休日の夜、俺、十辺真一は家への帰路を歩いていた。
「まったくあのクソ上司、折角の休日だってのに仕事を押し付けやがって...。給料上がってもらわないと割に合わねぇよ。」
そう愚痴りながら歩いていると、どこからか悲鳴が聞こえてきた。
「!!」
悲鳴のした方向を見るとそこにはナイフを持って暴れている男がいた。
両腕にタトゥーをしていることから暴力団の一員とかだろう。
そしてその前には、怖さで立ちすくんでいる女子高生の姿が、
「っマズい!」
とっさに俺が女子高生の前に出たその時、
ドスッ!!
その瞬間俺は体から力が抜けていくのを感じた。
おそらく自分の体からはどんどん血が流れ出ているのだろう。
よく聞こえないが周りでは多くの人が集まってきて、男を取り押さえ、女子高生を保護している。
(良かった、あの子は無事だったか。まったくこれで人生終わりとか勘弁してほしいぜ。まだ管理職にもなれてないってのに...。)
《確認しました。ユニークスキル
(あぁ、そういえば、まだ親父に習ってない武術、剣術があったなぁ。特訓は耐えるのもきついけど、習っとけばよかったなぁ。)
《確認しました。各種耐性を獲得。成功しました。
続いて、ユニークスキル
(死にたくないなぁ。できれば来世は、幽霊とかでもいいから、自由に生きたい...って、あ!俺の黒歴史ノート捨ててねぇ!あんな過去、壊したいからな...捨てとけばよかったな。)
《確認しました。種族「気闘精霊」への転生。成功しました。続いて、ユニークスキル
(さっきからなんなんだよ!この声、っ意識が...........。)
そうして意識が暗転した。
「・・・・・・ん?ここは...。」
目を覚ますとそこは、洞窟の中だった。
〈第三者視点〉
息子である十辺真一が殺されたと警察から聞いた。
「ふん、我が息子ながら情けない。たかが暴力団程度にやられてしまうとは...」
私の名前は十辺昌義。十辺真一の父親である。
我が家は平安時代より続く家系で、戦をイメージした実践的な武術を受け継ぐ家である。
その武術は多岐にわたり、剣から拳、槍や弓に至るまで幅広く受け継いでいる。
また別の流派の技を盗むことによっても幅を広げていっている。
特に真一は物覚えが良く、一族でも天才と呼ばれていたのだが、高校を卒業してからは家を継がず社会に出ていってしまった。
ここしばらくは連絡もなく、久しぶりに連絡があったと思うとこれである。
「.......しかし、あいつは人を守って逝ったのだな...。...ふん、弔いくらいはしてやるか。」
そう言いながら目尻に涙を浮かべるのであった。
「はっくしゅん!」
「なんだぁ?転生してまで誰かが噂してんのか?」