シャーレの先生追放計画《集いし4人は無関心》 作:ルルザムート
というわけで-1thです、お楽しみください
「………いよいよ明日か」
宿で目を覚まして最初に思ったのは明日のこと
これで成功しようと失敗しようと気を休めて眠れるのは当分先ってワケか、我ながらとんでもないことに首突っ込んでるな…
「飯、食いに行くかな」
軽く身支度を整え、食堂のある1階へ──
「おいおいつれないじゃあないか、食事に行くなら起こしてくれよ」
「はいはい、行くぞ映画狂い」
ついでに昨日から同じ部屋に泊まってるロハンも連れて。
「焼き魚定食をひと「2つ、お願いできるかな」
「おはようさん、もうできてるよ」
割り込んできたロハンにガッツリ舌打ちしつつ、雀のおばちゃんから定食を貰って席に着く
「で?このままやるのか?」
「もちろん、実行するさ」
魚をほぐしながらロハンが答える
その様子からは緊張などは一切感じられず、むしろ高揚を抑えきれていないようにも見える
「随分とまぁ、余裕そうだな」
「いやぁ嬉しくってねぇ?終わった後のことを考えると楽しみでたまらない」
「なんだお前、そんなに追い出したかったのか」
やっぱりクズじゃ…
「まさか!映画だよ、終わった後キヴォトスの環境は大きく変わる。これまで経験できなかったことが次々と起こるはずだ。それを映画に活かせれば…ふふ」
「マジで映画のことしか頭にねぇのなお前…」
だから僕は好かれているんだよ、と行儀悪く両手を広げるロハン
それ以上に敵を作ってるだろうがお前は。
「やれやれ、時間になったら電話でもしてくれ」
熱々味噌汁とまだ骨が残った魚を白米でかき込み、誤魔化すように野菜類を平らげて席を立つ
「ごちそうさま、今日も美味しかった」
「ふふ、ありがとね。おばちゃん、そう言ってくれるだけで元気が出るよ」
あんまり遠くに行くんじゃあないぞ?とケタケタ言うロハンをフルシカト。部屋に戻る
「………」
空崎先輩からの連絡は未だ無い…阻止するか、狐坂ワカモから切符を奪うのか、あるは静観するか…
「まだ迷ってるってことですか、しかし急いでください」
もうあまり時間が無い──
ピリリッ!
「うわっ!もしもし?」
いきなり鳴り響く携帯をスっ飛ばしそうになりながら出ると…
『………火神ドグマ』
噂をすればなんとやら、か
「人が近い、かけ直します」
『………うん、分かったわ』
ピッ
忍具を使って窓から壁へ、壁から屋根へ、念には念を入れ3つ隣の空き家へ飛び移り改めて携帯を手に取る
さて、なんて返ってくるかな
「やぁやぁ盟友!そっちから電話をかけてくるとは珍しいじゃあないか」
ブーツの紐が若干緩んでいるがこれくらいなら脱げないだろうと楽観視して宿を出る
丁度定食の食器を返却し終わったと同時にかかってきた電話は数日前に会談したばかりの知人だった
ふむ、念の為に音は遮断しておくか
「いや…こんなこと初めてだね?
…え、先生に?確かに僕も生徒だが…一方的に付き纏ってるのとは違うだろう?約束には反しないさ
ところで要件はなんだい?それを押して掛けてきたのには訳があるんだろう」
『……………』
「ああ確かに先生の護送は明日明朝だよ、それが?」
『……………』
「…いや、それはダメだ。これはあくまで先生と生徒だけで完結しなくてはならない。そうでなくては意味がないんだよ。あなたの気持ちは素直に嬉しいが今回は静観してほしい
なぁに《全員が全力》だ、必ず良い結果になるさ」
『……………』
「もちろんだとも!終わったらすぐに来てくれ
上映が終わったあとはいつでも席を立っていいのだから」
『……………』
「うん、仲間の方々にもよろしく」会ったことないが。
『……………』ピッ
「解除っと、流石にあちらも緊張が隠せないみたいだねぇ」
「なにやってるの?」
「わぁ!」
ポンと肩を叩かれ超びっくり!…って
「ラミィくんじゃあないか、いきなり驚かすとはひどいな?」
にしても彼女、シスター服以外に着る物が無いのか?
「いくら呼びかけても反応が無いからよ
…『彼』の迎えは?」
「ワカモくんに頼んだよ、単騎行動なら彼女の右に出る者は居ないからね」
「そう」
「ラミィくんはここで何を?」
呼び出さない限りは教会から出ない人間だと思ってたが。
「…少し、羽を伸ばしに来た」
「・・・キミ、なんか変な人でも食べたかい?」
「アナタ私をなんだと思ってるの?」
糸目手前のジト目で抗議してくるシスターラミィ
いやホントに驚いたよ、だってこの人って歌住サクラコ以外眼中に無い人だし
…まぁ熱中するのは良いが一つだけに集中するのはよろしくない、視野が狭くなってしまう
もちろんそんなことを言えば怒り狂うのは目に見えているので言わないロハンであった
「まぁまぁ、気にしないでくれたまえよ
それより少し一緒に歩かないかい?」
「話を聞いてなかったの?羽を伸ばしに来たって言ったんだけど」
「仕事じゃないよ、ただのお散歩さ」
「羽を伸ばしに来たって言ってるでしょう、アナタと一緒でどうやってリフレッシュしろっていうのよ、頭の中まで映画のフィルムでいっぱいなの?」
「うわ、クチ悪いなキミは!?」
「性格が悪いよりはずっといいでしょ」
そう言ってつかつかとどこかへ行ってしまうラミィ
連れないねぇ…ま、いいさ。私は私でやるべきことをするだけだ
再び遮断機を起動、盟友の電話で後回しになっていた電話をかける
「・・・やぁもしもしサオリくん?明日の打ち合わせをしたいのだけれど」
「刺繍セット、お料理本に家事の心得、銃の手入れ具も必要ですね
あ、でもお姉様の服は普通の店での手入れは難しいでしょうから今から資料を作って──「フクヨさん」
「はい!…?あの、お姉様?」
せかせかとお姉様を、ワカモを送り出す準備をしていたフクヨ
だが当のワカモの表情はどこか暗い
「明日先生はキヴォトスから去ります」
「はい、そうですね。お姉様と一緒に」
「………」
「お姉様、いったいどうされたのですか?」
…おかしい
明日の護送が終わればお姉様と先生の仲を邪魔する者は居なくなる。楽しみにこそすれどこんなに暗い表情なのはおかしい
「…フクヨさん、貴女の店に展示用のマネキンがありましたよね
急で申し訳ありませんが1つ譲っていただいても?」
「??? 別に、構いませんが…何に使うんですか?」
「それは…」
愛する人の、未来のために。
「…………」
…そろそろ、先生を迎えに行きましょう
-0th 23h 59m
ワカモの尻尾を3時間かけて優しくブラッシングしたい作者のルルザムートです、ハイ。
ドグマ、ロハン、ラミィ、フクヨ、ワカモ、ヒナ、サオリ、便利屋が集まって夕食を取るシーンも書く予定でしたが先生の置き場所に困ったのでカット。(その結果3000字も無くなってしまいましたが…)
というわけで次回から先生追放計画開始、お楽しみください