「へえー、あの通りに唐揚げ屋が」
「私も偶然通りかかったんだけどね。そういえば、てーるー唐揚げ好きだったなーって思い出して」
今日も今日とて。
かーなーときたら、毒にも薬にもならないアプローチを繰り返している。
「ありがとう比嘉さん! さっそく今度行ってみるよ。感想教えるからね」
「うんうん」
うんうん。
じゃないっ! だから誘えよ! 誘えば一緒に行けたじゃん!
私はため息をつく。
なんか前にもこういうの、あった気がする。
まったく。通訳スキルばっかり、しに上がって。肝心なところはサッパリなんだから。
あ、どうも。私は
……そう、唯一の。
そう思っていた時期が、私にもありました。
だけど、それはどうやら私の自惚れだったようで。
「やーえーよー」
「かーなーのことだけどよー」
「ありゃあ、てーるーに惚れてんな」
「………………」
私はジロリと彼を睨み上げる。
「なんでよ」
「なんでも何も。見てりゃ分かるやっし」
まあ、そりゃそうか。
「……で? もし仮の話だけど、そうだったら何なわけ?」
かーなーは私の親友だ。小学校時代からの、大事な友達だ。
返答次第によっては……
「何かサポートしてやれないかと思ってよ。俺らで」
意外な答えだった。
「私らで? なんで」
「だって無理やっし。かーなーには、あれ以上は」
私は言葉に詰まる。
その通りだった。さっきの毒にも薬にもならないような会話を思い出す。
残念ながら、あの程度のアプローチが奥手なあの子の限界なのだ。あれでも頑張っているのだ、かーなーは。長い付き合いだ、私もそれは分かっている。
だが悲しいかな。客観的に見て、あまりにも恋愛クソ雑魚と言わざるを得ない。
「本人が頑張ってダメならよ、周りが加勢してやるしかないんじゃね? 友達を見殺しにはできねーだろ」
正直、少し見直した。
普段バカなふりして、ちゃんと周り見てるんだなって。
「それによー」
そこで
「なんかこう、うまく言えんけど、すっげー良いんだよな。たまにうまいこと噛み合っちまった時の、かーなーの慌てる姿見んのがよー。こう、心の底からニンマリがこみ上げてくる感じが」
それを聞いて、私の心は決まった。
「………………」
もう言葉はいらない。私の目を見て、彼も察したようだ。
私は立ち上がり ――――――
がしっ
「合格よ」
この男には素質がある。
あの普段クールなかーなーが、恥ずかしがり、慌てふためく様を特等席で高みの見物。その時に感じる、えも言われぬ高揚感。
まだほんの入口のようだけど、この男にはそれを感じ取る素質がある。
こんなにも近くにいたのね、我が同志。
さあ、共に味わいましょう。この世で最も素敵な甘い蜜を。私達ならきっと!
思いがけない仲間との邂逅に、私は大いなる飛躍の予感を感じ、心を躍らせるのでした。
……あ、念のために言っておきますけど。
あくまで最終目標は、小学生時代からの大事な親友の幸せですので。
ええそりゃもう。
うちなーぐちについては全く自信がないので、アドバイス等ございましたら、是非コメントでお願いします! すぐ修正しますので!