型月世界にめちゃくちゃ長生きな"龍"を生やしてみた 作:型月のネギを目指して三千里
「えへへっ! お兄ちゃんとお姉ちゃんができたのっ♪」
『……』
「そんな目でこっちを見るんじゃない、フクロウ」
俺にもあまり状況が理解できてないんだから。
『そうではなく。……いえ、それならば何故、引き受けると……』
「俺が言わずとも、お前は了承していたんじゃないのか」
『……そう、でしょうか』
嬉しそうにぴょんぴょんと飛び回るパラスを見つめるフクロウ。
その表情は、己の感情というものに戸惑っている様にも見える。
「なあ、幼い神……じゃないか、パラス」
「? どうしたの?」
「お前は、なんで俺たちを家族にしようなんて思ったんだ?」
先に了承はしたが、理由は聞かない訳には行くまいと。
目線を合わせ、目の前の存在へと問う。
するとパラスは、こちらへ真っ直ぐな瞳を合わせ言葉を紡ぐ。
「私、お父様がいるの」
「……おう」
「それでそれで……お父様には最近、
『……!』
「へぇ」
そりゃあお前、あれか。
この辺の新しいお友達と言えば……。
「んで、その新しいお友達がどうしたんだ?」
「……」
さっきまでとは違い、表情が固くなるパラス。
その目に映るのは、件のお友達とやらへの……」
「……あいつ、嫌いなの」
「そりゃどうして、また」
「あいつ、野蛮なの。あいつが来てから、海もお父様も変わったの。……海が凶暴なの! 怖くなったのっ!」
……んー? ちょっと要領が掴めんな。
ちょいと気配の探りを海の方面に向けて見るか……。
……ああ、なるほど。
これはこれは……。
「……フクロウ」
『はい』
「お前らの中に海を得手とする船はいるのか?」
『……我々の中であれば、ポセイドンが該当する筈です』
「そいつは、性格を言い表すとどんな感じで?」
『そう、ですね。……人間を基準に判断するならば、あまり褒められたものではありません』
「そうか」
なるほどそりゃあこうもなる。
海は奴の縄張りという訳だ。
「お山の大将ならぬ、お海の大将ってところか。……本当に人間らしいという言葉が似合う奴らだ」
『?』
「ここより東にある海に探りを向けてみろ。理由がわかる」
「うー……!」
『……』
どうやらパラスは
あと、余程そのポセイドンとやらが嫌いみたいだ。
むくれた顔で唸っている。
……そして同時に、その瞳には涙もあった。
『 ! これは……』
「勢力争い、ってところかね」
海の深ーいところでやっているからか、また別の力が働いているのか……注視しなければわからない。
しかしなかなかの規模の競り合いだ。
『……』
「どう思うよ、お前さんは」
『……この戦いに関しては私の管理外ですから、何も』
まあそりゃそうか。
フクロウは知識の専門家であって治政はゼウスとやらの領分だもんな。
『ですが』
「ん」
『……少々……そうですね、人はこの感情を"不快"であると称するのでしょうか』
「へえ?」
『パラスの様な、幼き者が涙する環境は不快であるというのは、あなたや人間たちとの関わりの中で学んだ知識です』
「は、そうかい」
こりゃ面白い。
人間味の薄いフクロウが快不快で物事を語るなどという人間らしいことを宣うとは。
……まあ、こういう状況=不快という知識を元にした照らし合わせなだけの気もするが。
「だから、そんなあいつと一緒にいるお父様のことなんて知らないわ!」
「私は、私が一緒にいたい人と過ごすの」
「それが俺達だったと?」
「そうなの! お兄ちゃんは、身体は大きくて恐ろしいけれど、とても優しそうな感じがするし、お姉ちゃんはお兄ちゃんと一緒にいると楽しそうなの!」
『?』
「私は、そんな二人が好きなの、一緒にいたいって思ったの。だからなの」
「……はは、幼き者ってのは行動が大胆だなぁおい」
家出するだけの行動力と、見た目だけで判断した者達を怖がりはすれど、疑いもせずに堂々と一緒にいたいと宣える度胸がある。
パラス的にはそれが家族であるという認識なのだろうな。
末恐ろしいねほんと。
『断られたらどうするつもりだったのですか?』
「それは……」
断られた時のことを想像してか、下を向いて固まってしまうパラス。
まあ好きだと思った相手から断られたら悲しいか。
「もう了承したんだしそこはいいだろうよ。……それより、これからどうしたいのか考えとけよ」
パラスがどうあれ、俺がそういうのに付き合ってられる時間はあんまりないだろうからなぁ。