聖龍伝説 現政奉還記 破滅の章 作:セイントドラゴン・レジェンド
※私自身もっと作品の出来を良くしたい一心が抑えきれません。そこで、どなたか心優しい方からのコメントや感想など募集しております。
※多くの方々からのコメントや意見を取り入れて、今後はもっと自分らしくながらも誰もが読みやすい作品に仕上げていきたいと志します。今後とも精進していきますので、何卒よろしくお願いします。
※キャラへの勉強が足りない点も多く見られますが、何卒よろしくお願いします。
※多くの版権キャラが死亡するという過激な描写が目立つストーリーでしたが、今回ついにその大どんでん返し&ハッピーエンドです!
遂に小田原修司によって、戦場で挑んだ数多の命が全て絶たれてしまった。
聖龍隊・国連軍・悪党たち。
修司に挑み、抗った多くの猛者たちが死んだ。
そして修司は最後に、存命している自分の子供ともいえる己のクローンである新世代型二次元人たちをも亡き者にしようと構えた。
その矢先の出来事だった。
[立ち阻む風]
(此処は何処だ? 一体いつだ?
修司によって倒されてしまった、ある一人の青年武将が生死の境の中を彷徨っていた。
青年は過去に絶望し、現在を彷徨いながらも聖龍HEADとの出逢いを得て未来への微かな希望を抱いていた。
絶望の中、自分に手を差し伸べてくれた聖龍HEADの温情だけでなく、新世代型二次元人を始めとする多くの二次元人や名立たる武将達との出逢いと成長を得られた青年は自分でも気づかない内に変わってた。
だが、そんな青年もまた他の武将や二次元人たちと同様に「純粋なる破滅」へと進化した小田原修司の手痛い攻撃を浴びて生死の境に彷徨ってしまう。
此処まで自分と繋がりを持ってくれた多くの二次元人たち、共に修司と戦おうと決意してくれた次世代の友である武将達の死を前にしながら、青年は生死の境で再び絶望で目の前が真っ暗闇に戻ろうかとしていた。
その最中、暗闇という生死の境の中で、暗闇の奥から微かな光が灯り始めた。
(……大丈夫、あなたは変われたわ。それこそ昔の修司の様にね)
聞き覚えのある、その声に導かれ、青年は自然と暗闇の中に灯る一筋の光へと手を伸ばしていた。
(さあ、目を覚まして……大丈夫、あなたはもう独りぼっちじゃないわ。沢山の人との繋がりが……温もりという絆が、あなたを強く変えてくれる筈よ)
その慈愛に満ちた優しい声に導かれ、青年は自然と呟いた。
(……聖女、なのか……? でも、貴女はもう既に……)
(安心して。私は例え死んでしまっても、あなたが忘れない限り、心の中でずっと生きていられるんだから!)
暗く湿った曇天の様な心を産まれ付き持っていた青年の心中を温かく照らしてくれる乙女の声に、青年の中に燻っていた気高い意志が目覚め掛けようとしていた。
(あなたはまだ戦える! 決して独りだと思わないで! 本当に修司を救えるのは、あなたしかいないよの……!)
(………………)
(さあ、私もまた一緒に戦ってあげるわ。それまで頑張って修司を止めてちょうだい……カァチェン!)
玉虫色の鎧を装着してる青年は、暗闇の中で優しく温かい声の主である魔鏡聖女が照らす光へと手を伸ばし、聖女の手を取った。
「……さあ、これで解っただろう。俺たち破滅の血族は決して幸せにはなれない、いや幸せになってはいけないんだ……!」
『……………………………………………………………………………………』
「関わった者、触れたものすらも穢し、やがては滅ぼしてしまう俺たち血族の血筋は今ここで完全に絶たねばならないのだ……!!」
時と場所は戻り、全ての戦力を亡き者にした修司は、檻の中に閉じ込めている自分のクローンである新世代型二次元人たちに残Mんこくな現実を説き続けていた。これに対して檻の中で深い絶望と悲しみの渦中にいる新世代型たちは何も言い返さず塞ぎ込む。
「……大丈夫だ。お前らを生かすなんて無粋で残酷な真似はしない。そしてお前達だけを逝かせる事もしない。お前らを完全に片づけた後、帝を……足正義輝を今度こそ俺自身の手で葬った後、俺もお前達と共に地獄に落ちる」
修司は新世代型を生かさずに全員殺め、そして全員を葬った後に手に入れた能力の全てを駆使して足正義輝をも亡き者にした後、己自身も自ら命を絶つと宣言。
「……さあ、眠れ。世界が欲と罪から生み出した俺の子供、俺のクローン……もう苦しむことなく、永遠に眠れ……」
そして修司は片太刀バサミを逆手に持つと、そのまま檻ごと新世代型二次元人の首を切断する構えで抜刀の態勢に入った。
そして修司が抜刀の構えで片太刀バサミを前へと押し出す要領で斬り込んだ、その時。
鋼鉄と鋼鉄が互いに激突する金属音が響き渡り、沈黙してた檻の中の新世代型二次元人たちが静かに顔を上げて修司の方へと目を向けてみると。
自分達が捕らわれている檻の手前、そこで片太刀バサミで斬り込もうとしていた修司の目前に、修司が新世代型を断頭する為の斬撃を自身の得物で受け止めて防ぎ切った一人の青年の姿が見受けられたのだ。
「……お前は……!?」
修司は愕然とした。その青年の姿を目の当たりにして。
既に立ち上がれないほど痛め付けたであろうに、何ゆえに立ち上がり、そして自分の前に立ち塞がっているのか修司は疑問に思う。
「……ぁ……あなたは……」
檻の中から琴浦春香たち新世代型二次元人たちが自分達の前に立って修司からの斬撃を受け止め切った青年を直視して朧気に発する。
「何故、立ち上がれる……! 何故、其処まで俺に歯向かうのだ……! かつての俺と同じ欠けた心を持つしか出来ないでいるお前が何ゆえ、最後まで俺に抗うというのだ……!!」
修司は目の前に立ち塞がる青年を直視したまま名を叫んだ。
「カァチェン!!」
修司の目の前に立ち塞がり、新世代型二次元人たちを守った青年、台湾将軍であるシバ・カァチェンはただ真っ直ぐに修司を見詰めていた。
「……カァチェン?」「カァチェンさん……?」
自分達を死守してくれたカァチェンの存在に、檻の中で虚ろだった新世代型二次元人たちの目には微かながらに光が戻り始めていた。
「カァチェンよ、何ゆえ抗う? 既にお前以外の命は、この戦場には残っていない」
「………………………………」
「あとは、俺の忌まわしき血を受け継いだ穢れた命たる新世代型二次元人共を葬り去れば、俺の第一の終焉は終わりを迎え、そして始まりを告げる」
「………………………………」
「それなのに……何故、お前は最後まで俺に抗い、挑もうとする。もう取り戻せる命も、失った時間を巻き戻す術も無いというのに……」
「………………………………!」
「何故! 俺という絶望に抗い続ける!! カァチェン!!」
互いに対峙する修司とカァチェン。修司は黙然と見据えてくるカァチェンに静かながらも昂りながら問答をぶつける。
するとカァチェンは静かに口を開いて話し出した。
「……聖女殿が……ミラーガールが申してくれたのです……」
「聖女……アッコが?」
「はい。ミラーガールは私は生死の境を彷徨っている中、相も変わらず優しく語り掛けてくれました……私は変われたのだと」
「変われた、か。だが、それがどうした」
「ミラーガールは申したのです。例え自分が死んだとしても、私が……今を生きている者が忘れない限り、その者の心の中に生き続けられるのだと……!」
「……そうだな、それは否定しない。だが、心の中で存在しているだけでは、現実を変える事はできない。結局死んでしまい、心の中の存在だけになり果ててしまえば、何も出来ずに何も抗えない、ただの無力な存在に成り下がるだけの事」
「いいえ! ミラーガールは……死んでいった大勢の同志達の思いは……そして意志は! 私の中で、私自身を変えてくれる力として存在してくれているのです。決して無力な存在に成り果てているのでは無いのです!!」
「……ほう、死んだ者がお前に陰ながら加勢してくれるという訳なのか。その力で俺を殺せると、また下らぬ理想を夢見ているのか?」
「それは違います!
「それで、その夢や希望とやらで俺と戦おうという訳か。喜劇や茶番も此処まで来ると笑えないな」
「それでも……! 私は二次元人から与えられた希望を夢見て最後まで……最後まで貴方と戦い、抗って見せます……!
「俺を目指している、か……フッ、確かに俺も昔は……アッコたち二次元人に出会う前は今のお前の様だった。希望など抱けず、未来への夢も持てず、孤独だった……」
「………………………………」
「……だが! 何度も言っている筈だ! この混沌とした世界では、夢や希望を抱く事こそ過ちであり、大罪なのだ! 今の夢や希望を抱いてしまったお前が俺に勝つ事も、また同罪でしかないのだよ……!!」
「罪なら、喜んで背負いましょう!
対話する修司とカァチェンは、そのまま新世代型二次元人達が見ている前で、今まさに激突しようと身構える。
そんな情景を目前にした新世代型たちが唖然としている中、カァチェンは静かに後ろへ振り返り、新世代型達に告げた。
「皆様方」『!!』
「皆様方、どうか最後まで目を背けず観ていて下さい……このシバ・カァチェン、一世一代の大博打を……!」
力強いカァチェンの発言に驚かされる新世代型たち。
そして最後にカァチェンは遺言を残す様に新世代型たちに言った。
「私は、アッコ殿やバーンズ達と同じく……皆様と御友人になられて、嬉しかったです」
そう言うとカァチェンは得物である
『カァチェーーン……!!』『カァチェンさーーん……!』
檻の中から新世代型たちが挙ってカァチェンの名を叫ぶ。
「フッ、まあいい……来るがいい、かつての俺と同じ虚無の……虚ろなる者よ」
「違う! 私は虚無でも無ければ虚ろでもない!」
修司に強く反論するカァチェンは、静かながらも荒ぶる言動で修司に返した。
「私は、シバ・カァチェンだ……! 誰が何と言おうと……私はシバ・カァチェンなんだ……! 欠けた心を持っている武将ではない、シバ・カァチェンなんだ!!」
二次元人から心を与えられた武将シバ・カァチェン。
二次元人から貰い受けた心を捨てた小田原修司。
二次元人から影響された二人が、今まさに決着をつけようと戦い始める。
[悲しみを優しさに]
いざ修司と戦う覚悟を決めて、修司と対峙するカァチェン。
だが修司からの凄まじい覇気を前にして、言い知れぬ恐怖を感じて思わず過呼吸になってしまう。
するとその時。
「頑張れカァチェン!」「行ってこい! 俺達が見ているぞ……!」
と、背後から檻の中の新世代型二次元人たちがカァチェンに声援を送る。
カァチェンはゆっくりゆっくり前へと歩み出し、修司に詰め寄った。
「さあ、来いカァチェン……! お前も直に死という安寧へと誘おうぞ」
「最早私は貴方に恐怖する欠落した者ではない……! 絶対無二の鬼神に挑む、ただ一人の男だッ!」
修司との激しい戦いが幕を開け、始まると双方は互いの得物で火花を散らし始める。
「今、この時に何を求める……亡き聖女か、俺の鬼神たる神の名か?」
「最早それらを求める気はない……ただ一つ、
聖龍HEADであるバーンズやアッコ達から導かれたカァチェンの瞳には、昔の頃の弱く欠けた心ではなく、気高く強い意志が映し出されている事実に修司は気付かされる。
現政奉還が始まる前とは打って変わったカァチェンの様子に激しく動揺し怯む修司だが、それでも修司は片太刀バサミで激しくカァチェンと鍔迫り合いを交わらせながら何度も技を交差させた。
時おりカァチェンは純粋なる破滅へと進化した修司の鬼気に押されて戸惑う場面もあったが、そんなカァチェンに檻の中の新世代型二次元人達は声援を送って励ました。
「行け、カァチェン……お前の光を手にして見せろ」
そんな新世代型二次元人の声援を受けて、カァチェンはか細い勇気を振り絞って修司に挑み続ける。
「苦悶の螺旋よ……!」
カァチェンが編み出す
「す、スゲェ……! カァチェンの技は前から見て来たけど、斬撃とか綺麗な幾何学模様からの攻撃が一段と強みを増している……!」
「何よりも、カァチェンの技のどれもが、今までどんな戦士も深手や痛みを与えられなかった小田原修司に微かながらも確実にダメージを与えているのが不思議だ……!」
檻の中から新世代型の瀬名アラタや星原ヒカルたちは、カァチェンの技の数々が修司に痛覚を与えている現状に驚かされてた。
一方の修司はカァチェンの技で傷や痛みを与えられる中で、果敢にカァチェンと剣戟を交わらせる。
「俺に勝って、今までの悲劇を無かった事に出来るつもりか!? 否、この世に安らぎなど最早ない……!!」
「安らげるとも良い……この身で歩める世界であれば!」
「笑わせるな! この、過去の俺よ……!!」
修司はいつの間にかカァチェンを過去の自分自身と反映させていた。
そんな過去の自分と重ねる修司は、カァチェンを完全に亡き者にした直後に今度こそ新世代型二次元人たちの首を刎ねてみせる意気込みで猛進し続ける。
「くッ……! 何故だ。何故……俺がこんな弱小者に……! 過去の俺に怯んでいる!!」
苛立ちが募る修司は、カァチェンに向けて最大火力の「地走り」を繰り出して攻撃。
だがカァチェンはそれを的確に右に左にへと回避して、修司と距離を詰める。
「ッ!」
カァチェンに距離を詰められる修司は、カァチェンを遠ざける為に左手のショットガンを連射。だがカァチェンは
「いいぞカァチェン!」
「カァチェン、お前こそ俺たちにとって最後の希望だ……!」
「希望、この私が……?」
新世代型の井ノ原真人やジェイク・ミューラーの言葉に、カァチェンは戸惑ってしまう。
勇猛果敢に
「カァチェン、そんなに焦らなくても大丈夫! 僕たちにも伝わってる……小田原修司は着実に、今の君に動揺している!!」
「急くなよ、カァチェン。お前の勇姿、俺達がしっかりと見届けてやる!」
斉木楠雄や燃堂力の声援に応えるよう、カァチェンは
「行けカァチェン! そこだ! 斬れーーッ!」
「わぁーー! スゴイスゴイ! 何だかあっという間に形勢逆転だね!!」
檻の中から纏流子と満艦飾マコがカァチェンの戦いぶりに興奮していた。
そんな中、カァチェンは未だに修司から感じられる鬼気に身震いしてしまってた。
「情けないな……こうして走っているだけでも、震えが滲み出てくる……」
「……それが生きてるって事だ、恥じる必要ない」
身震いするカァチェンに、鬼龍院皐月が気高い面差しでカァチェンを励ます。
そんな中、修司は遂にカァチェンに対して防戦一方な戦況へと追い込まれていた。
「凄いぜ……! まさかあの小田原修司を追い込んじまうとは!」
「あの気弱なカァチェンさんが此処まで戦えるようになったなんて……!」
「素晴らしい成長……いえ、変化を得られたようね、カァチェン」
カァチェンの成長という変化に、幸平創真や田所恵そして薙切えりなは感動した。
「凄いスゴーーイ! カァチェンかっこいいよ!」
「おやおや、人は此処まで変われるものなんですね」
檻の中から野々原ゆずこに松本頼子たちはカァチェンに声援を送り続ける。
「人は変われる、成長できる……! そうか、バーンズさんが言ってた「二次元人は三次元人を変える力を持ってる」って……」
「ええ、この事だったのね……」
カァチェンの変わり振りにイオリ・セイとイオリ・リン子親子はかつてバーンズが説いてた話を思い出して感涙していた。
「カァチェンさん、私たち新世代型二次元人の為に……!」
「うん、命を賭けて修司さんと戦ってくれてる……!」
修司と死闘を繰り広げるカァチェンの勇姿に、月影ちありに彩瀬なる達は嬉しさで胸がいっぱいだった。
「私の結晶化の能力を得て強化された小田原修司を相手に戦うなんて……」
「無謀だけど、どこか勇気を感じずにはいられないね」
栗山未来も神原秋人もカァチェンの勇気を確かに感じ取っていた。
「頑張れ頑張れーー! カァチェン、その調子ーーっ」
さっきまでの暗く絶望していた表情とは打って変わり、笑顔でカァチェンを応援する新世代型二次元人の一条蛍。
「カァチェンさん、しっかり!」
「そこやーーッ、斬って斬って斬りまくれーーッ!」
修司と激戦するカァチェンに小野田坂道も鳴子章吉たち【弱虫ペダル】の面々も声援を送り続ける。
「カァチェンさーーん、最後まで諦めないで!」
「アキラメタラ、そこでオワリでーーす!」
大宮忍もアリス・カータレットもカァチェンに声援を明言して送る。
「カァチェン……ここぞって時に変われたな」
「ホントね……この勇姿を、バーンズさんやアッコさん達に見せてあげたかった」
変われたカァチェンを前に、その勇姿を今は亡き聖龍隊の面々に見せたかったと切なくなるレドとエイミー。
「……だが、なんで俺たちマギウスの不死能力をも得た小田原修司にあそこまでダメージを与えられるんだ?」
「確かに……不思議だ」
明らかに動揺している修司が追い込まれている戦況に、マギウスである時縞ハルトやエルエルフ達は首を傾げる。
「凄い斬撃だ……! 幾何学模様の斬撃が小田原修司を確実に追い込んでいる……!!」
「凄いっすカァチェン! まさかボクたちの能力を吸収した小田原修司相手に此処までやり合えるなんて」
カァチェンの卓越した剣術に加納真一も一ノ瀬はじめも驚きを隠せなかった。
そんな戦況下で、修司は自分のクローンである新世代型二次元人達の心中に希望が戻っていく様に怒りを露わにした。
「ッ……!! 俺のクローン如きが……俺の呪われた血を受け継いだ穢れた種が、のうのうと希望を抱くんじゃねェーーーーッ!!」
その瞬間、修司の体から凄まじい覇気が放たれて、対峙していたカァチェンも檻の中の新世代型二次元人たちも怯んでしまう。
修司が怒りの波動を発する中、カァチェンは以前の自分が、いや今でも微かな憧れを向けている修司を直視して直向きに想う。
「貴方は今の私を見て、どう思われるだろうか……? あの日のような失望だけは……もう、見たくない……!」
カァチェンは過去、修司に未だ微かな憧憬を向けていた。
一方で修司は増々自分と渡り合っているカァチェンの気迫に激しく動揺していた。
(
修司は互角に渡り合っているカァチェンを過去の自分と重ねていた。
全てを終焉に導き全てに終止符を打とうとする修司の前に立ちはだかるのは、皮肉にも
[甦る慈しみ]
二次元人から心を与えられながらも自分のクローンの存在に絶望し、全てを終わらせようとする小田原修司。
二次元人から生きる喜びと希望を与えられたが故に、絶望犇めく現実の中で懸命に戦い続けるシバ・カァチェン。
皮肉にも、この二人は互いに相手を過去と未来の己自身と重ねていた。
修司にとっては過去の心を与えられた自分に、カァチェンにとっては未来の生きる活力に漲る夢の様な自分に。
そして今、この二人の男は互いの意志と意志をぶつけながら激突し合っているのだった。
瞳に生気を取り戻し、弱気で常に奥手に振るってたカァチェンが今では勝気に攻め続けている戦況に、修司は勝ち急いで思わず片太刀バサミを二刀流で扱って対戦していた。
「カァチェン、お前は俺だ。過去の幻の如き、夢や希望に振り回されて現実が見えなくなっている俺自身だ! 俺に勝つ事はもちろん、今さら全てを取り戻せるという下らぬ希望を抱いて……ちっぽけな望みで周りが見えなくなっているだけだ!!」
「私は……! 今の私が見据えるべき視点はただ一つ……! 勝利をもぎ取るべき相手……そう、貴方だけです!」
修司が振るう二対の片太刀バサミを、カァチェンは
全てを真っ白に塗り替えようとした小田原修司。
真っ新な現実の中で未来を勝ち取ろうと奮闘するシバ・カァチェン。
誰もが野望を勝ち得ようとした乱世の中で、多くの人々と知り合い、手を結び、繋がりを得てきたカァチェンは、心の中に煌めきにも近い熱情を抱けるようになった。
そんなカァチェンを、かつて世界の怠惰を嫌った為に二次元界と三次元界を融合させて世界を混沌に誘った小田原修司が果敢に攻める。
二人の得物と得物が激しくぶつかり合う鮮烈が戦いを見守る新世代型二次元人たちの視界を強く染め上げる。
この真っ新な世界に解き放たれた二つの煌めき。
野望見がちな野心家の武将達が明日の風を変えようと懸命に抗った歴史の末端で激しくぶつかり合う修司とカァチェン。
野心家な武将達も、修司もカァチェンも、枯れない無垢な花の如く。
攻め合う真剣勝負の向こうに、別の世界の自分が視える。
独り荒野に立ち尽くし、眸を拓かせる未来を夢見たカァチェンが得られた忘れ得ぬ絆が、その思いを引き継いで夜明けを招く為に今を戦い続ける。
何もない時代、何もない世界でもいい。何度でも始めればいい。
二次元人によって導かれた魂を胸に、カァチェンは二次元人の思いと共に、臨むがまま全てを賭ける。
「なぜ未だに抗う……何ゆえ、未だに戦えるんだ」
「希望があるから……私は戦えるのです」
「ハッ、笑止! 希望という、あやふやなモノで俺に挑むとは片腹痛いわ!!」
より一層、修司が振るう片太刀バサミとカァチェンの
そんな二人の激闘を近くで見守っている新世代型二次元人達は、カァチェンの微かな変化に気付いてしまう。
「……なんか、カァチェンの動きおかしくない?」
新世代型のエイミーがそう発すると、超能力者でもある斉木楠雄が答えた。
「いくらカァチェンの方が有利に事が進んでいるとはいえ、あの小田原修司を相手に体力が消耗しない訳が無い! 小田原修司の方はマギウスなどから得た不死性に再生能力を有する肉体の効果で、体力いやスタミナが底なしだ。長期戦はカァチェンには不利だ!」
「マジかよ斉木!? このままじゃカァチェンさん他のみんなと同様に、小田原修司に殺されちまうよ!」
斉木の説明を聞いて親友である新世代型の燃堂力が不安がる。
そんな戦況下で、カァチェンは果敢に修司に攻め続け、一方の修司はカァチェンからの攻撃を受け止めつつ攻めながらも何処か何かを感じていた。
新世代型二次元人達でも修司との戦いで長期戦は不利だと認識する一方、カァチェンは迷う事無くただ我武者羅に修司に攻め続けてた。
するとカァチェンと修司が激しく戦っている最中、戦場に放置されている無数の死体にある変化が。
「……? なんだろう、あの青い光……?」
新世代型の琴浦春香が、戦場に散らばる無数の死体からポツポツと浮遊する蒼い光に気付く。
ミラーガールはもちろん、メタルバードたち聖龍HEADやその他の無数の死体から現れる光に不思議な魅力を感じる一同。
するとその蒼い光は同じ檻の中で絶命したチョコやギュービッドたちプロト世代やバギーの死体からも現れる。
「なんだ? この光は……」
新世代型の瀬名アラタが不思議な面持ちで光を凝視する。
そんな中、遂に今まで猛攻を許していた修司がカァチェンに反撃して形勢逆転してしまう。
「うッ……!」
修司からの反撃を受けて転倒してしまうカァチェン。
「カァチェン!」「カァチェンさん!」
転倒するカァチェンを見て檻の中の新世代型二次元人たちは激しく動揺する。
「今度こそ終わらせてやるんだ……! この世全ての苦しみを……悲しみを断つ!!」
そう言うと修司は右手の片太刀バサミを振り上げて、カァチェンの頭蓋を叩き切ろうと振り下ろした。
と、その時。
片太刀バサミを振り下ろそうとした瞬間、修司に円盤状の物体が飛んできてカァチェンへの攻撃が阻害された。
皆が飛んできた円盤状の物体を目で追うと、その物体はブーメランの様に遠投した人物へと帰っていった。
「……!! え……っ!!」
檻の中の新世代型二次元人達はその人物を認識すると驚愕すると同時に感動で目から涙が自然と零れた。
「………………!!」
そしてカァチェンもまた同じく、その人物を凝視して我が目を疑った。
その人物は投げ付けた装備を左手に填めると、素早くカァチェンの前へと移動して修司と対峙する。
修司はその人物を目の前にして、一瞬激しく動揺した表情を浮かべた直後、全てを察したかのように語り始めた。
「この俺に、微かでも脅威を感じさせる者は多くはない……」
修司はその人物に脅威を感じ取っていた。
「だからこそ……カァチェンの中で滾る希望が、お前の存在を復活させる事は容易に想像できた……」
その人物はカァチェンを変えた希望によって復活したのだと修司は予測していた為に、修司はカァチェンとの勝負を急いでいた。
「何度も何度も……お前は何度、俺の邪魔をすれば気が済む……!」
今までの虚無な表情から一変、カァチェンの変化から始まり現在の目の前の人物の復活を目前にして完全に心境の変化が表情に出ている修司は、その人物の名を口にした。
「魔鏡聖女……ミラーガール……!」
死の底から甦り、今再びカァチェンを支える為に、そして閉ざされた未来を取り戻すべく修司の前に立ちはだかる乙女こそ、二次元界で全ての願望の根源である魔鏡聖女ミラーガールだった。
「ミラー、ガール……!!」
カァチェンは先に戦死したミラーガールが目の前に立っている現実に驚きを隠せなかった。
「ミラーガール……!」「アッコさん……!」
それは檻の中の新世代型二次元人たちも同じであり、中には感激のあまり涙を流す者までも居た。
「ミラーガール、貴女……」
カァチェンがミラーガールに話し掛けようとすると、彼女は鋭い目つきでカァチェンに言った。
「カァチェン! ……よく頑張ったわね」
「………………!」
「今は目の前の修司に集中しましょう! 私達でこの悲しみしかない戦いを終わらせるのよ!」
ミラーガールの言葉に揺れ動かされ、カァチェンはミラーガールと共に目の前の修司と対峙する。
「何かが……起こったようだな……お前にも、カァチェンにも……!」
ミラーガールの復活を前にして二人を鋭い眼光で睨み付ける修司に、ミラーガールが説いた。
「カァチェンの諦めない心が……そう、希望を持てたカァチェンの意志が私を甦らせてくれたの。修司……かつての貴方の様に、心を持てたカァチェンが現実を変えてくれたの!」
ミラーガールの説明を聞いた修司は、目を細くすると目前の二人を捉えて冷淡に告げた。
「だが、結局は何も変わらない。お前達では俺を倒せない。俺はクローンである新世代型二次元人の力を吸収して己のものとした。そんな俺を倒せるとでも、本気で思っているのか」
修司の返答を聞いたミラーガールは、強い口調で修司に言い返した。
「それは違うわ! ……倒すんじゃない、救うために私たちは戦うのよ」
ミラーガールの慈愛に満ちた優しい言葉に、修司は軽く動揺しながらも反論する。
「……笑わせるな。所詮カァチェンが得られた心も、俺と等しく同じ欠けた……欠陥品の心。欠陥品は欠陥品でしかない」
「「………………」」
「カァチェン、お前が感じている優越感も温もりも……全てはまやかしだ! 俺たち欠陥品に心は得られないのだ! 所詮、産まれた時から孤独に囚われ続ける宿命なのだ……!」
だが、この修司の発言にミラーガールは強く言い切った。
「誰も………………独りにはさせない!」
シバ・カァチェンも新世代型二次元人も、誰も独りぼっちにはさせない。聖女の強い願望の表れだった。
悩みながらも戦い続ける。それが魔鏡聖女の宿命。
その苦悩の先に希望が、理想があると信じて戦い続ける。
魔鏡聖女ミラーガールと、孤独に囚われていた欠けた心を持つシバ・カァチェン。
二人と「純粋なる破滅」に進化した小田原修司の戦いが、いま決着をつけようとしていた。
[揺れ動く感情(こころ)]
新世代型二次元人の生体エネルギーを吸収して彼らの能力を手に入れて、ほぼ不死の肉体を得た「純粋なる破滅」小田原修司。
そんな修司に抗う最後の希望は、他でもない修司と同じく欠けた心を持つシバ・カァチェンだった。
そしてカァチェンの諦めない意志と微かに抱く希望が、修司によって葬られた加賀美あつこことミラーガールを甦らせた。
今、カァチェンとミラーガールの二人が「純粋なる破滅」に進化した小田原修司と決着をつける。
先に動いたのは勝ち急いだ修司だった。修司はカァチェンとミラーガールに向かって襲い掛かる。
しかしカァチェンとミラーガールも修司と同時に動き、一直線に修司へと進撃。
修司が振るう二対の片太刀バサミをカァチェンが
逸早く修司は後方に退いてミラーガールの斬撃を回避するが、そこにカァチェンが
「ッ!!」
激しく動揺する顔面を斬り付けられて驚愕する修司の切り傷は最初のころと比べると遥かに再生力が遅れていた。
それからもカァチェンとミラーガールは息の合った連携で修司を幾度も追い詰める。
修司も動揺しながらも懸命にカァチェンとミラーガールに立ち向かうが、戸惑い動揺している修司の刃は二人に当たる事は困難であり、修司の攻撃が外れる度にカァチェンとミラーガールの攻撃が修司に直撃する。
(何なんだ、コイツらは……! 何故……突然ここまで……!!)
修司は苛立ちながらも激しく戸惑い動揺した。カァチェンだけの時は互角だったのが、ミラーガールと共闘してからは自分を凌駕する勢いで攻め続ける二人に修司は衝撃を受けていた。
しかし修司も諦めが悪かった。
「……だが! アッコ……カァチェン……如何にお前らが諦めまいと、もがき続けようと……俺は新世代型から不死の力も得た、永久なる存在! お前らが最後まで抵抗しようと、俺には届かん!」
だが、この修司の強気の発言に対してミラーガールがこれまた強く言い返した。
「それでもいい! 最初に伸ばした手が届かなければ、また何度でも手を伸ばせばいいだけだもの」
「!!」
ミラーガールの返事を受けて、修司はミラーガールが未だに自分を救う為に戦っている事を悟る。
カァチェンの
「良いだろう……これが最後の戦いだ!!」
修司は自分の血を結晶化させた上で自身の闇の力を練り込んで生成した無数の手裏剣などの飛び道具を二人に向けて放つ。カァチェンとミラーガールはそれぞれ素早く動いて回避運動に入る。
「逃がさないぞ!!」
修司は回避しようとする二人を逃さない様に、左手から闇の引力を出現させ二人を強引に引き寄せて無数の飛び道具に直撃させようと図る。
修司の闇の引力に引き寄せられた二人だったが、カァチェンは
「ッ!」
二人に無数の飛び道具が当たらなかった経緯に口元を歪ませて悔しがる修司。
「「はァッ!」」
修司からの攻撃全てを防いだ直後、
「ぐはッ」
二人の突撃は修司の腹部正面に直撃し、修司はこれでもかと悶絶した。
(こいつら……なんで急に戦闘力が上がっているんだ?)
修司は突然攻撃力などの戦闘力が上昇しているカァチェンとミラーガールの二人に激しく戸惑う。
そんな修司にミラーガールが呼びかける。
「一人の力は弱いかもしれない……けれど、二人の力を合わせれば何倍もの力を発揮できる! それが人との繋がり、縁だって修司も知っている筈よ!」
そんな綺麗事を呼びかけるミラーガールと、彼女と共闘するカァチェンを睨んで修司は返答する。
「なら……一緒に死んでやるのも縁という奴だろ?」
修司は左手の平から無数の黒い球体を生み出し、その無数の球体をカァチェンとミラーガールに向けて飛ばした。
無数の球体は二人の周囲を飛び回り、そして野球ボール程の大きさを持つ球体は的確にカァチェンとミラーガールの身体に連続で直撃して二人を苦しませる。
「うッ……!」「っ……!」
連続で身体の各所を打ち付けていく球体の攻撃を浴びて悶絶する二人に、修司は追撃の地走りを打ち込んでお見舞いする。
だが此処でミラーガールが自分の身体に打ち込まれる球体全てを盾で弾き返した直後、自分達に向かってくる地走りを盾で防いだ。
更にミラーガールは盾をブーメランの様に投げて、カァチェンの周囲を飛び交う球体をも全て弾いて消滅させる。
黒い球体全てを消した二人は、再び修司へと攻め立てる。
そんな攻勢に立つ二人に、修司は唱え掛けた。
「お前達の言う平和など、所詮は仮初のものでしかない!!」
「「………………!」」
「真なる平和は夢や希望、願望のない世界にこそある! すなわち虚無の世界こそ平和を叶える手段なんだ!!」
願望無き虚無の世界こそ真の平和だと唱える修司に、ミラーガールが強く反論する。
「夢のない世界なんて虚しく寂しいだけよ! 人は夢という目標、生きる希望があるからこそ無限の未来を築ける……それこそが現実なのよ!」
「その現実を全て真っ白な虚無へと誘い、争いのない世界を創る……それを理解しないと言うのか!!」
「違う! 虚無な世界は争い合う世界よりも虚しく、悲しい世界なのよ……!」
激しく言い合う修司とミラーガールだが、その間もカァチェンとミラーガールの猛攻は修司を襲う。
「くっ……なんなんだ……お前達は……なぜ恐れる事なく俺と対等に戦える……!」
激戦の中で問いかける修司に、ミラーガールが答える。
「簡単な事よ……カァチェンと……昔の貴方にそっくりな彼が一緒だから恐れなんて薄らぐのよ!」
ミラーガールに続きカァチェンも修司に投げ掛ける。
「私もです……! 聖女が……ミラーガールが一緒に戦ってくれる。これだけの事で、人は勇気を持てるのです!」
「ッ……! 人間が……脆く、醜く、そして何より弱い人間風情がッッ!!」
ミラーガールとカァチェンの力強い台詞に修司は苛立ち、更に片太刀バサミを握り締めて振り翳す。
「アッコ……カァチェン……お前達を倒せば……俺に抗い続けるお前達を始末すれば……本当の理想郷が……」
争いも、その争いの元凶たる願望も無い理想郷を創り出す為にもミラーガールとカァチェンを亡き者にしようとする修司に、ミラーガールが優しく語り掛ける。
「……修司。それが本当にあなたが追い求めてた理想なの?」
「!!」
ミラーガールから問われて愕然とする修司は、一瞬戸惑いながらもすぐに返答する。
「……そうだ! 争いを無くす為には、その元凶たる願望を完全に失くさなければならない! アッコ、二次元人の願望の原点であるお前は平和の為に……消えなきゃならないんだよ……!!」
これに対してミラーガールは迷いない面魂で答えた。
「確かに……夢などの願望は争いを生み、悲劇だって生み出しちゃう。けれど! 夢や希望がある世界の美しさを私は知っている! 修司、貴方だって本当は気付いている筈! だからこそ私は、最後まで諦めない……!」
ミラーガールと彼女と共闘するカァチェンは、更に力を込めて修司に武器を振るい攻め続ける。
聖龍剣と
苛立った修司は勝負を焦り出し、ミラーガールとカァチェンに向けて特大の地走りを打ち込んだ。
「……この俺が……純粋なる破滅へと進化した俺が……負ける訳にはいかないんだ!!」
争い無き世界。それを実現する為にもミラーガールとカァチェンを葬らねばならないと踏んだ修司は、二人に特大の地走りを放った。
巨大な地を駆ける斬撃がミラーガールとカァチェンに襲い掛かる。それを間近で見ていた檻の中の新世代型二次元人たちも愕然とする。
だが、二人は焦らず、最初にミラーガールが盾から巨大な光の壁を現出させて特大の地走りを受け止めて防ぎ切る。その直後、今度はカァチェンが跳び上がって
「ぐはッ」
無数の斬撃を浴びて後方へと吹き飛ばされる修司。
「はぁ、はぁ……」
ミラーガールとカァチェンの猛攻を浴び続けて、戦意が消耗し始める修司は肩から呼吸する。
そんな消耗し出す修司は、前方のミラーガールとカァチェンを見据えて二人に言い放った。
「……はぁ……俺が……この俺が……呪われた血筋の、クローンの力を吸収して人間を捨てた俺が……過去の、弱い俺に……弱い俺を信じる女に……負けるはずが………………無いんだ!!」
戦いは一気に形勢逆転。
互いに息を合わせて連携するミラーガールとカァチェン。その二人に抗う小田原修司。
三人の激戦は未だに終わらぬものの、有利不利は明白。
そんな中、ミラーガールが復活する前から希望の蒼い光に包まれる無数の死体に変化が現れている事に、修司は気付いていなかった。
[生き返る縁]
シバ・カァチェンに続き、カァチェンの抱いた希望によって復活を遂げたミラーガールの加勢も相まって、戦いは完全に形勢逆転してた。
純粋なる破滅へ進化した小田原修司も、心を得たカァチェンと二次元人の願望の根源であるミラーガールの二人に苦戦を強いられる。
激しい攻防が展開される戦いを、檻の中から修司のクローンである新世代型二次元人達は固唾を飲んで見守るのだった。
攻防が織り成す激戦の中、カァチェンとミラーガールに苦戦を強いられる修司は激戦を繰り広げる中、自分と戦う二人に改めて問い掛ける。
「アッコ、カァチェン……! 人類の進歩、そう進化は多くの犠牲を払い、そして命を奪い続ける云わば業だ。その負の連鎖を完全に断ち切るために……その連鎖を生み出す三次元人も、その三次元人を導く無限の可能性を持つ二次元人の系譜も、純粋な破滅へと進化した俺自身が消滅させなきゃならないんだ!!」
この修司の問い掛けに対してミラーガールは答えた。
「……私の存在が、私自身が……多くの人の夢や願望の根源であり、同時に争いの元凶であるならば……修司、貴方は私を消す必要は無いわ! 私は、私自身が持つ宿命と向き合いながら未来へと生き続ける! そして最後には、その罪を背負って潔く果てるわ……!」
「……! 争いの元凶として、夢や願望の根源として……死ぬ最後の時まで、その宿命を背負って生き続けるというのか? そんな業、お前が背負い切れる訳が……」
「背負って見せる! 修司が、私たち二次元人を護る為に多くの罪を、業を背負ってくれた様に……私は、二次元人の始祖の一人として生き続ける!」
「……!!」
ミラーガールの力強い返答に、修司は何も言い返せなくなってしまう。
するとその時、戦場に無数に散らばる死体や残骸から謎の蒼い光がポツポツ現れていると、修司の攻撃で全滅したSRM(聖龍ロボットメンバーズ)の残骸が、なんと元の人型のロボットへと復元し出したのだ。
「!! え、SRMのロボットの残骸が……!?」
「も、元通りになっていく!?」
「ま、まるで時間が巻き戻っているみたいに……!」
檻の中からその情景を遠視して目撃した新世代型二次元人のイオリ・セイや猿田学そして橘清音たちは理解できず軽く混乱してしまう。
そんな新世代型二次元人達の声に反応し、修司たち激戦を繰り広げている三人も戦いながら戦場の遠方、SRMの残骸が無残に散らばる戦場に目を向けると確かにガンダムなどのスーパーロボット達が元通りになっていくのが視認できた。
「これは……!! 一体どういう事だ……!?」
完全に破壊して操縦者ごと始末した筈のスーパーロボットが次第に元通りに復元していく様に修司は混乱する。
そして完全にスーパーロボット達が元通りになったと同時に、機体から声がした。
「う、う~~ん………………あ、アレ? どうなったんだっけ?」
「あれ、おかしい。確か俺たち……」
「小田原修司の攻撃で完全にくたばった筈じゃ……」
なんと修司に破壊され、惨殺された筈の鋼鉄ジーグに旋風寺舞人それに流竜馬の声が聞こえてきた。
「じ、ジーグさん!!」「舞人さん……!」「竜馬……生き返ったッ!」
三人が息を吹き返した現実に涙を流して感激する直枝理樹に瀬名アラタそして時縞ハルトたち新世代型二次元人。
「生き返った……? まさか、あり得ん……!!」
確かに自分の手で葬った筈の過去の仲間達の復活を目の当たりにして激しく動揺する修司。
だが、生き返ったのは三人だけではなかった。
「う~~ん……」「こ、ここは……?」「私は、死んだ筈じゃ……」「……! 私たち、生きてるのか……!?」
ジロン・アモス、レントン・サーストン、タカヤ・ノリコ、ロジャー・スミスまでも目覚めた。
「お、おい? オレ、なんで生きてるんだ? 死んだと思ったんだが……」
「シモンさーーんっ!!」『わあっ!!』
同じガイナックスファミリーのシモンが生き返った現実に、纏流子たち【キルラキル】メンバーは涙目で感動して騒ぐ。
「い、生きてる? いや、生き返ったと言った方が正しいか……」
「アイザックさん!」「アイザック・ゴドノフ!!」
甦ったアイザック・ゴドノフにエイミーもレドも大いに喜んだ。
「機体も……ガンダムも完全に直ってる!」
「ウソだろ……!? 俺達だけでなくガンダムまでも……」
「キラさん、アスランさん……っ!」
自分達の機体までも元通りになった現実に不思議がるキラ・カガリとアスラン・ザラだが、そんな二人の元気な声に新世代型のアイラ・ユルキアイネンは感涙する。
「一体なにが……私たちSRMを甦らせたの?」
SRMの総司令官であり、あのガイア・スコーピオンの姉貴分である女性マリネは、何が自分達を甦らせたのが不思議に思った。
だがマリネが不思議に思う暇もなく、今度はSRMの目前の戦場に散乱する無数の聖龍隊士や国連軍兵士の死体が。
「あ、あれ?」「俺たち、生きてる……?」「不思議だ、痛みもない」
続々と兵士達が起き上がり、自分の生を実感する中、聖龍隊士で隊長ウェルズを庇って死んだHEADの波音やリナの恋人である白井渚や浜崎雅弘も甦った。
「うぅ……お、オレ……」「僕たち、生きてるのか?」
次第に意識をはっきりとさせる二人は、自分達の後に戦死した恋人の波音やリナたち聖龍HEADの死体を見て驚愕する。
「!! は、波音!?」「リナ……!?」
二人は急ぎ、既に息絶えている二人の許に駆け寄って亡骸を抱き寄せる。
「………………」「集中力が欠けてるぞ……!」
嘆く二人の様子を遠くから視認して悲しくなるミラーガールに、修司は片太刀バサミを振るった。
だがミラーガールに片太刀バサミが直撃する寸前、カァチェンが
すると、そんな兵士や隊士達と同時期に戦死した、あの男も目覚めた。
「……う~~ん……あ、あれれ? ここ何処だ? 確か俺………………あッ! そうだ! カァチェンを庇ってクソ修司の攻撃に当たって死んだっけ! あ、でもそれならなんで俺さま生きてる訳??」
なんと二次元人たちに祖国である北の国を滅ぼされ、そして主君でもあるヤン・ミィチェンを死に追いやられた二次元人に憎悪を向けていた、あのカァチェンを庇って修司の攻撃を受けて死んだマン・サコンも息を吹き返したのだ。
「さ……サコン……!!」「か、カァチェン! 無事か、カァチェン!!」
息を吹き返したサコンを視認してカァチェンは目を丸くして歓喜する一方で、サコンはミラーガールと共闘して修司と接戦を繰り広げるカァチェンを見て驚いてしまう。
「戦いの中で余所見は禁物だ……!!」
そんなサコンに目がいっているカァチェンに、修司は片太刀バサミを振り上げて斬りかかろうとする。
「カァチェン!! 前だ前!!」「!」
サコンの声にカァチェンは反応して、前方から斬りかかろうと襲い掛かる修司の攻撃を
「いいぞカァチェン!! ……に、しても、この惨状は何な訳?」
修司と接戦するカァチェンを応援するサコンだったが、周辺の無数の死体が転がる惨状を前に現状を理解できないでいた。
サコンが現状を理解できず混乱してる中、修司はカァチェンとミラーガールの二人と激戦を続けていた。
(……おかしい……! 俺の物体をすり抜ける身体能力も使えなくなってる……!!)
戦いの中、修司は自分が新世代型二次元人の生体エネルギーを吸収した際に突然変異した「如何なる物体をもすり抜ける身体能力」までも使用できなくなっている現状に気付いて焦燥する。
と、修司が二対の片太刀バサミを振るってカァチェンとミラーガールに猛攻を仕掛けていた正にその時。
二つの人影が、修司が振るう二対の片太刀バサミを受け止めて動きを制止させた。
「!! お前ら……!!」
修司は自分の攻撃を制止させた二人に我が目を疑った。
それは聖龍HEADを生かす為に、あえて捨て駒になった元敵役でもあったセーラーマーキュリーとローリング・バブルスの恋人である浦和良と鮎貝高明が変身した怪人ブンボーと狼男だった。
浦和良ことブンボーと鮎貝高明こと狼男は、修司の振るう片太刀バサミを左右それぞれ受け止めて制止させ、動きを止める。
その間に、修司の左右を挟み込む形で両脇からカァチェンとミラーガールが各々の武器で修司を攻撃。修司は二人の攻撃を浴びて吹き飛ばされてしまう。
「ありがとう! 浦和さん、高明くん!」
「ありがとうございます……えぇっと、ブンボー殿に狼男殿……」
ミラーガールとカァチェンに礼を言われて、二人は小さく頷く。
二人がブンボーと狼男に礼を言ってたその時、二人の攻撃を受けて吹き飛んだ修司が起き上がって再び襲撃してきた。
「さあ! 二人は下がってて! ここは私とカァチェンでやり遂げるから!」
「見ていてください、聖龍隊で繋がりを与えてくれた友よ……! このシバ・カァチェン、最後までミラーガールと御供致します……!!」
ミラーガールとカァチェンの台詞を聞いて、ブンボーと狼男は邪魔にならない様に退いた。
ブンボーと狼男が退いた直後、修司がカァチェンとミラーガールの二人と激しく接戦している最中、今度は国連軍の兵士達に混じって中将達が息を吹き返した。
「うぅ……わ、私達は、いったい……?」
頭を押さえ込んで起き上がるモモンガに続き、ヤマカジやストロベリー、ドーベルマンやオニグモも復活。
「こ、国連軍の中将たちも生き返った!」
「つ、次々と死んでいった人たちが生き返ってる……グスッ」
檻の中から新世代型の真鍋義久や燃堂力が涙目で歓喜する。
「……おい……おい! 慎吾、慎吾くん!」
「ん、う~~ん……あ、あれ? 青児さん? 俺たち一体……」
「俺もさっき目覚めて、あまり状況が呑み込めないんだが……どうやら俺たち、生き返ったらしいぞ」
「生き返った……? あ! そうか、俺、修司さんの攻撃を受けて……!」
「俺も修司に殺されたが……どうやら、今は俺達だけでなく他の戦死した連中も続々と生き返ってるみたいだ」
先に目覚めたキューティーハニーの夫・早見青児は、セーラームーンの弟である月野慎吾に呼びかけて起こした。二人は現在の戦場で自分達以外にも戦死した死者が次々に蘇生していく現状を理解しようとしていた。
「……将人様……将人様……!」
聞き覚えのある女性の涙声に、瞼を閉じていた門脇将人が目を覚ました。
「み……ミヤビか……」
「将人様……!」
「お、俺は………………ッ! そうだ、確か修司に腕を吸収されて……!」
ミヤビの呼びかけで目を覚ました将人は、修司の闇の能力で吸収されて損失してしまった右腕を見詰めた。すると左腕は相変わらず義手であったが、修司に吸収された右腕だけは元通りに再生されてた。
「……! 右腕が元に……」
「私たちだけじゃありません……! 死んでいった多くの友が次々に生き返っています!」
大粒の涙をこぼして泣きじゃくるミヤビの言葉に驚かされる将人。
「……清麿……清麿!!」「!!」
温もりを感じさせるその声に呼び起され、一気に目覚める高嶺清麿。
「……ガッシュ? ハッ、ガッシュ!! 大丈夫か!?」
二人同時に修司に殺められた事から、自分を呼び起こしたガッシュの身を案じる清麿。
「私は平気なのだ。なぜか身体を貫通した刺し傷が綺麗に消えているのだ」
「お、俺もだ……!? これは一体……」
ガッシュの説明を聞いて、戸惑う清麿。
すると其処に他の魔物とそのパートナー達も声をかけに来た。
「清麿!」「清麿くん!」
キャンチョメや大海恵たちの生きてる姿を見て安堵する清麿。
「清麿、なぜか戦況はいつの間にか生き返ってるアッコちゃんと、彼女と共闘しているカァチェンがあの修司と接戦している。私たちも正直現状が理解できないのだが……」
サンビームの疑問を聞いて、清麿は修司との接戦の戦況を眺めてアンサートーカーの能力で状況を分析した。
すると清麿はある事実を知った。
「! これは……!!」「ど、どうしたのだ、清麿?」
ガッシュ達が問いかけると、清麿は言った。
「まさか、カァチェンの意志が……!!」
清麿は一体なにを知ったのだろうか。
そんな生き返る魔物とパートナー達の近くでは。
「……ジョー……ジョー!」
003や他のサイボーグ戦士達が009に声をかける。
「ふ……フランソワーズ……」
003の呼びかけに009こと島村ジョーが目を覚ます。
「003……君、目と耳は……!」
目覚めた009は、修司の超能力で目と耳を潰されて流血してた003の身を案じてた。すると003は優しい笑顔で答えた。
「私たちにも良く分からないけど……なぜか全員、受けた傷も何もかも回復してるのよ。私も、修司くんに潰された目と耳は完治してるし……」
「よ、良かった……それで、戦況は?」
仲間達が完治している状況に安堵する009に、004が答えた。
「今、なぜか戦死した仲間達が次々に生き返ってるんだ。そして修司の方は……復活したアッコちゃんとあのシバ・カァチェンのコンビが追い詰めている」
「え……! あのカァチェンが、修司くんと戦ってる……?」
004の返答に009は驚いて目を丸くした。
続々と戦死していった猛者達が甦る最中、遂に修司と戦い敗れ去ったHEADまでも。
「お……オレは……?」
むくっと地面に倒れてる体を起こして生き返るバーンズの周りでは、彼と同様に復活していく聖龍HEADの同志達の姿が。
「小狼くん! お兄ちゃん……!」
「さ、さくら……?」「お、俺達は確か……修司に……」
生き返った木之本桜が駆け寄り声をかけた恋人の李小狼と兄の木之本桃矢の二人は、おぼろげな意識の中、涙目のさくらに反応する。
「……うさぎ……うさぎ……!」「うさぎちゃん……!」
「う、う~~ん……まもちゃん? それに、亜美ちゃん……みんなも?」
セーラームーンを抱き寄せて必死に声をかけるキング・エンディミオンに、その周りでセーラームーンを呼び掛けるセーラーマーキュリーらセーラー戦士たち。皆の声に呼応し、セーラームーンは目を覚ました。
「……りりか……りりかッ!!」
「りりか、君も生き返るんだ……生き返ってくれ! ナースエンジェル!!」
先に復活した宇崎星夜とデューイの声に、目を閉じていたナースエンジェルも目覚めるのだった。
「星夜……デューイ……わ、私……」
「! 良かった……ほんどに、よがっだぁ~~っ!!」
ナースエンジェルが目覚めたのを発端に、宇崎星夜はみっともなく大泣きしてしまう。
同じころ、修司と激戦した末に半壊されて息絶えた真紅たち五体のローゼンも、修司を道連れにしようと自爆して玉砕した最終兵器のちせも、壊れた体が元に戻っていき完全に復活した。
「私たち、生きてる……?」
「と、いうか……ボロボロになった体が元通りだ……!」
「ウソ……! 木っ端みじんになったのに、元通りになってる」
真紅に蒼星石そしてちせは自分達の体が元通りになって甦った我が身に驚くばかり。
すると甦った聖龍HEADの許に、先に甦った高嶺清麿がバーンズへ駆け寄って話し掛けてきた。
「バーンズ!」
「き、清麿……オレ達、どうやら生き返った様だな……?」
「ああ、そうらしい! ……ところでバーンズ、あんたのテレパシーで今アッコちゃん達と戦ってる修司の心を読めるか!?」
「アッコと修司が……!? ッ!」
清麿に言われて、バーンズは慌てて修司とミラーガール達が戦う情景に目を向けた。
「アッコ……それに、カァチェン!? どうなってんだ!?」
状況が呑み込めないバーンズに、清麿が粗方アンサートーカーの能力で読み取れた情報を教える。
「バーンズ、よく聞いてくれ。あの修司が戦場の戦闘員全員を倒した後、自分のクローンである新世代型二次元人達をも全滅させようとしてた直前、あのカァチェンがアッコちゃんの呼び掛けで臨死状態から復活して修司から新世代型二次元人達を守って一人戦ってたんだ」
「カァチェンが……!」
「ああ、そして修司と接戦してる中、そんなカァチェンの心と意志の力が死んだミラーガールの奇跡の力と共鳴した事で、戦場に倒れている戦死した戦闘員の死体に流れ込んで、しかもその奇跡の力が感化された事でミラーガールを皮切りに多くの仲間達が死から甦った訳なんだ!」
「カァチェンの心と意志がアッコを甦らせ、そしてオレ達までも甦らせてくれた訳なのか……!」
「信じられないが、あの心を持ってなかったと言われるカァチェンが自分の意志で修司と戦った事で奇跡が……ミラーガールの力をも甦らせたんだ!」
「そうか、カァチェンが……!」
「……話は戻るがバーンズ、テレパシーで修司の心を読めるだけ読んでくれないか? 今の修司は明らかに、「純粋なる破滅」に進化した当初の無感情な修司とは程遠く、激しい感情を表に出すほど昂ってる! 今の修司の心に何かしらの変化があるのなら……」
「なるほど! 修司の心境の変化が、今の戦況を大きく左右する訳だな! 解かった、今読み解いてみせる」
清麿に促され、バーンズはテレパシーで修司の深層心理を読んでみた。
すると……
「……! そうか、修司は……!!」
「なにか解ったのか、バーンズ!?」
「なんで今まで修司に攻撃が効かなかったのか……そして今、なんで修司にカァチェンとアッコの攻撃が効いているのか……そうだったんだ、進化する前後の修司と、今の修司は……!」
激しい戦闘を続ける修司の深層心理を読み解いたバーンズに清麿が問うと、バーンズは「純粋なる破滅」に進化した修司の心の変化に気付くのだった。
[変わる心]
魔鏡聖女ミラーガールの思いと共鳴した事で、自身の中に眠ってた「心」を根源に修司と抗戦を開始するシバ・カァチェン。
そんなカァチェンの心の力で死に絶えたミラーガールを始めとする者達は続々と生き返り、ミラーガールはカァチェンを支援する形で共闘するのだった。
優勢なカァチェンと劣勢な修司の激戦を見据えて、復活したバーンズは同じく復活した高嶺清麿からの指示で自身のテレパシーで修司の深層心理を読み解くと、意外な事実が判明するのだった。
一方、修司という強靭な運命から抗う意志を持ったカァチェンと、そんなカァチェンの意志に感化されて甦ったミラーガールの共闘、三人の激戦の最中同じく生き返る猛者たちが続出してた。
「ぼ、ボクたち、いったい……?」
「確か、修司さんの新技「血縛り」で苦しめられた末に死んだ筈じゃ……」
修司が自身のクローンである栗山未来の血液を操作できる力と斉木楠雄の超能力を組み合わせて編み出した新技「血縛り」で苦渋の末に死亡したセレブナイトと平賀才人の二人が生き返った間近では。
「い、痛……くない? あれ、粉砕された頭蓋骨が治ってる……?」
「どうやら、カァチェンとアッコさんが修司さんと接戦しているのが影響しているのか、戦死した人がみんな生き返っているみたいね」
修司に頭と頭を生卵の様に叩き割られた梅枝ナオミが困惑する横で、三宮紫穂がテレパシーを駆使して現状を粗方理解する。
「なぎさ……大丈夫?」「ほのか……うん、私も平気だよ」
修司が不足した自身の血を補う為に使用した技「吸血」で体中の血を吸い尽くされてダウンしていたキュアブラックとキュアホワイトの二人も目覚めた。
「良守……良守!」「うっ……と、時音? 時音! 無事なのか……!?」
必死に目覚めない墨村良守に、同じ結界師の雪村時音が呼びかけると良守は目覚めた。目覚めた良守は自分より先に修司に斬り捨てられて果てた時音を案じて問い掛けると、時音は良守を落ち着かせる様に話した。
「良守こそ……でも、私も大丈夫。どうやら修司さんにやられた仲間が次々に生き返ってるみたい」
「え! それはなんで……!?」
「それは……ほら、あれを見て。今カァチェンとアッコさんが修司さんと戦ってる」
「え……あのカァチェンが……!?」
時音の指さす方を見て、良守は三人の激戦を目撃して驚いてしまう。
そんな良守と時音の近場では、修司に枇々木丈の火炎能力による炎のショットガンを浴びせられて絶命した白浜兼一と風林寺美羽の二人も生き返っていた。
「あ、あれ? 体中、風穴だらけにされたと思ったら……」
「どうも、わたくし達の体も完全に再生したみたいすわ」
兼一と美羽は修司のショットガンで穴だらけになった自身の体が完全再生してた減少に目を丸くした。
「私たち……ううん、みんな生き返ってる!?」
「ウソみたいだ……! 一度は死んだって言うのに……」
「これがミラーガールの……加賀美あつこの希望の力という奴か」
修司が放った閃光を浴びて一度は死んだ日向ひまわりたちくノ一にハンター・スティールらスパイダーライダーズの面々が驚いている中、生体兵器のハルは冷静にミラーガールの希望の力を確認していた。
「うぅ……まさか火の弾丸でお腹に風穴が開いちゃうなんて……」
修司が上空に撃った炎の弾丸で胴体に風穴が開いて死亡したハイパー・ブロッサムがお腹を擦りながら起き上がっていると。
「タカちゃん!」
ブロッサムと同じく修司に撃墜されたローリング・バブルスが、先に生き返った狼男に変身している恋人の鮎貝高明に嬉しさのあまり抱き合っていた。
「あ、あれ……オレ、確か修司さんに首を斬られて……」
「バターカップ!」
バブルスが高明と抱き合っている中、修司に首の頸動脈を切られて死んだパワード・バターカップも生き返り、思わずブロッサムがバターカップに抱き着く。
「私たちは確か……」「うん、修司さんの繰り出した……」
「無限刀 鬼嵐で……」「一掃された筈……」
修司が繰り出した必殺の剣戟「無限刀 鬼嵐」を浴びて無数の斬撃で死亡した音無小夜に赤ずきん、そして白雪といばらが息を吹き返す。
「みんな、生き返って来てるみたいだな……」
「うん。正直、信じられないけど……」
一瞬の間に修司に斬り捨てられて戦死したユウとニナミは周りを見渡して復活している仲間が増えている現象を把握する。
「ルイズ! タバサ、キュルケ……!」
平賀才人の呼び掛けに、ようやくルイズやタバサそしてキュルケの三人の魔女が目覚める。
「あれ、才人……? うぅん、どうしたの、私たち……」
「生き返ったんだよ、俺たち! カァチェンが頑張ってくれたお陰で!」
「え? カァチェンが……!?」
才人の言葉にルイズは半信半疑の様子。
「アニキ! みんな……!」
「あ、アグモン? 俺たちは確か、修司さんに……」
アグモンたちデジモンの呼び掛けに、大門大や藤枝淑乃それにトーマ・H・ノルシュタインに野口郁人たち修司に斬り捨てられたデジモンセイバーズが目覚める。
「あ、頭が………………アレ? 痛くない? おかしいな? 確かアタイは修司さんのデーモン=クローに続いて自分の武器の鉄球で頭を何度も叩き付けられたんだけどなぁ?」
修司の荒業デーモン=クローに、自身の武器である鉄球で頭を何度も殴打されて痛め付けられた明石薫が不思議がっていると、その近くで修司に切り裂かれた野上葵も同様に不思議がってた。
「あ、アタシの武器である弓矢も元通りになっちょる……!」
修司に切断された弓矢が元通りになっている現実に驚いてしまう葵。
修司の闇に引き寄せられて「無限刀 鬼嵐」を浴びて全滅したプリキュアの少女たち。
上空から修司をレーザーで攻撃するものの、間近まで迫った瞬間に片太刀バサミでの剣戟で切り裂かれて死んだデビルマンも。
闇の能力で超能力と魔法全てを無力化した上で完膚なきまでに斬り捨てて命を奪われた【とある科学の超電磁砲】組と【とある魔術の禁書目録】組の面々も。
全員がミラーガールの希望の力で生き返る事が叶った。
「私たち、生きてる……!」
「正確には、生き返ったんだ……!」
「スゲェ、これがアッコさんの……魔鏡聖女ミラーガールの希望の力!」
修司たち初期の聖龍HEADと同期である花丘イサミに雪見ソウシそれに月影トシ達は自分達を生き返らせたミラーガールの希望の力に驚愕すると同時に懐かしんだ。
「カトレア、あなた……!」「シャナ、私たち、生きてるのね……!」
修司の斬撃をまともに浴びて絶命したシャナとカトレアの二人は互いを見詰め合いながらお互いの生存を認識し合う。
と、其処に。
「カトレア……っ!」「えっ? お、お姉さま……きゃっ」
カトレア達と同じく生き返った姉のエレオノールが嬉しさのあまり、妹のカトレアに抱き着いた。
「良かったわ……! あなたも、ルイズも……みんなみんな生き返って……!」
「お姉さま……」
ポロポロと涙をこぼして喜ぶエレオノールに抱き着かれ、カトレアも嬉しさで笑みを零した。
「う、う~~ん……まだちょっと身体の節々が痛いである……やっぱり修司殿のD-ワクチンの血液を摂取したのはやり過ぎだったかな」
修司と戦い合えるようにと彼のD-ワクチンで強化された血液を摂取した為に、生き返っても体の各所が痛んでしまうアレイスター・クロウリー三世は呆然としてた。
クロウリー三世が身体のあちこちに微痛を感じていると、その傍らでは。
「く、苦しかった修司の毒素が完全に消えているのか……!?」
「そ、そうみたいだな……」
「信じられない。僕の能力でも解毒できなかった毒素までも浄化してしまうなんて……!」
「これがミラーガールの力、なのか……!?」
修司の毒素で苦しみの末に死んでしまった神田ユウにラビ、そして解毒しようとしたココにトリコ達が生き返る。
それと同じく、修司に刺殺されたアレン・ウォーカーに、修司に首の骨をへし折られて殺されたリナリー・リーも息を吹き返す。
「リナリー……大丈夫かい?」
「え、ええ……流石に、首の骨を折られた感触だけは生々しく残ってるけどね」
リナリーを気づかうアレンに、リナリー本人は首を摩りながら苦笑する。
「うッ……クソ、修司の奴……!」「ジュダルちゃーーん……!」
練紅玉を庇って修司に刺されて絶命したジュダルが生き返り、その直後に毒殺された練紅玉がジュダル復活に喜んで彼に抱き着いた。
「ぼ、僕たち……」
「ああ、俺らも生き返ったみたいだな」
「どうやら、そうらしい……!」
「まさか片腕を囮にブーメラン状の武器で殺されるとは……」
総攻撃を浴びて片腕だけを放り出して囮にされた事で、修司が投げたブーメラン状の武器で身体を切り裂かれて殺された沢田綱吉にナツ・ドラニグル、グレイ・フルバスターそしてデス・ザ・キッドの四人は改めて修司の戦法に驚愕してた。
「わ、私たち、生きてるの……!?」
「確かに修司さんに斬り捨てられた筈なのに……」
「信じられないけど……これがミラーガールの聖なる力」
一度は修司を氷塊に閉じ込めたものの即座に砕き出てしまった事で、修司に三人同時に斬り捨てられてしまったブルーローズに氷麗そしてモルジアナ達はミラーガールの力に驚くばかり。
「アリババくん、僕たち……」「ああ、どうやら生き返ったみたいだな……!」
修司に首元を斬られたアリババ、そして片太刀バサミで刺殺されたアラジンの二名も復活。
「みんな……生き返ったか」
「さ、三代目……!」「どうにか……!」「……!」
二刀流の片太刀バサミ使いで切り裂かれた奴良リクオの呼び掛けに、配下の首無に青田坊そして鴆の三人が反応する。
「ツナーー……ッ!!」
生き返った沢田綱吉に、仲間である獄寺隼人に山本武、雲雀恭弥そしてクローム髑髏の四人が駆け寄った。
五人は互いの復活に心から喜び合った。
「エルザっ!」「る、ルーシィ……」
修司の能力で繰り出した技を反転されて返り討ちに遭ったエルザ・スカーレットに、彼女の死に嘆いていたルーシィ・ハートフィリアが泣きながら抱き着いてきた。
「みんな……っ、みんな……生き返ったんだ!!」
無情にも修司に殺されたハッピーも仲間の皆が生き返る現象に大泣きしながら喜んでいた。
「生き返った……!? 信じられないが……」
「信じようと信じまいと、生きているのが何よりの証拠だよ」
「ボク達みんな、生きてるんだね……!」
「これがミラーガールの……希望の力……!」
修司に生命力を吸収されたなどして絶命したベム、ベラ、ベロ、そして鬼太郎の四人も無事に復活。
「元帥殿! 赤犬元帥!!」「うぅ……わ、わしゃあ、いったい……」
先に生き返った国連軍元帥補佐官ユーリ・ペトロフの呼び声に、元帥である赤犬マグマ―ド・岩田元帥が目覚める。
「ふぅ~~……どうやら戦場で死んだ連中は、わっしらと同様に生き返ったようだねェ~~」
「これがミラーガールの聖なる力……驚くばかりでございやす」
赤犬元帥や補佐官ユーリ・ペトロフに続いて戦死した黄猿ことモンキーノ・ピカノリッチや藤虎ことイッショウも復活。
「うわーーーーッん……トリコさんだけでなく、サニーさんにゼブラさんも生き返った……!!」
自分達に続いてサニーやゼブラも生き返った現状を目の当たりにして、小松はみっともない表情で泣きじゃくって喜んだ。
「ウソ……! アリス達が元通りに復元されている……!」
「あたいのくだ狐達も甦ってるなんて……信じらんない」
修司に倒される直前に、破壊されたアリスたち傀儡に使い魔のくだ狐たちの復活を目撃して目を丸くする鹿島リンと葉月いずな。
「月光さま……!」「月光……!」
復活したハチカヅキにエンゲキブに見届けられながら岩崎月光も息を吹き返す。
「ヒーローマン……! やったぁ!」
「やったわね! ジョーイ!」「これで形勢逆転だ!」
完全復元されたヒーローマンに抱き着くジョーイの傍らで、リナとサイも喜びを分かち合う。
「まさか雷で全滅させられるとは思わなかったね……」
「正直、あの技は昔から使えていたとはいえ……」
「完ッ全なチート技でござった」
修司の雷攻撃で全滅させられたスカイハイにロックバイソンそして折紙サイクロンたちデジモンクロスウォーズ】に【DOG DAYS】の面々は面食らってた。
「あ、あれ? 俺、生きてる? スーツもなぜか元通りだし……」
生き返ったワイルドタイガーは何ゆえ生き返ったか、そしてなぜ殺されると同時に大破した筈のスーツまでも元通りなのか戸惑ってい亜t。
すると其処に。
「虎徹さん!」「お父さん!」「バニーちゃん、楓……!」
同じく生き返ったバーナビー・ブルックスJrと鏑木楓がタイガーに駆け寄った。
「二人とも、どうして……」
「アッコちゃんが……いいえ、あのカァチェンのお陰で僕たち生き返れたんですよ!」
「あのカァチェンくんが……!!」
バーナビーの説明に、ワイルドタイガーは驚愕した。
「ソウル! 良かった、あなたも甦って……」
「マカ……オレは確か、修司の万物を崩壊させる能力で……」
修司のO・Dから会得した能力で砂状に崩壊されて絶命したソウル=イーターも無事に生き返って、マカ=アルバーンが安堵する。
「りんね様!」「りんねくん……!」「お、俺は……」
六文と真宮桜に呼びかけられ、六道りんねも目を覚ます。
「革……私たち、生きてるのね」
「ああ、コトハ。俺たちもミラーガールの……いいや、正確にはカァチェンたちのお陰で生き返れたんだ」
コトハと日ノ原革は、こうして自分達が生き返っていく現状の傍らで未だに激しく修司と戦闘するミラーガールとカァチェンを眺めて安らいでいた。
「アウッ! おれ様、スーパー~~復活ゥ!!」
改造した自身の鋼鉄の肉体が完全復活した現状に、ニュー・スターズ総部隊長のフロートは決めポーズをとった。
「やったぜ! オレ様達も完全復活ゥ!!」
「まさか、あの惨状から生き返れるとは……!」
「ピピッ、信じられませんが……これがキセキというもの、でしょうか?」
生き返って大喜びするガイア・スコーピオンに未だに生き返った事を受け入れられないキラー・ウォーター・クリスタル・スコーピオンの傍らで、完全再現された蠍型ロボであるメガロ・スコーピオンも呆然と立ち尽くす。
「クイーン達も、生き返ってるようだね……」
「ええ、みんな生きてるのね……!」
スコーピオン同盟の兵部京介にフーケたちも生への実感を得ていた。
「へへ、まさか……あのカァチェンが心を得られたから、俺たちも生き返れたとはな」
「皮肉ね。かつて心を手に入れて、我が道を突き進んできた小田原修司によって運命をめちゃくちゃにされた私たちが……同じく心を与えられたカァチェンのお陰で生き返れたなんて」
スコーピオン同盟にしてホワイト・ヘアーズのリーダー格である蛭川光彦と、メンバーの須王静江は運命の悪戯に翻弄されつつ皮肉と捉えていた。
「アタイ達も、また生き返った……?」
「ううぅ……! アルケニモン、また一緒に復活できて嬉しいぞ……ッ!」
「ふふふ♪ ワタシ達までも生き返らせるなんて、ミラーガールの希望の力って粋じゃない♪」
二度目の復活を体験し、驚くアルケニモンに彼女と共に生き返れて涙を流して喜ぶマミーモン、そしてミラーガールの力に粋を感じるエテモン。
「……蒸発したワレワレの肉体までも完璧に甦ってる……!」
「ウゴウゴ……!!」
修司によって生命力を吸い取られただけでなく蒸発されて肉体を失ったザ・インクとブロッドンのコンビはミラーガールの力に少しばかり異常を感じ取った。
「生きてる……私達、生きてるのね……! うぅっ……生きてるのね……!!」
「アルセーヌ様、泣かないで……」
死という絶望から一転、生への喜びを実感して大粒の涙を流すアルセーヌに、ラットたちストーンリバーにトゥエンティらが慰める。が、彼らの目にも喜びの涙が浮かんでいた。
悪役同盟であるスコーピオン同盟の面々も続々と復活を果たし、金剛番長たちも甦った中、大将こと赤塚大作率いる赤塚組の面々も息を吹き返した。
「俺は……ッ、そうだ! 修司は? 修司はどうなった?」
大将は修司の現状を知るべく、慌てて辺りを見回した。
そんな大将に、同じく生き返った幹部衆のミズキたちが声をかける。
「大将!」
「ミズキ! テメェら……! 修司は? 修司はどうなった……!?」
大将が問うと、山崎貴史が答えた。
「修司さんは今……あそこでアッコさんとカァチェンの二人と戦っているよ」
「なにッ!? アッコと、あのカァチェンが……!!」
先に戦死した筈のミラーガールと、弱腰だったカァチェンが二人がかりで修司と戦っていると聞いて大将は目を丸くして激戦する三人の方を向いた。
「アッコおねえちゃんが、あのカァチェンと共闘して修司を追い詰めている……!?」
「……あの二人の心が一心同体となって、修司さんを追い詰めるほどの力になれたのね」
「凄いよ! あのカァチェンって人! まさか修司を追い詰めちゃうなんて」
かつて修司に恋したミラール率いる北麗と西遊記の末裔組であるエン・リーとピグナと河奈。
「スゲェな……あの欠かれカァチェンと呼ばれてた人間が、こうも成り上がるなんて!」
「あのカァチェン、修司相手にあそこまで戦えるなんてスゴイ!」
「うん……! かつて修司さんと同じで、心を持ってなかったっていわれてたカァチェンが、アッコさんと協力し合ってるなんて……!」
セブンズ・ガードの一角を占める竜人リュウナ達が驚く中、同じく修司に恋していたバニラ=ミューはミラーガールとカァチェンの心が合わさった事で修司を追い詰める絶対的な力が生まれたと認識し、それに親友であるショコラ=メイユールはカァチェンを見直していた。
「凄い……! アッコさんとカァチェンが、修司を圧倒してる……!!」
目を輝かせて修司を圧倒するミラーガールとカァチェンを、エリルは見守り続ける。
「若かりし次代の武人シバ・カァチェンよ。ワシらが見守る、どうかこの戦いに……修司の悲しみに終止符を打っとくれ……!」
生き返ったワイルド・J・プラントは同志であるオールド・ジャスティスのロビンフッドと怪傑ゾロと共に、カァチェンの戦いぶりを温かく見守るのだった。
一方、戦場で散っていった数多の命が甦る中で、修司は相も変わらずシバ・カァチェンとミラーガールの二人と激戦を展開してた。
「カァチェン、俺はお前と同じ欠けた心を……いいや! 心すら持てない異質な存在故に解る……! お前の
「まだ言うの!? 修司!!」
片太刀バサミと聖龍剣でせめぎ合う修司とミラーガール。そんな修司の問いかけに、ミラーガールの助太刀に入ったカァチェンが
「何も守れない……いいえ。こんな歪んだ心でも、荒み切ってしまった心情でも……!」
カァチェンは修司に渾身の力と思いを込めて振るう
「守れるものが居る限り! 何度だって立ち上がります!!」
カァチェンの振るう
「おお、おお……ッ! カァチェンが、あのカァチェンが……自分の思いと意志でアッコと共闘して修司に抗っている……!!」
自分の意志でミラーガールと共闘して修司と抗戦するカァチェンを目視して、バーンズは喜びのあまり滝の様な涙を延々と流す。
そんなバーンズと同じく、涙を流して三人の激戦を見守っている高嶺清麿が叫ぶ。
「分かるか修司……! カァチェンは今、自分の意志であんたと戦い……アッコちゃんとも共闘してるんだ!」
かつては自分の意志が弱く、「欠かれカァチェン」などと蔑められたカァチェンが今では自分の意志を持ってミラーガールと共闘という形で修司と抗戦している現状に、清麿は涙していた。
「修司! これが、あんたが捨てた……心の力って奴だよ!!」
カァチェンが今まさに死力を尽くして戦える根源こそ、小田原修司が捨ててしまった心の力なのだと力説する清麿は泣き叫ぶ。
「修司殿!! 思い出すのだ……そなたが捨ててしまった心の強さを! そして温もりを!!」
ガッシュ・ベルもカァチェンそしてミラーガールと激戦してる修司に涙ながらに訴える。
だがそれでも小田原修司は抗う事をやめない。
かつての自分同様に心を持ち得なかったカァチェンが、自分に抗い続ける現実を受け入れられず。
そしてそんなカァチェンに力を貸して共闘するミラーガールの鏡の様に美しい眼差しに見詰められながら戦う現状に嫌気がさしながら。
今を抗っているのは、もはや小田原修司その人であった。
[甦る意志]
二次元人から心を与えられ、その心で修司と抗戦する台湾が国将軍シバ・カァチェン。
カァチェンが修司と熾烈を極めている最中、そんなカァチェンの心に宿る微かな希望の思いで生き返れたミラーガールもまた自身が愛した小田原修司と戦いを再開する。
ミラーガール復活を皮切りに、彼女の希望の力が戦場に横たわる数多の死体に影響を与えた為に、続々と復活を果たしていく戦死した猛者達。
生き返った皆が、修司と激戦を展開するカァチェンとミラーガール、三人の戦いを見守る最中も、他の戦死者たちが甦ってた。
「ぼ、ボクたち、生きてるのか……!?」「ウソみたい……!」
修司に、武器を万物を崩壊させる能力で消滅させられた事で刺殺されたデューイと芹沢ルリ子は、一瞬で修司に殺された自分達が生き返った現実に驚きが隠せなかった。
「切り傷も綺麗さっぱりに消えている……!」
「ガイト、みんな……! 生き返ってくれてよかった……!!」
一瞬で修司に斬り捨てられたガイトも、修司に惨殺されたブラック・ラヴァーズの仲間達も生き返り、ガイトの恋人である沙羅は感極まって涙した。
「破壊された右の義手も、切断された左腕も完全に元通りだ……!」
以前より義手になってた右腕も、切断された左腕も元通りに再生された状態で生き返れた現象に驚く月詠イクト。
「も、元に戻ってるのね。私達の体……」「あ、ああ……」
特殊な形状のマグナムから発射された弾丸が直撃し、それが体内で膨張した事で体が粉々になって戦死した森あいとプラスは、自分達の惨たらしい死に戦慄を覚えたまま甦る。
「か、カァチェンがミラーガールと共闘して、修司さんを追い詰めてる……!?」
生き返ったばかりの穴戸レナは、カァチェンがミラーガールと共闘して修司と戦っている現状に目を丸くする。
「みんな、生き返れたのか……!」
半ば自分達が生き返れたのが信じられないといった心境で、修司に真っ二つに切断されたジェラール・フェルナンデスは呆然としてた。
「何とか生き返れたみたいね……ハッ、アトムは!?」
満身創痍で傷付き死んだミスティーハニーは、自分より前に破壊されてしまった鉄腕アトムの安否を気にする。
するとミスティーハニーの目前で信じられない光景が。
修司によって片太刀バサミやショットガンなどで破壊されたアトムの残骸が、ミラーガールの蒼い希望の光に包まれて、見る見るうちに残骸同士が接合してあっという間に復元していったのだ。
「アトム……アトム!」
「う~~ん……み、ミスティーハニー? ここは……」
「っ、良かった……あなたも無事に戻って来てくれて……!」
アトムも同様に復活した事に、ミスティーハニーは感極まって泣き出してしまう。
そして甦りを促す希望の光は、修司と同じ三次元の武将達の亡骸をも包み込んでいた。
「……あ……兄者! ……ハッ、わ、私は一体……!?」
修司に片太刀バサミで胴体を貫かれた修司の義弟、韓国将軍のサイ・チョウセイも生き返り、それと同時に我に返る。
そんなチョウセイに、同じく生き返った武将が声をかける。
「韓国将軍、サイ・チョウセイ殿……」
「ッ! お前達は、狂人の集い黒衣衆! ええい、声をかけるな汚らわしい! お前達の様な下賎の集まりなど、どうでもいい! 今は兄者を止める事が先決だ」
「クックック、おやおや、我々の事を豪く見下していますね……まあ、いいですとも。それよりも鬼神の事ですが、あの御方ならあなたが相手する必要はないですよ」
「なに!? まさか恥さらしの貴様らが相手するという訳ではなかろうな……!」
白蓮坊の言葉にチョウセイが睨みを利かせて問い返すと、白蓮坊の弟である黒蓮坊が答えた。
「いや、どうやら鬼神が求めているのは俺達ではなかったようだ……よく見てみろ、鬼神が今まさに相手している二人こそ、鬼神が心の底から欲している相手だ」
「なに? 復讐や裏切りに憑りつかれている貴様らが言うとは……! フム、あれは……ッ! 姉者であるミラーガールと、それに……台湾が国将軍のシバ・カァチェンではないか!?」
修司と戦っているミラーガールやカァチェンの姿を視認して戸惑うチョウセイに、黒衣衆の損尼が付け足した。
「鬼神……いいえ、小田原修司が本当に追い求めてる上に、鬼神に抗える数少ない心を持った武人。それこそ、あのシバ・カァチェンだったのよ」
「兄者に抗える、心だと……?」
損尼の言葉に首を傾げるチョウセイに、今度は欲尼が言った。
「小田原修司が捨てた人の心……その心を新たに持てたシバ・カァチェンこそ、心を捨てた小田原修司に抗える唯一の戦力。そのカァチェンの心と意志に感化された事で、ミラーガールも生き返ったのよ」
「なんと……! では、我々が生き返ったのも」
チョウセイが目を丸くしてると、大闇刑蘭が語り出した。
「欠けた心を持つ哀れな武人であったシバ・カァチェン……だが、その心に聖龍HEADが与えた希望が微かに湧き上がった事で、全ての攻撃を無力化したり再生できてた小田原修司に傷を与えられるまでに戦況を変えられた訳よ」
「そう、なのか……! あのシバ・カァチェンが心を得られた事で……」
チョウセイが感心し切っていると、黒衣衆のリーダーであるガトリンガーが遠い眼差しで三人の戦闘を見詰めながら語り明かした。
「小田原修司が真に求めてたモノ……それは力でも戦いでも、ましてや希望でもなかった。たった一つの……昔々の自分との対面のみ」
韓国将軍サイ・チョウセイが、裏切りの一族の異名を持つ黒衣衆に説かれている一方。
「……あれ? あれあれ? なんか分かんないけど、ぼく生きてる! 生きてるぞーーっ!」
修司に背中に常備している鉄鍋を真っ二つに切断された直後にショットガンで撃ち抜かれたウイグル族の名士シャ・キンカは自身が生き返れた事象に飛び上がるほど喜んだ。
「ウソ、みたい……! わたし、生き返れただけでも驚きなのに……あの鬼神様が、追い詰められてる……! しかも相手はわたしより先に死んでしまわれたアッコおねえさまに、あの心が乏しかったシバ・カァチェンさんの二人……一体、なにがどうしてこうなったんでしょうか……?」
修司に地中からの不意打ちで絶命してた鶴姫は自分が生き返っただけでも驚きなのに、その修司が追い詰められているだけでなく、その相手がミラーガールとカァチェンの二人である事に頭が追い付かず半ば困惑してしまってた。
「鶴姫ちゃん!」
と、そんな困惑してる鶴姫の許に、先に生き返った聖龍HEADのキューティーハニーが駆け付けて声をかける。
「あ! キューティーハニーのおねえさま! おねえさま達も生き返れたんですね!」
半ば涙目で喜び舞う鶴姫に、キューティーハニーは話し始めた。
「ええ、私たち聖龍HEADも、その他の聖龍隊士も国連軍兵士も続々と生き返れてるわ……! その全ての根本は、あのカァチェンが最後まで諦めなかったからよ」
「え? カァチェンさんが……?」
「そうよ。カァチェンの最後まで希望を捨てない意志が、アッコちゃん……ミラーガールを生き返らせただけでなく、この戦場で散っていった命までも甦らせてくれたのよ!」
「す、スゴイです……! あのカァチェンさんが、そこまでスゴイ事をやっちゃうなんて……!!」
キューティーハニーの説明を聞いた鶴姫は感動のあまり目を輝かせる。
「お……おおっ! 一度は鬼神の攻撃を受けて死んだ我輩も、超絶怒涛の不死鳥の如く甦ったのだ!」
斬撃と銃撃の両方を受けて絶命したイギリスの外交官モーリス・ナイロンも無事に復活。
「わ、私は……生きてるのか?」
「ナオコちゃん!」
微かな意識の中、自身が生き返ったのだと理解する中国漢族の豪族である女武将イン・ナオコ。そんな彼女にセーラームーンたちセーラー戦士達が駆け寄った。
「おおっ、聖龍隊の戦乙女セーラー戦士よ! あなた達も甦ったのだな! ハッ、もしかして私たちが生き返ったのは貴女方が持つ奇跡の力なのか……!?」
ナオコが驚いたと同時に問い掛けると、セーラーウラヌスがナオコに答えた。
「いいや、ボク達の力ではない。今、修司と激しく戦っているカァチェンとミラーガールのお陰で、ボク達はこうして生き返ってるんだ」
「え! あのカァチェンが……? そして鬼神に殺されてしまった魔鏡聖女も……!」
ウラヌスの返答にナオコが驚いていると、ウラヌスに続きセーラーマーズが話した。
「カァチェンの諦めない意志と心を持ち続けてくれたお陰で、その心に感化されてミラーガールが復活した上に、彼女の希望の力でたくさんの戦死した命が読みがってる訳なのよ」
「全てはカァチェンのお陰、だと言うのですか……!? あのカァチェンの心で、私達が……!!」
話を聞いたナオコは驚きのあまり目を丸くしてしまった。
「……? お、おいマータン……マータン!」
「うぅん……なんだ阿保席じゃないですか。せっかく人がいい気持ちで寝てたって言うのに……」
「寝てる場合じゃないだろッ! いや、それ以前に小生たち、生き返ってるぞ!!」
「!? あ! 思い出した! 確か俺様、いや俺たち! あのクソ鬼神に殺されちゃったんじゃ……!」
「それが生きてるんだよな、なぜか……! うぅ……完全に真っ暗闇のあの世に逝く事無く甦れるなんて……小生の運はまだ尽きちゃいなかった!!」
「あーー、はいはい……ところで鬼神の野郎は……って、ええ!? どうなってんの!?」
「どうしたマータン……んんっ!? なんで鬼神の奴がミラーガールと台湾将軍と戦ってるんだ? しかも傍から見ても分かるが、鬼神の方が完全に追い詰められてねえか!?」
無事に生き返った元中国の中心政権を担ってた劉一族の一人だったが桁外れの不幸体質を持ち合わせた黒劉席と、浪人である元黒劉席の部下だったゴ・マータンの二人は、何ゆえミラーガールとシバ・カァチェンが二人掛かりで修司と戦っているのか現状を呑み込めてなかった。
「う~~ん、ここは……ウフフ、くすぐったいですよ、おやっさん……ん? おやっさん?」
自分の頬を舐めてくる雌鹿のおやっさんに反応して、おやっさんの死に涙を流した山中鹿之助が目覚める。
「おやっさん……おやっさーーん!!」
おやっさんが生き返ったのを目の当たりにし、自分が生き返った事よりも大喜びする鹿之助。
すると鹿之助とおやっさんの許に、同じくして生き返った赤塚少将と大虎のコンビが駆け寄ってきた。
「鹿之助の坊主!」
「あ! 少将さん! あなたも生き返ったんですね!」
「ああ、鹿之助やおやっさんと同じくな……鹿之助、大丈夫か?」
「あ、はい……でも、良かった……! おやっさんが生き返って……グスッ」
「そう泣きじゃくるな。オレっち達の戦いはまだ終わっちゃいない……まあ、今はアッコねえちゃんとカァチェンが頑張ってくれているけどな」
「え? あのカァチェンさんが……?」
「ああ、見てみろ。カァチェンがアッコねえちゃんと必死になって修司のあんちゃんと戦っているさまを……」
少将に指差されて見詰める先には、修司を圧倒するミラーガールとカァチェンの姿があり、そんな三人の激戦を目撃して鹿之助は驚いた。
「うわーーん! 武蔵、武蔵ィ!!」
「!!!!!!!!!!??????」
此方も同じく、自分が生き返った事よりも家臣であるサイボーグ武者の武蔵丸が完全復活した事に泣きながら喜び、武蔵丸に抱き着く徳竹康少年。
「竹康くん、良かったね……」
温かい主従関係を目の当たりにし、ミュウイチゴは思わずウルっと涙してしまう。
「佐助……佐助!!」
「う、う~~ん……あの世にしちゃ、なんだか聞き覚えのある声が聞こえてくるな……」
そうして修司と激しく殺し合った末に惨殺された猿飛佐助が目覚めると、彼の目の前には泣き顔を晒す主君であるモンゴル将軍シン・ユキジの顔があった。
「だ……旦那?」
佐助は自分の頬に落ちる生温かい涙の雫を感じると同時に、泣き顔を晒すユキジに驚く。
「佐助……! 良かった……誠に、良かった……!!」
ユキジは佐助も無事に生き返った事に感極まり、男泣きしてしまう。
「旦那、俺様……」
佐助はユキジに何かを伝えようとするが、それより前にユキジは佐助に土下座をして語り始めた。
「すまん!! 俺が至らぬばかりに、其方に無理をさせてばかりで……!」
「だ、旦那……!」唖然とする佐助。
「某、確かにモンゴルを守護する将軍としてはまだまだ未熟であろう……! だが! これからは其方にも認められるよう心身ともに更なる鍛錬に身を入れ、励み、其方とモンゴルの国民を護って行く所存……! それまで、どうか今後とも我がシン・ユキジを頼む!!」
「………………」
ユキジの土下座での謝罪を聞いて、佐助は思わず苦笑いを浮かべた。
「……はは、全く……しょうがない大将だな、ほんと」
シン・ユキジと猿飛佐助、二人のモンゴル主従は最後は笑顔で向き合った。
そんなモンゴル主従の様子を、近くで眺めていた二人がいた。
「Hugh、どうやらアイツらも無事に生き返れたようだな、モンジュロ」
「そうですな、マァスン様。……まあ、小憎らしい猿飛も復活したのは些か複雑ですが」
「ハッ、そうやっかむなモンジュロ。今は取り合えず、あのシバ・カァチェンとミラーガールの共闘を見守ってやろうじゃねえか」
「御意、マァスン様。あの欠かれカァチェンとミラーガールが共闘して鬼神を追い詰めるとは、何かしらの縁を感じずにはいられませんからね」
そうして最終的には修司対ミラーガールとシバ・カァチェンの激戦を見守り始めた漢族筆頭のデイ・マァスンとその側近タク・モンジュロ。
「これだ、これなんだ……! アッコさんとカァチェン。全ての願望の原点と願望無き青年、二人の心がかみ合ったからこそ、今の修司さんと対等に戦えるんだ……!!」
「これがアッコさん……ううん、二次元人全ての願望の起源であるミラーガールの希望の力……! そして、その力を呼び起こしたのは他の誰でもない心が欠けてしまったカァチェンなのね」
思わず涙ぐみ、心が欠けていたカァチェンがミラーガールと共闘して修司と対等に渡り合える戦況を目視する村田順一と深澤マイ。
そして修司に最強クラスの二次元人であると太鼓判を押された末に倒されたキリトやシルバー・クロウたち六人も生き返れた。
「お、俺たち……確か、あと寸前のところまで小田原修司を追い詰めて……」
「それで、倒されてしまったんじゃ……」
朧気に目覚めるキリトとアスナの二人に続き、シルバー・クロウとブラック・ロータスも復活。
「僕たち、生き返ったんでしょうか……?」
「ええ、そうみたいね……」
シルバー・クロウとブラック・ロータスが話し合っていると、その傍らでは。
「まどか! 生き返ったのね、まどか……!」
「ほむらちゃん……良かったぁ……!」
互いに生き返れたことに泣きながら抱き合う暁美ほむらと鹿目まどか。
すると其処に六人の後に修司に倒されたチームメンバー達が駆け付ける。
「まどかちゃん! ほむらちゃん!」
巴マミに続き、その他の魔法少女やリーファにライム・ベルたちも喜びに沸き上がった。
そして最後の甦りは、最初から今に至るまで戦いを見届けるしか出来なかった新世代型二次元人達が閉じ込められている檻の中で起こった。
「あ、あれ……? 琴浦、さん……?」
「! チョコちゃん? チョコちゃん……!」
静かに瞼を閉じて永眠した筈の黒鳥千代子ことチョコが生き返ったのを目前に、新世代型の琴浦春香は驚きと同時に感極まり涙した。
「あれ? アタイたち、確か……」「死んじゃった、筈じゃ……?」
「! ギュービッド……!」「桃花ちゃん!」
チョコに続き生き返ったギュービッドに桃花・ブロッサムの復活に、新世代型の真鍋義久や御舟百合子らは感動した。
「い、生き返ったのか? 僕たちは……」「ジンさん!!」
同じく息を吹き返した海道ジンに、瀬名アラタたちは大粒の涙を流して喜んだ。
「あ、あれれ? おれ様、死んじゃった筈じゃ……」
(チッ、生き返らなくてもいい奴まで生き返っちまったよ)
最後に生き返った道化のバギーの復活を前に、新世代型のジェイク・ミューラーは心の中でぼやいた。
こうして小田原修司によって亡き者にされた命全てが甦り、復活を果たした。
だが小田原修司との決着はまだ着いてない。
希望を諦めなかった武将シバ・カァチェンと、願望の起源であるミラーガールが、小田原修司を追い詰める。
二人の共闘が、小田原修司から未来を勝ち取り、この悲しみしかない戦いを終わらせられるのだろうか。
[熱戦・烈戦・超激戦!!]
聖龍隊から、いや二次元人から教授された心で、最後まで希望を捨てずに修司に戦い続けるシバ・カァチェン。
そのカァチェンの心意気が戦死したミラーガールを甦らせ、彼女はカァチェンと共に修司へと挑む。
更にカァチェンの諦めない希望と、ミラーガールの希望の力が重なり合って、希望の光が戦場で横たわる無数の死体を生き返らせ、命を復活させた。
復活した無数の命が互いの生を喜び合う中、ミラーガールとカァチェンは修司と激しく接戦を繰り広げてた。
「くッ……!」「はあ……!」
二人の猛攻を辛うじて受け切る修司に対して、息が上がりながらもミラーガールとの共闘で勝ち筋を見出すカァチェン。
と、ここで再びカァチェンの
そしてカァチェンの振るう刃の嵐に後方に吹き飛ばされる修司は、既に表情を押し殺す事ができず、感情を表に出したままカァチェンとミラーガールに問い掛ける。
「この鬼神が生み出した負の連鎖という鎖……断ち切れると思っているのか!?」
そう問いかけた瞬間、修司は右手の日本刀に形成した血の刃から強烈な「地走り」を無数に繰り出してカァチェンとミラーガールに攻撃。
だが二人は各々の武器で修司の地走りを防ぎ、カァチェンは防ぎながら修司に返答する。
「簡単に断ち切れるとは思っておりません……貴方が生み出し、そして世界が強く望んでしまった多くの負の連鎖。その連鎖を断ち切るのは並大抵の事では無いでしょう」
「ならば……!」
「ですが!」「!」
修司が反論するのを遮って、カァチェンは一驚する修司に語り続けた。
「この世の中には、貴方や私以上に世界を……世の中を変えて、人々を幸せに導きたいと願っている人たちが大勢居るのもまた事実。そんな人々と……いいえ、そんな大勢の友と共に世界を……己を変え、負の連鎖を断ち切ってゆけば良いだけの事……!」
「その大勢とは……この場にいる並々ならぬ猛者達に加え、俺の忌まわしきクローンである新世代型二次元人も含まれている……と、戯言を抜かす訳じゃないだろうな?」
「……抜かします! 私を変えてくれたミラーガールに聖龍HEAD、そして聖龍隊や国連軍の二次元人達に、友になってくれた新世代型二次元人の方々となら……貴方が望んでた以上の本当の桃源郷が叶えられます!」
普段の穏やかな口調からは想像できないほど強めの口調で返答するカァチェンに、修司は激しく感情を昂らせて物申した。
「笑止!!
カァチェンの台詞に怒り心頭の修司は、更に興奮してカァチェンとミラーガールに反撃する。
と、ここで修司は攻撃の標的をカァチェンからミラーガールへと移行して彼女へと襲い掛かった。
「無限の進化の可能性……それが全ての引き金となっているんだ」
ミラーガールの盾に攻撃を防がれながらも、修司は絶えず片太刀バサミを振るい続けながらミラーガールを問い詰める。
「俺もお前も……所詮は悲劇を生み出すだけの元凶でしかないんだよ!」
この修司の怒声に、ミラーガールは真剣な顔立ちで修司に言い切った。
「それでも私は、その運命と宿命を背負って生き続ける! 修司、貴方が生きてきた様に……!」
修司の剣戟を防いだミラーガールは、一瞬の隙をついて修司の左手が持つ片太刀バサミを盾で叩き落として、がら空きになった左側へと聖龍剣で斬りかかる。
ミラーガールの剣戟を受けて、表情を歪ませる修司。
それからも多くの甦った命が見守る中、カァチェンとミラーガールは修司と激しく接戦を続ける。
そんな激しい戦闘の中、修司は未だに自分に抗うカァチェンと、そんなカァチェンと共闘するミラーガールの二人に焦燥し出してた。
(何故……解らない。不死身でもない、ただの人間が……何故まだ俺の前に立っている)
修司が内心で未だに抗い続けるカァチェンとミラーガールに対して疑問を浮かべていると、そんな修司にミラーガールが視線で問い掛けてきた。
(本当に解らない?)(!!)
心の中に直接呼びかけるミラーガールに反応する修司に、ミラーガールは優しくも哀しく訴えかける。
(もうやめましょう、知らないふりを続けるのは)
戦い方を知らなかった少女が、自分の宿命と業を責め続けた少女が、もう泣かない理由は簡単な筈。
だから男は、少女だった女と、彼女が選んだ青年を選んでいたのか。
「ゆけ、カァチェン! ミラーガールと一緒なら、勝機はある!」
「カァチェンさん、ファイトっす!」
「いけいけ、鬼神なんか殺っちまえ……!」
イン・ナオコや山中鹿之助そしてゴ・マータンからの声援に応えるよう、カァチェンは更に力強く
「行け、カァチェン……! お前の全てを賭けてやれ!!」
「賭けてやる……私の全てを賭けてやる……!」
博打好きのサコンからの声援には、カァチェン本人も自分の持てる力全てを出し切る覚悟で修司に挑み続ける。
そんな絶えず声援を浴びるカァチェンと、共闘するミラーガール。
二人の猛攻を浴び続けて、満身創痍にまで追い詰められる修司は辛うじて残ってる冷静さで疑問に思った感情を戦いながら呟いてしまう。
「愚かで、臆病で……この世で最も醜悪で…………俺と言う存在に恐怖を抱くしかなかった生き物……俺が何度も殺した、生き物。人間よ」
己が最も忌み嫌い、そして幾度となく殺めてきた生物である人間の立場であるカァチェンの強さに圧倒される修司。
「いや、もう終わった生き物だ」
そんなカァチェンを前に修司は戦いながら疑問を抱き続ける。
「……だが、俺の知っている人間なら……怯え、諦め……その筈なのに。何なんだ? 俺の中に渦巻く、この感情は……!?」
カァチェンを前に己の心中に渦巻く感情に焦燥する修司に、彼と激戦を繰り広げるカァチェンが真意を告げた。
「貴方は……忘れている。貴方自身が、その生き物であった事を……そして何より、自分自身が……! 人間を恐れる生き物である事を」
何度己が振るう片太刀バサミをカァチェンに
(いや、俺は知ってしまってる…………人間の強さを)
そんな修司の一瞬の迷いに楔を打ち込む様に、カァチェンとミラーガールは絶え間なく修司に攻撃を続ける。
「貴方の悲しい想いも、悔しかった気持ちも……! 全てを私達が終わらせます……!!」
「笑止!! 俺の悲痛な感情も……命を守り切れなかった後悔も……お前ら如きが終わらせられると思うのかッ!!」
負の連鎖も悲しみも、全てを終わらせると豪語するカァチェン。そんなカァチェンに修司は怒りをぶつけ、更に武器を振るう。
すると修司はカァチェンとミラーガールの二人との激戦の最中、突如として上空へと舞い上がり、地上の二人や生き返った者たちを見下ろせる程の高さで停止した。
そして地上の皆々を見下ろした修司は激昂した感情のまま、右手を天へと挙げるとその手から闇の能力で黒い球体を作り出す。
作り出された球体は瞬く間に膨張すると、あっという間に惑星ほどの大きさまで巨大化。
「
修司が作り出した巨大な闇の惑星に、修司と激戦を繰り広げてたカァチェンもミラーガールも、そして生き返った多くの者たちも愕然とした。
「全員……分子レベルで消滅しやがれーーーーッ!!」
完全に頭にきた修司は、地上の皆々を全員揃って分子レベルまで消滅させようと
「あ、アレが地上に落ちれば……地上にいるオレたち全員、本当に分子レベルまで消滅させられるぞ!!」
修司が放った
バーンズだけでなく、他の皆々も多くが修司が放った
しかし、そんな絶望的状況の中、ミラーガールはカァチェンと顔を合わせて、互いに無言の合致を合わせると、即座に二人は行動に移った。
ミラーガールは虹色の翼で、カァチェンは
そしてミラーガールが真っ先に
だが、ミラーガールのその行為は、最早焼け石に水の如くあまり意味を成さない空しい行為である事は、地上の皆々はもちろん修司すらも一瞬で把握した。
「アッコ、お前の貧弱な盾で俺の闇が作り出した
激昂する修司の台詞にも動じないミラーガールは、重く苦しい表情で受け止めつつも修司に笑顔を向けて言った。
「……思ってないわ。これは単なる……時間稼ぎよ!」
「!?」ミラーガールの発言に一瞬表情が固まる修司。
するとミラーガールが盾で修司の
カァチェンはミラーガールが修司の
そしてカァチェンは構えた
すると
「し、修司の
思わず叫んでしまうバーンズ。
そして地上の全員が驚愕する一方で、カァチェンの手によって格子状に細切れにされた
と、白く眩い爆発の光の中から、修司が片太刀バサミを突き立てて
突撃してくる修司に、カァチェンは
激しい火花を散らしながら、互いに武器同士を激突し合う修司とカァチェンは、遂に地上へと落下し着地する。
そして砂煙の中から両者は飛び出し、そのまま激闘を再開。
お互いに一歩も退かない火花を散らすほどの激しい戦闘に突入し、修司とカァチェンは激闘の中で言葉と言葉もぶつけあう。
「今までの過去の闇は俺が処理し、真っ白な桃源郷を一から創り出す!」
「貴方は……聖龍隊での思い出も、全て切り捨てる御積もりですか!?」
「そうだ。俺は過去を切り捨てる」
「っ!」
二次元界に出向いた時から聖龍隊での伝説が始まった思い出までも、全てを切り捨てると豪語する修司にカァチェンは目を力強く見開いた。
「切らせません!」
そうカァチェンが強く発すると、
「私は全部、聖龍隊の……そう、二次元人の方々から学んできました! 二次元人の友、そして三次元界での仲間達がいたから前に進んで来られたんです! 今の私がいるのは、全て過去の出会いがあったからこそです!」
再度カァチェンは強く言い切る。
「絶対に、切らせません!」
「だったら……どうすればいいか、分かってる筈だ」
修司はカァチェンに感じられない殺意に対して、自分を殺す気ではいない現状に苛立ちを感じながらカァチェンにぶつける。
「過去を切り捨てる……! それが如何に寂しい事か、分からないほど貴方は落ちぶれてない筈です! 貴方にとって、聖龍隊や他の二次元人の方々との思い出はどうでもいいものではない筈!」
「今の俺にとって、そんな過去の柵など意味のないものだ」
「加賀美殿はどうなるんです! あの方は、ずっと貴方の事を……」
「思い出や愛情……そんなものはただの縛りにしかならない。そう、重く苦しい鉛の鎖以上にな……!」
「鉛以上に重く苦しい柵だとしても……温もりはある筈です!」
未だに過去からの繋がりを、重く苦しい鉛の様な鎖だと説く修司に、カァチェンは必死に訴えながら
すると修司は、再び上空へと浮上しては、頭上からカァチェンに攻撃する態勢に入る。
「お前の力じゃ、この俺に届きやしない!」
そう言うと修司は、闇の能力で開眼している
「爆裂閃光」
闇の瞳から放たれる連鎖爆発する閃光を、地上のカァチェンに向けて放射。
カァチェンは何とか回避しようと爆裂閃光の爆発から走って回避していくが、ギリギリ連鎖爆発から逃れ切れず苦戦する。
そして爆裂閃光がカァチェンに直撃してしまう寸前、戦闘を見守っていた皆々も唖然とする中、爆発からカァチェンを守る者が。
「み……ミラーガール……?」
カァチェンは自分を辛うじて助けてくれたミラーガールと顔を合わせると、ミラーガールは凛々しい面魂で言った。
「カァチェン、一人で突っ込み過ぎるのは得策じゃないわよ。私も一緒だという事を忘れないで」
「………………」
「修司の爆裂閃光の爆発は私のミラー・シールドである程度は防げる。でも直撃ばかりは防ぎ切れないから其処は理解しておいて」
「は、はい……!」
ミラーガールに返答するカァチェン。そんな二人に修司が上空から舞い降りて、再び接近して斬りかかる。
「後はお前とアッコを斬れば、またこの世全ての命の柵を絶てる……! 俺が思い描く、真っ白な桃源郷は叶う!」
「何度も申し上げます……切らせません!!」
「そのしつこさ、執念や執着心は二次元人譲りか、カァチェン……!」
過去の繋がり全てを切り捨てようとする修司に、カァチェンもミラーガールも懸命に武器で応戦する。
「くそ……無駄な抵抗を続けやがって……」
一度は死んだミラーガール、一度は虚無の絶望に打ちひしがれたカァチェン。そんな二人の未だに続ける抵抗に修司の苛立ちは頂点に達し始めてた。
「お前達は此処で終わるんだ! カァチェン! アッコ!」
修司は二対の片太刀バサミから巨大な斬撃を放ち、カァチェンとミラーガールに打ち込む。
だがその巨大な斬撃を、カァチェンは
しかし修司も諦めずに二人へと進撃する。
「お前達がいなくなれば! もう俺の戦界創生を邪魔する者はいなくなる!!」
今や修司に抗えるのはカァチェンの心と二次元人の願望の原点であるミラーガールだけ。二人が排除されれば修司を止められる存在はいなくなる。
そして全てを終わらせようと、修司は闇の能力を最大まで使用した状態でカァチェンとミラーガールを攻撃しようと身構える。
「この攻撃で終わらせる! 全ての決着をつける!!」
「させません! 私とミラーガールで、貴方を止めます!!」
カァチェンはミラーガールを後ろ手に待機させると、一直線に修司へと駆け出し真っ向勝負に打って出る。
「歴史や仲間、皆との繋がりを守ります! もちろん……貴方との繋がりも!!」
「……だがな……本当の理想を叶えるのは、この俺だ……!」
修司の片太刀バサミとカァチェンの
闇のように黒く、そして並外れた悲しみを背負った男。
二人の激突は、今まさにこの戦乱の終盤へと差し掛かる盤面だった。
[分かち合う痛み]
修司とカァチェン、二人の激突で生じた眩い光で戦場が覆われた次の瞬間。
その眩い光が収まった瞬間、修司が振るってた二対の片太刀バサミと、カァチェンが振るってた
そして戦場の皆が、一堂に修司とカァチェンの方へ視線を向けると、其処には双方ともに満身創痍の修司とカァチェンが地面を這いつくばっていた。
「いい加減、さっさと逝くんだ!」
「今の貴方では、私との繋がりは切れません!」
「繋がり、繋がり……しつこいぞ! お前は!! お前達は……!!」
お互いに全身ボロボロになりながらも言い争う修司とカァチェン。
「繋がりは呪い、呪縛だとなぜ理解しない!!」
そして互いに武器を失い、遂には素手で殴り合い始める修司とカァチェン。
最初にカァチェンの細く長い腕から繰り出されるパンチが修司の左頬に直撃。
修司が吹っ飛ばされると同時に、勢い余ってカァチェンも地面へと倒れ込む。
そんな二人の、もはや殴り合いになった闘いを、バーンズはもちろん他の聖龍HEADそしてミラーガールですらも黙って見守るばかり。
今や男同士の決闘に発展した闘いを邪魔する無粋者はこの場にいなかった。
互いに殴り合い始める修司とカァチェン。すると此処で修司がカァチェンの肩を掴んで強引にカァチェンの両膝を地面に着かせると、修司は低くなったカァチェンの頭に思いっきり頭突きを打ち付けて、カァチェンの兜を粉々にした。
『ッ!!』「……っ!」
兜が粉々になるほどの威力の頭突きを打ち込まれて、額から鮮血を噴き上げるカァチェンを見て、バーンズ達もミラーガールも言葉を失う。
そして額から鮮血を流すカァチェンを前に、修司がその場を立ち去ろうとすると。
なんとカァチェンが立ち去ろうとする修司の腕を掴んで、その腕を引っ張る勢いで立ち上がったのだ。
「うおおおおおぉぉぉ……ッ!!」
立ち上がると同時に雄叫びにも近い声を上げて、顔を鮮血で真っ赤に染めるカァチェン。
そして立ち上がったカァチェンは、再び己の拳に力を込めて思いっきり修司の顔を殴り付けた。
カァチェンに殴られて吹き飛ぶ修司、修司を殴り付けた勢いで倒れ込むカァチェン。
それから何度も何度も、互いを殴り合う修司とカァチェン。
遂にカァチェンが修司を押し退け、地面に修司を押し付けると同時に馬乗りになると、そのまま修司の顔に一発拳を叩き込む。
だが修司も負けじと馬乗りになって殴ってくるカァチェンに再度頭突きを打ち込んで怯ませる。
二人の殴り合いが、決闘が五分ほど続いた時。修司とカァチェンの体力は底を尽きかけていた。
「はァ、はァ……!」「はぁ、はぁ……」
修司とカァチェンは肩から呼吸をし、息を切らせて相手を睨み付けて硬直。
此処で修司が拳を振り翳して動き出す。
「じゃあそろそろ終わりにするぞ……! これまでの戦いを…………そして………………」
修司が動くと同時に、カァチェンも拳を振り上げて動いた。
「「この悲しみを!!」」
全ての悲しみを断つ為に、過去の全てを消滅させようとする修司。それとは正反対に未来へと今に至る繋がりを守ろうとするカァチェン。
二人の拳が互いに相手の顔面に直撃し、クロスカウンターが決まった瞬間。二人の意識は遠のいた。
「…………カァチェン……カァチェン…………カァチェン!」
「………………」
聞き覚えのある声にカァチェンが目を覚まし、瞼を静かに開いてみると。
カァチェンの視界に、涙目のマン・サコンやイン・ナオコそして山中鹿之助や不安そうな面持ちのゴ・マータンが飛び込んできた。
「皆、様……?」「カァチェン! 良かった、目ェ覚ましてくれて……」
カァチェンがぽつりと呟くと、カァチェンの反応にサコンが大粒の涙を流し出す。
「私は、一体……」
ぼんやりとする意識の中で、カァチェンの心の中にミラーガールの声が届いた。
(あなたは修司に勝てたのよ……貴方は切り開けたの。自分の力で、前を向けれる目を見開けたのよ!)
「……!」
ミラーガールの心の声に反応し、何とか自力で起き上がろうとするカァチェン。
「か、カァチェン……!」
そんなカァチェンを、サコン達がカァチェンの身体と地面の隙間に腕を差し込んで起き上がりを助ける。
みんなの助けで上半身を起き上がらせたカァチェンが見渡すと、彼の視線の先に飛び込んできたのは。
今にも死にそうな修司を抱き寄せるミラーガールと、そんな二人の周りに集まる初期の聖龍HEAD、セーラー戦士にキューティーハニー、ナースエンジェルに木之本桜、コレクターズに魔法騎士、最終兵器ちせ、そしてジュピターキッドにウォーターフェアリーに、修司とミラーガールの傍らで修司の顔を見詰める様に腰を下げてるバーンズ達だった。
「……修司……」
ミラーガールが抱き寄せる修司に悲しそうに呼びかけると、修司は小さく返事した。
「……アッコ……バーンズ……みんな……」
小さく返事した修司は、続けてミラーガール達に呟いた。
「俺は、結局……
過去の自分と重ねていたカァチェンに勝てなかったと呟く修司の発言を聞いた途端、ミラーガールもバーンズ達も堪えていた涙が一気に溢れ出た。
ようやく自分達の元に戻ってきた修司は、既に虫の息だった。
そんな中、修司は輝きのない瞳で語り始めた。
「色んな自分で戦ってきた……色んな自分を演じてきた……その結果が、これとは……」
そんな修司を抱き寄せて、ミラーガールは修司を自分の膝枕で横たわらせて話し掛ける。
「私も、結局はあなたと同じ……あなたを傷付けるしか出来なかった、弱い生き物……」
「………………」
ミラーガールの弱々しくも心に響く言葉に、修司は目を泳がせて反応する。
すると今度はバーンズが死にかけの修司に話し掛ける。
「修司、お前は……いや、オレたち聖龍隊は焦り過ぎたのかもしれない。オレ達の代で夢を完成させる必要は無かったんだ。如何に意志を受け継いで、託せる者を育むか……それが大事だったんだろう」
このバーンズの話に、修司はか弱い声で返した。
「……そうやって……時間をかけて、更に弱者が苦しむ時間を増やし続ける……俺は、そんな薄情者にはなりたくなかった……」
『………………』
「……だが、それが最も遠く、そして近い道のりなのかもしれないな……」
最終的に自分の過ちを受け入れ、気付く修司に、聖龍HEADは更に涙する。
「……アッコ。なぜ……なぜ、俺を最後まで見捨てなかった……? 何故、俺を切り捨てようとしなかった……?」
修司の問いかけに、ミラーガールは涙しながら答えた。
「あなたが背負って苦しんでる姿を見てると……私も苦しくなる、放っておけなくなる……ただ、それだけよ」
ミラーガールの言葉を聞いた修司は、感極まり目を見開いた。
怒り、哀しみ、呆れ、自己嫌悪、憎しみ。これらの感情に支配された小田原修司。
そんな彼を止め、救い、そして受け入れたのは、過去に修司が捨てた繋がりある者たち。
かつての仲間達と、その仲間達から繋がりを得た多くの者たちが総力を挙げて挑んだ戦いは終盤へと差し掛かった。
と、ここでミラーガールが優しく修司に言葉をかける。
「修司、帰りましょう。私たちの故郷アニメタウンに……」
だが、これに修司は最初の時と同じように虚無の表情に顔を変えて話した。
「……それは、無理だ……最初から言ってるだろ。破滅の化身である俺が……いいや、俺たち破滅の血族が解き放たれるのは……自由を得てはいけないんだ……」
この修司の台詞に檻の中の新世代型二次元人たちは愕然とする。
「そ、そんな……!」「なんで……!」
激しく動揺する新世代型二次元人たち、そして弱り切った自分を見詰める多くの猛者たちに修司は弱々しくも話し続けた。
「俺達は……もはや、存在しているだけでも世界を未曾有の危険に晒してしまう異種そのもの。それはアッコ、二次元人の願望という元凶であるお前自身も解る筈だ」
「………………」ミラーガールは悲しげな表情で修司の顔を見詰める。
「産まれ付き、欠けた心を持って産まれた障害者たる俺は……時には愛情を欲しながらも、時にその愛情や繋がりに苦しんでしまう欠陥品の如き心……それでも、世界は俺という欠陥品の障害者を……どうしても兵器として、何よりも私物化したいのが現状。世界の未来の為に、俺も新世代型達も……この世に存在してはいけないんだ……!」
「そんな事ないわ! ……修司は誰よりも優しい心を持ってる。それはあなたのクローンである新世代型二次元人も同じ筈よ……!」
涙目で修司の発言を否定するミラーガールだが、修司の考えは変わらなかった。
「……いいや、それでも……俺や俺の呪われた血を受け継いだ新世代型二次元人が存在する以上、俺達を中心に世界は再び争い合うだろう。俺の破滅の血、いや遺伝子を受け継いだ呪われたクローン、新世代型二次元人……俺が、果たせなかった贖罪も含めて、せめて争いの元凶に成り得る新世代型二次元人を醜い世界に解き放つ真似だけはしない。いや、できない……」
「俺達は……俺達は、世界に存在してるだけでも罪だと言うのか!?」
修司の説明を聞いて、檻の中から真鍋義久ら新世代型たちが騒ぎ出すと。
「俺と同じ……悲しい性を、因果を受け継いでしまった哀れな子、新世代型二次元人よ。もう恐れる事はない、もう不安に駆られる事はない……その檻は俺自身の意思でなければ破壊されない永久不滅の檻だ。その檻の中で争いに巻き込まれず、死ぬまで平和な時間を過ごすがいい……それが俺からの、せめてもの手向け……」
なんと新世代型二次元人たちが幽閉されている檻は、修司でしか破壊できないものであり、修司ば新世代型達を檻の中に死ぬまで閉じ込めておく事で彼らを争いの渦中に巻き込ませない様にしたと説く。
「修司待って! その言い方じゃ、あなたは……!」
ミラーガールが問い詰めると、修司は説明し出した。
「ああ……闇の能力を酷使し過ぎた。俺の闇は相手の特殊能力だけでない、生命力をも、寿命すらも吸引してしまう。それは、俺自身の寿命も同じ……本当に終わるようだ、俺という物語、いや伝説がな」
「そんな、修司くん……!」「修司さん……!」
修司の寿命が尽きかけていると知って、セーラームーンや木之本桜たちHEADは悲しみに暮れる。
「ウゥ……! 修司……ッ!!」
悲しみの果てに修司が戻って来てくれたと思われた矢先、その修司が命尽き果てる寸前だと知って、大将は大粒の涙をボロボロと零して項垂れてしまう。
そして最後に、修司は自分を抱き寄せてくれるミラーガール、更に自分を最後まで想ってくれた仲間達に告げた。
「俺という欠けた心を持った欠陥品、そしてその欠陥品の複製品であるクローン、新世代型二次元人達は……今を持って現世と隔離する。それが俺の、世界を真っ白な桃源郷に出来なかった俺の……せめてもの……贖、罪………………」
そう言い残して、小田原修司は静かに瞼を閉じて永眠した。
「修司……修司……っ!」
修司が自分の膝枕の上で永眠したのを見届けて、ミラーガールは大粒の涙を延々と流し始める。
「待てよ……待ってくれよ! 正直、俺たちの事よりも……アッコさんを……ミラーガールを独りぼっちにするなよ!!」
檻の中から新世代型の真鍋義久が涙声で怒鳴り散らす。が、既に修司には届かなかった。
小田原修司の死により、この悲しい大戦は一時の終止符を告げた。
だが、小田原修司は自らの死と引き換えに、自分のクローンである新世代型二次元人の自由をも無くした。
全ては、破滅の血族たる自分のクローンである新世代型二次元人が争いの渦中に巻き込まれない様に。
と、此処で。
新世代型二次元人たちと共に檻の中に閉じ込められているチョコが何かを感じた。
「……っ、待ってみんな!」「チョコ、ちゃん……?」
チョコの呼び掛けに、小田原修司の死に落胆する琴浦春香が返事すると。
「まだ……まだ、修司さんは完全に死んでないよ!」『!』
チョコの発言に一同が驚かされた。
「な、なんだって!? おいチョコ! そいつは本当か?」
師匠であるギュービッドに訊かれて、チョコは真剣な顔で答えた。
「はい! 修司さんはまだ生死の境を彷徨っているだけで完全に死んでません! 何かしらの方法で呼びかければ、きっと戻って来てくれるかも……!」
ミラーガールと同じ魔法少女の系譜であるチョコの発言に、皆は微かな希望を持ち始めた。
「で、でも……どうやって小田原修司を呼び戻せば……?」
新世代型の室戸台地が考え込んでいると、そこにバーンズが切り出した。
「手はあるぞ! 琴浦、それに斉木。お前ら二人とオレのテレパシー能力を介すれば、臨死状態の修司を呼び戻せるかもしれねえ!」
「え?」「ぼ、僕たちのテレパシーで……!?」
「ああ! この戦場にいる全員で修司の潜在意識の中に飛び込んで、直接呼びかければ、もしかすっと……!」
突然のバーンズの提案に戸惑う二人。だが、既に多くの猛者たちがこの提案に乗ってた。
皆の提案を聞き入れ、バーンズは琴浦春香と斉木楠雄の二人と協力して、修司にテレパシーで呼び掛け始めた。
他の者達は三人のテレパシーに便乗し、三人の送信する思想に自分たちの意識を乗せて臨死状態の修司を呼び掛ける。
だがこの時、彼らはまだ知らなかった。臨死状態の小田原修司の精神世界で、修司が見ていた深淵の様な闇の如き過去の体験を。