こちら沖ツラ愉悦部 安慶名組!   作:時給

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プロローグ

「へえー、あの通りに唐揚げ屋が」

「私も偶然通りかかったんだけどね。そういえば、てーるー唐揚げ好きだったなーって思い出して」

今日も今日とて。

かーなーときたら、毒にも薬にもならないアプローチを繰り返している。

「ありがとう比嘉さん! さっそく今度行ってみるよ。感想教えるからね」

「うんうん」

うんうん。

じゃないっ! だから誘えよ! 誘えば一緒に行けたじゃん!

私はため息をつく。

なんか前にもこういうの、あった気がする。

まったく。通訳スキルばっかり、しに上がって。肝心なところはサッパリなんだから。

 

あ、どうも。私は安慶名(あげな)八重(やえ)比嘉夏菜(かーなー)の恋心を知る唯一のクラスメイト。

……そう、唯一の。

そう思っていた時期が、私にもありました。

だけど、それはどうやら私の自惚れだったようで。

「やーえーよー」

下地勲(いさおー)がフラリと私のところにやってきた。

「かーなーのことだけどよー」

喜屋武飛夏(ひーなー)に呼ばれて、笑顔で手を振りながら中村照秋(てーるー)と別れるかーなーを見やりながら言う。

「ありゃあ、てーるーに惚れてんな」

「………………」

私はジロリと彼を睨み上げる。

「なんでよ」

「なんでも何も。見てりゃ分かるやっし」

まあ、そりゃそうか。

「……で? もし仮の話だけど、そうだったら何なわけ?」

かーなーは私の親友だ。小学校時代からの、大事な友達だ。

返答次第によっては……

「何かサポートしてやれないかと思ってよ。俺らで」

意外な答えだった。

「私らで? なんで」

「だって無理やっし。かーなーには、あれ以上は」

下地(いさおー)はのんびりした声で、当たり前のように言った。

私は言葉に詰まる。

その通りだった。さっきの毒にも薬にもならないような会話を思い出す。

残念ながら、あの程度のアプローチが奥手なあの子の限界なのだ。あれでも頑張っているのだ、かーなーは。長い付き合いだ、私もそれは分かっている。

だが悲しいかな。客観的に見て、あまりにも恋愛クソ雑魚と言わざるを得ない。

「本人が頑張ってダメならよ、周りが加勢してやるしかないんじゃね? 友達を見殺しにはできねーだろ」

正直、少し見直した。

普段バカなふりして、ちゃんと周り見てるんだなって。

「それによー」

そこで下地(いさおー)は、いたずら好きな子供のようにニカッと笑う。

「なんかこう、うまく言えんけど、すっげー良いんだよな。たまにうまいこと噛み合っちまった時の、かーなーの慌てる姿見んのがよー。こう、心の底からニンマリがこみ上げてくる感じが」

それを聞いて、私の心は決まった。

「………………」

もう言葉はいらない。私の目を見て、彼も察したようだ。

私は立ち上がり ――――――

 

がしっ

 

 

下地(いさおー)と固い握手を交わした。

「合格よ」

この男には素質がある。

あの普段クールなかーなーが、恥ずかしがり、慌てふためく様を特等席で高みの見物。その時に感じる、えも言われぬ高揚感。

まだほんの入口のようだけど、この男にはそれを感じ取る素質がある。

こんなにも近くにいたのね、我が同志。

さあ、共に味わいましょう。この世で最も素敵な甘い蜜を。私達ならきっと!

思いがけない仲間との邂逅に、私は大いなる飛躍の予感を感じ、心を躍らせるのでした。

 

……あ、念のために言っておきますけど。

あくまで最終目標は、小学生時代からの大事な親友の幸せですので。

ええそりゃもう。

 

 




うちなーぐちについては全く自信がないので、アドバイス等ございましたら、是非コメントでお願いします! すぐ修正しますので!
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