U.C.0111 機動戦士ガンダムχ 作:サクナ
アスカは痛む骨折した右腕をさすりながらルシファーのいる病室に向かう。
「おーい、アスカ。大変だったんだってなぁ」
同僚が声をかけてくる。しかし、空返事をしアスカは行ってしまう。
アスカは医務室に付き、自動ドアが開く。そして、中に入った。
するとアスカの目に写ったのは、元気そうに赤いハロと話す銀髪、赤い瞳のルシファーだった。
「ルシ...ファー....」
アスカは呆然と立ち尽くす。
ルシファーの方もアスカに気づいたようで、ベッドの上で唖然とする。
「アスカ...?」
アスカはゆっくりと近づいていく。ルシファーは赤い瞳に涙を浮かべていた。
「本物だよな...?目を覚ましたのか...?」
「生きてたの...まさか私死んだんじゃないでしょうね...?」
そう言いつつ、ぽろぽろと目から涙を流すルシファー。
「シンダ?シンダ?」とハロも不謹慎な言葉を放っている。本当にペットロボットなのか心配だ。
「本物だよ...生きてるんだよ...アスカは...」
アスカも涙を流す。
すぐにアスカはベッドに駆け寄り、うずくまって泣く。
ルシファーも上から覆いかぶさり泣く。
ずっと、泣いていた。
医者もエルマ・クレイドルもその様子を医務室の隅から、じっと見守っていた。
そして散々泣いたあと、アスカが近くの丸椅子に座り、今まであったことを話し始めた。
「あの巨大なモビルスーツに飛ばされたあと、大丈夫だったの...?」
「全然大丈夫じゃなかった...。防衛ラインに落ちて味方部隊に助けてもらわないとだめだった。」
「やっぱり貴方が指揮を取っていたのね...」
「でもどうやらブレードアンテナが折れたらしくて、通信が繋がらなくなったんだ。僕も意識が薄れた。気づいたら医務室のベッドの上だったんだ。」
「それでその怪我を...」
「飛ばされたときの衝撃と、エアバッグが効かなかったんだ。そういえば、そっちは?」
「ああ、あのメスガ...ウリエルのことね?あの子は手強かったわ...。」
「具体的にどんな風に?」
「あの子はモビルスーツの使い方を完全に理解していたわ。サイコミュの使い方も。どこにどう、隙を突くのかも。あんな大きいモビルスーツでよくできたと思うわ。」
「強化人間なんだろ?そいつ。」
「ええ。私と同じ強化人間よ。でも、サイコミュ兵器を使っても、気持ち悪くなっていなかった。それほど強い子なのよ。しかも着脱機構をあーにも上手に...」
「着脱機構?」
アスカは首を傾げる。
「そう。あのデカいモビルスーツの中には、私のカーマイン・ヴェールと同じくらいの大きさのモビルスーツが搭載されてたの。それをここぞというときに使ってくる姿勢が、どうにもウザかったわ。」
やれやれといった様子で、ルシファーは目を閉じ首を横に振る。
「着脱機構か...エクソダスの技術は計り知れないな。」
「本当にね。」
「ああ、話変わるけど、ルシファーが眠ってる間に、あいつがまた攻撃を仕掛けてきてな。」
「あいつ...ああ。グレイのことね。」
「新型機で来てたんだ。これからもまた襲ってくるかもしれない。」
「私もその時は協力するわ。」
「ありがとう。でももう少し休んでろよ。」
「いや、もう大丈夫だわ。」
「そうか。」
医務室には、温かい想いが沢山入っていた。
その頃ジャブロー基地の外では、グレイ専用ブラウ・シュルテンが猛威を振るっていた。
高速でホバー移動し、背部のジャイアント・バズIIの攻撃で大木が生えた地面をえぐらせ土埃が舞っている。ブルーローズ隊のジェガンはそれに怯むだけで攻撃が行えない。
「あの新型の青いモビルスーツ、なんだ?!」
「わからない!でも俺らだけで隊の所有するジェガンがなくなる!絶対に撃破をされるな!」
そこへ砲身を回転させ197mm実弾砲になったブラウ・シュルテンのビーム・ライフルが襲う。
咄嗟に少し大きく改造されたジェガンのシールドで防御する。
「チィ!ここまでとは...」
隊員のジェガンのビーム・ライフルでブラウ・シュルテンを攻撃しようとするも素早いホバー移動で避けられてしまう。
「素早い!」
すると目の前にブラウ・シュルテンが現れ、モノアイが怪しくピンクに光る。そして頭部にヒート・ナイフを突き刺した。
「カメラが..死んだ!」
その場に跪き倒れてしまうブルーローズ隊のジェガン。
背後からブラウ・シュルテンに腕に固定されたビーム・サーベルで攻撃をするジェガンもいたが、後頭部のバルカンで攻撃を返され倒れてしまう。
その倒れたジェガンの後ろから、ブレードアンテナをつけた指揮官機が襲いかかる。
すかさずグレイは後頭部のバルカンで攻撃をするが、シールドで防がれてしまう。
「こいつ...只者ではない...。」
するとジェガンのバイザーの中のセンサーアイが赤に変わる。
「な、なんだ....」
グレイは動揺する。ゾワゾワとした感覚が全身を襲う。他に撃破したはずのジェガンも皆センサーアイが赤くなっている。
指揮官機の全天周囲モニターに無機質な文字と自動音声が流れる。
>>> A.N.B.S ONLINE
[ANTI-NEWTYPE BURST MODE]
SYNAPTIC LOCK: ENGAGED
TARGETING PRIORITY: NT CLASS
ブラウ・シュルテンに乗っているグレイは更に憎悪ともとれる感情に襲われる。
「なんだ...この感情は...」
その瞬間、赤いセンサーアイを光らせたジェガン4機が、一斉に襲いかかる。
「オールドタイプでも、ニュータイプが殺せることを実証させてやる!」
ビームライフルの威力が上がる。
グレイはそれを避け、シュツルムファウストを投げる。
「威力が上がっている?!クソ..想定していない!」
赤く不気味に光るセンサーアイを横目に、ヒートナイフを投げる。
その投げられたヒートナイフは頭部にもう一本を突き刺された機体に当たり、首と胴体が潤滑油を撒き散らしながら倒れる。
しかし、倒れた刹那、すぐに起き上がり腕固定のビームサーベルをブラウ・シュルテンに突き刺すように攻撃をする。
それを見たグレイは、恐怖よりも驚きを覚える。
(あれはゾンビか?!)
「お前を殺すまでは!まだ戦わなければならないんだ!俺の母さんを殺しやがって!」
一般兵は餌に食らいつく猛獣のように腕固定のビームサーベルを振る。その行動は、本気で死んでほしいと願うかのようだった。
他のジェガンも、素早い速度でビームライフルやビームサーベルを撃ったり振ったりしている。
「このままだと...負ける!!」
グレイは危機感を覚え、煙幕弾を地面に投げつけ辺りが青い煙に包まれた。
「私だって命が惜しい!誰だってそうだ!」
「なんだ?!」
そして、煙が晴れた頃には、既にブラウ・シュルテンは消えていた。
「逃げられた...畜生...」
徐々に森がなくなっていく。剥げて土が露出した大地に、センサーアイの色が戻ったジェガンが立っていた。
グレイは逃走する間、あの『システム』について考える。
(せめて一機ほど鹵獲したかったものだが...くそっ...あれさえ鹵獲しておけば我々の勝利は確実だった...。だが仕方が無い。今は持久戦で持ちこたえることも難しい。宇宙《そら》へ戦場を移すことにしよう。)
グレイは、そんなことを考えながら本部へ戻っていった。
新機体解説「ジェガン(ブルーローズ・カスタム)」(RGM-89+G-B-C)
恒例になってきて作者自身もやばいと感じ始めているこのコーナー。
それでは、はじまりはじまり。
ジェガン(ブルーローズカスタム)は陸戦型ジェガンA型を改造しカスタマイズした機体である。機体色は青色をしているが、ブラウ・シュルテンほどの青ではなく、水色に近い色になっている。陸戦型ジェガンA型を素体にして作られているが、背部のコンテナ・ラックは大型1機、小型2機のメインスラスター搭載のバックパックに変わっている。しかし可動式バーニアアームはオミットされている。
ビームサーベルは腕固定に変更され、攻撃バリエーションは限られるが、素早く、強力な攻撃を行うことができる。
そしてエルマ・クレイドル技術大尉が制作した対ニュータイプ用撃退システム「A.N.B.S」を搭載することで、相手のニュータイプ能力を下げることができ、瞬発的、直感的な動作を可能にできるそのシステムは、「E.X.A.Mシステム」を彷彿とさせるため、実質的な焼き写しと言える。
武装
ビーム・ライフル
通常のジェガンの武器と変わらないが、A.N.B.S発動時は威力が上がる。
ビーム・サーベル
腕部固定。刺突などの攻撃が主。
シールド
通常のシールドより頑丈、広く大きくできている。
頭部バルカン砲
威力は変わらず。大きな音を出すクラッカーも積める。
わからないことがあったら言ってください。