型月世界にめちゃくちゃ長生きな"龍"を生やしてみた   作:型月のネギを目指して三千里

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第8話

 フクロウから最初に教わ(貰)った時から、頭の中に音(・)の(・)無(・)い(・)声(・)が響き始めた。

 

 何と言えばいいのだろうか、そうだな……。

 

 

 

   殺せ

 

 

 

 そう、こんな感じの、音の無い声。

 

 

 

   喰らえ、絶やせ

 

 

 

 頭の中に、文字を貼り付けられるとでも表せばいいのか。

 そんな気持ちの悪い感覚に襲われる。

 

 

 

   あ(・)れ(・)ら(・)は(・)、存(・)在(・)し(・)て(・)は(・)な(・)ら(・)な(・)い(・)

 

 

 

 おそらくフクロウもなんとなく勘付いているのではなかろうか。

 テレパシーじみたなにかを使えて、四六時中俺と一緒にいるんだから。

 星の呼び声、馴染もうとする異物どもへ送られる、最後の拒絶反応を感じ取っていても不思議じゃない。

 

 拒絶反応ってのはすなわち、機神達(エイリアン)への不平不満。

 

 そう考え至ったこの時俺は、ようやく理解したんだよな。

 

 龍(おれ)の役割を。

 

 

 

「■■■■■   ッ」

 

 

 

 ……元人間だってのに、何の因果なんだろうな。

 

 

 

『……』

 

 

 

 地球に害を為す、もしくは脅威であると星に認識されたものを排除する、星の掃除屋。

 それが俺、なのだろうと。

 

 今まで第六感だと認識していたものは、要するに星からの要請だったわけだな。

 あれは危険、これはダメだ、だから壊せ、ならば喰らえ、ってな具合の。

 

 まあ、それ以外はなーんも知らん。

 機神が何故フクロウを派遣してきたのかだとか、俺の上司らしき声が何故ここまで強く機神を攻め立てようとするのか。

 知らないし、知る必要もないことなのだろう。

 

 ……けど、予測できる未来は一個だけあるぜ。

 

 

 

早く速く疾く夙く捷くはやくハヤク    

 

 

 

 俺の上司はちょっとやばい。

 いやちょっとどころじゃないかもしれん位に。

 

 

 

 段々と、この頭の中の声に抗えなくなるだろうと言うのがわかるんだ、何となく。

 

 だからまあ、フクロウには悪いが、どこかでお仲間達ごと相手にしなきゃならない時が来る、そう遠くない間に。

 

 パラスは……まだ短い付き合いだが、あいつの嫌いな野蛮さを見せなきゃならんかね、もしかしたら親父とやらにも被害が行くかも。

 ……まぁ、その代わり件の機神、ポセイドンはしっかり倒しとくさ。

 

 いつまでになるのか、細かいことはわからないが、こいつらに楽しい思い出を遺すための努力はしよう。

 ふと思い出した時に笑える程度の思い出であればありがたい。

 人間体にだってなるさ、家族になりたいと願われたなら、満足するまで付き合ってやるのも悪かない……筈。

 

 

 

「お兄ちゃん!」

 

「おう、どうした」

 

「お姉ちゃんとお料理作ったの! 食べてみて欲しいわ!」

 

 

 

 そう言って、パラスが持ってきたのは……肉のようなナニカ。

 

 

 

『否定、それは人間達の呼ぶ料理には到底及びません。……ええと、その、パラス。……それは誰かに食べさせるべきでは   。』

 

「おー、美味しそうだ」

 

『なっ、待ってくださいそれは   』

 

 

 

 フクロウが次の言葉を言う前に、ソレを貰って口の中に運ぶ。

 

 歯に硬いものがあたる感触、そして舌の上にじゃりっとしたものが居座っている。

 どう考えてもコゲ肉のその先の物体だな。

 

 

 

「んー……」

 

 

 

 噛んで、砕いて、転がして、少しずつ呑み込んで。

 これでよし。

 

 

 

「美味かった」

 

「ほんと?」

 

「本当だ。……ありがとなパラスにフクロウ」

 

「えへへっ! どういたしましてなの!」

 

『……あなたは……』

 

 

 

 クカカ、随分と呆れた目で見てくれるじゃないかフクロウ。

 お前こそパラスに流されて慣れない料理をしたんじゃないのか?

 

 

 

『……否定、はしません』

 

「そう言うことだろうよ」

 

 

 

 随分と人間味がある風になったもんだぜ、フクロウも。

 ここまで来たら、パラス相手でも良さげな感じがしなくもない。

 

 

 

『……パラスのいたと思しき海ですが』

 

「ああ」

 

『……パラスと類似した魔力を持つ存在側が生き残った様です』

 

「そうかい」

 

 

 

 じゃあひとまずは安心と言っていいのかもな。

 家出している間に父親が死んだなんて嫌だろう。

 

 

 

『彼等を率いていたのはやはり、ポセイドンでした』

 

「そうだな」

 

『……』

 

「もうどうにもならないことだ、考えたってな。……今はパラスのやりたいことをさせてやるのがいいんじゃないか」

 

 

 

 ほら、自覚はないみたいだが罪悪感まで感じている。

 ゼロからでも案外、心というものは育つみたいだぜ?

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