U.C.0111 機動戦士ガンダムχ   作:サクナ

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第三十二章「return to blank」

「な...なんだこのモビルスーツは....」

 

アスカの眼の前には、胸部や肩に青い薔薇のエンブレムが書かれ、左腕にビームキャノン・ユニットが取り付けられた白いガンダムmk-ii(・・・・・・・・・・・)がそこにいた。

 

それをまじまじとアスカが見ていると、胸部のコックピットハッチが開き、女性パイロットが顔を覗かせる。年はアスカよりは若く見える。

 

『ア、アスカ中尉...ですか...?救難信号を....キャッチしたので....来てみたのですが....』

 

無線から、すこしおっとりとした雰囲気の声が響く。

 

「ああ。地球連邦軍所属、ブルーローズ隊のアスカ・レイン中尉だが...」

 

『わ、わ、私は...同じく...地球連邦軍所属.....ブルーローズ隊の....シオン・アルトリア...曹長...です...。では....こちらの機体に....乗っていただけ...ますか?』

 

「了解した...。」

 

アスカは、ランドムーバーでハッチへ向かい、コックピットに乗り込み、予備シートに座る。

 

アスカも女性パイロットもヘルメットを外す。

 

「か、確認が取れました...。アスカ・レイン....中尉....ですね?じ、実は...すこしだけ...ゴタゴタが....ありまして...」

 

「え?なんだ?ゴタゴタって」

 

「実は...アスカ中尉は...死んでいることに....なって....いるのです。」

 

「は?シオン曹長、この期に及んで嘘を?」

 

「い....いえ!!....本当...なんです...。」

 

シオンは説明した。ブルーローズ隊所属のモビルスーツには生体反応を常時モニタリングしている装置があり、もし戦死したりした場合は生体反応が消えると。

 

しかしそのモニタリング装置は致命的欠陥が存在し、インジェクションポッドが作動した場合や生身での脱出などでも生体反応が消える。

 

アスカの場合はインジェクションポッドを作動、機体が爆発したことで生体反応が消失、死亡と記録された。と。

 

「そう...だったのか。」

 

「はい......これからドルトンに....帰還して.....死亡記録を.....取り消しに....行きましょう....」

 

「ああ...わかった。」

 

アスカは俯きうなだれる。

 

「では....すみませんが....シートベルトを....していただけますか...?」

 

「え?なんで?」

 

アスカは疑問に感じる。すると、シオンは申し訳なさそうにリニアシートからこちらに顔を向けると、

 

「初速が....ケタ違いに....厳しいので...」

 

アスカはそう言われると、シートベルトを締める。シオンがガンダムmk-iiをドルトンの方角に向け、加速ペダルを踏み込む。

 

そしてその初速は.....χガンダム一号機よりも速かった。

 

「く...おおおおおお!!!」

 

アスカはその加速に耐えようとするが、何度も失神しかけそうになる。

 

「アスカ...中尉..大丈夫ですか?」

 

「ああ....それにしても....なんでこんな速いんだ...?」

 

「背部の....バックパックと....直結で....ハイザックが....取り付けられているんです....だから、....mk-iiのみでは...出せない....出力なんです...。改造されて...うまく折りたたまれるようになっているんですけど....加速するときは....脚部のみ.....折りたたみが解除されるんです....」

 

「そ、そうなのか....ああああああ!!!!」

 

「中尉!大丈夫ですか....?!」

 

アスカは失神してしまった。

 

 

 

 

 

 

 

「はぁ...はぁ.....敵は...いないわね?」

 

ルシファー・クレイドルは様々な激しい戦闘の末、機体が中破していた。

 

動けるのは動けるのだが、有線式の五連装メガ粒子砲がちぎれ飛び、申し訳程度に背中にマウントされていたヒートホークでかれこれ戦っていたのだ。

 

「ドルトンに....戻らなきゃ....」

 

ルシファーは身を翻し、ドルトンに戻ろうとする。しかし、背後からビームが飛んでくる。

 

「まだ敵がいるの?!」

 

ルシファーを狙ったのはギラ・ドーガ。頭にブレードアンテナがついていて、追加の白のプロペラントタンクがバックパックから長く目立って伸びている。右腰にはヒート・フランベルジュ。左腰にはビーム・ソード・アックス。

 

しかし、ビームライフルをおもむろに捨てると、左腰からビーム・ソード・アックスを取る。

 

ギラ・ドーガのパイロットは、ルシファーと一騎打ちがしたいようだ。

 

「ビーム相手に....こんなちっぽけなヒート武器で戦えるわけ無いでしょう...!」

 

ギラドーガはそんな嫌味に構っているはずもなく、ビーム・ソード・アックスを振り上げる。サイコミュ高速機動型ザクも負けじとヒートホークを振り上げ、鍔迫り合いになる。

 

「く.......!!」

 

ヒート武器とビーム武器が鍔迫り合いできるのは持って20秒ほど。その間に決着をつけれるかどうかが勝負の決め手。

 

「お願いだから.....助けに来て頂戴...!!いるんでしょう...アスカ!!」

 

その刹那。

 

ギラ・ドーガの上半身を一瞬で溶かすほどのビームがジェミニの暗礁宙域付近から飛んできた。

 

「な、何なの?!」

 

突然上半身が消滅したギラ・ドーガに、ルシファーは困惑する。

 

遠く離れた暗礁宙域付近では、白いハイザックが後ろから抱きしめるように長く、四角く、太い主砲を展開したガンダムmk-ii。

 

この機体の名前は「アウフ・ヌルMk-II 」と呼ばれている。意味はドイツ語で「ゼロに戻す」というもの。

 

ジェネレーター出力は9589kw。この威力は、モビルスーツを跡形もなく消滅することが余裕だ。

 

パイロットは、「遺灰の騎士王」.....と呼ばれている。

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