U.C.0111 機動戦士ガンダムχ   作:サクナ

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第十八章「ホンモノとホンモノ」

ルシファー・クレイドルは自分の妹と名乗るウリエル・クレイドルと睨み合っていた。

 

川の真ん中の浮島まで追いやったはずなのに、緊張感は解けなかった。

 

ルシファーは黙考していた。いくら二号機が覚醒した、サイコ・ガンダムは巨大な体を捨てて同じくらいの大きさになったとはいえ、手が4つもついていてリフレクタービットが相手なら覚悟を決めて戦うしかないと。

 

『ハハ。そっちはサイコ・キューブかぁ。総帥が言ってたのと同じかー』

 

「そっちは随分とチート兵器を持ってるじゃないの。貴方は私と互角に戦いたいのでしょう?」

 

『毛頭ないよ。私は強いし。だって、ニュータイプだから。』

 

「どうせ貴方も私と同じ強化人間なのでしょう?」

 

『強化人間だから何?弱いって言いたいの?』

 

「いいえ。その逆よ。あなたは強いわ。」

 

『何が言いたいの?』

 

「つまり...隙が多いってことよ!」

 

ルシファーは手を前にかざすと、薔薇の棘の様な形に変形したサイコ・キューブが素早い速度でサイコ・ガンダムに向かっていく。

 

サイコ・キューブはリフレクター・ビットと激しく戦う。しかし、リフレクタービットを軽々しく破壊し、サイコ・ガンダムに向かっていく。

 

『ルシ姉!汚い!』

 

「汚いのはどっちよ!貴方のほうがずっとひどいことをしてくれたわね!」

 

『うるさい!あの私が跳ね飛ばしたパイロットのことで怒ってるんでしょ!』

 

リフレクター・ビットが高速で移動する。ビームが発射されると残り3つのサイコ・キューブが平面状になり、シールドになる。

 

「っ......」

 

『図星だね!やっぱりそうだ!』

 

ウリエルは面白そうに笑う。そして、衝撃的な言葉を口にした。

 

『ルシ姉、あのパイロットのこと好きなんでしょ?』

 

その時、ルシファーには電撃が走ったような感覚が体を駆け巡る。

 

「そ...そんなことないわ...」

 

そう弁明していると、ウリエルは嘲笑うような口調に変わり、心無いことを喋りだす。

 

『でももう遅いよ。あんな遠くにふっ飛ばしたんだから生きてるはずがないでしょ?諦めなって。どうせ死んでるしね。ほら、ルシ姉だって、人が死んでいくところをいーっぱい見てきたんだから、気にしないでしょ。』

 

ルシファーはその言葉を聞いて、激しい動揺と怒りに襲われる。

 

(そんなはずない....アスカは生きてる。だって、あの隊員たちに指示を出したんでしょ...)

 

そう自分に言い聞かせていると、その考えを見透かすように、答える。

 

『あの隊員たちだって、本当のことを言っているのかな?嘘かもしれないよ?』

 

ウリエルは、サイコ・ガンダムを一歩も動かさず、リフレクター・ビットで攻撃を行っている。ルシファーもサイコ・キューブをシールドにしたり、アイスピックのような形状になってリフレクター・ビットに攻撃を行っている。

 

「そんなはずは...死んだとしたら....」

 

『だって通信が途絶えてるんだよ?死んでるんじゃない?』

 

そこで、ルシファーの何かが切れた。

 

「..........................よくも........」

 

『よくもって、何?旧世紀の特急の名前?』と、結構コアなボケをかます。しかし、逆効果のようだった。

 

「よくもアスカを!殺してくれたわね!....どんな戦争をしたって!どんな時代を繰り返しても!あなたのしたことは人殺しでしかないのよ!」

 

『ハハっ!ルシ姉だって、人のこと言えないよ!ルシ姉の方が人殺しだ!』

 

「うるさい!うるさいうるさいうるさいうるさいうるさいうるさい!」

 

サイコ・キューブが4個くっつき、ビーム・ライフルを形作る。残り4つは、シールドになる。そして赤く光り始めた。

 

「貴方は地獄へ落ちてしまえ!この堕天した存在が命令する!」

 

すると、ビーム・ライフルは変形し、銃身の部分がフィン・ファンネルのような形状になり、強力なビームを出す。

 

サイコ・ガンダムmk-+は元々の巨体なマニュピレータで防ごうとする。しかし、手は破壊されてしまった。

 

ウリエルは、ロシア帽を脱ぎ、投げ捨てる。

 

『こんなの...聞いてないよ!ぐぐ....でも..面白い!』

 

サイコ・ガンダムmk-+はバックパックに折りたたまれたチェーン・マインを取り出す。

 

『これで..なんとかなれーっ!』

 

チェーン・マインを投げて、見事チョバム・アーマーに取り付く。

 

そして、爆発した。

 

激しい煙と音が辺りを包む。地面が凹み、煤が舞っていた。

 

『ルシ姉...。あっ、生け捕りって言われてたんだった。これじゃあ焼き姉かぁ。アッハハ!焼き姉だって...』

 

ウリエルは寂しそうに笑う。自分の姉を殺めることになるとは思いもしなかったようだ。

 

すると、背後から「赤い悪魔」がサイコ・キューブで構成されたビーム・ライフルを向けていた。チョバム・アーマーだけが弾け飛び、真紅の機体「カーマイン・ヴェール」だけが残ったようだ。

 

『え?』

 

「これで終わりよ!ウリエル・クレイドル!」

 

そう言って、サイコ・ガンダムの頭部を吹き飛ばす。

 

『なんで...ルシ姉...生きてるの...?』

 

同じ大きさのサイコ・ガンダムmk-+がよろめきながら倒れる。

 

「チョバム・アーマーがあったから、助かったの。一撃じゃ無理だから、次は殺すわ。」

 

そう言って、胸部のコックピットハッチを見つけると、その周りを破壊し、装甲を破壊する。

 

中の黄色いボールのような全天周囲モニター・リニアシート搭載コックピットを鷲掴みにし、引っ張り出す。コードや部品が空へ舞った。

 

『あーあ。捕まっちゃったか。』

 

二号機のマニュピレータの力が強くなっていく。握りつぶそうとしているのだ。

 

『でもね。ルシ姉。また会えるよ。私の、一人のお姉ちゃんだもの。』

 

「私は...姉じゃない。」

 

『最後までそうだったか。でも、また別の体で会いに行くよ。バイバイ。ルシ姉。』

 

そこで通信が途絶えた。完全に握りつぶされ冷却液なのか血なのかわからない液体が垂れていた。

 

握りつぶされた中で唯一残っていたのは、エクソダスの民のマークが入っているロシア帽のみだった。

 

二号機は、潰されたコックピットを持ったまま、沈黙していた。

 

気持ちの悪いほどオレンジ色に染まった夕暮れが、それを照らしていた。

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