最終防衛学園 ~貞操危機編~   作:ゼフィガルド

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ここからの続き

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※R-18です。


【好き好き編】33日目 その2

 蒼月が出て行ったあと、拓海は直ぐに面影に連絡を入れた。予め待機していたんじゃないかって位に直ぐに来て、診察をしてくれたが。

 

「裂肛だね。多分、ローションも何も塗らなかったんだろう?」

「そうだよ。滅茶苦茶痛かった……」

「相変わらず、彼の愛情表現はサディスティックだね。どうする? 普通の治療を続けるか、一回死んで、蘇生マシーンに掛かるか」

「普通に治療してくれ」

 

 1周目でも似たようなことがあったが、死ぬという選択は取りたくはない。

 普段は変態だが、患者を診るときはこの上なく真っ当な面影のおかげで手当ては済んだのだが、直ぐに良くなる訳ではない。

 

「暫くは、排泄時にも痛みが伴う。どうしても我慢できない時は、私が介錯するよ。痛みも何も感じない位に一瞬で死ねるから」

「……ちょっと意外だな。面影はそう言うのに拘るモンだと思っていた」

 

 自分の記憶にある面影は非常識な常識人であるが、殺人に関しては一家言があり、手段として使う。というのは、彼のやり方に反する物だと思っていた。

 

「使える物は使った方が便利だからね。勿論、手当すれば治る物はそうした方が良いけれど。暫く、澄野君は激しい運動はしちゃ駄目だよ」

 

 現状、防衛戦は発生していないし、激しい運動と言えば……する位しか無い。手当もして貰って、一安心したのか。ドッと疲れが押し寄せてきた。どうしようもない位に瞼が重くなって来たので、目を閉じた。

 

――

 

「じゃあ、たっくん。挿入れるね……」

 

 見慣れた部屋、見慣れた東京団地。そして、何故か四つん這いになっている自分。後ろを見れば、パンツを下ろした幼馴染ことカルアの股間にはゾウさんがぶら下がっていた。

 

「ま、待ってくれ! そうはならないだろ!!」

「なっているよね」

 

 しかも、大きい。どうやってパンツの中に収まっていたんだって言う位に大きい。雄として敗北感を覚える……とか、そんなんは置いといて。

 

「考えてくれ! 肛門は出す所であって、入れる所じゃないんだ!!」

「じゃあ、私の欲望を吐き出すね」

 

 言葉は分かるが会話は出来ないとはこのことか。直ぐにパンツを履き直して、ズボンを上げた。そして、慌ててカルアの肩に手を置いた。

 

「いいか。カルア! オレもお前のことは意識しているけれど! 段階飛ばし過ぎだろ! これじゃあ、レイプだ!!」

「たっくんのことが好きだったのよ!」

 

 どっかで聞いたことがあるセリフを吐きながら、カルアはポケットから取り出して来たガーゼを口に押し当てて来た。

 

「う、うもう……」

 

 空に手を伸ばした。お前、本当に男なのかと確かめる様に胸元を触った。やーらかい感触がそこには。

 

――

 

「キャーッ!!!」

 

バチコーンと引っ叩かれた。頬に走る痛みに戸惑いながら、周りを見渡した。

ここは最終防衛学園の自分の部屋だ。そして、目の前には白い制服を着たカルアの姿が……。

 

「って、カルア!?」

 

 どういうことか。自分は未だ夢の中にいるのか? と思っていたが、直ぐに否定された。

 

「私だよ! 霧藤だよ!」

 

 カンカンに怒っていた。貞操観念がスッカリ緩くなっていたので失念していたが、無闇に異性の体を触ることは、望ましいことではない。直ぐ、拓海は頭を下げた。

 

「ご、ごめん。でも、なんで霧藤がオレの部屋に?」

「澄野君が夕食の時間にもなって、食堂に来なかったから心配で見に来たの」

 

 まさか。と思って、外を見た。すっかり日は暮れていた。どうやら、相当長いこと寝ていたらしい。

 

「そうだったのか。それなのに、ごめん」

「ううん。私もちょっと驚いて引っ叩いちゃったけれど、大丈夫。その様子だったら、未だ食べてないよね?」

 

 少し離れた場所に、2人分のハンバーガーと出し巻き卵を乗せたトレーが置かれていた。隣にはコーラも添えて。

 

「持って来てくれたのか?」

「うん。一緒に食べよ?」

 

 霧藤に渡された物を受け取って一口齧った。こうしていると、彼女の姿も相まって、東京団地に帰って来た様な気分になる。……そんな物は存在しないが。

 

「なんで、まだ。その制服を?」

「可愛くて気に入ったから。髪型の方も下ろした方が楽だし」

 

 つまり、今の彼女の姿は『柏宮カルア』と瓜二つだ。望んで、願って、本当は無かった物が目の前にいると。どうにも心がかき乱されてしまう。

 自分の心の平静の為に元に戻せ。という訳にもいかないし、前の方が良かった。というのは、デリカシーが無さすぎる。

 

「そっか。そう言えば、イヴァーの方はどうしているんだ?」

「部屋が空いていなかったから、私と相部屋になったよ。怠美ちゃんや狂死香ちゃん達とは仲良くしているよ!」

 

 つまり、それ以外とは……と言うことか。恐らくだが、霧藤の交友関係をそっくりそのまま受け継いでいる感じになってそうだ。

 

「出来れば、皆とも仲良くして欲しいんだけれどな」

「なんで? 向こうは別に仲良くしたいと思っていないみたいだし」

 

 霧藤にしては妙にトゲのある言い方だったが、否定する気にはならなかった。それだけ、彼女と皆には隔たりがあるのだから。

 

「……まぁ。喧嘩だけはしないようにな」

 

 むしろ、何も言わずに距離を取ろうとしていた時から比べたら、こうして自分に考えを言ってくれるのはかなりの進歩じゃないだろうか? いや、自分が遠ざけたい側に居たからだろうが。

 

「出来るだけ、努力する。だって、もこちゃん達以外は澄野君に酷いことをしていたし……。お尻、大丈夫?」

 

 なんで、霧藤が知っているのか。というのは、言わなくても良いだろう。この部屋には監視カメラが仕掛けられているのだから、見ようと思えばいつでも見れる。

 

「正直に言うと、まだ痛い……」

「蒼月君と言い、川奈さんと言い。2人共、自分の考えばっかりで酷いよね」

 

 基本的に女子に対して下の名前にちゃん付けで呼ぶ霧藤が、名字で呼んでいることから、川奈への好感度は非常に低い状態にあるのだろう。

 

「でも、2人共凄く頑張ってくれているし。2人に返せることって言ったら、オレにはこれ位しか無いから……」

「澄野君にはもっと自分のことを大事にして欲しいな」

 

 自分のこと。と言われても、何を大事にすればいいか分からない。

 今更、貞操やら何やらは残っていないし、こうして戻って来たのも皆を助ける為なのだから。自分のことが後回しになるのは仕方がない。

 

「自分のことを大事に。って言われてもなぁ」

「澄野君には何かしたい事とか無い? ホラ、もこちゃんみたいに将来は美容関係の会社を立ち上げたい。みたいな」

「したい事か……」

 

 少し前まではあった。この学園の皆と生き延びて、東京団地に帰って、カルアや母親と一緒に元の生活に戻る。その後は、自分が戦い抜いたなんてことも忘れて、平凡だらけな要素で作られた日常に帰る……なんて、夢は。もう叶うことは無いのだから。

 

「澄野君?」

「出来ることなら。もう一度、母さんとカルアに会いたい。オレ、そんな将来のことまで考えられないから」

 

 霧藤の方を向く訳にはいかなかった。彼女は霧藤であって、カルアではないのだから。そんな彼の心を見透かしたかのように、彼女は拓海の顔を掴んで、無理矢理自分の方を向かせていた。

 

「私はカルアさんになれないけれど。澄野君の心を埋めることは出来るかな?」

 

 少し前までは、汚い物を見るような目で自分のことを見ていた彼女が、自分のことを心配してくれている。何が起きるかは本当に分からない。

 

「……じゃあ。澄野君じゃなくて、たっくんって。呼んで欲しい」

 

 相当変態なことを言っているんじゃないんだろうかと思ったが、今更、気にする様な恥じらいを持てる身分か。霧藤は少し悩んだ後、恥ずかしそうに言った。

 

「たっくん」

 

 特別な状況とかじゃなくて。日常で、こう呼んで貰えることを待ち侘びていた。彼女は霧藤であって、カルアではない。

 それでも。縋ってしまうのは、拓海が英雄でも何でもない。ただの男子高生だったからだ。

 

「なんか、変態チックなことしている気分だ」

「そんなことはないよ。たっくんにとって大事な日常だったんでしょ? 私で良いなら、これ位はさせて欲しいな」

 

 自分が大事にして来た物に歩み寄ってくれるのが嬉しい。バスでの一件があってから、どうにも彼女との関係性が変わって来ていて、それが妙に心地良くて。暫く、他愛のない話をして時間は過ぎて行った。

 

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