「ニャアンってさ、何でこんな危ない仕事してるの?お金稼ぐなら別に他の仕事でもいいじゃん」
隣を歩く赤髪の少女マチュがニャアンに問う
「何でって…ほら私難民だし、まともな仕事なんてできないし…」
「あー、そっか普通の所は難民なんて雇ってくれないかー」
割と長くマチュとニャアンは一緒にいるがニャアンが戦争による難民だという事を忘れていたマチュ
「それに…私弟がいるから…」
「え!?ニャアン弟いたの!?」
突然の新情報に目を見開いて驚くマチュ
そんな、私はニャアンの事をそれなりに知っているつもりだと思っていたのにと少しだけショックを受けるマチュ
「あ、でも血は繋がってない」
「んん?どういう事?親の再婚的な?」
「違う、難民になってここに来た時に出会ったの」
彼との出会いは偶然だった
それは私がここのコロニーに来たばっかりの時だ
ーーーーー
「やっと住む家を確保できた…後はお金を少しずつ貯めて…」
いつもの仕事を終え、アパートに向かう
難民という事で家を探すのはとても苦労した
変に詮索されると軍警にバラされる可能性があるので
自分の事を詮索しない、ただ金を払えばどんな奴でも入居可能な場所を探すのはとても苦労した
それで何とか見つけた良い条件のアパート、大家に怪訝そうな顔をされながら何と借りる事のできたのだ
片手には値引きされた弁当が入ったレジ袋を持っている
今日の夕食だ
そしてアパートの目の前に来た時、アパートのゴミ捨て場からガサゴソと何かを漁る音が聞こえる
「…ゴミ漁り?」
ゴミ捨て場はちょうど光が当たっていない場所にあり、よく見えない
見えないし、本当にゴミ漁りなのかも分からない、けど一つだけ分かることがある
関わらない方がいい
それだけは分かっていた
おおよそ、自分と同じ難民の類いだと思うが
変に関わると後でめんどくさい事になるに決まっている
なのでゴミ漁りをしてる何かに気づかれないようにゆっくりとアパートの入り口向かう
幸運な事に今は丁度夜なので周りは暗く街灯の下以外はよく見えない
暗闇の中をゆっくりと歩いていてけば見つかる事なく部屋に行けるだろう
ゆっくりと足を踏み出したが
「ニャア」
「うわっ!!!」
後ろから聞こえた野良猫の声に驚き大きな声をあげてしまった
しまったと思い
咄嗟に自分のく血を手で塞ぐ
ゴミ捨て場から聞こえていた音が消え
漁っていた者がこちらに近付いてくる音が聞こえる
まずい、逃げなきゃ…
と内心分かっているのだが
何故か目を離せない
徐々に近付いてくる人影
そしてその人影が街灯の下に近付きその姿がはっきりと分かってくる
子供だ
自分より圧倒的に小さい子供だ
おそらく小学生
だが、とても汚く髪もボサボサだ
着ている服…いや、服というか身の丈に合っていない大きなジャンバーを羽織っているだけだ
足もよく見たら何も履いていない
ジャンパーの袖は大き過ぎて子供の手を完全に隠し袖の先の方が垂れている
ズボンらしきものも見当たらず雪のような白くそして枝のような足が伸びている
この子…もしかしたらジャンパーの下に何も履いてないのか…?下着も…?
「…君…どうしたの…?」
「…?」
子供は首をコテンと横に傾け不思議そうな顔をする
「お家は…?家族はどうしたの?」
子供は変わらず不思議そうな顔をするだけだ
「…どこから来たの?」
自分から子供に近付き、同じ目線になるようにしゃがむ
「…怖いところ」
その言葉に察する
ああ…きっとこの子も私と同じ子だ
きっと戦争によって故郷から逃げて来たんだろう
死に物狂いで何とか故郷からここに逃げて来た過去の自分と目の前を子供を重ねてしまった
そうと思えば、私はこの子の事を放っておく事はできなくなってしまった
「ねぇ…帰る所がないなら…私と一緒に住まない?」
「…怖くない…?」
「大丈夫、私が一緒にいるから 怖くないよ」
ニャアンは子供に手を差し出す
子供はゆっくりとその手を取った
子供を部屋に入れてやる
外だと分かりづらかったが、この子かなり臭い
きっとゴミ捨て場を漁っていたせいだろう
生臭い匂いが凄いする
取り敢えず風呂に入れてやる事にした
「服脱がすからばんざいして」
「ばんざい?」
「手を上に上げればいいの」
「…ばんざーい」
気持ちのこもってないばんざいをする子供
ジャンパーを脱がすと
「(やっぱり、下は何も着てない…)」
子供は下着すら付けておらず
ただ上にジャンパーを着ていただけであった
「(というかこの子、男の子だったんだ)」
ニャアンは少年が来ていたジャンパーを洗濯機を放り込み、洗剤を少し多めに入れスイッチを押す
少年を先に浴室に入れてやり、その後自分自身の服を脱ぎ出す
自分の服と下着をカゴに入れて置いておく
水道代が勿体無いが流石にあのジャンパーと洗うのは気がひける
浴室に入りシャワーを手に取る
蛇口を捻りお湯を出す、手でお湯を触りながら温度調整をする
「シャワー掛けるよ」
「…うん」
少年の頭からシャワーを掛ける
少年の汚れが少しずつ落ちていく
全体的に濡らし終わった後シャンプーを手に取り少年の頭を洗ってやる
洗い終わり再びシャワーで洗い流す
次に体を洗ってやり、再びシャワーで洗い流す
「(この子、結構美形だな…)」
綺麗になったその少年はかなりの美形であることが判明した
綺麗な白髪、青い瞳、病気を疑う程白くて細い足
少年を浴槽に入れてやり、自分自身の洗いをし始めた
頭を洗いながら横目で少年を見る
浴槽から首を出して心地良さそうな顔をしている
一通り洗い終わり、少年のいる浴槽に入る
流石に2人は狭いが、少年が小柄なので詰めれば意外と入れる
「百数えるまで出ちゃダメだよ」
「…ひゃく何で?」
「体が芯まであったまらないから」
それを聞いて少年はジト目をする
「始めるよ、いーち、にー、さん、しー」「…」
「「ごー、ろく、しち、はち」」
「「きゅうじゅうはち、きゅうじゅうきゅう、ひゃく!!」」
2人で浴槽から出て少年の体を拭いてやる
寝巻きに着替え、髪をドライヤーで乾かす
ちなみに少年の寝巻きは自分の古い服を貸してやっている
男の子様の下着などない為、買ってあげなくてはならない
そして買って来た弁当を取り出し、電子レンジにいれ温める
その間にコップを一つ用意してお茶を入れる、一つ足りないので紙コップを利用する
温まった弁当を2人分に分ける
1人分な弁当なのでこれを2人分に分けるとかなり少なくなってしまうが仕方ない
そして分け合った弁当を床で食べる
残念ながらこの家には机など無いのだ
「(これから2人で食べるなら机買わなきゃ、後この子の分のコップと箸箸それから…)」
ふと少年を見ると、少年は紙皿にのった半分の弁当をじっと見てる
それに割り箸も一歩ずつ両手で持っている
「ごめんフォークとかスプーン無いの」
少年は私の見様見真似で箸を持ち、片手で紙皿を持ちぎこちない動きで食べ始める
最初は感情の無い目で食べていたが弁当の味が気に入ったのか少しずつ顔が明るくなっていき食べるスピードも早くなっていく
量が少なかったという事もあるがあっという間に食べ切ってしまったようだ
「美味しかった?」
「うん」
「それじゃ、これもあげる」
ニャアンは自分の弁当のおかずの唐揚げを少年にあげた
「いいの!?」
彼はパァッと明るい笑顔で喜び与えられた唐揚げを瞬時に箸で掴み取り食べる
「おいしい!」
この子はこんなに素直に喜べる子なんだ
最初会った時は全く感情を込めていない顔でこちらを見ていた
彼が今はこんなに可愛いらしい笑顔を私に向けている
私も最初この子の様だった、家族と別れ死に物狂いでここ逃げてきた
身寄りもなくお金も無く どうしようも無かった
ただ生き延びる為に必死だった
だからこの子もそうだと思い、手を差し伸べた
少しでもこの子の"希望"になれたのならいいなと
「良かった…」
「?」
「ううん、何でもないよ」
この時多分私は笑っていた
食べた物を片付け
無駄に広いベットに隣り合わせに座る
「聞き忘れてた、君名前は?」
「…アキ…アキ・シライシ」
「アキ君か、いい名前だね」
「うん、いい名前でしょ 僕の名前 大好きなんだ」
「そっか…あ、私の名前言ってなかったね 私はニャアン」
「ニャアン?猫さんみたいな名前だね」
「…アキ君、これから私と一緒に暮らさない?」
これは聞いておく必要があった
彼を再びあの生活に戻すわけにはいかない
生活面は多少苦しくなるかもしれないが
私が頑張れば何の問題もない
だがアキの気持ちは尊重したい
「…いいの?」
申し訳なさそうな顔をするアキ
「うん、全然いいよ」
「そっか…!じゃあこれからよろしく!お姉ちゃん!」
「お、お姉ちゃん…!?」
突然の姉呼びに少し照れてしまう
こんな可愛らしい子にお姉ちゃんと呼ばれれば誰でも赤面してしまう
そうして再び私は彼の前に手を差し出す
アキはその手を躊躇なく手に立った
これが私と弟の"アキ"との出会いだ
ーーーーー
今日も配達のバイトを終え無事に家に帰る事ができた
アパートの前に着き、私の自室がある場所を見上げる
電気が付いている
きっと、あの子が私を迎える準備をしてくれてるのだろう
部屋の鍵を開けてドアを開ける
「ただいま」
私がそう言うと奥の方からトトトの可愛らしい足音が聞こえる
「おかえり!お姉ちゃん!」
背丈に少し合っていないエプロンを付けた小学生ぐらいの白髪の男の子が私を迎えてくれる
眩しい程の笑顔で
その笑顔に仕事の疲れも思わず吹っ飛び笑顔になってしまう
「ただいま、アキ君」
ドゥーちゃんは女の子です()