スーパーロボット×ファンタジー 作:名無しの転生者
反響あれば続けると思います……多分。
── 外部環境データを照合中……エラー発生 ──
── 外部サポート筐体が未接続 ──
── 内蔵センサーによる環境把握へ移行 ──
── 外部環境、照合データ不足の為把握困難 ──
── 未確認存在が機体に接触 ──
緊急事態、及びデータ不足により自律自己防衛シークエンスを緊急起動……
《内蔵ジェネレーター正常稼働中、運動制御モーメント誤差修正……自己修復ナノマシン循環路を一時閉鎖。メインシステム、戦闘モード……稼働開始します》
燃え盛る炎と木々の間……村を襲っていたモンスター達が、突然目の前に現れた奇妙な金属の塊を睨みつける。
《……データ照合、該当存在なし。未確認生命体と判断……威嚇行動、及び敵対行動を検知。人型知性体及び当機に対する敵性存在と認定……排除行動に移行します》
……その“金属の塊”はヒトの形をしていた。
曰く、ソイツは規格外存在──
ファンタジー世界に有るまじき、超技術の集合体──
現代人が日々思い描く理想──
──ソイツこそ、人類の叡智の結晶たる人型ロボット。
《対多数迎撃戦術、プランB-2を適用……「連装プラズマガトリング」をアクティベート》
何も無かった筈の両腕に、突如として現れる巨大な回転式機関砲……8門一束を2つ備えた凶悪な得物の砲口をモンスターへ向け、躊躇無く引き金を引く。
ギシャアァァァ?!
グギャアァァァ!!
向けられた砲口から放たれたのは鉛色ではなく、鮮やかなオレンジ色の閃光……それも1秒に何十発という、凄まじい量と速さだった。
瞬く間に6体のモンスターを屠り、旗色悪しとなって逃げ惑い始めたモンスター達をも次々と仕留めていく……
「……な、何が……どうなってるんだ……?!」
負傷で動けなかった冒険者の1人が、その蹂躙劇を見ながらそんな事を口にした。
いや、この戦闘に参加していた誰もがそう思っただろう。
《敵集団、排除率42%……敵性集団の壊走を確認、追撃による殲滅率……完全排除は困難と推定。戦闘終了……メインシステム、通常モードに移行します》
両腕の重火器をまた何処かへと隠し、“ソイツ”は俺達の方へと向き直る。
生き残った数体のモンスター達は一目散に山の方へと去っていき、残ったのは破壊され燃えている家や壁、そして……謎の人型存在。
「いきなり現れて、魔物を蹴散らした……何者なんだ、アイツは……?」
唐突な事態で戦闘が終わり、助け出される冒険者たち……彼らは運ばれる最中でも、その謎の存在から目を逸らす事が出来なかったのだった……
「……で、ソイツの行方は?」
場を移して、ココは王都の冒険者ギルド本部……ギルドマスターと副官の1人が先の村の防衛戦の事を話していた。
「はい、現在も出現地点……戦闘の終わった村の広場に佇んだまま、一向に動く気配もありません。また、外観から明らかに人間ではなく、魔導兵器……ゴーレムの類ではないかと推測されます。その為、創造主の命令を待っているのではないかと……」
「……そう言えば、ソイツの攻撃……魔法で無数の光球を飛ばしていたとあったな」
「正確には“光属性上級攻撃魔法”《フラッシュアサルト》に酷似していたそうです。最も、魔力の流れはおろか魔法陣や術式の兆候も全く無かったとの事なので、判断はしかねますが……」
「何にせよ、ソイツは魔法陣も無しに魔法をぶっ放せる能力があるって事だ。警戒は怠るなよ?」
「それは勿論、現在は“風来坊”の3人に監視を依頼して居ます。彼等なら対魔術師の経験も豊富なので……」
「……なら大丈夫か」
副官の話した“風来坊”と呼ばれる3人組の冒険者は、魔法も使える剣士2人と弓使い1人の3人組チームで、実戦で魔法使いと何度も戦い勝ってきた実力者集団だ。全員がBランクながら魔法が関係する戦闘ならばAランクにも匹敵するレベルだという。
しかし、当の本人達はというと……
「……ど、どうする? フレア」
白い鎧の重戦士のノエルは、チームメンバーでもある片手剣士のフレアに問う。彼女達がギルドから“謎の存在”の監視を任されたチーム「風来坊」だった。
「どうもこうも……アイツを監視しろってギルドからの指示だろ。何かあったら連絡するだけで、戦闘までやらせる程じゃないハズ……」
ギルドマスター達は戦闘も視野に入れていた様だが、実際に相対する彼等からすれば“冗談だろ?”という感じである……
そもそも、彼女らのチーム“風来坊”もこの村の迎撃に参加しており、その際に“あの蹂躙劇”を目撃していた。
「アタシは無理。アイツと戦って、勝てるビジョンが浮かばない……」
グルリと監視対象の周囲を遠巻きに回って戻ってきた
「……一応、ギルドの要請だからやるけど。万が一、応戦しなきゃならない事態になったら……」
《提案、当機には当該惑星の記録が皆無。情報提供を求む》
突然監視対象に話し掛けられた事でノエルは飛び上がる程に驚き、他の2人も警戒度を爆上げした。
だが、当の監視対象である存在は小首を傾げる始末……
《何故、当機の質問に驚愕したのか理解不能……》
「いきなり知らない相手に後ろから話し掛けられたら誰でも驚くでしょーが!?」
ノエルの言は尤もである……が、当の相手は理解に苦しむといった感じ。
《理解不能……しかし、当機の行動によって理不尽を感じたのならば謝罪する》
しかし、途中から聞き分けよく謎の存在から謝罪されたノエルは振り上げた拳の下ろし処を見失ってしまった。
「……わ、分かればいいのよ。分かれば……」
ちょっと不満は残っているが、ノエルは妙に聞き分けの良い相手の謝罪に慌てて帳尻を合わせた。
「……ところでさ、アンタ……何者?」
《……当機は連邦宇宙軍、第7艦隊所属。対異星文明探査及び惑星開拓用スタンドアローン型モビリティシステム。通称:エクリプスです》
「第7……何だって……?」
意味不明な単語の羅列に、ノエル達は理解が及んでいない……そもそも、この世界……実は機械技術は全く進歩しておらず、代替技術として魔法科学の発展が目覚ましい。
そんな中で純粋な機械文明……それも
《連邦宇宙軍・第7艦隊所属の当機は、新規の惑星開拓を主任務として投下されました……ですが、大気圏再突入中に何らかの異常が発生し、データにないこの惑星に落着した模様……》
「……何言ってるのかほとんど分かんないけど?」
腕は立つが、ノエルの頭の出来はあまり良くないようだ。
「んー……ココに来たのは“事故”って事だけは分かった」
対するフレアは、少しずつ理解し始めている……
「……大気圏? ……惑星? 知らん単語が次々と出てくるな」
レオナは3人の中で一番理解度が高いが、さすがに全てを理解するには前提知識が少なすぎた。
《科学レベルの低い文明では無理もない話……ですが、これは事実。惑星とはこの大地と海を一纏めにしたもの。広大な宇宙に浮かぶこの星も、生命生存に適した惑星の一つ》
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それからも謎の存在から語られる物事を少しずつ理解していく“風来坊”の3人……ある程度話が進んだ所でレオナから提案が出た。
「やっぱり呼びやすい名前が無いと話しにくいわ……アンタの名前、どうにかならない?」
《名前……名称ですか?》
「アタシがレオナって呼ばれてる様に、アンタにも呼ばれやすい名前があった方が何かと話も付けやすいのさ」
「そーだねぇ」
《……意図は理解できました。ですが、当機にはその権限、及びリソースがありません》
「今のは何となく分かった……自分じゃ考えられないって事?」
ようやくノエルもこの独特な言い回しを理解出来る様になり始めている。
「だったら、アタシたちでアンタの名前……付けても良い?」
《……それで解決可能ならば、当該案件の解決を依頼します》
フレアの提案に、ロボットはいつもの調子で返答。
「はぁ……もう少しマシな言い回しをしてくれよ」
《……では、よろしくお願いします》
「あいよ」
レオナのため息混じりの一言に、ロボットはそれまでのノエル達の会話内容から適当な文章を生成し、ようやく普通の会話らしい返答を返してくれたのだった──
【エクリプス】
対異星文明探査及び惑星開拓用スタンドアローン型モビリティシステムの通称。
環境改善を行えば生命が生存可能と判定された惑星に送り込まれ、単独で無人惑星を開拓。人類及び多種の生命体が生存可能になる様にテラフォーミングを行う人型ロボット。
単体であらゆる事態を解決できる様に設計されており、自己改造による環境適応や能力向上も可能。
また、惑星住民との連携も前提となっているのでコミュニケーション能力もある程度、基礎能力として保持している。
戦闘能力はかなり高く、内蔵された亜空間転送システムと学習型戦術支援AIにより、多種多様な火器・兵器類を運用可能。
運用する装備は現地素材を用いて新造・量産する事も出来る。