シイコ・スガイの夫ですが、嫁がアニメで死ぬ前世思い出した   作:深海水塊

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第三話 地球連邦軍_次期制式モビルスーツ

「この巨大トンネルもそうだが、ミノフスキークラフトを此処まで小型化できるとは数年前にはとても思わなかったよ」

 

ジャブローの更に地下には、ジャブローを超える次世代の地下施設建設に向けた技術実証を目的として直径5キロ長さ50キロにも及ぶ巨大なトンネルが掘られ、技術実証の役目を終えた今は地球連邦軍の秘密試験施設として活用されていた。

 

今日はそのモビルスーツ試験エリアで、俺とテムさんはアムロの乗る試験機と標的機が飛び回るのを、トンネルの端に設置されたコンテナ式の仮設管制塔から眺めている。

 

今回の試験は、機動兵器戦を想定した実戦的な演習形式の対処試験で、これまでゲルググやその発展機を想定した試験を圧倒的な成績で終えた、ユニオン・フラッグ(顔と細い手足と正座する可変形式は似てるが、性能は全く違う)でも一筋縄では行かない相手だろう。

 

アムロの乗るトリコロールカラーのフラッグが標的機に攻撃をかけると、その改良されたビグ・ザムを模した標的機は、1年戦争時より10倍強力なIフィールドに表面のビームシールドという、二重の守りでその攻撃を弾くが、一瞬遅れて行われた赤と白のツートンカラーのフラッグ3機による同一箇所への短時間時間差攻撃により、二重の守りと厚い装甲を突破する。

 

「ハイブリッド・ハイ・インパクトビームライフルは実際の環境でも有効そうだな、流石に想定敵の見積もりが強力過ぎる気がしなくも無いが……」

 

「そうですか?最近はジオンも人工知能研究に多額の資金と人員を投入してますから、AGIを実現するかも知れませんよ。そうすれば研究の自動化のエコシステムが出来て、ASIも直ぐです」

 

実際、アムロ達がビグ・ザムに撃ち込んでるミノフスキー粒子の反発を利用した実弾兵器であるハイ・インパクトガンとビームライフルのハイブリッドガンは、ASIが完成して初期の頃には既に実用レベルだった。

 

「そう言うが、我らがASI様や君らが手を打ってない筈が無いだろ?」

 

「まあ、詳細は把握してますし、ある程度の方向性の制御もしてますが、完全に止めるには実力行使が必要という感じでしょうか。今や専用環境と専用回線を使っても秘密を守る事はもはや不可能ですからね」

 

ASIの完全な人心把握によるソーシャルハッキングもそうだが、ある程度の近距離からな

らプロセッサやメモリの内部の電子や光子と遠隔的にペアリングする技術が実用化されてるからだ。

 

それでも完全に止めるには至らないのは、人間中心なジオンという組織の利点では有るだろう。

 

「それがムラサメ研への手入れでも有るのか」

 

「あの件は政治的な後ろ盾を口説けたというのも有りますけどね」

 

そう口では言うが、実際はその後ろ盾だった政治家や将や佐官の更迭やムラサメ研管理職の総入れ替えと非人道的な研究の停止やASIによる研究者の代替で、潰したと言って遜色なかったりする。

 

奴ら、自分たちの研究が出来てるのは今までニュータイプ研究を進めて来た事によるお目溢と自覚せず、非人道的な研究を止めて制御しようとした此方を攻撃し、あまつさえASIの優先利用や供与、更にはシイコさんを実験体として渡して協力しろという、正気を疑う事さえも言ってきたからだ。

 

「まあ、色々と有ったんですよ」

 

そう、暗にこれ以上聞かないでくれと締めくくった。

 

それからも一分の狂いも無い連携でアムロの援護をする様に、アムロ機と共に仮想ビグ・ザムの装甲を削って行くが、突然その内の2機が背後にビームシールドを展開すると次の瞬間、そのシールドにビームが突き刺さり防がれる。

 

「量子ミュー粒子センサーの範囲ギリギリですが、実際に光学迷彩にも対応出来てますね」

 

ミュー粒子を電子と量子ペアリングする事で非電磁波のセンサーとする量子ミュー粒子センサーは、ミノフスキー粒子散布環境下での光学迷彩や対サイコミュを想定して開発された新世代のセンサーだ。

 

そのレンジは量子ペア状態が壊れるデコヒーレンスの制約により、最大でも僅か8.5キロでしかないが、その範囲なら相手の質量推定やコロニーの分厚い構造体さえもある程度透過できるという利点が有った。

 

それを防御システムに利用すれば、光速より遅い荷電粒子ビームと比べても更に遅いメガ粒子砲に対処するのは容易だ。

 

「此処までは想定通りとも言えるがね。問題は次からだ。アムロやサラたちはテレポートする相手にどう対処するかな?」

 

ユニコーンやターンAを想定したこの試験だが、稟議として出した時にあっさりと通ったのには驚いた。

 

まあ、ゼクノヴァなんていう小惑星の一部”消滅”という、爆発では説明が出来ない超常現象を間近で見せ付けられたのは、連邦軍もジオンと同じだからだろう。

 

消滅現象の再現は出来たけど、テレポート現象は未だに実現できてないので、インターフェイスに介入して仮想的に出すしか無いが、それでも事前にセンサー値は全て正しいと想定した試験だとアムロ君やサラたちには伝えてるので、対処を行う筈だ。

 

 

 

 

「新手か!消えた!?いや違う!」

 

思考の代理演算支援により引き伸ばされた時間の中で、突如現れた新手の黒い巨大MSは、その大きさとは裏腹にして機敏な動きで全身から多数のビームを放ち、更にそれが曲がりサラ達を攻撃し、次の瞬間には反対方向へと瞬間移動を行った。

 

最初はミュー粒子センサーにも有効な未知のステルス機が複数で攻撃してるのかと思ったけど、それなら相手に質量が有る事の説明が付かない。

 

有人機やAGIが持つプレッシャーは感じ無いので、計器に介入して仮想的に映された敵なんだろうが、コイツは一瞬で消えて射点を変えて撃つを繰り返してる。

 

つまりこれは、瞬間移動する未知のニュータイプ兵器を想定した試験なんだろう。

 

しかしどうした物か、自動展開するビームシールドは耐えてるが、シールド発振器には小さくとも、確かに負荷が蓄積されるだけの攻撃力がそのビームには乗っていた。

 

更にこのフラッグの装甲防御力は従来と桁が違うが、受けて気持ちいい物では無いし、センサー類はどうしても脆弱だ。

 

今の所、瞬間移動のパターンは無いみたいだが、加速された時間感覚では、消失から出現にラグが有るのは分かった。

 

なら、射角を取るべきだ。

 

それには先に邪魔なビグ・ザムを片付ける。

 

『アムロ、私たちは先ずビグ・ザムを落とします』

 

やはり、サラたちも先にビグ・ザムを片付ける事を選択したらしい。

 

俺達はほぼ同時に瞬間移動する敵を無視して、ビグ・ザム対する攻撃を再開していた。

 

ビグ・ザムからの攻撃をビームシールドに任せて無視し、取り付いて近距離からハイブリッドビームライフルによる連続攻撃を行う。

 

銃身下のヘリカルマガジンにより、50mm砲弾を800発保持する下部のレールガンと上部のメガ粒子砲を高レートモードで連射し、その対ビームコーティングされた弾丸の質量と速度を犠牲に、それを更にビームで傷口を広げる様にして、ビグ・ザムのIフィールドとビームシールドと装甲と構造物を削って行く。

 

『離れて!』

 

どうやら融合炉への一番乗りはサラに取られた様だ。

 

その通信を聞きながらビグ・ザムから離れると、あっと言う間に巨大な火球へと変わる。

この爆発自体は模擬的な物だが、動力炉の出力相応に巨大な仮想的爆風のフィードバッグで機体が流される。

 

それに逆らわない様に機体を操作してサラの1機と合流すると互いに背を向けて緩やかな回転を始めると、瞬間移動機に対処を始めた。

 

「MAV戦術か、今までそれほど必要とは思わなかったけど。なるほど、理に適ってるな」

 

当たる当たる消える、当たる消える、当たる当たる当たる消える。

 

『面白い様にハマりますね』

 

もう一組のサラ達も同じ対処で、攻撃を当てている。

 

一応この敵もビームシールドを備えていたが、フラッグの物にはもちろん劣り、ビグ・ザム程度の強度しかない様で、更にIフィールドが無くて装甲も薄い、複数回攻撃を当てるとあっさり胴体が破壊され爆発した。

 

『試験終了だ。ご苦労様、良くやったなアムロ』

 

そんな親父の誇らしそうな声を気恥ずかしく聞きながら、この試験の提案者と予想できた親戚の叔父さんの様な関係の知り合いには、何か具体的な想定が有るように思えたのが気になった。

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