U.C.0111 機動戦士ガンダムχ   作:サクナ

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最終章 「U.C.123」

宇宙世紀123年。

 

秘匿されていた宇宙要塞ジェミニの攻防戦から12年が過ぎた。

『ジェミニ』という名前の要塞は今はない。

現在は廃要塞となり、ジャンク屋や宇宙海賊にモビルスーツや部品をかっ攫われ、見る影も無い。

 

残骸のみが浮かぶラー・カイラム級の艦艇は謎のモビルスーツと衝突した衝撃による慣性の法則で今でも動き続け、現在は消息不明になっている。

 

ルシファー・クレイドルは仲間と共に、現在でもモビルスーツの発掘を続けている。

この12年で隠匿された試作モビルスーツの発見や、戦争博物館の創立に携わった功績があった。

 

彼女は地球の各地を転々とする度に、χガンダム一号機パイロットであるアスカ・レインを探している。

アメリカ、ロシア、フランス、オーストラリア....様々な国を訪れるも手がかりは何一つ見つからなかった。

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ルシファーは今、ドイツを訪れている。

改装されたギャロップの椅子に座ったまま無線を聞いている。

 

『こちらレオン。MSM-03を水中で発見。引き上げ作業を開始してよろしいですか?』

 

『こちらルシファー、引き上げを開始しなさいな』

 

恐らく水中に沈んでから40年以上経っているし、引き上げたところで部品取りだ...。とルシファーは考えた。

引き上げたら分解して酒を皆で飲むか...とも考えたが、アル中の考え方のような気がしたため(かぶり)を振って別のことを考えることにした。

 

その後、引き上げ作業は無事完了し、内部を確認したところMSM-03は奇跡にも動くことが確認された。

皆高く売れると大喜びし、近場の酒場で祝杯を交わすことにした。

......ルシファーの貯金の半分は酒に消えていくことになっていった。

 

「やっぱドイツといやビールだよな、ビール!」

そう、義手の男が本場のビールをぐびぐびと飲み干す。そしてもう一杯を注文した。

 

「今回のMSM-03はどこに売れるんだ?ルシファー。」

そう、禿頭(とくとう)の男が聞いた。すると、ルシファーは満面のドヤ顔で

 

「それはな....わからん!!」

と軽いジョークを飛ばした。辺りの作業員たちは大爆笑の渦に包まれ、ニコニコにバカバカとビールを浴びるように飲んだ。

 

「流石にあんたら飲み過ぎよ。ほら、今日は帰った帰った」

 

そうルシファーは辺りを落ち着かせ、作業員たちをもう1艇のギャロップに帰らせ、ルシファーは一人になった。

 

ビールも飲まず、お代を払って店を去る。

路上駐車していたラリー仕様のポルシェ・928に乗り、帰途に付く。

 

1速から2速、3速へと入れたところで急停車する。

辺りに走っているエレカや自動車はなく、公道の真ん中に止まっている。

 

こんな夜中に、()()()()()()()()()があった。まだ開いている。

 

ルシファーは路駐をしてバーの中に入る。

そこには、若いバーテンダーが一人、厨房でグラスを拭いている。

ルシファーは懐かしい雰囲気に(さいな)まれる。

 

そして後ろを向いたまま、

「こんばんは。いらっしゃいませ。ご注文は?」

と聞いてきた。ルシファーは黙考したあと、

 

「緑茶割り」

と答える。するとバーテンダーは苦笑し、

 

「バーで洋酒じゃないものをを頼むとは...。お客サンもいませんし、仕方ないでしょう。」

やれやれといった様子で準備を始めた。

 

そしてテキパキとした動作で緑茶割りを作って提供し、一息ついてこう答えた。

「この店では、酒を提供する代わりに、自分のことを話すのです」

 

よく喋るバーテンだな、とルシファーは思ったが、魔法陣の虹彩がある瞳を閉じて答えた。

 

「私はユダ。イスカリオテのユダみたいなものよ。」

 

「裏切り者....と言うわけですか。一体誰を?」

 

「私は過去にジオン残党の強化人間としてモビルスーツに乗っていたわ。だけれど、ひょんなことから連邦軍の味方についた。そこで愛する人と会った。一方通行の恋だったかもしれないけれど、私は本気だった。

その人と幾つもの...いえ、数え切れないほどの戦場を(くぐ)り抜けたわ」

 

「お強いんですね」

 

「お強いわ。かつてはね。でもその人は私を置いて、何処(どこ)かに言ってしまった。

行方不明、公式的には死亡扱い。それからジャンク屋まがいの事をして生計を立てているの」

 

「そうなんですね。ありがとうございます」

 

「あなたも知っているでしょうに。アスカ・レイン中尉?」

 

ぴたりとバーテンダーの動きが止まる。

 

「..........いつから気付いていたんだい?」

 

「ついさっきよ。その手癖は、アスカのものよ」

 

「そうか....よく、ここまで生きてこれたな、ルシファー」

 

バーテンダーがこちらを振り向く。そこには懐かしい顔があった。

 

目から雫が一つ、緑茶割りに落ちる。それは波紋になって消えた。

ルシファーの願いは、叶った。

 

―――わたしはあなたとともにいる。『イザヤ書41章10節』から




こんにちはまたはこんばんは。時々おはようサクナです。

ここまで読んでもらうことはないのでしょうが、あとがきの最後の最後までお付き合いいただけると幸いです。
この話のコンセプトとして、当初はエヴァ×ガンダムのクロスオーバー二次創作になる予定でした。

当初はアスカ・レインも誕生しておらず、大筋で決まっていたのはルシファーのみです。
というかルシファーが主人公でした。
しかし、プロットを書き進めていくたびにエヴァっ気が強くなり...
というかガンダムがエヴァに対抗できるわけ無いだろ舐めてんのか思想が重なり、ガンダム作品に切り替えることになりました。

だから所々に聖書の一節やジーサスエイメン的なナニカが含まれているんですね。
あと終わらない厨二病のせいかもしれません。

私的にはこの作品はかけがえのない作品です。
初めて執筆した妄想二次小説でも、かけがえのない作品です。

今までお付き合いいただきありがとうございました。
沢山の人にこれからも見ていただけると本望です。
それでは、またいつかお会いしましょう。サクナでお送りしました。
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