型月世界にめちゃくちゃ長生きな"龍"を生やしてみた 作:型月のネギを目指して三千里
今、俺は星空を眺めている。
人の身体に意識を移して、遥か空の景色を見上げている。
『こんなところに居たのですね』
「……」
陽が落ち暗い色に染まったカーテンに、煌々と己が存在を燃やす星が彩りを与えるこの景色。
絶景かな。
『……』
「我、願わくば……この景色を」
……ダメそうだ、俺の上司にそういう思考ないし感情は存在していないらしい。
ただ淡々と
『あなたは』
「ん……フクロウか」
いつの間にか背後にフクロウが佇んでいた。
……その顔に、悲痛な面持ちを宿して。
『限界、なのですか』
「……」
『どうにか、なりませんか。このままパラスと一緒に居ることは』
「……ク」
まだまだ感情の発露は難しそうだが、それでも尚人間臭くなったフクロウを見て思わず笑みが溢れてしまう。
嗚呼、本当に良かった。
こんな人間性の残り滓みたいな俺でも、フクロウが人間らしくなれる手伝いができたこと。
そしてパラスに今のフクロウを遺してやれること、それらが今はただ嬉しくてホッとしている。
「パラスを頼む」
『……嫌です、頼まれません。あなたも一緒に暮らさねばなりません』
「フクロウ」
『嫌です……! 今は、あなたの言葉を聞きたくありません』
……困ったな、そこまで悲しませたいとも思ってはいない。
今はまだ、振り回されている途中か。
「フクロウ、聞いてくれ。頼む」
『……りません』
「?」
『
「……」
『心臓の辺りがざわめき、収縮する様な感覚に陥るのです。……実際にそうなる仕組みなど、私にはないのにっ』
胸の辺りを抑えうずくまるフクロウ。
知識を集める機神故か。
フクロウはこれから言おうとしていることを半ば察してしまっているのだろう。
その末に、俺がどうなるかも。
『私は旗艦に逆らえない! でも、でもっ!』
「フクロウ」
『っ……!』
しゃがんで、苦しむフクロウに目線を合わせる。
……綺麗な瞳が、悲しげに揺れている。
ついこの前まで、こんな目をしない奴だったのに。
「
どう頑張ったって嘘になるからな。
「俺は星の意思に従って、これから
『っ』
「むしろ、ここまでよく抑えられた方だと思う。何せ催促は日に日に強くなる一方だったからな」
現状の方針としては、適応しようとしている機神達をそうなる前に叩きたいってところだろう。
余程あのマンボウ達は上手く馴染んでいる様だ。
「お前がそれに参加するのかしないのかに、俺は関与しない。お前の意思に従うといい」
『わ、たし……は』
「何、どうあれ俺の側が負け戦なことは間違いない』
奴らがどの様な権能を持ち合わせているのか知らないが、俺の方には己の身体のみ。
ばかすか殴られて墜落するのがオチだろう。
「ただ……俺がどうなろうがパラスには、生きて欲しい」
あの幼き、俺を見て朗らかに笑う花の様な
あいつの笑顔は、遥か昔感じたであろう安らぎを思い出させてくれた。
「俺が居なくなって、お前まで居なくなれば誰があの子に寄り添うんだ」
『……』
父親のところに戻る?
いいや、あの子の気質なら反発して放浪するだろう。
それではいつか死んでしまうかもしれない。
「だからフクロウ、パラスを……あの子を、頼む」
『それで、あなたは良いのですかっ。星の無謀な策に従って
「ああ」
『そんな……』
不思議と逆らう気が起きないんだ、ここまで実行を遅らせておいてなんだがな。
嫌だとも思っていない。
最初の頃のフクロウを機械の様に思っていながら、実は俺の方が星の機構だったというオチか。
「もしも次また会えたのなら、その時は心ゆくまで語り合おう。パラスを含めて3人で」
『まって……』
フクロウに背を向ける。
「さらばだ、フクロウ !」
地面が遥か下に見える断崖を、飛び降りた。
「■■■■■■■■■■ ッ!!!!」
静かなる星々へ、開戦の雄叫びを上げるのだ。
俺は今からそちらへ向かうぞ、機神達よ。
……ってな。
最後には人間らしくなった機神と、最後にはシステムとしての在り方を選んだ