U.C.0111 機動戦士ガンダムχ 作:サクナ
グレイ・オルドリンはブラウシュルテンを巧みに扱いながら夜の暗い森を駆け抜ける。青い色は見事に夜にマッチし、モノアイのピンクの光だけがはっきり見えていた。
『33潜入部隊、出発します。』と兵士から連絡が繋がる。
「わかった。我が部隊はガンダムを打ちのめして君たちの経路を開かせる。」
『ありがとうございます。33潜入部隊総員、激しい戦闘になるため森へ隠れろ。』
通信が切れ、グレイは黙考する。
(ウリエル...よくやってくれた。χガンダム一号機と二号機はボロボロだ。今ならすべてを破壊して邪魔者を無くし地球の蚤を一掃できる...)
ブラウシュルテンはヒートナイフで木を切り倒しながら高機動型ザクIIで培った脚部の推進機とドムのホバー走行で高速移動する。
時々ビームや実弾が飛んでくるが、素早く躱しながら攻撃する。
ジェガンの頭部やハイザックのコックピットをビームライフルで狙い撃ちしながら素早く動く。まるで台所に出てくる脂ギッシュで黒くて飛んで気持ちの悪い甲虫のようだ。
「なんだあれは?!エクソダスの新兵器か?!退却だ!撤退しろ!」
素早さと乱れ撃ちされるビームライフルで狙う。
そして、浮島の方まで来て、因縁の敵と対峙する。
アスカ・レイン。χガンダム一号機に乗っている。
しかし、装甲はボロボロでチョバム・アーマーもつけていない。武装も頭部バルカンと間に合せのジェガンのビームライフルのみだ。
「アスカか?...しかし私の敵ではない!」
その武装の無さから勝てることを確信し、ビームライフルとヒートナイフで攻撃を仕掛ける。
咄嗟に一号機はシールドで防ぐ。
しかしグレイは気にせずにシールドの覗き穴からヒートナイフを投げる。
一号機は頭部バルカンでそれを破壊し、ジェガンのビームライフルをブラウシュルテンに撃ち込む。
「くくく...低出力のそんなビームライフルでは効かん!さぁ!ルシファーを返してもらおう!」
『絶対にルシファーは返さない!お前らがルシファーを傷つけて今は昏睡状態なんだ!』
それを聞き、グレイは立ち止まる。
「なんだって...?!」
『本当だ!見ろよあの光景を!』
双方はかつて「サイコ・ガンダムmk-+」だったものに目を向ける。
『こんなモビルスーツで人を重篤にさせるなんて...やはりお前はルシファーを物としか思っていない!』
隙を突かれたグレイは、攻撃をモロに受けてしまう。
「チィ!」
そして、技術者が言っていたことを思い出す。
(この機体は速度が速くするために通常よりも装甲を薄くしているんです。あまり長期戦に持ち込まれると撃破されてしまうため一撃離脱戦法をオススメします。)
それを思い出し、一号機を蹴り上げ間を空けたあと、脚部に取り付けられた煙幕を発生させるシュツルムファウストを引き抜き爆発させる。
『何!煙幕か?!』
辺りが青い煙に包まれる。
「また会おう。アスカ・レイン。」
『待て!このや』
ブチッという音とともに通信傍受装置のケーブルを引き抜き、味方と通信をつなぐ。
「33潜入部隊。そっちは大丈夫か?」
『潜り込めました!総帥!本当にありがとうございます。』
「いや、礼はいい。私は本拠地に帰還する。」
『了解です。総員!ミノフスキー粒子散布!』
グレイはブラウシュルテンのホバーを始動させヒートナイフで傷をつけておいた木を探し出し暗い森の中に消えていった。
アスカ・レインは青い煙に包まれたχガンダム一号機の中で折れてギプスをつけた右腕をさすりながら呟いた。
「何だったんだ...」
そこへ、通信がつながる。
『アスカ少尉!助けてください!』
それは、今にも泣きそうな声だった。
「どうしたんだ?!何があった?!今どこにいる!?」
『森の中です...隠れているんです...。発振器を付けているので実は先程かなり汚れた陸戦型ジェガンらと鉢合わせになって...』
彼の話す内容は、このようなものだった。
汚れてぼろぼろな陸戦型ジェガンやジムIIと鉢合わせになり、助けてくれと懇願された。その懇願をすっかり信じ込んだある隊員が物資を渡そうと言って自機体のコックピットハッチを開けた。
するとその陸戦型ジェガンが味方の陸戦型ジェガンに攻撃を仕掛けた。
彼らの持っていた武装はゲルググのビームライフルだった。
敵と判断した隊員はビームライフルを向け攻撃をするも太刀打ちができなかった。
助けを求めた隊員は見た。敵の陸戦型ジェガンのシールドは全くのハリボテで、背中にはザクIIの動力パイプがついていた。センサーも光らせていなかっただけで本当はピンクのモノアイだった。
自分も戦ったし、援軍も要請しようとしたけれどうまく通信が繋がらなかった。モニターを見るとミノフスキー粒子が高濃度で散布されていた。
そしてどうしようもなくなり隙を突いて森の中に逃げた。
ハリボテ連中は何処かに歩き去ってしまったと。
「まずいことになったな...だから通信が繋がらなかったのか...。」
『助けてくださいぃ.....』
「わかった。今すぐ行く。そっちは爆弾を仕込ませたダミーバルーンを作って待っていてくれ。」
『了解...しましたぁ...ぐすっ...』
そして、χガンダム一号機はレーダーが示す方向へ走り始めた。
「...シ姉!...ルシ姉!起きて!」
ルシファーが起きた先は川を隔てた開けた場所だった。
「ウリエル・クレイドル....」
すぐ横には、死んだはずのウリエル・クレイドルが立っていた。
「ルシ姉、全然起きないから...」
「あなたのお姉さんではないと言った筈よ?」
するとウリエルは立ち上がった。
「はいはい。じゃあ私はあの川の向こう岸に行くから、逆を行って?」
そしてウリエルは軍服を翻し背を向け川の向こう側へ向かう。
「待って!あなた、どこへ行くの?」とルシファーが聞く。
「私は死んだからもう行くの。ルシ姉はまだ生きてる。私の分も生きて、幸せになって。」
それを聞き、ニヤリとルシファーは笑う。
「そう...。淋しいわね。せっかくのことだから、あなたは私の妹だと認めてあげようと思ったのに。」
その言葉を投げかけると、ウリエルはルシファーの方に顔を向ける。その目には涙が溜まっていた。
「ほんと....?」
「ええ。ほんとよ。これじゃあ私が泣かせたみたいじゃない...」
「私、嬉しい。ありがとう....ルシ姉。」
ウリエルは目から涙が零れ落ちる。そして、わんわん泣いた。
ルシファーはそれを優しい笑みで見ていた。
散々泣いたあと、ウリエルはルシファーに背を向け、歩き出した。
「さようなら。ルシ姉。大好きだったよ。」
「ええ。」
ルシファーもまた、歩き出した。
少し歩くと、古ぼけたドアが現れた。
ルシファーはそれを開けると、目の前が真っ暗になった。
目を開けると、そこは病室のベッドの上だった。
ルシファーは、目覚めた。
新機体解説「ブラウシュルテン」(MS-18HM)
またも始まりました突然始まるこのコーナー。
今回もかなり混乱しそうなので、解説します。
ブラウシュルテンは、アナハイムエレクトロニクス(グラナダ工場)開発のMS。先代であるケンプファーの実戦データと技術の進歩で実現可能になった機体。名前の由来はドイツ語で「青い星」を意味している。
連邦から盗んだ技術「ムーバブルフレーム」を採用し、従来よりも修理スピードと機動性を高めている。
そして、少しであるがバーニアも大きくなり機動性の向上、ドムで培ったホバー走行を可能にし、機動性を向上させている。しかし、その機動性を維持するためには軽くしなければいけない。そのため、外部装甲が従来よりも薄くなっている。そのため、パイロットの生存率を下げる可能性がある。頭部はケンプファーよりもスタイリッシュになっている。民間へ払い下げはなし。
武装
60mm頭部バルカン砲
頭部に4門搭載。前に2つ、後ろに2つ付いている。
ビーム・サーベル
ケンプファーの実戦データを活用し出力を上げたもの。光刃は黄色。脚部に収納されている。
197mm口径実弾搭載ビーム・ライフル
ビーム・ライフルはサザビーのビームライフルの出力を下げ、デザインを刷新させたものを採用。砲身を回転させることで実弾の装填、発射も可能。形はミニミ軽機関銃とブローニングM2重機関銃をくっつけたような形をしている。
ジャイアント・バズII
ケンプファーと同型だが左肩に1門のみ搭載。砲身を縮めれるようになっている。
シュツルム・ファウスト
使い捨てロケット砲。投げると起動する。熱誘導でケンプファーのものより命中率が向上している。
煙幕弾バージョンも装備。しかしこれはロケット砲ではなく取り外したあとに地面に投げつける形になっている。
ヒート・ナイフ
この機体での新装備。投げナイフとしても使えるほか、切れ味も鋭い。刃の温度も調節できる。
シールド
爪付き。ミサイルポッドとグレネードランチャーが搭載されている他、実弾のマガジンも装備。
質問があったら言ってください何でもしますから。