U.C.0111 機動戦士ガンダムχ   作:サクナ

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第三十四章「裏切りと帰還」

「地球で......パン屋を......やりたかったんです。」

 

シオン・アルトリア(遺灰の騎士王)は、少し恥ずかしそうに答えた。

 

「そう、だったのか。」

 

余りにも意外な反応で、アスカは戸惑ってしまう。

 

「いつか出来たら.....ルシファーさんとも....来てくださいね。...絶対ですよ?」

 

「ああ、いつか行ってやろう。絶対だ。」

 

そう言っている間に、シオンは操縦桿を動かして何機ものエクソダスの民のモビルスーツを倒している。

 

そして、ドルトンに近づいていく。

 

『シオン・アルトリア。補給のため帰還しました。』

 

「着艦を許可します。』

 

ドルトンの格納庫のシャッターが開き、空っぽ(厳密には改修を行っている途中の機体もある)の格納庫が姿を表す。アウフ・ヌルmk-iiは慣れた動きでカタパルトデッキから格納庫に入る。

 

戦闘態勢のためすぐに格納庫は閉まり、ノーマルスーツを着た整備担当の隊員が駆け寄る。

 

「久しぶりにドルトンに帰ったな...格納庫は何日ぶりだ?」

 

そう呟くと、コックピットハッチが開き、馴染みの顔の整備員らが沢山見える。

 

「おお!アスカ中尉、生きていましたか!」

 

と、一人がハッチの側に駆け寄る。

 

「俺は..。どれくらいいなくなっていた?」

 

「アスカ中尉が消息不明になってから、3日と2時間...ですね。」

 

とある整備員が淡々と答える。他の整備員はアウフ・ヌルMk-iiの点検や、アスカ・レイン帰還の知らせをインターホンでしているところだった。

 

「ルシファーは.....」

 

アスカは、一番気になっていた事を聞いてみる。すると、アウフ・ヌルMk-iiの外に出たシオンがおっとりとした口調で

 

「ニュータイプ能力の....使いすぎで...疲弊していて.....医務室で.....眠っていますよ。」

 

そう、答えた。アスカは安堵してほっと胸を撫で下ろす。

 

「....起こすわけにはいかないけど....会いに行ってくる。」

 

そう言うと、アスカはコックピットを飛び出し、リフトグリップを握りまっすぐ医務室へと向かう。

 

「はえー....愛の力ってすげぇなぁ...」

 

そう、一連の流れを見ていた整備士は呟く。

 

すると、シオンは少しだけ微笑み、整備士にこう言った。

 

相思相愛(両想い)...って、言うんですかね....」

 

「ですね...。でもすると、アスカ中尉ってロリコ..」

 

「それ以上....言ったら...消し炭にも....なりませんよ...?」

 

「す、すいません!」

 

「では....私は....仮眠してきます。整備....怠らないように.....してくださいね?」

 

そんな捨て台詞を放つと、仮眠室へとシオンは向かっていった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

そんな一連の流れから数時間後、シオンはもう一度宇宙(そら)へとアウフ・ヌルMk-iiと共に戦場へと戻っていった。あの流れの途中でも、どんどん両軍の兵士は疲弊していく。

 

そんな中、シートが剥がされ、格納庫に直立した『フルアーマー』χガンダム一号機の最終設定を、ノーマルスーツを着込んだエルマ・クレイドル技術大尉と一人の連邦軍技術中尉が行っていた。

 

体をコックピットの中に押し込め、操縦桿のモニターにノートパソコンを繋いでプログラムをしているようだ。隣には、ワンカップ酒が置いてある。

 

「うーん...後はサナリィが用意した『可変速型ビーム・ライフル』...とやらのセットアップ承認を完了して....」

 

「そろそろ、完成しますね。」

 

そう技術中尉が言うと共に、カチリ、と何かの金属の音がした。

 

「ええ。ARXχの増加装甲とか追加武器の製作をサナリィに回した甲斐があったわ。今アナハイムはだいぶ経営危機みたいだけどね...。あと、私に向けてる銃は何?」

 

技術中尉の手には、消音器(サプレッサー)が取り付けられた拳銃があった。その銃口の先には、エルマ・クレイドルがいる。

 

「とてもイイ銃です。さすがは総帥だ。」

 

「そうね...ただ、私が死んでも、アスカくんやルシファーちゃんが後を追うわ。」

 

「そんなのわかっていますよ。でも、バカな大尉のお陰で機密情報を知ることができました。」

 

「そうね....。私は馬鹿だったわ。でも、一つだけ賢いことを私はしたわ。」

 

エルマは、してやったりというような顔をして中尉の方を見る。

 

「...何ですか?」

 

「このプログラムは、コピー出来ないよう保護したわ。どんな手を使っても、あなた達エクソダスの民にはわからないでしょうね...ええ、わかるわけないわ。だって私のクローン(デッドコピー)を作ったものね。そんな奴らに渡すもんですか。」

 

「...言い残すことは、それだけですか?」

 

そう言われたあと、エルマ・クレイドルはワンカップをぐびぐびと飲み干すと、

 

「ええ。それだけよ。」

 

そう呟いた。その直後、パシュパシュパシュ...という静かな音が誰もいない格納庫にこだました。

 

 

 

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