型月世界にめちゃくちゃ長生きな"龍"を生やしてみた   作:型月のネギを目指して三千里

4 / 12
第4話

「ag(あ)ー……」

 

『それではあがー、となってしまっています。正確に発音するのであれば、A(あ)ー……です、ではもう一度やりましょう』

 

「G(ぐ)……」

 

『頑張りましょう、基本は大切です』

 

 

 

 言葉を教わり始めて何千回の夜が過ぎ去った、なんの成果も得られていない。

 いや、得られてはいるのだが……な。

 

 

 

『……』

 

「wrun(わらうな)」

 

『?』

 

「……」

 

 

 

 いや不思議そうにされても……まぁ、自覚がないならそれでいい。

 最近はお前が微笑ましそうに見守るもんだからむず痒いんだよ、ってのは置いといて。

 実際、俺が習得するのに苦労している理由は別にある……と思っている。

 

 

 

「A(あ")ー……」

 

『……今のはかなり近い発音ですね。頑張って下さい』

 

 

 

 おそらく俺、人間だった頃の発音の仕方をそのままこの身体で行おうとしているんだよ。

 身体の構造とか違うだろうになぁ。

 

 それが習得の阻害に繋がっていると思われる。

 なまじ違うやり方覚えてると逆に習得しにくいのやめれ。

 

 

 

『……■■■■■(この時間が)、■■■(ずっと)……』

 

「?」

 

『……? どうかしましたか?』

 

「no」

 

 

 

 だーからお前が何かしたんやろがい、俺は意味を理解できなかったが!

 ……全くこの少女の先生ときたら……。

 

 

 

『センセイ?』

 

 

 

 ん?

 ああ、先生ってのは誰かに自分の知識を教える役職のことだよ。

 

 

 

『……知識を?』

 

「aa」

 

『否定します。私は知識を収集する"機械"であって……』

 

 

 

 はいはい。

 

 

 

『……不当にあしらわれた気がしています』

 

 

 

 気のせいだよ。

 ところで、じゃあお前を俺はなんて呼べばいいんだ。

 

 

 

『?』

 

 

 

 俺は、お前の名前を知らん。

 少女と呼ぶにしても、対象が多過ぎるのでな。

 

 人の女の子ども全部に当てはまるし。

 

 

 

『……私はア   』

 

「……?」

 

 

 

 ア……でその次は?

 

 

 

『……忘れて下さい。別の呼び名を考えますから』

 

「H(は)?」

 

 

 

 おいお前絶対偽名だろそれ。

 

 

 

『……本名はいつか、あなたを心の底から頼れる日が来たら』

 

「……」

 

 

 

 そうかい。

 じゃあそれなら、お前はフクロウだ。

 

 

 

『え?』

 

 

 

 なんだ、不満か?

 

 

 

『否定、そうではなく……何故、フクロウと?』

 

 

 

 俺の知る……聞いたところによると、フクロウという生き物は知識の象徴として扱われているらしいぞ。

 お前に相応しいだろう。

 

 

 

『……どこの知識ですか、全く』

 

 

 

 満更でもなさそうだな。

 

 

 

『そういうことにしておきます。では、あなたの前では、私はフクロウになりましょう』

 

 

 

 そう言って、フクロウは仄かに、そして寂しそうに笑ったのだ。

 ……。

  1. 目次
  2. 小説情報
  3. 縦書き
  4. しおりを挟む
  5. お気に入り登録
  6. 評価
  7. 感想
  8. ここすき
  9. 誤字
  10. よみあげ
  11. 閲覧設定
▲ページの一番上に飛ぶ  X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧 ※ログインせずに感想を書き込みたい場合はこちら
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。