U.C.0111 機動戦士ガンダムχ 作:サクナ
第二十四章「宇宙へ、還る。」
ジオン残党「エクソダスの民」がマスドライバーを利用して宇宙空間へ引き上げていたのは、グレイが操るブラウ・シュルテンがブルーローズ隊がカスタムしたジェガンに撤退してから2日後のことだった。
何も前触れがなく、そして突然であったため、連邦軍の間では連日協議が行われた。
「我らの勝利ではないか?」や「まだ兵器を隠し持っているかもしれない」などの様々な憶測が流れ、最終的に「宇宙へ戦場を移した」ということで決定した。
そして今、ボロボロのモビルスーツを引き連れたブルーローズ隊の本部であり旗艦のラー・カイラム級機動戦艦「ドルトン」はジャブローのデッキを離れ、宇宙へ向かった。
χガンダム一号機の搭乗者アスカ・レインとχガンダム二号機「カーマイン・ヴェール」の搭乗者ルシファー・クレイドルとその他隊員は、電灯が赤くなる様子を見て、椅子のベルトを締めた。
やはり新米は冷や汗をかいており、アスカもルシファーも例外ではなかった。
「またこれか...怖くて仕方ないんだよなぁ...」
「しょうがないじゃない。エクソダス側が宇宙へ逃げたんですもの。」
「そりゃあそうだけどルシファーの機体も俺の機体もボッロボロだろ?こんなんで戦えるかな」
「言ってたでしょう?聞いてないのかしら?耳ついてないんじゃないの?一旦ジェミニっていう行きのときも寄った宇宙要塞へ言って部品とか燃料とか弾薬、電力と点検を行うって。」
「そんなボロクソに...うおっ...」
突然揺れだす船体。大気圏に突入したようだ。
「いやいや怖いって。無理無理。」
「貴方本当にモビルスーツのパイロットなの?」
「ルシファーこそ...」
ルシファーはまたも足が震えていた。
「こ、これはね...武者震いだわ...」
「また言うんかい...ひゃあ...」
恐ろしい振動が伝わる。
I・フィールドに負荷がかかっているのだろうか。それとも大気圏を抜けたのだろうか。どちらとも、メインブリッジ以外の隊員にはそんなことわからなかった。ただ、自分が生きる道を探した。
アスカもルシファーも祈っている。他の隊員や兵士もだった。
そして数分後、何の神が微笑んだのか知らないが、無事大気圏を突破したことが報じられた。
電灯が赤から通常に戻る。ルシファーもアスカもただ喜んでいた。無重力で浮かび、ベルトを外して、皆自分の無事を喜んでいた。
その頃メインデッキでは、重大なことが起こっていた。
「姿勢制御装置がまた駄目に!」
隊員が叫ぶ。艦長は少し焦って言った。
「どうするんだ?!ジェミニまで手動で行けと?!」
「そうなりますよ。プチモビもこの大気圏突入後の表面温度じゃあ、操作できません。I・フィールドも冷却中なので...」
「まぁいい。後で整備士に行かせる。今は手動だ。」
館長は低い声で言い放った。そして、ラー・カイラム級機動戦艦「ドルトン」はゆっくりと動き始めた。
物語は、宇宙へと変わる。ボロボロになったχガンダム一号機と二号機は、無重力空間でシーリング処理が格納庫で行われていた。