型月世界にめちゃくちゃ長生きな"龍"を生やしてみた 作:型月のネギを目指して三千里
『近頃、あなたと私を見ている者がいます』
「……so、だな」
『また発音が崩れていますよ』
「ぐ、ぬ」
『……あと一息です、慣れるまで頑張って下さい』
まあそれはさておき。
確かに近くに存在を感じているんだ。
……それも、
『見たところ、この地に古くから存在する者達の一柱の様です』
「ものずき、だな」
『それは……確かに。間違いないですね』
片や
たとえ神といえど、現地住民が近付くには相当の勇気が必要だろうさ。
『……小さくなってみますか?』
「……ha?」
いきなり何を言い出すんだフクロウ。
どういう経緯なんだろうか。
『それが……どうにも』
「めずらし、く、ことばを……濁す! のだ……な」
『……あなたは感覚で捉えているのでしたね、成程』
「……何をみた?」
『想定以上に、無垢な存在を』
「……」
俺を怖がっていると言外に言いたい訳か。
確かにフクロウの見た目は少女だ、
しかしだな、フクロウ。
「おれは、そういう術をもたん」
『……人の形でなくとも、大きさを変えたりなどは?』
「しらん。そういうものだ、おれは」
ただ壊す存在、暴力の化身が身体の大小を操る術を知っててどうすると。
大きくなり過ぎても困りもの、小さい身体は論外だ。
『……仕方ありません、動かないで下さいね』
「なにを?」
『少々雑ですが。……あなたに権能を行使します』
そう言って俺に手をかざすフクロウ ん"っ、ぐおおっ!?
「GuOooo……ッ!」
『耐えて下さい』
なんっ……だこれは……!
とりあえず気持ち悪い……っ!
『……
「やるなら……やる、とっ……言えっ……!」
『申し訳ありません。……ここまで拒絶反応が出るとは思いませんでしたので』
やはり時間をかけて馴染ませるしか……と小難しい顔をしてぼやくフクロウ。
というか何をしたんだ。
『知識を、あなたに授けました』
「……神らしいことをするの、だな」
『神になろうとしているのですから。
そう無表情で呟くフクロウ。
……まだ、人間味が薄い部分は多いみたいだぞ。
『喋りやすくもなっている筈です』
「は? ……ああ……んん?」
ごちゃごちゃしている頭の中を整理しつつ、授けられたという知識を紐解いていくと……。
なるほどやりたいことがわかった。
これは荒療治をする訳だ。
「この通り念じろと?」
『あなた用に
「わかった」
魔力で形を作って……うぬ、思った数十倍は上手くいかん。
『……ここまであなたと反発し合うとは、本当に予測していませんでしたね』
「何の……話だ?」
『何でもありません。……手伝います』
フクロウがもう一度俺に手をかざす。
すると……うお、難航していた工程がすらすらと。
『龍の身体を真体に仮定。……人間体……クリア、意識状態……クリア、最後の工程に移ります。大丈夫ですか?』
「……ああ、やると良い」
『了承を確認。仮作成した意識体に人格の分譲を開始します』
ふわりとした感覚に包まれる。
最初はこんなもんなのかね、それとも分不相応な奴がやっているからなのか。
『……
「ん……」
『調子はどうですか』
「問題ない。……俺の身体は?」
『そのままにする必要はありませんから、あなたに格納しています。出そうと思うのならば、あなたの意思一つで戻れる筈ですよ』
「そうか」
目線が、フクロウと同し……じゃないな俺の方が高い。
まあ、少女みたいなのとおんなじくらいの背丈の化け物ドラゴンとかになってもだが……。
「改めて、ちっぽけだな人間ってのは」
『それでも精一杯生きる彼らに、ゼウス達は心惹かれたのです』
「……そういうものか、まぁ」
と、話が逸れた。
本題はそっちじゃない。
「じゃあ、迎えに行くか?」
『……そうしましょう。その姿なら怯えられることはありません』
そんなやりとりと共に、とある方向へと足を運ぶ。
……本来の俺なら翼の羽ばたき一つで辿り着ける距離を、地道に歩くというのはとても懐かしい気持ちにさせられて、案外楽しかった。
「んーと……そこにいるのはわかってんだぞ?」
『否定します。それでは脅迫行為となんら変わりありません』
「む、感覚鈍ったな……」
すらすらとまともに会話するのが久しぶり過ぎて、どれが正しいコミュニケーションなのかに戸惑う自分がいる。
フクロウ相手じゃあ、こんな会話はほとんどしないからな。
『……疑問。どういう意味ですかそれは』
「さぁな。……まあ、俺たちは取って食ったりはしない。出て来てくれると助かるよ」
『不服ですが……彼の言葉を肯定します。大丈夫ですよ』
そうして、その場でそいつが出て来るのを少しの間待っていると……。
小さい影が、かさりと揺れ動き始めた。
「……ぅ……」
「……ほんとに小さいな」
『肯定します。私たちが怖くはないのでしょうか』
「怖さより好奇心が勝つんじゃないか、そういうのは」
『好奇心……』
「知識の収集ってことだよ」
いまいちピンと来ていない様子のフクロウを傍目に、小さいお客がこちらへ一歩……また一歩と歩みを進めている。
「ぁ、あのっ……その……」
「ゆっくりでいい。言いたいこと、ちゃーんと言いな」
「! ……ええっと、ね。お兄ちゃん、お姉ちゃん」
幼い神が、言葉を紡ぐ。
見た目的にはフクロウの少し下くらいだろうか。
「私は、パラスって言うの!」
「ああ」
『はい』
「私と、えっと……」
「私と、家族になって欲しいのっ!!」
……そうして、その無垢な存在から放たれた言葉は。
「……は?」
『……え?』
俺という龍と、知識を司る機神に、凄まじ過ぎる混沌をもたらしたのだった。
テュフォンちゃん実装、うれしいです。