型月世界にめちゃくちゃ長生きな"龍"を生やしてみた   作:型月のネギを目指して三千里

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第12話

     なんだ。

 ……おれは、なにをしていた?

 

 

 

『   ! き    !』

 

 

 

 なにか、何か激しい、音がする。

 この、声は。

 

 

 

「……ォ」

 

『なん……だと?』

 

 

 

 息も絶え絶えな中、俺は奴を……奴の気配を睨(ね)め上げる。

 そうだ、俺はこいつらと戦っていた。

 

 驚き騒いでいるのはおそらく、分解の権能を使う神、だろうか。

 

 

 

『生きている……いや、そもそもだ、そもそも何故ゼウスのケラウノスをもってして星が残っている!?』

 

 

 

 正直俺も驚いているとも、理詰めの機械神。

 身体中から痛みが伝わってくる、しかしそこに熱さは感じていない。

 ……熱いと感じる部分が焼き切れてしまったか?

 

 構わない、治せばいい。

 

 

 

『そう言うものなのだ、黒龍とは』

 

『ゼウス』

 

『星の免疫機構とは、星ある限り尽き果てぬ概念である』

 

 

 

 治せ。

 

 

 

『星を巡り、星の環境(なか)を整え外宇宙(そと)から来たるものを滅することを義務付けられた絶対なる君臨者』

 

 

 

 治せ、治せ治せ治せ、肉体を修復せよ。

 焼き潰れた視覚を、消し飛んだ聴覚を、続行に不可欠な五感を取り戻せ    !

 

 

 

『再生して……』

 

『構えよハデス、ここからが本番だ。この龍を相手にすることすなわち    ぬ』

 

 

 

 ……?

 なんだ、よくわからないものが俺の側に現れた、気がする。

 

 

 

『もう、辞めてくださいっ! こんな、こんなにボロボロになってっ』

 

『アテナ……』

 

 

 

 ……なるほど、先の一撃で、脳、記憶に損害が。

 修復、できるか?

 

 

 

『ゼウスよ、ハデス! もう彼は戦えません!』

 

『……そうか、お前はこの龍の下に……』

 

 

 

 不思議な、人間味のある何か。

 ……今の俺に触れると、火傷するぞ。

 

 

 

『そんなことを言っている場合ですか!』

 

「……グル」

 

 

 

 ……身体か、記憶か、どちらを優先か。

 

     肉体だ

 

 

 

『あなたは……!』

 

 

 

 身体に、直接語りかけてくるナニカと、悲しそうなナニカ。

 二つの声が、聞こえてくる。

 

 前者を聞くと身体を治すべきだと考え始めて、後者を聞くと記憶を治したいと思える。

 ……不思議だ、本当に不思議だ。

 

 

 

「グ……オ、ぉ」

 

『……再生が止まった?』

 

『否、これは……』

 

 

 

 俺は、後者を選んでしまう。

 後者の、悲しそうな、痛々しいと感じる声を聞くと、思い出したいと思うのだ。

 

 いや、思い出すことが主(おも)ではないか。

 

 

 

『……え』

 

「さ、わるな。おまえ、が、けがする……ぞ」

 

 

 

 治りかけの、まだマシな部分でこいつの手を払う。

 ……言語機能が、まだおぼつかない。

 奴の一撃は、俺を念入りに焼き焦がしているからな。

 

 

 

『だからっ……!』

 

「わか、てる。治す……だから、まて」

 

 

 

 悪いな、俺はこちらを優先する。

 

 

 

『……ゼウス貴様、これを狙っていたのか』

 

『……』

 

『答えろ、旗艦ゼウスっ!』

 

『……答える義務は無い、ハデス。我は我等の為最善を尽くしたのみ』

 

『アテナにあの様な体験をさせてまでするべきことだったのか?』

 

 

 

 ……ハデス、そうだハデスだ。

 ハデスと、ゼウスの声がする。

 あまり良い風向きでは、なさそうだ。

 

 

 

『そもそもこうなると予測するのであればケラウノスを使う必要はないだろう』

 

『……』

 

『何が目的なのだ、ゼウス』

 

 

 

 そうだ、フクロウ、か。

 思い出して、来たぞ。

 

 

 

「フク、ロウ」

 

『! 大丈夫ですか』

 

「何故、ここに来た。パラスは」

 

 

 

 どうする、と。

 

 今この状況はお世辞にも、フクロウに良い状況とは言えない。

 敵であるはずの俺に寄り添う形になってしまっているのだからな。

 それでフクロウがどうにかなってしまったら、残されたパラスはひとりぼっちだ。

 

 

 

『……あの子に、行けと言われてしまいましたから』

 

「……」

 

『だから、この行いは私とあの子の総意でもあるのです』

 

 

 

 ……そうか、背中を押されて、しまったのか。

 相変わらず、パラスは聡い子だと言うべきなのか。

 

 ならばと、口に出そうとして。

 

 

 

『汝、星を洗う海嘯(トライデント・オーシャンレイ)!』

 

「    ッ!!!」

 

『なっ!?』

 

 

 

 背後からの一撃によって、その言葉は出なかった。

 ……こいつは。

 

 

 

『何を躊躇う必要があるっ! 今が好機だろう!』

 

『……! ポセイドンっ……!』

 

 

 

 ああそうだ、こいつだろうな。

 こいつが傲慢だと言うのは、こいつ自身の言葉から予測がつく。

 

 そんな奴が、ただ殴られたまま終わるはずがない。

 

 

 

『辞めろポセイドン! 貴様、この状況が見えていないのか!』

 

『だから好機だと言っている! これは危険だ、生かしておいてまた我等を壊しに来ないとも限らないだろう!』

 

『それだけではないのが分からないのか!』

 

 

 

 ポセイドンは、攻撃を続けている。

 ……危ないだろう。

 

 

 

『……』

 

「グルル……!」

 

『!? 待って、ダメです! まだ動いては……!』

 

 

 

 肉の、ちぎれる音がする。

 治りかけの肉体を、無理矢理に動かしているのだから仕方ない。

 仕方ないから、ちぎれた側から治していく。

 

 最低限、奴を止めるだけ動けば今はいい。

 

 

 

「グオオオォッ!!!」

 

 

 

 今はまだ俺が盾になれるが、このままだとフクロウにまで届いてしまう。

 こいつはおそらく、旗艦に逆らっている所為で権能が使えていないだろうから。

 

 

 

『貴様ァ!』

 

「ク、ハ。壊されたいなら、壊してやる」

 

『星の使い魔如きがほざ    

 

 

 

 とりあえず、何か言う前に一撃を入れる。

 活躍なんてさせるものかよ、パラスを悲しませた報いは受けさせる。

 

 

 

「お前は、さっさと壊して、終わりだ……!」

 

『グ……!?』

 

 

 

 全身に力を込める。

 崩れかけの肉体だが、こいつだってかなり損傷しているのだから問題ないな。

 ぶっ壊す。

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