雑魚妖怪に転生しました。邪見さまではないです。 作:蜥蜴の隠者
どうも。三つ目小鬼です。今日は遠出の帰りです。
殺生丸が殺したであろう武士団の拠点を探し出して、諸々の物資を物色して来ました。
小舟に一杯、武士の着物と行李、銭袋、陣中食と猪肉と諸々積んで帰って来ました。
これで暫くは楽な生活が出来る。
昨日の今日だったんで野党もなく安全に物資を確保出来たのは上出来だった。
ただ、同業者というか同族というか、初めて他の生きた妖怪を見た。
餓鬼みたいな奴や人頭蛇身なそいつらは武士団の衣服などは眼中なく屍肉を貪っていた。
正直、美味そうに屍肉を喰らうアイツらを見て少し羨ましく思ってしまった。
どうやら頭が妖怪化しつつあるようだ。イカンイカンと頭を振ってその場を後にした。
…こちらを睨み付けるような視線を無視しながら…。
《???視点》
(…何じゃ彼奴は?屍肉を無視して人間の持ち物などを掻っ攫うとは?…そういえば彼奴は他の小鬼と違って図体がでかかったのう…もしや何やら良い餌を喰うておるのか?…付けてみるか。…わしは賢い。屍肉を貪るこやつらとは違う。いずれ大妖怪となって、人間も妖怪も支配してやるのじゃ。ふふふふふ…)
般若の頭と魚の身体を併せ持つその妖怪は三つ目小鬼の跡を追うため、ズリズリと地面を這って行った…。
《三つ目小鬼視点》
俺が拠点としてる小川近くの茂みの地面を掘り、簡易的な防空壕のような拠点を作った。
そこに物資を仕舞い込み、俺は探索に出た。何でも最近、国中の若い娘を城の殿様が集めているらしい。遠目で小猿を引き連れた若武者も見かけた。十中八九、次は九十九の蝦蟇退治だ。
九十九の蝦蟇は若い娘を捕まえて卵の中に閉じ込め、魂を熟成させて食べる妖怪だ。作中では四魂の玉のカケラを手に入れた個体が城の殿様に取り憑き悪さを働いていた。
今回はその熟成された魂を狙う。ここ数日、やはり自分は妖怪になってしまったと実感してしまった。もう人間を見ると美味そうに見えて仕方なく、飢えを凌ぐため生きた蜥蜴やら蛙やらを平気で食べてしまえるようになってしまった。
このまま衝動的に人間を襲って食べたりしたら、妖怪退治屋を呼び寄せてしまう結果となる。未だ野党にすら勝てない身だ。早急に力を高める必要がある。チャンスは犬夜叉と蝦蟇が対峙している間の僅かな時間。その間にできるだけ喰らい妖力を高める。
時刻はもう夕暮れだ。そろそろ忍び込むか。
腹を決めた俺は城に忍び込んだ。城内は蝦蟇の妖気によって眠らされた使用人や城番が無造作に横たわっており、物音ひとつない。
俺は探られないよう出来るだけ物音を殺し、城の奥へと進んでいった。
城の最奥、恐らく元は武器庫であったその場所に目的のものがあった。
天井から無数にぶら下がる半透明な卵の羅列。その中に漂う、鱗のない人魚のような娘達。
間違い無い。蝦蟇の犠牲になった娘達の魂だ。その殆どが、衣服も身に付けず一糸纏わぬあられもない姿をしていた。…もう既に死んでいるのだろう。
用心に用心を重ねて、入り口から死角となる位置の卵に手を伸ばした。
ずぷりと手が入り、中の娘の遺体に触れる。生暖かいが脈はない。これは既に人では無い。物だ。物質だ。…食べ物だ。
そう自分に言い聞かせて、遂に娘の肩口に牙を突き立てた。
瞬間、理性を失った。生暖かくドロリとした生臭い粘液に塗れた肢体はゼリーのように骨まで柔らかく、濃厚な旨味に溢れていた。正直、これほど美味いご馳走は前世でも食べたことがない。極上の煮凝りだった。
俺は無我夢中で残りの煮凝りを貪り始めた。咀嚼し、飲み込むたびに感じる。力が、力がみなぎる。痩せ細った手足が太くなり引き締まるのを感じる。力無く垂れていた腹が筋肉の腹巻きで包まれる。大胸筋がピクピクと唸っている。これは、いい。良い物だ。"妖怪としての自分"が歓喜に震えている。
だが同時に、"人間としての自分"が悲鳴を上げていた。嫌だと、人間を喰らいたくないと、人間でいたいと。
その相反する2つの思いが、俺の身体に異なる変化を与えていた。妖怪の自分はもっと筋骨隆々に大きくなりたいと、人間の自分はより人間に近い姿になりたいと
相反する2つの力はその中間の姿へと落ち着き、蹲っていた緑色の小鬼は美しい長髪を蓄えた美しい中性的な顔(かんばせ)の美男子へと姿を変えたのであった…。
主人公、早々にイケメン形態になります。白髪の奈落というか、女装した殺生丸というか。白童子というか。そんなイメージです