U.C.0111 機動戦士ガンダムχ 作:サクナ
ドルトンは2つの小惑星がくっついた面白い形の宇宙要塞「ジェミニ」のドッキングベイに近づく。艦艇は減速している。
「あれがジェミニか...でかいな。思ったよりも。」とアスカが感嘆の声を漏らす。
「そうね。」と何事もなかったようにルシファーは真顔で返す。
『ジェミニへ、入港許可願います。』
『話は聞いています。入港を許可します。』
『ベイ7』と書かれたエアロックが開き、ドルトンは少し揺れて、ドッキングベイに着岸した。
『注意。全乗員に通達。本艦は翌日8時に出港する。繰り返す。本艦は翌日8時に出港する。』と無機質な自動音声でアナウンスが流れる。
「早いよなぁ...」と若い軍人は小声でため息をつく。
その他の軍人も口々に愚痴を吐き出していた。
愚痴が飛び交うカフェテリアで、「あ、そうだ。」とアスカが呟く。
「どうしたのかしら?私は聖なる深緑の神の血を飲んでいるから、邪魔しないでもらえるかしら?」
「それただの抹茶ラテだけど?」
「五月蝿いわね...いいじゃない..」
「それで、話変わるけど。実は、プレゼントを渡したいと思って。」
「あら、私に?」とルシファーは少し驚いたような表情をする。魔法陣のような虹彩が入ったガラス玉みたいな目が見開かれている。
「そうそう。」とマグカップほどの大きさの箱をバッグから取り出す。
その箱には「HARO THE-II RED」と書かれている。
「これ...何?」
「ベルヌーイから出発するとき、買ったんだ。高かったけどね。」
「いいの?私がもらっても...」
「いいよいいよ。いつも頑張ってるし。それより、開けてみてよ。」
「わかったわ。」そう言って、箱を開ける。そこから出てきたのは、赤い球体のロボット。後ろのスイッチを押すとつぶらな目がピンクに光る。
すると、「オハヨウ!キミノナマエハ?」と問いかけてきた。
「私は..ッフ...闇の宇宙から放たれし悪魔の告解...ルシファー・クレイドルよ。」
「ルシファー!ルシファー!」
「ふ...容易い..」
「そいつはペットロボットだから、懐くんだよ。」
「そんなの...わかっているわ...」と弁明する。
「オチコマナイデ!ハロ、ルシファーノトモダチ!」
「友達...初めてできたわ...」
「嬉しそうだな。ルシファー。」
「ウレシソウ!ウレシソウ!」とハッチをパタパタさせるハロ。
「ふ、ふんっ...」
そっぽを向くルシファー。
それを眺めているアスカ。
二人はまだ知らない。これから、地球に向かうことになるとは。
ジオン共和国残党「エクソダスの民」総帥、グレイ・オルドリンの前には、少女が立っていた。
その少女は、ジオンの軍服を着て、銀白の長い髪、目の色は赤で、ダビデの星のようなものが虹彩の中に入っている。背丈は小学5年生くらいだ。端から見れば、ルシファーの小さい版に見える。
「フラナガン機関からやってきました。番号4です。」
「番号4...」
グレイの黒髪が揺れる。茶色の瞳が、何かを思いついたように語る。
「番号4。君はつらい訓練を乗り越えてきたんだ。特別に名前をあげよう。」
「総帥、いいんですか?!」と秘書が感嘆の声をあげる。
「いいんだよ。」
「なまえをつけてくれるんですか?」
「そうだ。君の名前はウリエルだ。ウリエル・クレイドル。」
「ありがたき幸せです!ウリエル、頑張ります!」
「じゃあ、君に命令だ。地球へ行って、サイコ・ガンダムmk-+を起動させて、ブルーローズの連中を地球に呼び寄せろ。」
「わかりました!」
そう言って銀白の髪を翻して大きいドアを開き、去っていく。
「エルツー...戻ってきたならば...」とグレイは下唇を噛んだ。