聖龍伝説 現政奉還記 破滅の章   作:セイントドラゴン・レジェンド

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※このシリーズは架空戦記の物語であり、実在の人物とは関係ないフィクションであります。

※私自身もっと作品の出来を良くしたい一心が抑えきれません。そこで、どなたか心優しい方からのコメントや感想など募集しております。

※多くの方々からのコメントや意見を取り入れて、今後はもっと自分らしくながらも誰もが読みやすい作品に仕上げていきたいと志します。今後とも精進していきますので、何卒よろしくお願いします。

※キャラへの勉強が足りない点も多く見られますが、何卒よろしくお願いします。



現政奉還記 破滅の章5 共闘

[集結するHEAD]

 

 繋がりは絆となり、絆は強さとなり、強さは争いを生む。

 黒き武士(もののふ)が仕掛けた大戦は、多くの猛者たちを気高き意志の元で結束させ、同じ戦場に立たせた。

 そして其処に、新たなる時代を築かんとする、次代を担う五人の武士(もののふ)たちも集った。

 気高き意志を受け継いだ猛者たちの懸命な奮戦により、遂に黒き武士(もののふ)の仮面を砕く事が叶った。

 しかし、その素顔はかつて、二次元の気高き意志を持つ英雄達によって心を与えられた、心無き一人の少年だった男。

 己を鬼神として世界から畏怖させた男は、その素顔が明るみになるや否や、真の力を発揮して多くの猛者たちを苦境に追い詰める。

 男が何ゆえにこの様な大戦を引き起こしたのか。それは己のクローンである新世代型二次元人を、世界が必要とし、無作為に生み出してきた事による悲観からだった。

 己のクローンを生み出し続け、破滅を誘わんとする己を過剰なまでに必要とする世界に失望した男は、その世界そのものを無に誘い、全ての命を安らかなる桃源郷に導かんが為にこの大戦を引き起こした。

 そんな男の真情を知り、絶望する多くの猛者たちと男のクローンである新世代型達。

 だが其処に、ようやく決心を固めて戦場に駆け付けた聖龍隊の頭目HEADが最前線に馳せ参じた。

 彼女達もまた、黒き武士(もののふ)に襲撃された際から薄々気づいていた。この黒き武士(もののふ)が、かつて自分達を束ね、導き、多くの未来を築かせてくれた友で会った事に。

 しかし彼女達の、男たちの決意は固まっていた。この戦いを終わらせ、友である男の暴走を止める為にも、今自分達が戦わねばならない事を。

 HEADと男の戦いは今まさに火蓋が切って落とされた。

 

 かつては友であった男。

 だが今は、全てを無に誘おうとする虚無なる存在。

 その男を止めるべく、HEADは男を、小田原修司と戦うのであった。

 傷つけ、傷つき、奪い、奪われ……

 どこまでも続く、炎の如き憎しみの連鎖……

 修司は、その連鎖を止めるべく全てを無に誘おうとし……

 聖龍HEADはそんな友を止めるべく、悲しき思いで修司との戦いを始めるのだった。

 

「………………」「……修司……」

 双方ともに、只々見詰め合う修司とミラーガールたち。

 修司最初の激しい地中からの猛攻を回避したHEADは、そのまま上空に飛び上がる大地の破片を飛び移って修司に急接近。

 だが接近して近距離戦に持ち込もうとするHEADの意図とは反して、修司は鍛え抜かれた日本刀・聖龍剣でHEADと激しい攻防を展開する。

 修司との激しい攻防を一時ばかし耐え忍んだHEADだったが、修司が繰り出す猛攻に苦戦していた。

「修司……! お願い、新世代型の子たちを解放して!」

 ミラーガールは修司に嘆願するも、修司は無言で何も言い返さなかった。

 それどころか、修司は全ての二次元人の始祖に当たるミラーガールに向けて殺傷する気満々で地を駆ける斬撃「地走り」を放った。

「「アッコ!」」

 メタルバードと大将が声を荒げるが、ミラーガールは盾でしっかりと修司の斬撃を防御して自分を守った。

「修司! オレはテレパシーでお前が戦場のみんなに語っていた事は粗方知っている! そんなに新世代型の存在が許せないのか!?」

 メタルバードがすかさず修司に問い掛けると、修司は空虚な表情でようやくメタルバードたち聖龍HEADに語り出してくれた。

「……そうだ。俺は、この世界が必ずお前らの様な希望の象徴である二次元人によって、より良い方向に変わると信じていた……だが、結局世界は俺と言う力を……破滅の象徴を欲し、望むまでに至ってしまった」

 更に修司は語り続ける。

「こんな世界は終わらせる……! 俺と言う、心の無い異端な……正真正銘のバケモノを望み、そのクローンである異質な新世代型を生み出し続ける世界を、俺は許せなくなった……!!」

 修司は空虚な面差しでメタルバードたちに語った。

「俺と言う醜い、異質な存在と同等の……新世代型と言うクローンを望むだけの世界など、この俺が真っ白な桃源郷と言う安寧に導いて、全てを終わらせる……!」

 そんな修司の発言の数々を聞いて、悲愴な面持ちを浮かべるHEAD。

 居た堪れない状況でHEADが苦境に表情を曇らせていると、そんなHEADからミラーガールが一人で前に歩み出て、目に涙を溜めた力強い表情で顔を上げて修司に話し掛けた。

「……昔から修司は其処が変わらなかったわね。どんなに功績を募らせても、自分の事を毛嫌いして……自分は心がないバケモノだって、自分自身を見下げて……」

「………………」

「そして私たち二次元人が生きていける世界を作る為に、色んな事を裏でしてきて……自分自身を、もっともっと追い詰めて、次第に汚れていって……」

「………………」

「挙句の果てには、自分のクローンでもある新世代型にも厳しく当たる様になって……! 修司! 前から言っている事だけど……貴方はもっと、もっと自分に自信を持って良いのよ! 私だけじゃない、HEADや聖龍隊のみんなだって修司が今までどんなに辛い中、生きていたのか分かってる! だから……」

「分かっているだと?」

「!」突然の修司の反応に驚くミラーガール。

 すると修司はミラーガールに空虚な瞳を向けて話し返す。

「……何も分かっていないじゃないか。俺の苦しみが分かっているなら……何ゆえ、新世代型を野放しにしておく? 何ゆえ、醜いいざこざや争いを続けるアイツらを生かす? ……いや、アイツらが悪事を働くのも……息をする様に人を苦しめる言動をするのも、全ては俺と言う心の無い、欠陥品の如き人間である俺のクローンだからだ」

「修司!」

 修司の言葉にミラーガールの胸は痛んだ。

「アッコ、そして過去の同胞達よ……俺は、もう耐えられないんだ。醜い争いばかり起こす新世代型を生かし続ける世界を……そんな新世代型を生み出し続ける世界を、そして何よりも……! そんな世界に導き、今の現状を作り出した……信じていた今までの二次元人そのものが、信じられなくなり、許せなくなったんだ……!!」

 次の瞬間、修司は闇の能力で宙に浮かぶと最前線に立っているHEADに静かなる敵意を向けた。

「修司、それが……それが今の貴方の理想なの?」

 ミラーガールが修司に問い質すと、修司はやや強く反論した。

 

「理想など………………まやかしだ!」

 

 

 

[全てを信じられなくなって……]

 

 かつての想い人、ミラーガールの説得も、己のクローンを生み出した世界に失望した修司には効果がなく、修司は聖龍HEADと再び熱戦を開始した。

「滅びよ……! 無に還れ!」

 修司は手から巨大な鎌状の漆黒の刃を現出させて、ミラーガールに向けて放った。

 だがミラーガールは悲しむ余裕もないというのに、その攻撃をすかさず盾で防いで自分を守った。

 修司が戦闘を再開したのを視認して、他の聖龍HEADも修司を制止しようと攻撃に転ずる。

 そんな39の精鋭であるHEADの総攻撃に応戦するべく、修司は宙に舞い上がると唱えた。

「甦れ……我が忌まわしき子供たち!」

 すると修司の真下、修司自身の影が伸びて、そこから無数の人影が地上に出現したのだ。

 HEADが一驚する中、その無数の影はそれぞれ形を成していき、なんと今では壊滅した筈の新世党の面々の人型に変わった。

「コイツは……影人間!」

 それは修司こと黒武士が大戦の開幕時に、先攻隊にもぶつけた影人間が続々と修司の影から生み出されていく情景にメタルバードたちは圧倒された。

 メタルバードはすかさず両手を刃に変形させると、群がる影人間たちを次々に斬り倒して片付けていく。

 鬼龍院羅暁、針目縫、セレディ・クライスラーだけでなく、他にも多くの新世党の傘下だった新世代型達に模した影人間が出現し、HEADに襲い掛かる。

 メタルバードに続き、ジュピターキッドやウォーターフェアリー、そしてセーラームーンやキューティーハニーたち版権キャラでもある聖龍HEADが影人間を容赦なく躊躇する事なく倒していく。

 影人間を倒した際に飛び散る黒い液体を顔や身体に浴びながら、HEADは斬り進む。

「存在する我が忌まわしき子供達よ……! 戦いの糧となれ」

 HEADが新世党の新世代型を模した影人間を次々に倒していくのを前に、修司は新たに影人間を生み出した。

 その影人間とは、今は暗黒獣が生成されている巨大繭の頂上に囚われている生存している新世代型二次元人を模した影人間だった。

「ッ……今度は真鍋たちの影人間か……!」

 メタルバードは今や親睦を深めている生存している新世代型達を模した影人間と戦うのを、一瞬躊躇ったが次の瞬間には真鍋の影人間を斬り捨てた。

 メタルバードに続き、他の聖龍HEADも琴浦春香や彩瀬なる、一条蛍に野々原ゆずこらの影人間を迷わず斬り捨てて始末する。

 そんな聖龍HEADの容赦ない攻撃に、大将やカァチェン達はもちろん、頂上から地上の戦場を見下ろす獄中に囚われた新世代型達も蒼然とした。

「これぐらい……アントニオンやパンデモニウムに比べたら、訳ないぜ」

「確かに……今は亡き初期の新世代型も、存在してた脅威だったな」

 キング・エンディミオンが思わず零した言葉を聞き逃さず、修司はかつて今の新世代型の前に生み出された初期の新世代型二次元人を思い出した。

 そして修司は次の瞬間、両手を真上に上げると唱える。

「甦れ……忌まわしき子供達よ!」

 そう修司が唱えると、戦場に多数の巨大な影が浮き出た。

 その巨大な影は形を成して、かつて聖龍隊が倒した筈の獣人型の新世代型であるグラビテイト・アントニオン/アースロック・トリロビッチ/ギガボルト・ドクラーゲン/アイスノー・イエティンガー/バーン・コケコッカー/バンプー・パンデモニウム/オプティック・サンフラワード/ダークネイド・カマキールの影人間が続々と出現してきた。

『………………!』

 目の前に続々と、人型の新世代型達に混ざって出現する獣人型の新世代型の影人間。

 その軍勢に愕然とする聖龍HEADが唖然としていると、彼女達の背後から大将の声が聞こえてきた。

「アッコ! バーンズ、みんな! 無理すんじゃねえ!」

 ミラーガール達が後ろを振り返ると、大将たち赤塚組幹部衆やシバ・カァチェン達が凛々しい顔付きで訴えた。

「お前らだけが修司と戦っている訳じゃねえ! 俺達もいる事を忘れんな!」

「聖女よ……これほど多くの影人間を、あなた方だけで倒し切るのは困難……! 我々も共に立ち向かいます」

「みんな……!」

 二人からの声に、ミラーガールは唖然とするが、すぐに皆々の決意に揺れ動かされて共に戦前を切り開いていく決心をした。

 

 すると修司は戦前に大将やカァチェン達も加勢する戦況に気付くと、更に上空へと浮上すると暗黒獣を生成している大岩で形成した巨大繭の頂上、新世代型二次元人達を捕らえている檻の屋根に移動。

 屋根の上に移動した修司は、手を組んで印の字を結ぶと闇の力で形成されている檻と一体化して、その姿を跡形も無くした。

「き、消えやがった……!」

「新世代型達を捕らえている檻は、暗黒獣を生成する繭と同化している……! その檻と同化したって事は、修司の奴は暗黒獣の繭と一体化したんだろう……なんでかは分からないが」

 姿を消して同化した修司を見て戸惑うマン・サコンの反応に、メタルバードが独自の解釈を述べる。

「バーンズ! 修司を止めるのも大事だけど……新世代型の子達をどうにか解放して、暗黒獣が生まれるのを阻止しないと!」

 ミラーガールがメタルバードに訴え掛けると、メタルバードは考え込んでしまう。

「………………」

 メタルバードが考え込んでいると、エンディミオンがHEADの皆に言う。

「あの檻を壊すには、檻を形成している闇の能力の発生源でもある修司をどうにかするしか手はない。修司を倒して、何とか説得して能力を解除させないと……」

 エンディミオンに続いてナースエンジェルも唱える。

「その為には、まず暗黒獣の繭と同化した修司さんを引きずり出さないと……!」

 と、聖龍HEADが小田原修司を殺さずに説得に持ち込む流れで話し合っていると。

「テメェらのそういうところが胸糞悪いんだよ……!」

「! サコン……」

 突然HEADの話し合いに割り込んだのは、聖龍隊を始めとする二次元人を憎んでいるサコンであった。彼の突然の発言にミラーガールが反応すると、サコンは睨みを利かせてHEADに厳しい現実を言い放った。

「殺さずに済ませる、だあ? そうやって敵にも情けをかけるからこそ、余計な憎しみや悲しみが生まれちまって……さらに敵を生み出す切っ掛けを作っている事に未だ気付かねえのか……!!」

『………………』

 サコンの怒りと憎しみが混じり合った台詞を聞いて、聖龍HEADは誰もが絶句した。

「サコン、今はその様な事を申している場合では……」

 怒れるサコンにカァチェンが説き伏せようとするが、サコンは自分の肩に手を置くカァチェンの手を振り払って続ける。

「こいつら二次元人が今までやってきた事を忘れるな!! 無情にも敵を殺しておきながら、ホンの一部の自分達のダチ相手なら情けをかけて助け出そうとする……こんな身勝手な事あって良いのかよッ!!」

 今まで二次元人によって周りの味方を殺されてきたサコンの台詞に、カァチェンも聖龍HEADも誰も何も言い返せなかった。

 そんな怒れるサコンの本音を知って、大将が彼に声をかける。

「サコン……テメェの言っている事が最もだ。今は猶予がない。修司の言っている事が全て本当なら……暗黒獣が生まれる前に修司を何とかしないと手遅れになる。そう、例え修司を殺してでも……」

 大将の発言に強く反応し、彼の方を振り向く聖龍HEAD。

 

 その間、暗黒獣生成の繭と同化した修司は、繭の中から影人間たちを大量に生産し、繭から続々と出現させていた。

「ッ! 今はとやかく言っている場合じゃない……! 一刻も早く影人間達を片付けて、暗黒獣の誕生を阻止しねえと……!!」

 焦るメタルバードに、目の前に続々と現れてくる影人間たちを目の当たりにした木之元桃矢が問い掛ける。

「そ、総長……! そうは言っても、新世党や今捕まっている第二期の新世代型達は、同じサイズの人間タイプが主流だからいいものの……初期の新世代型、アイスノー・イエティンガーやバンブー・パンデモニウムとかの大型の新世代型まで対処するのは至難の業だぞ……!」

 桃矢の発言を受けて、メタルバードは皆に言った。

「安心しろっ。大型のも含めて、雑魚敵はオレらで何とかしてみせる……!」

 するとメタルバードたちHEADは再び陣形を組むと、体から蒼い光を発光させて再度「大聖光 魔鳥」を発動させる。

 そして一斉に飛び上がったHEADは、大聖光の光から成した刃を両翼から飛ばして、前方で群がる数多の影人間たちを瞬殺した。

『おおっ!!』

「これならイケる!」

「我らも聖龍HEADに続けッ!」

 一瞬で数多の影人間たちを瞬殺した光景を目撃して、聖龍隊士の士気が一気に上がった。

 だが、その間も暗黒獣の繭からは続々と大量の影人間たちが出現し、戦場を覆い尽くそうと進攻する。

 魔鳥の陣形で戦うHEADは、両翼から蒼い斬撃を放ったり、突進して翼で巨大な影人間を斬り倒したりして進撃。

 と、そんなHEADの勇姿を目の当たりにして村田順一が声を上げた。

「HEADだけに戦わせる訳にはいかない……! 僕らも行くぞ!」

『おうッ!』

 順一の声に、彼の指揮下にあるスター・コマンドーの面々も声を上げる。

 そして順一達も魔鳥の陣形を組むと、HEADと同じく「大聖光 魔鳥」を発動させてHEADと共に戦場の空を飛行する。

 二体の幸せの象徴とも言うべき魔鳥が荒れ狂う戦場の大空を飛び交いながら、群がる影人間たちを瞬く間に倒していく。

 

 世界の全てを信じられなくなった男の容赦ない無慈悲な戦術。

 男の戦法に抗うべく、戦場の大空を飛び交う二体の魔鳥。

 二次元の英雄達は、蒼き光を纏って二体の鳥へと陣形を組んで変わると、大空を舞い男の憎しみながらも巨大な悲しみへと挑む。

 まさしく巨大な力と力のぶつかり合いであった。

 

 

 

[魔鳥飛び交う戦場で]

 

 戦場に降り立った聖龍隊最強の戦力HEAD。

 今や袂を分かち合ってしまった友・小田原修司と激しい熱戦を繰り広げるものの、修司の凄まじい戦闘力の前では歯が立たなかった。

 そんな戦況の中、修司は捕らえた新世代型二次元人の生体エネルギーを吸収している暗黒獣の繭と同化し、その繭から大量の新世代型二次元人の影人間を生み出して戦場に解き放つ。

 この乱戦状態に、聖龍HEADは「大聖光・魔鳥」を発動させ、群がる影人間たちを一掃する作戦に出た。

 だが、それでも群がる影人間たちの数を減らすのは至難の業。すると其処に大将やカァチェン達も共に参戦する意気込みを示してくれた。

 更にHEADに続いて村田順一率いるスター・コマンドーの面々も、同じく「大聖光・魔鳥」を発動させてHEADと共に群がる影人間たちを一掃しようと加勢する。

 戦場は混戦に突入。群がる数多の影人間たちを打倒するべく、上空を二体の魔鳥が飛び交い、地上では大将とカァチェンら連合軍の猛者たちが迫る影人間と激戦を開始。

 繰り出される新世代型二次元人の影人間たちを相手に、英雄達の戦いは熾烈を極める一方だった。

 

 数多の怒号が飛び交う戦場では、大地を覆わんとばかりの無数の影人間達が連合軍と総力戦を繰り広げていた。

 地上では大将やカァチェン達、二次元人と三次元人の武人が自分達と同等の大きさである新世代型二次元人の影人間と戦った。

 人間サイズの影人間の中には、小野崎功や風陣カイトそれに法月仁ら今は亡き新世党の面子を模した影人間も見受けられた。

 大将やキリトなど、新世党に苦しめられた経験をした面々は、過去の苦行を思い返してなのか容赦なく新世党の面々を模した影人間達を斬り捨てる。

 しかし、そんな憎まれている新世党の面々以外にも、暗黒獣の繭と一体化している檻の中に閉じ込められている真鍋義久や纏流子らの姿を模した影人間も確認された。

 一瞬ばかり親しい新世代型の姿を模した影人間を倒すのを躊躇してしまう大将たちであったが、そんな影人間も二次元人を恨んでいるマン・サコンは容赦なく双刀で斬り付けて始末する。

「おらおらおらおらおら……ッ」

 サコンは連続で双刀を巧みに使い、善良な新世代型にも模した影人間達を抹殺していく。

 そして一人、先陣を切るサコンは暗黒獣の繭の頂上で戦場を見下ろすしかない新世代型達に中指を立てて吐いた。

「へっ、新世代! テメェらのニセモノをぶっ殺した後は……次はテメェら本物を切り刻むから覚悟しとけよ!」

 そんなサコンの台詞を聞いて、檻の中の新世代型達は非常に気分を害した。

 サコンが新世代型達に罵声を浴びせる一方で、その近くでは他の戦界武将達が目前に迫る影人間達を薙ぎ倒していく。

「おらっと! おいマータン、敵は新世代型二次元人のニセモンだが気を抜くなよ!」

「へっ、解ってますよ阿保席…………要するに、この黒い奴ら全員バラしちゃえばいい訳ですよね? キキッ」

 重量級の鉄球で迫りくる影人間達を容赦なく叩き潰していく黒劉席に指摘されつつも、ゴ・マータンは愚痴を零しながら迫る影人間達に奇刃を投げ付けて躊躇なく切り裂いていく。

「鹿之助よ! 私の兄者を止める為にも……この戦い、決して負けられぬぞ!」

「は、はい! 全力で戦いまっす!」

 義兄である修司を止めるべく奮戦する韓国将軍のサイ・チョウセイの言葉に背中を押され、山中鹿之助は懸命に群がる影人間達を雌鹿のおやっさんと共に倒し続ける。

「聖龍隊の戦乙女たちよ! 私、イン・ナオコも此処に居るぞッ! 共にこの窮地を脱しようではないか!!」

 大声で聖龍隊の女性達に呼びかけながら熱戦を繰り広げるイン・ナオコ。

「某も! まだまだ魂を滾らせられるゥゥゥ! いざ、勝負なり!!」

「Ha! ユキジも熱くなってきたみたいだし……ここらでオレも、いっちょ派手に行きますか! Ah you OK!?」

 己の戦意が炎の如く滾るシン・ユキジを真横に見据えて、隣で戦うデイ・マァスンも派手に六爪の刀を抜刀して熱戦に備える。

「マァスン様、ここは慎重に! 相手は、あの鬼神なのですぞ」

「まあまあ。最近、うち等の総大将に昇格した旦那が久々に燃え滾っているんだ。……やっぱ旦那は暑苦しいのがお似合い、かな?」

 マァスンに冷静沈着に戦うよう指示を出す参謀のタク・モンジュロを宥める様に、モンゴル軍の忍頭である猿飛佐助が久々に戦いに燃え上がる戦意を滾らせるユキジを見て心なしか安堵していた。

「えいっ、えいっ! ビシッと、バシッと…………ふぅ、敵さんの数が多くて大変です」

「鶴姫! 無理に敵に突っ込む必要は無いわ! 無暗に突っ込めば、相手に裏をかかれるわよ」

 一生懸命に弓矢を射る鶴姫に、彼女の戦いぶりを見て聖龍隊のミラールが指摘する。

「おらおらおらっ! ガツンと行くぜ、野郎ども!」

『おうッ!』

 ド派手に鋼鉄製の拳を揮っていく聖龍隊のフロートの掛け声に、仲間のニュー・スターズ隊士は威勢よく返事しつつ迫ってくる影人間達を排除していく。

「巨大な初期の新世代型は後回し! 今は新世党や普通の新世代型達に扮した影人間の排除に専念するのよ!」

 自らが率いるマン・ヒールズの隊士に声かけしながら、ミスティーハニーも勇敢に影人間達を斬り倒し続ける。

「野郎共! オレ様たちも負けずに攻め続けろ! ……ぐふふ、ちせちゃんに良いトコ見せなきゃな」

「兄者、ちせを含む聖龍HEADは皆揃って巨体の影人間を倒しながら小田原修司を追跡している真っ最中……地上の戦闘なんて見てくれてませんよ」

 配下であるスコーピオン同盟の傘下に命じながら、内心HEADのちせに活躍している場面を見せたい欲求に駆られる兄のガイア・スコーピオンに弟のクリスタル・スコーピオンは戦闘の最中で呆れてしまう。

「ふふふふふふ……ああ、鬼神、鬼神よ……! 最後の最後で、あなたは此処までの大いなる戦いを始めてくれたんですね。ああ……! なんという饗宴……!」

 目の前に迫る影人間達を次々に容赦なく無慈悲に切り刻んで消滅させていく黒衣衆の白蓮坊たちは、この影人間達との戦いが終われば自分達の運命を狂わせた元凶、小田原修司との戦いが来るのではないかと淡い期待を抱いていた。

「倒せーー! 地上で戦っている仲間達の負担を、少しでも減らすんだ!」

 地上で数多の猛者達が影人間達を相手に乱戦しているのを視認し、SRMの面々は少しでも地上戦での消耗を減らすべく遠距離から無数の影人間達を狙撃していった。

「聖龍HEADに続けッ! 我らは常勝、聖龍隊なり!」

「聖龍隊だけに突っ走らせるな! 俺らもガンガン攻めてくぞ!」

 戦界武将達の活躍に聖龍隊士や他の軍の兵士達の士気も上がり、果敢に乱戦に繰り出す。

 すると一騎当千の活躍をするサコンが強烈な蹴りを、宮内れんげやアリス・カータレットら新世代型に造形された影人間達を容赦なく蹴り倒していると吐き散らした。

「どうせこの世は一天地六……勝つか負けるか、どっちかなんだ!」

 勝負には勝つか負けるかの運命しかないと豪語するサコンに、カァチェンが言葉をかける。

「サコンよ、貴方の博打好きはどうでも良いが……私達の運命を左右する大戦までも賭け事に例えるのはどうかと思うが……」

 これに対してサコンはカァチェンにはっきりと返した。

「へへっ、運も実力のウチって言うっしょ? 俺は博打で鍛えた運を、実戦でも活用しているだけなのよっ!」

 このサコンの台詞が耳に入り、シン・ユキジが頷いてしまう。

「成程、賭け事も修行の内なのか……」

「た、大将……言っておくけど、この大戦が終わった後に修行と称して博打なんかに手出さないでよね!?」

 サコンの台詞に賭け事も戦いには必要なのかと思ってしまうユキジに、忠臣である猿飛佐助が慌てて制止した。

 

 地上では多くの猛者たちが、修司の意思で生み出される影人間達を次々に倒していく最中、聖龍HEADとスター・コマンドーは魔鳥の光で空を飛び交い、地上で目立っている巨体な影人間達を翼から発生させる光の斬撃で消滅させていく。

「アッコ、みんな! まだ飛べるな!?」

「ええ、バーンズ。まだまだイケるわ!」

 メタルバードからの呼びかけに、ミラーガールが答える。

「ジュン! お前達の方は大丈夫か?」

「はい、大丈夫です! みんなが地上で活躍してますので、エネルギーの消耗は比較的少ないです」

 メタルバードは隣を飛ぶ順一達スター・コマンドーの面々にも呼びかけると、順一が地上で戦う仲間たちの活躍のお陰で大聖光のエネルギー消費を抑えられていると返事した。

 と、空と地上で無数の影人間達を対処していく英雄達であったが、ここで想定外の事態が起こった。

 それは戦前で猛者たちが影人間達と乱戦している時の事。戦前より離れた後方で、国連軍元帥赤犬が指揮している国連軍兵士達が立ち止まっていた。

 すると国連軍兵士達は、バズーカ等の砲撃を構えると、それと同時に赤犬が指示する。

「わしが許可する……! 新世代型共々、暗黒獣の繭を跡形もなく破壊せぇ……!!」

 なんと赤犬は、多くの影人間達を生成している暗黒獣の繭を、その頂上の檻に囚われている新世代型諸共全て破壊する魂胆だった。

 そんな赤犬の作戦を、テレパシーで感知したメタルバードは非常に焦燥した。

「! 赤犬の奴……!」

 メタルバードは旋回して、HEADと共に赤犬たち国連軍を制止しようと上空を駆ける。

 だが赤犬は兵士達に砲撃を命じると同時に、自らも必殺技で新世代型達と共に暗黒獣の繭を破壊しようと攻撃。

「流星火山!!」

 兵士達の砲撃に交じり、赤犬の流星の如く放つ火山弾が上空を飛び交い、戦場を埋め尽くす影人間達とその先の暗黒獣の繭に放たれた。

「赤犬、やめろぉ!」

 自分達の頭上を飛行する兵士達の砲撃と赤犬の流星火山を目の当たりにし、大将が怒号を叫ぶ。

 しかし大将たちの思いも空しく、赤犬が放った無数の火山弾は戦場を覆い尽くす影人間達だけでなく、暗黒獣の繭へと直撃してしまう。

「うわあっ!」

 繭の頂上の檻の中に囚われている瀬名アラタたち新世代型達の阿鼻叫喚が響く中、新世代型達を閉じ込めている檻にも火山弾が直撃してしまった。

 赤犬たち国連軍の攻撃に戦場の誰もが愕然とする中、赤犬元帥は胸を張って言い放つ。

「わしらは最強の正義の軍隊……国連軍じゃ!!」

 自分達を絶対的な正義の軍隊として、聖龍隊よりも格上である事を自称する赤犬。

 

 暗黒獣の繭は破壊され、その繭の頂上に捕らえられている新世代型二次元人達は無事なのだろうか。

 そして暗黒獣の繭と同化している小田原修司はどうなったのだろうか。

 

 

 

[交わらぬ意志]

 

 戦場で跋扈していた新世代型二次元人達を模した影人間達。そしてその影人間達を生成してた暗黒獣の繭。

 その両方を一挙に殲滅したのは、事もあろうに繭の上の檻に閉じ込められている新世代型二次元人達ごと攻撃した赤犬率いる国連軍の猛攻だった。

 影人間達が跋扈していた地上も、影人間達を生成していた暗黒獣の繭も、赤犬が放った「流星火山」で降り注いだ火山弾で埋め尽くされてしまった。

 大地を覆う火山弾で、至る所で蒸気が立ち昇り、戦場の温度が上昇していた。

 この惨状に「大聖光・魔鳥」を発動させて上空を飛び交っていた聖龍HEADとスター・コマンドーの面々は急ぎ地上に舞い降りて赤犬に迫った。

「赤犬! まだ新世代型二次元人の連中も救出していないのに、あいつ等も火山弾の巻き添えにするんじゃねえ……!」

 メタルバードの文句に赤犬は冷徹な対応をとる。

「なァに抜かしちょるんじゃ……! 暗黒獣の繭に生体エネルギーを注ぐ根源である新世代型の連中も片づけなァ、いつなんどき修司にまた暗黒獣っちゅう危なげなモンを生み出される危険が残るじゃろうが。何より、この大戦を発起した修司が繭と同化している今じゃからこそ、攻撃する意味があるんじゃないのか!?」

 赤犬は完全に小田原修司も新世代型二次元人達も、同等に危険な存在として処分する方針だった。

 と、戦場にいた誰もが赤犬の火山弾で暗黒獣の繭も新世代型二次元人達も焼失してしまったと思い込んでいたその時。

 双眼鏡で火山弾が直撃した戦場を遠視していた国連軍兵士が顔色を変えて報告。

「ほっ、報告します! 元帥殿の攻撃で影人間達は一掃! ですが……暗黒獣の繭は無傷であります!」

「なんじゃと!?」

 兵士からの報告を聞いて赤犬は愕然とした。

 すると兵士の報告を同じく聞いたメタルバードは、自身の眼球を双眼鏡に変形させて自らの眼で暗黒獣の繭を確認。

 するとどうだろうか。兵士の報告通り、暗黒獣の繭は無数の火山弾が粘り付いているだけで、その原型を留めていた。

 繭が原型を留めているのを視認したメタルバードは、すぐに繭の頂上そこの新世代型達を収監している檻へと目を向けた。

 メタルバードが視線を上へと向けて繭の頂上を確認してみると、檻には確かに火山弾が直撃していたが、檻は溶けずに原型を留めており中の新世代型達は全くの無傷で助かっていた。

 ホッと胸を撫で下ろすメタルバード。

 と、その時。繭の頂上そう新世代型達を収監している檻の横から、繭と同化して影人間達を生成していた小田原修司が姿を現して、戦場の皆に告げた。

「暗黒獣の繭は、そう簡単には壊せんぞ……! そして、この忌々しい新世代型の連中を閉じ込めている檻も俺でなければ壊せない」

「ぐむむ……! 修司……!!」

 修司の出現に苛立つ赤犬に対し、そんな赤犬に修司は無表情な顔で言付けた。

「赤犬、お前は今でも変わっていないな。自分が信じた正義以外の正義を認めず、それに仇名すものは全て消さなければ気が済まない。それ故に功を焦って無意味な攻撃を仕掛けてしまう……だが、それがお前の長所でもあれば短所でもある」

「………………!」

「まあ、功を焦ってしまったのは俺も同じだがな。理想の世界を追い求めるあまり、多くの人の運命を、そして命を狂わせてしまった。故に俺は悟った……本当に戦いと言う悲劇を止める為の桃源郷を……」

 赤犬に結果を焦り過ぎて無意味な攻撃を仕掛けてきた行為を長所であり短所であると説く修司は、同時にかつての自分も同じだったと語った。

「ッ……! わしがお前の様な半端モンと同じじゃと!? 減らず口を抜かしよる……!!」

「修司……お前が、オレ達と理想を追い求めて戦いが続いていたから……お前は戦いと言う悲劇そのものを終わらせようとしているのか?」

 修司の説明を聞いて、赤犬は憤怒し、メタルバードは哀れみを向ける。

 と、戦場の皆々に淡々と語った修司は、そのまま一瞬で姿を晦ましたと思いきや、猛者たちの最前線に移動して皆の前で対峙する。

 そして空虚な瞳で皆を捉えると、修司は聖龍剣を抜刀して身構える。が、その表情にはやはり生気は感じられなかった。

 これにHEADは即座に戦前に飛び出して修司との戦闘に備える。

 が、戦前に飛び出したHEADに赤塚組の頭領である大将が声を発した。

「バーンズ、みんな!」

 HEADは大将の声に反応すると、大将は真面目な顔で言った。

「……俺にやらせてくれ」

「な、なに言っているんだ!? 常人であるお前が修司に勝てる筈ないだろう!」

「そうよ大将……! ここは私達に任せて」

 大将の発言にメタルバードもミラーガールも自分達に一任してほしいと言うが、それでも大将の意志は固かった。

「いや、頼む! 確かに俺では百歩譲っても修司に勝てないのは、バカな俺でも理解できる……だが、それでも……自分のダチが暴走しているのを黙って観ているだけなんて俺にはできねえ! 頼む、俺にも戦わせてくれ……!」

 友を止めたい、そんな大将の嘆願を聞いて言葉を失うHEADの面々。そして大将の意志を知って力強い面魂で彼の意志を理解する赤塚組の幹部衆達。

 誰もが小田原修司を止めたい、そしてこんな大戦を一刻も早く終わらせたいと願っていた。

 そんな皆の願いに気付いて、ミラーガールが大将にため息を衝きながら言った。

「……ふぅ、男って生き物はしょうがないわね。でも無理しないでよ」

「あ、アッコ……!」

 ミラーガールの承諾を得て、大将は歓喜した。

 そして大将は得物である破槍を構えて前進し、修司の前に立ちはだかった。

 対峙する修司と大将。かつて同じ女を愛し、そして今に至るまで友であった二人の男は黙って向き合っていた。

「……修司……お前のかつての夢は、世界中の人間が平等に幸せになれるってェ夢だった筈。そんなお前の夢に希望をもって……多くの聖龍隊士や、あのカァチェンだってお前の夢を目標に生きている。お前は知らず知らずのうちに、かつての自分とカァチェンを重ね……カァチェンの言葉をかつての自分の言葉として聞きたがってる」

 大将は睨みを利かせて、修司は言葉ではカァチェンの様な若者を否定しつつも、そんなカァチェンに自分を重ねているのではないかと訊ねる。

「お前自身、かつての自分に否定されたいと望んでいるんじゃないのか?」

 確信を衝く大将の言葉を聞いて、修司は空虚な表情でハッキリと否定した。

「否……! カァチェンの心の内が分かっているからこそだ……その全てを否定したいだけだ」

 修司はカァチェンの様な、過去の自分と同じ様な存在の心中を理解しているからこそ、カァチェンの全てを否定しているのだと説く。

 すると修司は突然、大将に向かって駆け出して聖龍剣を逆手で握り締めて押し出す様に斬り付けに行った。

 大将はこれを破槍で受け止めると、激しく押し合いながら修司は大将に語った。

「それともう一つ言っておくが、お前が……いいや、お前達が俺に対して後ろめたく思うこと自体おこがましい。俺が戦争を起こした理由が、政府に勝手に自分のクローンである新世代型を生み出されたのだけが原因だと思っているなら……見当違いもいいところだ」

 修司は大戦を起こした理由が、自らのクローンである新世代型を勝手に生み出されただけではないと語り出す。

 激しい剣戟の最中、修司は大将に語り続ける。

「こんな状況ばかりを作ってきた、聖龍隊と言う組織……そしてアニメタウン……そして多くの二次元人達……俺が本当に絶望したのは……この世界そのもの……この虚しいだけの世界にだ」

 自分が創り出し、自分が守ってきた二次元人。そんな存在と組織が現在に至るまで築いてきた世界そのものに絶望したからこそ、自らは大戦を起こしたと修司は語った。

 

 そんな自らが発端として築き上げてしまった聖龍隊と言う組織と現在に至るまでの時代に絶望する修司と激しく剣戟する大将。

 すると修司は左手で大将が振り回す破槍を受け止め、右手で掴む聖龍剣で大将の首を狙う。

 その寸前、大将は冷や汗をかいて一瞬焦ったが、その時の修司に向かって一筋の閃光が放たれた。

 修司はその閃光を寸前で回避し、一旦大将から離れた。

「大将!」「ミズキ……!」

 修司にレーザー光線を放って大将の危機を救ったのは、大将の配下である赤塚組幹部衆のミズキであった。

「大将!」「私達も加勢するわ!」

 そんな大将の危機に同じ幹部衆のテツや秋夏子たちも駆け付けて、銃器を装備して大将と同じ戦前で修司と戦う意思を示す。

 幹部衆の加瀬を目の当たりにし、修司は全く動じる様子もなく赤塚組幹部衆に言った。

「赤塚組よ……結局はお前達も、大将と同じだな。脇役ゆえに物語の、世界の重責を背負う事も無く無意味な行動に打って出る。何の意味も持たなくなった世界と人の意思を守る為に戦うなど、実に滑稽だ」

 冷淡に告げる修司の言葉に、感情の昂りよりもかつての友が此処まで卑屈になっている現状に内心悲嘆する幹部衆。

 すると、そんな冷淡な言葉を告げる修司に向かって赤塚組幹部衆の背後から男が声をかける。

「そんな事は無いぞ、修司!」

 大将たち赤塚組幹部衆が振り向くと、其処には今や過去の歴戦で視力を失い完全な盲目となりながらも剣士として活躍する早見青児の姿があった。

「修司、俺も大将たちの様な脇役と同じだ……主人公であるハニーといったヒロインの立役者として余り目立たない立場でいた。だが、そんな立ち位置だったからこそ主人公を……愛する人や友を支えられる存在に成り得たんだ」

「………………」

 青児は黙然としている修司に、語り続ける。

「脇役だろうと、主人公を輝かせるだけのサブキャラや想い人であろうと……物語を、世界を美しくあり続けられる存在であると、俺は信じたい……!」

 青児の熱弁にも、修司は黙っていると、青児に続く者が現れた。

「その通りだ!」

「俺たちも青児さんと同じだが……物語を輝かせる一役である事を、誇りに思っている!」

 堂本海斗や月詠イクトが青児の思いに同調するが、そんな思いも修司は否定する。

「……所詮、今の世の物語は全て腐敗してしまっている……美しかった物語が、世界が醜く腐敗し、混沌としてしまった今となっては、もう……その全てを真っ白に塗り替えて、無にしなくてはならない……!」

 全ての物語が腐敗し混沌としている現時点では、その全てを真っ白にして無にしなければならないと豪語する修司の言葉に、戦場の誰もが愕然とする。

 

 だが、そんな修司の言葉を聞き入れても、その前に届いた仲間の声援や青児たち聖龍隊の思いに応えるべく、大将は再び意中の戦意を湧き上がらせた。

 聖龍HEADが見守る中、大将は仲間である幹部衆と共に修司に向かって前進し、再び修司と戦う覚悟を決める。

 

 既に違えてしまった二人の意志。

 その交わらぬ意志の元、大将達はかつての友である修司を止められるのだろうか。

 

 

 

[届かない思い]

 

 交わらぬ意志を持つ小田和修司と赤塚大作。

 かつて同じ少女を想い、お互いに気高い意志を持つ男同士だった。

 しかし今では、全てを無に滅ぼそうとする者と、全てを守ろうとする者という完全に立場の違う者同士。

 大将は仲間である赤塚組幹部衆の援護を受けて、修司と再び激しい戦いに打って出る。

 修司の激しい攻めを、大将とミズキは互いに攻めながら受けて立ち、双方とも激しく火花を散らす。

 修司との激戦を少しでも支援しようと、テツなどの幹部衆は修司に向けて銃撃を発砲。

 だが修司は銃弾を器用に弾きながら大将とミズキと激しく剣戟を繰り広げる。

 修司は大将の破槍とミズキのレーザー攻撃を受け止め鬩ぎ合いながら、大将たちに思いの丈を吐いた。

「大将……俺はもう……空っぽなんだよ……生まれつき欠けていた俺の心は……もう痛みすら感じなくなった……!」

 自分の心は痛みすら感じなくなるほど世界に絶望していると告げる修司に、大将は悲嘆しては問い質した。

「だから独り、聖龍隊が築いてきた時代を……世界を壊して……何もかも全部、消しちまおうって言うのか!? そんな事で……本当に世界の過ちを正せると思っているのか!?」

 そんな問い詰める大将に、修司は問い返した。

「では、こんな世界に居て、どうやって心の無い俺が……こんな俺のクローンである新世代型が世界を変えてくれる?」

 自らを心の無い存在として扱う修司に、大将は真説を説く。

「修司……心ってェのは、手に入れられるもんじゃねェ……他のみんなが与えてくれるもんなんだよ」

 そんな真説を説く大将に、修司は呆れ果てた口調で言い返した。

「キレイ事をグダグダと話せるまで、お前自身も成長したのか……」

 大将の台詞を綺麗事と吐き捨てる修司は、更に冷淡に言い切る。

「現実を……この世界の仲間達との思いを捨て切ってこそ、本当の桃源郷が待っている。世界の現実に気付いていないお前らが、俺を殺せるなんて不可能なんだよ」

 次の瞬間、修司は聖龍剣を一振りして大将とミズキの二人を弾き飛ばした。

「ッ!」「うッ!」

 さらに修司は遠距離から狙撃してくる赤塚組幹部衆にも斬撃を飛ばして、銃器を真っ二つにして使えなくしてしまう。

 愕然とする幹部衆を尻目に、修司と激しい接戦の末に弾き飛ばされてしまったミズキと大将は同じ思いに駆られた。修司は既に昔の、自分達が知っている修司では無くなっている事に。

 悲しい事実を胸中に秘め、大将は再び破槍を手にすると修司を見据えて物申した。

「残念だが……俺にはお前を変えさせるだけの力を持ってない。もう、お前にしてやれるのは………………死だけだ」

 修司を昔の修司に変えられる望みがもう無いと断念する大将とミズキは、そんな修司を死なせる事だけが旧友にしてやれる事だと決断した。

 そんな大将とミズキを前に、修司は一言。

「来い」

 修司の一言を受けて、大将とミズキのコンビは修司に向かって再び接戦を開始。

 修司が振るう聖龍剣を、大将は破槍で受け止めつつ弾き返し、ミズキは修司の僅かな隙を衝いてレーザーを射出して猛攻を仕掛ける。

 そんな激しい接戦の中、大将は修司との激戦の中で覚悟を決めていた。

「まだ俺の中には友を、修司を殺せるだけの力は備わってないかもしれないが……だが、覚悟を固めた以上……俺は……」

 大将の破槍と修司の聖龍剣が激しく火花を散らしてぶつかり合う。

「修司を、討つ……!」

 激しい接戦の中で、大将は友である修司を討つ覚悟を次第に固めていく。

(俺は俺のできることを……この世界を……仲間を……)

 大将は自分の成し得る事を見据え、この世界とその世界に生きる仲間達を守る為にも修司を討つ意思を固める。

「カァチェン達、若い世代を守る事が未来に繋がる! それなら……!!」

 カァチェンや同年代の、三次元人や二次元人の若者達を守る事が未来に繋がると思う大将は、修司に接戦を詰め寄る。

 だが修司の激しい剣戟は、大将の巨大な得物である破槍を容易く弾き返してしまう。

「ひと時だけでも、修司を止めれば……それが暗黒獣を止めるチャンスになる筈……!」

 大将と修司の得物同士が火花を散らし、激しくぶつかり合う。

(かつての修司を守る事は……今の修司を……)

 そんな接戦の最中、大将は昔の修司を思い返しながら同時に修司への決断を口にする。

「俺は……修司を殺す。過去の修司を守る為にも……今の修司を殺す!」

 かつて聖龍隊と共に高い理想と信念を秘めていた小田原修司という人間を、友の思想を守る為にも、今の修司を殺すしかないと判断する大将。

 

 HEAD、そして数多の聖龍隊士に同士である赤塚組、更に赤犬や黄猿など国連軍が見守る中、修司と大将・ミズキ組の戦いは続いた。

 だが、流石は百戦錬磨の小田原修司。大将が豪快に振るう破槍やミズキが射出するレーザーを掻い潜り、二人を難なく返り討ちにしてしまうのだった。

「ハァ、ハァ……」「ゼェ、ゼェ……」

 大将とミズキは双方ともに体力を激しく消耗。しかし修司は息を切らす事無く、平然と跪く二人を見下ろして冷たく告げた。

「だから言っただろう、大将。お前らが俺を殺すのは不可能だと」

 修司は先ほどの戦闘で大将たちに告げた言葉を再び発言する。

「世界の闇と言う真実を知らずに、のうのうと生きてきた脇役であるお前ら赤塚組が……俺を殺し、世界を救うなんて芸当、できる訳がない」

 冷淡に吐く修司の言動に対し、大将は地べたを這いずりながら自分の本音を吐き出した。

「俺は……結局、なにも変えれないのか。ダチを止める事も……みんなを守る事も、何もできないまま全部、終わっちまうのか……!」

 自分の限界に絶望する大将に、修司が追い打ちをかける。

「……そうだ。お前には何も変えられない、何も救えない……己の無力さ、無知に絶望したまま……散れ」

 次の瞬間、修司は瞬時に大将の背後に移動すると彼の首元に向かって振り上げた聖龍剣を振り下ろした。

「お前達の刃は、拳は、結局は………………俺には届かない」

 大将だけでなく、この大戦で修司と戦った誰の刃も拳も、何よりも思いは決して届かないと冷たく呟く修司の言葉を聞き、大将は静かに瞼を閉じて己の最後を噛み締めた。

 修司の一太刀が振り下ろされる瞬間、大将は自分達の非力に思った。自分達は完全無欠じゃない、と。

 

「大将!」「大将ーーっ!」

 山崎貴史や海野なるの声が響く中すら、修司は躊躇う事なく大将の首に聖龍剣を振り下ろす。

 と、修司が大将の首を刎ねようとした、その瞬間。

 聖龍剣を振り下ろそうとする修司の腕を、茨の鞭で捕えて押さえ込む者が。

「大将! 諦めるなんて、君らしくないぞ!!」

 そう必死に修司を取り押さえるのは、懸命に鞭を引っ張るジュピターキッドであった。

 ジュピターキッドが取り押さえる中、修司はキッドの腕力よりも並外れた己の剛腕で鞭を振り解こうと足掻いたが、更にその時。

 別方向からジュピターキッドの茨の鞭とは別の、光のハートが連なったチェーンの様な鎖が修司の聖龍剣を捕らえて、強引に引き寄せ動きを止めていた。

「大将くん! 君たちはもう十分すぎるほど頑張った! 後は私達に任せて!」

 そう大将たちに言うのは、修司の聖龍剣を引き寄せて強引に動きを止めた光の鎖ラブミーチェーンを操るセーラーヴィーナスだった。

 そしてヴィーナスに聖龍剣を奪取された修司に、ハンマーに変形したメタルバードを振り翳す怪力のセーラージュピターと、水の波動を拳に纏わせた拳法で拳を振るう宝生波音が修司の頭上から攻撃を仕掛ける。

 だが修司は瞬時に二人の猛攻を察知し、素早く回避した為に負傷を受ける事は無かった。

 しかしこれによって修司は、傷ついた大将とミズキから離れ、その隙に聖龍隊は戦前に集結すると同時に満身創痍の大将とミズキの許に駆け寄った。

「大将、ミズキさん、大丈夫ですか!?」

「あ、アッコ……!」

「今、治療しますから……」

 駆け寄ってくれるミラーガール達を見て茫然とする大将達に、ナースエンジェルが迅速に治療を開始する。

 ナースエンジェルが治療をする中、修司はただ平然と空虚な面差しで聖龍隊の面々を見詰めてた。

 悲しいほど空虚で生気のない顔をする修司を見て、メタルバードたち聖龍隊は悲愴な面持ちを浮かべる。

「修司……! オレたち聖龍隊の同士よりも付き合いの長い、大将ですら本気で殺そうとするのか? 本気で新世代型共々、この世界を滅ぼそうと言うのか……!?」

 メタルバードが問い詰めると、修司は平然と口を開く。

「……そうだ……だが、世界を滅ぼす前に……世界が生み出した忌まわしき、穢れた命ともいえる新世代型の力を存分に使って、世界に知らしめる……! 破滅を誘う俺の遺伝子を用いたクローンを生み出す事が、如何に自然の生態系を狂わし、世界にどのような影響を齎すのかを……!!」

 修司は改めて、自分のクローンである新世代型二次元人の生命エネルギーを用いて、呪われた自分の遺伝子を利用し続ける世界を滅ぼすと宣言する。

「修司くん……! 自分の遺伝子を私利私欲の為に乱用する世界に失望して、その世界を滅ぼす為に新世代型二次元人の力を利用するなんて……」

「そこまで世界と……そんな現状にしてしまった私たち二次元人に失望してしまったの?」

「うさぎ、ハニー……俺たちが築いた世界は、時代は全て間違っていたんだ。そんな世界を全て、真っ白に塗り替える事こそ、多くの命や想いを安寧に導く唯一の方法なんだ」

 セーラームーンとキューティーハニーの問い掛けに、修司は重い口調で返答する。

「修司さん、世界に失望したのは私達もよく解ります……! だけど、こんなの間違っています……!」

「今を……現在を全て無にする事は、未来をも無くしてしまう事……もし未来が無くなってしまったら、ちびうさちゃんの存在が……!」

「お前ら二人を見ていると、かつてちびムーンと一緒の時を思い出す……三人の小さき勇者の記憶を」

 必死に修司を説得する木之元桜とセーラーサターンを見て、修司はかつて同年齢のちびムーンも交えた三人の幼い勇者の情景を思い返す。

「世界に失望し、その世界が生み出してしまった新世代型二次元人を利用して世界に反逆する修司くんを……私達は全力で止める!」

「私達も修司くんが世界のみんなを滅ぼすつもりなら……本気で戦うから!」

「結、光……人を導き、人との結束を高められるお前達の輝かしい思いですら……今の俺には届かない」

 コレクターユイと獅堂光の決意を前にしても、修司の空っぽの心が揺れ動く事は無かった。

「私たち二次元人は変わり続ける種族、すなわち進化し続ける生命体……そして進化とは争いの歴史そのもの。修司さんは、そんな争いと言う悲劇を失くす為にこんな大戦を起こしてしまったんでしょ……」

「修司さんは昔から優しかった……人と人が争い、傷つけ合うのを見て誰よりも心を痛めたニャ。でも、そんな進化と言う争いを止める為に、自分のクローンである新世代型を利用するなんて……」

「るちあ、いちご……確かにお前ら二次元人は進化し続ける種だ。でも……俺が二次元人の進化と言う争いを止める為だけに、この大戦を起こしたというのは大きな勘違いだ」

 アクア・レジーナの七海るちあにミュウイチゴの切なる思いに、修司は空虚な眼差しで見詰め返すのみ。

「修司……! 私たち二次元人は、あなた達三次元人によって創り出された存在……そんな二次元人も、自分と同じ三次元人すらも信用できなくなったの!?」

「真紅……今の俺は何も信じられない、何も感じられないんだ……! 最早、苦しいを通り越して……実に虚しいだけなんだよ」

 ローゼンメイデンの真紅からの言葉に、修司は悲愴な口調で己の辛く苦しかった心境を語り返す。

「修司……私は、あなたやみんなと出会って……兵器ではない、もう一つの運命を得られるまでに自分を変えられた。自分を変えるという素晴らしい変化を与えてくれた、あなたがその変化を否定するなんて……悲しすぎる」

「ちせ、それは大きな勘違いだ……俺もお前と同様に変えられただけの存在。俺は決してお前の運命を変えた訳ではない。むしろ……狂わせてしまっただけだ」

 最終兵器だったちせの悲しみを聞き入れながらも、修司は自分もちせ同様に二次元人によって変えられただけの存在であり、敢えて言えばちせ達の様な死ぬ運命だった二次元人達の運命を狂わせた元凶だと説く。

 

 そして最後の方で、HEADでも軒並みの実力を秘めているメタルバードやジュピターキッド、そしてウォーターフェアリーにミラーガールが修司に訴える。

「修司……もう、もうオレ達の思いは交わらないと言うのか!? オレ達の思いは、もうお前に届かないまで……お前の心は荒んでしまったのか」

「荒んだ訳ではない。俺の心は、生まれた時の俺に戻っているにすぎん……そう、心のない、正真正銘のバケモノという穢れた存在に……」

「義兄さん! 僕は義兄さんや聖龍隊のみんなと出逢えた事で自分を変える事が出来た……義兄さんが僕を兄弟分にしてくれた事も含めて、人には誰かを変えられる可能性がある事を、聖龍隊は……義兄さんは証明してくれた!」

「そう、人は人によって変えられる……ジュニア、お前の言う通り正しい方向に変えられるだけではなく……悪しき道へと誘う様に、悪しき姿へと変えられてしまうのも人の弱いところだ」

「修司さん……! 私は貴方に……聖龍隊のみんなから、新しい命を……生きる意味を与えて貰いました! そんな貴方が、全ての命を無にするなんて……!

「懐かしいな、アプリコット……お前が俺の存在の影響を受けて変革したアッコのセイント・コンパクトの力で甦り……そして最愛のフロークを喪った悲劇が、昨日の事の様だ……」

「…………修司…………まさか貴方が黒武士だったなんて。そんな気配や予感はしていたけど、けど……私達は信じたくなかったわ」

「アッコ、前にもみんなに言っていた筈だ……真実とは、時には残酷なものなのだと……」

 修司に各々の思いを問い詰めていくメタルバードたちに対し、修司は淡々と空虚な面差しで返すばかり。

 

 最早かつての友である小田原修司に、聖龍HEADの思いは届かないのか。

 新世代型二次元人の誕生は、小田原修司の心を完全に奪ってしまったのか。

 もうこの大戦を止める事は、小田原修司を止める事はできないのか。

 

 今この戦場で立ち向かう多くの聖龍隊士を始めとする猛者たちの。

 何よりも新世代型二次元人の未来を取り戻すべく、聖龍HEADは小田原修司と再び対峙するのであった。

 届かない自分達の思いを、胸中に仕舞い込んで。

 

 

 

[目覚める獣]

 

 懸命な旧友からの、そして聖龍HEADからの思いが全く届かなくなっていた小田原修司。

 そんな小田原修司を止め、自分達と新世代型二次元人たちの未来を取り戻すべく、聖龍HEADは赤塚組を始めとする仲間達と共に再び修司と悲しい思いで戦うのだった。

 悲しみが争いを生み、争いが新たな悲劇を生み。

 一人の男の失望と悲しみから始まった大戦は、今なおその戦火が収まる事はなかった。

 

「この……ッ!」

 赤塚組の頭領、赤塚大作こと大将が得物である破槍を豪快に振るって錨の部分で修司を捕らえようとする。

 しかし修司は大将が振るう破槍を容易く回避すると、キューティーハニーに急接近して聖龍剣で斬りかかる。

 キューティーハニーは即座に反応し、修司の斬撃をハニーフルーレで受け止め、辛うじて攻撃を防ぐ。

 修司とキューティーハニーが激しく接戦をする最中、そこに赤塚組でキューティーハニーの旧友である秋夏子が新たに装備した小銃で修司を狙撃、キューティーハニーを援護する。

 それに修司は弾幕を素早く武器で弾きながら、一旦キューティーハニーと距離を置く。

 すると、距離を置いた修司にセーラージュピターが強力な電撃を溜めて、レーザー砲に変形しているメタルバードに電撃を打ち込む準備をしていた。

「ジュピター、頼んだ……!」「了解……!」

 次の瞬間、セーラージュピターは溜め込んだ電撃をそのままメタルバードに打ち込んで、メタルバードはジュピターの電撃をエネルギー源に強力なレーザー砲撃を修司に向けて放った。

 しかし修司は聖龍剣を素早く鞘に納めると、手から闇の能力で作り出した長い棍棒を回転させてメタルバードが放射したレーザー砲撃を弾いて無力化してしまう。

 セーラージュピターとメタルバードの連携攻撃を防いだ修司。だが、そんな修司に今度は上空からちせとローゼンメイデンの面々が飛んできて攻撃を仕掛けていく。

 ちせの爆撃とローゼンメイデンの多種多様な攻撃を受けて、辺りに硝煙が舞い上がる中、一時的に修司の視界が塞がった。

 すると其処に修司の死角をついて、真紅が修司に急接近して、直接修司に殴りかかろうとする。が、修司は気配だけで真紅の拳を素手で受け止めて、彼女の打撃を防いでしまう。

 それどころか、修司は真紅の右手を掴んだまま彼女を振り回して地面に叩き付けた。

「ッ!」

 修司によって地面に叩き付けられた真紅は悶絶してしまう。

「真紅!」

 上空のちせや他のローゼンメイデン達が声を上げると、その声を標しに修司が斬撃を打ち込んで反撃。

 滑空していたちせやローゼンメイデン達は斬撃を受けてしまい、墜落してしまう。

「ちせちゃん!」「みんな……!」

 聖龍HEADの戦いを見守っているスコーピオン同盟のガイアや水銀燈が声を上げた。

 そんな上空から攻撃を仕掛けてきたHEADの面々を撃墜した修司が落ち着いていると、そんな修司を光るプリズム状の螺旋が飛来して修司を拘束する。

 その光る螺旋を発射したのは、コレクターズであった。彼女達は修司の動きを止めようと、電子の光線で修司を拘束したのだ。

 だが、修司はスグに自分を拘束する螺旋を打ち破り、粉々に砕いてみせるとコレクターズに向けて鋭い眼光を飛ばした。

「……っ! 修司くん……もう、私達にすら敵意を向けてしまうの……!?」

 眼光を向けられたコレクターユイ達は、一瞬動揺しながらも、修司がもう過去の様に自分達に心を許してないのかと心を痛める。

 そして修司は無慈悲にもコレクターズに向けて斬撃を放ち、彼女達を攻撃した。

「「「きゃあっ!」」」

 ユイ/ハルナ/アイの三人は悲鳴を上げて、硝煙の中に消えてしまう。

「みんな!」「クソッ」

 三人が攻撃を受けて硝煙の中に消えたのを目撃した赤塚組の市川レイコと一太郎夫妻は、修司に向けて小銃を乱射。

 しかし修司は瞬時に移動して一瞬の内に姿を晦ますと、次の瞬間には一太郎とレイコの後ろへと移動していた。

「「ひっ!」」

 修司に後ろを取られた二人は青ざめてしまうが、そんな二人に修司はお構いなしにと聖龍剣を振り上げて斬り付けようとする。

 と、その時。修司が振り上げた聖龍剣にハートが連なった様な黄金に輝く鎖が巻き付いて、聖龍剣の動きを封じると同時に修司の手から引き離されかける。

 修司が振り向くと、視線の先にはラブミーチェーンという技で聖龍剣を捕らえて離さないでいるセーラーヴィーナスの姿があった。

「……美奈子か」

 呟く様にヴィーナスの本名を言った修司に、ラブミーチェーンを力の限り引き寄せるヴィーナスが言い返す。

「修司くんから武器を……聖龍剣を取り上げたくはなかったけど……!」

 だが、か弱いヴィーナスから聖龍剣を奪取されまいと修司は剛力の腕で引っ張り返してきた。

 修司の剛腕に根負けしそうになるセーラーヴィーナスは何とか修司の戦力を削ぐ為にも聖龍剣を強奪しようと必死に食い下がる。

 そんな修司とセーラーヴィーナスの綱引きが、危うくヴィーナスが力負けしそうになった次の瞬間。

「パワー! ソード!」

 木之元桜がパワー(力)のカードでヴィーナスの力を一時的に増強した事で、ヴィーナスは遂に修司から聖龍剣を奪取してみせた。

 武器を失い、がら空きの腕を見詰める修司に先ほどカードを使用したさくらがソード(剣)のカードで出現させた剣を振るって修司に斬りかかる。

 だが修司は何もない手から闇の能力で武器を作り出し、両手に小型の剣を作り出してはさくらとそのまま激しい剣戟に突入。

 さくらは修司の剣戟を剣で何とか辛うじて受け流して防いでいくが、剣での戦いに慣れている修司を相手に勝ち目はなかった。

 次第に追い詰められていくさくらの衣服には、修司が振るう二刀の剣で切られた箇所が目立つ様になる。

 両手に持つ忍び刀の様な二対の剣でさくらを追い詰める修司。

 すると其処に血相を変えたウォーターフェアリーが、鬼の様な形相でさくらに斬りかかる修司に大水を打ち込んで押し流してしまう。

 水を浴びた修司は、なんの動揺もなく放水してさくらと距離を置かせたウォーターフェアリーに顔を上げて見詰めた。

「私も……もう、友達を……大切な人を失いたくない! 修司さん、貴方の思いは私たちが一番よく分かっています!」

「その恐怖が……トラウマが……悲劇を繰り返しているのだと、なぜ受け入れない……!」

 そのまま修司とウォーターフェアリーは闇の刃と水の刃で激しい接戦を繰り広げた。

「水手裏剣!」

 猿飛佐助が使う大型の手裏剣よりも巨大な水の手裏剣を投げ込んで修司に攻撃するウォーターフェアリー。だが、修司も闇で作られた同型の手裏剣を投げ付けてウォーターフェアリーが放ってきた水の大型手裏剣を相殺し、双方の手裏剣は消滅した。

 修司はそのままウォーターフェアリーに向けて槍状の闇の棒を無数に放出して、ウォーターフェアリーを串刺しにしようとする。

 だがウォーターフェアリーに攻撃が当たる直前、魔法騎士の三人が同時にウォーターフェアリーの前に立ちはだかって彼女に降り注ぐ槍状の棒を全て剣で弾き返して仲間を守った。

「もう躊躇わないよ……修司くん!」

「今の貴方を止める事がハッピーエンドに繋がるかは分からないけど……」

「それでも! 私たちは諦めません! 私達の未来、そして何よりも新世代型の皆さんの未来を守る為……」

「「「私達は全力で、君を! 「「貴方を!」」止める……!」」」

 光/海/風の三人の意気込みを聞いた修司は、彼女達の愛機である魔神たちが遠方のSRMの軍勢の中で此方を見守る様に見詰めている事に気づく。

「……なるほどな。戦力はまだ念には念を入れて温存しとくという訳か」

 修司は光たちが魔神を最終手段としてまだ温存してる現状を察する。

 と、そんな修司同様に瞬間移動の様に瞬時に移動して修司を取り囲む乙女たちが。それはミュウイチゴを筆頭としたミュウミュウズだった。

「今度はお前らか……いちご達よ」

「修司さん! みんなの未来を返してもらうニャン!」

 ミュウイチゴの合図で、ミュウミュウズは一斉に修司に飛び掛かる。

 だが修司は変幻自在な闇の武器でミュウミュウズを片っ端から痛め付けて、返り討ちにしてしまう。

 修司の操る武器で痛め付けられ、地面に這い蹲るミュウイチゴ達に修司は冷え切った目で見詰めるばかり。

 そして修司が彼女達にトドメを刺そうとした、その時。

「みんな! そこから離れて!」と、七海るちあの声が。

 修司が振り返ると、その先には巨大な津波が迫っていた。

 マーメイドメロディーズの発生させた津波が修司に覆い被さろうとした寸前、ミュウミュウズは辛うじて退避。

 修司は津波に飲み込まれるのだが、その瞬間にセーラーマーキュリーの凍て付く波動を受けて、修司は津波に飲み込まれたまま大水の中で凍り付いてしまった。

「修司くん……」

 セーラーマーキュリーは、かつて同じ理想を抱いていた修司が此処まで世界に失望した事で変わってしまった事に悲しみを抑え切れなかった。

 しかし、修司を閉じ込めていた氷塊は物の見事に内部から玉砕されてしまい、修司はスグに自由を取り戻す。

 そして修司が地上に足をつけた瞬間「樹念縛!」と、ジュピターキッドがかつて聖龍使いだった修司から教わった技で、修司の足を捕らえた。

 無数の蔦が修司の足に絡みつき、修司の行動を制限すると思われたが、修司は気迫だけで自分の足と大地を覆う草木を吹き飛ばし、ジュピターキッドの樹念縛を振り解いてしまう。

 再び猛威を振るおうとする修司に、覚悟を決めたミラーガールが突撃。

「修司ィーーーーッ!!」

 ミラーガールと修司の刃が、鏡の刃と闇の刃が激しくぶつかる。

 そのままミラーガールと修司は激しい剣戟を開始した。

 すると修司は攻撃力や戦闘力を上げる為か、日本刀の形状にしていた闇のエネルギーを消して、今度は忍び刀の様な二対の両刀でミラーガールと決する。

 しかしミラーガールだけでは修司に歯が立たないと思った聖龍HEADの面々は、彼女に加勢しようと刀や剣を扱う者は一気に修司に斬りかかって行く。

 だが修司はミラーガールの剣戟だけでなく、彼女に加勢する多くの聖龍HEADの剣戟すらも両刀で防いでいき、見事なまでに対応していた。

 

 ミラーガールに、加勢しに来た両手を刃に変形させたメタルバードに剣を武器に戦う木之元桜や魔法騎士、キューティーハニーに水の刃で応戦するウォーターフェアリー。

 数多の英雄達を相手に、修司は果敢に刃を振るっていった。

 状況に応じて、聖龍剣だけでなく闇の能力で武器を作り出しては、武器を使い分ける修司。その戦法に修司とHEADの戦いを見守るしかできない多くの者たちは愕然とするばかり。

 と、ミラーガールやメタルバード達が修司を相手に死闘を展開しているのを、悲観しながら見守っていたセーラーヴィーナスが此処である現象に気付いた。

 それは、先ほど自らの技ラブミーチェーンで修司から奪取した聖龍剣が黒い靄となって消滅するのを目の当たりにしたのだ。

 聖龍剣が消滅したのを目撃したヴィーナスは、ここでようやく事実に気付いて大声で皆に呼びかけた。

「違う! それは本物の修司くんじゃない!!」

 光の鞭ラブミーチェーンで捕らえた聖龍剣が目の前で消滅したのを目の当たりにしたヴィーナスは、修司と激しく戦い合う皆に大声で叫んだ。

 修司と激しい剣戟を繰り広げていたミラーガールやメタルバード達は動きを止め、一斉にヴィーナスの方へと振り向いた。

 激しい戦闘で負傷したHEADや仲間達を治療していたナースエンジェルも、ヴィーナスの声に反応してピタリと動きを止める。

 一方の修司は、ヴィーナスの一声で同じく動きを止め、空虚な面差しで呟いた。

「……ふぅ、まさかうさぎ同様に、おっちょこちょいな美奈子に最初に気付かれるとは…………まあ、それだけ美奈子が、お前達が変わってしまったという事か……」

 そう呟くと、なんと修司は皆の前から忽然と姿を消滅させてしまった。

 その様を目の当たりにしたメタルバードは、ヴィーナスと同じく激しく動揺しては愕いた。

「まさか……! 今までの修司は……!!」

 と、ここで修司が消えた状況に理解できない大将がメタルバードに問い詰める。

「お、おいバーンズ、アッコ……どういう事なんだ!?」

 状況を呑み込めない大将たち赤塚組に、メタルバードは説いた。

「赤犬の火山弾による総攻撃を受けた直後に、暗黒獣の繭から出現した修司は最初っから偽者……! そう、修司の闇の能力が生み出した闇分身だったんだ」

「! て、てェことは……俺たちが最初っから相手にしていた修司は分身で、偽者だったって事か!? それじゃ、本物の修司は……!?」

 メタルバードの説明を聞いて愕然とする大将に、メタルバードは続けた。

「最初から、修司は暗黒獣の繭から出てはいなかったんだ……最初から、そう……全ては単なる時間稼ぎ。修司の本当の目的は……!」

 途轍もない険しい表情で説くメタルバードの口振りに、大将たちは蒼然とするばかり。

 そして、そんな地上での戦い振りを見守っていた暗黒獣の繭その頂上の檻の中に幽閉されている新世代型達すらも愕然としていたその時。

 暗黒獣の繭が突然揺れ出し、檻の中の新世代型たちは動揺し出した。

「う、うわっ!」「なんだ? この揺れは……!?」

 新世代型の真鍋義久や東郷リクヤ達が檻の中で動揺していると、地上では突如として揺れ出した繭を見上げてメタルバード達は険しい表情で唱え始めた。

「やはり……修司の目論みはこれか……!」

「自分の闇分身に僕たちと相手をさせて、時間を稼ぎ……」

「……暗黒獣の生誕までの時間を……作っていたんだわ……」

 メタルバードにジュピターキッド、そしてミラーガールと現在の聖龍隊ビッグ3が、揺れ動き始める暗黒獣の繭を見上げて呟いた。

 

 その間にも暗黒獣の繭はひび割れ、亀裂から粘着質の黒い物体が滲み出て、次第にその粘着物は繭そのものを覆い尽し始める。

「な! なんだよなんだよ……!!」

「「「「………………!」」」」

 新世代型達と共に幽閉されてしまった千両道化のバギーやプロト世代の海道ジンに、怯え出すチョコに桃花にギュービッド。

 そして瞬く間に黒い物質は巨大な大岩である繭を覆い尽くすと、台地に近い箇所からは太くて禍々しい二本の足が生えてきて、頂上からは大きくてギザギザの歯が並んだ巨大な口が開き、全身の表面には鱗の様な硬い突起物が埋め尽くされた、なんとも巨大で禍々しい怪物がその全貌を露にした。

 禍々しい怪物へと変貌した繭を目の当たりにして、恐怖と絶望で表情を蒼褪める地上の猛者達と檻の中の二次元人たち。

 すると繭と一体化し、今では完全に暗黒獣と一体化に至った小田原修司が、暗黒獣の頭上に在る檻の中の二次元人たちと地上の猛者達に向かって言い放った。

 実に禍々しい暗黒獣の姿で。

 

「終わったよ……この世界がな……!」

 

 

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