U.C.0111 機動戦士ガンダムχ 作:サクナ
第一章「前夜」
宇宙世紀
ジオン共和国が自治権を放棄し11年。マフティー動乱が静まって6年。
世界には平和が訪れるという兆しが見えた。
しかし、その裏ではネオ・ジオン残党「エクソダスの民」が宇宙世紀0093にνガンダムによって破壊されたα・アジールと0096のラプラス戦争にて崩壊したネオ・ジオングの設計図を元にした新型の大型MA「Σ・アジール」を秘密裏に建造していた。
一方、連邦軍機動戦艦が何者かから攻撃を受けたと伝えられ、サイド6のコロニー『ベルヌーイ』からラー・カイラム級機動戦艦「ドルトン」がプチモビルスーツに見送られる中、援護のため出港。
その中には試作機『χガンダム一号機』がカタパルトの上に立っていた。
デブリから関節を守るためのシーリング処理、RX-78-2のようだがどこかMSZ-006らしさもある頭部で胸部のみ黒、その他は白に塗られた異質な機体はある青年の目に止まっていた。
新品のパイロットスーツを着て、少し乗るのが嫌そうな顔をしている。
青年の名前はアスカ・レイン。連邦士官学校を卒業し19歳という若さで少尉にまで成り上がったエース。
連邦士官学校の成績や戦闘での強さでχガンダムのパイロットに選ばれた。
「今日からこの機体に乗ることになるのか...士官学校のジェガンとも全く操縦方法が違うんだろうな。」
そう言って足場を階段で登り、コックピットに乗り込む。コックピットの計器類が光を放ち、全周囲モニターが起動する。
アスカは操縦桿を動かし、アポジモーターやバーニアスラスタが正常に動くかを確認する。
「システム・オールグリーン。χガンダム一号機、発進します!」
「χガンダム一号機、発信許可を出す。行ってこい!」
χガンダムは激しい音を立てながら宇宙空間へ飛び出した。
バーニアから熱光を出しながら攻撃された機動戦艦へ向かう。
そこに見えたのは、ジオン公国のかすれたマークに赤いバラが刺さったグラフィティが描かれたムサイ。それに、損傷が激しいサラミス級の艦艇だった。
恐らく、ムサイにやられてしまったのだろう。
「あいつらか...でも赤いバラが書かれたネオ・ジオンのマークは見たことがないな。もっと近づかないと攻撃ができない..」
恐る恐る近寄っていくと、ビームが飛んでくる。
「な、なんだ!!」
激しい攻撃が始まる。アスカの一号機は反撃することもできないままビームを避けることしかできない。
すると急にビームの攻撃が終わる。
モニターの前に映ったのはビーム・バズーカを構えたリック・ドムが4機。
それぞれの胸部装甲にはご丁寧にも赤いバラが刺さったネオ・ジオンのマークが書かれている。
「こいつらか...!」
一号機は持っていたビーム・ライフルを構え照準を合わせる。
それに気づいたのか、一機のリック・ドムはビーム・バズーカを肩に構え出す。
しかし、既にエネルギー切れを起こしており引き金を引いても虚空が撃たれるのみであった。
そして一号機のビーム・ライフルの弾を避けきることができず、コックピット中央部に貫通し、光の煙がリック・ドムを包んだ。
その他のリック・ドムはそれを見て、ビーム・バズーカを捨て背部のヒート・サーベルを抜き、散り散りになって攻撃を仕掛ける。
「この新型め!死ねェ!!!」
リック・ドムの一機がχガンダムに向かってヒート・サーベルを振り下ろす。
「サーベルで勝負だって言うのか!卑怯だが、この手を使う!」
アスカは操縦桿を巧みに動かし、一号機の頭部バルカンを斉射する。
リック・ドムは防御ができずにモノアイを損傷。
「くそったれ!モニターが使い物にならなくなった!戦闘を離だ」
リックドムのパイロットは最後まで声を発せなかった。
一号機がコックピットをビーム・ライフルでゼロ距離から攻撃したからだ。
その刹那、他のリック・ドムが一号機の背後からヒートサーベルを振り下ろす。
しかし、リック・ドムのパイロットはその攻撃が当たったかも確認できず、素早く振り向い
たχにビーム・ライフルでコックピットを撃ち抜かれ、一号機の眼の前で閃光と化す。
シーリングが衝撃で破け、一号機のコックピットが揺れる。
しかし一号機とアスカは仲間の救出とムサイの撃沈のためにも引き下がるわけには行かない。
アスカは操縦桿を動かし、ビームで砲撃を続けるムサイに近づいていった。