シャーレの先生追放計画《集いし4人は無関心》   作:ルルザムート

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本来-2th ①になるはずだった-2th ④です
お楽しみください


-2th ④

百鬼夜行連合学園、とある銃器店にて…

 

「うーん…見たことのない弾丸を使ってますね

ウチで用意するのは少し難しいかと…」

「──だろうな。手間をかけさせてすまなかった、店主」

 

あれから俺は便利屋に護衛されて百鬼夜行連合学園へと逃げ込んできていた

 

「やれやれ…」

最後の銃器店を後にして次の手を考える…と言ってももう出尽くしたんだが。

 

着の身着のままゲヘナを脱出したせいで色々と置いてきてしまった。衣類や食料はこっちで調達できるし宿はロハンのおかげでどうにかなるが…

 

「ロケットスターの残り弾数12発…くそ、やってくれるな…」

 

棗イロハを通じて丹花イブキから送られてきた格納ポーチ…弾丸BOXは確かに俺のものだった

だが肝心の中身が入っていなかったのだ、空ならすぐに気付けただろうがご丁寧に通常の散弾に詰め替えられていた

 

多分羽沼議長のアイデアだろう、これじゃあエアダッシュできるのは6回、ケチっても12回だ

加えてコイツを作れるのはロケットスターの生みの親だけ。当然ゲヘナ自治区の中…

 

「やぁドグマくん、ロケットスターの弾丸は見つかったかい?」

「見つかるわけ無いだろ、弾丸だって特注品だ

代用できそうなものも無かった。

ここまでだな」

 

とりあえず青山に戻ってきたはいいが八方塞がりだ。『計画通りに行けば戦闘は無い』とロハンは言うがこっちはそう行かない、空崎先輩の選択次第で俺が狐坂ワカモと戦う必要があるからだ

 

だが格上と戦う以上、エアダッシュ無しでは5秒と持たない。いくら先読みできても避けられなければ瞬殺される

 

俺個人で便利屋を雇うか?彼女たちなら反動弾を回収することはできるだろう

いやだめか、ロハン達からすれば無くても困らない物だ。無いはずの戦闘にここまでやれば気付かれるかもしれない

 

「ただでさえ悪い顔の顔色が悪くなってるよキミ

大丈夫かい?」

「余計なお世話だ…」

 

夜桜先輩経由で聞くに、俺はもうゲヘナじゃ指名手配されているらしい。

表向きは便利屋やミレニアムの問題児と手を組んでいるからだろうが俺を確保したい理由は間違いなく他にある。空崎先輩が気を利かせてくれたのか風紀委員が積極的に動いていないのは不幸中の幸いだが…

 

「………」

 

羽沼議長に話すしかないのか?だがそれをすれば確実に空崎先輩の邪魔をするはず。だが反動弾無しでは狐坂ワカモとの戦闘に支障が…

 

「んがあああ!どうすりゃいいんだよ!」

「うわびっくりした」

 

ロハンがなんか言ってるがどうでもいい、フクヨは店先だしラミィとワカモはいない

…そういえば

 

「顔合わせ以降まったく姿を見てないが狐坂ワカモはどこにいるんだ?」

もちろん七囚人である以上、気軽に合流できるわけ無いのは知ってるが。

 

「彼女?先生とのデート中だよ、キヴォトスで過ごす最後の時間をゆっくり過ごしたいんだってさ」

…最後、か

 

「なぁ、それ先生にバラしたりしないよな…?」

「彼女が?まさか!

彼女は破壊と略奪が趣味の狂った女だが先生に対しては誰よりも理性的さ。キミや僕よりもね

 

先生のために先生へ嘘を付かなければならないと言うのなら全てを押し殺し、愛した人へ嘘を突き通す…恋人を守るために恋人を裏切ることのできる数少ない生徒の1人だ。心配はないさ」

「だといいが…やれやれ、それを知った上で送り出してるって…やっぱりお前、クズだろ」

 

ひどいなー?なんてほざくロハンに呆れているとそこに1人の来客が…

 

「ドグマ」

「ん?ラミィ?なんか用か?」

「話がある」

 

………

 

 

 

────────────────────

ゲヘナ自治区内にて…

 

シャーレの先生はモテる。本人に自覚が無いのが玉に傷だが相手が生徒である限り誰であろうと態度や姿勢を変えないその姿は年頃の少女たちを惹きつけるには充分で、街中でその姿を見れば声をかけに行く生徒も少なくないが…

 

カフェ、テラス席でミルクと小さなアイスを食べる先生を見つけた1人の生徒が声をかけようとするも

 

「せん──あっ…」

 

対面に座る、和服に身を包んだ美女がそれを許さない

別に制止されたわけじゃない、100人に聞けば100人が《美女》だと答える。そう断言できるほど美しい容姿に圧倒され『敵わない』とほとんどの生徒は悟り自ら身を引いていく

 

ただやはりゲヘナ学園たる故か、そんなものお構いなしにちょっかいを掛けてくる生徒もいる

 

「あれ?アンタもしかしてシャーレの先生か?」

「そうだけど…」

 

1人の生徒が声をかけた

先生の手が止まり、美女の獣耳がピクンと反応する

普段の彼女なら問答無用で排除するところだが先生との約束を守って手は出さない

 

…少なくとも今この瞬間は。

 

「アタシらが頑張ってるのに他所の生徒侍らせてデートかよ?良い身分だな」

「デッ…!」

 

『美女』だった表情が『少女』の表情に変わりかける

 

やはりこうして言葉にされるのは中々慣れない、デートというのはつまり今この瞬間、彼の時間を自分だけが独占していて、しかもそれが許されている。ということに他ならないからだ

 

普段のように顔を隠す狐面は無く、隠し切れない恥じらいが赤色となって頬を照らすが目の前の生徒にはそれが気に食わなかったらしい

 

「それは…そうだね、うん。ごめん」

「ッチ…つまんねー回答だな」

…どうしてアナタが謝るのですか

 

特に何も言わず謝罪する彼に心の中で質問する

シャーレの業務は激務だ。だが彼はワタクシとの時間を作るために無理をして午前中だけで業務を終わらせたのだ

 

もちろんワタクシも手伝ったし、フクヨさんも手を貸してくれた。きちんとやり切った結果のデートなのに、何も知らない人になんでそんなことを言われなくちゃならないのか

 

「なぁ、暇ならさぁ。ちょっとウチに付き合ってくれない?」

「えっと…急ぎかい?」

「遊び歩いてるぐらいだから暇なんだろ?いいから来いよ」

 

もう何度目だろうか、事あるごとに先生は上手く断ってくれていたが今度の生徒はかなりしつこい

 

手元のライフルに手が伸びるものの、それでも先生との約束を破るわけにはいかないとその手を引っ込める

 

「急ぎじゃないなら悪いけど行けないよ、今は彼女との約束が…」

「しのごのうるせぇな、さっさと」カチャ

 

生徒の手が腰のホルスターに伸びた、その瞬間

 

ダァンッ!

 

「うわぁっ!?」

「ワカ──タマモ!」

 

ライフル弾が生徒の銃を粉々に粉砕する

取り回しの悪いライフルでの早撃ちだがここまで近ければ撃ち抜くのはそう難しくはない

 

「………まだ続けますか?」

次は頭部を粉々にする、という意味を込めて銃口を再度合わせる

 

「ひっ…な、なんだよ!お前には関係ないだろ」

「タマモ、落ち着いて。…ねぇ、キミの用事っていうのはなに?」

「貴方様、こんなのに耳を貸す必要は…」

「ただちょっかいをかけにきただけなら今の銃撃で逃げ出してると思う、何か用があるんだよね?」

 

用…?

 

「いや、それはその…」

「タマモ、行ってもいい?」

「ええ、もちろん。ワタクシもご一緒します」

 

「ありがとう。…言いにくいなら場所を変えるよ、ただ彼女も一緒だけどそれでもいい?」

「………お願いします」

 

最初とはうってかわって大人しくなるゲヘナ生

せっかくの2人きりの時間だが少なくとも特に用事の無い生徒からのちょっかいは断ってくれた彼がここで受けるということは本当に何かがあるのだろう

 

無視してほしい、というのが本音ではあるがどんな生徒にも手を差し伸べるのが彼である

それならば私に止める権利などありはしない

 

会計を済ませてカフェを出る。…ちなみに彼が全顔出そうとしたのでなんとか食い下がって割り勘へと持っていった

 

彼に全額出させるのが悪いと感じるのもあるが…それ以前に対等な相手として見て欲しかったから

 

そしてゲヘナ生に連れられてワタクシ達が向かったのは──

 

 

 

 

 

「こっちです」

案内されたのはゲヘナ救急医学部だった

特に大きな事件が起きたような気配は無かったにも関わらずベッドは7割以上が生徒で埋まっておりゲヘナ学園の治安の悪さが透けて見える

 

「やぁセナ」

「おや、先生こんにちは。一緒にいるのは…ゲヘナでは見ない服装ですね、見たところ百鬼夜行の…?」

「はい、狐崎タマモと申します」

 

…今更だが今回のデートにあたって偽名を使っている

厄災の狐、狐坂ワカモという名前は有名になりすぎてしまっているからだ。どうにかできないかと考えた結果先生が付けてくれた名前を呼び合うことによって誰も自分を七囚人だと気付くことはなかった

 

「…おい、医学部長」

「? あなたは確か山田マヤの面会に来ていた…先生を呼んだのはあなたですか」

「そうです…じゃない、そうだ。あいつに用があって来たんだから邪魔すんじゃねーぞ」

「・・・前来た時もそうでしたがなんで不良の真似をして「う、うるさい!あっち行け!先生もなにボサっとしてんだ、さっさと来「は?何様のつもりですかアナタは?」

「ひっ…!いやその…」

 

桜の枝より脆弱そうな腕を引っ掴み、ちょっぴり力を込めて折──

「ストップタマモ!…すぐ行くよ」

 

やんわりと彼の手が静止したことにより怪我人は増えなかった

ああいけません、この姿で事を起こせば2度とキヴォトスで彼と歩けなくなるかもしれません

自制しなくては…

 

「………」

いえ………別にもう、構いませんか…

2日後にはもう、彼がキヴォトスを歩くことはもう無い。待つのは外の世界での彼との時間──

 

「────」

待ち遠しいはず、少なくとも他の生徒の一切はもう彼に干渉できなくなる。一緒に外の世界に行けばこの恋を邪魔する存在はもう現れない

素敵な未来が待っているはずなのに

 

なぜ、こんなにも胸が締め付けられるのでしょうか…?

「うわぁぁぁっ!いやだ!いやだ!」

「!」

 

考え込んでいるといつの間にか先生が居ない、代わりに奥から生徒の叫び声が…

 

「マヤ落ち着いて!ここに正実委員長は居ないから──いててっ!?」

「マヤちゃん落ち着いて!力強…!タマモ手伝って!」

「は、はいっ!」

 

暴れる…というかのたうち回っている生徒を抑え込む

 

どこにそんな力があるのか不思議なくらい暴れる不良生徒だがワカモには遠く及ばずあっさりと拘束。

 

脱出しようとこれまた暴れようとしていたが数分抑えつけていたら観念したのか動かなくなった

 

気絶した…わけじゃなさそうですね、小動物みたいに震えてますが。

 

「彼女、いったい何があったんです?」

どう見たって普通じゃありません、殺されかけたとか拷問を受けたとか、そういう怯え方です

 

「それが…この子、数日前にトリニティに行ったみたいなんだけれどね?

その時にツ…トリニティの治安維持組織に捕まった瞬間のことがトラウマになっちゃってるみたいで…」ヨシヨシ

 

震える生徒を慣れた手つきでそのまま抱きしめる先生に若干凍りつくもすぐに持ち直す

 

「うぅ…」

「さっきもこうして撫でてあげたら安心してくれたんだけど…うん、一度彼女達のことをキチンと知っておいてもらった方がよさそうだね

…それにしてもどうして彼女はトリニティに行ったんだろう?」

 

その後山田マヤという生徒をしばらくあやした後、私たちはデートを再開しました

 

2人だけの時間を過ごしながらそれとなく先の件を聞いてみるとワタクシとのデート前にも山田マヤのお見舞いには来ていたらしい

 

今回先生を連れてこようとした山田マヤの友人とは別のゲヘナ生(名前は言いませんでしたが特徴から恐らくドグマさんでしょう)に連れられてやって来たようで…

 

…?ということはドグマさんや妙奇ロハンの言っていた離反した生徒というのは彼女…?

ああ…そういうことですか

 

いくつかあった懸念事項の1つが消え、少しだけ気持ちが軽くなる

口封じのためにやんわりと消息を追っていたがあの様子であれば彼女から情報が漏れることはないだろう

 

であれば。

 

「また様子を見にこよう、じゃあ行こうかワカモ。次はどこに行きたい?」

「あなた様のいる場所ならどこへでも、ですが…もしワタクシに判断を委ねてくださるのなら、そうですね…」

 

今は…この至福の時間を楽しむとしましょう




ワカモの尻尾をで尻尾枕したい作者のルルザムートです、ハイ
日付ミスってたせいで-2thだけギッチギチ…
一応問題ないとはいえこれなら1つしかない-5thとかどうにかなったんじゃ無いのかなぁと思ったり
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