U.C.0111 機動戦士ガンダムχ 作:サクナ
アスカ・レインは自室にいた。
暇なときは大抵連邦士官学校時代の旧友とはちまちまと連絡を取っているが、今はそんな気分ではなかった。
(ルシファーのやつ、無理してないといいけど...)
そう、彼はルシファーがカーマイン・ヴェールから降りてきたときにひどく疲れた表情をしていて、しかも外食の帰り道で爆睡をしていた(寮に到着しても起きなかったためルシファーを背負って部屋まで送っていた)ので、何かしらの影響を受けたのではないかと。
(よし、じゃあドライブに連れてってやるか...)
服を着替え、キーを取る。部屋を出て、右隣のルシファーの部屋へ向かう。
しかし、ドアをノックしても反応がなかった。
「おーい!いるんだろう!」
「.....................」
「いないのかな...?」
「何かしら?」
「うわっ!!」
背後にラフな服装のルシファーが立っていた。手にはレジ袋を下げている。買い物帰りのようだ。
「私に何のようかしら?ずっと見てたけど、変な病気にでもかかっているんじゃないかと思ったわ。端から見れば、気持ちが悪かったと思うわ。」
「そこまで言わなくてもいいじゃないか...ああ、話変わるけど、これからドライブにいかないか?」
「どこに行くのかしら?」
「ブロック6の電気街ぐらいかな。あそこは観光地として盛んだし。」
すると、即答で返答が帰ってきた。
「行く。行くわ。絶対行く。すぐ着替えるから。どこにもいかないで頂戴よ!」
「じゃあ決まりだな。俺、下の駐車場で待っとくから。」
「ま、待って!」
いつものゴスロリ服に着替えたルシファーが急いで扉から出てくる。
「もう行っちゃうよー!」
「待てって言ってるでしょうが!」
怒ったように腕を叩くルシファー。
「ちょ、叩くな!痛いだろ!」
階段を降り、駐車場に止まっている黒いピアッツァネロ イルムシャーのドアにアスカはキーを刺し、車に乗り込む。
エンジンをかけると、ラジオから心地よいジャズ音楽が流れ出す。
アスカはハンドルを握り、クラッチペダルを踏み、左手でニュートラルから一速へ。ピアッツァはゆっくりとした速度で駐車場を出る。アスカは左右を確認し公道へ出る。
「この車って、旧世紀のものよね?なんで持っているの?」とルシファーが問いかける。
「僕らの家系が、代々受け継いできたものなんだ。こういう旧世紀の車は最近価値が急上昇してるし、売ってくれとせがんでくる人もいる。だけれど、これは家宝なんだ。売るわけにはいかない。あと、好きで乗ってる人もいるからパーツもオイルも売ってるよ。排ガス対策のためにマフラーも変えてるしね。」
「そうなの..大事に受け継いできたのね...」
「そうさ。」
アスカはピアッツァのハンドルを右に切り、「高速道路入口」の緑の看板が立っている道路へ入る。
三速に入ったピアッツァネロ イルムシャーはキーンというターボと低いエンジン音の協奏曲を奏でながら120km/hまで加速する。
「ここら辺、来たことがないわね。高速道路の近くにビル群が並んでるのは始めてみたわ。」
「ルシファーは来たことがないかもなぁ。ブロック5まであと少しだから、寝ててもいいよ。」
「もうお子様じゃないのよ。寝ないわ。」
「そうかい。」
速度を少し落とし、クラッチを踏み四速にシフトチェンジしアクセルを踏む。
「WELCOME TO BROCK 5 ブロック5へようこそ」という電光掲示板を通り過ぎ、金融企業や大企業が立ち並ぶビル街を通り過ぎていく。
「椅子、倒してもいいんだぞ。この車椅子倒せるように改造してるから。」
「いいわ。別に...ん...やっぱり、ちょっと倒すわ..気持ちが悪い...」
「車酔いか。酔い止めあるぞ?」
「有り難く頂戴するわ...」
酔い止めをルシファーに渡し、「ブロック6まで あと10km」の看板を通り過ぎる。
「そろそろか...」
それから7分後、ブロック6に着き、高速道路の出口から下道へ降りる。
電気街の近くまで来ると、人混みが激しくなってくる。アスカはようやく路地の近くにあるコインパーキングに止めると、ルシファーを起こす。
「おい、着いたぞ。」
「んん..着いたの.?ふあぁ..」
ルシファーはあくびをしながら車を降りる。
「ここを少し歩けば電気街だぞ。」
「知っているわ。じゃあ行きましょう。」
そう言って二人は車から降り、電気街へ歩き出した。
そして6分後、電気街にたどり着く。ネオン風のLEDで彩られた看板に電気屋や電気会社の名前が彩られている。昼なのに、美しく光っているようだ。
「ここ..きれいね..」
「そうだな..昔地球の極東の島国に同じような場所があったらしいな。」
「そうなのね..ん?....あれはクロノ&アルマ(ルシファーが好きなアニメ、時穿ツ深淵ノ書のヒロイン。)の必殺技を再現した限定フィギュア!ほしいわ...!でも高いわね...」
「買ってやろうか?」
「いい..の?」
「いいさいいさ。元々お前を元気つけるためにここに連れてくることにしたんだから。」
「ありがとう..言葉に甘えて有り難く頂戴するわ...」
「はいはい。あっ、店員さん!このフィギュアください!」
「はいよー。」
アスカはお金を払い、大きい段ボール箱に包まれたフィギュアセットをルシファーに渡す。
「あ..ありがとう..」
「全然いいんだよ。それより、もう時間も遅くなってくる頃だ。帰ろう。」
「そうね...帰りましょう...」
そう言って大きい段ボール箱を二人で抱えたルシファーとアスカは電気街を離れた。
場所は変わり、ブルーローズ隊技術研究室。
「わかったわ...ついにわかった!!」
ブルーローズ連邦軍の軍服に白衣を羽織った女性がいきなり椅子から立つ。
「何がわかったんです?エルマ技術大尉?」と軍服に白衣を着た男性。
エルマと呼ばれた女性は、嬉しそうに答える。
「Σ・アジールの構造と搭乗者についてよ!明日早朝にブルーローズ隊の全員を呼んで頂戴!やっと禁酒から解放されるわー!鬼○しを!鬼○し!」
「まだ仕事中ですから...飲んではいけませんよ!」
「いいって..バレないし..」
「駄目です!お酒は家で飲んでください!」
「頭が硬いなァ..技術中尉は..」
「当然です!」
「あ、あとこの設計図をアナハイムの支社に回しといて。私の名前言ったらわかってくれるよ。」
その設計図には、ホーンのような形をした巨大な二基のファンネルビットが設計図に書かれていた。
「これは...なんですか..?」
「対Σ・アジール用決戦兵器。適当に名前をつけるとするならば..『ダブル・ホーン・ファンネル』かな..?」
「すごい...どういう仕組みなんですか..?」
「うーん...どう言えばいいんだろう。ティターンズのTR-2とかいう兵器を応用したんだよ。TR-2のあれはビームライフルだけど、撃ったらザクがバラバラになると思うんよ。だからファンネルにした。あとビームライフルより威力の強いメガ粒子砲だからね。」
「すごい..すぐに回します!」
そう言って技術中尉は身を翻してドアを開けて走っていった。
「はぁ..疲れたな..そろそろ帰るか..。」
時刻は夜の11時を指している。
エルマと呼ばれた女性は、椅子から立ち、研究室のドアを開けて外へ出た。