型月世界にめちゃくちゃ長生きな"龍"を生やしてみた   作:型月のネギを目指して三千里

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第2話

 俺はドラゴン、名前はずっとない。

 何故かはわからないが、人の身であった筈の己がドラゴン……龍の身体を持つ生き物として生まれ変わっていた。

 

 それからと言うもの、■■■■と名乗ることは辞めた*1ので、今日も今日とて名無しとして生きている訳である。

 

 

 案外、精神は身体に引っ張られるものであるらしい。

 というのもこの身体になってから、何かに急かされるかの様に周りにいる生き物を害する行為を頻繁に行っているから。

 人の己であれば絶対にしないだろうなぁとしみじみ思いつつ、まぁこれが(おれ)と言う生物の本能なり第六感というものかと割り切って生きる毎日だ。

 

 腹も特に空かんからね、この身体。

 捕食するでもない、睡眠も要らない*2、そういう欲も湧かないとくれば、やることと言えばこの本能のみ。

 人畜無害な人間から大量破壊生物とは、いやはや大層恐ろしい変化だなぁと。

 

 

 それはそれとして第六感さん。

 

 ……俺の目のはるか先に映る"あれ"を一体どうしろと?

 

 

 


 

 

 

 星間航行船団。

 "それら"は星を渡る機械生命体であり、滅びの運命を辿った創造主たる知性体を救う為に建造された方舟であった。

 

 ティタノマキアと呼ばれるマキアを経て、今まさにこの地球(ほし)に根付こうとしていた彼ら     後のオリュンポス十二神の主神、ゼウスは見た。

 

 

 はるか先にて羽ばたく漆黒の龍を。

 

 見定めんとするその暗き眼光を。

 

 

 新しき旗艦、ゼウスは理解した。

 奴が、奴こそがこの星の遣わした守護者であると。

 

 我らはこの星の生命体ではない。

 そして先の大戦ではこの星にも少なからず悪影響を及ぼした、それが不味かったのだ。

 

 星の生存本能が創り出した神喰らい、それを我々へと差し向けたのだ、と。

 

 

 

『全艦に告ぐ。直ちに旗艦ゼウスの下へ集合せよ』

 

 

 

 "あれ"は戦力を出し惜しみして良い相手ではない。

 総力を持って滅ぼすべき厄災である。

 

 しかし     

 

 

 

  ?』

 

 

 

 ゼウスは困惑する。

 突如、漆黒の龍が背を向け飛び去ったのだ。

 

 何故? 戦力が揃わぬ今の状況は、奴にとってこれ以上ないタイミングの筈。

 

 

 

『ゼウス、聞こえていますか。旗艦ゼウス』

 

『……なんだ』

 

『そちらが呼び出したのでしょう。……そして、先程の龍は?』

 

 

 

 いち早く駆けつけたアテナが当然の疑問を投げ掛ける。

 

 

 

『……ふむ』

 

 

 

 飛び去った厄災と、目の前にいち早く現れた戦闘型の艦を前に、ゼウスは演算(思考)する。

 

 文明の破壊者たる奴はどうにかしなければならない。

 しかし全艦を持ってしても損害は免れない、それはいずれ果たさねばならない母星の再生への悪影響のなるかもしれぬ。

 

 ゼウスは演算(逡巡)する。

 

 そして一つの結論に至る。

 

 

 

『アテナに命ずる』

 

『……何なりと』

 

『先の黒龍を追え、そして"交流"せよ』

 

『命令を確認、実行に移します』

 

 

 

 我らは人との交流を経て、この星の神と崇められ始めている。

 ならば時間を稼げば、星の抑止力からの干渉はなくなるやもしれぬ。

 

 

 

『……』

 

 

 

 ゼウスは願う。

 奴と対峙する未来が存在せぬことを。

 

 ……そしてあわよくば、人の感情のテクスチャを模倣しかねているアテナに、良い影響があらんことを、と。

*1
というか、辞めざるを得なかった

*2
とは言えたまに寝てみたりもするが

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