちは、急遽上空に舞う片腕目掛けて総狙撃。

 瞬く間にミラール達の銃撃を浴びて、上空に舞い上がっていた修司の片腕は跡形もなく粉砕されて消滅した。

「ハァ、ハァ、ハァ……」

 危うく片腕から再生して復活できる修司の蘇生を阻止できて、心の底から安堵するミラール達。

 皆が消失した上空の片腕があった位置を見上げてつつ、安堵に浸っていた、その時だった。

 硝煙白煙土煙が舞い上がり、視界が遮られている地上その煙の中から突如として何かが飛び出してきた。

 それは何か虫の身体の一部の様な鎌状の物体で、ブーメランの様に飛来してきた。

 そして飛来してきたブーメラン状の物体は、その鋭利な刃の部分で狙撃した沢田綱吉/ナツ・ドラニグル/グレイ・フルバスター/そしてデス・ザ・キッドの体を切り裂いた。

「! みんな!」

 集中砲火に協力してくれた面々が謎の武器で切り裂かれて、絶命していく現状を前にし、ミラールは驚愕する。

 そして武器は最後にジョーイに直撃しそうになるが、そのブーメラン状の武器をヒーローマンが自動で防いでジョーイを守衛した。

 ヒーローマンに弾かれたブーメラン状の武器は、煙の中へと戻っていき、舞い上がる煙の中でその投擲武器を受け掴む者の姿が見受けられた。

 ミラール達、生存している面々が目を向けてみると、煙の中に佇んでいたのは、死んだと思われてた修司本人だった。

 修司はツナ達の命を奪ったブーメラン状の投擲武器を左手で受け止めると、そのままそれを左手に接合した。

「血の鎧を変形させて…………モグラの様に?」

「モグラじゃない、正確にはオケラだ」

 生成して着衣していた血の鎧を変形させて、両手を鎌の様な手先に変形させた修司を見てモグラだと思い違うミラールに、修司はオケラだと訂正する。

 修司の姿は、赤い血の鎧が変形して、まさしくオケラの様な格好に変化していた。

「オケラは凄いぞ……土の中を潜れるだけじゃなく、空も飛べるし、水の上も泳げる」

 そう豪語する修司の足元を見てみると、修司は地中を潜って地上に出てきたのだと容易に判明した。

(ッ……さっきの片腕はオトリ! 腕を自ら切断して、上空に放り投げたと同時にオケラの姿で地中へと避難してた訳ね! そして頃合いを見て、地上に出てスグに左腕の鎌でツナ達の命を……!!)

 ミラールは先ほど上空で視認した片腕は修司が前もって放り投げた囮であり、その隙にオケラの形状へと変形させた血の鎧で地中へと潜り身を潜め、そして地上に出ると同時に義手である左腕の鎌を投げ付けてきたのだと把握する。

 すると修司は義手に形成してある血の鎧を、自らの意思で砕くと、瞬く間に片腕を再生させて元の状態へと戻ると、オケラの形状に変形している血の鎧も通常形態に戻して眼前のミラール達に話し出す。

「さあ、今の今まで少しお遊びが過ぎた。これからは正真正銘、俺自身が築き上げた組織を……何よりも繋がりを、俺自身の手で絶つ……!」

 そう唱えた直後、修司は両手ともに己の血を結晶化させて作り上げた片太刀バサミを携えたのだ。

「なッ……!!」「片太刀バサミを、二対とも使いこなす気か……!?」

 黒い檻の中で囚われている新世代型二次元人の纏流子と鬼龍院皐月の姉妹は、修司が対なる二刀流の片太刀バサミを出現させた事に驚愕。

 そして此処から修司の怒涛の進撃が始まった。

 皆が修司に注目する中、修司が一瞬で姿を消した。

「! ど、どこに……!?」

 目の前から突然姿を晦ました修司に、ミラールは修司が瞬間移動で姿を消した事は理解できたが、何処に移動したかまでは分からず困惑しながら周りを見渡した。

 ミラールを始め、誰もが修司の姿を探し回っていた、その時。

「まずはお前達から……」

「!! ブルーローズ! モルジアナ! 氷麗! 逃げろーーッ!!」

 突如として、集まり出していたブルーローズ/モルジアナ/氷麗の三人の背後に現れた修司の声と姿を認識し、ワイルドタイガーが大声で叫ぶ。

 女子三人も背後の修司に気付き、反射的にブルーローズと氷麗は修司を氷塊へと閉じ込めた。

 だが、修司は二対の片太刀バサミを両手で振るい、意図も簡単に氷塊の中から砕き出てしまう。

 そして修司は自らが振るう二対の片太刀バサミで、氷塊から出ると同時に目前のブルーローズ/モルジアナ/氷麗の三人を斬り捨てた。

 一瞬の内に修司に斬り捨てられた三人の少女たちの鮮血は、修司が砕いた氷塊に飛び散った。

『………………!』

 斬り捨てられた三人を目撃し、ワイルドタイガーにアリババそしてリクオは愕然と言葉を失った。

 

 三人を無慈悲に斬り捨てた修司の平然さに怒りを覚え、アラジンとアリババが怒り狂って修司に襲い掛かる。

 修司は二人の攻撃を、二対の片太刀バサミで受け切り防ぎつつ、二人に猛攻を仕掛ける。

 そして修司はアリババの首元を深く切り裂き、アリババを失血死させると、それを見て涙目で襲い掛かってきたアラジンを右手の片太刀バサミで貫き、命を奪った。

 すると二人の命を立て続けに奪った修司の背後から、リクオが大太刀で修司を斬り付けようと迫っていた。

 が、修司は二対の片太刀バサミを組み合わせて、強靭な鋏へと組むと、その鋏でリクオの大太刀を刃で挟み込む様に受け止めて、リクオの攻撃を防いでしまう。

 そして修司はリクオの大太刀を押し返し、リクオの態勢が崩れた一瞬の内に組んでいた片太刀バサミを再び二対の武器に戻して、リクオの胴体を二刀流の片太刀バサミで切り裂いた。

 腹部に二つの刀傷を深々と刻まれ、リクオは傷口を押さえつつ大量出血しながら前のめりに倒れ込んだ。

 リクオを殺めた事で、配下の首無/青田坊/鴆が悲痛な心境で一斉に修司へと攻撃を仕掛けるが、彼らの攻撃を修司は全て掻い潜り、まるで川の流れに身を任せるように三人の間を通り抜けながら自然と三人を斬り付けていく修司。

「聖龍剣術・灯篭流し」

 まるで川に流した灯篭が、自然と川の流れに逆らわないかのように対象者と対象者の間を通り抜けつつ刃を斬り込んでいく剣術。

 その修司の剣術によって斬られた三人の妖怪たちも、リクオに続いて戦死。

 

 次第に積み重なっていく死体の山の中で、修司は更に沢田綱吉の死に嘆いている獄寺隼人/山本武/雲雀恭弥/クローム髑髏ら四人の許へと瞬間移動。

 そして虚無な瞳で四人を見据えてると、四人は綱吉の仇とばかしに修司へ一斉に襲撃するが、修司には全くの無力。

 そのまま修司は抗い続ける四人を平然と二本の片太刀バサミで薙ぎ払い、切り裂いて倒してしまう。

 ふと、四人を同時に薙ぎ払って斬り捨てた修司が上を見上げると、上空には今にも魔力が尽きそうにも関わらず懸命に滞空しているエルザ・スカーレットが修司を必死の表情で見下ろしていた。

「小田原修司……! 貴方の拭い切れないほどの悲しみと苦痛に満ちた戦いを、今ここで私が終わらせて見せる……!!」

 そう言うと、エルザは自分の周囲に無数の剣を出現させて展開し、それらを全て修司に向けて放った。

 上空から降り注ぐ剣の雨に、修司は平然と慌てる素振りもなく、右手を前に軽く振りかざすと修司の目の前まで迫っていた無数の剣は一瞬だけ消え、その直後に現れたと思いきや剣の切っ先は全て射出したエルザの方に向いて、しかも彼女目掛けて跳び返ってきていた。

「!! (闇の能力で空間を反転させ、全ての剣の矛先を逆転させたか……!)」

 エルザは修司が闇の能力で空間を反転させて、射出した全ての剣を相手へと方向転換させたのを理解するが、皮肉にも彼女が放った無数の剣は容赦なくエルザに飛来する。

「ぐはっ」

 そして無数の剣のうち、数本はエルザに直撃し、彼女の身体からは紅い血が噴き出した。

「エルザっ!」「エルザーー!」

 同じ部隊のルーシィ・ハートフィリアに、マン・ヒールズでエルザとは親しいジェラール・フェルナンデスは悲痛な声を上げた。

 そして返された無数の剣を浴びたエルザは、数本の剣が突き刺さったまま力尽き、そのまま地面へと墜落した。

 生気のない目で力尽きたエルザを見て、ルーシィは肩を震わせて悲しみに暮れるが、そんなルーシィの背後に修司が瞬間移動で迫っていた。

「ルーシィ!」

 ミラールが声をかけるものの、ルーシィが気付いた時には、既に修司によって片太刀バサミで体を刺し貫かれていた。

 ルーシィは最後に、虚無の表情で全てに絶望している修司の顔を見詰めながら地面へと倒れて亡くなった。

「ルーシィ……っ!」

 死に絶えるルーシィの亡骸に、ハッピーが駆け付けるが、修司はそんなハッピーにも無慈悲に血の鎧からコンパス状の飛び道具を射出してハッピーを殺める。

「大丈夫だ、ハッピー……誰も残しはしない。誰もを平等に、無の境地へと誘おう」

 そう死にゆくハッピーに言い残し、修司は再び周囲の連合軍の猛者達との死闘を再開する。

 

 そんな次々と聖龍隊の精鋭達を亡き者にする修司の前に、鬼太郎が駆け付けては前触れもなく修司にリモコン下駄を放つ。

 修司はリモコン下駄を片太刀バサミで弾き返すが、鬼太郎はリモコン下駄を足に履きなおした瞬間にその足で修司に連続で強烈な蹴りを喰らわしていく。

 しかし鬼太郎の空中からの連続蹴りを浴びても微動だにしない修司に、鬼太郎は一旦距離を置いて退いた。

 すると修司は左手の内蔵されている刀を出して、鬼太郎に必殺の「無限刀 鬼嵐」を浴びせる。

「うわああああああああっ!」

 無数の斬撃が鬼太郎を襲い、鬼太郎は無数の斬撃を浴びて激痛に苦しむ。

 そして苦痛に喘ぐ鬼太郎を、修司は左手を伸ばして「うつつの生命力を吸収する能力」で鬼太郎のずば抜けて高い生命力を奪い取って亡き者にしようと試みる。

 と、その時。修司が鬼太郎に手を伸ばしていると、そんな修司に急接近して修司の行動を阻害する三人組が。

「あ、あなた達は……」

 無数の斬撃を浴びて弱々しくなっている鬼太郎に、最年少の少年が話し返す。

「鬼太郎! ボクらだって同じ聖龍隊の仲間だって事を忘れないで!」

 少年に続き、女も鬼太郎に言う。

「私たち妖怪人間も、今まで散々世話してくれた修司の暴挙を止めたい気持ちはいっぱいなんだよ!」

 最後にリーダー格の男も、鬼太郎に告げた。

「鬼太郎くん、今の修司には殆どの攻撃はもちろん……私たちの言葉すら届かない。だからこそ、共に戦って勝機を見出そうではないか!」

「べ、ベムさん、ベラさん、ベロくん……」

 鬼太郎は自分の危機に駆け付けてきてくれた妖怪人間のベム/ベラ/ベロの三人を見詰める。

「幽霊族の生き残りと妖怪人間の共闘か……これはまた珍しい」

 そんな四人を見て、修司は平然と冷静を保っていた。

 そして四人を倒そうとする修司に対して、四人もまた修司に抗戦しようと戦闘を開始した。

「チャンチャンコ!」

 まず先手に鬼太郎が羽織っていたチャンチャンコを修司に向けて投げ付け、チャンチャンコは修司が武器に使用していた片太刀バサミに巻き付いた後に修司から遠のき、修司から武器を奪って見せた。

「フンっ!」

 そんな無防備になった修司を、ベムがステッキで殴り付けようとするが、修司は体を回転させてベムの攻撃をかわして逆に強烈な蹴りを浴びせる。

 続いてベラが鞭で修司の利き腕である右腕を捕らえた後に、接近して格闘に持ち込むが、修司は彼女の攻撃を難なく回避していく。

「鞭の動きなど、ジュニアことジュピターキッドで慣れ切っている。ベラ、お前の攻撃は余り意味をなさないぞ」

「そんなジュニア君を……ウッズさんの息子であり、義兄弟と認めていたあの子を殺めた癖に……!」

「……そうだったな。ベラ、お前は一時、ジュニアの父であるウッズに恋していた時期もあったな。まあ、あいつは過去に死別した妻の事を思い続けていたから、再婚なんて考えてはいなかったけどな」

「それでも……それでも! 修司くん、あなたが尊い命を……大切な仲間の命を奪い続ける悲しい事実は変えられないよ!」

「俺にはもう、悲しいだの辛いだのという感情はない。……それよりも、何故この戦いの裏でもお前ら連合軍をサポートしている筈のオペレーター部、その統括をしているウッズ達から連絡がないと思う?」

「! ま、まさか……」

「俺がアッコを殺した事で、既にアニメタウンにいる二次元人達から真っ先にその影響が出ている。既にウッズを始めとするアニメタウンの二次元人達の意識は遠い無という桃源郷の中だ」

「そ、そんな……!」

 修司の話にベラが動揺していると、修司は先ほど奪われた片太刀バサミに代わる武器を、再び自分の血を結晶化させて作成し、その武器でベラを突き刺そうとした。

「ベラ!」

 修司と乱闘しているベラに、ベロがすかさず加勢してベラに向けられた修司の武器を蹴りで弾き飛ばした。

「ベラ、大丈夫か!?」「あ、ああ。すまないね、二人とも」

 更にその場にベムも駆け付けて、三人が体制を立て直そうとしていると。

 修司が突然、右手を前へと差し伸ばした。

 すると先ほどベロが蹴り飛ばした武器が、まるで意思を持っているかのように宙を舞って勢いよく飛ぶ。

 そしてその武器の切っ先は真っ直ぐベロへと向かっていた。

「ベロ! 危ない!」

 鬼太郎の声にベロたち妖怪人間も気付くが、既に遅く武器はベロの背面から突き刺さり、ベロの胴体を貫通した。

「う……っ!」「ベロ……!」「ベロ!」

 苦しそうに喘ぐベロを見て、ベムとベラは愕然とした。

 そしてベロに突き刺さった武器は、誰も触れていないのにベロの身体から引き抜かれ、また空中を飛来して修司の手元へと戻っていった。

「ッ……超能力か!」「斉木楠雄から会得した能力か……!」

 ベムとベラは、修司が斉木楠雄から得た超能力で武器を遠隔操作し、ベロに突き刺したのだと安易に推測した。

「ベロくん!」

 慌てて鬼太郎もその場に駆け付けるが、修司は四人が固まった時を狙って、彼らに向けて地走りを放った。

「危ないッ!」

 その地走りをベムが我が身を盾にして全身で受け切って、深手を負う。

「ベムさん!」「ベム!」

 胴体に深々と大きな刀傷を負ったベムを見て、鬼太郎とベラは心配するが。

 そんな彼らの許に、修司がテレポーテーションで瞬間移動して迫る。

「「「!!」」」

 突然急接近する修司に三人は驚愕するが、修司は顔を勢いよく前へと降ると、それと同時に修司の短髪が勢いよく伸びて四人を縛り上げる。

 修司の伸縮自在の剛毛に捕らえられ、身動きが封じられてしまう四人。

 すると修司は人間よりも生命力が高い四人の生命力を、うつつの生命力を吸収する能力で吸収して奪い始める。

 修司によって生命力を吸収される四人は、程なくして四人とも死滅してしまった。

 

 幽霊族の生き残りである鬼太郎と、妖怪人間の三人を最後は「うつつの生命力を吸収する能力」で片付けた修司。

 そんな修司を取り囲む、聖龍隊のNEXTヒーロー達に彼らの元職場仲間であり現在は国連軍元帥補佐官ユーリ・ペトロフことルナティックら元帥赤犬に大将の黄猿に藤虎。

 そして未だに何とか生存しているスター・ルーキーズの精鋭であるサニー、ゼブラ、小松、ワイルドタイガー、バーナビー、ロックバイソン、ドラゴンキッド、スカイハイ、折紙サイクロン、ファイヤーエンブレム、鏑木楓、鹿島リン、岩崎月光、ハチカヅキ、エンゲキブ、ジョーイ、サイ、リナ、ヒーローマン、葉月いずな、工藤タイキ、蒼沼キリハ、天野ネネ、陽ノ本アカリ、剣ゼンジロウ、天野ユウ、明石タギル、最上リョウマ、戸張レン、州崎アイル、真下ヒデアキ、日ノ原革、コトハ、ミヤビ、六道りんね、真宮桜、シンク・イズミ、高槻七海、レベッカ・アンダーソン、ミルヒオーレ・F・ビスコッティ、エクレール・マルティノッジ、リコッタ・エルマール、ロラン・マルティノッジたち。

 最後に若干ながらも容赦ない無慈悲なまでの修司に怖気づいてしまって腰を抜かしているミラールが、ミラージュ・ガンを修司に向けたまま座り込んでいた。

 そんな過去(かつて)の仲間達に、修司は冷徹なまでに言い渡した。

 

「お前達がどんなに抗おうと、結局は死という無慈悲な最期を遅らせるだけの無力な抵抗に終わる」

「どんなにお前らが徹底的に俺と抗戦しようとも、その善意ある思想や行動はかえって仲間達を苦しみの中で生かし続けるだけの、苦痛という名の善意に過ぎん」

 

 そして修司は今の今まで自分に抗戦してきた面々に絶望を直面させる。

 

「俺やお前達が行ってきた思想や理念、行動は全て……結局は未来永劫続く、地獄への道に過ぎないんだよ」

 

 聖龍隊の、二次元人たちの善意や理想は、結局は全て絶え間なく地獄へと続く道へと続くのであろうか。

 

 

 

 ドイツの諺にこんな言葉がある。

【地獄への道は善意で舗装されている】

 

 

 

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