U.C.0111 機動戦士ガンダムχ   作:サクナ

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第四十二章「ありがとうを伝えたい」

ルシファーが乗ったクラップ級救護艦ユキカゼは、その後も様々なことが起こった。

 

ルシファーが女性士官と話してから3日後、潜んでいたスパイらしき人物がトイレで自殺しているのを偶然乗組員が発見。

ダイイングメッセージには「ネオ・ジオンに栄光あれ」と書かれていた。

 

ルシファーが女性士官と話してから5日後、ネオ・ジオン残党と見られるブラウ・シュルテンが飛来、攻撃を加えてきたがクラップ級の改修に改修を重ねた砲塔で撃破。

 

ルシファーが女性士官と話してから一週間、サイド5の27バンチに傷病人が降ろされ、ユキカゼは地球へと向かった。

 

すっかり回復したルシファーは、カフェテラスでやっているブルーローズ隊の集まりにやってきた。

 

「輪に...入ってもいいかしら?」

 

「君は....?」

 

頭に包帯を巻いた男が怪訝そうに問う。それに対してルシファーは真顔で、

 

「ブルーローズ隊所属、ルシファー・クレイドル中尉よ。」

 

「ここじゃ一番階級が上だな...。まぁ、敗残兵みたいなモンだ。」

 

包帯を巻いた男が少し落ち込むように答えた。

 

「ここは階級とかナシだな。嬢ちゃん、ほれこっちこっち」

 

そう言って明るく振る舞う男。しかし手招きする手は義手であった。

人数は男が八人、女が一人とルシファーで二人。

 

「その...相談したいことがあって...」

 

「嬢ちゃん、どうしたんだ。何でも言っていいぞ?」

 

義手の男が明るく伝える。ルシファーは頷き、

 

「地球に戻ったら、MS(モビルスーツ)を回収して売る事業がしたいの」

 

「そりゃあ....ジャンク屋になりたいのか?」

 

今度は左腕に包帯を巻いた男が尋ねる。ルシファーは頷き、

 

「そのようなもの....。だけどMS(モビルスーツ)専門がいいの。希少価値が高いものは博物館へ売って生計を立てるといったようなものよ。」

 

ルシファーは瞳を閉じて、立ち上がり、頭を下げた。

 

「だから、あなた達の力を借りたい。」

 

静寂が辺りを包む。

 

「.....わかった。顔を上げてくれ。協力しよう。」

 

頭を包帯で包んだ男がそう答えた。

 

「どうせこの腕だと、働き口は見つからんだろうしなぁ」と義手の男。

 

「マトモなジャンク屋なら、やってみてもいいかもしんねぇな。」と左腕に包帯を巻いた男。

 

他の隊員からも同意の意見が溢れ、ルシファーは少し微笑んだ。

 

「みんな、ありがとう。」

 

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その後、ユキカゼは無事大気圏突入に成功し、トリントン基地に入港した。

ユキカゼは降ろしたあとも宇宙へ上がり、生存者を探すらしい。

降りてくる傷痍軍人に対して地球連邦軍の士官が敬礼をし、護衛に就いていたジェガンJ型も敬礼をした。

 

とても静かで、喜びの声はなかった。実質、負けたようなものだったからだ。

地球連邦宇宙軍は(むご)いほどの死者、行方不明者を出したからだ。

 

現在でも宇宙では、遺体の回収や行方不明者の捜索を行っているのだろう。

真夏のギラつくような日差しに照らされて、空は気持ちが悪くなるほど青かった。

 

その後ブルーローズ隊の生き残りは全員、傷痍軍人として退役になった。

功労章と口止め料の莫大(ばくだい)なお金と各々の搭乗したモビルスーツが送られた。

が、そんなバッヂはなんの役にも立たないと思い生き残った全隊員はオーストラリアの赤土に投げ捨てた。

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ルシファー含める十人の隊員は、その大金を使ってモビルスーツを引き上げる装置や移動用の四輪駆動車、モビルスーツ輸送用のトレーラーなどを買い、早速仕事を始めた。

 

最初は『モビルスーツの墓場』とも呼ばれる場所で発掘を始めた。

最初に見つかったのはザクIIで、現地改修した量産型νガンダムと引き上げ装置を使って掘り起こした。

そして現地で丸二日かけて故障箇所と砂埃を取り、買い手を探した。

 

そのザクIIは販売を始め一週間後、マフティー動乱で滅茶苦茶になってしまった村の再建の為に買われた。

その時は皆喜び、祝杯を交わした。

ルシファーはこの時初めて酒を口にした。

 

だが仕事を始めても、現場監督として作業を指揮しても、どうしてもルシファーの心には空虚な穴が空いているようだった。

それは、アスカ・レインが傍にいないことであった。

 

今でも夢でグレイやウリエル・クレイドル、エルマに聞いてもここにはいないと答える。

ルシファーは仕事に追われて忙しい時でも、その事を忘れなかった。

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