シャーレの先生追放計画《集いし4人は無関心》   作:ルルザムート

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また評価付いてた!しかも⭐︎9!嬉しくて回転する。
-2th ①です、お楽しみください


-2th ①

ミレニアム エンジニア部整備倉庫にて…

 

「整備は?」

「順調だよ、特に不調も出ていないから電力と弾丸さえあれば問題なく使える」

 

1人の生徒が額の汗を拭いながら爽やかに返す

「…そう」

 

使わなければそれでいい、しかし『先生追放計画』は何が起こるか分かったものではない

故に彼女、雷川ラミィは久方ぶりにそれをミレニアムに持ち込んでいた

 

まさかサクラコ様からここまでお休みをいただけるとは思わなかった…いや、当然ではあるのか…?

 

全能神、歌住サクラコ様…かの神は全てを見通し、知っている。それ故のお言葉なのだ

 

 

 

『シスターラミィ、あなたには最近《お友達》ができたのですね、結構です

ですがせっかく作れた《お友達》との時間は《大切に》しなくてはなりませんよ?

しばらくこちらの仕事はしなくて良いのでここからは《別の仕事》に集中してはいかがでしょう?』

 

※訳

『ラミィ、最近友達ができたんですね!嬉しいです!

でも友達になれても一緒に遊べないのはあなたも向こうも悲しいですよね

あなたはシスターの仕事頑張ってるからしばらくお休みして遊んできていいですよ!

真面目なあなたは後ろめたさを感じると思うから仕事としてあなたに休んでって指示しますね!』

 

 

 

「ふふ…」

やはりサクラコ様が神であることになんの疑いも無い、あの方がこのキヴォトスにいらっしゃるという事実だけで私に恐れるものは何も無いのだ

 

「点検終了!うん、流石は我らエンジニア部の手がけた最高傑作の1つ、なんの異常も無かったよ!」

「ありがとうウタハさん。そして作業に加わってくれたエンジニア部の皆さん」

 

私の身長の3〜4倍はある超重量のスナイパーライフルを手早く分解、とりあえず持ち運べる大きさまでバラバラにする

 

「あとはこれをトラックに乗せれば…」

「良ければ手伝おう」

「いいの?」

「流石にこの重量を1人でやるのは辛いだろう?」

「そう、ありがとう」

 

ちなみにライフルの他にも狙撃に必要な重力・自転計算装置や電力供給用端子8個と超高圧バッテリー16個など持ち帰るものはたくさんある

もちろん時間をかければ1人で積み込めるが問題は使う時にどうやって素早く設置するか…

 

「む、そうだ思いついたぞ!」

「? 何が?」

「トラックの荷台をそのまま狙撃地点にするのはどうだ?これなら設置するのはバッテリーと端子だけで済む!」

「…反対する理由は無いわ、存分にやって」

「よし任せろ」

 

と、言うわけで急遽トラックの荷台にライフルを設置することになった

それにしても凄い発想ね、荷台をそのまま狙撃ポイントに…これなら車の運転さえできれば1人でも運用ができる

 

高台への移動は難しくなるがそれはトラックに乗せてなくても同じことだ、問題ない

「それにしてもここまで大掛かりなのはレールガン以来か、確かにこれならビナーとかペロロジラもひとたまりも無いだろう」

「…そうね」

 

一応、対巨大生物用と銘打ってはいるが実情は違う

超高電圧を1発の弾丸に叩き込んで撃ち出す決戦兵器。仕様上、電熱にライフル本体が持たないため1発使い切りの狙撃武器だがその破壊力は雷を内包した爆弾を撃ち込むのと同義。

 

対美園ミカ及び対剣先ツルギ、対青森ミネを想定したポジトロンスナイパーライフル、通称『ヤシマ』…いくらキヴォトスの実力者と言えどこれを受けて立ち上がれる者はいない

 

ツルギやミネはともかく…美園ミカだけは警戒しなくてはならない。たとえティーパーティが動かなくとももし計画を知れば彼女が単身で向かってくることもありえる

これは私個人が彼女に対抗できる唯一の武器だ

 

キヴォトスの実力者というのは総じて『神秘』というものの内包量が高い

それが高いと防御力が高くてちょっとやそっとじゃダメージなんて受けないし、反対にちょっと拳を振るっただけでとんでもない破壊を生み出したりする

 

これを突破するには2つ、1つは同じかそれ以上の神秘の持ち主が神秘を込めて攻撃するかもしくは

 

「積み込みと設置終わり!とりあえず固定はできたけど銃本体が重たいからあまり悪路は走らないでくれよ?」

「何から何までありがとう、気をつけるわ」

お礼を言い、車に乗り込む

 

…神秘で遮断しきれないような超火力を叩き込むか、だ。神秘の少ない私に取れるのは必然的に後者になる

 

超火力を出せる武器としてエンジニア部に依頼した結果できあがったのがこの陽電子砲というわけだが火力を手に入れるためにその他全てを犠牲にしており非常に取り回しが悪い、トラックに設置すると言うウタハさんの起点でほんの少し解消されたが…

 

「あらあれは…」

考えながら車を走らせているとふと見知った後ろ姿が見えた

 

クラクションを鳴らして彼女と思しき人の注意を引く

「あれ…ラミィさん?こんなところで奇遇ですね」

「こんにちはフクヨ、まさかミレニアムで会うとは思わなかったわ」

 

よければ話でもしない?と手招き

冗談半分ではあったが意外にもあっさり助手席に収まってくれたのでそのまま車を走らせる

 

「フクヨさんはミレニアムで何を?」

「私ですか?ミシンが壊れたのでエンジニア部の方に直してもらいに、今朝取りに来たところで今は観光中ですね」

 

彼女もエンジニア部に…それに今朝ってことは

「ところで荷台には何が乗ってるんですか?シートで隠れてますが見たところエンジニア部で見た巨大ライフルと同じくらいの大きいですが」

 

やっぱり、人が来たら隠してって言っておいたはずなのに彼女達は…

おおかた来る人全てに最高傑作として自慢していたのだろう。日を跨がせたのは失敗だったかしら…

 

「積んでるのはまさにそれよ、エンジニア部に依頼して作らせた特注のスナイパーライフルで火薬の代わりに電力を使うわ

3日後の決戦に向けて整備をしに来たの」

「決戦って…えっ、戦うんですか!?」

「かもしれない」

 

ロハンは順調に行けば戦闘は無いって言ってたけどだからって何も準備しない理由にはならない、不足事態への備えは必要なのだから

 

「先生を慕う者は多いわ。私はあまり理解できないけど

あなたにとっては狐坂ワカモが分かりやすい例かしら?」

「ええと?」

 

鈍い人ね…本当に彼女を引き入れてよかったのロハン?

 

「もしワカモが今回の計画を知らず、ある日突然先生が外の世界に行って帰ってこないと知ったらどうするかしら」

「…間違いなく追いかけて阻止しますね」先生が制止したらやめるでしょうけど…

 

「それがキヴォトス全土で起こった場合を考えなさい。とてもじゃないけど無対策なんて正気じゃないわ」

「た、たしかに…」

 

ミシンの修理してる場合ではない…?なんて呑気なことを言う彼女に呆れ果ててしまう

はぁ、多分ロハンは彼女をワカモとのパイプ役にしか見てないわね、そのおかげで七囚人の1人が味方に付いていると考えれば金星なのだけれど

 

そういえば…

 

「あなたはどうしてロハンに協力してるの?」

動機を聞いたところでミレニアム自治区を出た、これ幸いと車の速度を上げる

ここらへんまで来れば人を轢く心配はない

 

「私は…その、ワカモお姉様のために…」

「お姉様?洋服店でも彼女をそう呼んでたわね

そもそもあなたとワカモ、いったいどういう繋がりなの?」

 

百鬼夜行の端で小さな洋服店を経営する生徒と七囚人災厄の狐と呼ばれる犯罪界の大物…正直同じ学校ってことくらいしか接点が無さそうだが

 

「実は私…以前ワカモお姉様に助けられたんです」

「ふむ?」

 

 

『いらっしゃいませ…あ、先生。こんにちは!』

『こんにちは、スーツを引き取りに来たんだけど…もうできてるかな?』

『はい!すぐお持ちしますね!』

 

その日先生が私の店に注文していたスーツを取りに来てくれたんです

 

…別に百鬼夜行連合学園まで来なくてもシャーレ付近で店は無かったのかしら

先生は優しいので、多分理由をつけて百鬼夜行の様子を見に来てくれたんだと思います

…スーツ上下を取って戻った時でした

 

ガチャ

『あ、いらっしゃいま『オラァ!突然ですが強盗だ金を出せ!』

『『!?』』

 

急展開ね…

まぁ、それは確かに。

 

『ハッハァ!私はチンピラA!』

『私はチンピラB!』

『そして私がスケバンCだ!さぁ金を出せ!』

 

と、不良生徒達が押し寄せて金を出せと…

3人で《押し寄せる》ってのはちょっと違うんじゃない?

揚げ足取らないでくださいよ、そこで先生が止めに入ってくれたんですが…

 

『あわ、あわわ…』

『君たち、少し落ち着いて』

 

『あぁん?誰だか知らないが偉そうに『待て、コイツはシャーレの先生じゃないか?』

『よし計画変更だ、コイツを攫って連邦生徒会から身代金を頂こう!』

 

『いやあの、待って?少なくとも今はやめたほうが…』

『うるせぇ!ついでだ、この店も吹き飛ばしてやれ!』

『ええっ!?』

『…え?なんでだチンピラA?』

『知るかチンピラB!なんとなくだ!やれ!』

『はぁい』チャキッ

 

逃げも戦いもせず震えてたってこと?…情けないわね

怖かったんですよ!怖くて足が…でもそんな時にお姉様が…!

 

ダァン!

『びゃ。』バタ

『ひょ?どうしたチンピラびっ』ダァン! バタ

 

『…だから言ったのに』

音もなく扉が開き、オロオロとする3人目の首根っこをそれが掴む

 

『へ?あっ。厄災の──ぴゃんっ』キュッ

あっさりと無力化されたそれらを窓から丁寧に投げ捨てた少女は耳をぴこんと立てて先生に駆け寄った

 

『ご無事ですか貴方様!』

『うん、ワカモのおかげでね。私とこの店を守ってくれてありがとう』

 

 

「…え、まさかそれで?」

「それで、とはなんですかもう!ワカモお姉様が守ってくれなかったらお店が吹き飛ばされてたんですよ!」

 

多分というか間違いなく先生を守ったついででしょうソレ…

 

「ともかく!ワカモお姉様に救われたその恩返しとしてあれ以来何ができるか考えていたんですよ!」

「…例えば?」

 

「ワカモお姉様は先生が好きだから…2人の結婚式場を探したり…」

「・・・あなた馬鹿でしょ」

「はうっ!ひどいです!」

 

実際かなりの馬鹿みたいだが。

普通もっと段階を踏むものでは?疎い私でもそれくらいわかる

 

「…でも確かに、上手くいかなかったので私のやり方は全部間違っていたのでしょうね」

「そうね」

 

「そんな時映画撮影に来ていたロハンさんから声をかけられたんですよ

『狐坂ワカモにコンタクトはとれるかい?』と」

 

なるほど

 

「計画はその時聞きました、迷いましたが…ワカモお姉様は私利私欲で先生をキヴォトスに封じ込めるような自分勝手な人じゃないことを私は知っていました。だからパイプ役を買って出たんです

多分ロハンさんはお姉様の協力が無くても実行するでしょうから」

 

パイプ役の自覚はあったのね

 

「…ワカモはなんて?」

「その、すごく悲しんでました。でも大丈夫です!ロハンさんがお姉様と先生を「ストップ!そこから先は外では言わないほうがいいわ」

 

車は信号待ち、歩道には生徒もちらほら見える

…例の話は私も聞いた。キヴォトスの外へと繋がる通路の残り使用回数は人間換算して2人。つまり先生の他に1人だけ彼に同行できる枠がある

 

ロハンがワカモの説得に勝気だったのはまさしくそれだ。計画に協力する代わりに先生について行く唯一の枠を彼女に渡すことで最後の後押しをしたんだ

 

もちろんこれが知れればタダでは済まない、計画が露呈するのはもちろん。下手すれば先生を独占するために彼を連れて自ら出て行こうとする者も…いえ、どうなのかしら。キヴォトスから外に出たら先生に権力は無いでしょうし…

 

「外でその話題はやめにしましょう。情報漏洩は防がないと」

信号が切り替わり、車が動き出す

 

「とにかく私の動機は全てワカモお姉様が中心なのです!えへん」

「つまり貴方の意思はロクに入ってないってことじゃない」

「お姉様の力になりたいというこれが私の意思ですよ!だいたいそこまで言うにはラミィさんにはもっと凄い動機があるんでしょうね?」

「よくぞ聞いてくれたわ」

「えっ」

 

聞かれたからには答えなければならない、そして答えるからには彼女にもサクラコ様を知ってもらわなければならない

 

「フクヨ、あなたは神を信じる?」

「えっ、ええ…?あの、やっぱり聞かなくても別に「聞きなさい、まず全能神たる歌住サクラコ様について…」

 

聞くんじゃなかった、なんて顔をするフクヨだがもう遅い。

氷みたいな顔をうっとりと歪ませ、最高の存在…歌住サクラコについて語り出す彼女を止められる者は彼女の信仰対象である歌住サクラコ以外にいないだろう

 

結局彼女が話す内容は協力する動機からサクラコ様が如何に偉大で全能なのかを語る話へとすり替わっていくのだった…

 

 

 

──────────────────────

おまけ

 

キャラ設定編、その3!

今回はミレニアムの問題児『妙奇ロハン』です、どうぞ。

 

 

妙奇ロハン

 

ミレニアムサイエンススクール、特異現象捜査部所属だが殆ど幽霊部員と化しており極稀に部室に顔を出すとヒマリ含めた部員からは『誰…?』って顔をされるレベル

 

とにかく1に映画、2に映画、3に映画の映画監督であり、そのためなら割となんでもやる狂人

今回の計画は一応先生のため、らしいが映画に活かせそうなことはどんなに小さなことでも空気を読まずにメモを取る

 

周りを顧みない性格故に映画がウケた百鬼夜行学園以外では敵も多く、各学園にも問題児として名を広めておりトリニティに至っては指名手配される始末

しかし『大好きなことに全力を注ぐ姿』だけは誰が相手でも評価し、共感するという一面もある

 

様々なところから煙たがられている彼女だが金だけはやたら持っている。どうも後ろに何かいるみたいだが…?

 

愛用品は集音マイク搭載型のドラグノフ『ヘブンズドアー』

参考元はジョジョ第4部の岸辺露伴…から全ての善性を引っこ抜き、漫画の代わりに映画に夢中にさせた感じ。




ワカモを布団で簀巻きにして隙間からはみ出た尻尾をモフモフしたい作者のルルザムートです、ハイ。
いやぁ、1話投稿につきお気に入りが1人増えればいいなぁ…っていうスタンスなので評価貰えたのは本当に嬉しい!
既に完成した後なので張り切るも何も無いと言えば無いのですが強いて言えば次にギュメイ将軍が主人公のブルアカの筆がノリ始めてます♪
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