聖龍伝説 現政奉還記 破滅の章 作:セイントドラゴン・レジェンド
※私自身もっと作品の出来を良くしたい一心が抑えきれません。そこで、どなたか心優しい方からのコメントや感想など募集しております。
※多くの方々からのコメントや意見を取り入れて、今後はもっと自分らしくながらも誰もが読みやすい作品に仕上げていきたいと志します。今後とも精進していきますので、何卒よろしくお願いします。
※キャラへの勉強が足りない点も多く見られますが、何卒よろしくお願いします。
※今回も多くの版権キャラが死亡するという過激な描写が目立つストーリーでありますが、最後の大どんでん返し&ハッピーエンドまでお付き合いください。
人を、心を、全てを虚無という名の白に誘い、連合軍と戦い続ける黒武士いや小田原修司。
己のクローンである新世代型二次元人の能力を吸収し、会得した修司は「純粋なる破滅」へと進化。
そんな修司と抗い続けた連合軍は、戦死者が続出するばかりだった。
全てを終わらせ、全ての物語を白紙に戻そうという小田原修司の悲しき行為を止められる者は、果たして……。
[友になれて……]
スコーピオン同盟ですらも歯が立たなかった小田原修司。
純粋なる破滅に進化した修司はスコーピオン同盟の面々をも平然と斬り捨て、容赦なく惨殺。
そんな修司の進撃を止めようと、再び聖龍隊の面々は修司に進攻を開始した。
「打舞流叛魔ァァァ!!」
ニュー・スターズの金剛晄の必殺技が炸裂するが、進化した修司は微動だにせず傷一つ付かない。
すかさず金剛晄こと金剛番長は二発目の打舞流叛魔(ダブルハンマー)を修司に打ち込もうとするが、それよりも早く修司は金剛番長の両腕を二対の片太刀バサミを器用に使って切断してしまい、金剛番長は一瞬で両腕を失ってしまう。
「金剛!!」
上官である総合部隊長のフロートが名を呼ぶが、その直後に顔から脂汗を流す金剛番長に修司が言った。
「金剛、あの世で兄や父、そして母親と再会しろ」
そう金剛番長に投げ掛けると、修司は右手の片太刀バサミで金剛晄の心臓を一突きにし、彼の命を絶った。
「金剛!」「くそッ!」
金剛晄の死を前にし、仲間である居合番長や卑怯番長たちが一斉に修司へと襲撃する。
だが修司は全ての攻撃を回避するかすり抜ける等して無力化してしまい、反撃へと転ずる。
手始めに斬りかかってきた居合番長が扱う日本刀に敢えてわざと斬られ、その際に日本刀に自らの血を付着させる事で刀を急激に錆び付かせて使い物に出来なくしてしまう。
「!!」
自分の得物が錆び付いて激しく驚愕する居合番長に修司は言う。
「血液は水と塩分と鉄分で生成されている。鉱物を錆び付かせるなど造作もない事だ」
次の瞬間、修司は片太刀バサミを上へと薙ぎ払う様に居合番長へと斬りかかる。居合番長は条件反射で錆び付いた日本刀で受け止めようとするが、修司の片太刀バサミは錆び付いた日本刀を砕き、一瞬で居合番長を斬り捨ててしまう。
「刀也!」
斬り捨てられて絶命する居合番長を前に、仲間達は愕然とするが修司の反撃は留まらない。
次に修司は念仏番長へと襲い掛かる。
「ッ!!」
動揺している念仏番長にも容赦なく片太刀バサミを振るって斬り付ける修司。
修司が振るう片太刀バサミは念仏番長を斬り捨て、彼は呆気なく戦死してしまった。
そんな修司を止めるべく、剛力番長と卑怯番長が同時に修司に攻撃する。
剛力番長は修司に直接強力な打撃を打ち込もうと接近し、卑怯番長は左手の義手を外して仕込んでいるグレネードランチャーを中距離から修司に向かって砲撃。
しかし剛力番長の打撃と戦車をも破壊するグレネードランチャーの爆発を受けても尚、修司は平然としていた。
そして修司は目前にいた剛力番長の首を右手で掴み上げ、締め上げると同時に彼女から生命力を吸収し始める。
「拳ちゃん!」
新世代型二次元人である「うつつ」の能力である「相手の生命力を吸収する力」で剛力番長の生命力を吸収していく情景に同じ女番長のサソリ番長が声を荒げる。
剛力番長を救おうと修司に駆け寄るサソリ番長だったが、修司は剛力番長を右手で締め上げながら同時に左手の手の平から黒い球体を発射してサソリ番長に直撃させる。
「うわっ!」「遥!」
妻でもあるサソリ番長が直撃を受けて、卑怯番長が慌てて彼女に駆け寄る。
その一方で修司は完全に生命力を吸収して死なせた剛力番長の死体を地面に投げ捨てる。
「修司……!」「……!」
夫婦揃って修司を睨み付ける卑怯番長とサソリ番長。
そんな二人に修司は再び両手に片太刀バサミを携えて、地面を蹴って疾走し、二人に急接近していく。
「ッ! 遥、僕の後ろに!」
卑怯番長は慌ててサソリ番長を後ろへと避難させると、接近してくる修司に向かってグレネードランチャーを連射。
だが修司はテレポーテーションによる瞬間移動も合わせて二人に急接近し、そして卑怯番長の眼前まで迫ると彼の左腕のグレネードランチャーを一刀両断してしまう。
「優!」
左腕に仕込んでいるグレネードランチャーを切られて転倒する卑怯番長にサソリ番長が声をかける。
そんな二人に修司は容赦なく二対の片太刀バサミで突き刺そうと構えた。
「遥!!」
すると卑怯番長はサソリ番長を押しのけ、彼女の分も含めて二対の片太刀バサミが彼の胴体に突き刺さった。
「ぐッ……!」「優……!」
口から血を滴らせる卑怯番長を見て、サソリ番長は蒼然。
修司は無慈悲に卑怯番長に突き刺さった二対の片太刀バサミを更に深く突き刺すと、そのままハサミを切り込む様に卑怯番長の胴体を真っ二つに切断した。
「っ……!」
目の前で夫を惨殺されて言葉を失うサソリ番長だったが、そんな彼女にも修司は斬りかかり一瞬でその命を奪って見せた。
轟く活躍を見せてきた番長たちですら、平然と容赦なく斬り捨てた修司。
そんな修司を見て、次第に戦意を失い始めた、かつて修司とは友の間柄であった赤塚組の幹部たち。
この悲惨な戦況を前に絶望視する面々の中で、一人だけ今なお修司に立ち向かおうとする猛者がいた。
「……もう止めてやる……もう、終わらせてやる……!」
そう言うのは赤塚組頭領であり、かつてミラーガールや修司とは昔馴染みでもある赤塚大作こと大将だった。
そんな大将の言動を前に、赤塚組の幹部であるミズキは単身修司に歩もうとする大将を制止する。
「ま、待ちなさい大将! 聖龍隊や国連軍の連中でも歯が立たない修司を、一般人の……そう、非能力者であるあなたが止めれるはず無いじゃないの!!」
ミズキに続き、他の幹部達も大将に言う。
「そうよ、私達に何ができるって言うのよ!」
「うさぎちゃん達はもちろん、他の多くのキャラクターだって死んじゃったって言うのに……!」
涙目で訴えるなるとぐりお夫妻。
「た、大将、もう逃げましょうよ!」
「そうだよ! 今の修司には何を言っても無意味だよ」
「もうアタイ、怖いよ……!」
ギョロ・ゴマ・チカ子までも泣きながら大将に訴える。
しかし大将はその厳つく鋭い目を変えずに答えた。
「……怖いだと? 何ができるか? 違うだろ……今、俺達が恐怖を乗り越えて修司を止めなきゃ、それこそこの戦場にいない二次元人ですらも消えちまうだろうが……!!」
大将の迫力ある言葉に周りの幹部達は息を呑む。
「今の修司を止めようとアッコが、バーンズが……多くの二次元人たちが命を懸けて修司に挑んでいった。確かに普通の人間の俺様が修司に太刀打ちできるとは到底思えねえけどよ……けどよ、アッコやバーンズ達が……聖龍隊のダチ達が命がけで自分の命を散らしていったっていうのに、俺様だけがみんなが死んでいく戦況を傍観するしかできねえなんて……! もう嫌なんだよ……!!」
己の悲痛な実情を語る大将の涙ながらの言葉に、胸を痛める幹部達。
すると大将は覚悟を決めて、憔悴しきった体を揺さぶって自身の得物である破槍に飛び乗って修司に一直線へと突っ込んでいく。
「大将!!」
ミズキが強く呼び止めるが、大将の進攻は止まる事なく彼は修司へと突撃する。
そして修司に接近した大将は破槍から跳び上がると同時に、武器である破槍を持ち上げて思いっきり修司に叩き込む。
上から破槍で殴りかかられた修司は、二対の片太刀バサミを交差させて大将の攻撃を防いでいた。
「……大将か……」「修司……!!」
ぽつりと呟く修司に対して、大将は怒りを露わにして修司を睨み付ける。
そして大将は修司に有無も言わせない怒涛の勢いで破槍を振り回して攻撃していく。
が、修司は大将の攻撃を容易く身を反らしてかわしていき、大将の方は何とか修司に攻撃を当てようと我武者羅になっていた。
必死に修司に攻撃を当てようと我武者羅に破槍を振り回すも、修司は横へ後ろへと身を反らしてかわし、大将は半ば自棄になってしまう。
そんな大将の得物である破槍を、修司は二対の片太刀バサミで受け止めると同時に、しっかり挟み込んだまま大将の破槍を手から引き離し、遠くへ投げ飛ばしてしまう。
そして次の瞬間、無防備になった大将に対して修司は敢えて二対の片太刀バサミを消して素手で大将を殴りにかかった。
「大将!」「大将……!」
幹部であるミズキや山崎貴史たちの声が伝わる中、修司は大将を問答無用で何度も何度も殴打していく。
「ぶはっ! がはっ!」
腹部だけに飽き足らず、顔面までも手酷く殴打していく修司の猛攻に大将は必死に自分の足で踏ん張っていた。
「大将、なぜ解らない。俺の様に穢れた存在のコピーであるクローンの新世代型二次元人が蔓延る世界など、存在してはいけないんだ。しかし世界は俺のクローンを望み続ける、故に俺自身の手で全ての物語を……世界を終わらせ、終止符を打ち、真っ白に塗り潰さなければならないんだ」
殴り続けながら大将に問い掛ける修司に、大将は未だに闘志を消さずに修司を睨み付ける。
「……まだ抵抗するのか。アッコも死に、それに続けて多くの二次元人が死滅しているというのに、まだ抗いをやめないのか……」
未だに闘争心むき出しの大将を眼前に、修司は語り続ける。
「もう、俺は戻れない。俺は帰れない。かつての懐かしき日々には、戻れない……時が戻る事がないからこそ、俺は全てを白紙にしなければならないんだ」
虚しい瞳で語り続ける修司は最後に大将に言うのだった。
「もう昔の様な安らぎは得られない……戻れないんだ」
まだ昔の事、修司がアッコたち二次元人と出会った懐かしき思い出深い過去。その過去に戻れないが故に、もう戻せない過ちを正せないからこそ全てを真っ白に根絶しようとする修司。
そんな悲痛とも認識できる修司の声に反応する様に、大将は何度も自分を殴打する修司の拳を自らの手で受け止め、次の瞬間逆に修司を殴り付ける。
大将に殴られて、僅かながら身体が微動する修司。
「
修司を殴り付けて、大将は傷だらけの僅かに出血する顔で唸る様に呟いた。
すると修司は一切の感情の変化も見せずに、再び大将に殴り掛かろうとした。
が、そこに赤塚組幹部にして最終兵器の試作機であったミズキが修司と大将の間に割り込んで、修司の攻撃を防いだ。
「大将! これ以上無謀な真似は……!」
ミズキは大将に修司と真っ向から対決するのをやめるように促すが、大将はミズキが修司の攻撃を阻止した隙に一旦距離を置いて、先ほど修司に遠くに放り投げられた自らの得物・破槍を装備しては言い放つ。
「邪魔すんじゃねえミズキ!! これは修司と俺の真剣な喧嘩だ!!」
するとこれを聞いた他の赤塚組幹部が挙って大将に言う。
「無茶言わないで大将!」
「今の修司さんは新世代型二次元人の能力を使えるだけでも厄介なのに、大将の方は完全に憔悴し切っているじゃない……!」
海野なるに水原花林が既に満身創痍の状態で修司に決闘を挑もうとする大将を制止しようと試みるが。
「漢なら……何がなんでもダチを止めるのが筋ってもんだろッ!!」
『!!』
この大将の熱い発言に幹部達は愕然と心に響かされた。
大将こと赤塚大作、自分達を纏める頭領は未だに純粋なる破滅に進化した小田原修司を友として見ており、その友を何が何でも止めてみせようと硬く決心しているのが伝わったからだ。
そして大将は満身創痍のボロボロな体で重量級の武器である破槍を振り回し、懸命に修司に攻撃していく。
だが修司は大将が振るう破槍を容易くかわしながら、同時に再び両手に出現させた二対の片太刀バサミで大将の身体を斬り付け、大将の裸体に無数の切り傷を生じさせる。
幾度となく修司から体を斬られ続ける大将だったが、彼は諦めずに必死に修司へ破槍を振り回して応戦する。
しかし修司に破槍の攻撃が当たる事はなく、逆に修司に裸体である上半身を切り刻まれて無数の切り傷から血を滴らせてた。
「う……っ!」
遂に大将は体がよろめいて片膝を地面に着けてしまう。
「大将!」「大将っ!」
ミズキたち幹部衆がよろめく大将に駆け寄る中、修司が衰弱する大将に
「大将、俺と同様にお前も既に過ちを犯している……出会う事のないキャラクター、二次元人同士が共存しているのは混沌の原点なんだ。お前たち赤塚組は、まさしく過ちの塊そのものだ」
と、修司が赤塚組の存在を否定ていると、大将は傷つき満身創痍の状態で修司に反論した。
「う、ウルセエ……! 確かに、作品が違うキャラ同士が一緒に居るっていうのは賛否両論あるが……それでも俺はコイツらと…………赤塚組の仲間達と出会えた事を誇りに思う!」
「大将……!!」
大将の言葉に市川一太郎ら幹部衆は感激する。
すると修司は自らの右腕から敢えて血を滴らせると、その右腕を思いっきり前へと振って無数の血飛沫を大将たちの方へと飛ばした。
修司が飛ばした血飛沫は無数の鋭利な弾丸と変化し、それらが大将たち赤塚組へと襲い掛かる。
「うわあっ!」
アケミが思わず悲鳴を上げるが、その瞬間満身創痍に至っていた大将が最後の力を振り絞って立ち上がり、我が身を盾にして仲間の幹部衆を庇った。
修司が飛ばした血の鋭利な弾丸の多くが大将の全身に突き刺さり、大将は見るも無残な痛々しい姿へと一変する。
「大将!!」
ゴマが全身を盾にした大将に声をかけると、大将は力尽きたのか後ろへと倒れ込んだ。
「大将!」「大将……ッ!」
ミズキやギョロに続き、幹部衆が声をかけ続けると大将は弱々しい声で反応した。
「楽し、かった、ぜ……作品の……世界が違うお前らと出会えて……一緒に広い世界を旅してきた日々はよぉ…………」
「大将、それ以上喋ったらいけないわ!」
今にも死にかけている大将にミズキが呼びかけると、大将は更に仲間である幹部衆に告げた。
「俺は………………おめえらとダチになれて、本当に良かった……」
「大、将……!!」
出会ったからこそ激動の運命を辿る事になったというのに、その出会いを心から喜ぶ心情を伝える大将の言葉にアツシ達は涙を流す。
「お前ら他作品のキャラと出会い、そして仲間になれた事……俺は後悔よりも、嬉しさでいっぱいだ」
そう呟くと、大将は静かに瞳を閉じた。
「大将……!!」
いつも子供じみた言動が目立つが、曲がった事が大嫌いな江戸っ子気質の、何よりも友達思いな大将の最後に本来は冷静沈着なミズキも目頭を熱くさせて大粒の涙を流し続ける。
最後まで現状、最大の敵である修司を友として見据えていた大将の死を前にして、赤塚組の幹部衆は涙を拭って立ち上がる。
そしてミズキは内蔵されている武器を拡散して、他の面々は全員銃器を装備して一斉に修司を睨み付ける。
赤塚組幹部衆に睨まれた修司は、彼らの覚悟を認識して両手に携える片太刀バサミを構えて臨戦態勢へと移行する。
互いの戦意が高まった瞬間、双方の戦いは始まった。
修司は斉木楠雄から会得した超能力で自らを地面から浮かして、敢えて地面との摩擦を無くして浮遊する形で幹部衆に突撃する。
「私が特攻する! みんなは援護を!」
「ああ! 分かった……!」
未だに拭いきれない涙を流しながら、最終兵器の試作機であったミズキが特攻する中、その後方からテツたち他の幹部衆がミズキを援護しようと射撃を開始する。
幹部衆の射撃の弾丸を修司は全て両手の片太刀バサミで弾きながら高速移動し、特攻するミズキと激突。
ミズキの鋼の翼と修司の片太刀バサミが激しく火花を散らし、お互いに押し合い続ける。
そしてお互い一旦後方へと退くと即座にミズキの方が仕掛け、修司に無数のレーザー攻撃を浴びせる。
だが修司はミズキのレーザーを全て闇の能力で無力化し、全ての光線を消滅させてしまう。
そんな修司に他の赤塚組幹部は遠方から接近戦を展開するミズキの援護射撃を続行し、修司に鉛弾を浴びせる。
しかし修司は鉛弾を片太刀バサミで弾くか、物体をすり抜ける身体能力で無力化して難なく回避していく。
「はァッ!!」
だがミズキは諦めず、何度も何度も修司に接近しては高威力のレーザーを浴びせて仕留めようと試みる。
「撃つんだ! 大将の覚悟を無駄にするなッ!!」
そんなミズキと同等に、大将の覚悟を無駄にしない為にもと銃を撃ち続けるテツたち幹部衆は泣きながら引き金を引く。
修司はそんな遠方から援護射撃を続ける幹部衆を先に片付けようと、一旦立ち止まると両手の片太刀バサミを消して、手の平から火の玉を射出して射撃する幹部衆を攻撃。
火の玉は着弾すると爆発し、射撃していた幹部衆は爆発に巻き込まれて大打撃を受ける。
「うわっ!」「みんな!」
秋夏子たちが爆発に巻き込まれ、修司と接近戦を展開していたミズキは思わず視線を皆の方へと向けてしまう。
その隙に修司はミズキの間近に瞬間移動で接近し、ミズキが修司に気付いた瞬間に彼女を回し蹴りで吹っ飛ばしてしまう。
「ミズキ!!」
派手に吹っ飛ばされるミズキを目撃して声を荒げるテツ。
だが修司は次に地面を浮遊して高速移動し、テツたち深手を負った幹部衆へと急接近。両手に二対の片太刀バサミを素早く出現させると、それらを巧みに振るってぐりおとなるの海野夫妻を斬撃。二人を葬った。
「なる! ぐりお!」
テツが叫ぶが、修司の猛攻は留まらない。
修司は次に大将と同様に自分やアッコと幼馴染であるギョロとゴマそしてチカ子の三人を斬り付けようと迫る。
「「「わあっ!」」」
三人は逃げ出そうとするが、修司はそんな戦意を捨てた三人の背後から斬り捨て、三人にの命を同時に奪う。
「こ、この……!」
そんな非情な修司に、水原花林が銃を撃とうとするが、修司はそれよりも早く片太刀バサミを弓矢に変形させて漆黒の矢で花林を射抜いて仕留める。
「花林ちゃん!」
漆黒の矢で射抜かれて絶命する花林を目撃して秋夏子が悲観する。
すると修司は次に武器を斧に変化させては、夏子に急接近して右手を思いっきり振り下ろして夏子の頭部を叩き割る。
「夏子さん!」
戦場カメラマンでもある夏子の無残な死に様を目の当たりにし、山崎貴史は愕然とする。
そんな山崎夫妻を修司は標的に選んだ。
テレポーテーションで修司は山崎夫妻の背後に回ると、二対の片太刀バサミで貴史と千春の二人を同時に仕留めた。
「クソクソッ!」
仲間を次々に殺められて我武者羅に銃を連射する市川一太郎とその妻であるレイコ。
しかし修司に銃弾はすり抜け、逆に修司が片太刀バサミの片方を市川夫妻へとブーメランの様に投げ付け、その鋭利な刃が一太郎とレイコの命を容易く奪い取ってしまう。
「もうこれ以上……!!」
と、其処に先ほど修司に蹴り飛ばされたミズキが再接近し、修司の攻撃を阻止。
しかし修司は自分の血で生成した片太刀バサミの一本をミズキの鋼の翼に突き刺して、彼女の高速移動を不能にしてしまう。
「くっ……!」
片翼が使えなくなってしまい、地面に擦る様に不時着するミズキ。
その間、修司は失った片太刀バサミを再び血で生成して二刀流に戻し、再度幹部衆の生き残りを始末しようと襲い掛かる。
「大将やみんなの死を、無駄にはしないぞ!!」
テツとふゆみ夫妻は襲い掛かってくる修司に向けて銃撃するが、全ての弾丸を片太刀バサミで防がれてしまう。
そして一瞬の間合いで修司はテツとふゆみを斬り捨ててしまう。
「テツ! ふゆみ……!」
二人の死亡にミズキは悲嘆。
そして修司は最後に遠くにいたアツシとアケミ夫妻に爆発する火炎弾を発射して、二人を爆発に巻き込ませた。
修司が放った火炎弾でアツシとアケミ夫妻は簡単に爆死してしまう。
「み、みんな……!」
同じ作品同士の間柄である仲間までも失い、途方に暮れ始めるミズキ。
だがミズキは自分が動ける限り最後まで戦意を持ち続け、辛うじて動く片翼で修司に無理して接近。
しかし修司の方が逆にミズキへと接近し、残ってた彼女の片翼をも片太刀バサミで切断し、切り取ってしまった。
両翼を奪われて高速移動を封じられたミズキは、最後の力を振り絞って修司に最大火力のレーザーを出力して発射。
修司は光に呑まれたが、結局修司は消えずに、光の中からミズキに斬りかかって、彼女を容易に斬り捨てて絶命させてしまった。
「大、将……ごめん……」
ミズキは死ぬ直前、大将に詫びの思いを呟いて絶命した。
こうして小田原修司は、自分やアッコと昔馴染みであった大将率いる赤塚組をも斬り捨てたのだった。
[恋心を抱いて]
「大将さん……! くッ」
赤塚組の全滅を目の当たりにして、村田順一は居た堪れない心境で胸がいっぱいだった。
一方、大将たち赤塚組を全滅させた修司は、次の標的を生存している順一たちに向けた。
「終わりにしよう、長きに渡る人類の過ちばかりの歴史を。そして始めよう、本当の意味で誰もが平等に安寧に過ごせる真っ白な虚無の世界を……」
修司は順一達に片太刀バサミの切っ先を向けながら語り掛ける。
順一達は不気味に、そして静観しつつも殺意を向けてくる修司に追い込まれる。
するとその時、一人の聖龍隊隊士が群衆の中から修司の方へと歩み出し、戦前に一歩ずつ出てきた。
「み、ミラール……」
それは聖龍隊三番目の総合部隊長である鏡の国の王女であった今は亡きミラーガール同様に他者変身に長けていたミラールだった。
ミラールは鏡の国の魔法技術で作られた得物である二丁拳銃のミラージュ・ガンを両手に携え、戦前に出ると徐に立ち止まり、順一達に告げた。
「ジュン、フロート、みんな……前総長、小田原修司は私が倒すわ」
「ミラール!」「バカ言うな、お前だけで勝てる相手じゃねェんだぞ」
ミラールの発言に順一もフロートも動揺するばかり。
「大丈夫、というか……もう覚悟は決めている。アッコおねえちゃんに聖龍HEAD、そして多くの二次元人たち……たくさんの物語を終わらせようとする修司の目論見を止めなきゃ、聖龍隊の隊士として、ヒーローとしての名折れだもの!」
「で、でもミラール。君は修司さんの事を……」
力強い面魂で一言一言語り明かすミラールに、順一が戸惑いながらも問い掛けると彼女は振り向いて笑顔で言い切った。
「大丈夫だって。何より……恋した相手を殺すのは、これで二度目だから」
『!!』
ミラールのこの返事を聞いた多くの戦場に立つ猛者たちは一驚した。
ミラールは小田原修司に淡い恋心を抱いていたのだ。
そして、そんな彼女は以前にも恋した異性を敵として葬った過去があった。彼女を一人前のバウンティハンターに育て上げた今は壊滅したブラッディ・レンジャーズのリーダー、ブラッドの事だ。
ミラールはアッコと恋仲であった修司に憧れだけでなく淡い感情も秘めていたが、ブラッドに引き続き恋した異性である修司と対峙する。
そんな覚悟を決めて恋心を持っていた修司と戦おうとするミラールの決意に感化されてか、群衆の中から更に戦前へと歩み出る四人の
「ミラール待って! 貴女だけに大事な人との戦いをさせる訳にはいかないわ」
「ほ、北麗……!」
最初にミラールに声をかけたのは、かつて修司の使い魔であった九尾の狐の孫にあたる雌の妖狐、
「あなただけが修司に恋心を持っていたって印象付けられるのは癪なのよ! 私だって修司に少しは……」
「エン・リー……」
続いて声をかけたのは、同じく修司の使い魔であった古の物語【西遊記】の登場人物・孫悟空の末裔である
「そもそも修司と一対一で闘おうっていうのが無茶なのよ!」
「私達も参戦させてください……! もちろん、足手まといには成らないよう尽力します!」
「ピグナ、河奈まで……」
エン・リーと同じく修司の使い魔であった過去を持ち、エン・リーを追ってアニメタウンまで襲撃した末に当時の聖龍隊によって返り討ちにあって寝返った経緯の、これまた西遊記の登場人物・猪八戒の末裔である豚妖怪のピグナと同じく沙悟浄の末裔である河童の河奈も参戦。
すると四人の妖怪娘たちの参戦の意思が明かされた直後、地響きしながら巨体を揺さぶって戦前へと駆け付ける戦士が。
「アンタたち! このアタイを除け者にする気かい!? 修司とは父上の代から知り合ってきた間柄。アタイのパワーもまだまだ全部出し切ってない、ここからが本番って訳だ!」
「リュウナ……!」
戦前に名乗り出てくれたセブンズ・ガードの一角を占めるブロントサウルスの恐竜人でアマゾネスのリュウナの参戦表明にミラール達は歓喜した。
そして最後に、一人の少女が友である少女と共に戦前に出てきてミラール達に話し掛ける。
「……皆さん、どうか私も一緒に修司さんと戦わせてください!」
「! あなたは【シュガシュガルーン】の新女王、バニラ=ミュー……」
なんと戦前に名乗り出て来たのは、非力な【シュガシュガルーン】の新女王バニラ=ミュー。そんな彼女の傍らには、同じく【シュガシュガルーン】の登場人物である主人公ショコラ=メイユールの姿も見受けられた。
「私もあなた達同様、修司さんと色んな意味でけじめを付けたいんです! 非力な私ですが、どうか一緒に戦わせてください。お願いします……!」
「あたしはバニラのサポートっていうか、助っ人みたいな感じかな? バニラが愛した男の暴走、さっさとみんなで止めようぜ!」
頭を下げてまで共闘させてくれるよう嘆願するバニラに、そのバニラを補助する形で共闘する意思を示すショコラ。
二人の意思を前にして、ミラール達も彼女らの決意を汲み取った。
「ええ、分かったわ。一緒に修司を止めよう! みんなもバニラ達の参戦に同意するわよね」
『ええ!!』
余り戦闘向きではないバニラ達の参戦表明を受け入れるミラール達。
こうして彼女たちは修司と対峙する決意と姿勢を示し合わせた。
この時、バニラの補助として共闘するショコラは、先の修司との戦いで戦死したスコーピオン同盟のピエールの亡骸を見据えて人知れず思い耽る。
(ピエール。あんたら悪役達、スコーピオン同盟が成し得なかった事、あたし達が果たしてみせるから……!)
ショコラは両思いであったが、時代によって離れ離れになってしまったピエールの死を受け入れつつも彼らスコーピオン同盟が果たせなかった小田原修司の暴走を止める意志を固くする。
こうしてミラールを筆頭に、元修司の使い魔であった
総勢八名の女を前にしても、修司の顔は一向に晴れなかった。
「……そうか、かつて俺に愛を向けていたお前達が、愛を感じ得なかった異端児たる俺の目的の邪魔をするのだな。俺は、お前たちからの愛を疎ましくしか感じられなかった。それもこれも、俺には愛を感じ得る感情が、心が欠落していたからだ」
女たちを前に修司は語り続ける。
「どんなに愛を欲しても、どんなに貪欲に他人からの愛情を求めても……俺の欠落した心では、その愛を受け止める事は、受け入れる事は不可能だった。どんなに愛情を注がれても、俺の欠落したひび割れた心という器からは愛情が染み出し、満たされる事は決してなかった。俺はどんなに愛情を欲しても、俺は叶えられなかった……!」
目を見開き、障害ゆえに愛情を感じられない己を悲観する様に落胆する修司の言葉を聞いて、女たちはそんな修司の悲劇を改めて思い知る。
しかし意を決してミラールが先手にミラージュ・ガンの銃口を修司に向けて発砲。
修司はミラールが放った蒼い魔力の弾丸を右手の片太刀バサミで弾いて防いだのが、交戦の合図となった。
一斉に女たちは散らばり、それぞれが得意とする戦術で修司に攻撃を仕掛けていった。
「狐火!」
九尾に増えた尻尾から青白い炎を出現させて、それを全て修司に向けて放った。
しかし
そして次の瞬間、修司は遠距離から炎を飛ばしてくる
「ッ!」
「
すると
接近して攻めてきたエン・リーに素早く反応し、彼女が振るう如意棒の攻撃を修司は二対の片太刀バサミで防いだり、身を反らして回避する。
修司に生半可な攻撃は効かないと察したエン・リーは如意棒の両端に自身の妖術で発火させた紅蓮の焔を着火させて、強化させた如意棒で修司を更に追撃。
しかし修司は強化された如意棒の攻撃をも難なくかわし、そしてエン・リーの一瞬の隙をついて彼女の足を蹴り付けて足払いさせて転倒させてしまう。
地面に倒れるエン・リーを修司は瞬時に追撃しようと片太刀バサミで突き刺そうとするが、それを
咄嗟に
「鬼火!!」
九つの狐火を一つに集わせて大きな青白い炎を生成した
しかし修司は
「何をしている二人とも。今の俺は枇々木丈から会得した火炎系能力で、お前たち妖力で作り出された炎も効きやしない。それどころか闇の能力で粗方の炎はもちろん妖力も吸引した上で無力化できる事を忘れるな」
冷徹な眼差しで目の前の二人に告げる修司の口調に、
と、其処に。
「はぁッ!!」
強烈な掛け声と共に地面に右手を強く突き出した猪八戒の子孫ピグナ。彼女の地面への一突きは大地を裂き、その亀裂は修司へと襲い掛かる。
突然の地面を走る亀裂に修司は呑み込まれ、下半身がすっぽり地面の亀裂へと落ちて挟まってしまった。
「行くわよ河奈!」「ええ!」
ピグナは河童の河奈と共に修司に攻撃を仕掛ける。
河奈が頭の皿から派生させた鋭利な水の回転鋸を手裏剣の様に修司に投げ付けると、ピグナは修司に駆け寄って直接攻撃に。
すると修司は左手の片太刀バサミを投げ付けて、自分に直撃する前に河奈の回転鋸を空中で当てて飛来を止めて見せた。
そして接近攻撃に持ち込むピグナには、彼女が振り上げた武器を右手の片太刀バサミで受け止めて、己の頭上でピグナの攻撃を防いだ。
ピグナは一時、修司と力の押し合いをしたが、修司がピグナを押し退けた次の瞬間、修司はなんと一瞬の内に姿を消してしまう。
「き、消えた!?」
「落ち着いて! 新世代型から会得したテレポーテーションよ!」
激しく動揺するピグナ達に、冷静な
一方のテレポーテーションで瞬間移動した修司はというと。
なんと恋心を抱いた乙女の戦いに参戦してるバニラ=ミューの背後へと姿を現していた。
「ば、バニラ!」「え……、!」
ショコラが声をかけて、ようやくバニラは背後の修司の存在に気付く。
「バニラ様を守れ!」「女王様には指一本も触れさせんぞ!」
バニラとショコラの援護に徹していた兵士達が総出で修司に挑んでいくが、修司は再び自分の血で片太刀バサミを二対生成すると、その二刀流で周囲を取り囲む兵士達を薙ぎ払い、殲滅してしまう。
「み、みんな……!」
味方である兵士達が一気に斬られてしまう惨状にショコラは愕然とする。
「さて。戦法にもある通り……まずは弱い者から排除し、相手の戦意を削らないとな」
そう呟いた修司は、参戦する女たちの中では最も非力なバニラを片太刀バサミで斬りかかろうと接近する。
が、修司とバニラの間に入ったショコラが、兵士達が持っていた剣を拾って親友のバニラを守った。
「しょ、ショコラちゃん……!」
「っっ~~、やっぱり修司さんと剣術でやり合うのは無理があるわ……」
自分を庇ってくれたショコラだったが、そのショコラも剣戟に秀でている修司と立ち向かうのは困難だとバニラも理解する。
すると修司は左手の片太刀バサミを消して、左手の甲に右手の片太刀バサミを添えて鋭利な切っ先を二人に向ける構えに入った。
「「!」」
その構えの修司を見たショコラとバニラは戸惑った。修司の強烈な突きによる攻撃が来る前兆だからだ。
そして案の定、次の瞬間には修司が強烈な片太刀バサミでの突きで突撃してきたのだ。予測していたのだが、その凄まじい気迫での突撃にショコラもバニラも咄嗟に反応する事は叶わなかった。
「「ッ!」」
二人は修司の強烈で鋭利な片太刀バサミでの突きで刺し貫かれるかと思わず顔を背けて目をつぶってしまう。
と、その時だった。
「はぁッ!!」
突撃する修司とショコラ&バニラの間に、巨大な鈍器が投げ回された後に落下し、修司の突撃を辛うじて防いだ。
ショコラとバニラが恐る恐る目を開けると、その鈍器を拾い上げる巨大な人影か舞い上がる砂煙の中にいた。
「大丈夫かい、二人とも」
ショコラとバニラを危機一髪の所で助けに入ったのは、ブロントサウルスの恐竜人でアマゾネスのリュウナだった。
「あ、ありがとう、リュウナ」
「気を引き締めていくよ、お二人さん。あの修司相手に生半可な覚悟じゃ太刀打ちできないよ」
礼を言うショコラにリュウナは気を引き締める様にと二人に告げる。
そんな辛うじて攻撃を免れたショコラとバニラたちに修司が語り掛ける。
「ショコラ、バニラ……お前達は何も気付いていない。愛とは確かに強さかもしれない、温もりかもしれない……だが、その愛を求め、欲するばかりに人というのは醜く争い合い、時には傷つけ合い、殺し合う。俺自身、愛を感じられないのに愛を欲した為に、その愛を守る為に多くの血を浴びて自分を穢してきた。人は力を欲するばかりに争う、そして愛もまた強さであり力……なら、愛もまた等しく争いの引き金になる、争いの元凶なのだよ」
愛情を欲するばかりに争いが起きてしまうからこそ、愛情もまた争いの元凶だと説く修司。そんな修司の説明を聞いてショコラが反論する。
「なに言ってんのさ!! 修司、あんたはアッコちゃんから愛情ってモンをたくさん貰ったって言うのに、その愛が争いの元凶だってよく言えるね?」
「………………」
「確かに、人間……いいや、心ある存在なら愛情を奪い合って醜く争い合っちゃう事だって多々あるのは認めるよ。だけど……その愛情があったからこそ、人は前を向いて、希望を持って生きていられるんじゃないの? 修司だって、アッコちゃんからの愛があったからこそ、二次元人も三次元人も平等に生きていける世界を夢見てたんじゃないの?」
「……確かに、俺はアッコや多くの二次元人たちから愛情を与えられ、そして教えられた。だからこそ今となっては解るんだ……! 愛情を感じるからこそ、人は悲しみ……愛情を求め、欲するからこそ人は醜く争い合ってしまう。愛情を感じ得ない俺でも、愛が争いの原因になってしまう事実ば酷く理解してしまう……!!」
酷く落胆するかの様に自分の頭を抱え込み始める修司を目の当たりに、如何に修司が愛情から派生する争いや醜態に打ちのめされているか理解して唖然とするショコラとバニラ。
と、修司は不意に頭を上げて、咄嗟にがら空きの左手の平をショコラたちの方へと突き出した。
すると修司の左手から闇が出現し、それが強力な引力を生み出した。
「ブラックホール……!」「! うわっ!」
修司の闇に引きずり込まれ、体が強制的に引っ張られてしまうショコラ。
「ショコラ!」「ショコラちゃん!」
闇に引っ張られるショコラを前に、リュウナとバニラは激しく動揺する。
そんなショコラを引き寄せる修司の右手には鋭利な片太刀バサミ。修司は闇の引力で引き寄せたショコラを片太刀バサミで刺殺する狙いだ。
と、修司とショコラの距離がまさに至近距離まで接近し、修司がショコラを刺殺しようとした、その時。
一発の蒼い閃光が飛来し、その閃光がショコラを引き寄せる闇を発生させる修司の左手を粉々に吹き飛ばした。
修司の左手が木っ端微塵になった途端、ショコラは地面へと転げ回る。
「ショコラちゃん!」「大丈夫かい!?」
慌ててバニラとリュウナが地面に横たわるショコラに駆け寄る。
一方の修司は驚異的な再生力で粉々になった左手を再生させると同時に、左手を吹き飛ばした蒼い閃光が飛んできた方角に顔を向ける。
修司が顔を向けた先にいたのは、銃口から白煙があがっているミラージュ・ガンを構えたミラールだった。
修司の左手をミラージュ・ガンで吹き飛ばしたミラールを静観する修司が自身の左手を完全に再生させると、ミラールが修司に向かって言い放つ。
「修司! 貴方と戦っているのはショコラやバニラ女王だけじゃないって事を忘れないで!!」
そう言い終わると、ミラールは二丁拳銃のミラージュ・ガンを二丁とも構えて修司に向かって連射した。
するとミラールに続けと、
だが修司は先ほど瞬時に再生させた左手から片太刀バサミを生成すると、二刀流の片太刀バサミで器用に降りかかる弾丸や攻撃技を弾いて我が身を守ってしまう。
ミラール達が悔しそうにしていると、修司は宙に浮いて地面との摩擦を無くすと同時に高速移動でミラール達の方へと接近、近接戦法で彼女達と戦い始める。
急接近してきた修司に対してミラールは射撃体勢を維持する為に後方へと下がるが、そんな彼女に修司は容赦なく片太刀バサミで斬りかかる。が、それをエン・リーとピグナが二人がかりで阻止し、修司と応戦。エン・リーの如意棒での棒術と怪力自慢のピグナの剛腕からの二重攻撃を修司は難なくかわす。
修司はエン・リーの如意棒を片太刀バサミで受け止めつつ弾き返し、ピグナの剛腕を片手で受け止めると瞬時に彼女の額に自らの石頭で強烈な頭突きを喰らわして吹き飛ばす。
と、そこに今度は河奈が両手に自身の頭の皿から生成した手裏剣を携えて、手裏剣で直接修司を切り付けようと迫る。が、修司はそれを二刀流の片太刀バサミで応戦し、片太刀バサミで河奈の皿手裏剣を砕き、更に河奈の頭の皿を片太刀バサミを持った右手で殴り付けて叩き割ってしまう。
「う……ッ!」「河奈!」
弱点でもある頭の皿を叩き割られて倒れ込む河奈を目撃し、エン・リーは愕然とする。
そして地面に倒れ込む河奈にトドメを刺そうと、修司が片太刀バサミを突き立てて河奈を刺殺しようと迫る。
が、その瞬間、遠方からリュウナが得物である巨大鈍器を投げ飛ばして修司へと直撃させようとする。が、修司はその巨大鈍器を左手を翳して空中で静止させてしまう。
「ッ! 斉木楠雄の超能力……!」
修司が新世代型である斉木楠雄から会得した超能力で巨大鈍器を空中で静止させた事実を察するミラール。
しかしこの瞬間に河奈は立ち上がり、頭の皿が割られた状態ながらも死力を尽くして修司を水の刃で斬り付ける。
だが修司に付いた切り傷は、瞬時にマギウスや神原秋人の再生能力で塞がってしまう。
次の瞬間、修司は片太刀バサミで河奈を斬り付けようと構えた。河奈は咄嗟に防衛本能で頑丈な背中の甲羅を修司に向けて振り返る。
そして振るわれた修司の片太刀バサミが河奈の背中の甲羅を斬り付けたのだが、修司の血で生成された片太刀バサミは河奈の頑丈な甲羅を簡単に傷付け、その衝撃で河奈を吹き飛ばしてしまう。
「河奈! ……くっ」
甲羅を斬り付けられ、吹き飛ばされてしまう河奈を見て表情を歪ませるピグナ。
そんな河奈を吹き飛ばした修司に
しかし修司は闇の能力で
「ぐッ!」
真正面腹部を斬り付けられ、咄嗟に後方へと退いた
すると其処に先ほど修司に投げ付けた得物の鈍器を拾い上げ、再び修司に接近して巨大鈍器で殴りかかろうとリュウナが迫る。
「うおおおおッ!!」
咆哮しながら修司に殴り掛かるリュウナ。だが重量級の鈍器で殴りかかる彼女の一撃は容易に回避でき、修司は難なく横へと移動して避けてしまう。
そして避けた直後に修司は二対の片太刀バサミで連続でリュウナを斬り続ける。
「ぐっ……!」
硬い皮膚を持つ恐竜人のリュウナであっても、鋭利な片太刀バサミでの斬撃は彼女の肌を容易に傷付けていく。
と、修司がリュウナを斬り続けていると、遠くから残り僅かになった魔力で修司の動きを止めようとするショコラとバニラがいた。
そんな二人が視界に入った修司は、リュウナへの斬撃をやめて瞬時に武器を弓矢へと変形させてショコラとバニラに向けて漆黒の矢を放った。
「「ッ!」」
自分達に向かって飛来する矢を前に、驚くばかりのショコラとバニラ。
と、その時。ショコラとバニラに飛んでいく矢を、ミラールが放った魔法の蒼い銃弾が射止めて、矢を破壊してみせた。
ショコラとバニラは無言でミラールに感謝の表情を向けると、全員で修司を取り囲む。
愛を感じられなかった男、小田原修司。
そんな修司をアッコ同様、愛した乙女たち。
アッコことミラーガール亡き今、修司への思いへのケジメを付ける為、そして何よりも修司への愛を貫いたミラーガールへの弔いの為に戦い続ける乙女たち。
愛を感じられない、ゆえに相手の心を受け止められない小田原修司の心を誰が受け止められるだろうか。
[私達も! もう一人の恋心を抱く乙女と、乙女の為に戦う撫虎]
新世代型二次元人の生体エネルギーを吸収して「純粋なる破滅」へと進化した小田原修司。
そんな修司を倒してでも止めるべく一致団結して共闘する、かつて修司に恋してたミラール/
しかし様々な特殊能力を使用する上に、相手の能力を無力化できる闇を所有している修司を相手に戦い抜くのすら至難だった。
そして修司を取り囲む乙女たちであったが、修司はそんな状況下でも冷め切った虚無の表情のまま。
すると修司はその虚無の表情を一片も変えずに、両手に二対の片太刀バサミを携えて特攻してきた。
「ッ!」
修司が迫ってきたのを視認したミラールは構えていたミラージュ・ガンを撃ったが、修司はミラージュ・ガンの蒼い銃弾を避けながらミラールに接近し、彼女に片太刀バサミを一振りして押し退けてしまう。
「ミラール!」
派手に吹き飛ばされるミラールに
そして狐火を消し飛ばした直後、修司は二刀流の片太刀バサミを交差させる様に振り付けて、
傷を負って尻餅をついた
が、そこにエン・リーとピグナが左右から接近し、修司に直接攻撃を仕掛ける。
しかし修司はエン・リーの如意棒とピグナの重量級の金棒を二対の片太刀バサミで意図も簡単に受け止め、一瞬で両者の武器を弾き返すと同時にそれぞれの胴体に片太刀バサミで斬り付けて傷を負わせた。
エン・リーとピグナの両者を同時に斬り付けた修司に、遠距離から河奈が先ほど修司に叩き割られた頭の皿からやっとの思いで生成した水手裏剣を投げ付けて攻撃するものの、割れた皿の影響かこれまた簡単に修司によって片太刀バサミで砕かれてしまう。
傷を負ったミラールに
その時。参戦女性では最も巨体の恐竜人アマゾネスのリュウナが武器を振り上げて修司に猛進。しかし接近してからの彼女の豪快な攻撃を修司は全て避け切ってしまう。
そしてリュウナの攻撃を回避した修司は、回避すると同時にリュウナの巨体にも片太刀バサミで鋭利な切り傷を負わせて、リュウナを憔悴させる。
こうして戦闘タイプの女性達を返り討ちにした修司は、戦闘向きではない二次元人のショコラとバニラへと進撃を開始。
地面を浮遊して接近する修司を前に、ショコラはミラーガール死亡によって消滅寸前の魔力を辛うじて絞り出し、修司に抗戦する。
だが修司はショコラの弱り切った魔法すらも、自らの闇の能力で無力化させて消し去り、ショコラに駆け寄る。
「っ!!」「ショコラちゃん!」
驚愕するショコラとバニラ。だが二人が行動に移るよりも早く、修司は二刀流の片太刀バサミでショコラの体を斬り付けて、彼女に無数の切り傷を負わせて押し返してしまう。
「っ……!」
親友のショコラが無残に切り刻まれて言葉を失うバニラ。
そして修司はショコラを痛め付けた直後、視線をバニラに向けて標的を彼女に変える。
不気味に、そして静寂にバニラへと歩み出す修司を前に、バニラ本人は緊張し切った状況下で混乱していたのか脳裏には修司との思い出が走馬灯の様に浮かんでは消えて行ってた。
そしてバニラの目前まで歩み寄った修司は、右手の片太刀バサミを逆手に握り替えると、そのまま刃を押し出す様にバニラの首元を切断しようと構える。
愕然とするバニラは修司に斬られるのを覚悟した。
が、その時。
修司の振るう片太刀バサミを止める巨大な得物を扱う者が修司の前に立ちはだかった。
バニラが恐る恐る自分を護ってくれたその人物に注目してみると。
その人物は、巨大な両手剣を豪快に振るう事で有名な三次元界・中国の地方武将である女武将イン・ナオコであった。
「大丈夫か! バニラ女王……!」
ナオコは後ろのバニラに気遣いをしながら、バニラを護る為に巨剣で修司の攻撃を防いでいた。
更に、修司がナオコと武器と武器同士で鍔迫り合いをしている最中、その修司に何処からともなく黒く煌めく矢が飛んできた。
黒い矢に反応して後方に退く修司が、矢が飛んで来た方角へ目を向けてみると、そこには自身の能力で黒い弓矢を構える「ぴちぴちピッチ」のエリルの姿が視界に飛び込んできた。
「え、エリル……?」
同じくエリルを目撃したバニラは驚き戸惑った。彼女達は修司に恋した者同士、面識があった。
そして修司が後方へ退いた間に、エリルはナオコの隣まで移動し、互いに背を合わせながら修司に言い放つ。
「小田原修司!! 両思いであった加賀美あつこを殺めただけに飽き足らず、今度はお前みたいな奴でも恋してくれた乙女にすらも平然と刃を向けるとは……このイン・ナオコ、もう我慢の限界だ!!」
「修司さん……! 私も心苦しいよ……自分のクローンを、人間兵器だった自分の代用品として生み出された新世代型二次元人の存在を許せずに、こんな真似しちゃって……私、もう修司さんの苦しむ姿を見たくない!!」
二人からの宣戦布告を聞いても尚、修司の表情は微塵も変わらなかった。
「「私達も!! 小田原修司を止めるこの乙女の戦いに参戦する……!!」」
イン・ナオコとエリルの宣言を前に、先ほど修司によって傷付けられた乙女達も自然と勇気付けられ、自ずと立ち上がる。
「……私達は負けない……! 先に死んでいった仲間達の為にも……そして何よりも、己の心を自ら殺めて世界と共に自害しようとする修司の暴挙を止める為にも、絶対に負けられない……!」
戦いに参戦してくれるイン・ナオコとエリルの存在に勇気付けられたミラールが説く中、修司がそんなミラールの言葉に返答する。
「勝つ、負ける。そんな価値観すらも、最早無意味だ。誰もが勝つ事もなく、負ける事もない……本当の意味で全てを虚無に終わらせる最後の戦いが、今この時の戦いなのだ……!」
それでも乙女たちは、新たに共闘してくれるイン・ナオコとエリルの助力も相まって、修司に攻撃を続ける。
ナオコとリュウナ二人の豪快な攻撃を修司は右に左にへと避けていくが、そこにピグナが最大火力の必殺技を叩き込む。
「大地の怒り!!」
ピグナが地面に拳を殴り付けると同時に、そこから無数に大地に亀裂が入り、その亀裂から夥しい火柱が吹き上がり、修司に襲い掛かる。
「ッ……!」
反射的に防衛本能で己の顔を腕で守り、動きを止めた修司に今度は遠距離から
「河奈、あなたの妖力を私に……! 頭の皿が割れて戦えない貴女の力を私のダークアローに」
「ええ、私の妖力、あなたに託すわ。エリル」
この時エリルは、先ほど修司に頭の皿を割られて戦闘不能に陥った河童の河奈から妖力を借りて、その妖力も加えて修司に無数の漆黒の矢を射出した。
三位一体の必殺技が修司に直撃し、凄まじい爆発に修司は呑み込まれた。
修司に大打撃を与えられたと乙女たちが不安ながらに凝視していると、爆炎の中から修司が何事も無かったかのように現れる。
「そ、そんな……!」
ショコラにバニラも愕然とするが、落胆する皆にミラールが言い放った。
「まだよ! 諦めた時点で私達の負けよ!!」
ミラージュ・ガンを修司に向けるミラールだが、そんな彼女に修司が呟く。
「もういい加減、戦うのを……抗うのを、やめろ」
次の瞬間、修司は左手に持っていた片太刀バサミをミラールに向けて唐突に投げ付けた。
片太刀バサミの切っ先がミラールに向かって一直線に投げ付けられたが、ミラールは素早くミラージュ・ガンを連射して自分に直撃する寸前で飛んでくる片太刀バサミを銃撃で撃ち落とした。
が、ミラールが安心するよりも早く、修司は高速移動でミラールの許まで迫り、右手の片太刀バサミでミラールの両腕を無残にも切断して斬り落とした。
「ッ……!!」「ミラール!!」
両腕を斬り落とされて悶絶するミラールを目撃して
「この……小田原修司!!」
それを目撃したナオコとリュウナが二人掛かりで修司に襲い掛かるが、修司は右手の片太刀バサミを変形させてショットガンへと変えると速攻でナオコとリュウナへと銃口を向けて放った。
「うわっ!」「ぐっ!」
修司が撃ったショットガンの銃撃は凄まじい爆撃となり、その爆撃が容赦なくナオコとリュウナに襲い掛かる。
「ナオコ! リュウナ! ……っ!」
「みんな!」
やがて修司が放つショットガンでの爆撃はショコラにバニラ、ピグナに河奈そしてエリルまでも吹き飛ばす。
凄まじい爆撃音が響き終わり、激しい砂煙が落ち着くと、ミラールは両腕を失って修司の目前で膝を着き、他の乙女たちは爆撃を受けて横たわっていた。
「うぅ……」
バニラも他の乙女達も、傷つき倒れ、憔悴していた。
「だから抗うなと言ったんだ……抗えば、それだけ苦しみが続くだけだ」
修司はそう説くが、それに対して両腕を切断されたミラールが修司に反論する。
「違うでしょ、修司……! 抗いを続けるから苦しむんじゃない。苦しみから目を逸らし、抗わない事こそ真の苦しみだと……以前の貴方は言ってたじゃない」
しかし、そんなミラールの言葉は【純粋なる破滅】に進化した修司には響かなかった。
そして次の瞬間、修司は無慈悲にミラールの首元を斬り付けた。
「修司……!」
ミラールは力尽きる前、これから戦うであろう仲間達に伝えた。
「諦めないで……! 必ず、未来という名の光は……在、る…………」
「ミラール!!」「ミラール……!!」
戦いを見守っていた同じ総部隊長のフロートと順一はミラールの死に落胆した。
「ッ……! 小田原修司!! 貴様、それでも武士なのか!? 武士が自分の命ともいえる刀を、得物を捨てるというのか!!」
片太刀バサミをミラールに投げ付ける戦法をとった修司に怒りをぶつけるナオコに、修司は至極末端な答えを返した。
「何を言う。武士だからこそ得物に縛られず、それを逆手にとって囮にし、相手に致命傷を与える。武士だから得物は捨てないという縛られた考えだけでは勝負事には勝てん。いや、それ以前に……」
更に修司は続けて衝撃的な発言を述べた。
「今の俺は……武士道精神も欠けちまっている、ただの欠陥品だしな」
またも自らの事を欠陥品と自虐する修司に、呆れ果ててしまうナオコ。
だが次の瞬間には怒りで消えかけていた闘争心を再び燃え上がらせ、得物である大剣を構えて再戦の姿勢に入る。
「おりゃあああッ!!」
ナオコは大剣の切っ先を修司に向けたまま、修司にへと猪突猛進を開始。
そんなナオコに修司は左手のショットガンを撃ち、爆撃をお見舞いするが、ナオコは爆撃などお構いなしに修司へと突撃する。
そして修司に大剣で突き刺そうとするナオコだったが、修司は難なく回避すると逸早くナオコの背後に回って彼女の黒髪のポニーテールを掴んでしまう。
「うっ……!」
髪の毛を掴まれて、一時的に動けなくなってしまうナオコに修司は言った。
「熱くなりすぎて周りが見えず、突撃しか能のない女など、聖龍HEADの奴らよりも遥かに弱い……!」
「………………!!」
修司にはっきりと弱いと告げられたナオコは衝撃を受ける。
するとその時、ナオコは得物である大剣を離して懐の小刀を素早く取り出すと、なんと自慢のポニーテールを自ら断髪したのだ。
「!」『!!』
修司に掴まれた髪を自ら断髪したナオコに、修司も周囲の皆々も驚愕する。
そしてナオコは、自慢の髪を切り落とした小刀をもって修司に突き刺した。
「私は………………私は弱くない!!」
今は亡き元婚約者から「美しい黒い長髪」と褒められた髪を、自ら切り落としたナオコの瞳からは涙が滴り流れた。
一方、ナオコに刺された修司は多少ながら驚きを隠せなかった。
「うっ……今のは、流石に少し効いたぞ」
そう言いながら後ろへと退いてナオコと距離を置く修司。
だが修司の刺し傷も、やはりマギウスの不死性と神原秋人の再生能力を持った肉体によって瞬く間に消えてしまう。
その間に、ミラールを殺められて蒼然としていた乙女たちが修司に再戦しようと立ち上がっていた。
そんな彼女達に修司が語り始める。
「俺がなぜ、この様な戦いを始めたか解るか? 全ては……あそこでこの大戦を眺めているだけの薄汚い生命体、新世代型二次元人の存在が在るからだ」
そう語り始める修司の視線の先には、修司が作り出した漆黒の檻の中で囚われては戦いを傍観するしかできない新世代型二次元人たちの姿があった。
「新世代型二次元人という俺のクローン、コピーとはいえ俺自身。新世党の様に自滅してくれる輩もいたが、結局は薄汚い俺のクローンは生き続ける」
自身のクローンである新世代型二次元人の事を語る修司はさらに続ける。
「かつて、アッコや聖龍隊のみんなから心を与えられ、心を得た事で夢を追う様になり、やがてそれは大きな力を望む様に自分を変化させ、最終的には望んではいなかった破滅の力を得てしまった」
二次元人から心を与えられたからこそ、欲望も生まれ、その欲望によって破滅の力すらも得てしまったと説く修司。
「そうして俺は何度も心を失い、何度も心を得た。何度も絶望しては何度も微かな希望を持ってしまった。何度、改めようとも……俺の心は虚ろのままだった。だから俺は決めたんだ」
そして修司は最後に、虚ろな眼差しで言い切った。
「クローンという新世代型二次元人を……そう全ての俺を殺して、全てを俺自身で終わらせる為に」
そう語り終わると、修司は乙女達を一気に倒そうと、右手に片太刀バサミを、左手にはショットガンを装備して攻撃を仕掛ける。
「来るわよ!」
修司が攻めてくると生き残っている乙女達に伝える
最初に修司が交戦を仕掛けたのは、自分の元使い魔だった九尾の狐の孫娘でもある妖狐
「
「それなら尚更……! 私達との出会いの思い出も消させたりはしない……!!」
過去の出会いを語る修司の話を聞いて、
だが懸命に交戦する
「ぎゃっ!」
九本全ての尾を斬られて苦痛の悲鳴を上げる
「ああッ!!」
無数の散弾が全身に直撃し、激痛に襲われる
そんな
「
「え、エン・リー……何とかね」
先輩であり仲間でもある
すると
「エン・リー……俺が中国の山中深くまで訪れ、そこで妖猿であるキンシコウの一族であるお前と出くわし……話が弾んでお前をアニメタウンに仲間として連れ帰った過去は、純粋なる破滅へと進化する前の俺にとってはいい思い出だった」
「それじゃなに? 今の純粋なる破滅に進化した修司にとって、私や
エン・リーに問われた修司は、虚無の面差しで答え返す。
「そうだな、今の純粋に破滅しか齎さなくなった俺にとって、思い出や昔話など何の意味も成さない単なる過去の虚像……虚ろな記憶でしかないのだよ」
「ッ……!!」
自分達との思い出が今では虚ろな記憶でしかないと修司に言い切られて、エン・リーは激しく感情を昂らせた。
感情が激しく昂ったエン・リーは、そのまま如意棒で修司に強烈な打撃を浴びせようと襲い掛かる。
が、修司は右手の片太刀バサミのみでエン・リーの如意棒による棒術を巧みに受け流し、そして避けていくと、最終的に左手のショットガンの銃口を彼女に差し向けた。
「エン・リー!!」
「うぅ……!」
全身が血まみれのエン・リーに、修司が虚ろに告げる。
「エン・リー、お前もまた数多の物語の始祖……! 西遊記、孫悟空の末裔であるお前の先祖から、多くの三次元人に創造性を与え、多くの物語を生み出した。だが、人間の破滅へと進む創造性を助長したのは、ある意味大罪……その罪の因果を、俺が直々に絶ってしんぜよう……!!」
修司が告げ終わった瞬間、彼はエン・リーに無慈悲な一太刀を浴びせて彼女の命を絶ってしまう。
「修、司……あなたとの、思い出は……大切な、宝、物…………」
そう言い残してエン・リーは事切れた。
「エン・リーッ!!」
エン・リーの死に
「修司……このッ!」
エン・リーを殺されて逆上したピグナは目から涙を零しながら鈍器を振り上げて修司へと突進する。
しかし修司はピグナの鈍器攻撃を難なくかわすと、すかさず右手の片太刀バサミでピグナを斬り付けて反撃しながら彼女にも話し掛ける。
「ピグナ、そして河奈……俺が中国でエン・リーを勧誘し、アニメタウンに帰国した直後に、今が世の西遊記の末裔のみで一旗揚げようと意気揚々でエン・リーの許を訪れていたお前たち二人は、エン・リーを追って遠路遥々アニメタウンまでやって来たな。
だがピグナは激情の余り修司の話なぞ聞く耳を持たずに、ただただ我武者羅に鈍器での攻撃を続けていた。
しかしピグナの冷静さが欠けた単純な攻撃は修司には当たらず、修司は難なく回避すると同時にピグナに反撃していく。
そして修司はショットガンに火炎エネルギーを溜めて、ピグナに言った。
「さらばだ、ピグナ」
次の瞬間、修司は火炎エネルギーを溜めたショットガンを放ち、ピグナに最大火力のショットガンでの一撃を浴びせる。
「ぐはっ」
強力な銃撃を浴びて悶絶するピグナは、最後に修司へと遺言を伝える。
「修司……あなたは聖龍隊で誰よりも……一人じゃ、なかっ、た…………」
「ピグナ!」「ピグナ……っ!」
力なく倒れるピグナを目撃し、
そしてピグナを倒した修司は瞬時に地面を浮遊移動して、既に頭の皿が割られて弱り切っている河奈へと進撃。
「河奈、逃げて!」
そんな河奈に修司は接近し、右手の片太刀バサミで河奈を刺殺しようと構える。
「ッ!」
それを目の当たりにして、河奈は思わず自己防衛で河童特有の頑丈で強固な背中の甲羅を修司に向けてしまう。
だが河奈の背中の甲羅に、修司は容赦なく片太刀バサミを突き刺した。
修司が振るった片太刀バサミは強固な甲羅を貫き、河奈の体を貫通した。
「……っ!」「河奈……!!」
声も上げれずに息絶える河奈を目撃し、
「もうやめるのよ!! 小田原修司!!」
完全に殺戮を繰り返す虚無の存在と化した小田原修司を止めるべく、リュウナが修司に襲い掛かる。
しかしリュウナが振り回す巨大な鈍器を、修司ば片太刀バサミで一刀両断。それと同時にリュウナの長い首までも斬り落としてしまう。
リュウナの巨体は、山が崩れ落ちる勢いで地面へと倒れ込む。
「もう、やめてください……! 修司……!!」
九本の尻尾を全て切断されながらも立ち上がり、修司に訴えかける
しかし修司はそんな
「ぐはっ、がはっ」
ショットガンの銃弾を全身に浴びる
「……あなたとの思い出、私は……忘れま、せん………………」
修司に斬り捨てられ、
「
この長きに渡る戦い【現政奉還】を起こしたのは、国連総長に推薦された新世代型二次元人である足正義輝である。
だが、この戦いを長期化させ、尚且つ泥沼化させたのは黒武士こと小田原修司でもあった。
しかし小田原修司が何ゆえ此処まで堕落してしまったのか。
それは人間兵器であった自分の代用品として、自分が守ってきた世界がクローンである新世代型二次元人を望む様に至ったからだ。
修司は嘆いた。自分の心を殺してまでも守り抜いてきた世界が欲したのは、破滅を誘う自分の代用品であるクローンだった事に。
そして修司は決意した。自分から生み出されたクローンである新世代型二次元人を、そしてその新世代型二次元人を欲する世界を終わらせる事こそ、世界を混沌にしてしまった自分の最後の贖罪なのだと。
心を失くした修司は、自分自身でもある新世代型二次元人を絶望の淵に叩き落し、そして命を終わらせる事で。そして彼らを望む世界を終焉に導いて、全てを虚無に誘う事こそ己の最後の使命であると自負していた。
己を殺し、心を殺し、最後には世界と自分の複製を終わらせようとする小田原修司。
[残された乙女と古き時代の正義]
全てを虚無という終焉に誘う事こそ己の最後の贖罪と自負する小田原修司。
その修司によって、修司に恋していた五人の獣人、
残された乙女たちは、修司に恋していたバニラ=ミューと彼女を支援する親友のショコラ。そして同じく修司に恋していたエリルに戦う乙女達と共闘する意志を示した中国の女武将イン・ナオコ。
修司は残された四人の乙女達をも無残にも殺めようというのだろうか。
「さあ、早々に終わらせようか。まだ終焉へと……虚無という名の桃源郷に送らねばならない命が数多に存在しているのだからな」
右手に片太刀バサミ、左手にショットガンを武装した修司の静かで重みのある台詞に、生存している戦前の乙女たちに悪寒が走る。既に修司の攻撃で満身創痍のバニラにショコラ、そして途中から参戦したエリルとナオコも同じ状態だった。
次の瞬間、修司は無表情ながらも鬼気迫る眼光で四人へと迫った。
「く、来るぞ! 乙女達、戦闘態勢をとれッ!」
イン・ナオコが他の三人に指示するが、修司は彼女の指示よりも早く動き、そして迫る。
「きゃっ!」
修司が放ったショットガンの散弾がエリルに浴びせられ、それに続いて修司はバニラとショコラへと進撃。
「ッ! いい加減にしろよ、修司……!」
遂に堪忍袋の緒が切れたショコラが、修司に反撃しようとするが、ミラーガールの死の影響か魔力は消滅寸前の為に残量が僅かだった。その為に反撃の魔法が出せずに苦戦を強いられるショコラ。
「ショコラちゃん!」
親友ショコラの危機に堪らず女王バニラも加勢するが。
「笑止……!」
右手で振るう片太刀バサミで攻撃する修司の猛攻に二人は追い詰められる。
「やめろーーーーッ!!」
と、そこにナオコが大剣を前に突き出して修司へと突撃。一気に修司を突き刺そうとするが、修司はこの攻撃を容易く回避しては隙だらけのナオコの背面にショットガンの散弾を浴びせる。
「がッ!」
背中に散弾を浴びて悶絶するナオコ。そんな彼女に修司が片太刀バサミでの追撃を仕掛けるが。
「危ないっ!」
なんとナオコが斬られる寸前で、エリルが修司との間に割り込んでナオコに代わって斬撃を受ける。
「エリル!」
ナオコは自分の身代わりになったエリルを受け止めた。
「エリルよ、何ゆえ私を庇った?」
ナオコが訊ねると、エリルは身体に負った傷を痛感しながらも返答した。
「わ、私たち二次元人は三次元人に生きる喜びを、感動と希望を与える種族。何よりも、三次元人が生きるための活力そのもの……ナオコさん、あなたたち三次元人が前を向いて生きていられる様に守ってあげるのも私たちの大切な役目だもの……!」
「え、エリル……!!」エリルの返答に心が揺さぶられるほど感動を受けるナオコ。
するとエリルは自分を支えてくれるナオコから自力で何とか立ち上がりながら語り明かした。
「そしてそれを教えてくれたのは……二次元人から生きる活力を、生きる力を与えられた修司さん。貴方なんだから!!」
「………………」
自分たち二次元人の使命を説いてくれたのは修司だと豪語するエリルの言葉に、修司本人は無反応。
すると修司は片太刀バサミを逆手に握り締めると、切っ先を地面に突き刺して構え、刃を前へと押し出す様に振るった。
「地走り」
修司の得意とする地面を走る斬撃「地走り」が向かってきて驚愕するエリル。
が「これぐらい!!」と、ナオコが大剣を盾にして地走りを防いだ。
しかしこの地走りは囮で、ナオコが地走りを防御した隙に修司は跳び上がってナオコとエリルへとショットガンの銃口を向けて、銃口から火炎弾を発射。
「うッ!」「きゃっ!」
火炎弾は地面に着弾すると同時に爆発し、ナオコとエリル二人を吹き飛ばした。
辺り一帯を覆う砂煙の中から、地面に倒れ込むナオコとエリルの姿が現れる。
ナオコは動かなかったが、エリルは深手を負う体を辛うじて起き上がらせる。
すると、そんなエリルの目前に修司が立ち尽くし、エリルに問い始めた。
「エリル、かつて俺を……心無き異形の俺を愛してしまった哀れな女よ。確かに俺はかつて……そう、心という虚構を持ってしまった時期にお前達に二次元人と三次元人の関係性を説いた事があった。だが、三次元人いや人間は愚かだ……いくら二次元人から真理を学び説かれようとも、己の醜さに気付かず、同じ過ちを繰り返してしまう。そんな人間を救う事こそ、ただの空想でしかない」
しかしこれに対してエリルは力強く反論した。
「修司さん……! 元悪役だった私達に、自分も愛を欲してたって自分の心境を語ってくれた貴方……最初は何のことか理解できなかったけど、修司さん自身が発達障害で他人からの愛情を感じにくい人間だって知ってから、修司さんが言いたい事がやっと理解できたの。私たち二次元人は、三次元人に愛とは何か、人として何が大切かを説く為だけでなく、生きる力を与える事で三次元人を支える存在なんだって……そう教えてくれた貴方自身が、今こうして悲しみの果てに暴走してしまったのなら、それを全身全霊で止めるのも二次元人である私達の役割でしょ!!」
エリルの力説、だが彼女の力説も修司には届かなかった。
「二次元人、そう……! 俺が望み、俺が求めてしまった救いの希望である二次元人こそ……この世界を混沌という名の深淵へと引きずり込んだ俺と同等の元凶……!!」
そう恨み言を呟いた修司は、次の瞬間地面に倒れてるエリルに向かって必殺技の「地走り」を打ち込んだ。
「エリル!!」「エリルさん!」
ショコラとバニラが名を叫ぶが、悲惨にも修司が放った地走りはエリルに直撃し、彼女は宙を舞う勢いで斬撃に吹き飛ばされてしまう。
「修司、さん……大好き、だよ……」
そう呟いたエリルは静かに息を引き取った。
「え、エリル……!」
そしてこの地走りの衝撃で気絶していたイン・ナオコは目覚め、目の前で宙を舞い最後には息絶えたエリルを目の当たりにして愕然とする。
エリルを亡き者にした直後、修司は次の標的をバニラ女王へと定める。
「バニラ逃げて!」
親友のショコラが叫びかけるが、純粋なる破滅へと進化した修司は、斉木楠雄から会得したテレポーテーションで瞬間移動して忽ちバニラの目前へと迫る。
「!!」
修司が一瞬で目前まで移動した現状に驚愕するバニラ。そんなバニラに修司はショットガンの銃口を眼前に向ける。
修司にショットガンを向けられて辺りは一時ばかし時間が凍り付いた様な錯覚に襲われる。
するとショットガンを向けられたバニラは微かな勇気を振り絞って修司に言った。
「……修司さん、お願い。もう自分を、自分の分身である新世代型の二次元人を苦しめないで」
修司に新世代型を、そして何より自分自身を苦しめ、追い詰めないでほしいと切に願うバニラ。
そんなバニラの切ない心情をぶつけられた修司は、無表情で彼女を見詰めたまま、無情にショットガンの引き金を引いた。
ショットガンの銃声が雄叫びの様に咆哮し、バニラに無数の散弾が浴びせられる。
無数の銃弾を浴びたバニラは力なく、その場に倒れ込んだ。
「……! バニラ……!!」
親友であるバニラが目の前で銃殺されたのを目の当たりにしたショコラは一時頭の中が真っ白になる。
そんな頭の中が真っ白になり混乱するショコラに、修司は顔を向けて告げた。
「親友を殺されて頭の中が真っ白になったか? ショコラ。だが、これはホンの末端よ。そう、道端の小石を蹴飛ばす程度の道中の一端に過ぎん……!」
バニラを殺した事を、道端の小石を蹴飛ばす程度にしか捉えてない修司の言動に、呆然としていたショコラの中で何かが吹っ切れた。
「うわあああああああああああああああああッ!!」
突如、雄叫びに近い絶叫を上げるショコラから、凄まじい魔力のエネルギーが放出され、周辺は騒然とした。
「な、なんだ! これは……!?」
ショコラと共に戦前で戦っているイン・ナオコは突然のショコラの変化に戸惑いを隠せない。
その豹変したショコラを前にした修司は、冷静さを欠けずに落ち着いていた。
「なるほど……オグルの末裔にして実父、氷雪の貴公子グラースから受け継いだ力か。そういう意味ではショコラ、お前も俺の呪われた血を受け継いだ新世代型同様、血縁という呪縛に囚われた哀れな存在だな」
親友バニラを失った悲しみから暴走するショコラを前にしても平然としている修司は、強大な魔力を放出するショコラに怯まず彼女へと一直線に駆け込み、猛進した。
そして一瞬の内に、修司は暴走状態のショコラを斬り捨ててしまう。
「……あ…………」
修司に斬られると同時に暴走していた力が収まったショコラ。だが同時に彼女の命も尽きてしまう。
斬り捨てられたショコラ=メイユールはそのまま前のめりに倒れた。
「ショコラ!!」
遂にショコラまでもやられて、それを目の当たりにしたイン・ナオコは愕然とする。
とうとう修司に恋していた二次元人の乙女たちは全員、修司に返り討ちにあって全滅してしまった。
彼女達と戦う覚悟を決めて戦前に出ていたイン・ナオコは、そんな彼女達を護り切れない自分の非力さを痛感し、落胆する。
と、そんなナオコにも修司は歩みを進ませ、討伐に乗り出す。
だが、その時。「お嬢ちゃん! 落ち込んでいる場合じゃないぞ!!」と、一人の老人がナオコに喝を入れた。
ナオコが振り向くと、そこに居たのはジュピターキッドの祖父であるワイルド・J・プラントと、彼に従属するロビンフッドと怪傑ゾロの通称「オールド・ジャスティス」だった。
「人生諦めたら、そこで全部終わっちまうわい!」
オールド・ジャスティスのリーダーにして聖龍HEADの総参謀ジュピターキッドの祖父ワイルドが啖呵を切ると、それに続けとばかりに両脇の二人も力強く唱える。
「我々は如何なる権力にも……そう、力にも屈しない!」
「人々の自由の為、そして何よりも未来の為! この戦い、負けられない!」
時代の権力者の圧政から弱き人々を救ってきた怪傑ゾロとロビンフットの力強い眼力が修司を捉える。
「……修司。今のお前さんは、いきなり自分に子供が出来て戸惑っている父親同然じゃ。新世代型二次元人という自分の子供の存在を受け入れられず、戸惑い、そして混乱してしまう哀れな父親……じゃが、親というのは確かに簡単そうで難しい。まずは子供である新世代型二次元人と真っ向から向き合い、そしてお互いを受け入れつつ共に生きて行く事こそ大事なんじゃないのか?」
ワイルドから問い掛けられ、修司は無表情で答えた。
「父親、か……だがワイルド。俺は親になる資格もない穢れた存在、欠陥品という命。そんな奴の代用品にして子供でもある新世代型二次元人と俺が、どうやって互いを受け入れつつ認め合えるというんだ? 俺と新世代型は一心同体であれば、同時に表裏一体という歪な関係だというのに……」
「何を言っとるんじゃ!! 修司、お前さんはアッコちゃんと愛し合え、そしてゆくゆくは添い遂げるんじゃなかったのか!! なら、アッコちゃんと子供を授かり、父親としての責務を果たせる筈じゃなかったのか!?」
修司の返答に怒鳴り返すワイルド。そんな彼に修司は死んだ様な無表情で更に返す。
「子供か……俺の呪われた血、呪われた因果を受け継いだ命ほど、残酷で無情な命はないだろう。現に……新世代型がいい例だ。俺の呪われた血を受け継ぎ、更には同種で醜い争いを起こすあいつ等の言動が、俺の醜い面を色濃く受け継いだ何よりの証拠。そして何より、俺が此処まで堕ち果てた因果の表れ」
ワイルドは、最早今の修司に何の訴えも問い掛けも響かないと察して、両脇の二人に指示を出す。
「……もはや、何を言っても心には響かないか……ロビン! ゾロ! 命懸けで修司と刺し違えるぞ!!」
「「!!」」
ワイルドの言葉に、ロビンフッドも怪傑ゾロも無言ながら同意した。
手始めにワイルドが御得意の俊敏な鞭捌きで修司を拘束し、その修司の両脇にロビンフッドと怪傑ゾロが颯爽と挟み込む。そして二人同時に修司へと攻撃しようと踏み込んだ、その瞬間。
「うわッ!」「ッ!」「な……ッ!」
突然修司の全身が凄まじい爆発の衝撃を放ち、同時に攻撃しようと踏み込んだロビンフッドと怪傑ゾロ、そして修司を鞭で拘束してたワイルドは驚き吹き飛ばされてしまう。
「ッ……!」
爆風で吹き飛ばされて後方に転倒してしまったワイルドは尻餅をつき、武器であった鞭は爆発によって持ち手だけを残して跡形もなく消し飛んでしまってた。
修司は枇々木丈の火炎能力を応用し、全身を起爆させてその衝撃で強引に拘束を解いた上で三人を吹き飛ばしたのだ。
自身が起こした爆発によって吹き飛ばされ、地面に転がる三人を前に修司は無表情で冷たい言葉を吐いた。
「正義は価値観。時代背景で簡単に変化してしまう淡い価値観……奴隷制度も魔女狩りも、今なお続くカースト制度も価値観という正義で生み出された穢れたルール。そんな簡単に変化してしまう醜い価値観から生まれた正義なんて、俺には到底理解できない」
更に修司は続けて語る。
「お前達が過去より行ってきた正義も、所詮は悪政に苦しむ民を救済する為に現政権に戦いを挑んだ云わば反乱の様なもの……反乱・革命などは聞こえはいいが所詮、当時の治安や秩序を乱した上で内戦という争いを引き起こす人間のエゴでしかないのだよ」
そんな修司の淡々と語る話を聞いて、ロビンフッドと怪傑ゾロは反論する。
「仮にそうだったとしても! ……権力に虐げられ、苦しむ人々を救済する為に戦ってきた自分の行為を過ちだとは思わない!!」
「確かに反乱や革命は普通の戦争と同じく死傷者も大勢出る。しかし、人間は自分の未来の為、そして何よりも正しい社会の為に自ら発起して困難に立ち向かい、挑まなければならない!!」
最後にワイルドも修司に反論した。
「人とは自らの力と意思で困難という壁と向き合い、そしてその壁を自力で壊して困難を乗り越えなければならない……! 修司、それはあんたも一番……いや、ジュニアやワシら二次元人と出会って解っとる筈じゃろ!!」
三人の英傑の格言を聞き入った修司は、無表情で前方に倒れている三人に返答する。
「……所詮、古き時代の正義など、今の全てを武力で片付け、制裁する国連軍が筆頭になっている「非情の正義」の前では時代遅れの時代錯誤にしかならない……まあ、そんな国連軍に仕立てたのは、二次元人の権限を守る為に、そして何より多くの
そう呟くように言うと、修司は前方に倒れている三人に向かって、右手から出現させた片太刀バサミを地面に突き刺して必殺の「地走り」を繰り出した。
「! お、お前たち逃げろ……!」
ワイルドが仲間のロビンフッドと怪傑ゾロに告げようとした矢先、三人を地走りの斬撃が襲い掛かり、三人はそれぞれ地走りの斬撃で斬られて絶命してしまう。
「ワイルドの爺さん!!」「ワイルド!」「そんな……!!」
戦いを見守っていたフロートにミラール、そして順一は三人の戦死に愕然とした。
凄まじい地を駆ける斬撃で古の英傑たちを葬った修司は、両手を広げて語り出す。
「
愕然とする戦場の生存者たちを前に、修司は語り続けた。
「今、この時全てを終わらせる……そう、戦界創生の幕引きを俺が閉める」
新世代型二次元人にして国連総長 足正義輝が発起した戦界創生を自分が終わらせると告げる修司は、更に淡々と述べた。
「全てを零にし、全てを終わらせて次代の幕開けを宣言した俺のクローン足正義輝。ならば正真正銘、俺が全てを無に誘い、全てを終わらせる……それこそ俺が締め括る時代の終焉、俺の戦界創生そのものだ」
この全てを終わらせると言う修司の宣言に、村田順一は目を見開いて問い返した。
「過去も未来も、そして
順一からの問いかけに、修司は冷淡と返した。
「そうだ。俺のクローンである足正義輝が起こした現政奉還、それを発端に始まった強者たちの戦闘。それを全て終わらせ、命の……思想という私利私欲を生み出す醜悪も全てを真っ白に塗り替え、無に誘う。この世の全てを真っ白に失くす、それが俺の戦界創生だ……!!」
己の戦界創生は、人の私利私欲などの願望を全て虚無へと引きずり込み、この世の全てを真っ白な何もない世界へと塗り替える事だと豪語する修司の言葉に戦場で生き残ってる誰もが愕然とする。
様々な個々の思想が入り乱れる世界。
そんな食い違う思考から争いが絶えないのも、また事実。
個々という色々が入り乱れ、争いが絶えないからこそ、その色という個性を全て無にしようという考えに至った修司。
個性という色合いは、果たして世界にとって必要なものなのか。