迷い込んだ凶鳥   作:ゲット虚無

30 / 34
Q.主人公の性格とか能力を見るにヒュッケバインよりもグルンガストに乗せた方が強くない?

A.なんだァ? てめェ…… と言うのは冗談で。
正直な話、リョウガ君は強念者な為、乗せたらホントに無双しだすので乗せられません。
ボクサーが出てないのも現状からすれば、過剰戦力すぎるからです。


彼らの語らい

 

 サイド6――イズマコロニー。

 

 その人工重力の心地よさを、今でも俺はどこか他人事のように感じてしまう。

 

 目の前に広がる整備された都市。人々が笑い、歩き、買い物をして、時折、空を見上げては生活の一部としてコロニーの天井に投影された「青空」を楽しんでいる――そんな風景が本当に“現実”なのかどうか、ふとした瞬間に疑ってしまう。

 

 ……いや、正確には「この世界の」現実、か。

 

 俺の元いた世界でのここは、もう“場所”としての意味すら成していなかった。

 

 俺がまだ子供で地球で暮らしていたあの頃――月を乗っ取ったインベーダーたちが、次に目をつけたのがスペースコロニーだった。人が密集し、生存に不可欠なライフラインが完備され、外界との接触が限られた閉鎖空間。連中にとっては、まさに“狩り場”として理想的な環境だったのだろう。

 

 人間の命も、そこに存在する物資も、インベーダーから見ればただの“餌”に過ぎなかった。

 

 連邦軍のモビルスーツたち、そして地球で開発されたスーパーロボット軍団が応戦に駆り出されることになった。

 

 激戦の末、連中を月へと追いやり、最後には“月面戦争”と呼ばれる決戦によってその存在を一掃――された、はずだった。

 

 まぁ、実際には“絶滅”なんて都合のいい結末ではなかったんだがな……。

 

 当時を語るアムロさんや竜馬さんの言葉を借りるなら、「一年戦争の陰で、もう一つの大戦が続いて起こった」という話になる。

 

 俺も何度か戦ったことのある敵だから分かることだがインベーダーは手加減無用の敵だ、しかし真に恐ろしいのはその圧倒的な物量と尋常ならざる再生力だ。何しろ、一匹でも仕留め損ねれば瞬く間に無限に増殖し、戦場を埋め尽くす。これまで幾多の強敵と戦ってきた人類でさえも、これほどまでの“悪夢”を目の当たりにすることは稀だったことだろう。

 

 その脅威に立ち向かうため、RX-78――ガンダムにさえも、大幅な改修と強化が施されたのだという。

 

 “パーフェクトガンダム”。

 

 最初にその名を耳にした時は、正直笑いそうになった。あまりにも子供じみた名前に、きっと冗談か何かだろうと....しかし、実際にその設計図を目にした瞬間、俺の頬は完全に引きつっていた。

 

 まずベースとなる機体が、あのアムロさんの愛機――RX-78-2ではない。あれは一年戦争の末に大破・喪失しており、再利用は不可能だった。代わりに倉庫の奥で半ば朽ちかけていたプロトタイプ――RX-78-1が引っ張り出された。骨董品とも言えるその機体に、マグネットコーティングが施され、時代錯誤のような改修が加えられていく。

 

 装甲は追加されて厚みを持ち、背中には大型のバックパック。左の腕部に装着された二連装ハンドビーム・ガン、大型のキャノン砲に加えて、脚部と腰部にもサブユニットが取り付けられた。極めつけは、アームマウントで固定された巨大なシールド。裏面の上部には予備のビームサーベルが三本、下部には小型機雷まで装備されていた。

 

 量より質、ではない。量と質の“暴力”だった。

 

 しかもその機体は、外装の塗装だけは昔と同じく、赤・青・白のトリコロールカラー。色彩だけが懐かしく、それ以外の全てが別物。あの頃のガンダムは、もうどこにもなかった。まるで冗談としか言いようのない機体である。

 

 かつてブライトさんが苦笑混じりに漏らしていた。

 

 ーーあのガンダムを載せたGファイターが飛ぶ姿は、今でも脳裏から離れんよ……なんでだろうな。まるで熱を出した時の夢のように、忘れようとしても忘れられないんだ。

 

 彼の言葉は軽く笑ったように聞こえたが、どこか苦みを含んでいた。

 

 俺もその感覚が今は分かる気がする。あの無茶苦茶な装備構成を見た瞬間、俺の脳裏にはある一人の科学者の顔浮かび上がった。

 

 それは...アナハイム・エレクトロニクス社の人間ではなく――早乙女力研究所の敷島博士だ。彼はいつも笑いながら、冗談としか思えないような超兵器を次々と開発し、実戦に投入してきた狂人...いや科学者だ。

 

 そして、たぶん――いや、ほぼ間違いなく。

 

 彼はこの「パーフェクトガンダム」の設計開発にも、嬉々として手を貸したに違いない。むしろ「面白そうだ!」と歓喜しながら設計協力している絵面すら、容易に想像がつく。何しろ、「人類のため」と言いながら、あの人は常識というものをあっさり飛び越えてしまうのだ。

 

 確かあのイカレジジ――敷島博士の座右の銘は「自分の作った兵器で醜く殺されること」だったはずだ。正気の沙汰ではない。いや、直接話してみると意外と人当たりは悪くないし、親切ですらある。ただし、“人間的な感性”という意味では、極端に欠けている。自身の腕をガトリングへ変えた事を嬉々と伝えて来た時は正直、引いた。

 

 あの頃の早乙女博士はまだ”マトモ”であった筈、なぜ彼はあのキチ――敷島博士を止めなかったんだろうか.......あれは天才なのではなく、別の世界に生きている存在――いや、天災とすら言っていい。

 

 さらに恐ろしいことに、当時の戦場にはそれ以外にも凄まじいロボットたちが投入されていた。

 

 “鉄人”と呼ばれた無骨な青い巨体のロボットは、驚異的な馬力と頑強さでインベーダーを鷲掴みにしては粉砕し、文字通り千切っては投げ、千切っては投げの大暴れを繰り返した...かと思えば、“GR1”と呼称される謎めいた機械の巨人は、装甲に覆われた巨大な拳でインベーダーを叩き潰し、肩や胸などからミサイルやバズーカ、ビームー砲を乱射して戦場ではヤツらを無差別に蹂躙したという。

 

 当時の光景を直接見ていたら、果たして正気でいられただろうかと、俺は今でも思う。自分があの戦場にいなかったことに安堵する一方で、そんな場所で戦っていたアムロさんや竜馬さんのような人たちの精神力を素直に尊敬せずにはいられない。

 

 あの激戦がどれほどの魔境だったかを想像するだけで、今でも背筋を冷たい汗が流れ落ちるのだった。逆にこれだけの戦力でも絶滅させられなかったインベーダー達の生命力に恐怖しかない。

 

 そして、サイド6――元いた世界では、最初に奴らに狙われたコロニー群。

 

 ブライトさん曰く、着いたときには、すでに“死の巣窟”となっていたらしい....生存者は一人もおらず、通信も全て途絶。そこにあったすべての生命反応がインベーダー。

 

 サイド6は――全てやつらに侵されていた。

 

 今こうして歩くこの世界のサイド6....いやイズマには、正直なところ……まるで夢みたいなものを感じる。

 

 カフェのオープンテラスではカップルが笑いあい、街角では子どもたちがはしゃいでいる。戦闘も、破壊も、血も、ここにはない。

 

 もちろん、問題がないわけじゃない。

 

 難民、治安維持のための軍警、そして“クランバトル”なんていう危険な余興じみた戦争の延長線……これを“平和”と呼ぶには、たしかに少し無理があるかもしれない。

 

 だけど――

 

 それでも。

 

 まだ、マシだ。あの死に満ちた場所と比べれば。

 

 たとえ、この空や重力が偽物でも、人が笑っていられる限り、それはきっと“生きている世界”で”本物”なんだろう。

 

▼▼▼▼▼

 

 色彩鮮やかなグラフィティが壁から天井までびっしりと描き込まれたその空間は、まるで異世界のような独特な静けさと幻想的な雰囲気に包まれていた。壁画の鮮烈な色調が、照明に照らされる赤いガンダムの装甲に反射し、異様ともいえるコントラストを生み出している。四つん這いになったガンダムの巨体は、静かにその場に佇み、あたりを見守るかのように沈黙を保っていた。

 

 その足元に立つ二人の青年――リョウガは少し気まずそうにシュウジの方へと封筒を差し出していた。

 

「これ、報酬金な、シュウジ……その節は本当にすまなんだ」

 

 封筒に入ったクランバトルの報酬金を手渡すと、リョウガは頭の上で両手を合わせ、申し訳なさそうに深々と頭を下げた。その姿は、どこか滑稽ながらも、彼の律儀な性格をはっきりと表していた。

 

 シュウジは差し出された封筒を一瞬見つめ、それを丁寧に両手で受け取ると、柔らかな笑みを浮かべた。

 

「いいよ、リョウガ。何度も言うけれど、そのことは気にしていないよ?」

 

 淡々と、しかし嘘偽りのない優しさを込めて言うシュウジの言葉は、リョウガの胸に静かな安堵をもたらした。青く揺れるシュウジの髪が静かな動きに合わせてふわりと揺れ、その赤い瞳には澄みきった純粋な光しか映っていなかった。

 

 リョウガはふと顔を上げると、やや照れくさそうに頭を掻いた。

 

「ホント……良い奴だなお前は……」

 

 そう言うと、シュウジは軽く微笑んだ。

 

 

「二人は?」

 

 不意にシュウジが問いかけると、リョウガは壁画を眺めつつ答えた。

 

「マチュは学校。ニャアンは運び屋の仕事。で、それを渡しに来れたのは今日たまたま暇だった俺だけだよ」

 

 その言葉に、シュウジは少し首を傾げながら尋ね返した。

 

「リョウガは働いていないの?」

 

「そ、それ……お前が言うのか?」

 

 リョウガは思わず吹き出し、苦笑を浮かべながら答えた。

 

「一応、働いてるよ。週5の夜はマチュの家庭教師として勉強を教えてて、週2の昼間はラーメン屋のバイトをやってる。まぁ多少余裕がある生活は出来てる方か……」

 

 リョウガの答えにシュウジはふむ、と小さくうなずくと、改めてリョウガをじっと見つめる。

 

「なのに……ここら辺に住んでいるのは何故だい?」

 

 静かな声での問いかけに、リョウガは一瞬言葉を詰まらせた。改めて考えてみれば、確かに今の自分の収入ならば、倉庫のような場所で暮らす必要はない。もっとマシな住居を選ぶことだって十分可能なのだ。だが、なぜかあの雑然とした場所に未だに居続けている。

 

 少しの間、宙を見つめて考え込んでいたリョウガは、やがて静かな笑みを浮かべながら答えた。

 

「……多分、気に入ってるのかな。ここが」

 

 自分の口から出た言葉に、リョウガ自身少し驚いていたが、すぐにそれが自分の素直な気持ちだということに気がついた。

 

 シュウジはそんなリョウガの答えを聞くと、静かに目を細め、満足そうに頷いた。

 

「そうなのかもしれないね」

 

「ああ……」

 

 不思議な温かさが胸の奥にぽつりと灯るように広がっていくのを感じながら、リョウガはまた、癖のように後頭部を軽く掻いた。乾いた音が静かな空気に溶ける。薄曇りの天井から降りそそぐ白色灯が、色鮮やかなグラフィティで染められた壁に反射して、倉庫内は昼なのか夜なのかすら曖昧にさせていた。

 

 その中で、赤く染まったガンダム――四つん這いの姿勢で壁に寄りかかるその機体だけが、まるで何も語らず、彼らのやり取りをじっと見守っているかのように静かに佇んでいた。

 

 リョウガは足元に置いた紙袋を探ると、昼食として買ってきた、包装されたサンドイッチをひとつ取り出し、さりげなくシュウジへと差し出した。思い出したように、そのまま口を開く。

 

「なぁ、シュウジ。前に言ってた『向こう側』って……あれ、どういう意味なんだ?」

 

 質問の意図を汲みとったのか、シュウジはすぐには答えず、ほんの数秒間だけ視線を手元の包みに落とした。その赤い瞳はどこか透明で、しかし底が見えない。まるで遠い記憶を手繰るようにして、彼は静かに口を開いた。

 

「そうだね……あの時、“君にも見えた”って言ったけど、あれは少し違ったかもしれない」

 

シュウジはリョウガが手渡されたサンドイッチを一口食べ、頷くように喋る。

 

「いやだから、どういう……」

 

 リョウガが身を乗り出しかけたその瞬間、シュウジはわずかに目線を上げ、その声を遮った。

 

「だって、“君も”『向こう側』の世界からここへ来たんだろう?」

 

 ――ピタリと、時が止まったような錯覚を覚えた。

 

 その一言で、リョウガの思考は硬直する。心臓がドクンと重い音を立てた。顔が無意識にこわばり、次第に表情が険しさを帯びていく。

 

「……シュウジ……お前は……」

 

 問いかける声は低く、慎重で、疑念と驚きが入り混じっていた。だがそれに対し、少年はただ真っ直ぐに頷いた。

 

「“僕は向こう側からやって来た”。リョウガ、君もそうなんだろう?」

 

 その言葉を聞いた瞬間、リョウガの胸に深く刺さっていた棘が抜けるような感覚があった。やはり――自分と同じような存在が、この世界にもう一人いた。

 

「お前も……別の世界から来たってことか。でも……どうして俺がそうだと分かった?」

 

 問いかける声には戸惑いが滲んでいたが、同時にどこか救われたような響きも混じっていた。対して、シュウジは少しだけ笑みを浮かべる。

 

「普段の君は、その力を何かで抑えているようだけど……君が“ニュータイプ”であることくらいなら、僕には分かるよ」

 

(……俺がニュータイプなことまでっ..)

 

 リョウガの心がざわめく。念動力で意識的にニュータイプとしての感覚を抑えている彼を、ここまで見通せる人間はほとんどいなかった。よほどの達人か能力者でもなければ感知できないはずだが目の前の少年は、軽々とそれを見抜いた。そんなことが出来る彼が知りうる人間は限られる。意味不明なまでに強大な敵であった十傑集、仲間であるカミーユ、ジュドー、そして”アムロ・レイ”ぐらいである――。

 

「君の世界は、僕のいた世界と似ている。でも、完全に同じじゃない。たとえば……君の世界には、ガンダム以外にも戦う為の“ロボット”達がいたんだろう?」

 

 その言葉に、リョウガは反射的に頷きかけて止まる。彼の頭の中で数多くのスーパーロボットやパーソナルトルーパーの姿が浮かぶ。

 

「初めて君に会った時、その景色を一瞬見た。でもそれは眩しい光に包まれてて、よく見えなかった。だけど、分かったんだ。“あぁ、彼も同じなんだ”と」

 

「……そ、そうなのか……」

 

 胸の内で、リョウガは静かに息を吐いた。まさか自分の正体や能力を、こんな形で見抜かれるとは思ってもみなかった。改めて、目の前の少年がただ者でないことを痛感する。

 

「じゃあ……その、お前はどんな世界から来たんだ?」

 

 問いかける声は穏やかだったが、どこか深く沈んだ響きがあった。ふと風の音が止み、静寂が倉庫の奥からじわじわと満ちてくるような錯覚を覚える。

 

 シュウジは短く黙し、考えるように瞼を閉じる。やがてゆっくりと開かれたその目は、微かな光を受けて赤く煌めいた。視線を宙へと泳がせながら、ぽつりと答える。

 

「ある部分までは、君の世界と似た世界だよ」

 

 まるで遠い夢を思い出すような言い方だった。曖昧に、それでいて確信を含ませて。

 

「……ある部分?」

 

 問い返すリョウガの声には、静かな緊張が含まれていた。

 

「白いガンダムが、ジオンに奪われていない。そう言えば分かるかな?」

 

 その一言を聞いた瞬間、リョウガの中にひとつの光景が浮かぶ。――あの一年戦争。アムロ・レイが正規にガンダムを受領し、ホワイトベースと共に正史を駆け抜けた、あの戦歴。

 

 つまりリョウガのいた世界と同じく、シュウジの世界でもアムロが“乗るべき機体”に正当に乗り込んだ世界なのだ。だが、そこにある出来事の細部や背景まではまったく異なるのだろう。似て非なる“可能性の世界”。無数に枝分かれした時間軸の中で、彼もまた自分と同じように“この世界”へ流れ着いたのだろうとリョウガは考える。

 

「……なるほどな」

 

 その言葉に納得を込めて頷きながら、リョウガはひとつ息を吐いた。そして、続けて問いかける。

 

「それで、なんでお前はこの世界に?」

 

 重ねた問いに対し、シュウジは今度は視線を伏せ、静かに首を横に振った。少年の表情からは、一瞬だけ影のような翳りが覗いた。

 

「すまない。それは……言えない」

 

 リョウガはそれ以上は何も聞かなかった。表情を緩め、小さく頷いた。それは拒絶ではない。理解と共感の形だった。自分自身も、語り切れない過去を抱えたまま、この地で生きている。ならば、シュウジもまた同じだろうと自然に思えた。

 

 恐らく彼も自分のように事故か何かに巻き込まれた.....そう思うことにした。

 

「じゃあもう一つ。あの赤いガンダムをお前に譲った人物は――”シャア・アズナブル”か?」

 

 その名を口にした瞬間、シュウジの表情が一瞬だけ揺れた。だがすぐに彼は小さく、しかし確かに頷いた。

 

 その頷きを見届けて、リョウガは息を吸い込むと、少し低い声で問いかける。

 

「その理由は……?」

 

 しかし今度は、シュウジはわずかに視線を逸らしながら、そっと首を左右に振った。固く、何かを拒むように。

 

 リョウガはそれを見て、眉をひそめることもせず、ただ一度だけ静かに頷く。

 

「そうか……いや、言いたくないんならいい」

 

 そう言ってから、軽く笑ってシュウジの背中を軽く叩いた。

 

 シュウジはその優しさに少し驚いたような目をしたあと、小さく「うん……ありがとう、リョウガ」と呟いた。

 

 

 ほんのわずかな沈黙が二人の間に流れる。その静寂を破ったのは、再び口を開いたシュウジの声だった。

 

「リョウガ……近い将来、この世界には“良くないもの”が現れる」

 

 その言葉は淡々と、だが確かな重みを持って響いた。

 

「良くないもの……?」

 

 リョウガは眉をひそめる。声の調子がわずかに低くなる。すでにこの世界では、得体の知れぬ存在を何度も目にした。だが、“良くないもの”という表現が、単なる脅威や敵勢力の枠を越えている気がした。

 

「僕も、”それ”が何かまでは分からない。いつ現れるのかも。ただ……それが来る前に、僕は地球へ行かなくちゃいけない。……言えないけれど、探さないといけない“モノ”が、そこにはあるんだ」

 

 地球――。

 

 その響きに、リョウガの瞳がふと揺れた。自分が最初にいた場所、だが今は遥か遠くにある“重力の底”――。

 

「地球か……」

 

 小さな独り言のように呟いた瞬間、コンチがぴょこりと首(?)を振って、軽やかな電子音を発した。「GIGAGA」と控えめに鳴きながら、お尻とも背中ともつかぬ部位であるプリンター部分から、一枚の紙をスルスルと吐き出していく。

 

「お、サンキューな……コンチ」

 

 リョウガは目を丸くしながら紙を引き抜いた。

 

 そこには、複数の中古スペースグライダーの販売情報が記載されている。

 

(中古で……15万ハイト?……今の貯金じゃ到底足りないな。借金……いや、クラバで稼ぐしか……)

 

 紙を畳んでポケットに突っ込みながら、リョウガの意識は自然と、倉庫の奥――静かに佇むガンダムの方へと向けられる。

 

 リョウガは一瞬ヒュッケバインの事が脳裏に過る。

 

(ヒュッケで大気圏突入……いや、自己修復があっても損傷は避けられないだろう。Mk-Ⅲ……いや、せめてⅡの状態ならまだしも……念動フィールドを全開にして機体全体を包めればワンチャンあるかもだが……)

 

 口元に手を当て、親指を噛みながらぶつぶつと呟き続ける姿は、もはや完全に“思考の海”に沈み込んでいた。

 

 そんな彼を見ていたシュウジが、クスっと小さく笑った。

 

「ありがとう、リョウガ。僕の為にいろいろと考えてくれて。でも……大丈夫。まだ急ぐ必要はない“筈”だから」

 

「……そうか?」

 

 現実に引き戻されたように顔を上げるリョウガ。少しだけ不安げな色を滲ませていたが、シュウジは短く頷いた。

 

「うん」

 

 言い切る少年の表情は、年齢以上に大人びていて、そこには確かな決意が宿っていた。

 

(まだ“彼女”を探す必要はないだろう。いや……その必要がないと願いたい。でも――)

 

 思考の奥底で、シュウジの内なる声が響いた。

 

(もし、いずれ現れる“ソレ”が……彼女を利用するつもりなら。そのときは……僕は――彼女を……)

 

 その決意を誰にも告げず、ただ静かに胸の奥に沈めたまま、シュウジはリョウガの面白おかしい、考え込む“しかめっ面”を見つめながら、微笑みだけを浮かべ続けた。

 




当時の現場の風景

セイラさん「行くわよアムロ!!」

アムロ「インベーダーめぇ!!死ねぃ!!!」(武装一斉発射)

竜馬「貴様らにも味あわせてやる!! ゲッターの恐ろしさをなぁ!?」

二体のスーパーロボット「「GAOOOOOOOOOOO!!!!」」


リョウガ君の世界でのインベーダーとの月面戦争が起きたのは一年戦争終結後です。
この設定はスパロボ30の設定を参考にしています(こちらでは同時に起きてる)。

しっかし、なんなんだこの魔境は()
  1. 目次
  2. 小説情報
  3. 縦書き
  4. しおりを挟む
  5. お気に入り登録
  6. 評価
  7. 感想
  8. ここすき
  9. 誤字
  10. よみあげ
  11. 閲覧設定

▲ページの一番上に飛ぶ
X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。