U.C.0111 機動戦士ガンダムχ   作:サクナ

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第二十九章「コンペイトウの味」

コンペイトウの援軍が、来た。

 

それは現在物資不足と兵の不足でかなり追い詰められているブルーローズ隊や、その他の交戦中のサラミス級やマゼラン級への特効薬のようなものだった。

 

勿論、モビルスーツ隊は武装をしている。しかし、そのモビルスーツ隊の中にはどこか小さいように思える機体がある。

 

「あ、あれは...援軍?!」

 

高速起動試験型ザクIIに乗ったルシファー・クレイドルは遠目からその様子を見ていた。向かってくるギラ・ドーガをノールックで撃ち落とし、その場をキープしている。

 

徐々にジェミニに近づいていくと思えば、隊列はバラバラになっていき急加速を始める。

 

そしてエクソダス側のザクIIにビーム・ライフルを向けた。その他のエクソダス側のモビルスーツを的確に狙っていく。

 

「ヘ、ヘビーガン...!!」

 

そう、ヘビーガンだ。しかし、頭部はガンダムタイプに変更されている。中に乗っている人物も、ニュータイプのようだ。

 

そして、戦況は大きく変わった。しかし、さらなる暗雲が立ち込める予感がした。

 

 

 

 

 

 

 

 

一方、アスカ・レインが乗るχG-0001は遠目からその援軍が戦うのを見ていた。

 

「あれは...援軍か...」

 

アスカは操縦桿を動かし、更にジェミニに近づこうとした。しかし、ジェミニの暗礁宙域付近の少し離れたところに不自然に小惑星が浮かんでいる。

 

(あれ、本当に小惑星か?なんだか作り物のような気がするぞ)

 

χG-0001でそばに寄ってみると、それはダミーバルーンだった。

 

「これ、ダミーバルーンだ!」

 

χG-0001の腕部のプレートが緑に光り、浮き出すと、ダミーの小惑星を切り裂いた。

 

すると、そこから現れたのは、一機の異形の機体。ガンダムタイプの、足がなくなった機体。腕は4つもついている。体のあちこちには内部フレームから露出した赤い血のような液体が流れる透明な動力パイプが見える。

 

「こ、これは....」

 

そう言いかけたとき、無線から聞こえた声は異様に冷たい少女の声。その声は、ルシファー・クレイドルに似ている。

 

『消えろ、ガンダムタイプは目障りだ』

 

そう言うと、右腕から電気を帯びたワイヤーが伸びてχG-0001の胸部をがっちり固定する。そして、電撃がχG-0001を襲う。

 

「ぐっ..ぁああ!!!」

 

アスカにまで電撃の痛みが伝わってくる。χG-0001は悶え、ワイヤーをちぎろうとするも更に感電する。

 

『辛いだろう...?...痛いだろう...?やはりハパロクラエナの電撃ワイヤーの威力は違う...』

 

「畜生...クソがああああ!!」

 

感電し全身が痛むも操縦桿を動かし、ヒート・フランベルジュでワイヤーを斬り裂く。

 

それを見た足がないガンダムが、バーニアをフル出力で動かす。超速的な加速で、χG-0001を混乱させる。

 

『さらばだガンダムタイプ。私はルシファー・クレイドルを捕獲する。』

 

冷酷に彼女は答えた。

 

「ルシファーが狙いか!!なら俺を倒してから進め!!」

 

『.....何なんだ貴様は!小賢しい!』

 

足がないガンダムは4つの腕が持ったビーム・ライフルの光線がχG-0001を襲う。

 

(これくらいの攻撃!...模擬戦のAIより避けるのは簡単だ!!)

 

『ルシファー・クレイドルは私の心を殺した!!正直恨んでいるが!!私は総帥の付けてくれた名前に恥じない戦士になってみせる!!』

 

そう支離滅裂に叫び、ビームライフルの弾幕を避けたアスカは、追いかけっこのようにχG-0001から逃げる。爆発的な速さで、みるみるχG-0001を突き放していく。

 

「そんな事を言って!君は多分エルマ・クレイドルのクローンだ!!君は父なんかいない!クローンだ!」

 

『黙れ....黙れ黙れ黙れ黙れ黙れ黙れ黙れ黙れ黙れ黙れ黙れ黙れ!!!!!そんな事はもう知っている!!私は妹達のため連邦を完膚無きまで叩き潰さなければならないんだ!!』

 

「妹?!」

 

『そうだ!!この動力パイプを流れる冷却液には私の妹たちの血が混じっているんだ!!』

 

「なんだって...?!!」

 

アスカは少し前から違和感を覚えていたのだ。なぜかこのパイロットが話していると4〜5人の同じような声が重なって聞こえていたのだ。ようやくアスカはそうだったのかと理解する。

 

「そうか...なら、機体はなるべく破壊しないようにお前を倒す。話はそれからだ。」

 

『私は...やれる!!!貴様は死ぬべきだ!!!!』

 

しかし話は通じず、4本の腕だったのがスカート部から更に2本の隠し腕が伸び、6本の腕になる。すべての腕にはビームサーベルが握られており、不規則に動いている。

 

そして、斬り掛かってきた!

 

(4本の隠し腕ならまだ攻撃を防げたが....6本だとさすがに攻撃が当たってしまう!!)

 

アスカは咄嗟に緑色に光りカッターナイフの刃のように分割したプレートをうまく使い、シールドのようなものを形成し光刃の猛攻を防ぐ。

 

「このままだと....負ける!!俺は....こんなことは望んでいなかったのにィッ!!人を、こんなに殺したくはなかったんだ!!」

 

そうアスカが叫んだ途端、χG-0001は緑色の光に包まれる。それはとても暖かい、人の優しい心のような光。

 

χG-0001にも異変が起きていた。メインカメラのモノアイがとツインアイが赤色になる。そして、背部からサイコシャードが集まり、サイコキューブが6つ形作られた。そしてその中の4つが形をぐねぐねと変えていき、レンコンのように穴が多く開いた銃...ペッパーボックスピストル(・・・・・・・・・・・・)のような形状に変わった。残り2つは繋がり、形が扁平的になっていき、右側にだけ天使の羽ができる。そして、頭部に赤い天使の輪っか(エンジェル・ハイロゥ)が浮かぶ。

 

「お前なんかに...ルシファーを殺されてたまるか....。お前を....潰してやる....」

 

アスカは、前方の敵を潰すことしか、眼中になかった。

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