U.C.0111 機動戦士ガンダムχ 作:サクナ
第十三章「紫の巨人」
ウリエル・クレイドルはコムサイのメインデッキの椅子に座っていた。銀白の髪にロシア帽がよく似合っている。すでに大気圏突入は始まっていて、椅子にシートベルトを着け座っている。
「すごーい!ガタガタ震えてる!」そう言った。ウリエルは純粋に楽しんでいるようだ。
ガタガタと震えている上に、パイロットも少し怯えている。
「これで、大丈夫なんだろうな。なんせザクを二機も載せてるんだぜ?」とジオン兵がもう一人のジオン兵に呼びかける。
「マニュアル通りにしてるから、大丈夫だろう。結構重いが、シュミレーターならピカイチだ。」
「それ、信じれないけどな....。でもお前がそう言うなら、任せるよ。」
すると、「楽しい!これからどんなモビルスーツに出会えるんだろう!」ウリエルの楽しそうな声がする。
楽しそうな声とは裏腹に、ガタガタと震えるコムサイ。コムサイの外の温度は1800度まで上がっている。大気圏の真ん中より、だいぶ下がってきているようだ。
「大気圏を突破します!落下圏内はジオン軍自治区周辺!サイコ・ガンダムmk-+の近くです!」
コムサイの周りの熱が急激に冷め、青い空が広がる。気持ちが悪いほど真っ青で、白い雲の下に見え隠れする森。
「きれーい!着地して!」
「まだ高度が高いです!6万フィートもあるんですよ!」
「そっかー」そう言って足をばたつかせる。
「高度、5万8000フィート。」
「まだまだ掛かるな。」
そして約35分ほど掛かり、着陸できる高度まで下がり、機体を水平にする。
「ギア・ダウン。」
レバーを倒すと、ハッチが開き5つのランディングギアが展開して小さいタイヤがあらわになる。
ひらけた大地を見つけると、エンジン出力を下げる。
「着陸します。」
少し揺れたあと、シューという音と共に停止した。
「地球につきました。ウリエル中尉。」
「地球についたの?ここが地球?」
「そうです。ここが地球です。」
もう一つのレバーを倒し、発進口を開く。中から、ザクIIが二機出てくる。
「さぁ、乗ってください。」
「わかった。でも、私が操縦する!」
「わかりました。おーい、マッキンリー、乗せてくれー」
マッキンリーと呼ばれた男は、びっくりしたような表情をする。
「えっ?ザクは一人乗りだぞ?ジャスパー。」
ジャスパーと呼ばれた男は、困ったように答える。
「どうやら中尉が乗るそうだ。頼むから乗せてくれよ。」
「しゃーないな、わかったよ。」
無理やりジャスパーの体を押し込め、マッキンリーが乗る。
「聞こえる?」とコックピットにウリエルの声がする。
「聞こえます!」と答える。
「方角はどっちー?」
「西に100mです!」
「よし、しんぐーん!」
「了解しました!」
緑色のザクII2機は木々をかき分けながらジャングルの奥地へ進む。
「ここが地球か...まったく、汚いところ。虫もうようよ。早くムサイへ帰りたいなぁ」
「本当だよ、ジャスパー。嫌だなぁ」
先頭にいるウリエルのザクIIがどんどん進む。
「あ、あった!見えてきたよ!」ウリエルが叫ぶ。
「「本当ですか!」」二人は同時に答える。
そこには、頭部がシートに包まれた紫の大きな巨人がそこにいた。横倒しになっている。
「すごく大きい!ルシ姉にも喜んでもらえるわ!」
「ルシ姉..誰ですか?」ジャスパーが聞く。
「ルシファー・クレイドル!」
「ああ、あの脱走兵か。」ジャスパーはため息を付く。
「そうだ、脱走兵だ。全く。」マッキンリーも同じくため息を付く。
「まあ、それはいいとして!」
ウリエルはザクIIの足を止める。片膝をつき、左マニュピレータをコックピットの位置に近づけ、コックピットハッチを開き、ウリエルがマニュピレータの上に乗る。
腕が動き、地上まで下ろす。ウリエルはマニュピレータから降り、サイコ・ガンダムに近づく。
ジャスパーも同じく降り、ウリエルの乗っていたザクIIに乗り込む。
「ふう。狭かった。中尉!大丈夫ですか?登れます?」
「コックピットは胸でしょー?」
「そう、らしいですね...」
「マッキンリー!登るのを手伝って!」
「はい、わかりました。」
マッキンリーのザクが近づき、マニュピレータをウリエルに近づける。ウリエルが上に乗ると、サイコ・ガンダムに近づき、コックピットの近くにウリエルを乗せる。
「コックピットハッチ!開いてー!」
そうコックピットハッチに語りかけると、コックピットハッチがスライドし内部の全天周囲モニターとリニアシートがあらわになる。
「すごい..あれがニュータイプの力か...」マッキンリーがデジタル双眼鏡越しに驚きの声を漏らす。
ウリエルはリニアシートに乗り込むと、自動でハッチが閉まる。何かの文字がモニターを包み込むと、全天周囲モニターが起動する。マッキンリーとジャスパーのザクが映る。辺りの木々もはっきりと写っていた。
するとウリエルはロシア帽を外し、ヘルメットを付ける。
「よし、サイコ・ガンダムmk-+、起動!」
すると、胸部に3つ連なるメガ粒子砲のシャッターが開き、肩、腰、足の順番でシャッターが開きメガ粒子砲があらわになる。頭部についていたシートが剥がれ、左右に4つ、真ん中に一つのセンサーアイを持った気持ちの悪い顔が現れる。すると、顔の横からサイコ・ガンダムmk-IIのような悪人のような顔が出てきて気持ちの悪い顔を隠した。
「あれが...サイコ・ガンダム...」マッキンリーはデジタル双眼鏡を落とし、ただ放心状態になって見ている。ジャスパーも同じだった。
そして、ゆっくり、立ち上がる。
「ふたりともー!この先、どうやら連邦の野戦基地があるから消し飛ばすよー!」
「「了解しました!」」
サイコ・ガンダムmk-+とその3分の1ほどの大きさしかないザクII二機は基地へ向かって動き出した。
グレイ・オルドリンはサイコ・ガンダムmk-+の起動成功という吉報を聞いて笑っていた。
「起動が成功したか!」
「すみません総帥、質問があります。」
「何だね?」
「4年前に地球圏に落ちてきたモビルスーツって、何だったんですか?」
「サイコ・ガンダムの残骸らしきものだ。正確に言えば、別の世界から来たモビルスーツということだ。研究者が調べたところ、中に人は乗ってなかった。四肢も欠損していた。だから、ムラサメ研究所という地球連邦軍のニュータイプ研究所を騙して四肢を作らせ、頭部を改修した。ムラサメ研究所は今までサイコ・ガンダムシリーズを作ってきたから構造はわかるだろう。」
「それで...。」
秘書はそれで納得行ったようだった。
「そういえば、私のΣ・アジールは?」
「改修は終わってます。」
「そうか。χガンダムを今度こそ破壊してやる。」
グレイには、何かの決心がついたようだった。